2015年11月

 というわけで、月曜日は毎週恒例の週末映画興行収入データです。
 この週末は、『007Spectre』の先行上映があって、わたしも観に行ったわけですが、たぶん、一番お客さんが入っていたと思う。が、あくまで「先行」ってことで、数字は出ません。これ、いつも思うけど、意味なくねえですか、ここでわたしが文句を言っても仕方ないのだろうけど、なんか除外する理由があるのかな、ちょっと想像できないけど。
 と、インターネッツという銀河の片隅でほざいているわたしのこのBlogにたどり着いた人の、9割以上の方々が思うと思うのだが、いかがでしょうか。 

  というわけで、興行通信社謹製の大本営発表(観客動員数順)がついさっきコメント入りで出てました。
 1位:『リトルプリンス星の王子さまと私』が驚きの1位奪還。ただ数字的には0.7億とさびしい。たしかに、偶然土曜日にこの映画が終わるってお客さんがぞろぞろ出てくるところに遭遇したが、子ども連れ客でにぎわっていたのを観た。まさか1位とは。9日間累計で3.2億ほどのようだ。正直全く興味なし。

 2位:『ガールズ&パンツァー』 これも0.6億程度の模様。まったく興味なし。
 3位:『レインツリーの国』は、週末0.5億ほど。9日間累計で3億にちょっと届かずの模様。もうチョイ頑張ってほしい。実際素敵なお話なので、リア充の皆さんにはぜひ見ていただきたいのだが……。ちなみに『県庁おもてなし課』は同期間で3.1億ほどだったと思う。なので、最終7億ぐらいかも?
 4位:『グラスホッパー』は23日間累計で8億チョイか。どうかもう一息頑張って『ゴールデン・スランバー』の11.7億を超えてほしい。
 5位:『劇場版MOZU』が23日間累計で10億は突破した模様。
 6位:『俺物語!!』がランクイン。ただし数字的には淋しく、30日累計で8億届かずの模様。最終10億にギリ届くか?
 7位:『劇場霊』まったく興味なし。
 8位:『コードネームU.N.C.L.E』はまだ累計4.5億ほどかな。微妙。。
 9位:『黄金のアデーレ 名画の帰還』。0.2億で金額順ではたぶん10位以下のはず。クリムトの絵をめぐるお話で、主演は『RED』のスナイパーおばあちゃんでお馴染みのヘレン・ミレン。先日NYのメトロポリタン美術館でクリムトを観たばかりなので、是非観たいのだが、どうにも時間が合わない……。なお金額順9位は『デジモンアドベンチャー』みたい。まったく興味なし。
 10位:『プリキュア』まったく興味なし。

 以下、わたしの興味のある映画だけ金額順で挙げると、『エベレスト3D』はまだ累計7.5億ほど。10億は洋画にとっては壁ですな……。『ハンガー・ゲームFINAL:レボリューション』は9日間累計で2億にも届いてないんじゃないかな。はーーーくそう。厳しいなあ……わたしはもう見たので、明日か明後日、レビューを書きます。それから『ギャラクシー街道』が37日間累計で12億強ってところか。これまたホントに厳しい。そして『マイ・インターン』が累計で17億間近のようで、立派な数字だと思います。これはよく頑張った。

 とまあ、なんとも淋しい週末興行の数字ばかりだが、おそらくは、それだけ『007』に数字を持っていかれたということではなかろうか。わたしが観たときも結構混んでました。客層は、やっぱり高めでしたね。おじさんとおばさんの夫婦をメインに、若い女性もちらほら、男一人ってのは、わたし以外は50代以上のおっさん、おじいちゃんレベルでした。まあ、今どき『007』の新作にわくわくするのは、わたしを含めたおっさん層なんでしょうな。
 わたしとしては、もう『007』は観てしまったので、残るは『STARWARS』と『CREED』を心の底から楽しみにしていようと思います。

 というわけで、結論。
 今週も、興行市場的には数字は非常に小さい。が、あくまで『007』抜きの話であって、『007』はわたしの印象では、先行上映の3日間で3億以上、うまくいけば5億近くも固かったのではと思います。ひょっとしたらそれ以上かも。来週は、本公開の週末の数字と今回の先行上映分の合算数値が出るはず、です。つか、合算したら意味ないじゃん。ねえ?

↓星の王子さま……わたしも当然読んでます。が、全くピンと来ないというか、特に思い入れナシ。既に著作権は満了し、パブリックドメインとなったためいろんな版元から出てますが、岩波書店版がオリジナルです。
星の王子さま―オリジナル版
サン=テグジュペリ
岩波書店
2000-03-10


 007シリーズでわたしが一番初めに劇場で観たのは、おそらく『わたしが愛したスパイ』だと思う。70年代スーパーカーブーム真っ盛りの中、ロータス・エスプリが潜水艦に変形するギミックで、当時の小学生を仰天させたあの映画だ。オヤジと観に行ったことをよく覚えている。1/24プラモデルも作って遊んだもんだ。
 あれからもう40年近くが過ぎ、現在007を演じるのはDaniel Craigである。 まあ誰がどう見てもカッコイイ野郎だ。その彼がJames Bondを初めて演じた『Casino Royale』からもう9年がたち、Daniel Craig4作目となる最新ボンド映画『SPECTRE』が公開されたので、わたしも早速観てきた。はっきり言って物語上、若干の問題点はあるが、ボンド自体は超カッコ良く、アクション満載で確かな満足の映画であった。

 相変わらず、オープニングアクションからカッコイイ。この冒頭のメキシコシティーでのくだりは、ちょっと驚きのロングカットで、時間を測ってはいないけれど、たぶん3分以上、↑に貼った予告で、ボンドがライフル構えるところまで、ワンカットでカメラは止まっていない。冒頭からもう大興奮である。ちなみに、いわゆる「ガン・バレル・オープニング」はDaniel Craigボンドで初採用であった。
 ただ……わたしは、前作『SKYFALL』が全然楽しめなかったクチなのです。どうしてそんなにみんな『SYKFALL』を絶賛するのか良くわからない。あれはちょっとなあ……正直なところ、007映画としては敵の動機がしょぼい。逆恨みだし。なんか妙にマザコンっぽいし。しかもMもまったくの三下の銃撃が致命傷になってしまうし。ちょっとあの映画は、いまだにわたしは好きではない。ので、果たして4作目となる本作『SPECTRE』は大丈夫かしら……と実はちょっと心配していた。
 Daniel CraigがNEWボンドに扮してからの3本は、かつての007映画が基本的にに1本1本独立していたのと違って、微妙にストーリーがつながっていているため、今回の4本目も、ズバリ言うと前の3本を観ていないと、きちんと楽しめないと思う。まあ、それはそれでいいし、実際わたしも『Casino Royale』と『Quantum of Solace』については、事実上前編後編的な2本であるけれど、大好きだ。おっそろしくカッコイイ。しかしながら、今回の『SPECTRE』では、007最大の敵「スペクター」という悪の組織のラスボスの正体について、正直底が浅い。そして意外と弱い。ガッカリである。なので、その点では若干、いやな予感は当たってしまったと言える。
 たぶんこういうものは、最初の『Casino Royale』から周到に脚本の中で用意されていないとダメだったと思うのだが、おそらくは、今回の映画の構想は、『SKYFALL』時点で初めて意図したんじゃないかと思う。ちょっと後付け感が強い。偶然だったとしか思えないラスボスの人物造形には、はっきり言ってダサいというか、つまんねーの、と思った。なんでその人物がそういう悪の組織のボスになったかが一切描かれていないのだ。だから、脚本的には、わたしならもっとうまく書けるのになー、と、いつも通りのわたしの言うだけ詐欺ですが、そう感じてしまった。ありゃあ、イカンね。
 基本的に、007ことJames Bondは、その場の勢いというか先のことを考えずに、行き当たりばったりの出たとこ勝負で行動するキャラクターである。だから毎回、まんまとスーパーピンチに陥る。本作でも、観ているだけで相当痛そうな拷問を受ける。そういうピンチを、「Q」特製のガジェットだったり、「M」の支援だったり、あるいは「ボンドガール」と世に呼ばれるヒロインの助けを得て、なんとか脱するのがある意味シリーズの見どころなわけだが、そこを、アホかコイツ!! もうちょっと計画立てて綿密に行動しろよ!! と思ってしまったら、もうこの映画は楽しめない。
 おまけに今回のあの拷問って、別に何か口を割らせようとするものではなくて、単にボスの趣味だってのも、やっぱり脚本として0点だと思うんだけどな……ボスが如何にして悪の組織を作り上げたか、作り上げる動機や性格のゆがみの原因などは一切描かれておらず、それなら変にボンドの過去と結びつける必要性はゼロだったと思う。Mr,Whiteとのつながりはとても良かっただけに、ラスボスは別にボンドの過去とは関係のない、ただの悪党でよかったと思うが、もっと無敵で、頭の良い男にして欲しかった。要するに何らかの復讐だったり、悪のダークサイドへ転落するきっかけ的な出来事が描かれ、悪には悪の理由がきちんと提示されて欲しいのだが、そのような背景が語られないのなら、『The Dark Knight』におけるJoker的な、狂える純粋悪にしていただきたかった。おまけに、2時間28分かな、上映時間はちょっと長いね。無駄なシーンも結構あるので、その点でももっと改善できたと思う。ちなみに、ボンドの過去については、かのJeffery Deaverの『007 白紙委任状』でほのめかされるボンドの父親像が素晴らしく想像を掻き立てるワクワク感があって、わたしは大好き。この作品は、一応「公式」007シリーズに認定されてるんじゃなかったかな。わたしは今回の映画が、ボンドの過去に迫る!的なプロモーションだったので、まさか『白紙委任状』の設定を採って、父親の代からの因縁がからむのか!? そいつは最高だぜ!! と勝手に盛り上がって期待してました。全然違ってたよ……。
007 白紙委任状 上 (文春文庫)
ジェフリー ディーヴァー
文藝春秋
2014-11-07





 ともあれ。
 007シリーズは、脚本としてきちんとそうせざるを得ないと観客に思わせないといけないわけで、ほんのわずかな手がかりを得て現地へ飛び、アクションがあって次の手がかりを得て、また次の場所へ移動する、というのを繰り返して、最終的にラスボスとの対決に至る、というのが007の基本ストーリーラインなので、常に、観客を飽きさせない派手なアクションだったり、驚きの展開だったりというような、工夫が絶対に不可欠だ。その点では、今回の『SPECTRE』は、そのラスボスの背景が薄っぺらではあるけれど、ボンドの戦いの連続は非常に迫力もあって楽しめましたので、十分わたしとしてはアリ、としておこうと思います。このイマイチな脚本でも、流れや映像、そしてキャラクターは素晴らしく、わたしとしては『SKYFALL』よりはずっと面白かったと思う。それは間違いない。ポイントは、ヒロインかな? いや、今回のボンドがやけにカッコイイからかな? 相変わらず、Daniel Craigの着用するTom Fordのスーツはひじょーに美しく、カッコ良かったです。
 役者陣では、前作『SKYFALL』のラストで新たな「M」に就任したRalph Fiennesが非常に良かった。出番は少ないけれど、お堅い官僚かと思わせておいて実はちゃんと熱い男というのがとてもいい。また、前作から登場した技術スタッフの若きQを演じるBen Whishawも、とてもいい味を出している。これまで、現場に出向いたQっていたっけな? 現代の若者らしいとぼけた芝居振りは非常に良いと思う。それと、今回ボンドが乗り回す車、アストンマーチンDB10について、劇中でQが「ああ、この車は009のために用意したものっす。007、あんたのじゃないっすよ」と釘を刺すシーンがあるのだが、お前散々見せびらかせておいて、そんなこと言ったら絶対勝手にパクられるだろ!! と心の中でツッコミを入れたら、ホントにボンドに勝手に乗って行かれてしまって困るの巻、というしょんぼりしたQの顔は非常に笑わせてもらいました。あと、ヒロインはLea Seydouxちゃんが演じておりますが、ぱっと見では微妙ヅラかなぁと思っていたものの、ストーリーが進むにつれてどんどんかわいく見え始め、最終的には何この人、くっそエロイんですけど、と、ハアハアしながら観ていました。いいね。とてもいいです。ラスボスを演じたChristoph Waltzは、散々書いたように薄っぺらいキャラなので、芝居ぶりは素晴らしいけれど、まあ置いとくとして、悪役陣では、とある人物を演じている役者がホントに憎たらしい小悪党で、演技としては素晴らしいかもしれないけど、とにかく嫌な奴であった。Andrew Scottって役者はご存じですか? あのBBCドラマ『SHERLOCK』で、モリアーティを演じたアイツです。彼のモリアーティばりの嫌な奴さ加減は結構必見ですよ。

 というわけで、全然まとまりはありませんが、結論。
 『007 SPECTRE』は、脚本的にははっきり言って穴だらけで、散々文句を書いてしまったが、Daniel Draigのカッコ良さは本当にどんどん磨きがかかっているし、Lea Seydouxのエロ可愛さは超必見です。なので、わたし的には「アリ」。面白かったです、結局のところ。ただ、もし前3作を見ていない場合は、予習した方がより深く楽しめるのは間違いないですよ。

↓これ、欲しいな……約3000円か…… 安っ!! 本作の予習に最適です。
007/ダニエル・クレイグ ブルーレイコレクション(3枚組) [Blu-ray]
ダニエル・クレイグ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2015-10-07

 わたしがヒーロー映画が大好物であることはもうおなじみであろう。
 Marvelヒーロー、その中でも特にIronmanが好きすぎてたまらないわけであるが、いよいよ来年公開のMarvelヒーロー映画『CAPTAIN AMERICA:CIVIL WAR』の予告編第一弾が公開された。観ましたかこれ。予告からしてヤバイですよ。※2015/12/16追記:日本語字幕正式版も来たけど、下に貼った英語版より50秒近く短くなってるし、なんか字幕のニュアンスもこれでいいのか? と微妙→こちらへどうぞ

  この予告の冒頭は、まさしく『ANT-MAN』のおまけ映像のあそこからスタートする。CAPの親友バッキーことWinter Soldierとの対面シーンだ。まあとにかく見ていただきたい。大変なことになっているので。
 元になっている原作は、メインストーリーと、各ヒーローごとの視点から描かれたものとで構成されているので、実はいっぱいあって、全部チェックするのは非常に大変なのだが、まずはコイツを読んだ方が良かろうと思う。
シビル・ウォー (MARVEL)
マーク・ミラー
ヴィレッジブックス
2011-09-28

 ごく簡単に物語を紹介すると、ヒーローをきちんと国家として認め、かつ、法の管理下に置こうとすることになって、それに賛成するIronmanことトニー・スタークと、そんな政府の意志で戦わされるのは真っ平ごめんだ、オレたちはオレたちが敵と思う奴らと戦うんだ! と主張するCAPことCAPTAIN AMERICA、本名スティーブ・ロジャーズが対立して、戦いになってしまうというものだ。
 ただ、あくまで映画はMCU(Marvel Cinematic Univers)という独自の世界観となるはずなので、ある程度の原作改変は当然ある。だから実際どういう話になるか分からないけれど、とりあえずはこの基本を押さえておくと、この予告の意味がだいたいわかると思う。
 まず冒頭は、CAPとFalconが、Winter Soildierと対面するシーンだ。シーンの連続性がストーリー通りなのか分からないけど、どうやらWinter Soldierは警察的な組織(S.H.I.E.L.Dかな?)に追われているらしい。そりゃそうだよね、CAPの前作『CAPTAIN AMERICA:Winter Soldier』で、記憶を奪われてたとはいえ、さんざん悪いことしてたんだから。 しかし親友であるCAPは、捕まえて突き出すようなことはせず、その包囲網から抜け出す手助けをすると。
 次のシーンでは、 Avengers Tower(?)の一室でCAPとFalcon、そしてBlack Widowが集まる中、『Avengers:Age of Ultron』での事件の報告書が突き付けらて、「世界はそんな寛容じゃないんだよ」と言われてしまう。要するに、お前ら責任とってもらうぞ、というわけだ。ちなみに、ここで報告書を渡す髭のスーツのオジサンは、どうやら『The Incredible HULK』においてヒロインの心配性なお父さんとしておなじみのロス将軍のようですね。役者は名優William Hurtですな。彼は、当然軍人なので国家側。そして、軍人といえば、トニー・スタークの親友たるローディことWar Machineも、USAF(合衆国空軍)に所属する純然たる現役軍人だし、一応、Falconも、退役軍人とはいえ、あの翼は元々アメリカ軍の倉庫から勝手にかっぱらってきたもののはずだ(スタークの発明品ではないと思うけど、どうなんでしょう)。さらに言えば、CAPだって、元軍人で、第2次大戦時のアメリカ軍による「スーパーソルジャー計画」の産物である。なのでCAPやFalconは、もう「戦わされる」のは嫌なんでしょうな。なお、ロス将軍は、まさにその「スーパーソルジャー計画」を現代に復活させようとしていた人で、その実験の失敗作がHULKというわけで、非常に複雑に関係性が絡み合っている。
 で、Black Widowからの電話によると、さっさとWinetr Soldierをとっ捕まえろと、でないCAPも逮捕するぞ、という事態に陥ると。ここで、Ironman登場だ。登場シーンがカッコいい!! そして壮絶な大げんかが始まると言う展開ですね。
 ちなみに↓これはHawkeyeことJeremy Rennerの8/27付けTweetに貼られていたもの。
CIVILWAR
 要するにこういう対立構造になるようだが、今回の予告では、CAPとFalcon、Winter Soildierに加え、HawkeyeとScarlet Witchが集合しているシーンがありますね。↑の画像では、そこにANT-MAN(Hawkeyeの肩にちっこいのが乗っかってます)と、Agent 13ことAgent Carter(前作『CAP:WinterSoldier』で出てきた可愛い子)がCAP軍に参戦するようですね。こちらは「THE HEART(感情)」チームと位置づけられるらしい。わたしとしては、愛するANT-MANがどんな活躍をするのか楽しみだ。できればWaspも出てきていただきたいものである。ちなみに、コミック版だと、初代ANT-MANことピム博士はIronmanチームなんだけど、MCUにおける2代目のスコットは、キャラクター的にCAP軍なんですな。
 そして一方のIronman側は「THE MIND(知性)」チームと言われるようで、War Machine、Black Widowに加えて、とうとうBlackPantherが初めて映像で出てきましたな。なかなかカッコいいので安心した。果たしてどんな野郎として描かれるのかが楽しみです。上の画像にいるVisionはこの予告では登場せずですが、まあ、理性的正義の存在なので、そりゃこっちでしょうな。今回初登場となるBlack Pantherがどんな奴かという基礎知識をごく簡単に書いておくと、コミックではアフリカの「ワカンダ」という架空の国の国王でありまして、うーんまとめるのが難しいな、今回の話でおそらく重要なポイントとしては、「ワカンダ」という国は、CAPの盾の「ヴィブラニウム」という鉱石があるでしょ? あれの産出国なんだな。で、ヴィブラニウムは『Avengers:Age of Ultron』でもUltronが欲しがってた金属で、きっとUltronに片腕を落とされたあの悪党がらみで、Black Pantherも繋がって来るんだと思います。あの悪党もワカンダ出身と言ってましたな。現状、すでにBlackPanther単独映画の製作が発表されていて、2017年に公開される予定です。そういえば、Black Widowは予告の中ではCAPたちと一緒にいるのに、Ironmanサイドなの? と思われるかもしれないけど、彼女は何気にCAPとは話が合わないし、もっとドライな人なので、こっちなんでしょうね。で、今回はどうやらHulkとThorは出番なしと。まあ、Hulkはトニーやピム博士同様に科学者だからいれば知性チームだろうけどMCUでは現在行方不明中だし、Thorはインフィニティ・ストーンの謎を追ってアスガルドに帰省中なので出てこないと。
 問題は、今回初めてMCUに登場することが公式(?)にアナウンスされているSPIDER-MANですな。まだ予告には出てきていないけれど、原作コミックではちょっと面白い扱いになっている。トニー・スタークに説教されて、記者会見場でマスクを脱ぐんだよな。でも、その後いろいろあって結局CAP側に行ってしまうんだけど、その時結構大きな役割を果たすのがPunisherなんだが……PunisherはMCUには出てこないみたいなので、果たしてどうなるのか、楽しみですな。
 しかし、この予告の最後、CAPがおそらくはWinter Soildierについて「オレの友達なんだ」と言い、トニーは「オレも友達だっただろ?」と答えるシーンがあって、そんなIronman をCAP&Winter Soldierのコンビがボコってるのはなんか悲しいですな。 この予告には悪役Villanが出てきていないけど、一応、クロスボーンズとバロン・ジーモが出ることは確定らしいので、コミックのシビル・ウォーと同じ流れになるのかどうか、ちょっとどういう話の展開になるのか分からない。Thorの次回作が「ラグナロク」であることが発表されているが、まさかラグナロクまで出てくるとこはない……よね? まあとにかく、わたしとしては楽しみで仕方ないのである。

 というわけで、結論。
 『CAPTAIN AMERICA:CIVIL WAR』は、日本ではどうやら2016年4月29日。GW直前の公開です!! アメリカより数日速い公開になるようで、まーた日本だけ夏とか遅い公開だったら、確実に台湾あたりに観に行くことになってたよ。良かった良かった。超・楽しみです!!

↓「シビル・ウォー」シリーズはもっといっぱい刊行されてます。全部はチェックしてません。サーセン。
ニューアベンジャーズ:シビル・ウォー (MARVEL)
ブライアン・マイケル・ベンディス
ヴィレッジブックス
2012-10-20


 

 この秋~冬は有川浩先生大忙しである。
 10月に『図書館戦争 The Last Mission』が公開され、 また10/28には『だれもが知ってる小さな国』という新刊が発売になり、そして今回の『レインツリーの国』の映画公開である。また、来年かな、『植物図鑑』もすでに撮影済みで公開を待つばかりというからすごいものだ。というわけで、『レインツリーの国』を男一人で観てきた。
 予告は以前貼り付けたけれどもう一度貼っておこう。

 お話としては、↑の予告を観ていただけば分かると思うが、以前書いた通り、とある青年が、とある本のことがきっかけで、とある女性が運営するWebサイトに行きつき、運営者たる女性と恋に落ちるが、彼女は聴覚障害を背負っていて……というお話である。世に「ベタ甘」と評される有川先生の作品の中では、若干のビター・スウィートであろうか。原作は、聴覚障害のある方々にも非常に好意的に受け入れられているようなので、その点で大変リアルなのだと思うが、健聴者でその苦悩を知らないわたしとしては、観ていて少々痛々しい場面が含まれている。
 聴覚障害を知られたくないヒロイン、そしてなんでそれを先に言ってくれないんだと思う青年。どちらの言い分も、そりゃそうだよなと頷けるものの、どうしてもすれ違う二人。わたしが「痛々しい」と思う事すら、それは同情か、同情ならいらない! とヒロインを怒らせてしまうかもしれない。ヒロインが障害を知られたくないという気持ちも、理解できる。だって、そりゃそうだよ。初めて会う相手、しかもこれ一度きりしか会わないかもしれない相手に、そんな自分の心の傷をさらけ出すことはしないだろうし、女子として、「普通のデート」にあこがれる気持ちも理解できる。まあ、男としては、そりゃ当日はスーパーハイテンションだろうね。やったーー! 会える! どうしよう可愛い子だったら! と思って、のこのこ約束の場所にやってくることは、全男を代表して断言してもいい。浮かれてるにきまってるよ。そして実際に会って、想像をはるかに超えたスーパー美女だったら、もう完全にブッ飛ぶね、いろんなものが。完全に。
 で、青年がヒロインの障害に気付くのは、初めて実際に会って、ちょっとしたデートの最中に、エレベーターの定員オーバーのブザーにヒロインが気づかないシーンだ。わたしとしては、初めて会った女子に、あそこまで 言わなくたっていいじゃんと思うのだが……わたしが主人公の青年だったら、たぶん、もう少し前にヒロインの異常に気付けたと思うし、エレベーターの前であんなひどいことは言わない。と思う。思いたい。もっと静かなところがいい、と言われり、映画は字幕がいいとこだわるあたりで、わたしなら、えっと、それはまたなんで? とズバリ聞いてしまうと思う。まあ、おそらくはそれでも、しれっと何かそれらしい理由を聞かされて流しちゃうかもしれないけれど、それでも、もうちょっと連想が働くのではなかろうか。いや、でもやっぱり無理かなあ。主人公の青年は、劇中に出てくる通り、恋愛偏差値が非常に低いので仕方あるまいと思うが、しかしなんというか、もうちょっと察していただきたいと思いながら観てました。基本的に主人公の青年は真面目でいい奴だけれど、正直、わたしとはまったく違う感性の持ち主なので、残念ながらこの男には感情移入できなかったが、ヒロインは、そのかたくなな心のありようや、次第に心がほどけていく過程もがっちり心に響いた。こんな女子が周りにいたら、まずほっとけないと思う。だいたい、超美人でウルトラ可愛いし。なので、わたしとしては観ながら、青年のある種不器用な言動にいちいちイラつく気持ちもあったが、いつもしょんぼりしているヒロインがやがて笑顔を見せるようになる物語は非常に好感が持てた。最終的には、お熱いこって! 幸せにな、お二人さん! あばよ!! という若干柳沢慎吾めいた気持ちで映画館を出ました。はーーー。リア充めw

 ところで、この聴覚障害というものについては、わたしもまったく詳しくないので、いろいろ調べたいところではあるが、この作品のヒロインは、
 1)後天的である。10年前の事故で外傷を負い、その結果聴覚障害を背負うことになった。
 2)なので(と言っていいのかすらわからないけど)、しゃべることはできる。
 3)可聴音域に問題を抱えていて、高音の周波数帯が聞こえない。そのため、男の声はなんとか聞こえるが、女性の声が極めて聞こえづらい。つーかほぼ聞こえない。結果、会社の意地悪なOLたちにいじめられる。わたしとしてはこのOLどもが一番腹が立った。もちろん、スケベオヤジには心の底から怒りを感じたし、街でぶつかってヒロインを突き飛ばしたクソ野郎には、わたしならあの瞬間ブチ切れて絶対に後ろから蹴り飛ばしてボコってやるけれど、それでも、一番悪質で悪意のカタマリなのは、同僚のいじわるOLだと思う。
 おそらく、現実に同じような症例は多いのだろう。なお、ヒロインは補聴器は装着しているものの、ダメな音域はダメで、なまじ一部聞こえる故に、なかなか理解を求めることは難しいのではなかろうか。それは非常に厄介なことだと想像する。けど、あの会社はダメだ。もっと、優しい会社はいくらでもあると思うな。そもそも、障碍者雇用は会社の義務なので、小さめの会社だとむしろ歓迎してくれると思うな。ヒロイン程度であれば、といったら全国の聴覚障害を持つ方々に失礼かもしれないけれど、彼女は全く普通に仕事できるレベルだと思う。本人もしっかりしているし賢いし。なにもあんなに嫌な奴ばっかりの会社で働く必要はない。
 しかしまあ、これからもいろいろな難しい問題が二人に降りかかるかもしれないけれど、主人公の青年は、心の真っ直ぐな好青年なので、ホント、二人には幸せでいていただきたいと思います。

 最後に、出演者についてちょっとまとめておこう。
 ヒロインを演じるのは西内まりやちゃん。正直良く知らないけれど、ウルトラ可愛いのは間違いないところであろう。元々は「二コラ」のモデルからキャリアをスタートさせて、歌手でもあるんですな。芝居ぶりは、まだまだレベル。まあ経験少ないんだろうし、若いからこれからでしょうな。あ、意外と身長高いな。Wikiによれば170cmですって。
 青年は、Kiss-My-Ft2の玉森祐太くん。こちらも芝居ぶりはまだまだレベル。やっぱり、どうなんだろう、生粋関西人から見たら、若干インチキ関西弁っぽいのか、それとも完璧なのか、その辺は関東人のわたしには良くわからないが、この人はネイティブ関西人ではないんでしょうな、とは感じた。まあこれからも元気に活躍していただきたいものだ。しかし、玉森くんを否定するつもりは全くないけれど、どうせなら関ジャニの誰かを使ってもよかったのでは? ああ、錦戸くんは『県庁』で使っちゃったか……。
 ほか、脇を固める俳優陣では、やはりヒロインの母を演じる麻生祐未さん、青年の母を演じる高畑淳子さんがとてもいい感じなのと、青年と同じ会社の元気な可愛い女子を演じた森カンナちゃんが非常にわたしには魅力的に映った。イケイケでチャラけた娘ではあるけれど、オレならその仮面を外させてみせるさ、なーんて出来もしないことを妄想しながら観てました。森カンナちゃんといえば、わたしとしては仮面ライダー・ディケイドのヒロインとしておなじみではあるが、その後、いろんなドラマに出演して、順調に芝居ぶりは成長していると思う。元々可愛いしね。応援して行きたい所存である。

 というわけで、結論。
 『レインツリーの国』は、アリです。若干のビターテイストが甘さを引き立てていると言って良かろうと思う。だけど……オレならもっとヒロインを早く笑顔にできたね。と、まあ言うだけ詐欺ということで、ひとつよろしくお願いしたい。以上。
 
↓ おとといの記事にも書いたとおり、本作は、元々は『図書館内乱』の中で出てきた作品です。それを本当にまるまる一冊書き下ろすとは、すごいですな。

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 先週はNYに行っていたので、『鮫島』ニュースをサボってすみませんでした。日本に帰国して、真っ先にしたこと、それは週刊少年チャンピオンを買うことでした。しかし……部数減ってるのかな……土曜の昼だったんですが、コンビニ3軒回ってやっとボロボロのが残ってるのを見つけて確保しました。チャンピオンは最高ですね!

 先週もあまりブッ飛んだものはなかったのですが、今週もまあ通常運行です。今週一番なにィーーッ! とわたしが思ったのは、やはり巻頭カラーの『牙刃道』でしょうか。本部のおっさん乱入キターーー!! で今週は終了。その最後の3ページだけで、今週の『刃牙道』は満足ですw 2週前に「ナイスヒップ!!」で変態ぶりを発揮した『錻力のアーチスト』の蓬莱くんは、先週号で見事ホームラン、1点差に迫って今週は蛮堂くんという、まるで拳王・ラオウ様的な剛腕ピッチャーが打席に立つものの、辛くも逃げ切って主人公の高校が勝利、まで話は進みました。あと、わたしが愛する『ニコベん!』は、まあ甘酸っぱくストーリーが進行しており、また新キャラも登場で今後もどうか長く続いていただきたいものです。新キャラといえば、今週の『囚人リク』には、まーたおそろしく悪そうな「大場様」というキャラが登場し、きっとまた大変な展開になるのだと予想されます。なにしろ、いきなり駕籠wに乗って登場、そして右手には2本の葉巻、左手には謎のぬいぐるみを抱え、リーマン七三にスーツ、そして顔の左半分は入れ墨に覆われた恐ろしく怪しい、濃い口のおっさんでした。大変だぞこいつ……きっとw そういえば今週第4話を迎えるまだ連載開始間もない作品で『AIの遺電子』という漫画があるのだが、これはちょっと面白くて今後要観察であろう。絵はまだまだ上達の余地があるが、なかなか面白い物語だ。単行本になったらまたと売り上げようと思います。

 さて。では今週の『鮫島』ニュースです。
 正直、先週・今週とほぼ動きなし、です。【蒼希狼】の快進撃と、その裏で起こっているモンゴルの仲間たちの変化の様子がつづられています。荒っぽい取組ながら勝ち星を積み重ね、とうとう三役・小結昇進を決めた【蒼希狼】、だが、後援会長はそんな彼の取組を認めていない。しょせん彼に品格などは望めない、あんな取組をしてたら いずれ体を壊して力士としては短命に終わるだろう、この部屋を引っ張るのはあくまでお前なんだぞ、と【大山道】に話す後援会長。それを聞いてしまった【蒼希狼】は怒りに震える拳を握りしめる。一方、モンゴルでは、金を巡って仲間内の争いが始まっていたが、大げんかの末、再びみんなの心が一つになった、ように見えるところで今週は終わり。
 あれッ!? モンゴルのみんな、また団結しちゃったよ!? これじゃ、悲劇的な展開にならないな…… このまま、みんなが【蒼希狼】の望む学校設立とかいう展開になったら、【蒼希狼】がダメになった理由がなくなってしまうね。てことは来週以降、また一波乱あるんでしょうか。あの……そろそろ鯉VS大山道の取組に入っていただきたいのですが……大丈夫か? ちょっと長すぎるような気がしてきましたが、やはりここは佐藤先生を信頼して、来週以降の展開を心から楽しみに待ちたい。大丈夫です……よね?

 最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
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 【天雷】東関脇
 【蒼希狼】??? 最高位は小結
 ※右額の傷は、初入幕初日の【桐の里】戦で負ったもの

 というわけで、結論。
 今週も大きな展開はナシ。【蒼希狼】の過去編が続く。が、そろそろ、本当に長すぎるかもしれませんよ、佐藤先生!!
  
  全然まったく関係ないのですが、あまりに足元が寒くてこいつを買った。超・快適! だけど、電気代が心配……。
 

 というわけで、昨日は祝日だったので、火曜日となりましたが毎週恒例の週末映画興行収入データです。
 今週は、ShowGate配給作品がワンツーという初めての事態が発生。『レインツリーの国』が観客動員数では初登場1位だった(※金額ではほんのちょっと、『ガルパン』の方が上だった)模様。
 
  この作品も、原作小説が出たときに読んでいるので、わたしも昨日の夜、観てきた。詳しいことは後日書きますが、お話としては、聴覚障害を持つ女性と、ネットで知り合った青年の恋物語。非常にいいお話です。ちなみにこの話は、『図書館戦争』の中で出てきた劇中小説を、有川先生が独立した作品として丸ごと本当に書いてしまったもので、発売時は、取組みとしても非常に面白いなあと思った作品である。
 さて、ランキングですが。金額順に書きます。動員数順ではなくて。
 1位:『ガールズ&パンツァー』:1.28億。アニメですな。77Scrしかないのにたいしたもんだ。ホント、もうBlu-rayで儲けるようなビジネスモデルはやめて、劇場と配信にすればいいのに……。TVアニメなんて儲からないんだから。ハイクオリティの劇場版の方がよっぽど確実に儲かるのではなかろうか。
 2位:『レインツリーの国』:1.23億。190Scrにしては頑張った。10億は難しいかな? 過去作品で似たような数字は……ああ、ちょうど『県庁おもてなし課』と同じぐらいのようだ。てことは8億ぐらいかな?
 3位:『リトルプリンス 星の王子さまと私』 :1.07億。まあ最終5億超えたらすごいか。
 4位:『劇場版MOZU』:16日間累計で9億弱。ちょっと数字が伸びないような気がするけど15億は大丈夫かな。
 5位:『グラスホッパー』:同じく16日間累計で7億弱。こちらも微妙だが10億はなんとか超えそうですな。よかったよかった。伊坂幸太郎先生の作品の映像化はいままで『ゴールデン・スランバー』の11.7億が最高じゃないかと思うのだが、それを超えて欲しい。待てよ、他にもっと売れたのあったっけ? 確か伊坂先生は『オーデュポン』の文庫あとがきで、映像より面白い小説を書いていきたい的なことを書いていたと思うのだが、そもそも映像にしちゃうといろいろ面白さが減っちゃうような気がしてならない。
 6位:『コードネームUNCLE』9日間累計でまだ3億チョイの模様。10億は厳しそう。
 7位:『エベレスト3D』:16日間累計で6億チョイ。意外と頑張ってるような気がする。
 8位:『劇場霊』:公開週末0.5億ぐらい。特に興味なし。
 9位:『俺物語!』:23日間累計で7億弱。あーあ……どうしてこうなった。
 10位:『ハンガーゲームFINAL:レボリューション』:公開週末0.5億……。ちなみに、NYでは先週の木曜の夜から公開になっていて、すげえ行列が出来ていて盛り上がっていました。びっくりした。わたしも今週中に見るつもり。明らかに、原作小説よりも映像の方が面白い。つーか小説はクソつまらねえ。

 とまあこんな週末だったようです。
 ちょっと、この週末は興行レベルとしては低かったようですな。そして『ギャラクシー街道』は30日累計で11億チョイ。はあ……まさかこんな数字になるとは……。また、『マイ・インターン』は44日(かな?)で16億を超えた模様です。昨今の洋画の興行からすれば、これは相当頑張った数字と言ってよいでしょうな。素晴らしい。

 あれっ!?
 この下に結構いろいろ書いたのに、消えちゃってる!? もーーーー。というわけで、記憶にある限り再現してみると、要するに年末興行について書いたはず。

 今年の年末興行は、常識的に考えて洋画の2大・大作である『007SPECTRE』と『STARWARS』が興行を引っ張るでしょうな。そして、『007』はもう今週金曜日から週末先行公開が始まるので、わたしはたぶん金曜日の夜にもう見ちゃいます。『STARWARS』は、もちろん初回上映の12/18(金)18:30の回を取った。しかしあの座席指定券発売開始もひどいもので、11/18の0時予約開始で、わたしはその時NYにいたので、向こうではAM10時だったけどホテルのWi-fiで何とか頑張って地元劇場で予約できた。けど、肝心の3D版やIMAX版の予約は始まっておらず、おそらくこれからなんだろうけど、よく考えたらそっちを頑張るべきだったのでは? という気がして、通常2D版の予約を頑張った意味はあまりないじゃんというのが現状の結論。まあ、わたしは1回目はとにかく早く観たいという事で割り切った。たぶんまた、成田まで車をぶっ飛ばして、IMAX版を見に行くと思います。
 しかし、この『STARWARS』に関しては、ちょっと配給元の20世紀FOXも、劇場興行側のシネコンも、ちょっと調子に乗ってませんかね。2000円にするだの、前売り券はオンラインムビチケとセブンイレブンしかやりませんだの、3DやIMAXはまだ売りませんだの、いい加減にしてほしい。便乗値上げもいいところだし、まっさきに3DやIMAXを売らないでどうするよ。どうせあんたたちは2回でも観るでしょ、と高をくくってんじゃねえかしら。ま、実際そうだけどさ。そんなことしてたら、2作目以降ファンは離れちゃうよ……。とりあえず、監督のJJエイブラハムズは「分かってる」男なので、素晴らしい作品に仕上がっていることは疑ってませんので、早く観たいです。(※11/26追記:わたしが頭に来ているのはTOHOシネマズのことで、109シネマズなどではIMAX3D版も発売されてます。ただし、メモリアルパンフ購入対象外ですって。なんなんだもう)
 しかし、実はわたしがこの年末に『STARWARS』並かそれ以上に観たい作品がある。以前書いた通り、その作品とは『CREED』である。

 この映画、わたしは間違いなく泣くね。企画的に、物語的に素晴らしいアイディアだよ。これは考えてもみなかった物語で、本当にわたしは嬉しい。でもきっと、日本では売れないだろうな……その点だけが残念だよ……。
 で、一方の邦画ですが、まあちびっこどもは『妖怪ウォッチ』でも観に行ってくれればいいけれど、果たして去年のような興収は望めるのかが注目どころ。今年の夏の『ポケモン』もかなり興収面では数字を落とし、どんどんパワーを失っている中で、果たして『妖怪』が今後20年を背負えるのか、が試されることになる。前作は77億だっけ? まあとにかく物凄い売れたわけですが、果たして今回どのぐらいとなるのか、数字を見守りたい。また、若者向けゆとり恋愛SF作品として、東宝実写系では『orange』が登場する。この作品は、原作漫画4巻までは読んだけれど、進行がのろくて、4巻時点では全然決定的なことは良くわからないままであるので、果たして映画的にどういう結末を持ってくるのかがわたしとしては気になる。けど、ま、観に行くつもりはないです。

 というわけで、結論。
 今週末の興行は、ちょっと数字的には小ぶりのものが多く、若干盛り上がりに欠けるが、その結果、ShowGate配給作品がワンツーを飾るという珍事が発生した。まあいわゆる端境期ですな、時期的に。
 そして年末は、『STARWARS』と『妖怪ウォッチ』がどこまで数字を伸ばすのか、注目して数字を追いたい。

↓ 『orange』は最新5巻が発売になっているけれど……うーん、買う気がなかなか起きない……そのうち買います。

 というわけで、帰国の日である。
 飛行機は9:15発のJFK→NRT直行便なので、6:45にホテルをチェックアウト。毎朝会う、ドアマンのおじさんがタクシーを捕まえてくれようとホテルの前でわたしと二人、タクシーが通るのを待つ。が、5分ぐらい待ったかな、なかなか来なかった。その間、おじさんといろいろと、14時間のフライトだって!? OH, MY! そいつはハードだね、オレには無理だな、いやいや、おじさんも日本来てみなよ、いい所だぜ、とかそんな話をしてたら タクシーがやってきて、手持ちにもう1$札がなかったので5$チップを渡して、じゃあね! とお別れした。
 タクシーは今回はFORDのぼろくてデカいセダンで、行き先をJFKのターミナル1とお願いして一路ぶっ飛ばす。これまた行きと同様に、マンハッタン内はひどい渋滞だったけど、トンネルを抜けるとだいたい70~75mile/hほどでぶっ飛ばし、45分ほどでJFKに到着。なお、タクシーのフロントシートの背中に液晶画面があって、いじってみたらナビ画面も呼び出すことが出来て、今どこを通ってるんだ? というのも見られた。どうやらこれは、どのタクシーにも標準装備っぽい。これは日本にも導入して欲しい機能だ。で、タクシーを見送りながら一服して、これから14時間タバコ吸えないのか、大丈夫かなと思ったのでチェックイン後にもう一服した。なお、JFKの構内には一切喫煙場所はないが、外に出ると灰皿が20mおきぐらいにあるので吸えます。
 チェックインは、よくわからん日本人おやじどもの集団がくっそもたもたしていて、20分ぐらいは待たされたかな。Webチェックインしてるから本当ならさっさと行けるんだけど、プリントアウトしてないのでチェックインカウンターに並んだ次第。自動チェックイン機ぐらい置いておいて欲しいが、見当たらなかった。で、保安所通過。実は、液体チェックで、持参した歯磨きとかは出しておいたのだが、果たしてお土産のコスメはどうなんだ? と若干不安に思いながら並んでいたらまったく大丈夫で、ごくあっさりゲート通過できた。しかし、ベルトを外せ、靴を脱げ、など、日本出国時よりちょっとだけ厳しかったかも。でも、別に不満はないです。それだけ神経質になる理由がありすぎるもの、この国は。
 で、小1時間ほど搭乗口付近でぼんやり待つ。JFKの保安ゲート通過後は、ターミナル1はお土産買うところもないぞ的な情報をWebで見かけたが、現在はまったくそんなことはなく、それなりにいろいろ店は入ってました。食い物も全然心配なし。でもわたしは、飛行機内でいっぱい食わされるだろうから、朝飯は抜きにしておいた。
 そして搭乗。帰りは通路側だったので、トイレも気兼ねなく行けるし足も投げ出せるので、行きより2時間長いけど快適だったかも。しかも、席も、行きは無料でプレミアム・エコノミーにアップグレードしてくれたので、座席自体は全然行きのほうが良かったのだが、快適感としては帰りのほうが楽だったな。隣には、ちょっとデカめのアメリカ人女性だったのだが、まあ、この人はおとなしくずっと本を読んでました。 
 帰りは、飛行機内で映画を観まくってやった。とりあえずタイトルだけ列挙して、内容のレビューはいずれそのうち書くことにしようと思う
 『Inside Out』:邦題「インサイド・ヘッド」。ピクサーアニメ。想像以上にちゃんと面白かった。さすがピクサー。
 『ANT-MAN』:2回目。何度観ても最高。
 『Mamma Mia!』:実はちゃんと観てないので、改めてしっかり見た。これは生ミュージカル観たいね。Amanda Seyfridちゃんがスーパー可愛い。単純な可愛さだけで言えば、オレ的かわいい女子TOP5にランクしているCute Girlである。歌も素晴らしかった。
 『海街diary』:これも公開時は原作漫画を読んでいなかったので見逃していたが、非常に良かった。綾瀬はるかちゃんの幸薄いしっかり者の長女も素晴らしいし、明るく元気で男運のない次女を演じた長澤まさみちゃんも非常に可愛かった。ちょっと不思議ちゃん風な三女の夏帆ちゃんも甘えっこらしい三女を好演していたし、そこにやってくる広瀬すずちゃんも芝居はド下手だけど、雰囲気やたたずまいは悪くない。原作も読んでみたくなった。

 というわけで、行きと違ってリラックスして14時間を過ごし、日本に帰国した。
 帰ってきて思うのは、やっぱ日本はきれいだなとしみじみ思う。空気もNYより断然きれいな感じがする。今回はじめてのUSAで、いろいろなことを知って勉強になったことがいっぱいあるので、オレ的備忘録として列挙しておこう。

 ■NYは物価が高い。
 いやびっくりした。ちょっと飯を食うと余裕で20$以上はする。1000円以下で一人飯を気楽にする場所なんて、ほぼない。いや、あるんだろうけど、観光客には分からん。ボッチ野郎のわたしとしては非常に困る街であった。どうも、たいていの人は路上の屋台とかDeliでテイクアウトする場合が多いようだが、路上の屋台はなんか汚ねえし、これ、いつからずっと並べてんだよみたいな謎肉とかプレッツェルばかりだし、とてもわたし的には食欲をそそるものではなかった。また、みやげ物も、日本ならば、こりゃ800円ぐらいかな、と思って値札を観ると15.99$とか当たり前だし、地下鉄だって均一料金とはいえ、2.75$でしょ? それって330円とかだもんな。高いよやっぱり。そうだ、それと、お金の話だと、50$札以上はいらないね。いちいち偽札チェックされるし、マジかよって顔をされることもあった。今後行くときは20$札以下だけにしようと思った。一番使ったのが20$札という気がする。20$、10$、5$をいっぱい持っていくほうがいいな。コインは積極的に使ったのに、結構残ってしまった。頼むから、コインに何セントなんだか数字を入れてくれ。最初は分からんよアレじゃ。あと、消費税は別に文句はないけれど、税込み表示にしてもらえませんか? レジで一瞬ビビるので。
 ■NYは汚い。
 散々書いたけど、汚いよ、やっぱり。この汚いというのは2つの方向性があって、不衛生だという方向の汚いと、散らかっている・不揃いという方向の汚いの両方で言えると思う。きちっとしてないんだよな。車道と歩道の段差に溜まってる謎の茶褐色液体とか、道のデコボコとか、吸殻とか、とにかく全面的に掃除したくなった。やりなおし! と市長に命じたいところだ。あと、どうも建物がことごとく薄汚い。外壁の掃除をあまりしてないように見受けられる。古い建物は特にそう。マンハッタンは戦火に遭っていないし、地震もないから、古い建物がすごく多いけれど、それならそれで、ちゃんときれいにして大切にしなよ、と思った。
 ■NYはファッションセンスがダサい
 住宅街もオフィス街も行ったけれど、はっきり言ってダッサイ服装が目立つ。ぜんぜんおしゃれじゃない。そもそも、男女共に肥満がすげえ多いので、ちっともかっこよくない・可愛くない。これはちょっとショックだった。あと、どうでもいいけど傘差せよな。最終DAY-04は一時雨交じりだったのだが、基本みんなノーガードでびしょぬれ。みんなフード大好きだね。これは晴れでもそうだけど、なんでパーカーのフードを皆かぶってるわけ? 寒いのか? なんなんだキミたち。
 ■治安について
 少なくとも、わたしが行動した範囲内では、ここはヤバイというところは数箇所程度で、基本全然大丈夫。どこでも別に怖くなかった。だけど、結局のところ、場所というより人間なので、どこだってヤバイ奴はいるだろうから、バカみたいにはしゃいで目立つようなことをせず、警戒レーダーは常にオンで歩くべきでしょうな。これは日本だって同じことです。そういう、地元チンピラより、あの国はテロリストという最悪の相手がいるので、警官・軍人はそこら中で見かける。基本的にどこの建物にも、入り口にコワモテの黒人青年がいますね。彼らは意外と愛想いいから、怖がらなくてぜんぜん大丈夫。Good Morning, Sirとか、出る時もHave a good day, Sirとか言ってくれるよ。
 ■言葉
 意外とわたしレベルの英語でも十分通じる。また、相手の言うことは、だいたい分かる。けれど、あくまでだいたいで、後で、あ、そういう意味だったかと気づくことが多くて、ちゃんと勉強してくりゃ良かったと思うことしきりであった。もちろんだが、日本語はまったく通じません。あと、ヘッドセットで通話しながら歩いている奴がすっげえ多い。大げさじゃなくて。しかも怒鳴り散らしながらなんてのも普通にいて、一瞬、え、オレ? とビビる。電話を手に持ってるわけじゃないので、最初は、何なんだコイツ独り言か? と思ったら、みんな電話してました。変なの。
 ■コンビニ事情
 これもわたし的にはちょっと意外だったのだが、いわゆる、日本的なチェーン展開コンビはほとんどない。たまーに、7-11を見かける程度。もちろん自動販売機の類は一切ない。その代わり同じような役割の、ローカルpharmacyとか路上キオスクはそこら中にあるので、たとえば飲み物に困るようなことは全くない。だけど、物価が前述のように高いので、pharmacyでちょっと飲み物と食べ物を……なんて買い物するとすぐに10$を超える。また、全て半端なセント単位がつくので、面倒くさがってるとどんどんコインが増えてホントに不便。台湾みたいにIC地下鉄カードで買い物で切れば楽なのに。また逆に、路上キオスクでもちっこいATMが付いていて、どこでも現金が下ろせるのも良く分からん。現金嫌がるくせに。圧倒的に遅れてると思う。
 ■単位
 いいかげん、メリケン国も国際標準にしていただきたい。mileとかyardとかftとか、ozとかlbとか、あんたたちだけだぞ使ってんのは。ぱっと見で直感的に分からないからやめて欲しい。いちいち、えーと、と計算しないと正確にわからないのは若干イラッとする。
 ■匂い
 お前らな……シャワーだけでなく、ちゃんと風呂入れ! コロンで匂いごまかすのやめろ。どこへ行ってもコロン臭がきついのは勘弁して欲しい。
 ■HOME LESS
 日本と違って、小奇麗なHOME LESSが多かった。みな、ダンボールにメッセージが書いてあって、I'm Hungry……とか書いてあったけど、日本の生粋の家なき人々とは違って悪臭ぷんぷんな方々は見かけなかった。不思議。なんか皆、小奇麗だったのが印象的であった。
 ■車
 圧倒的にTOYOTA車が多い。わたしの印象では、TOYOTA>>HONDA>NISSAN>SUBARU>MERCEDES・BMW・MAZDA>FORD>HYNDAIみたいな感じ。タクシーも、プリウスとカムリが一番多いと思うな。なにげにSUBARUが多いのは意外だった。AudiやVolkswagenはたまーにしか見かけず。まあ、これは車を必要としないマンハッタンだったから、なんだろうな。
 ■電源コンセント
 まったく日本と同じと思っていい。イマドキのACアダプター類はマルチ電圧対応だから問題なし。コンセントの形も同じでこの点は大変ありがたかった。 
 ■時差ボケ
 どういうわけか、わたしの場合はほぼナシ。その地の夜に眠り、その地の朝に起きる。着いた当日ぐらいかな、夕方に眠くなったのは。帰国してからも全く問題なし。なんでなんだろ?
 ■人々
 はっきり言って、基本的にみな、事務的かつ無関心。言いようによっては、冷たいといっても言いすぎじゃないと思う。そんな中で、親切かつ丁寧で好感が持てたのは、ホテルスタッフ全員と、一部の劇場スタッフと、コスメ店の女子ぐらいかな。特にホテルはとても心地よかったのが、今回一番感じたところである。でも、ホテル代も高かったなー。航空券以上だもんな。1泊400$以上するのはびっくりしたけど、まあ、それだけの対応をしてくれたと思うことにしたい。
 わたしが宿泊したホテルは、Casablanca Hotelという小規模な古いところだったのだが、とても丁寧でした。それに2階にラウンジがあって、24hいつでもコーヒーが飲めて、ちょっとしたデニッシュ的なものも置いてあって非常に重宝した。もちろん煙草はホテル前の路上ですよ。ああ、でも、古いせいか、水周りはイマイチだった。シャワーブースはすごいおしゃれできれいなんだけど、水圧が弱いし、あっちい! つめてえ! となかなか温度調節が難しかった。なお、このホテルにしたのは、どの旅行予約サイトでもやけに評価が高かったからで、実際、居心地は良かったし、TIMES SQUAREから15秒なのに部屋は非常に静かであった。なお、日本人スタッフはいません。
 あと、DAY-01でも書いたけれど、入国審査官の違いが著しい。メリケン人のやる気のなさそうな態度(そしてページなんかお構いなく適当に開いたページに入国スタンプを押すいい加減さ)はホント腹立たしい。帰ってきて、日本の入国審査官の丁寧さは感動したね。「拝見します」「有難うございました」だって。スタンプもきちんと最初の方の、普通ここに押すだろ、というところにまさに押してくれたし。ほんと見習って欲しいわ。

 というわけで、結論。
 やっぱ日本が一番ですな。もちろん、エンタメ産業はアメリカがナンバーワンだし、実際、Broad Way Musicalは本当に素晴らしかった。また、美術館もMET、MoMAは膨大な作品量とハイクオリティで圧倒されました。けれど、街としての魅力は日本のほうが断然上だと思います。
 しかし、これでNYという街の空気感・地理感はだいたい掴めたので、今後もまた、ちょっくらNYでも行ってくるかと旅に出たいと思う。Musicalや美術館だけでも、訪れる価値はあると思う。

↓ これは紙の本で買って持って行った。小さいので便利かな、と思っていたのだが、まあ、小さいなりの情報量ですな。あまり使わなかった。オレ的教訓;海外旅行はやっぱり、ある程度予習したほうがいいね。
ニューヨーク (タビトモ)
ジェイティビィパブリッシング
2015-07-30

 というわけで、NY滞在記その(4)。DAY-03と04にうろついた街並みである。まず、DAY-03は、午後『MISERY』を観て、夜は『Aladdin』を観る予定であるため、基本的に午前中だけなので、とりあえずまだ行っていない、セントラルパークの左側、すなわちアッパー・ウエスト・サイド方面へ行ってみることにした。
  ここは、とりわけ何があるというわけでもないような気がするけれど、ランドマークとしてはLincorn Centerがあるので、それを目指して出発。時間が早くて(ホテルでぼんやりしてても仕方ないのでさっさと出発)、地下鉄では5分で着いてしまうので、早すぎてもどこも空いてないのも困るしな……というわけで、とりあえずまたも歩いてみることにした。Broad Wayをずっと北上するだけなので、これまた迷いようはない。
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  で、Lincorn Centerはこんなところだった。ここは、かの有名なMetropolitan Opera Houseがあるところで、他にも、KEN WATANABEが出演した『The King and I』が上演されているVivian Beaumont Theaterもここにある。今現在は、謙さんは出演していないのだが、もしまだ出演していたら、絶対観に行っていただろうけど、今回はスルー。ははあ、謙さんはここに毎日通ってたわけね、とぼんやり思いながら散策してたら、これまたかの有名な、The Julliard Schoolがあった。
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 へえ、ジュリアード音楽院ってのはここか、と、これまでわたしが観た映画をいくつかぼんやり思い出す。たとえば、『The Solist』(邦題:路上のソリスト)。

 この映画は、ジュリアード出身のチェロ奏者が精神を病んで路上生活者となり、同じく毎日の激務に精神のバランスを崩しかけているLATimesの敏腕記者と出会って、二人が心の絆を結ぶお話で、わたしは結構好きだが、残念ながらまったく売れなかったね。チェロ奏者をJamie Fox、記者をRobert Downey Jr.がとてもいい演技を見せてくれる作品なので、興味のある方はぜひ。ちなみに実話ベースのお話で、舞台はNYではなくてLAだったと思う。 それから、最近では、天下のブサカワ・ガールことChloe Grace Moretzちゃん主演の『if I stay』も、主人公の少女はチェロを勉強していてJulliardを受験し、合格の通知が来たのに車の事故にあってしまって……というベストセラー・ラノベ原作の映画である。

 まあ、この映画はかなりの「ゆとり恋愛ムービー」なので、正直どうでもいいかな。とまあ、どこに行っても映画のことを連想するわたしであるが、Julliardのグッズショップを冷やかしているうちにいつの間にか昼が近くなってきたので、周辺をブラブラしてまたTIMES SQUARE方面へとすごすご戻った。で、その日は『MISERY』と『Aladdin』を観て終了したわけである。

 次の日。DAY-04は、事実上最終日であるので、お土産をいろいろ物色する日にした。ので、既にこれまで行ったところにもまた行ってみたり、グッズを買ったりなどしてこれまた相当歩いたなあ。そういえば、写真撮ってなかったな、と、ホテルから直ぐのNY市立図書館も行ってみた。
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 ここは、DAY-01でも書いた通り、映画『Day after Tomorrow』で主人公たちが避難する場所だけど、この写真を撮影したわたしが立っているあたり、わかりますか? ここは、『SPIDER-MAN』で、主人公ピーターを迎えに来たベンおじさんが撃たれて倒れる場所ですな。あ、Tobey Maguire主演の2002年版の方ですよ。
 そのほかにも、いろいろ行ったのだが、ろくな写真がなくて我ながら困るな……。Broad Wayをずっと南下して、ダウンタウン方面へも行ってみたのだが、写真撮ったのは2箇所しかないんだよな……。
 まず、↓これは、ユニオンスクエアに面して建っているBARNES&NOBLE。本屋ですな。
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 ユニオンスクエアは、屋台的な出店がいっぱいあって、そこをぶらぶら冷やかしただけで1時間以上かかったし、このBARNES&NOBLEの中を立ち読みしたり、クリスマスが近いからなのか、ギフトショップなんかもあって、これまた結構な時間を過ごしたような気がする。この最終日であるDAY-04は、できれば映画を観たいと思っていたのに、全然時間が合わず、結局映画はやめちゃった。
 ↓これは、ユニオンスクエアから程近いところにあった、freshというコスメブランドのお店。
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 ここは店の作りも、外から見える商品展示もおしゃれで可愛い感じだったので、女子用お土産をいくつか購入。店員さんもアメリカ人にしては珍しく可愛くて親切だった。実はDAY-01に、Breckers St.でも見かけたお店で、なかなか感じがよさそうだったし、まだ日本未上陸ブランドらしいので、後でまたBrecker St.まで行って買おうかと思ってたところなので、ここでも見つけてよかった。このあと、ニューヨーク大学の方まで南下して、ぶらぶらしてたら夕方になって日も落ちたところで、地下鉄でホテルに戻った。
 翌日は9時15発の直行便で帰国なので、7時ぐらいにはホテルを出ないといけない。なので、これにてわたしのNY滞在は事実上終了である。帰ってきた今から思うと、あそこも行けばよかった、あーー、ここのすげえ近く通ったのに気が付かなかったーー!! とかいろいろあるけど、基本的にわたしは一度行った場所ならだいたい覚えるので、まあ、これでもう、NYマンハッタンは地図なしでどこでも行けると思う。たぶんね。

 というわけで、結論。
 NYマンハッタンは、地下鉄が非常に便利。路線も比較的単純だし、事前に調べておけば、感覚的に色で分かるので、まず間違えることもない。4日間の滞在で、結局Metro-Cardは20$チャージして残高は1$チョイかな。わたしのように歩かないで、どんどん乗るなら30$チャージしておけば大丈夫じゃないかな。
 そしてマンハッタンの南端からセントラルパークまで11Km。東京で、新宿から秋葉原まで、靖国通りを延々と歩いて7.4Kmほどらしい。なので、地下鉄を使えば、あっという間で大体の目的地に行ける。だけど、意外と狭いというか、東京の大きさとはまったく違うので、大抵のところは、歩いて行けちゃうと思う。StとAve.も大体交差点に標識があるので、地下鉄を出て、さてここは? と思う以外はそれほど迷いようがないと思うよ。

↓ 一応、こいつを電子で持参はしたのだが、ほとんど使わず。正直、いらなかったな。
るるぶニューヨーク (るるぶ情報版海外)
ジェイティビィパブリッシング
2015-07-30

 というわけで、NY滞在記その(3)なんですが、すでに、DAY-02,03の観劇記は書いてしまったので、ちょっと時をさかのぼって、NY滞在2日目のDAY-02の朝から夕方までの行動記録です。夜、『WICKED』を観るという予定はあるものの、それまでは特に決めていない。ので、NYで絶対に行きたいところとしてわたしの中では上位に位置するものから片付けていこうという方針のもと、まずはThe Metropolitan Museumへ行くことにした。
 TIMES SQUAREからだと、ちょっと東に行ってMadison Ave.から地下鉄で北上するのがいいのだと思うが、ここはひとつ、5thAve.をブラブラと歩いていくことにした。まあ、3.5㎞ってとこかな? もうチョイあるか。いずれにせよ40分程度である。なのでまずは50th St.まで北上してから5thAve.まで東に移動すると、Radio City Music Hallの看板が見えてくる。その横には、巨大クリスマスツリーとスケートリンクでおなじみのRockfeller Centerや、その先にはSt. Patrick教会があって、さまざまな映画でもおなじみの街並みにちょっと、ああ、オレ、ここ知ってるわ、という妙な感慨がわく。
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 ↑有名なクリスマスツリーは、まさに今、飾りつけ中。スケートリンクは整備中だった。
 で、5thAve.に出て、北上するとすぐにMuseum of Modern Art、通称MoMAで知られるニューヨーク近代美術館の近くを通るが、帰りに行くことにしてまずはスルー。北上を続けると、程なくしてCentral Parkが見えてきた。このまま5thAve.を北上するだけでThe Metropolitan Museumには行けるけれど、まあ、そりゃCentral Parkの中を歩きますわな。というわけで、公園内に入場。これが思ったより上ったり下りたりのアップダウンが多く、なんかとにかく広かった。入ってすぐのところに動物園があるのだが、特に用はなく、わたしの場合Central Parkというと、Jodie Fosterの『The Brave One』や『Cloverfield』といった映画で出てくる、「橋」ですな。『The Brave One』では、Jodie Fosterと恋人が橋の下の暗がりでチンピラに絡まれてズタズタにされるし、『Cloverfield』では万策尽きた主人公と恋人が最期を遂げるのも橋の下、である。なので、あの橋はどこだろうな……と思いながら歩いていた。けど、橋がいっぱいあって、ちょっと特定できなかった。
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 例えばこんなの↑。
 あるいは↓こんなの。下のこれは、『Cloverfield』っぽいけどどうだろう?
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 で、5thAve.をまっすぐ行けば10分ぐらいで行けるのに、公園内を無駄に遠回りなどして歩いたので、30分ぐらいはかかったかな、やがて右側(東側)に、巨大な建物が見えてきた。ここが今日のオレ的メインのThe Metropolitan Museumですな。
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  ちなみにわたしは公園内を歩いていたので、ここか、と建物が見えてから、表のエントランスまでぐるっと回るのだけで10分以上かかったと思う。なので、素直に5thAve.から行った方が楽ですよ。で、さっそく入場、したいのだが、入場料は大人25$と書いてあるから25$出しているのに、受付女子はペラペラペラと何か言っている。なんなんだお前さっさとしろよ、とイラッとしたのだが、どうも、こんなにいらないわ、と言ってるらしい。は? という顔でいたら、20$は突っ返された。なので5$で入場。あとで調べてみると寄付制なのか、任意らしい。あのさ、世界中から観光客が来るんだから、そういうことは書いとけよな、と後で思った。思いっきりAdult:25$ って書いてあったのに、なんだったんだ一体。ま、ともかく5$で入れたのは素晴らしいので許してやることにして、さっそく入場し、鑑賞開始。
 しかし、これがまた広い!! たぶん、日本の美術館の常識ではまったく比べ物にならない規模で、全体の構造すら頭に入ってこない。今オレ、どこにいるの? と異常に方向感覚の発達したわたしでも、本当に迷う。完全に迷路になっており、私のお目当ての作品は一体どこになるのか分からない。もちろん、入場時にMAPをもらったのだが、ROOMナンバーだけのMAPなので、どこに何があるのかさっぱり分からないのがホントにまいった。
 なので、とりあえずは、絵画のある部屋を片っ端から捜索するしかねえ、という方法で歩き回った。すると、いよいよ出て来ましたよ、すごいのが。しかも、これはもう海外では常識なのかもしれないけど日本では非常識なことに、撮影OKなんですな、みんなバシャバシャ写真撮ってるし! そして、柵とかガラスケースとかもなくて、基本的に、手に触れられるぐらい接近できる。ので、わたしも遠慮なく撮影させてもらった。
 とにかくいっぱい撮ったので、わたしがグッときたものだけ紹介しよう。
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 ↑これはちょっと読めないか。こういうふうに、部屋が四方でつながっていて、迷路のようになっている。こうした塊が、各フロアで4つぐらいあるのかな。わたしが一番好きなゴッホは、一番奥のROOM823と826にたぶん10点以上あった。
 ↓これがゴッホ。
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 ↓これはルノアール。ルノアールも10点ぐらいある。
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 ↓これはピカソだね。
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 ↓これは、わたしが好きなターナー。ターナーも5~7点ぐらいはあったかも。
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 ↓そしてこれはクリムト。今回この絵が一番気に入った。クリムトといえば、もっと退廃的というか妖艶な女性画が有名だけれど、こんなポップでキュートな作品もあったんだね。現代っぽくて可愛くない?
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 とまあ、とにかくもう、メジャークラスがゴロゴロ展示されており、もうわたしは近年まれに見るハイテンションで、嬉しくてたまらなかった。なので、どのくらいだろう、4時間ぐらいは観てたかもしれないな。グッズショップも入れればその後も1時間ぐらいいたので、疲れちゃったよ。他にも、わたしが余りにすごくて写真を撮るのを忘れたほど我を失って見入ってしまった部屋が二つあって、ひとつは、フェルメールの部屋。なんとフェルメールの作品が5点だったかな、まとめて展示してあった(1点は貸し出し中で不在。残念)。すげえなあホントに。そしてもう一つは、レンブラントルームだね。あの、レンブラントといえば誰もが思い出す、黒バックとの強烈な対照をもって描かれている人物画の数々が、四方の壁360度一面にズラーっと展示されている部屋があって、もう部屋のどこから観ても、全部の人物と目が合うという恐ろしいw 部屋があった。くそーーー写真撮り忘れたよ……。
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 ↑で、国旗は現在、半旗で掲げられている。
 もう、今日はこれで終わりでいいよと思うぐらいお腹いっぱいで、とても満足でした。なので、夜の『WICKED』まではもう何もしなくていいやと思うほどだったので、さっさと地下鉄でTIMES SQUAREに戻ろうと思ったが、そうだ、MoMAも近いんだから、やっぱ歩いて戻ろうと、今度は5thAve.を南下することにして、来るときに通りかかったMoMAに立ち寄った。MoMAは、その名の通り、Modern Art,すなわち近代美術専門なので、基本的には20世紀以降がメインとなる。なので、当然、わたしの大好きなマグリットもあるだろうな、と思って入場。ここは普通に25$入場料を取られた。そしてやっぱりMoMAも、非常に複雑な内部構造で、METほどでないにせよ、膨大な点数の美術作品が展示されている。わたしが訪れたときは、企画展でピカソの彫刻展をやっていたけど、まずは常設でマグリットはないかなーと順番に観ていると、あったよ、ありました。マグリットは、ダリなどのシュールレアリスムの作家と一緒に展示されていて、3点だったかな、ありました。
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 ↑典型的なマグリット作品だね。これは初めて見た。いや本当に素晴らしい。もちろん、MoMAにも、ゴッホ、セザンヌ、モネなどはあり、特にMoMAの「モネルーム」はすごくて、壁一面を使った横長の巨大な作品が2点あったり、とにかく充実していた。
 この後は、街中の有名な「LOVE」(←新宿にもあるアレ)とか「HOPE」のオブジェを探してみたり、「プラザホテル」の前を通ってみたりと、まあ無駄にうろうろしていたらあっという間に夕方になり、やっべえ!! 『WICKED』始まっちまう!! とあわててホテルに戻って、シャワーを浴びて一息ついて、劇場へ向かったのでありました。

 というわけで、結論。
 以前、東京の『モネ展』のときに書いた通り、わたしは絵画ではゴッホ・ターナー・マグリットが三大好きな作家であるが、NYではそれをいつでも観ることができるのであった。すげえ。
 なお、モネやルノアール、コローやピサロ、セザンヌ、ゴーギャンなども、それぞれ10点以上はMETにもMoMAにも展示されているので、美術好きは一度はNYに行ってみるといいと思います。特に、セザンヌとモネは超充実してます。

↓やっぱね、事前に予習しておくべきだったね。↓これはMETでも売ってました。
メトロポリタン美術館ガイド 日本語版
エリクセン・トランスレーションズ・インク
メトロポリタン美術館
2013-03

 というわけで、NY滞在のDAY-03の夜に観たのが、『Aladdin』である。
 昼間に『MISERY』を観て、相当テンションが上がっている中、次は、もっとハイテンションの明るく楽しいミュージカル『Aladdin』である。この作品は、去年のTONY賞の授賞式をWOWOWで見て以来、あの主演男優賞(?)を獲得したジーニー役の太っちょのおっさんことJAMES MONROE IGLEHARTさんのパフォーマンスが非常に素晴らしくて、あー、これはすごい。観たいなーと思っていた矢先に、劇団四季から日本語版上演の発表がなされ、マジか!! と興奮した思い出のある作品である。そして劇団四季の公演は今年の5月から始まったのだが、チケット発売開始が3月だったかな、あっという間に今年いっぱいの公演チケット20万枚が完売してしまったそうで、劇団四季の新記録を更新したのだそうだ。わたしは、運よく5月のチケットをゲットすることができて、すでに鑑賞済みである。やっぱり、この作品は、ジーニーのハイテンションぶりがすべてを左右すると言っても過言ではなかろうと思う。まあ、とにかく歌って踊って大騒ぎ、それがまた非常に陽気で楽しいんだな。音楽も超ノリノリで素晴らしく、観ていない人は、絶対に観に行った方がいいですよ。ホントにこれは超おすすめです。

 ↑こちらが劇団四季Ver. ↓こちらがBroadway Ver。

 で。今回NYに行くことになって、真っ先に思ったのは、『Aladdin』が観たい! というものだったので、『WICKED』同様に日本でHISのWebサイトでチケットを手配した。で、あてがわれた席が6列目とまたかなり前だった。けど、またしても右の端っこ付近で、やっぱりどうしてもセットが邪魔で、一応許せる範囲ではあるけど、舞台奥が見えにくいという微妙席であった。なお、客層は昨日の『WICKED』よりも断然ファミリー率が高く、また、日本語で話している日本人客もちらほらと見かけた。
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 なお、お話は基本的にDisneyアニメのまま、ではある(11/23追記:今ちょうどWOWOWでアニメをやっていて改めて見たところ、ごめん、結構違うな、ストーリーも。ミュージカルのほうが明るく陽気だね)。ただ、アニメだと動物のキャラが、ミュージカルでは人間に置き換わっていたりする。わたしが劇団四季版を見て、とにかく大爆笑したのが、悪党のジャファーとその手下のイアーゴのコンビなのだが、イアーゴはアニメではオウムだったので、そういう風にちょっとだけ変わってはいる。
 あと、とにかくすごいのが、「魔法のじゅうたん」で、これ、全く仕掛けが分からない。吊ってるワイヤーは全く見えないし、下から支えてるわけでもない、しかもぐるぐるくねくね、相当自由に空を飛ぶ。実は、劇団四季版を観たときに、なんだアレどうなってんだ!? と度肝を抜かれたので、NYでもう一度、とにかく超・ガン見して見極めてくれるわ!! と思って、実際ずっと見ていたのだけど、やっぱり全然わからなかった。なんなんだ?? どうなってるんでしょう、あれは。今回は端っこ席だから、むしろじゅうたんに注目しやすいかも、と思って、実際すごく近かったにもかかわらず、全くわからない。こいつはマジでMagic Carpetだぜ、とホントにすごいと思った。
 
 まあ、どうしても劇団四季版とBroad Wayどっちが素晴らしかった? と聞かれると思うのだが、そりゃもちろん我々日本人は、劇団四季版を観た方がいいと思う。言葉が分からないと意味ないでしょ。で、今回BroadWayで体験して、やっぱり、だいたいは分かる、けど、とにかくジーニーを筆頭にスーパーマシンガントークでしゃべり倒す、歌いまくる、ので、ギャグなんかはさっぱりわからなかった。
 だけど、さすがオレの認めたジャファー&イアーゴだね。あいつら、何言ってるかわからなくても、その芝居ぶりだけでもとにかく笑える。イアーゴは、劇団四季版ではちょっと背の低い、サルっぽい役者さんだったけど、BroadWayでは太ったおっさんだった、ので、ちょっとイメージが違っていて、アレッ?と思ったのだが、中身は全く一緒で本当におかしな奴で笑わせてくれました。イアーゴはもう出てくるだけで笑える。最高です。で、親分のジャファーに関しては、これはわたしは日本で観た劇団四季版のジャファーの方がわたし好みであった。だって、美声の持ち主というキャラであるわけだけど、日本の役者さんの方が圧倒的に美声だと思った。なんという役者さんだったか、今、手元にデータがないんだよな……。帰ったらまた調べときます。
 そして、ジーニーである。JAMES MONROE IGLEHARTさんはこの役でまさにTONY賞を受賞したわけだけど、やっぱりそのパフォーマンスは圧倒的で、もう素晴らしいの一言に尽きる。TONY WINNERは伊達じゃなかった。そして、劇団四季版でのジーニーももちろん素晴らしかったけど、今回本場を見て、改めて、非常に丁寧にかつ完璧に、JAMES MONROE IGLEHARTさんのジーニーぶりを研究したんだな、ということが良くわかった。わたしは劇団四季版ジーニーにも、もちろん大満足です。
 あと、本来の主人公であるアラジンとジャスミン姫ですが、ま、この二人はいいよね省略で。もちろん、素晴らしいですよ。二人が「魔法のじゅうたん」に乗って「A Whole New World」を歌ってくれるのも、とても良かった。でも、一言だけいらないことを言わせてもらうと、やっぱり私は日本人女性の方が好きですな。ジャスミン姫の衣装は、結構セクシー系で、四季版でも今回でも、ええ、堪能しました、はい。あのですね、わたしがとりわけスケベだから、ではなくてですね、男なら確実に視線がそこに行くのは、もう生物的に、自動的にそういう仕組みになってるので許してください。
 そうだ、昨日『WICKED』で書き忘れたのだけれど、『WICKED』も『Aladdin』も、生オケの生演奏だった。劇団四季は、基本生オケじゃないよね? あれ? わたしの勘違いかな?

 というわけで、結論。
 『Aladdin』も、やはり素晴らしかった。そして、本場を見てあらためて、劇団四季版もすげえな、と思った。負けてないと思うよ。もう一度観に行きたいけれど、次はいつぐらいのチケットが取れるもんなんじゃろか……。

↓ 一応、予習しておくと、より楽しめるかも。でも、圧倒的にミュージカルの方が楽しいと断言できる。

  

 というわけで、NY滞在のDAY-01に、TIMES SQUARE周辺をうろついていて、うおお!? マジか!! と一番驚いた出来事は、2日前に書いた通り、実はこれを見かけたときである。
 ↓これね。
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 わたしの大好きなStephen Kingの『MISERY』が、なんとあのBruce Willis主演で舞台化されていたのである。いや、実際のところ、そういう情報は得ていたのだけれど、まさかホテルから歩いて3分のところにある劇場でやっているとは思わなかった。なので、どうしよう、これは観るべきですよね? と一晩悩んで、DAY-02 に劇場に行き、チケットは買えるのかを聞いてみたところ、DAY-03の昼の回を希望してみたら、「HAHAHA!! 水曜日の昼の回、一人かい? OK、調べてみるよ……おっと、1枚でいいならVery Good Seatがあるよ!! ラッキーだね、Sir !!」なんてことをまくしたてられ、よっしゃ、じゃそいつをもらおうか!! と思わず日本語で言ってしまってから、英語で言い直して買ってみた。
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 席は、E列というから、5列目かなと思っていたけど、実際は、最前列と2列目がAA、BBという列があって、7列目であった。そしてど真ん中の位置である。これは確かにいい席だ、素晴らしい。と劇場に入って初めて分かった。なお、このBROADHURST THEATREは、キャパシティ的にはたぶん1000人は入らないぐらいの中小規模劇場で、2階席は解放していなかったようだ。ま、日本の感覚だと十分にデカいけれど、横に広くて、列数は少ない印象で、非常に芝居向きの劇場だと思う。外観は↓こんな感じ。
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 ちなみに、この劇場の向かい側、すなわちこの写真を撮っているわたしがいる側を30mほど西へ進むと、今年のアカデミー作品賞受賞作でおなじみの『Birdman』で出てくるSt.JAMES Theatreがある。つまり、Michael Keatonがパンイチで歩くあのシーンは、まさに今わたしが立っているあたりだ。で、開場の15分前ぐらいに劇場前に行ったら、意外と行列ができていて驚いた。が、もちろん全席指定なので慌てる必要はなし。ぼんやり撮影などしていたらすぐに開場になって、入場できた。セットは非常にコンパクト。劇場が横に広いとさっき書いたけれど、ステージ自体はそれほど大きくなくて、極端に言うと半円形のような感じになっているわけです。
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 芝居が始まるまで、↑この、アニー・ウィルクスの家の外観がステージにはセットされている。で、場面ごとに、ぐるーっと舞台が回転して、寝室になったり玄関先になったり、キッチンになったりするわけです。簡素な割にはすごくよく考えて作られていました。Kingの『MISERY』を読んだ、映画を観た、という人なら、↓この写真で結構ピンとくるのでは? ポール監禁部屋ですな。これは終演後、みんな撮影してたのでわたしも撮ってみた。
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 ところで、『MISERY』について、一応、ごく簡単にどんなお話か説明しておくと、主人公ポール・シェルダンは人気作家である。人気シリーズ「ミザリー」の完結編が発売になる間近の彼は、すでに新しい別の作品を書き終わり、その原稿を持って、雪の降りしきる中、山道を車でかっ飛ばしていた。が、途中で案の定大事故を起こし、崖下に転落、雪の中に消えてしまう……そして、そんな彼を救ったのが、ポール・シェルダンの世界一の大ファンを名乗る元看護婦の中年女性だった。名をアニー・ウィルクスという彼女は、自宅でポールを介護するのだが、ポールとしてはさっさと病院なりエージェントに連絡してほしいのに、「いやー雪で電話線が切れてるのよねー」みたいなことしか言わない。なんなんだこの女? と思いながらも、そこらじゅうが骨折しているポールは身動きが取れない。そしてその後、「ミザリー」シリーズ完結編が発売になり、発売日に買いに行ったアニーは、さっそく読んで、完結編では主人公ミザリーが死ぬことを知ると、態度が激変する。「よくもわたしのミザリーを殺したわね!! あたしのために、「ミザリー復活」の新作を書きなさい!!!」とイカレた要求をしだすのであった……という、ひじょーーにおっかないお話です。
 基本的に、登場人物は、ポールと、アニーと、保安官ぐらいしか出てこない。そして密室が舞台となるわけで、良く考えたらこれほど演劇に適した小説はないんじゃね? と思うほど、舞台演劇にとって都合のよい物語で、実際、非常に舞台は楽しめました。
 で、わたしがこの芝居で、ちょっと驚いた点や、なるほど、と思ったことがいくつかあったので、以下まとめておこう。正直、非常によく考えられて作られた芝居だったと思うな。
 1)物語の始まり
 ファーストシーンは、うす暗闇の中で、ベッドに横たわる男と、それをかいがいしくいたわる女性である。つまり、もう事故後のアニーの家で、ポールが意識を取り戻すところから芝居は始まる。これはナイスアイディアですね。本当は、ポールが新作を書き終わるところから始まるんだけど、その辺は一切カット。これはアリですな。なお、上演時間は1時間45分の休憩なし。非常に集中した緊張感あふれる芝居でした。
 2)小道具類
 舞台上で火は使うし、ワインは飲むし、火薬も使うしでちょっと驚いた。少なくともわたしは、演劇の舞台上で火を使うのは初めて観たような気がする。『MISERY』を知ってる人なら、火を使うシーンと言ったらピンとくるのでは? ヒントは「原稿」。そう、あのシーンはホントに燃やしちゃって、Bruce Willisが、アチチッ! という顔でちょっと笑っちゃった。火薬は、銃です。銃を使うシーンは……ヒントは「保安官、うしろうしろー」ですな。あのシーンも、いきなりズドンと来て、メリケン客たちは一斉にびくっとしてました。わたしの隣に座ってたおばちゃんはギャッ!! と悲鳴上げました。
 3)マイクはナシ。生声での芝居
 明らかに、マイクはナシだった、と思う。明確に役者の方向から声は聞こえたし、マイクらしきものも見当たらず。全部で20列だったので、マジで生声だったと思うな。
 4)生Bruce Willis
 やっぱカッコイイね、このハゲオヤジ。わたしにとっては永遠のマクレーン刑事なわけだけど、このハゲは声がいい。渋い、いい声だと思う。で、やっぱり顔の表情がすごい豊かな役者だね。今回の芝居では、基本的に寝てるか車いすなんだけど、非常に素晴らしい演技だったと思う。が、それはやっぱり声と顔の表情からくるもんなんじゃなかろうか。
 5)映画版『MISERY』でおなじみの、誰もが「やめてーー!」と思うあのシーン。
 と言えば、わたしがどのシーンのことを言ってるかわかりますよね? ヒントは「ハンマーを振りかぶって…オラァッ!!」。わかりますよね、あの痛そうなシーンです。あれも、今回の舞台では登場する。いきなり、ボキーンとやったので、思わずわたしも、うわっ!? やった、やりおった!! と声を上げてしまった。もちろん、観客騒然。OH!! だの、MY GOD!! だの大変な騒ぎでした。いつの間にか、本人の生足だと思ってたのが、作り物に変わってたわけで、全然気が付かなかった。さすがハリウッドの国ですな。すごいびっくりしたわ。
 とまあこんな感じかな。
 あと、昨日も書きましたが、とにかくメリケン観客はリアクションが騒がしい。とにかくよく笑う。そこ笑うとこじゃねえべ? というようなところでも笑う。なんなんだもう、変な人たち!! 

 というわけで、結論。
 ブロードウェー舞台版『MISERY』は1時間45分と短い芝居でしたが、わたしは非常に楽しめた。これは観に行って良かったと思う。アニーを演じた女優は、わたしは知らない人だったけど、なかなかいい感じに狂っていて良かったと思います。しかし、ほんとおっかねえ話ですな。もう一度、小説を読みたくなりました。

 ↓ KINGの密室もの(?)でわたし的に『MISERY』並みにやばいと思うのはこちら。SMプレイ中の、手錠で両手をガッチリとベッドにつながれている女子が主人公。パートナーに、ついイラッとして、このボケが死ね! と蹴っ飛ばしたらホントに死んでしまい、ふーせいせいしたわこのクソが!! と一息ついてふと思う。どうやって帰ればいいのわたし……? その状況から、主人公たった一人の悪夢のような脱出作戦が始まる……という恐ろしいお話です。そんな話、良く思いつくよな……マジ天才ですわ。
ジェラルドのゲーム (文春文庫)
スティーヴン キング
文藝春秋
2002-09

 というわけで、NY_DAY-02の行動を書く前に、今のわたしの感動というかハイテンションを逃さないために、先に、DAY-02 に観たミュージカルを書いてしまおう。今回の旅において、わたしの本場NY Broad Wayでの初観劇となったのは、『WICKED』である。
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 チケットは、日本のHISのWebサイトで予約して、プリントアウトした紙を当日劇場に持って行って、チケットを発券してもらう、という仕組みを利用した。結果、F列という事でかなり舞台に近くて良かったのだが、ちょっと左の端っこの方だったので、舞台の奥は装置が邪魔で見えないというかなり微妙なところだった。それより非常に腹立たしいのは、どうもBroad Wayのチケットは席によって値段がかなりばらつきがあるようで、わたしのあてがわれた席は端っこという事で97ドルの席だったようだ。確か、HISのサイトで108ドル取られたのに。なんだよガッデム。まあ、いいけどさ……。ちなみに、TIMES SQUAREの有名なチケット屋tktsはすげえ行列でした。何を求めて並んでるか知らないけど。ま、安心料として10ドルは許してやってもいいか……。
 そして劇場はTHE GERSHWIN THEATREというところで、ホテルから歩いて10分弱かな、やけにそこらじゅうが工事中で、つかつか歩けない状況なのだが、まあそれでも10分ほどなので余裕であった。ちなみに、最初に書いてしまうけど、帰りは22時近くであったが、TIMES SQUAREはまあ人出が多く、まったくもって怖いところではなかった。まあ、警官だらけだし軍人もいるし、そういう意味ではとりあえず大丈夫な街であろう。
 で。『WICKED』である。
 
 上記の動画は、劇団四季Verの公式予告だが、実はわたしは、観たい観たい観たい! とずっと思っていたのに機会をとらえられず、劇団四季Verの『WICKED』を見逃してしまった愚か者だ。さんざん、A嬢には絶対観ろと言われていたのに、だいぶ前に東京公演は終わってしまって大変残念に思っていた。そのリベンジを本場Broad Wayで果たそうというわけである。
 まあ、もう完全にスーパーメジャータイトルなので、もはや説明はいらないだろう。この作品は、2003年初演でもう10年以上ロングランを続けている人気タイトルで、初演時のオリジナルキャストは、主人公のELPHABAを、氷の女王エルサですっかりおなじみとなったIdina Menzel嬢が演じていたことでも有名であろう。今回わたしが観たキャストは、こちらの通りのようだが、やっぱりものすごく上手でぐいぐい作品に引き込まれてしまった。これはやっぱりすごい。今回のELPHABAを演じたRachel Tuckerさんは非常に良かったです。どうやらLONDON公演で最も長くELPHABAを演じた方らしく、まさに今年の9月だか10月からBroad Wayにやってきた歌姫様らしい。圧倒的に素晴らしかった。ちなみに、ちょっと検索してみたところ、どうやらこのRachel Tuckerさんは来年1月に「ニューイヤー・ミュージカル・コンサート2016」というもののメンバーとして来日するみたいですな。既にもう、ミュージカルファンはチェック済みかもしれないね。
 ところで、わたしの英語力でストーリーを理解できたかというと、まあ、だいたい、というぐらいであった。ちゃんとストーリーを予習していったので、特に困ることはなかったつもりなのだが……しかし、やっぱりどうしてもわからんのは、なんでGLINDAとELPHABAは仲良くなれたのか、実際理解に苦しむ。いやだって、GLINDAがすさまじく嫌な女子なんですけど……。とてもじゃないけど、仲良くなる理由が分からん。散々いじめておいて、ちょっとやりすぎたかしら、じゃ、あたしも一緒に踊るわ、のあそこから仲良くなっていくわけだよね? うーん……くそう、やっぱり私の英語力ではダメだったと結論付けるべきか。くそう。
 とにかく、アメリケン人観客どもはホントにリアクションが騒々しくて、しかも、わたしが想像していたよりもGLINDAはコミカルに演じていて、メリケン客はもうゲラゲラ大爆笑。しかも、明るいジョークじゃなくて、ほとんど全部、毒のあるブラックジョークなんだよな。それでドッカンドッカン笑いを取ってて、えーっと、ここ笑うとこ? と、やや唖然とした部分もあった。
 なお、明日書くつもりのDAY-03 に観た(まさに今観て帰ってきたばかりのところなんですけどね)、『Aladdin』もすごかったよ。わたしは劇団四季Verの『アラジン』は既に観ているけれど、とにかくジーニーがすごい。わたしが観たキャストは、去年のTONY賞ウィナーのあの太っちょのおっさんだったので本当に最高でした。もちろん、我々日本人は劇団四季Verのジーニーの方が、言葉が分かる分楽しめるかも。劇団四季の『Aladdin』も本当に素晴らしく、観ていない人は今すぐ予約した方がいいと思う。あと、Bruce Willis主演の『MISERY』も、ものすごかった。こちらも、今の絶対笑うとこじゃないだろ!! というところで観客大爆笑で、こっちはシリアス・サスペンスなので、笑いが起きるのがちょっと変な感じはしたかな。だって、Bruce Willisが、「FUCK'N BITCH!!! DAMM YOU!!」って怒ってるのに、もうみんな大爆笑なんだもの。みんな、Dirty Wordがお好きなのねw  『Aladdin』と『MISERY』について詳しくは明日以降書きます。
 で、話を『WICKED』に戻すと、歌の方も、有名な歌はだいたい予習しておいたので、比較的大丈夫だったが、やっぱり1幕ラストのDefying Gravityは圧巻で、鳥肌ものであった。すごい。これはすごい、と観ながらずーと思ってました。A嬢もこの1幕ラストで大いに感動したとのことであるが、まったくもって同意したい。いやー本当に素晴らしかった。もう、本当に、すごい、素晴らしかった、としか書けないので、以下、写真を並べてお茶を濁して終了します。
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 ↑劇場前。客層は比較的高め。基本的に観光客なんでしょうな。
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 ↑開演前の舞台の緞帳(?)。席を案内してくれたおばちゃんに、写真撮っていい? って聞いたら。NO,But, YES(ニッコリ)だってさ。
 ↓劇場のトイレの洗面台はdyson製だった。珍しいので撮ってみただけ。
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 というわけで、結論。
 『WICKED』は、やはり素晴らしかった。我々日本人は、劇団四季が再演してくれる日を待つしかあるまいが、再演の暁には、今度こそ必ず観に行くことを自分に誓おう。絶対だ!!
 あ、そうだ。自分用備忘録:劇場パンフ25$だった。プチ高いのう。
 ※12/09追記:劇団四季の『Wicked』は、2016年5月から札幌公演が決定しています。ので、来年は北海道旅行確定ですな。楽しみです!!

↓ もはや両方買うしかねえかな……
ウィキッド オリジナル・ブロードウェイ・キャスト
オリジナル・ブロードウェイ・キャスト
ユニバーサル ミュージック クラシック
2007-03-07

ミュージカル「ウィキッド」劇団四季版
劇団四季
UNIVERSAL CLASSICS(P)(M)
2008-07-23

 というわけで、前回からの続きです。
 ホテルに荷物を預け、身軽になったところでTIMES SQUAREをぶらつき、そのままちょっと南下してPenn Stationまで来たところで、地下鉄に乗った。向かうは、マンハッタンの一番南端のSouth Ferry駅。名前の通り南のフェリー乗り場、という事で、まずアメリカに来たら自由の女神に挨拶しとくか、と、特に意味なく思ったからである。まずはMertoCardを自販機で買って、20ドルチャージして、いざ出発である。
 初めてのNYの地下鉄は、いったいどんなもんじゃろう、と思っていたが、まったくもって普通で、単に汚くてぼろいたけのものだった。治安的に、ヤバそうな奴らは全然見かけないので、その点でも全くもって普通なのは大変安心した。が……なんというか、NYはとにかく汚い。うまく言えないんだけど、何事も大切に扱っていないという感じかな? 映画なんかだと、ボロボロの車にみんな乗ってるじゃないですか。傷だらけ、汚れ放題、みたいな。これは全く現実もそうで、タクシーも薄汚いし、また派手にぶつけたなーという状態の車を若い女の子が運転してたりするのを実際に見かける。あれって、つまりモノに愛着を持たないというか、大切に扱わないことの表れではないかと思うのだが、このNYの人間というのは、この街すらも大切に扱う気がないんじゃなかろうかとさえ思う。道の舗装なんかはボコボコだし、そこらじゅう掘り返して工事してるし、とにかくきちっとしてないというべきかな、不均一というか、とにかくテキトーというか、この街はまったくもって好きになれそうもない。という印象がどんどん深まって来ている。まだ、NY着2時間ぐらいなのに。なんつーか、雑なんだよね。いろいろと。
 あと、非常に驚いたのだが、みんなまったく信号を無視している点は異常だと思った。一方通行が多いから、片側だけ気にしてれば大丈夫、という事情も影響していると思うな。まったく信号は見てないね。そもそも、歩行者用の信号も、「手」と「歩行者」の「絵」で、昔映画で見たような「DON'T WALK」なんて表示は一切ない。色も手がオレンジ、歩行者が白、で、赤ではまったくない。これはひょっとすると、歩行者は気を付ければいつでもわたっていいぞ的な信号なのかもな。でも、どうなんだそれって。
 あともうひとつ、アメリカではタバコ吸えない? そんな心配を抱いている人にお知らせです。大丈夫。みんな歩きタバコで吸ってます。ただ、やっぱり数は減っているんだと思う。そんなにそこらじゅうではないにせよ、道端で余裕で吸えます。で、これもわたし的にはいい加減にしてほしいんだけど、余裕でポイ捨てですな。灰皿はなかなかめったに出会わない。なので、みんなポイ捨ての街ですここは。灰皿ぐらい置けばいいものを……それのメンテが面倒なんだろうな。灰皿はホントに汚れるし、ゴミみたいな奴がきちんと消さないで捨てれば燃え出すしね。わたしが観かけたNY街頭の灰皿は、すげえ実用に向かない棒状のシャレオツなのを、何か所かオフィスビル前で見かけただけかな。
 
 さて。地下鉄で15分ぐらいかな、マンハッタンの一番南端に到着した。まずは、自由の女神を拝みに行こうじゃないの。そんなつもりで歩いていると、若干お台場めいた、波止場風の公園が見つかる。これがBattery Parkってやつですな。ホントに地下鉄の出口を出てすぐなので迷いようはない。で、地下鉄の出口付近は客引きの兄ちゃんたちがたむろしてるので、軽く無視して公園へ行くと、そこはもう海でした。でも、非常に謎なのだが、全く磯の香りがしない。ここは正確に言うとハドソンリバーの河口なのかな? いやいや、海だよな間違いなく。なんで磯の香りが全然しないのか、わたしの鼻が詰まってたんじゃねえか疑惑はあるけれど、良くわからんです。で、キョロキョロと周りを見渡してみると、おお、あれがフェリーか、いっちょ乗ってみますか。と近づいてみると、これがまた団体さんやら何やらでかなり列が長い。ので、一瞬でま、いいや別にと乗らないことにした。で、肝心の自由の女神は……と海を見渡すと、なんだ、真正面にいたわ。と、何というか特に感動はナシ。ただ、やっぱりBatteryParkからは遠いね、小さくしか見えない。なので、やはり自由の女神を堪能したい方はフェリーに乗るしかなさそうだ。まあ、わたしは別にどうでもいいやという気になったので、しばらくぼんやりして、移動することにした。
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 自由の女神。陸からだとこんな感じに見えた。下はフェリー。超行列。
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 次に行ってみようと思ったのは、Battery Parkから歩いて10分ぐらい? にある、911の地である。現在かなり再開発されているみたいで、すでに「One World Trade Center」として全米No.1 の高さを誇るビルが建っているが、まあそんなものは別にどうでもよく、わたしが行ってみたいと思ったのは、911Memorial Museumである。
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↑これがOne World Trade Center。立派ですなあ。
↓911跡地。やっぱり、静謐なオーラがある。
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 ↓これ、何かわかる? WTCタワーのてっぺんに立ってた、アンテナの残骸だって。
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 911メモリアルは、それほど並ばずぐ入れたが、中はそれなりに人が多かった。純粋アメリカ人も、外国人観光客もそれぞれ多かったような気がする。Ground ZEROと呼ばれるここ911メモリアルは、人類の憎しみの連鎖の象徴のようなところだとわたしは思っているので、一度訪れてみたいと思っていた。比較することは許されないかもしれないが、わたしにとっては広島の平和祈念資料館の方が強烈だと思うけれど、ここも非常に重い空気が支配しており、やはり展示物が伝える衝撃は並大抵ではない。
 戦争は、国家の意志である。けれど、テロは極言すれば一個人の狂気によるものだ。ちょうどわたしが行ったときは、パリの無差別テロへの追悼集会が夕方からあるらしく、かなり多くの人々が集っていた。また、あとで気が付いたけれど、マンハッタンで掲げられているアメリカ国旗はほぼすべて半旗だった。本当に私にはわからない。どうしてそんなひどいことをしようと思う奴らがいるんだろうか。もちろん、テロリストにはテロリストの主張する正義があるのだろうけど、100%それは否定されるべきものだろう。宗教に結び付けようとする性根も気に食わないね。あーあ……アイアンマンスーツでも開発して、世界平和に貢献したいのう……。

 というわけで、かなり深刻な空気の中、次なる目的地へと向かう事にした。
 次は、まったくお気楽な目的であるお土産物の確保だ。かの有名な「Magnolia Bakery」に行ってみようと一番大きくて(?)、雰囲気の良さそうなところとして、Brecker Street店に行ってみることにした。地下鉄で4駅ぐらいかな、再び北に戻る形になる。地下鉄はあっさり駅について、地上に出てみると、もうさっぱりここがどこだかわからない。キョロキョロしてみると、One World Trade Centerが見えたので、ははあ、あっちが南ね、てことは……と3分ぐらいうろついて、Brecker Streetを発見。じゃあこっちかな、と歩いてみたら、これまたあっさり見つかった。このBrecker Street界隈は、「ビレッジ」と呼ばれる地区のはじっこあたりで、たしかにシャレオツなイキフンである。そうだなあ、80年代終わりごろの、まだ同潤会アパートがあった当時の代官山って感じだろうか。
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 さっそく入店し聞いてみると、わたしの欲しかったものはないという。いや、有名なカップケーキはクッソ甘いらしいからいらないんです。日本に持って帰れないし。それじゃなくて、Tシャツとエプロンが欲しいんだけど、と聞いてみたら、残念ながらサイズがUSサイズのM,L,XLしかなく、わたしとしては女子に可愛く着てもらいたいので、チッと心の中で舌打ちを打ちながら、にこやかにOh, Sorry……とさっさと退却した。うーん、なんだよ、くそう。じゃ、別の店に行ってみるかと再び地下鉄で北上し、42~51St.あたりを散々うろついてみることにした。そうだ、Grand Central Stationに行ってみるかと思い、42St.からてくてく歩く。と、これだ、ここですよ、とGrand Centralを発見。中は、先日の映画で見たとおりのすごい天井で、ちょっとだけテンション上昇。でも、ここにもMagnolia Bakeryは入っているんだけど、アパレルの取り扱いナシ。がっくり。
 外に出ると、すでにもう暗くなり始めていた。そして、時差ぼけなのか、猛烈に眠くなってきた。この時、だいたい日本時間のAM3時くらいかな? そりゃ眠くもなるわな。なので、街をぶらつきつつ、何食うか、と思いながらホテル方面へ移動。途中のBryant Parkは出店がいっぱい出ていてスケートリンクなんかもオープンして人でにぎわっていたので、とりあえず出店を冷やかしつつ、見上げると空にはエンパイアステートビルの横にきれいな三日月が。
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 はあ……きれいだなあと見とれていると、何もかもどうでもよくなって、飯ももうMcDonald'sでいいやと決定。さっさと食ってホテルに戻り、シャワーを浴びて一日終了、と相成った。

 というわけで、結論。
 アレだね、超今更なんですけど……NYはぼっち野郎にはさみしすぎるわ。
 なんだか、猛烈にそう思いましたとさ。以上ですw

↓Bryant Parkは、ニューヨーク市立図書館の隣なんだけど、この図書館といえば、この映画ですよ。主人公たちが避難するあの図書館ね。
デイ・アフター・トゥモロー [Blu-ray]
デニス・クエイド
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2012-09-05



 というわけで、NYCに着きましたよっと。
 飛行機のフライトは12時間半、時差がマイナス14時間なので、きのう書いた通り2時間ほど時をさかのぼることになる。不思議。逆に帰りは、フライトが14時間かかるし、地球の自転方向と逆回りなので、28時間後に到着、というわけだ。わたしはこれまで海外は台湾と香港しか経験がないので、ここまで長いフライトは初めてで、まあ、結構つらいものがあった。しかも席は真ん中なので、トイレに行くにも隣のおっさんに気を使うので、基本的に寝るか、映画を観るか、本を読むかしかない。寝ないと時差ボケが、と、なんだか妙に焦るのも初めてなのでしかたないところか。今からもう、帰りが思いやられるわ……。 
 で。映画を見て過ごすつもりでいたのだが、すごいがっかりなことに、ほとんど既に観た映画ばかりで、ちょっと残念であった。新作として、たぶんウリなのではという映画が『ANT-MAN』『Fantastic 4』『Jurrassic Park』『MADMAX』あたりで、後なにがあったかな、『Mission Impossible:Rogue Nation』ぐらいか。まあ、もう一度『ANT-MAN』でも観るかと思ったのだが、邦画の方で『進撃の巨人』があったので、お、こいつは観てないぜ! ということで、さっそく観た。結論。くっそつまらねえ。なるほどね、これはひどい。これでは叩かれても仕方あるまい。脚本も演出も相当ダメ。そして、哀しいことに役者陣の芝居ぶりも完全に学芸会レベルで酷かった。いつから三浦春馬くんはあんなに下手になったんだろう? 脚本がクソすぎて、やる気なしだったのかな? 実にお粗末であった。続いて、『ストレイヤーズ・クロニクル』を観るも、サーセン。途中で寝ちゃった。こちらは、脚本や演出はまだ許せるレベルだったけれど、やっぱり芝居ぶりが今一つ。なんか、乗れなかったな。で、本を読もうと思っても、機内は暗くされてしまうので、目が付かれてイマイチ集中できず。Nexus9というTabletで読んでいたのだが、うーん、機内で読むには不向きかもな。なので、眠れないけれどじっと目をつぶっていたり、そのうちいつの間にかうとうとしたり、断続的な短い睡眠がどうだろう、3時間ぐらいだろうか、まあ、そのぐらいしか眠れなかった。やれやれだ。あと、全然動いていないのに、どんどん食べ物や飲み物がやって来るので、なんというか、窮屈になってきてイラついたのも、映画や読書に集中できなかった原因であろうと思う。
 で、一つ、わたしが観ていない映画があったので、それを観た。タイトルは『MAX』というもので、軍用犬の物語。イラクにも軍用犬はかなりの数が投入されていたそうで、MAXというけなげなわんこもその一匹だ。ハンドラーのご主人を戦闘で亡くし、その亡くなったご主人の実家に引き取られるという話だ。まあ、正直たいしたことはなかったけれど、そのわんこにゲームオタクの弟が救われ、弟も主人を亡くしたわんこを救うという話だ。
 
 ただ、日本でそういう話を作ったら、確実にお涙頂戴ムービーとなるのは確実だけれど、ちょっとだけひねってあって、なんだか変な方向に話が進むので、なんというか、うーん、まあ暇つぶしにはなりました。この映画は日本公開されているのかよくわからない。たぶん公開されてないのではなかろうか。

 とまあ、こんな感じで機内を過ごし、当たり前だけど12時間半後、わたしはUnited States of Americaに入国した。しかし、アメリカってのは……やっぱり良くわからない国だと改めて認識した。
 ■入国・・・入管職員がぞろぞろいるのに窓口3つで大渋滞。お前ら仕事しろw おまけに、なんでヴィザのはんこを変なページに押すわけ? めちゃくちゃ後ろに押しやがって、ホント腹が立つわ。
 ■とりあえずSIMを探せ!・・・あっさり、JFKの到着ロビーを出たところにこんなの見つけた。
P_20151117_002213
 ので、真ん中の青の20$のデータSIMを試しに購入。さっそくSIMフリースマホにブッこんでみたところ、すぐには使えなかったので、なんだよこれ!! 使えねーじゃねーか!! と思ったら、15分後ぐらいにいつの間にか使えるようになってた。で、バカみたいにSkypeやGoogleMapを使いまくってしまったのだが……どうやら1MBあたり0.29$ということで、30$分使えるらしいから、要するに103MBほど、しか使えないという事になる。しかしそこまで計算せずに、さくっと買ってしまったので、1日が終了するころにはもう数ドル分しか残ってねえぜ、とSMSが来た。マジか。なんだよ、くそう。というわけで、基本ホテルのWi-fi、日中の非常用としてモバイルデータ通信はやめとくことにした。うわー、我ながらアホだ。で、のちにあっさりデータを使い切りそうになることは全く気が付かないまま、TAXIでマンハッタンへ。トヨタのカムリか? プリウスよりちょっとだけでかい日本では見かけないハイブリッド車でJFKからマンハッタンまでぶっ飛ばす。しかしこの運転がすげえ荒くて、スピードも、まあ高速だろうから当たり前だろうけど、80Mile/hぐらいでぶっ飛ばすし、コーナーもあって横Gで振り回されたおかげで、一発で酔った。12時間ぶりにニコチン補給したばかりでくらくらしていたのも効いたね。だけど、運ちゃんは、ずっと黙ってたけど、マンハッタンに入って事故の横を通るとき、目が合って、わたしが、アチャー、という顔をしたら、ニヤリと笑顔になって、降りる時はとても丁寧にいろいろ話しかけてくれた。運転は乱暴だけどいい奴でしたw ライセンスの名前を見た限り、中東系の人だったと思う。
 で、ホテルに着いたはいいけれど、着いた時間がAM11時ぐらい。JFKから35分ぐらいだったので、相当飛ばしのかもしれない。ともかく、チェックインまで相当早い時間だったので、とりあえずフロントで、荷物だけ預かってくれよとお願いして、もちろんよ、とちょっとかわいい東洋系女子とやり取りをして、さっさと身軽になった。
 ホテルは、TIMES SQUAREから歩いて15秒なので、まずはTIMES SQUAREを歩き回っていろいろチェック。今回の旅のメインであるミュージカル鑑賞は、今回は『WICKED』と『ALADDIN』の2本にしたので、その劇場はどこかな、と探したら、『ALADDIN』の劇場はホテルから歩いて3分、『WICKED』の方は歩いて8分ぐらいという事が分かった。しかし、途中で、げえーーー!!! な、なにィ―――!!? というのを発見してしまった。↓これ。
P_20151116_152040
 反射して見えにくいけど、分かるかな? なんと、ダイ・ハード野郎としておなじみのセクシーハゲこと、Bruce Willis主演の芝居がやっていた。しかも、演目は、わたしが世界一好きな作家でおなじみStephen Kingの『MISERY』だ。こ、これは観るしかないのでは? ちょっと今日、チケット買いに行ってみるわ。チケット取れることを祈りたい。
 あと、映画館もいくつかあって、↓これも見たいと思ってる。
P_20151116_114031
 日本では2月公開の『The MARTIAN』も絶賛上映中なので、これも明後日かな、観てきます。いや、時間ないかな、まあ、行ければ、ですな。もちろん、こちらでは『007SPECTRE』も絶賛上映中だが、これは日本ではもう2週間後には観られるので、スルーでいいや。ところで、この『The MARTIAN』はなんで邦題が「オデッセイ」なのかよくわからない。観れば謎が解けるのかな?
 というわけで、TIMES SQUAREからぶらぶらと、マジソンスクエアガーデンまで歩いてみた。そこで、PENN Stationというアムトラックの駅をチェックして、そこから地下鉄でマンハッタンの一番南の、サウスフェリーまで行ってみた。地下鉄は、Metro=CARDを20$購入してみた。しかし、カードと言ってもペラペラの紙みたいなもので、ホント、アメリカってのは妙にクオリティの低いところがあるなーとしみじみ思う。香港も台湾も、SUICA的なICカードで、街中のコンビニでも使える便利なものがあるのに、ここNYはいまだ磁気カードですよ。ダッサイのう……まあ、一律料金で降りる時に改札通らないからな。ICではダメなんだろうなと思ったけれど、やっぱり、アメリカって、妙に遅れてるというか、良くわからん国だ。なんか、ダサいっつーか、洗練されてない。

 というわけで、結論。
 DAY-01 TIMES SQUARE編は以上です。
 アメリカ……とにかく人種のるつぼですな。なんというか、「アメリカ」というオリジンがないような気がするね、やっぱりこの国は。

↓『MISERY』は原作もすごいし、映画も素晴らしい。とにかく、おっかねえ話です。タイトルロールを演じたCathy Batesはこの作品でアカデミー主演女優賞受賞。
ミザリー [Blu-ray]
キャシー・ベイツ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2014-02-05

ミザリー (文春文庫)
スティーヴン キング
文藝春秋
1991-02

 

 というわけで、今、ニューヨーク時間では月曜日の19時過ぎなんですが、日本の週末興行データをいろいろ集めてみたので、いつも通りまとめておきますか。まあ、誰もわたしのNY珍道中には興味がなかろうし。 
  いつもの通り、興行通信社の大本営発表をまとめると、こんな感じです。
 1位;『劇場版MOZU』:2週連続1位。9日間累計で 6億強。これは、『バクマン』と同じくらいかちょっと下ぐらい。てことは、15億は行くけれどそれ以上はどうかな、という感じであろうと思われる。 
 2位:『グラスホッパー』:こちらも2週連続2位。 9日間合計で5億届かずぐらい。うーん、頑張ってはいるけれど、最終10億ほどか。先週と状況変わらず。
 3位: 『エベレスト3D』:これまた2週連続3位。まあ、5億届かずで『グラスホッパー』のチョイ下ですな。
 4位:『コードネームUNCLE』:初登場4位、 1.13億。洋画は厳しいなあ……。

 この映画は、観たいと思っていたのだが、たぶん、わたしの予定的に観られそうにない。せっかく、鋼鉄の男ことヘンリー・カヴィルが珍しく出ているのにな……くそう。まあ、この映画は、はっきり言ってアメリカでもイギリスでも全く売れていないので、日本できちんと公開されただけでもありがたいと思うべきかも……。
 第5位:『俺物語』がここに来る。16日間累計でまだ5億台。これはもう、完全に10億割れると思う。ちょっともう無理だ。観てないので何とも言えないが、何か、致命的な問題があるのだとしか思えない。物語かなあ……せっかくの鈴木亮平君の体を張った頑張りも、ちょっとこれでは報われないのでは……。マンガは面白いのになあ……。
 第6位:『プリキュア』:まあ、例年通りの秋プリキュアですな。去年非常に悪かったけれど、去年よりはいいみたいです。
 第7位:『PAN』:ごめんなさい。まったく何故か観る気にならない。
 第8位:『ギャラクシー街道』:23日間累計で11億強。この数字は、『バクマン』より悪いんですけど……このままだと、本当に15億±0.5億ぐらいで終わってしまうかもしれない。ホ、ホントかそれ? 信じられない。
 第9位:『マイ・インターン』:6週まで来たかな? 15億強まで来た。かなり頑張ったと思う。
 第10位:『図書館戦争 The Last Mision』がついに16億突破。ただ、まだ前作を超えていない。何とか前作を超えて、最後の『革命』まで行ってほしい。なお、『バクマン。』も累計16億を超えたようですが、『図書館』の方が1000万ぐらい上回っているみたいですね。

 とまあこんな感じの週末だったわけだが、今現在、ニューヨークにいるわたしとしては、大変に困っていることがある。スターウォーズの12月18日(金)18:30からの第1回上映のチケットが、14時間後の日本時間11/18の0時に発売になるわけですが、オレ、買えるのか⁉ ホテルにいれば、Wi-Fiが使えるし、一応、20ドルの現地SIMカードを買って、通信環境は確保したけれど……どうしよう。こちらでは、朝の10時なんですけど。その時間にオレ、どこにいるんだろう……全くノープランだから、ホテルに留まっておくか……。はあ……大変困った。すでに、マンハッタンの先っちょ方面はだいぶ回ったし、明日はゆっくりするか……。
 
 というわけで、結論。
 どうも、秋以降の日本映画は、『ヒロイン失格』が頭一つ抜けた以外は、軒並み15億~16億で壁がありますな。そして、『俺物語』『ギャラクシー』はそこにも届かない……どうしちゃったんだ一体……。

↓NYに旅するにあたって、一応、こいつは再度観ておいた。結構好きな映画。明日はセントラルパークでも走ってみるか……。自由の女神は、ちゃんと健在でした。当たり前ですが。
クローバーフィールド/HAKAISHA スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]
リジー・キャプラン
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
2013-07-19


 というわけで、これからニューヨークに行ってきます。
 現地到着は、日本時間の今日の夜中、だけど、NY時間では今日の2時間前、という、ちょっとしたタイムトラベルなわけで、この地球は広いなー、と不思議な感覚。
 現地ではWi-fi環境がどうなのかよくわからんけど、ホテルにはあるらしいので、また何か書いてUPします。

 というわけで、ちょっくらニューヨークに行ってみるか。 

 1巻を発売当時にすぐ買ったのはもう随分前だが、以来、新刊が出るたびに買って読んでいる漫画『亜人』の最新7巻が発売になった。
亜人(7) (アフタヌーンKC)
桜井 画門
講談社
2015-11-06

 この作品は既に発表されている通り、アニメ化が決まっている。しかも、ちょっと変則的というか、劇場版とTVの両方らしい。劇場版は3部作になっていて、その1作目が11/27より2週間限定公開で、TVシリーズは年明け1/15からだというので、TVシリーズ後に劇場版を2本公開するのか、そもそも劇場版とTVシリーズはどういう関係なのか、正直まだ良く分かってません、わたしは。というわけで、とりあえず↓こちらが、劇場版の予告映像である。

 この予告を観てもらえば、大体のストーリーは分かると思う。
 物語の始まる17年前、アフリカで発見された「亜人」という存在があって、それは、「不死身」の存在で、明らかに人間じゃない「人間の亜種」ということだ。一番気持ち悪い例で言うと、亜人は断頭されても死なない。頭が生えてくるのです。だから、銃器や刃物はまったく亜人には意味がなく、捕まえるには麻酔銃で眠らせないと捕まえられないのだが、仮に麻酔銃で撃たれても、麻酔が効く前に自分の頭を撃ち抜いて「1度死んでリセットすれば大丈夫」という気持ち悪い荒業も使えるのである。そういった、不死身の存在である亜人は、日本にも2体いると言うところから物語は始まるのだが、この「亜人」という存在は、「死なないと亜人かどうかわからない」というのがポイントで、主人公の永井圭くんは、当然自分が亜人だとは夢にも思っていなかったのだが、ある日、事故で完璧に死んだはずなのに死ななかった、ということが明らかになって、亜人であることに気づくと。
 この永井くんは恐ろしく頭のいい高校生だけれど、正直なところ性格が捻じ曲がっていて、とてもわたしとしては好きにはなれないのだが、それ以上に、普通人々の醜さも過剰に描かれていて、永井くんすらまともに見えるという皮肉な気持ち悪さがある漫画である。というのも、世間的に「亜人を捕まえると大金がもらえる」的な都市伝説めいた世の流言があって、永井くんが日本で3体目の亜人であることが分かると、誰もが血なまこで彼を捕まえようとするわけだ。まあ、そういうモブキャラたちは、あっさり永井くんに返り討ちに遭うのだが、逃走にも限界があるわけで、同じ亜人の仲間を探すと。しかし、仲間と思われた「先輩」亜人2人はまたとんでもない連中で……という感じで物語は展開する。
 上記の予告は、大体原作の3巻の途中までぐらいが描かれているように見える。ちょっとネタバレでストーリー展開を書いてしまうが、どうやら最初の映画は、3巻のラスト近くの、「佐藤」と呼ばれる日本の亜人第1号が、Webを通じて呼びかけを行い、存在を知られていなかった亜人が実はいっぱい他にもいて、わらわらと集合するところまで、だと思う。そこぐらいしか切りのいいところがないような気がするのだが、TVシリーズはその後を引き継いでいくのか、よく分からない。まあ、続けていくんでしょうな、きっと。
 
 「亜人」という存在がどう国家に扱われるか、については、2巻で永井くんが身をもって体験する様子が描写されるので、そこを読んでもらいたいのだが、まあ、完全に実験動物として、すさまじい拷問(?)というか、何しろ何をしても死なないので、まあひどいことをされるわけで、後に語られるところによれば、完全に「経済動物」として扱われる。例えば、製薬会社の新薬投与実験だとか、自動車会社の衝突安全性実験だとかに「貸し出されて」、管理する国というか厚生労働省はボロ儲け、みたいな事が描かれる。なので、そういった扱いから何とか脱出してきた永井くん以前の2人の先輩亜人は人間を憎んでいるわけだが、その攻撃が巻を追うにつれてどんどんとすさまじいものになっていく中で、永井くんがどう行動するか、というのが物語のメインと言っていいだろう。
 現状の最新7巻では、永井くんが、「佐藤」と呼ばれる国内第1号の先輩亜人のやり方には付いていけないと思っていて、何とか止めようとしているところである。ただ、その動機は、別に人間を守るためではなく、あくまで自分が周りの目を気にせず普通に暮らすためで(たぶん)、先輩亜人の「佐藤」のやり方ではダメ、と思っているから止めようとしているのだ。いわば、永井くんにとって佐藤の行動は迷惑千万で、邪魔だから何とかしよう、としているだけである。永井くんは進んで人間を殺したいとは思ってはいないと思うけれど、それは基本的に自分以外はどうでもよく、自分にとって都合が良ければそれでいい、というものである。だから平気で他人を犠牲にしたり利用したりする野郎なので、わたしにはどうにも主人公に感情移入しにくい漫画である。

 わたしは、『進撃の巨人』は9巻ぐらいで飽きて、単行本を買うのをやめてしまったが、正直この『亜人』も、若干飽きつつある。わたしがこの漫画をまだ面白いと思って買っているのは、この主人公・永井圭くんが、最終的に一体どうなるか知りたいためだ。しかし今回の7巻では、亜人第1号「佐藤」の過去が描かれ、その動機が垣間見えてきたところだが、正直、え、そういうことなの? と、この先読み続けるかどうしようか、微妙な過去話であった。なので、ちょっと付いていけなくなりつつある。落としどころが見えないというか、暗い将来しか見えないというか……。たぶん、キャラクターで唯一まともなのは、永井くんの元・親友の「海斗」と、亜人第2号の「田中」の二人ではなかろうかと思う。おそらく、海人は今後、何らかの役割を持って登場するのは間違いなかろうと思う。そして、田中は……きっと佐藤に利用されてポイ、なんじゃなかろうか。田中が人間を憎む動機は非常に良く分かるというか、きちんと説明されているけれど、それを利用されているだけなんだよな……うまくいけば、永井くんと仲間になれる展開もあると思うが、どうでしょうね……。

 というわけで、結論。
 とりあえず、こちらで第1巻の第1話を読んで、先が気になるようならば買いです。
 ただし、内容的にかなり残虐シーン満載なので、そういうのが苦手な人はやめたほうがいい。わたしは、もちろん面白いと思っているから買い続けているので、お勧めしたいところだけれど、万人向けではないだろうね。わたしも、実際ちょっと飽きてきた……まあ、映画は観に行きますよ。

↓ 不老不死、と聞いてわたしが真っ先に思い浮かべる映画はこれ。この映画の場合は「断頭されたら死」だけど、わたしはかなり好きです。カッコイイ。
ハイランダー/悪魔の戦士 [Blu-ray]
クリストファー・ランバート
ジェネオン・ユニバーサル
2012-04-13

 以前ちょっとだけ紹介した、週刊少年チャンピオン連載漫画、『スメラギ・ドレッサーズ』の単行本が発売になったので、応援のために買ってみた。電子ですが。

 あらためて第1話から読んでみると、うーん、なんというか、頑張れ!! という感じだろうか。 
 お話については、秋田書店公式Webサイトに第1話の試し読みがあるので、そちらを読んでもらった方が早かろう。主人公はとある高校の2年2組所属、風紀委員長の三ノ宮かなで。超・ド真面目でお堅い性格なので、周囲から敬遠されている、気の毒なぼっち少女である。そんな友達のいない彼女の元に、ある日、謎の生命体(?)「てらす子」が施設(?)と呼ばれるところから逃げてやってきた。その動機は、外の世界を見たい、友達が欲しい、というもので、 かなではそのてらす子と友達になる。だが、その「施設」は、悪の秘密結社「ツクヨミ」というものだった。
 ちなみに、ここまで開始から9ページ。そして、ツクヨミが、施設から脱走したてらす子を探して連れ戻すためにかなでの高校に乗り込んでくる。 校舎を破壊し、てらす子を探すツクヨミからの刺客に、かなでは勇気を振り絞って震えながら立ちはだかるが、その時、てらす子が施設からかっぱらってきたアイテムで、「スメラギ・ドレッサーズ」に変身するのであった――とまあ、そういう話である。
 この漫画の、とりあえずのポイントは、その「スメラギ・ドレッサーズ」に変身する過程であろう。
 1)まず、アイテムを手に取って「ドレスチェンジ・スタンバイ」と発声すること。
 2)次に現れる「ドレス・ルーム」で「ドレス」に「着替える」こと。
 なのだが、ここにも妙なルールがあって、
 1)「ドレス・ルーム」は、最初は曇りガラスだけどだんだん透明に透ける
 2)20秒で「ドレスルーム」は開く
 3)着替え中(ドレスルーム)はあらゆる攻撃が効かない
 4)着替え終わったら、「スメラギドレッサーかなで!! サクラドライブ!!」と名乗らないといけない。
 というもので、公衆の面前で着替えないといけない、しかも20秒以内、ということで、当然、最初は着替え中にドレスルームが開いてしまって、いや~ん!! な展開になるわけだ。それでも着替えを続けて、ちゃんとドレスを着ないといけないわけで、オーバータイムが増えるごとにドレスの持つ力も減っていく。なので、20秒以内に着替えが完了すれば、ドレスの力を100%使えるが、なかなかそうもいかず、苦戦する、みたいな展開が多い。
 わたしは、この設定は非常に面白いと思った。なぜならわたしは「仮面ライダー」が大好きだからだ。まさしく、ここ数年の平成ライダー的な始まりである。良く、なんでライダーの変身中は攻撃を受けないの、とか、変身完了時にいちいち名前を名乗る必要あるの、というツッコミを受ける「仮面ライダー」であるが、この漫画では、一応、そういうルールなの!! という説明がなされているのも興味深い、つーか、ちょっと笑える。なので、わたしは連載開始時から、これは面白いかも、という予感を抱いて、これまで応援しているのだが、どうにも、うーーん、と唸ってしまうポイントがいくつもあって、周囲の人々に、これ絶対面白いよ!! とお勧めできないでいる。もちろん同じチャンピオンの『鮫島』や『ペダル』については、相当周りに読ませてファンを増やしているのだが、これはちょっとどうなんだと、まだ微妙な躊躇が残ってしまう。

 まず第一に、絵柄である。
 以前も書いた通り、悪くないと思う。女子はとても可愛らしいし、ある意味重要な下着姿中心のお色気シーンも、結構悪くない。桂正和先生のレベルまでぜひ極めていただきたい。しかし、だ。絵柄については2つ問題点がある。まず第一に、とにかく読みにくい点である。基本的に線にメリハリがないこと、そして線が多いこと、による弊害であろうと思う。どうやら作者の松本先生は、新人漫画賞出身で、初連載漫画のようなので、まだ経験が足りないからなのかもしれないが、基本的なスキルは非常にしっかりしていると思うので、今後もっともっと上手に「漫画」の絵を描けるようになるとは思う。どうだろう、この松本先生はデジタル作画かな……手描きではないのではないのかな。カラーの着色は明らかにデータだろうけど、本編もフルデジタルかな。デジタルを否定するつもりは全くないが、やっぱり手描き原稿の熱は感じられない。もうちょっとメリハリを持って、線を整理すればいいと思うのだが……。そして絵柄のもう一つの問題点は、キャラの頭身であろう。やけに顔がデカイ・体が小さい、という絵柄は、可愛らしいけれど、どうにも一枚絵、イラストっぽく見える。ひょっとしたら松本先生はイラストレーターとしてのキャリアの方が長いのではなかろうか? 頭身に関しては場面場面で結構変わることもあって、なんというか若干落ち着かないのも気になるところではある。

 で、次に物語と、演出・漫画力的な部分である。
 まずもって、とにかくセリフが多いのは、読みにくさに拍車をかけていると思う。ある意味致命的なのだが、なんとかならないものか……。最初の数回は、いろいろな設定紹介があってやむ無しなのかもしれないけれど、もっと説明を放置して、だんだん分かってきても良さそうなのだが、これはあれか、設定を詰め込みすぎたってことか? いや、そうでもないよね……。そうなるとやはり構成力・漫画ネーム力の問題だろうなあ。言ってみれば、どうもラノベっぽいのだ。もうちょっとネーム力の向上が望まれると思うのだが、絵でもそうだけれど、もうちょっと省略というか、線も物語も、「全部描かなくていい」のではないかしら。なんとなく、あれもこれも的な感じを受ける。
  物語自体も、展開としては王道の仮面ライダー展開になって来ていて、特に文句はないけれど、まあ、ライダーファンとしては、やはり、
 a)別フォーム・強化フォームの登場と使い分け
 b)「2号ライダー」の登場までのいきさつ
 c)前半敵なんだけど後半味方になる強いキャラ
 d)敵側の組織とその目的
 が重要になると思う。現在、連載では第21話まで進んでおり、すでに、a)~c)はクリアされている、が、いまだにd)敵側組織とその目的がイマイチ良くわからない。なので、実際のことろなんでまた主人公のかなでちゃんがここまでえらい目に遭うのか、どうもピンと来ないのである。おそらくはもっと、「てらす子」が主体的に動かないといけなのではなかろうか……。いつまでもオドオドしてちゃだめだと思うな。敵の目的も、「世界征服」であることは第1話で既に語られているけどさ、あの……すみませんが、もうちょっと具体的に教えていただけないでしょうか。

 というわけで、結論。
 なんだか文句ばかりつけてしまったが、わたしはかなり期待して応援しているので、ぜひとも、もっともっと面白い作品にしていただきたい。それだけのポテンシャルは十分に秘めていると思います。2巻も買うことを約束します。

↓ ヒーロー大好き桂正和先生の、ド・シリアス・ヒーロー(?)漫画。久しぶりに読んでみるか……。

 というわけで、『空想オルガン』を読んだ。
空想オルガン (角川文庫)
初野 晴
角川書店
2012-07-25

 この作品は、「ハルチカ・シリーズ」と呼ばれる『退出ゲーム』『初恋ソムリエ』に続くシリーズ3作目で、時間軸としては春太と千夏ちゃんが2年生の夏で、舞台は、一冊丸ごと夏の地区大会~県大会~東海地区大会の話である。わたしは全く知らなかったが、吹奏楽部の全国大会――通称、普門館――に至る道のりは、並の運動部よりももっとハードで、県代表レベルでは出場できないものらしい。このことは、シリーズ1巻目の『退出ゲーム』でも出てくるので、ふーん、と軽く読み流していたのだが、ちょっとだけ調べてみた。
 どうやら、全国の高校吹奏楽部の若人が目指す、彼らにとっての甲子園たる「普門館」へ至るには、地区大会→都道府県大会→支部大会をそれぞれ上位で勝ち抜かないといけないらしい。 県によっては地区大会のないところもあるようだが、いずれにせよ、都道府県代表ではダメで、もう一つ先があるということになる。なお、その会場たる「普門館」であるが、東京都杉並区に存在している(していた)、宗教法人立正佼成会の持ち物で、まあ要するに私立のホールという事だ。なお、大会の正式名称は、「全日本吹奏楽コンクール」の「高校の部」で、主催は社団法人全日本吹奏楽連盟と朝日新聞である。なので、なんでまた、 立正佼成会の建物でそんな大会が行われていたんだろう? と素朴に疑問に思ったのだが、どうやら、要するにキャパシティや音響設備、ステージ、あるいは広い駐車場も完備している、といったハードウェア的に最高峰かつ理想的な会場であったから、のようだ。まあ、機材搬入とか、確かに広い駐車場は必要でしょうな。また、そもそも立正佼成会は自身で東京佼成ウィンドオーケストラというプロ楽団も持っていて、課題曲のお手本演奏をしたりしている。いやはや、恥ずかしながらそんなことも知らなかった。このあたりは、吹奏楽の経験者なら常識なのだと思う。ただ、残念ながらその「普門館」は、2011年の震災以降、耐震構造に問題があるということが2012年に分かったそうで(何しろ築40年以上)、現在は名古屋国際会議場センチュリーホールに会場を移してコンクールは行われているそうです。本書に収録されている4つの作品は、3つが2010年に書かれたものなので(もう一つは単行本刊行時の書き下ろし)、当時は「普門館」であったわけだ。とまあ、春太と千夏が出場を目指す「普門館」とはそういう存在であるらしい。

 で。また無駄に前置きが長くなったが、今回も安定の面白さで大変楽しめた。また、各エピソードガイドを備忘録としてメモっておこう。今回はとうとう春太のお姉ちゃんが出てきて、非常にナイスキャラでわたしとしては大変気に入りました。あと、もう一つ、わたしがこのBlogを始めるに当たって、一番最初に取り上げた、わたしの大好きな作家が出てきて、えええっ!? と、マジでびっくりしたわ。

 ■イントロダクション
 いつぐらいか分からないが、数年後、千夏ちゃんが大人になっていて、高校時代を振り返っているという体での導入。ただ、大人になった千夏ちゃんがどんな暮らしをているのかは、今のところまったくわからない。幸せでいてくれるといいのだが……。
 ■ジャバウォックの鑑札
 地区大会会場での出来事を綴ったお話。地区大会会場横の広場で、春太が保護した犬に、二人の自称飼い主が現れた。果たして本当の飼い主は……というお話。そこで出会ったとある人物は、本作でそのあとも何度か出てくるが、一体何者なのか、最後まで読んでいただくと良いと思います。
 ■ヴァナキュラー・モダニズム
 夏休み中の話。ついに春太の一番上のお姉ちゃん登場。職業は一級建築士。超サバサバ系の男前美女で、愛車はホンダ・シビック・タイプR。この車、知らない人にちょっとだけ説明すると、たぶんこの物語が書かれた2010年であるならば、日本最速のFF車(前輪駆動車)で、とにかく、普通の人には扱いきれない、超速(チョッパヤ)マシンです。 で、そんなマシンをぶっ飛ばすアクティブ美人お姉さんと、春太のアパート探しに同行する羽目になった千夏ちゃんとカイユ。とある不動産屋で、やけに家賃が安いアパートを見つけた一行が、そのアパートでまことしやかにささやかれる謎の現象の解明に乗り出す話。とにかく、美人お姉さんが素晴らしく、わたしは非常に気に入った。
 ■ 十の秘密
 静岡県大会会場での話。ギャル軍団「清新女子高等学校」との出会いと、彼女たちの部長の謎を解く話。この中で、わたしが世界で最も好きな作家、Stephen Kingがちょっと関係してくる。しかも小説ではなくて、『小説作法』が出てくるとは本当に驚いた。
 ■空想オルガン
 東海支部大会会場での話。 とある、詐欺師グループの話が前後して挿入される中、会場には、清新女子のボスギャルも、プロを目指す芹沢さんも応援に来てくれ、本番に向けて集中する春太と千夏たち。会場の横で行われている「オルガン・リサイタル」と謎の詐欺師はどういう関係があるのか。また、詐欺師の覚悟は、芹沢さんの心も動かし……と言う話。最後にいろいろなことが見事に明かされるくだりは非常に良かった。この話を締めくくりとして、夏休みは終わり、次の作品は秋、文化祭から始まることになる。

 というわけで、結論。
 本作も、非常に面白く、楽しませていただきました。
 今回は、生徒側では新キャラは登場ナシ。また、先生の過去についても、ほとんど進展なしであった。わたしとしては、既に買ってある3冊は読み終わってしまったので、次のシリーズ第4弾『千年ジュリエット』も買って読むしかないかなと思いつつあります。なんというか、軽い中にもやけに重い話が含まれていて、ちょっとバランスが悪いような気もするけれど、まあ、それもまた持ち味なんでしょうな。誰にでもおススメできるかどうか、正直良くわからない。けど、わたしは面白いと思います。

↓わかったよ。買います。読みますよ。
 ……調子に乗りました……ごめんなさい。先が気になるので、読ませてください!!
千年ジュリエット (角川文庫)
初野 晴
角川書店
2013-11-22

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースのお時間です。
 今週も、比較的落ち着いた感じで、妙なテンションの作品はありませんでした。『ペダル』も、今週は2日目スプリントラインを前にして、変態小鞠くんの実力が明らかになりつつある感じで終了、 『リク』も、大きな進展なしだけど、最後のページで「喜びすぎちゃった……」あの彼が、原田に接近するという、一体何が起こるんです? と思わせるところで終了。まあ、今週号でわたしが一番「ぐっ……ふぅ」と不気味な笑いを耐えたのは、『錻力のアーティスト』かな。この漫画は、高校野球漫画で結構毎回楽しみに読んでいるのだが、現在、主人公の"クソ天然"こと清作くんの所属する桐湘高校が神奈川県大会準決勝を戦っているところである。相手は、春に負けた学校で、剛腕投手と天才バッターの二人が引っ張る学校だ。今週の段階で、9回裏で桐湘が3-1で勝っている。あと3人打ち取れば決勝に進める、というところで、相手校の天才4番打者、蓬莱くんの打席となる。この蓬莱くんは、イケメンのモテ男で、ピッチャーの投げる投球をすべて女子に例えて表現するナイスガイだ。そしてバッティングもすべてその女子をどう攻略するか、というナンパ目線で語る。今週の蓬莱くんの心情(心の中の語り)は、超カッコよくて笑えた。
 (気が多く 目移りしやすい俺だが 今この瞬間だけは ただ一人だけに狙いを絞る)
 (ストレート!! ――だけに絞ったおかげで (ボールの)縫い目までハッキリ見える)
 (まるで タイトなズボンに浮かんだ 下着のラインのように・・・!!)
 <※1ページまるまるズドーンと女子のケツラインのドアップが作画されている>
 (ナイス・・・ヒップ!!)

 へ、変態だーーーw !! いやあ、蓬莱くん、さすが天才。こうして心情だけ書いてみると完全に変態ですが、漫画上は超ド真面目に描かれており、蓬莱くんのカッコ良さが美しく描かれていて、わたしとしては非常に満足でした。 果たして蓬莱くんのバットは、ナイスヒップを真芯に捉えられるのか!? 来週が楽しみですな。
 また、チャンピオンの看板タイトルの一つである『牙刃道』は、今週から3週連続で巻頭カラーだそうで、現在は「地上最強生物」こと範馬勇次郎(牙刃の父親で通称オーガ)と、クローン技術によって現代に蘇った宮本武蔵(笑わないで!!)が本格的に戦い始めたところだが、もう、大変ですよ毎週。今週は、オーガの金的が武蔵に炸裂して武蔵失神、オーガ圧勝!! に見えたところで、武蔵が「肥後の地にて・・・完成間近だった あの奥義・・・ッッ この者に試さずして 誰に!!」という反撃直前で終了。そんな奥義があったのか―――ッッ!? とわたしはちょっと興奮しました。はい。

 さて、では今週の『鮫島』ニュースです。
 今週の『鮫島』は、【蒼希狼】の回想の続きで、十両昇進から初入幕の取組までが語られます。十両に昇進して毎月の給料もぐんと上がった【蒼希狼】。しかし関取となって個室をもらっても、家具は廃棄物から拾ってくるほど金を使わない【蒼希狼】に、付け人たちは、コイツ一体どんだけケチなんだよと不満を漏らす。しかし、【蒼希狼】は「衣食住揃ってんのに これ以上の贅沢が 必要か・・・? 不満ばっかり言いやがって・・・ だからテメーらは ダメなんだ」と一喝。心の中で(負けねーよ・・・こんな日本人に・・・)とますます闘志を燃やす【蒼希狼】だが、一方モンゴルでは、どんどんと金額が増える【蒼希狼】からの仕送りの額を見て、かつての仲間たちは半ば呆然とするばかり。また、土俵上では、負けてたまるかという想いのあまり、ラフプレーすれすれの【蒼希狼】の戦い方に、周囲の力士たちからも非難が集まる。そしてとうとう新入幕。その初日に勝利した【蒼希狼】は、かつてはマンホールの小さな穴から見上げていた空を、土俵の上で大きく光り輝くものとしてつかんだかのように見えたが――というところで今週は終了。最終ページでの「皆待ってろよ・・・」と言う【蒼希狼】の会心の笑みが、果たしてどう台無しにされるのかが来週以降語られるのであろう。
 演出的には十分美しく、おそらく来週以降の残酷な展開と対をなすのだろうと思うが、ううーーーん……やっぱりちょっと、長いか、な。どうだろう、大丈夫かな? ここまで引っ張ると、かなり大きな落差がないと読者の忍耐力にも限界があるからな……読者は全員がわたしのような何でも許す甘っちょろい存在じゃないから、だいたい展開が読めてきただけにちょっと心配だ。まあ、わたしはずっと応援しますよ。佐藤先生!!

最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明
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 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
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 【天雷】東関脇
 【蒼希狼】??? 最高位は小結
 ※右額の傷は、初入幕初日の【桐の里】戦で負ったもの←今週NEW
 
 というわけで、結論。
 今週の『鮫島』は引き続き【蒼希狼】過去編であった。はたして【蒼希狼】を襲った悲劇とは!? 来週以降を楽しみに待ちたい。が、鯉太郎VS大山道を早く描いてほしい気もしてきました。そして、天才・蓬莱くんのナイスヒップ攻略は成ったのか、気になります!!

 ↓やはり、これも買いかなあ……実はけっこう面白い。キャラクター造形が非常にうまい。やっぱり、チームスポーツは少年漫画の王道ですな。最新11巻は今月発売新刊です!!

 若干恥ずかしながら、一つ告白せねばなるまい。
 わたしは、このblogを読んでいただければわかると思うが、かなりの数の映画を観たり、かなりの数の本を読んだりしている。まあ、それは好きだから、なのだが、実はわたしは……本を真面目に読むようになったのは、高校2年の後半ぐらいからで、漫画は別として、いわゆる物語、小説というものは、高校2年ぐらいまで、ほとんど読んでいない。なので、 子どものころの読書体験が、ほぼ、ない。結果として、わたしは児童文学や絵本をほぼ知らない。読んだことがないのだ。幼き日々を思い起こすと、読み聞かせをしてもらった覚えもないし、本が欲しいと駄々をこねたこともない。ほぼ毎日、外で遊んでいたし、夜は、日中フルパワーで遊んでいるので、たしか中学に入るまでは、毎日20時には寝ていたと思う。もちろん、ジャンプ・サンデー・マガジン・チャンピオンは読んでいたし、テレビもそれなりに見ていた。基本的には特撮ヒーローが大好きで、あまりアニメは観ていなかったので、実はアニメ知識も、後年学んで身に着けたものである。

 そんなわたしが、一番好きなのはやはり映画であると思う。映画は、小学校1年ぐらいから相当なオタク英才教育を受けていると思う。ま、幼稚園時代は、毎回必ず『東映まんが祭り』は連れていってもらっていたけれど、今でも鮮明に覚えている、わたしのハリウッド映画初体験は『STAR WARS』である。場所も、雰囲気も、何を買ってもらったかも明確に覚えている。今はなき「テアトル東京」という大スクリーンで、雨の日だったと思う。そして売店で「X-ウイング」の小さいおまけ付きのチョコボール的なものを買ってもらって、ずいぶん長いことその「X-ウイング」で遊んだ記憶がある。もちろん、当時のパンフレットは結構きれいなまままだ家に残っており、今でも大切にしている。オヤジと、下の兄の3人で観に行ったのだが「フォース」が字幕では「理力」と訳されていて、オヤジに「理力って何!? 何なの!?」と問い詰めたこともはっきり覚えている。それ以降、わたしはオヤジや兄に連れられて有楽町~日比谷に通う小学生として映画オタクの道を歩んできたわけだが、中学生になって自室を与えられ部屋にテレビが設置されると、そこからはもう、TBSの月曜ロードショー(解説は荻昌弘ですこんばんは)、日テレの水曜ロードショー(解説は水野晴朗っていいですね)、テレ東の木曜洋画劇場(解説は結構替わった。Hな作品多しw)、土曜はCXのゴールデン洋画劇場(解説はイエーイ高島忠男です)、日曜はテレ朝の日曜洋画劇場(解説は淀川長治。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ)と、ほぼ完全制覇して欠かさず見てきたし、中学からは地元の駅前の映画館の招待券を毎月2枚Getできる伝手を開発して月に2回は確実に映画館で映画を観てきた(たいてい2本立て)。また、夏休みと正月映画の大作はほぼ必ず有楽町方面に観に行っていた(このころから、自転車で有楽町まで行くようになった)ので、80年代映画は異常に詳しい今のわたしはこうして形成されていったわけである。
 
 で。わたしが小説に目覚めたのも、実は映画のおかげである。中学生ごろから、映画の原作やノベライズを読むようになり、文学に決定的に目覚めたのは、忘れもしない、夏目漱石原作、松田優作主演の『それから』を観て以降である。あの映画を観て、わたしは漱石を読むようになり、そこから「なんだこれすげぇ面白れえ!!」とむさぼるように文学作品や普通のエンタテインメント小説を読むようになった。どういうわけか、高校生当時のわたしは、漱石と大藪春彦先生にドはまりで、しかも、わたしはバカなクソ男子高校生だったので、「本を読んでるオレかっけえ」と、もう恥ずかしくて死にたいほどのスーパー勘違い野郎だったのが、今思い返すと笑える。アホだった……。
 ただ、その後大学生になったわたしは、ますます真剣に物語を読むことにのめりこみ、世界名著全集的なものはほぼ読破したし、とりわけ戯曲、シェイクスピアやギリシャ悲劇、フランス喜劇、ドイツ演劇といったものもだいたい制覇した。たぶんシェイクスピアは日本語で読めるものは全部読んだし、大学2年ぐらいのころにドストエフスキーにはまって(これは以前取り上げたColin Wilsonの『The Outsider』の影響)、これまた日本語で読める作品は全部読んだと思う。こうして、わたしの読書体験は相当変な方向というか、やたらと名作率が高いというか、妙に偏ったものとなり、逆に、誰しもが子供の頃に読んだであろう作品や、いわゆる日本のベストセラー小説の類は、ほぼ手を付けていないわけである。

 そしてサラリーマンとなってからも、仕事上ライトノベルや漫画を読む必要が生じたため、「よし、じゃあ会社の資料棚の左から、全部片っ端から読んでやる!!」ということをほぼ完遂し、自ら強化していったわけであるが、昨日、読み終わった作品の著者、有川 浩先生は、そんな中で出会った作家で、わたしが今、新刊が出ると必ず買う作家の一人である。

 というわけで、もういい加減にしろという声が聞こえてきそうなぐらい前置きが長くなったが、有川 浩先生の約15ヶ月(?)ぶりの新刊が先月発売になった。なんと、今回の作品は、あの、「コロボックル」シリーズの公式最新作である。恐らくは日本全国のコロボックルファン並びに有川先生ファンが待ち望んだ作品であろう。
 だがしかし。散々長い前置きで述べた通り、わたしは「コロボックル」というものを、知識としては知っていたものの、佐藤さとる先生による原典は全く読んでいないのだ。実はこの一言を言うためだけにクソ長くてつまらないわたしの過去を書き連ねたのだが、まあ、そういう事である。愚かなわたしの「コロボックル」という存在に対する認識は、えーと、あれでしょ、あの『シャーマンキング』の「ポックル」でしょ? ぐらいなインチキ知識しかない。アニメもやっていたことはうっすらとしか覚えておらず、まあ観たとしても年代的に再放送だと思うが、さっきちょっと検索してオープニングの歌をYouTubeで見てみたところ、全然記憶にないものないので、たぶん真面目には観ていなかったのだと思う。とまあこんなわたしであるので、果たして有川先生の新作とはいえ、読んで面白いものなのかしら、コロボックル知識がなくて大丈夫かしら? と若干の不安を抱きつつ、発売日に書店へ赴いた次第である。

 で、買った。そして読んだ。結論は「コロボックル知識がなくても全然大丈夫」であった。わたしが買ったのは、三省堂書店神田本店である。発売日に行ったら嬉しいことにサイン本があったので、即購入。ちょっといろいろ忙しかったので、読み始めたのは先週末頃で、実質3時間ぐらいで読み終えた。
 物語は、現代である。といっても、主人公が少年だった日々の回想であるので、正確に言うとたぶん1990年代初めのころだと思う。その点に、わたしは少なからず驚いた。てっきり、ドファンタジーなのかと思っていたら、全然そんなことはなく、全くリアルな(20年前の)現代社会が舞台で、その中に一つだけ、ファンタジックな要素が混じる、という、有川先生の基本スタイルそのものであった。
 キャラクターも、有川先生の作品らしい「やましいところのないまっとうに生きる人々」が描かれているので、読んでいてとても気持ちがいい。また、これまた有川先生らしい「まったく無意識に人を傷つける人」も出てくるが、子どもたちには、きちんと「正しいことを毅然と教えてくれる大人」がついているので安心して読める。また、タイトルである『だれもが知ってる小さな国』という意味も、美しく判明する仕組みで、読後感も非常にさわやかで、大変面白かった。はちみつや花についての豆知識も得られ、わたしとしては満足な1冊でありました。しかし、なんというか、……幼馴染っていいですのう……。この本を読むと、来年の夏は北海道に行きたくなりますな。
 ところで、さっき、いわゆる養蜂というものについてちょっと調べてみた。物語の主人公の少年は、いわゆる養蜂家の息子なわけで、全国を引っ越しながら暮らしているのだが、そういう養蜂家は「転飼養蜂」というらしい。そして、各地を巡る際は、「養蜂振興法」という法律があって、その第4条(転飼養蜂の規則)に従い、その地の知事の許可が必要なんだそうだ。そんなこと全然知らなかったので、勉強になりました。

 というわけで、結論。
 有川 浩先生最新作『だれもが知ってる小さな国』は、往年のコロボックルファンはもとより、コロボックルを知らない有川先生ファンにも安心して読んでいただける作品です。ので、わたしのようなコロボックル読んでないんだよなー、と迷っている方がいれば、Don't Worry。全然大丈夫ですので、ぜひ、お手に取っていただきたいと思います。はい。それを言いたいがために、無駄な前書きが長くなってサーセンっした。


↓ やっぱり、これは原典も読んだ方がいいな。俄然興味がわいてきた。

 2015年9月30日。もう一月以上前のことなのでニュースとしての価値はないが、この日、とある本屋さんが閉店になった。出版業界の、とりわけコミック系の版元ならば決してその存在を忘れられない本屋さん。書泉ブックマートである。本当に、本当に残念に思う。わたしは大変申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
syosen_bookmart
 ※写真は10/30に撮影。昨日前を通ったら、もうすっかり看板等も撤去されて、まるっきり淋しくなってました……。
 知らない人にちょっとだけ説明しておくと、この書泉ブックマートという本屋さんは、おそらくは、東京+千葉埼玉近辺のオタク系人類ならば知らない人はいないほど有名な本屋さんで、東京の神保町にある比較的大きな店だった。すずらん通りの東側入り口に位置し、すぐ横に三省堂書店本店があり、神保町古本街の中にあるので普通の本好きのおじさんおばさんもその前は何度も通るけれど中に入ったことはない、だって漫画と写真集とか、趣味系ばっかりなんだもん、という特徴ある書店だった。わたしも、中学生ぐらいから良く知っているお店で、ちょっと古い漫画を読みたくなって、探しても地元では見つからない時などに、じゃあ書泉行ってみるか、というような感じで、「行けば必ずある」最期の砦的な存在だった。写真集の世界でも、グラビアアイドルのサイン会といえば書泉、ぐらいに業界では浸透していたと思う。その書泉ブックマートが、閉店した。

 この閉店の背景にあるものは、言わずと知れた「出版不況」と呼ばれる社会構造の変化である。ちょっと自分を振り返ってほしい。最近、本屋さんに行きましたか? 行ったとしても、立ち読みだけじゃなく本を買いましたか? いやいや、馬鹿なことを、本屋さんに行きましたよそりゃあ、と言う人が、おそらくは世の1/4以下、そしてその中でもちゃんと本を買った人は、さらに1/4以下ではないかと、まったく根拠はないが思う。本気で数字を調べようと思えば、総務省や文化庁、あるいは厚生労働省あたりの白書や統計を漁ってみれば出てくると思うが、気が滅入るだけなのでやめておく。とにかく、「いやいや、わたしはちゃんと本を買って読んでいますよ」と胸を張って言える人は、たぶん全人口の5%もいない。
 だが、本当に問題なのは、その少なさではなくて、「減少加速度」だとわたしは感じている。つまり、うまく説明できないのだが、減少度がゆっくりでありながら確実に進行しつつ、ここ数年で急激に落ち込んだという過程が問題なのだ。もう、20年前からずっと右肩下がりでじわじわ落ちて来た市場の縮小も、誰もがみな「いや、今年はヒット作がなかったしね」と自らに言い聞かせながら、確実な減少を容認し、「仕方ないよ」で済ませてきた。そして、実際にそれは仕方ないことだったのだと思う。また、残念ながら9割方の人間は、未来ではなく足元しか見ていない。だからここ数年の、急激で、かつ、あわただしくやってきた大幅な落ち込みの前には、出版業界はなすすべなく呆然と立ちすくむしかできなかったのだと思う。例えば、電車の中で雑誌を読んでいる人は、ここ数年で本当にもう見かけなくなった。わたしの私見では、東日本大震災が一つの引き金だったと見ている。あの悲劇によって、毎月、あるいは毎週買っていた雑誌をうっかり買いそびれた人がいっぱいいるはずだ。あ、そういやあの雑誌買ってねえな。でも、ま、別にいっか、と「なくてもいいもの」であったことに気づかれてしまったのだ。その後にやってきたスマホの普及も追い打ちをかけたことだろうと思う。
 出版業界の市場規模は、業界スタンダートというか業界人なら誰でも見ている出版科学研究所発行の「出版月報」というもので毎月売上金額が発表されているので、すぐに調べられるが、その数字も、もはや見ても何の意味もなく、むなしいだけだ。最盛期の1996年と比較して、去年2014年は約60%、4割減である。特に雑誌はもう、この18年でほぼ半減しているのだ。
 街の本屋さんの減少も、もはや歯止めが効かないところまで来ている。とあるデータによれば、日本の本屋さんの数は、この10年で3割近く減少してしまった。もちろんそこには、単純に本が売れないからではなくて、大型書店の進出により廃業した街の本屋さんも多いが、いずれにせよ、非常に恐ろしい状況である。非常に残念だが、本、という商材を売るということ、それは非常に薄利の商売であり、大量に捌かなければ、店として経営困難になるのは当然で、しかも価格競争も法律で禁じられ、何らかの付加価値を与えることも難しい、きわめて特殊な商売である。そんな本屋さんが次々消えているという現象は、既に日本だけではなく、世界的に起こっていることである。
 また、普通の人は全く興味もないし知らないと思うが、「取次」と呼ばれる本の卸問屋も、かつては何社もあったが、その第4位(5位かな?)に位置していた会社ですらも、今年とうとう民事再生申請の憂き目にあった。第3位の会社も多額の債務超過となり、楽天や大手出版社からの出資を得てやっとの状態で、もはや瀕死の状態である。つまりもう、事実上2TOP以外は終わり、と極端に言ってもあながち間違いではなかろう。「出版不況」の波は、そんな切羽詰まった状況まで、来てしまっている。
 つまり、「出版不況」は、本を作るメーカーである「出版社」、本を仕入れて小売りに卸す問屋である「取次」、そして我々読者が本を買いに行く小売りたる「本屋さん」の三者全てが、もう手のつけようのないほど痛んでしまっている状態を指して言うものである。毎年毎年、右肩下がりであるのに、何もできなかった。特にこの7~8年がとりわけ激しい落ち込みだったと思う。だれもが、いやあ、ヒット作が出れば一発逆転ですよ、なんて妄想しかしてこなかったツケを、いよいよ払う時が来ているのである。

 じゃあ、一体なぜ、この「出版不況」は静かにそして深く進行していったのかということになるが、それにはもう、様々な要因がいっぱいあるので、もはやわたしのレベルでは考察できない。電子書籍の発達の影響? Webの発達で雑誌はいらなくなった? 少子化・高齢化・人口減の影響? 上で書いた震災やスマホの影響? 恐らくは、そういった誰もが考えつくような理由は、実際どれも正しく、また逆に、誰もが見落としているような特殊な要因は特にないのだと思う。まったく分析になっていないが、一言で言うと、「いつのまにか、本を読む人が少ないのが当たり前の世になったのだ」ということに尽きるのだと思う。

 そして、そんな当たり前の世を作ったのは、ほかでもない我々である。
 つまり、我々の「本に関する無関心」が「出版不況」を生んだのだ、と言えると思う。

 よくテレビで見かけると思うが、本屋さんに限らず、映画館でもいいしラーメン屋でもいいけれど、名店がとうとう閉店することになり、最後の日に客が溢れる場面を観たことは、誰でもあることと思う。たいていは「いやー最後なんで、見届けたくて来ました」なんて言っている人間が映し出されるわけだが、わたしはなんだかとてもイヤな気持ちというか、なんとも複雑な想いを抱く。そんなに惜しんでくれるの嬉しい、けど、ならなんで今まで来てくれなかったんだ、というのが本音の店主の方が多いのではなかろうか。毎日来てくれた常連ならわかるけれど、その店をつぶしたのは、我々の無関心であることは、100%間違いない。と思う。だからわたしは、こんなblogを毎日せっせと書いている。ちょっとでも興味を引いたら、買ってほしい。観に行ってほしい。でないと、本当に本も映画も演劇も、ダメになってしまうんだよ。頼むから皆さん、金を使いましょ、ね?

 わたしは、あの書泉ブックマートが閉店する、というニュースを見たとき、心の底から申し訳ないという気持ちでいっぱいになった。会社が御茶ノ水から引っ越して以降、すっかり足が遠のいてしまったオレ自身が、書泉ブックマートをつぶした一人なんだ。本当にごめん。そして、それでも、ありがとうと言わせてほしい。
 
 というわけで、結論。
 書泉ブックマートは1967年からあったそうだ。なんだよ、オレより年上だったんだ……。
 ビルはまだあるけれど、一体どうなるのか情報はない。取り壊されるんだろうな……何ができるのか知らないけれど、あそこに書泉ブックマートという本屋があったことは、ずっと忘れないと思う。
 ※追記:その後、あそこは建物はそのままで、なんと靴屋の「ABCマート」が入居しました。何というか……書泉ブックマートがABCマートに……ダジャレか!!! なんか腹立たしいことこの上なしである。

↓ 未来に対して絶望を禁じ得ない。 大丈夫かこの国は……。
デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
藻谷 浩介
角川書店(角川グループパブリッシング)
2010-06-10

 というわけで、月曜日恒例の週末映画興行収入データです。
 このBlogをチェックしている人がどれだけいるか知らないけれど、わたしはこの週末『The Monuments Men(邦題:ミケランジェロ・プロジェクト)』と『EVEREST(邦題:エベレスト3D)』の2本を観た。しかし、悲しいことに現代日本の洋画市場は大変厳しく、10億を超えれば、お、いいね、と思えるような淋しい状態になって久しい。
 今週末の興行も、残念ながら洋画はあまり元気なく、1位は『劇場版 MOZU』であった。 
 
 恥ずかしながらわたしは原作小説も読んでいないしドラマも観ていないので、まったく劇場版を観に行く理由はないのだが、散々予告を観た感じでは、役者も非常に豪華だし、かなり面白そうに見えた。が、映画から観ていいものか良く分からんので、とりあえずスルー。しかし今週1位の興収通り、まあ、TBSドラマ&WOWOWドラマを経て待望の劇場版、ということで、ファンも多いのであろう。お見事である。
 で。この週末の興行通信の情報をまとめると以下の通り。コメントはわたしの根拠LESSテキトー直感コメントなので、深く信じないでいただきたい。
 1位:『劇場版 MOZU』:公開初週/2.28億→15億程度は固そう。20億までは厳しいか?
 2位:『グラスホッパー』:公開初週/1.91億→10億は行けるかな? 頑張ってほしいな。
 3位:『エベレスト3D』:公開初週/1.64億→10億は行ってほしい。ギリ届かずか?
 4位:『俺物語!!』:2週目。数字の情報がないので分からないけれど、おそらくこの順位だと1億チョイ程度、9日間累計でもまだ4億チョイといったところではなかろうか(※根拠ナシ。鵜呑み禁止でお願いします)。ただ、こうなると本当にもう相当厳しい。最悪、10億にすら届かない可能性アリ。そこまでひどくないことを祈りたい。
 5位:『プリキュア』サーセン。どうでもいい。
 6位:『ギャラクシー街道』:3週目。数字情報つかめず。まだ公開3週目なのにこの位置にいるということで、16日間合計で10億に達していない可能性大。ほぼ確実に20億はもう無理か。なお、興行通信は「観客動員数ランク」なので、興収金額では『ギャラクシー』が5位で、客単価の安いはずの『プリキュア』が6位かも。
 7位:『PAN』サーセン。これもどうでもいいや。
 8位:『マイ・インターン』5週目でまだ頑張っている模様。たしか2週前ぐらいには10億を突破していたはず。洋画としてはかなり頑張っていると思う。観てないんだよな……何故かイマイチ観たい気にならない……。
 9位:『図書館戦争The Last Mission』5週終わりで、30日累計は15億を超えた模様。もうチョイ頑張れ!! 応援のためにもう一回観に行くべきかも……。とりあえず、前作並みの17億は見えたと思いたい。
 10位:『ミケランジェロ・プロジェクト』:公開初週/0.4億。まあ152スクリーンしかないからな……面白いのになあ……もうちょっと売れて欲しいのだが……。
 で、『バクマン。』であるが、公式Tweetによると11/4の段階でとうとう15億は超えた模様である。 良かった……最終結果は、17億±0.5億と先週予想したが、とりあえずそのまま変更なしとしておく。

 とまあ、こんな週末だったようだ。
 しかし、いろいろな情報ソースをあさっているのだが、このところ、たいていその週末の数字だけだったり、初登場作品の数字しか見当たらなくなってきたような気がする。以前はもっと情報が豊富だったのだが……初週後の数字のほうが重要なんだけどな……何らかの情報統制なのか良くわからないけど……黙って日刊興行通信を購読しろということか……。1~2週遅れで、BOX OFFICE MOJOでも更新されるのだが、こちらも今年はなんか不定期な更新で、わたしとしては大変困る。 
 いずれにせよ、どうも東宝の秋作品は、まず数からして多いというか、ちょっとスケジュール的にキツキツな印象がある。そのせいなのか分析できていないが、正直なところ、ことごとく数字がイマイチだと思う。そう考えると、9月に公開された、Warner配給の『ヒロイン失格』は23億を超えたようなので、9月以降の公開作品で最大ヒットとなったわけだ。いや、『アンフェア the end』の方が上かな? わたしが最後に見かけた『アンフェア』の数字は、たしか23億弱だったと思うので、ちょっと微妙かも。しかし一体全体なんでまた『ヒロイン失格』がそこまで売れたのだろう? そんなに面白かったのであろうか? たしかに、公開はシルバーウィークの長い休み直前だったので、うまく波に乗れたと思う。また、ライバル不在でもあったかもしれない。『進撃の巨人・後編』と同日公開ではあったが、『ヒロイン失格』の大勝利である。これを事前に予想できた人っているのだろうか? もし、「フッ……読み通りだぜ」と思っている人がいたら、ぜひ教えてほしい。観ればよかったな……くそう。チェックが甘かった。
 ちょっと、自分用備忘録として、今年の東宝配給作品のラインナップをまとめて今日は終わりにしよう。後々、ちょっと振り返ることもあろうから、ま、書いておくか。ちなみに、業界的には12月公開作品から翌年扱いになるので、2014/11/29公開の『寄生獣』から、並べてみよう。なんか忘れてるものがあるかも。

 『作品名』、公開日 「A」はアニメ作品、「C」はコミック原作、「N」は小説原作、「T」はTVドラマ/TV番組派生(原作アリ含む)、「O」はオリジナル(と思われる)という感じで印をつけてみようか。
C『寄生獣』2014/11/29
A『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』2014/12/06
C『アオハライド』2014/12/13
A『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』2014/12/20
O『バンクーバーの朝日』2014/12/20
T/N『映画 ST赤と白の捜査ファイル』2015/01/10
N『ジョーカー・ゲーム』 2015/01/31
T『テラスハウス クロージング・ドア 2015/02/14
A『映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記』2015/03/07
C『ストロボ・エッジ』2015/03/14
N『風に立つライオン』2015/03/14
C『映画 暗殺教室』2015/03/21
O『エイプリルフールズ』 2015/04/01
A『名探偵コナン 業火の向日葵』 2015/04/18
A『映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語』2015/04/18
C『寄生獣 完結編』2015/04/25
N『映画 ビリギャル』2015/05/01
C『脳内ポイズンベリー』2015/05/09
N『イニシエーション・ラブ』2015/05/23
C『予告犯』 2015/06/06
A『バケモノの子』 2015/07/11
T『HERO』 2015/07/18
A『ポケモン・ザ・ムービーXY』2015/07/18
C『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』  2015/08/01
A『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』2015/08/07
T/C『S-最後の警官-奪還』2015/08/29
T/N『アンフェア the end』2015/09/05
C『進撃の巨人エンド オブ ザ ワールド』 2015/09/19
C『バクマン。』2015/10/03
N『図書館戦争 The Last Mission』2015/10/10
O『ギャラクシー街道』2015/10/24
C『俺物語!!』2015/10/31
T/N『劇場版MOZU』2015/11/07

 以上をまとめると、
 Aアニメ作品:8本。ほぼすべて10億以上。『妖怪』『バケモノ』など超大ヒットも。
 Cコミック原作:11本。1位は『巨人』の前編で31.7億、2位が『暗殺教室』27.7億かな。
 N小説原作:5本。1位は『ビリギャル』28.3億か。まあ、正確には小説じゃないけど。
 TV派生(コミック・小説原作含む):6本。1位は『HERO』46億ですな。
 Oオリジナル:3本。未だ『ギャラクシー』の数字は信じられない。
 こうして改めて並べて見てみると、コミック原作がホントに増えたなー。全体の1/3が「コミック原作実写映画」なんですけど(TV派生含まず)。それと、やっぱり10月からのラインナップの混雑具合はちょっと目立つような気がする。あれかな、ひょっとして、12月の『STAR WARS』とぶつかるのを避けたとか、そんな事情もあるのだろうか? なんにせよ、ホント、厳しい数字ばかりでなんか悲しくなってきた……。そして12月の『orange』が心配でならない……。大丈夫ですか……?

 というわけで、結論。
 『劇場版MOZU』は、正直可もなく不可もない無難なスタートである。また『バクマン。』『図書館戦争』はめでたく15億突破。もう一声頑張ってほしい。そして『ギャラクシー』と『俺物語』は相当厳しそうだ。今後もしばらく動向を観察したい。

↓ やっぱり小説から入るかな……。

 以前、このblogで『Beyond the Edge』ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂という映画の感想を書いたが、そこでも触れた通り、人類がエベレストに初登頂したのが1953年5月29日。まだわずか60年ほどしか経過していない。わたしの両親世代の青春時期にはまだ誰も成功していなかったというわけだ。意外とまだ全然歴史がないわけだが、その後の60年で劇的にいろいろ進化して、いまや「商業登山」というものさえあり、金を出せば、そしてある程度の訓練をすれば、極端に言うと誰もが登頂可能な世の中になっている。
 ただし、である。そこは人間の生命活動を100%拒絶する「デス・ゾーン」であり、また登頂成功には天候が大きな、おそらくは最大の要因であるため、当然頂上に立つことはいくら金を払おうと恐ろしく困難であり、これまた極端に言うと、命がけの行動となる。現在、登頂成功率がどのぐらいのものなのか知らないけれど、遭難死亡事故も毎年確実に起きているのであろうということは想像に難くない。
 そんな、人外の地であるエベレストで、1996年に エベレスト登山史上最悪と記録される大きな遭難事故が発生した。8人が亡くなり、その中には日本人の難波康子さんも含まれている。実に痛ましい事故だが、その事件を映画化した映画が、わたしが今日見た映画、『EVEREST』(邦題:エベレスト3D)である。

 わたしはこの映画を、ハリウッド資本がまた派手にエベレストを撮ったエンターテインメントだと思っていた。なので、冒頭にBased on a ture Storyと出ても、まあどうせ、登頂に成功するんだけど下山時に大変な目に遭って、それでも何とか奇跡的に帰ってきて、家族と感動的に再会してよかったよかったという話でしょ、と、まったくもって高をくくっていた。年代が、ちゃんと冒頭に1996年と出ても、私はまったく気づかなかった。しかし、キャラクターに日本人女性が出てきて、その名がヤスコ・ナンバだという。その瞬間から、え、これってまさか、あの、あの事故を描く気なの!? と一気に脈拍数が跳ね上がった。このblogに偶然たどり着いて、読んでいる人の中で、あの約20年前の事故を覚えている人がどれほどいるか分からないけど、当時日本でも大々的に報道された遭難事故だ。わたしはもう、この時点で帰りたくなった。怖くて。
 
 というわけで、愚かなわたしのテキトーで楽観的な想像は完全に砕け散り、壮絶な映像が後半続く。くわしいことは、Wikiで1996年のエベレスト大量遭難としてまとめられているので、そちらを見てもらった方がいい。
 この映画では、事故の最大の原因はタイムオーバーであると描かれている。要するに時間切れ、だ。登頂までに時間がかかりすぎたこと、その結果、酸素不足や天候の変化に間に合わなかった、という見解だ。この点は、事実と一致しているのかどうかは分からないけれど、登山愛好家としては十分ありうることだと思う。山は、とにかく迅速な行動がすべてだ。計画よりも時間が押してしまったら、それをリカバーできる能力が自分にあるのかどうか、冷静に判断して、行けると思うなら行けばいいけれど、ダメなら引き返すしかない。しかし一生に一度のチャンスであるエベレストの山頂を目の前にして、引き返すというのは、どんなに経験を積んだ人間であっても、容易に決断は付かないだろうと思う。そして下した決断の代償を命で購ったとしても、とてもわたしはそれを愚かだとか浅はかだとは思えない。だって、誰だってそうなるんだから。どうやら、世の中的には、やはり「商業登山」に対する批判的な意見が多いようで、この遭難事件に対しても、「引き返すべきだった」「体力不足・技術不足」というのが大方の意見で、それは実際その通りで反論の余地はなかろう思う。そしてその判断を曇らせたのが、これが商売であり、「登頂を成功させたい動機が金であったこと」に非難が集まっているようである。しかし、そんなことは誰だって分かるし、誰でも言える。でも、実際にその場にいて、撤退の判断が本当に下せるのか、相当怪しいのではなかろうか。
 ただ、この映画で、これは一体何故なんだ? という不可解なことが少なくとも二つ描かれている。バルコニーの上でのトラバースロープは何故張られていなかったのか。この部分のロープ復旧作業でまず時間を取られたのが原因のひとつ。そしてもう一つが、なぜ、置いてあったはずの南壁(?)の酸素は、空っぽだったのか。これがあればもうちょっとだけ事態はマシだったはずだ。映画では、この原因は語られていない。なんとなく、シェルパがやらかした的な描写はあるけれど、真相は良く分からない。要するに、直接的な原因は天候の急激な変化だけれど、実際のところは人災であるということである。そして人災であるということは、決してなくなることはない、ということだ。
 この映画を観終わって、わたしはちょっと良く分からない。一体、製作者は事故を再現して何を描きたかったのだろう。商業登山への警鐘? 無謀な挑戦への批判? 事故の原因究明? それでも登ろうとした人々の想い? まあ、きっといろいろな意図があるのだろう。わたしはただただ、今までに山で遭った雷や氷点下の恐怖がまざまざと思い出されて、映画なのにわたしはもう、本当に怖くて、歩け、いいから歩けよ!! と手に汗を握ってしまった。エベレストというデス・ゾーンがいかに恐ろしいところか、を描きたかったのならば、少なくともほんのちょっとだけ山の経験があるわたしには、十分以上伝わったよ。本当に、怖かった。そして、難波さんのご遺族には改めてお悔やみ申し上げたい。この映画を許諾をされるのはきっと深い思いがあったと思う。その決断は本当にすごいと思います。わたしだったら、ちょっと直視できないのではなかろうか……。本当に、心が痛みます……。
 今日は、本当は漫画『』に絡めていろいろ書こうと思っていたのだけれど、あまりに壮絶であったため、『岳』についてはもう書けない。非常に優れた漫画で、おそらく日本の山男・山女の大半は読んでいる漫画だと思うけれど、あの最終回は、正直読みたくなかった。漫画なんだから、というのは変だけど、主人公・三歩には、最後までスーパーマンでいて欲しかった。今回の映画は、まさしく『岳』と同じ物語であった。いや、逆かな。『岳』の最終エピソードは、まさしくこの映画で描かれたあの悲劇がベースになっていたのだということを、初めて認識した。漫画だというのに、あの三歩というキャラクターは、いまだ忘れられない。

 役者陣は、Jason ClarkeJake GyllenhaalJosh BrilinSam WorthingtonKeira Knightleyなど豪華キャストが存在感たっぷりに演じており、見応えは十分である。また、撮影も、正直ロケなのかCG合成なのか、もう全然区別できないほどの映像で素晴らしかった。なお、3Dぶりは、正直なところいまひとつだったような印象で、3Dよりもこの映画は、とにかくなるべくデカイスクリーンで観たほうがいいと思う。ひょっとしたら、AtomsやIMAXで見ると、またその迫力は別格にすごいのかもしれないが、今回はわたしは最寄のシネコンで観てしまったので(それでもそのシネコン最大スクリーンでの上映ではあった)、まあ、その意味では普通ではあった。

 というわけで、結論。
 映画として楽しめるかというと、これは人によるね。ああ、そりゃまあ、当たり前か。
 よく、なんで山に登るの? とわたしレベルでも聞かれることがあると前にも書いたが、わたしはたいてい、「まあ、気持ちいいからっすね」とテキトーに答えることにしている。けれど、その答えを本当に知りたいなら、お前も登ってみろ、と心の中では思っている。とりあえずわたしは、ロックと雪山だけはやめておきます。


↓ 名作、と言っていいんだろうな。でも、ホントに三歩には最後まで超人でいて欲しかった……。
 

 ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer)という画家はご存じだろうか? 17世紀のオランダ人で、残された作品が少なく、日本でも非常に人気のある画家だと言って良いと思うが、日本に彼の作品がやってくると、たいてい大変話題になり、わたしもまた足しげく美術館へと足を運んでいるので、個人的にもなじみのある作家である。おそらくは、一番有名な絵は、「真珠の耳飾りの少女」という作品で、たぶん誰しもが知っているのではないかと思う。たしか3年ぐらい前に、わたしも東京で実物を見たが、非常に白目と真珠の耳飾りのハイライトが目に突き刺さるような、とても印象深い絵である。半開きの唇もまた、いろいろな想像をかき立てる。この作品については、実はわたしの大好きハスキー・グラマー・ガールでおなじみのScarlett Johansson(通称スカージョ)主演で映画にもなっているのをご存知だろうか? なんとその映画でフェルメールを演じたのは、Collin Firthである。映画としてはちょっと微妙だけど、その当時の風俗・暮らしぶりを知るには非常に興味深い作品である。フェルメール好きなら必見と一応言っておこう。もちろん、当時19歳のスカージョもやたらと可愛いことはいわずもがなである。

 で。 わたしが一番最近観たフェルメールの作品は、今年の3月ごろに乃木坂の新国立美術館で開催された「ルーヴル美術館展」のメイン級として来日した「天文学者」という作品である。↓こんなやつ。
天文学者
 この作品は、非常に似た構図・人物で描かれた「地理学者」という作品と対になっているのだが、今年観た「天文学者」は、想像よりも小さく、それでいてなにか強いオーラというか、明らかに、これはただものではないというパワーをまとった作品で、ちょっとビビったことをよく覚えている。
 で、残念ながら無知なわたしは、この絵を見たときは全く知らなかったのだが、なんとこの絵は、かのナチスドイツによって接収され、後にオーストリアでぽろっと発見されたものなんだそうだ。もちろん、ナチスドイツが世界の美術品を収集していたことは一般常識として知ってはいたが、この「天文学者」という作品も、えらい大変な目に遭ったんだね……というのは全く意識していなかった。そして、今日観た映画で、そういった奪われた人類の宝と称すべき美術品を、ナチスから奪還することをMISSIONとした「The Monuments Men」と呼ばれる男たちのことを初めて知ったのである。

 というわけで、わたしが今日観た映画は『The Monuments Men』(邦題:ミケランジェロ・プロジェクト)である。監督は、主演の一人であるGeroge Clooney本人で、最近白髪が増えてきたわたしとしては、ああ、コイツみたいになったらカッコいいのだが……とあこがれる野郎の一人である。いや、無理なのは分かってるよ!! 言ってみただけ。サーセン。
 物語は、原題の通り、「The Monuments Men」という、第2次世界大戦時にナチスに奪われた美術品を奪還・保護することを任務とした、特別な男たちのお話である。パンフレットによれば、大筋は実話ベースではあるが、キャラクターは映画用にかなりいじっているそうなので、完全に実話そのものではないようだ。例えば、映画には、上記に挙げたフェルメールの「天文学者」がまさに彼らによって発見・保護されるシーンがあって、うおお、マジか!! と実物を今年観たばかりのわたしは若干興奮したのだが、どうも、実際は戦後に発見されたものらしいので、史実だったのかどうか、正直良くわからない。
 また、「The Monuments Men」が始動し始めたのは大戦末期で、ノルマンディーから上陸して各地を回るのだが、D-Day後なのでパリももう解放される直前あたりで、映画の中では戦闘描写はあまりない。なので、普通の戦争映画とはまたちょっとだけ切り口が違っていて、非常に興味深かった。当然、軍人たちは、美術品を優先して戦闘を避けるわけにもいかず、The Monuments Menの面々はなかなか現地で協力を得られない。The Monuments Menの面々は、もちろん軍人という扱いではあっても、元は美術館長や学芸員、建築家といった人々で構成されているので、冒頭の招集後に新兵訓練を受けるシーンはあるけれど、歳も歳なので、まあ、戦闘に関しては完全な素人である。わたしがそんな任務を受けて、いかに戦争末期とはいえ、はたして戦地に向かえるだろうか? などとぼんやり考えてみても、そりゃあビビるだろうなという事は容易に想像はつく。でも、おそらくはそれでも、この人類にとって極めて重要な任務なら、わたしもビビりながらも参加するだろうな、と21世紀にのんきに暮らすわたしは無責任に思った。思うに、自分の命を懸けるに値する、きわめてやりがいのある任務だと思う。だから、まあ史実とは違うと言っても、やはりThe Monuments Menのメンバーには深い尊敬と感謝を抱かざるを得ない。すごい男たちだ。

 役者陣は、主役のGeroge Clooneyをはじめとして、Matt DamonCate Blanchett、あるいは最近やけにまた活躍し始めたような気がするBill Murrayなど芸達者が脇を固め、万全である。今回は、わたしとしてはCate Blanchettの美しさが非常に際立っているように見えた。フランス人役なので、フランス語なまりの英語で話すのだが、極めてセクシーである。ビジュアル的にも、いかにも冷たそうな出来る女的な、クールなメガネ女子を演じていて、とても良かった。もちろんそのクールさは、ナチスに対する嫌悪と美術品に対する熱い思いを隠す仮面なわけで、とある出来事があってMatt Damonを自宅に招待するシーンがあるのだが、そこでのいつもの氷の女王的な姿とは違う、ドレスアップしたCate Blanchettは恐ろしくBeautifulだった。彼女の「泊まってもいいのよ……」という誘いを、Matt Damonはカッコよく断るのだが、観ているわたしは、お前よく断れたな!? と心の中でつぶやいてしまった。まあ、だからわたしはダメなんですな。納得。

 なお、物語上、The Monuments Menがとりわけ強い意志を持って追跡する作品が二つある。ひとつが、「ヘントの祭壇画」と呼ばれる作品で、Wikipediaによれば15世紀に製作された北方ヨーロッパ絵画の最高傑作の一つだそうだ。時代としてはルネサンス期で、まあ、すごい大作ですな。今現在は、2012年から5年がかりで行っている修復作業中だそうです。そしてもう一つが、ミケランジェロの作品で唯一、イタリア以外に存在する「聖母子像」である。これは16世紀初めの作品だそうだ。こちらは現在も観に行くことができるそうですな。両作品とも、本当に、無事でよかった。今、世界では自らの信仰する宗教以外を認めない人々の手によって、数多くの人類の宝が破壊されているという、極めて残念でならないことが行われており、本当に心が痛むのだが、なにか出来ることはないのだろうか……。やっぱり、教育が一番重要なんだろうな……。
 ともあれ。このミケランジェロの「聖母子像」にちなんで、この映画の邦題は「ミケランジェロ・プロジェクト」となったのだと思うけれど……どうなんだろう、微妙にダサいというか……まあ、代案を出せないので、黙っときます。でもまあ、この映画はやっぱり『The Monuments Men』として、わたしの記憶に残ると思う。

 というわけで、結論。
 この映画は、美術好きな方は必見、と申し上げておく。ただし、史実とは微妙に違うらしい、ということは頭の片隅に置いておいた方がよさそうですよ。詳しくは、パンフに結構書いてありますので、そちらをどうぞ。

 ↓ 美術好きで、観てない人は是非。19歳のスカージョのハスキーボイスがイイ!!
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2013-06-26

 

 『よつばと!』という、あずまきよひこ先生による大ヒット漫画がある。まあ有名なので説明は省くが、この『よつばと!』の連載が始まった時は、あずま先生の前作『あずまんが大王』が四コマであったため、なんとなく見開き単位でオチを付けようとする感じがあって、なんかテンポが悪いな、なんてことを思っていたのだが、そんなわたしの偏見もあっという間に気にならなくなり、非常に楽しく面白い漫画として、今や12巻累計で1,000万部を突破したスーパー大ヒットコンテンツとなった。ただ、よくわからないけれど異常に連載が止まったりして、かつては年に最低でも1冊は単行本が出ていたのだが、今月やっと発売になる最新巻13巻は、2年8か月振りだというから、相当な間隔があいてしまっている。まあ、もはや金には困らないんでしょうな、あずま先生は。
 で。世には、子供と大人の毎日のほんわか生活を描く漫画が数多くあるけれど、どうしてもいつも、『よつばと!』のパクリじゃん的な評価をされてしまうことがあって、非常に残念なのだが、わたしが新刊が出れば必ず買う漫画の一つにも、そんな子供と大人の交流の物語がある。それが、『銀のニーナ』という作品である。その最新(7)巻が発売になったので早速買い求め、楽しませていただいた。(※ちなみに「しろがねのニーナ」と読む)

 紙の単行本は9月に出ていたのだけれど、大変申し訳ないがコミックスに関しては一部を除いてなるべく電子で買うわたしなので、じっと待っていたのだが、ようやくわたしの愛用する電子書籍販売サイト「BOOK☆WALKER」でも配信が始まったので、待ってましたとばかりに購入した。

 この漫画は第1話が双葉社から試し読み公開されているので、こちらを読んでもらったが早かろう。物語は、主人公が東京で職を失い、故郷の北軽井沢へ帰ってくるところから始まる。帰った実家には、金髪碧眼の10歳の女の子がいた。姉の娘、すなわち姪っ子だった。姉は極めてアクティブな人物で、スウェーデンで結婚・出産したが後に離婚、国際的に各地を飛び回るポジションまで出世したため、娘「ニーナ」を実家に預けた、というのだが、ちょうど実家に戻った弟たる主人公が、ニーナの面倒を見ることになり……という話である。
 この漫画の面白さは、ひとえにニーナの可愛らしさと、時に主人公がまぶしく感じるほどの真っ直ぐさにかかっている。日本文化が大好きで、みずから母の実家に行くことを選択したニーナ。でも、やっぱり漢字や文化はわからないから戸惑う事もある。それでも、ニーナは真っ直ぐ前を観てくじけない。努力もする。もちろん、基本的に10歳児なので遊びたいし、サボることもある。また、時には母が恋しくて寂しくてしょんぼりすることもある。けれど、東京での夢破れて故郷に戻った主人公には、そんなニーナの生き様が非常に心の支えになるのだ。
 設定や基本的なストーリーラインだけを見ると、なんだかラノベチックなトンデモ話を想像するかもしれないが、中身はいたって真面目である。ニーナという存在自体がファンタジーに感じるかもしれないが、そのファンタジックな存在を取り巻く環境は極めて現実的で、まさしく異国から来た美少女であるニーナが懸命に日本を理解しようとする姿は、とても健気で可愛らしい。主人公は、そんなスーパーポジティブで何でも楽しめる(正確には、何でも楽しもうとする)ニーナという存在に心癒され、当然読者も同様に、癒されるのだ。

 物語はすでに第(7)巻まで進んでいる。夏休み前から始まった物語も既に学校が始まって友達も増え、前巻ではニーナの母も日本に帰って来て(またすぐに戻ってしまったけど)、年越しを迎えたところまでだったが、今回はお正月からバレンタインデー~北軽井沢「炎のまつり」までが描かれる。お祭りというと、これまた『よつばと!』と被るネタではあるけれど、わたしは既に、『よつばと!』よりもこの『銀のニーナ』の方が好きな漫画である。『よつばと!』はもちろん面白い。よつばの無邪気さや自由奔放さに頬が緩まない大人はいないんじゃないかというぐらい、無敵の5歳児だ。しかし、あまりに無邪気すぎて、正直わたしは心配になる。大丈夫かこの娘……ちょっと知能ぶりが遅れてやしないか? と妙に現実的なことがわたしは読んでで心配になる。しかし、ニーナは完全に分別の付く立派な人間であり、きちんとした、子どもなりの考えを持っている。その点で非常に安心するんだよな……とても。
 だが、ひょっとするとこの漫画にほっこりするのは、男だけなのかもしれない。女性が読んで面白いのかは、ちょっとだけ自信がない。あくまでこの漫画は、職を失った主人公の男からみたニーナであるので、その点で女性の共感が得られるのかどうか、わからない。一応、わたしの周りの女子たちにも読ませてみたけれど、反応はイマイチで『よつばと!』の方が面白いと断言されてしまったので、まあ、男向けなのか、な。

 というわけで、結論。
 『銀のニーナ』は、わたしとしては『よつばと!』よりも面白いと思っている、新刊が楽しみな漫画である。まあ、もちろん、今月発売になる『よつばと!』13巻も買いますけどね。なんというか、『ニーナ』は真面目な漫画ですよ、とても。わたしとしては、超・おススメです。


↓ 応援のために紙でも買うべきか……?

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースです。
 今週は、ここ数週間続いた、ほかのマンガの「げええーーーっ!?」という展開はなく、比較的落ち着いて各漫画を楽しめました。先週の『弱虫ペダル』での事案発生wも、今週はまあ、通常レベルの変態展開でしたので、平常運転に戻っております。また、先々週大変なことになった『囚人リク』も、通常通りのテンションでありました。
 一応、今週の『弱虫ペダル』の変態展開で、クスッと笑ったシーンだけ引用しておこう。
 泉田「ハァハァ言っている もしかして もう 息 上がってるかい?」
 小鞠「え? 何ですか? 息? そりゃあ もう ハァハァものですよ あなたの筋肉の動きをこんなに間近で見れて ハァハァならない わけないじゃないですか」
 泉田(そっちか!!)
 ――いや、まったくもって、「そっちか!!」ですね。笑わせていただきました。なお、変態小毬くんは、泉田くんの左大胸筋――通称「フランク」――をもみまくった感触が「肘の方まで」残っているそうで、今週はずっともう満面の笑顔です。完全に犯罪者ですね、ありがとうございました。

 さて、では今週の『鮫島』ニュースです。
 今週の『鮫島』は、先週から引き続き過去の回想です。【蒼希狼】の入門から、十両昇格までがざっと振り返られました。「モンゴルの青い空の希望となる狼となれ」。そんな想いを込められて、親方がつけてくれた四股名であること。純粋なまでの強さへの貪欲さで、あっという間に三段目優勝を遂げた【蒼希狼】に、兄である【大山道】は「感謝」という日本語を教える。お前は一人で相撲を取ってるんじゃあない、周りに感謝して相撲を取らなくちゃいけねえ。【蒼希狼】は、土俵は自分の力だけだと言うが、その力はどこから来てるのか。【蒼希狼】は国の仲間に腹いっぱい喰わせてやりたいだけだと思っているが、【大山道】は、「小さいコト言ってんなーお前は・・・」と切り捨てる。「腹いっぱいどころか お前ならそいつらのタメのデッカイ家だって建てられるぞ・・・家どころか・・・勉強できる学校だって夢じゃない・・・」そんな夢を実現できる可能性がお前には詰まっていると教える【大山道】。どうやら、その背景には【大山道】も児童養護施設で育ったという過去があるようだ。
 それからますますけいこ量が増えていった【蒼希狼】。
 だが、どうやらここで、何かが起きたようだ。そのヒントは、今週うっすらと描写されている。どうも、やはりモンゴルにいるかつての仲間たちが影響しているらしい。【蒼希狼】からの仕送りが増える中で、彼らはどんどん身なりが良くなっていく姿が描かれているが、どうやらそういうことのようだ。十両昇進直前の場所前に、モンゴルの仲間に電話する【蒼希狼】。関取になれば(=十両に昇進すれば)、今までよりももっと金が入る。その金で「みんなで暮らせる デッケー家と 誰でも平等に勉強できる学校を作りてーんだ・・・」という夢を笑顔で語る【蒼希狼】。そして、まずは十両昇進を決めた【蒼希狼】に待っていた現実は――というところで今週はお終い。

 そうか……そういうことだったのかな……【蒼希狼】が戦う理由を失ったというのは、どうやらモンゴルの仲間に裏切られたってことのように、今週を読んだところでは推測できる。そういうこと……だけかな? まだ結論を下すには早かろう。それにしても、【大山道】兄貴がカッコよすぎて、早く鯉太郎との取組も読みたいですな。また泣けるような気がしてなりません。楽しみです。

最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所で東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明w
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 --------
 【天雷】東関脇
 【蒼希狼】??? 最高位は小結。

 というわけで、結論。
 今週の『鮫島』も、大きな進展はナシだが、【蒼希狼】に降りかかった運命は、来週以降、もっとはっきり見えてくるだろう。このペースだと、【宝玉光】戦ほどは話数がかからないような気がするのだが、鯉太郎VS大山道の熱い戦いを期待して待ちたい。

↓ 待望(?)の単行本は今月発売。明日か。応援のために、買うことにしよう。しかし……もうチョイ、読みやすく線を整理してほしいのだが……。
  

 松たか子さん主演で映画化もされた『告白』という小説がある。とある 中学の先生が、殺された娘の復讐を遂げる壮絶なお話である。基本的に、章ごとに話者が変わり、一人称で語られるスタイルで、これを映像化するのはちょっとしんどそうだな、と思っていたら、映画も実に見事なスーパー大傑作で、また松たか子さんの演技も大変素晴らしく、興行的にも大ヒットとなった作品である。
 
  当然わたしも小説は発売当時に読んでいたし、映画も観た。そして唸った。よくもまあ、こんなにも人間を嫌なものと書けるもんだなー、この作家はすごい、と。『告白』という作品においては、当然復讐を遂げようとする主人公も基本的に悪人だし、加害者であるガキも悪党、その母親もイカれてる、そして、これは原作小説よりも映画のほうがより顕著なのだが、とにかくクラス全員のガキどもが、とんでもないクソガキどもで、まあコイツら全員死んだら最高だな、と思いながら映画を観た。とにかく本当にキモチワルイぐらいにいやーーーな奴らばっかりだった。ので、これは非常に見事な大傑作だけど、ちょっと一般ウケしねえのでは? と心配なぐらいだったのだが、どうやら世の中はそういうショッキングで刺激の強い映画がお好きなようで、38.5億という、おそらくは誰も予想しなかった大ヒットとなった。まったくどうでもいいが、橋本愛ちゃんはこの時の委員長役が絶頂期じゃねえかな、とわたしは思っている。今は……ちょっと……ええ、結構です。

 で。もはや説明の必要もないと思うが、この『告白』でデビューした作家が、湊かなえ先生である。その後、わたしはたぶん、湊かなえ先生の作品は、文庫化された作品ならすべて読んでいる。が、残念ながら最近ちょっと飽きてきた。なぜなら、どの作品も非常に面白い作品であることは間違いなく、確実に超一流の小説家であるとわたしは思うのだが、同様に、毎作品、ひじょーーに、いやーーーな奴ばっかりなんだよね、登場人物が。
 世には「イヤミス」という言葉があるらしいがご存じだろうか? 「読んで嫌な気持ちになるミステリー」のことなのだが、湊かなえ先生の作品を称して良く使われる言葉でもある。湊かなえ先生の名誉のために言っておくが、作品自体、わたしは非常にハイレベルの見事な作品ばかりだと思う。だけど……オレ……いやーーな話を読むのはもう……ちょっと疲れちゃった。きっちりとラストはすっきりしますよ、ええ、そう意味ではきっちりカタルシスを味わえます。それは確かです。なので、小説としての完成度は非常に高いと断言してもいいと思います。だけど、ホントサーセン。疲れちゃったんだ……そういう人間の嫌な面を直視するのは。

 という感じのわたしなのだが、湊先生の作品は発売されれば必ず書店店頭で大きく展開され、文庫化された際は必ずベストセラーランキングに登場する。そして、今度は大丈夫かな……なんて思わず手に取ってしまい、ふと気が付いたらレジでお金を払っている。なんなのオレ。というわけで、先月、文庫で発売された『境遇』も、うっかり買って読んでしまったわたしである。(※なお、元々のハードカバー単行本は2011年10月に刊行されているので、結構前の作品です)
境遇 (双葉文庫)
湊 かなえ
双葉社
2015-10-15

 この作品は、あとがきにも詳しく書いてあるが、TVドラマありきの作品だそうで、朝日放送のプロデューサーが湊先生に惚れこんで執筆を依頼し、一緒にストーリーを話し合いながら書き下ろしてもらった作品らしく、ドラマも同時に作られ、朝日放送(関東人の我々的にはテレ朝)で放送されたものだそうだ。そういえば、湊かなえ作品初TVドラマ化、みたいな話題になっていたような気もするが、残念ながら文庫でしか買う気のないわたしは、単行本は読んでいないしTVドラマ版も観ていない。全然ドラマのことなど意識せずに読んで、さっきあとがきを読んで初めて、へえ、と思ったわけである。
 が、読み終わり、あとがきを読んだ今、ちょっとだけ、なるほどと思う事があった。それは、湊先生にしては、ぜんぜん「イヤミス」度が低いのだ。ミステリーとしての謎も、正直最初の方でほぼ見抜けたし、イヤな奴具合も非常に薄い。それから、残念ながら、すべての伏線回収もされていないような気もする。大変失礼ながら、このぐらいの密度でないと、2時間ドラマには無理か、なんて妙な納得をしてしまったわけである。

 今回も、湊かなえ先生の作法にのっとり、基本的に一人称の語りである。一人称という小説は、当然のことながら自分以外の心情はわからないわけで、自分の視線だけしか描写されない。なので、キャラクター同士の思っていることはすれ違う。ある場合には、平気で自分にうそをつくことだってあるので、読者としては、書いてあることを鵜呑みにはできない。そこがまたポイントである。なお、大傑作『告白』も、一人称であるがゆえに、モブキャラであるクラスのクソガキどもは、小説版ではあまり描写されないが、映画版ではきっちりモブキャラどもも描かれているので、たぶんその点で映画版の方がクラスのクソガキ度がぐんとアップしているんだと思う。
 で、本作がどんな物語か簡単に説明しよう。今回、主人公は二人いて、どちらも親の顔を知らない、児童養護施設に引き取られた女性である。一方はすぐに養子となって養父母に愛され、幸せな青春を送り、県会議員の妻となった女性だ。彼女は、うっかり趣味で描いていた絵本を、後援会のイヤなおばちゃんに児童文学賞みたいなのに勝手に応募されてしまい、賞を受賞し、一躍時の人となってしまう。で、もう一方は、高校卒業まで施設で育ち、努力の後に新聞社へ入社し、男運が薄いながらも、決して不幸ではなく頑張って生きてきた女性だ。この二人は学生時代に知り合い、親友になる。そしてある日、絵本の女性の大切な息子が、姿を消し、脅迫状が送られてくる……というものだ。
 鍵となるのは、「果たしてこの二人が親友となったのは、お互いの境遇が似ていたからなのか?」という点である。二人の境遇は、お互いが捨てられた子供であること以外は、実際まるで違うわけで、上記のどちらの女性が思うにしても、若干ゆがんだ想い、と言えそうである。絵本の女性がそう思うとしたら、それはやや自虐的であろうし、新聞社の女性がそう思うとしたら、それはややひがみ混じりであろう。つまり、無意識にお互いの上下関係? 幸せ比べ? みたいなものを前提としているわけで、「あなたはいいわね、幸せで」「ごめんね、わたしだけ幸せで」というある種の人間の醜さというか、誰しも当たり前に抱いてしまう心のやましさを描いているとも言えると思う。まあ、そこがまさに今回の湊かなえ節炸裂ポイントなのであろう。
 なので、結末はなんとなく、今までの湊かなえ先生の作品にあるような、解消不能な憎しみの連鎖はなく、結構美しくまとまっているので、正直わたしとしては、あれっ!? これで終わり!? と若干拍子抜けしたというのが正直な感想だ。先にも書いた通り、ミステリー部分もあっさりしているし。今までの作品が、背脂ギトギトこってりとんこつラーメンだとしたら、今回の作品はバーミヤンの醤油ラーメンぐらい違う(?)とわたしは思った。まあ、わたしはバーミヤン大好きですけどね。

 というわけで、結論。
 湊かなえ先生の『境遇』は、従来比で若干薄口である。読了タイム2時間チョイで行けたことも、それを表していると思う。が、だからと言ってつまらないかというと、まったくそんなことはなく、きっちり面白い作品でありましたとさ。

↓ 一番強力にイヤな奴ばっかり出てくる作品は……どうだろう、コイツかなあ……? そうでもないか……? やっぱり『告白』かなあ……。あえて言うなら映画版『告白』かな。

 というわけで、週末映画興行収入データです。
 まずは『バクマン。』から。どうやら、累計14億強まで伸びた模様です。私のテキトー予測では、もうスクリーン数が激減すると思っていたのだが、まだ300以上をキープしているので、上映回数は減っているけれど、なんとか15億を超えるのは見えてきたと思う。が、ここから2億3億積むのは現実的にはちょっと難しいであろうから、最終的には17億±0.5億というところで決着するのではなかろうか。まあ、私のインチキ予想より少し良いかな、というところだろう。
 問題は、その数字をどう評価するか、であるが、15億を超えれば間違いなく赤字は回避できたと思うので(イヤ、特に根拠はないですけど)、商売としてみるなら成功、と言える。その意味では、おそらくは当初の期待よりは小さい成績だとは思うが、十分合格点であろうと思う。よかったよかった。いや、あんまり良くないか。続編が作られるかどうかは、相当微妙なラインだと思う。脚本的に難しいだろうな、とは思うけれど……
 そして次に数字を見たいのは『図書館戦争 THE LAST MISSION』だが、こちらは4週終わりの23日間累計で13.8億だそうだ。これは、前作の同じ日数で比較すると約105%である。ので、まあ、順調ではあるが……なんだか毎週書いているけど、もう一声欲しかったところ。いずれにせよ、前作並みの17億チョイはたぶん大丈夫だと思う。前作並なら、なんとか最後の『革命』にGO!サインが出る……のかな。ファンとしては期待したい。
 で、『ギャラクシー街道』の前に、今週末公開された、恐らくは東宝が結構期待していたと思われる『俺物語』の方に注目してみよう。この作品は、少女マンガを原作とするもので、今の市場動向からすると鉄板の興行が期待できる要素を持つ、かなり強い作品だと私は思っていた。

 ビジュアルイメージもいいし、恋愛漫画であるので、このところの東宝のラインナップからすれば売れて当然の期待がかかる作品だといっていいはずである。わたしも、原作漫画は1巻しか読んでいないが、男が読んでも面白いし、主役の変態仮面こと鈴木良平君の肉体改造も素晴らしく、役になりきっている演技は予告だけ観てもかなりのハイクオリティである。なので、わたしは間違いなくヒットするんでしょうな、と思っていたのだが……公開週末の興行収入は1.37億だったそうだ。わたしとしては、これは先週の『ギャラクシー』に続き、まったく信じられない数字である。そんなバカな!? なんで? ちょっと東宝作品が重なりすぎているのか? ファーストデーで客単価が落ちていたこともあるだろうが、ちょっと前なら、この『俺物語』は確実に20億以上期待できたはずだと思う。だが、このスタートでは15億もあやしい、という厳しいスタートである。なんでだろう? 9月の『ヒロイン失格』は20億を超えたというのに、どうして『俺物語』が15億も厳しいのだろう? 時期か? 内容か? 原作の力か? キャストか? 客層か? おそらく、何かがズレているのだとは思うが、ちょっと勉強不足でなんとも言えない。これはもう少しデータを集めて真面目に考えた方がいいような気がする。この謎を自分なりに納得するのはかなり難しい。いや、ホントに分からない……。

 で、最後に『ギャラクシー街道』である。大変申し訳ないが、わたしもまだ観ていないのだが、2週目の週末興収は1.8億で、9日間累計で6.8億ほどだったようだ。これもまあ、厳しい状況は変わらずだ。9日間で6.8億という数字は、先週参考にあげた作品の9日間累計と比較してもかなり低い。『寄生獣・完結編』は7.4億、『陽だまりの彼女』は7.6億、『謝罪の王様』は8.1億だった。『バクマン。』も9日目累計で6.6億だったので、本当に『ギャラクシー』は、もう完全に20億には届かないだろう。粘って粘って、ギリ届かないと思う。
 だとすると、三谷監督の次回作は、残念ながらかなり予算が縮小されてしまう可能性が高く、小規模なものしか撮れなくなってしまう。マジなのかこれ……それは残念すぎる。何度も書いているが、現状の日本映画界で、「オリジナル」作品で勝負できる稀有な才能なのに……。先週も書いたが、わたしはこの事態に関しては、フジテレビのメディア力の低下が深刻な事態に陥っていると解釈するつもりだ。地デジになって「8」chが一番端っこになってしまったことも影響しているのだろうか? これは、本当にマズイ。極めて深刻に受け止めるべきだと思う。 まあ、世の若者たちは、今週はHalloweenで映画どころじゃなかったのかもな…….
 ★2015/11/09追記:翌週最新データ更新しました→こちらへどうぞ

 というわけで、結論。
 どうもこの秋の東宝映画は、非常に厳しい展開である。まさか『バクマン。』や『ギャラクシー』が20億届かず、『俺物語』が15億も怪しいことになるとは、きっとまったく想定外の事態ではなかろうか。12月公開の『orange』は、大丈夫……だろうか……? 大丈夫だよね? 非常に不安になってきた……。

↓ これはとりあえず4巻までは買って読んだ。まだ完結していない作品を、2時間の映画にどうまとめるのか興味はある。仕方ない、5巻も買うか……

 毎週月曜日は、映画の興行収入データをいつも書いているが、今日、大変な映画を見てしまったので、その興奮が冷めやらぬうちに、書いてしまおうと思う。興行収入データは、今日の夜、情報集めて明日書きますのでお許しを。
 というわけで今日、わたしが観たのは、世界・珍作映画選手権大会の監督部門で優勝可能なのではないかとわたしが常々思っている、M・Night Shyamalan監督による最新作、『VISIT』である。 いやー、参った。想像の斜め上を行く、とんでもない珍ムービーであったw どのくらいかというと、そうだなあ、同じシャマラン作品で言えば、『Signs』の上を行くような気がする。わたしとしては、シャマラン作品の中で一番ヤバイ珍ムービーが『Signs』だから……ええと……あれっ!! てことは、サーセン。ナンバーワンですな、つまり。(※11/3追記:一晩たって落ち着いて考えると、ナンバーワンは『Village』かな、という気がしてきた)

 ストーリー自体は、ほぼ上記の予告で語りつくされている。とある姉弟が、祖父母の家へ行くと。そして、大変な目に遭う、というだけの話である。
 ただし、のっけから、ズバリ書きますが、この予告からしてすでに、完全に予告詐欺であるw なので、わたしのように、どんな映画を見ても「うわー、すげえの見た!!」と笑って許せる人間でないと、この映画は厳しいと思う。まず、わたしが詐欺だw と笑ってしまったのは、上記予告に出てくる、3つのお約束なんてものは、映画では出てこない点だ。確かに、3つ目の、21時半以降は部屋から出ないように、というのだけは出てくるけれど、それは中盤以降だ。しかも、その約束(正確には、みんなでそうしようと決めた)も、そりゃあんなもの目撃したら、部屋から出たくないわww という出来事の後なので、別に約束事でも何でもない。むしろ自主的に、部屋から出ませんと思いたくなるものであった。
 また、この予告の最後に、シャマラン監督本人が出てきて、「アナタは既に騙されている!!」的なことを言うけれど、実際のところ、ストーリー上、観客を騙すような仕掛けは一点だけである。だが、はっきり言って、全く普通レベルの騙しで、全然驚くに値しない。むしろ、10年前のシャマランだったら、ここに絶対、良くわからないSuper Natural要素をブッ込んできて、な、なに―――!? と観客を驚きあきれさせるだろうな、と思った。今回はそういうSuper Natural要素はゼロなので、実際あり得るレベルの騙しだったのが極めて残念に思った。つまり、いちいちキモチワルイ画を見せたりもったいぶった割に、ストーリー的にはまったく普通なんだよね、今回の作品は。
 もちろん、シャマラン監督といえば、世界を驚かせた『The Sixth Sense』において、Bruce Willisこそが●●でしたーというあの騙しは、極めて丁寧で、非常に上品かつ上手な騙しだったと思う。はっきり言って中盤で余裕で見抜けるのでわたしは全然驚かなかったけれど、それでもやっぱり見事な映画だったと評価できる作品だった。しかしながら、その世界的な高評価に対して、それ以降のシャマラン監督は、何かを勘違いしているとしか思えない珍作ばかりを撮っており、おそらくは毎回、どうだ、また騙されただろ!! とドヤ顔でいるのではないかと思う。まさにそのドヤ顔を予告にくっつけた東宝東和は、相当な自虐あるいはギャグセンスをお持ちなのではないかと思う。確かに。騙されたよ。まさしく。予告そのものに!!! ※怒っていません。笑えたので許す。
 ただ、わたしが心配なのは、これが東宝東和による炎上マーケティング的な自虐・自爆プロモーションなのだとしたら、それが通じるのはわたしのような映画オタクだけなので、今後は慎んだ方がいいのではないかと思う。なにしろ、わたしはかなり劇場で爆笑出来たので、ある意味満足ではあるけれど、ほかのお客さんは……まったく笑っていなかったですよ。相当怒ってる空気感というか、何だこりゃ? 的な雰囲気だったので、真面目な映画通には全く通じないと思います。

 わたしは、シャマランの新作が公開される、というニュースを見ると、まーた来たか、とワクワクする一方で、もうそろそろ、劇場に行かなくても、WOWOWで十分でしょ……? と思うのに、いやいや、今度こそ『The Sixth Sence』並に素晴らしいかもよ!? と、何故かそんな確率は1%未満だと分かっているのに、観に行ってしまう。なんというか、つい、足のにおいをかいでしまうような、若干の変態行為に近いような気がしてならない。そして、やっぱ臭かった、と確認してしまうのはわたしだけ? だろうか。そういうわけで、本作を観たい人は、別に止めないけれど、まあ、常々、D級映画ハンターとか、クソ映画ハンターと呼ばれるわたしであっても、本作はかなり強力なパンチ力を秘めているので、ある程度の覚悟をもって劇場へ行っていただきたい。
 なお、映画の主人公である、幼い姉弟の二人は、とてもいい演技をしていたことは記録に残しておきたいと思う。特に、弟の方は、とにかくツッコミが素晴らしく、恐ろしいものを目撃して「What a hell is tha-----t !?」と、まさに観客であるわたしも「今のなんだあれ I?」と思う瞬間に、その観客の気持ちを代弁してくれるような絶叫シーンが多く、そういう点では素晴らしい脚本だったのかもしれない。また、ラップが大好きという設定で、弟は自作のラップを3回かな、披露してくれるのだが、事件がすべて終わった後のエンディングで、彼が歌うラップの歌詞が、ものすごく見事に事件を総括していて、周りの皆さんには大変迷惑だったかもしれないが、わたしは我慢できず声を上げて笑ってしまった。いやはや、ホントに、弟も観客のわたしも、えらい目に遭ったもんだw

 というわけで、結論。
 普通の人は、まあ、WOWOWやDVD/Blu-rayで十分じゃないでしょうか。
 わたしのような変態めいた映画オタクでないと、ちょっと厳しいと思います。
 いやー、久しぶりにシャマラン節が炸裂しまくったクソ映画でした。
 (※観ていただければ「クソ」映画とわたしが言う理由が分かりますw)

↓ これは本当に素晴らしい出来なんだけどね……
シックス・センス [Blu-ray]
ブルース・ウィリス
ポニーキャニオン
2009-07-24

 既にこのBlogで何度も書いている通り、わたしは宝塚歌劇を愛しており、中でも星組推しで、そのTOPスター、ちえちゃんこと柚希礼音さんの大ファンであったわけだが、ちえちゃんは宝塚を卒業して次のステップへ旅立ち、代わって星組は、北翔海莉(通称みっちゃん)さんがTOPに就任した。相手役の娘役TOPも、ちえちゃんと6年間のお相手を務めた夢咲ねねちゃんが添い遂げ退団(一緒に卒業すること)したため、新たに妃海風ちゃん(ひなみ ふう:通称ふうちゃん)がみっちゃんさんのお相手に就任した。
 というわけで、新たなTOPスターコンビを迎えた新生・星組の記念すべき大劇場お披露目公演が、わたしが昨日観てきた『GUYS &DOLLS』である。結論から言うと、いやー、本当に素晴らしかった。これからもわたし、星組イチ推しで応援します!! (※なお、大劇場公演の前に、既に全国ツアーではお披露目済みではあります)

 北翔さんは、元々月組→宙組→専科という経歴を持つ実力派である。ただ残念なことに、星組推しのわたしは月組・宙組時代を観たことがなく、専科に移ってからの『ナポレオン』『エリザベート』の2作しか観ていない。脇を固める渋い実力派ということしか知らなかったので、ちえちゃんに代わる星組TOP就任のニュースは少なからず驚いた。わたしはてっきり、ちえちゃん率いる星組2番手の紅ゆずる(通称:べに子)さんが後を継ぐのであろうと思っていたので、あ、そうなんだ、ええと、誰だっけ? と大変失礼なことを思ったものだ。あとで、あ、『エリザベート』のフランツか、そりゃまた渋いですな? とそんなひどいことさえ思った。そして、昨日の公演を観るまでは、WOWOWの「宝塚プルミエール」やMXTVの「TAKARAZUKA Cafe Break」といった番組でも、非常に回りに気を遣っているというか、なんとなくご本人も「ごめんなさいね、わたしがTOPになっちゃって……」みたいな雰囲気を感じていたので「ホント大丈夫ですかね?」なんて失礼なことを、わたしのヅカ師匠のお姉さまに言ったところ、「バカをおっしゃい!! 北翔さんは、現役の中で歌、ダンス、芝居のすべてが抜群に上手な素晴らしいジェンヌよ!!」と激しく怒られてしまった。あわわ……ご、ごめんなさい!! とわたしとしては土下座する勢いで謝るしかない。

 というわけで、若干の心配と期待をこめて、昨日は日比谷の東京宝塚劇場に推参したのである。が、最初に言ったとおり、そんな不安はまったく杞憂であった。師匠の言ったとおり、みっちゃんさんは抜群に歌も芝居もダンスも、三拍子そろった非常にレベルの高いTOPスターであった。いやー、この人は上手い。大変失礼ながら、現状のTOPスターの中でも歌と芝居とダンスの整った上手さでは、ひょっとしたらナンバーワンではなかろうかとさえ思った。
 今回の『GUYS&DOLLS』は、知っている人ならもう常識だが、元々はブロードウェーミュージカルである。 宝塚でも過去2回上演されていて、今回が3回目の再々演ということになるそうだ。そしてみっちゃんさんは2回目の再演が2002年に月組で上演されたときにも出演していて、自身よく分かっている演目でもある。
 内容は、非常に陽気なコメディータッチで、今回は、主役のみっちゃんさんの素晴らしさはもちろんのこと、他にも特に主人公の友人(?)であるネイサンとその婚約者アデレイドの二人が抜群に良かった。そのネイサンを演じたのは、わたしが大好きなべに子ちゃんである。これがもう、超はまり役で、元来バリバリの関西人である彼女の陽気さがあふれていて、調子のいい陽気な悪い奴、という役をノリノリで演じてくれていた。なんだか、これはアドリブか? というような部分も多くて、非常に楽しめた。べに子、あんたも最高だよ。今年の5月だったかに、ちえちゃん退団直前のお茶会と呼ばれるファンミーティングに師匠と行ったときは、べに子も来てくれて会場をとても盛り上げてくれた。ちえちゃんとたぶん一番仲の良かったべに子。これからも応援するからな!!
 そして一方の婚約者アデレイドは、今、わたしが星組で一番推しているといっても過言ではない、礼真琴(通称ことちゃん)ちゃんがかわいらしく演じていて、驚いた。驚いたというのは何故かというと、ことちゃんは、男役ジェンヌなのである。普段は男役が専門なのだ。そのことちゃんが、女性を演じている時点でわたしにとっては驚きなのである。そしてまた、その可愛いことといったら、もうそりゃあ、観ていただくしかなかろう。すっごく良かったし、抜群に歌も良かった。ことちゃんは、95期生だから、まだ25歳前後だと思うけれど、TOPスターの必須条件である新人公演主役を何度も務めており、おそらくは数年後にはTOPまで行き着けるのではないかと期待しているが、とにかく、歌がものすごく上手くて、わたしはこの2年ぐらい注目している。女性役も非常に良かった。ことちゃんは、男役としては若干背が低いのだが、それでもやっぱり、ヒロイン役のふうちゃんと並ぶとかなり背の高さが違うなと思った。なんだろう、何故かわたしは、今回のことちゃんは、顔も歌も30年前の若き頃の中森明菜さんにすごく似てると思った。現在、わたしはことちゃんのファンクラブに入ったほうがいいんじゃねえかな、と本気で悩んでいる。でも、キモイおっさんがお茶会に行ったら迷惑かもな……まあ、とにかくずっと応援していきたい。
 で、娘役の新TOPのふうちゃんだが、これまた非常に可愛らしい女子で、酔っ払ったところの演技など、大変によろしゅうございました。いいね。とてもいい。歌も芝居もまったくもって上等。今回は2幕モノなのでショーはなかったが、ダンスぶりを今後チェックしていきたい。まあ華奢ですな、とても。それに、やっぱり非常にフレッシュですよ。これは各組で共通して言えることだと思うが、娘役TOPも世代交代完了といった感がある。今までわたしは、娘役はあまり注目していなかったのだが、今後は各組の娘TOPもちゃんと応援していきたい所存である。
 なお、昨日は舞台制御プログラム(?)の不調で、1幕終了まであと5分ぐらいというところでマイクが反応しなくなり、9列目のわたしはきちんと聞こえたのだが、銀橋で歌うみっちゃんさん&ふうちゃんの歌のところで一時中断、20分ぐらい調整作業が続くというハプニングがあったが、わたしとしては、だってしょうがないよ、と思うのでまあお咎めなしとしたい。あんなこと初めてで驚いたけど。

 というわけで、結論。
 新生・星組による『GUYS&DOLLS』は、ヅカファンならば絶対に必見であると断言しよう。芝居自体もとても面白いし、北翔海莉率いる新たな星組の勇姿を、ぜひ堪能していただきたい。

↓ べに子主演の『Gone with the Wind』。オレ観てないんだよなあ……。観に行きたかった……!!
 

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