2015年10月

 と、いうわけで、2週間前に先行上映会で観た『機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア』を、Blu-rayを手に入れるために再度観てきた。既に2週間前に散々書いた通り、非常に高いクオリティでアニメ化された『THE ORIGIN』。初日をむかえたという事で、今日は思いっきりネタバレで書くので、知りたくない人はここから先は自己責任でお願いしたい。一応予告を再度貼っときます。

 まずストーリーだが、今回の『哀しみのアルテイシア』は、ご存知の通り、いわゆる「ファースト・ガンダム」を完全に描いたコミック作品『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の、第10巻に当たる部分である。
 一応説明しておくと、『THE ORIGIN』は単行本全23巻+後日譚の24巻からなっており、「ファースト・ガンダム」と一部設定が修正されている部分も結構ある。特にキャラクターの年齢設定は大きく見直され、アニメよりも年齢が上げられたキャラクターが多い。基本的にはオリジナルのTVアニメのストーリーを大枠では踏襲しているが、ホワイトベースの進路だったり、マ・クベの最期だったり、結構いろいろな点でアニメとは違うストーリーになっている部分がある。その中で、おそらく、最大(?)の特徴は、一年戦争前史と言える、ジオン・ズム・ダイクンの死から一年戦争開戦までが回想としてきっちり描かれている点だろう。そこでは、ダイクンの遺児である後のシャア、セイラさんの二人の成長の物語が語られている。この長い回想が第9巻から第14巻までかな、6冊にわたって描かれており、今回のアニメ化では、一体どこまでやるんだろう? というのが大方のガンダムファンの注目点ではないかと思う。
 で。「機動戦士ガンダム」という作品で舞台となる「宇宙世紀」の時系列を、『THE ORIGIN』設定でごく簡単にまとめると、こうなる。

 ■宇宙世紀0068~0069
 ジオン・ズム=ダイクン死亡。その子供であるキャスバル(9~10歳)とアルテイシア(6~7歳)が地球へ逃れる。『THE ORIGIN』の第9巻に相当。映画の前作「蒼い瞳のキャスバル」でアニメ化済。
 ■宇宙世期0071~0074
 兄弟は地球で「マス家」の養子となるが、ザビ家によるジンバ・ラル暗殺事件があって再び宇宙に戻り、テキサスコロニーに逃れる。また、一方でキャスバルたちを地球に逃したことで軍籍を奪われた(?)ランバ・ラルは、ドズルの要請でダークコロニーへ。そこで「モビルスーツ」開発のテストパイロットになる。テキサスコロニーでは、キャスバルたち兄妹は、とある運命的な出会いを経験するが、ハモンさんから母が亡くなった知らせを受け、憎悪に駆られたキャスバルは、妹アルテイシアを置き去りにし、「シャア・アズナブル」となってジオン士官学校へ入学する。その入学式で新入生代表として宣誓したのは、ザビ家四男のガルマだった……。これが『THE ORIGIN』第10巻のお話。
 ■宇宙世期0075~0079
 『THE ORIGIN』第11~14巻に相当。シャアとなったキャスバルの士官学校での話しと、ジオン独立のきっかけとなった、「暁の蜂起事件」と呼ばれる士官学校蜂起事件を経て(ここまで11巻)、シャアは再び地球へ降り、ジャブローの建設現場で働くことになり、そこでララアと出会う。そのころ宇宙では、ジオニック社のミノフスキー博士によるモビルスーツ開発の進展と亡命事件、連邦軍とアナハイム社のテム・レイによる対抗機開発と初めてのモビルスーツ戦での惨敗などが描かれ、0079年ジオン公国の独立宣言&宣戦布告でによりついに戦争勃発(ここまで12巻)、人類の半数を死滅させた「コロニー落とし」から、のちにルウム戦役と呼ばれる、シャアが「赤い彗星」と異名をとることになる戦いが描かれる(13~14巻)。
 ■宇宙世紀0079~0080:いわゆる「一年戦争」=「ファースト・ガンダム」 
 
 ただ、明確な年号がはっきりと描かれる事が少ないので、上記のまとめはわたしがWeb上でwikiをはじめとしたいろいろな情報でまとめたものなので、ちょっと怪しいことは白状しておく。というわけで、映画の中では、前作から3年ほどが経過しており、地球に逃れた兄妹の運命を描いたのが今回の『哀しみのアルテイシア』だ。

 しかし、映画の前作が原作9巻を完全に描いたのと違い、今回は、実は原作10巻の「途中まで」だった。わたしはちょっとこの点については、あれっ!? と思った。原作コミックを読んでいるわたしには、微妙に切りが悪く感じられたのだ。上記の通り、原作10巻の最後は、士官学校入学式の、ガルマの「宣誓!!」というところで終わる。そこでは、キャスバルは既にシャアになっているわけで、その部分までは今回描かれていない。今回の映画は、キャスバルがアルテイシアに別れを告げるところで終わる。この「キャスバル兄さぁーーーーん!!」と叫ぶアルテイシアは、オリジナルのTVアニメでも回想で描かれていた名シーンであり、そこに至るまでの前史が『THE ORIGIN』で初めて描かれたわけだが、ここで終わり!? というのが、今回の映画では一番驚いた。
 その直後の、キャスバルがシャアになる部分が非常に重要だと思うのだが……ただ、ここも描いて、原作10巻通りのところまでを描くとなると、若干、今回のサブタイトルである『哀しみのアルテイシア』にそぐわなくなってしまうとは思う。ので、おそらくは監督も安彦先生も相当悩んで、ここまで、としたのだと思う。実際のところ、原作コミックを読んでいない人ならば、ここまでというのは非常に切りはいいかもしれない。なので、まあ、これもアリか、と納得することにした。映像クオリティは前作同様に非常に素晴らしく、この作品は金を払って見に行く価値が十分以上にある、と断言したい。
 ただまあ、今回ここまでとなると……次回の映画は、そのシャア誕生のエピソードだけでも15分ぐらいは必要だろうから、どうなんだろう、11巻を一気に描けるのかな……とちょっと心配だ。実は、2週間前の最速上映会では、毎回最後に流れる次作の予告がなかったので、どうなんだろうと心配だったのだが、今日公開された劇場では、きちんと次作の予告も流れていた。次回、第3話のサブタイトルは『暁の蜂起』である。それはまさに原作11巻で描かれた物語であるので、たぶん、次作は10巻の最後40ページくらい+11巻全部を描いてくれるものと思われる。
 となると……安彦先生は今回の映画は4部作、とおっしゃっていたので、最後は12巻を描いて終わり、となるのかもしれない。いやーーそうなったらちょっと……残念だなあ……話的にちょっとだけ中途半端になっちゃうんだよな……ルウム戦役はやらないのかなぁ……ここも見せ場が多いのになあ。

 で。最速上映会での安彦先生を交えたキャストトークショーで聞いた話である。
 今回、10代前半~中盤のキャスバルだが、既に発表されている通り、池田秀一さんが声を担当している。この、若いキャスバルの声だが、トークショーで聞いたところによると、ちゃんとオーディションをやって、池田さんが役を獲得したんだそうだ。そして実は一度アフレコが終わって、OKが出たのにもかかわらず、池田さんは終わったその日、夜、飲んでいて、「ごめん! やっぱりもう一回やらせてくれ!!」と監督に直訴したんだそうだ。本人的には、思うところがあったのだろう。安彦先生曰く、非常に驚いたそうで、最初のアフレコでも十分な出来だったらしいが、2回目となる一人録りは、さらに良い出来となったのだそうだ。その池田さん渾身の若きキャスバルの声は、ぜひ劇場でご確認いただきたい。ちなみに、池田さんの弁によると、「僕はさ、ちゃんとオーディション受けたのに、(古谷)徹ちゃんはそんなのなかったって言ってたよ(笑)」だそうです。そう、今回、幼きアムロ・レイが一瞬出てきます。ついでに言うと、キャスバルたちをテキサスコロニーに移すことを勧めたのは、ヤシマ・カンパニーCEO。つまりミライさんのお父さん。なので、15歳のミライさんもちらっと出てきます。
 あともうひとつ。トークショーで聞いて、へえ~、マジか、と思ったのは、途中でハモンさんが恐ろしく色っぽく、クラブエデンで歌を歌うシーンがあるのだが、このシーンは、実際に歌担当の澤田かおりさんの歌っている姿を元に作画されているんだそうだ。いや、別にモーションキャプチャーしたわけじゃなくて、歌っている姿を見ながら動きを手描きでトレースしたそうですよ。しかし、ハモンさんやランバ・ラルの大活躍ぶりは、その後の運命を知っているだけになんとも悲しいですのう……

  というわけで、結論。
 原作コミック『THE ORIGIN』を読んだ人も、読んでいない人も、今すぐ劇場へGO!!
 特に、かつてガンプラを作って遊んだ40代のおっさんはぜひ。金はあるんだから、前作を見てないなら今すぐ、Blu-rayをポチって購入し、まず観て、そして翌日にでも劇場へ行くべし!! 絶対に後悔しない。と思う。

↓ 観ていないなら、今すぐポチるか、配信で観て!!!
機動戦士ガンダム THE ORIGIN I [Blu-ray]
田中真弓
バンダイビジュアル
2015-04-24





↓ 最新作『II』は、11/26発売。なので劇場へ行くか、配信で観るべし!! わたしはもう劇場先行で買ったよ。
機動戦士ガンダム THE ORIGIN II [Blu-ray]
池田秀一
バンダイビジュアル
2015-11-26

 3日前、使っているTabletがイカれたときの記事で書いたが、現在契約しているDocomoのスマホがとにかく気に入らないわたしであった。改めて理由を列挙すると、
 ■最近、やけに電池の持ちが悪くて、電子書籍を読んだり、ちょっとテザリングをしたりという、スマートフォンであるからこそ期待している機能を使う時間が増えると、確実に家に帰るまで電源が持たない。イラつく。
 ■さすがに3年近く使っているので、結構まめにアプリをきちんと終了させたりメモリクリーニングしているのに、動作が若干遅い、ような時がある。
 ■やはり、サイズ感的に半端にデカく、半端に重い。
 ■そもそも、電話ってほぼ使わないんですけど。
 ■てゆうか、月額6.300円ほどって、やっぱり安くはねえわな。
  というわけで、月末でもあるし、思い切ってガラケーに機種変更してきた。そして、前にも書いたが、やはり常時、ネット接続環境がないのはプチ不安もあるので、SIMフリースマホ&MVNO_SIMを導入することにした。 そして帰って来て、真っ先にやったことは、様々な設定ではなく、とりあえず↓これだ。
NCM_0126
  まあ、そういう事です。とりあえず、ガラケー&SIMフリースマホともども、「STARK INDUSTRIES」社製にラッピングしてやったった。カッコいい……とひとり悦に入るおっさんの図は、くれぐれも想像しないでください。

 まずガラケーである。久しぶりに使ってみると、なんというか懐かしいというか、やっぱり小さくて軽くていいですな。まあ、わたしに電話がかかってくることは、月に数回もないので、正直どうでもいいのだが、どうしてもまだ、docomo.ne.jpのキャリアメールを捨てる決心はつかなかった。電話番号だけであれば、MNPで持って行けるのだが……ボッチ野郎のわたしでも、まだdocomo.ne.jpのメールは月に数件は確実に来るので、捨てられなかったのがちょっと我ながら男らしくなかったと反省している。ま、しょうがない。
 この機種変更により、おそらくはi-modeなどメール以外は全く使わないはずなので、Docomoへの月々の支払は約1,600円となり、約4,700円お安くなった。これは結構大きいのではなかろうか。ちなみに、機種は、以前使っていたのと同じFシリーズなので、メニュー構成とかが変わっていないため、すらすら使える。なお、元の本体カラーはGOLDで、そこにメタリックレッドのシートを貼っています。詳しくはこちらの記事参照

 次。まずはSIMカードをどうするか考えた。が、今の世の中、いわゆるMVNO、仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator)と呼ばれる事業者がバカみたいにいっぱいあり、またプランも多く、正直どれを選べばいいのかさっぱりわからないという消費者不在の戦国時代となっている。
 しかし、しょせんこのMVNO事業者は、DocomoやKDDIの回線を「卸してもらって」いるだけなので、回線クオリティ的には別にどこであろうと劇的な違いはねえのでは? と結論付けた。いろいろなIT系サイトにおいては徹底比較的な記事がいっぱいあるけれど、はっきり言ってまったく参考にならないというか、結論を出していないところが多いので、記事を読んでも、じゃあだからどれがいいんだよ、と思うのが普通ではなかろうか。なので、
 ■データ通信のみ。音声通話やSMSは不要!!
 ■ひょっとしたらSIMの枚数を増やすこともあるかも。
 ■月額データ容量は3GBもあれば十分。2GBだと若干心配かも?
 ■余った容量は翌月繰越可能であっていただきたい。
 ■できれば、公衆Wi-fiもセットで使えると有り難し。
 ■1,000円以上払う気はないッ!! 解約も自由にさせていただくッ!!
 という条件で、10分ぐらい悩んだところ、特に決め手はないけれど、とある事業者のSIMにすることとした。たいていのIT系Webサイトでせっせと調べて記事にしている回線スピードは、それほど重視しなかった。別に動画を見るわけでもねえし、メールの確認とブラウジングができりゃいいんだから。で、選んだSIMは月額900円ナリ。これでDocomoスマホよりも、ガラケー料金を含めて3,800円安くなったと。うーん、まあ微妙だけど、お得ではあるわな。もちろん、即、使いたいので、愛するヨドバシ店頭にてSIMカードを入手し、帰ってすぐにアクティベートした。専用Webサイトでチョチョイと支払のカード情報やSIMの番号を入れるだけ。すぐに申し込みは完了し、ネット接続も確認できた。

 で。最後はハードウェア、SIMフリースマホである。コイツはすごく悩んだ。
 ■スマホが嫌な理由はでかくて重いからなのに、またスマホってオレはアホですか?
 ■やっぱり、Xperia Z3 tablet compactのSIMフリー香港版をEXPANSYSで買うか?
 ■でも、せっかくNEXUS9があるのに……もったいねえのでは?
 ■じゃ、いっそWi-fiルーターにSIMブッ刺せばいいんじゃね?
 ■いやでも、いちいちNEXUS出すのもねぇ。その度にルーティングってのも電池の持ちもなあ。
 というあんばいで、完全にわたしの脳内取締役会は紛糾し、一時は、もうめんどくせえから、Docomoスマホのまんまでいいんじゃね? という一番最悪の保守派の意見が通りそうになって困った。その時、いつもはほとんど発言しないことでおなじみの、わたしの中に眠る積極派が突然、それじゃあ意味ねえでしょうが!! と怒鳴りつけたような気がするので、まずは行動あるのみ、と、docomoショップでガラケーに機種変更して退路を断ち、SIMも決めて、ヨドバシに行こう、そして実機をいろいろいじくってみよう、という事になったわけである。
 そして――ごくあっさりASUS社謹製の「ZenFone2 Laser」にした。ごく単純に、赤い美しいボディに惚れたからである。

 はっきり言ってスペック的には全く普通というか決してハイエンドではない。最強スペックならば、同じシリーズでもZE551MLという上位シリーズもある。その上位シリーズにも同じ赤いボディがある。なのに、なぜこれにしたかというと、上位シリーズよりもサイズ・重さがコンパクトで、値段も手頃だったからである。はっきり言ってスペックは要求していない。これで十分すぎる、と判断した。

 こうしてみると、結局スマホのデカさや重さにイラついていたわたしなのに、変わってねえじゃん!? おまけにひとつ、ガラケーが増えちゃったよ。むしろ総重量は増えたのに、なにしてんのあんた? と思われる方もいるだろうと思う。実際、まったくもってその通り。しかし、やっぱり新品は速いし、重量も軽くなってる。なにより、カッチョイイ。ので、わたしとしてはこれで良いのだ。ガラケーも、圧倒的に電話しやすいね。

 というわけで、結論。
 とりあえず、docomoへの月額支払いはぐんと軽くなった。けれど、ガラケー約4万、SIMフリースマホ約3万。この7万を取り返すには、約18カ月必要である。ますますもって、何もしない方が良かったのでは? といまだ私の脳内保守派がささやきかけてくるが、これでいいの!! 気に入ってんだから!!


↓ コイツも美しい機体ではあったが、悩んでZenFone2 Laserにした。だって赤がカッコイイんだもん。 

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースです。
 ――が、今週もその前に一言だけ言わせていただきたい。

 へ、変態だーーーーッ!! 『弱虫ペダル』に変態がいまーーーす!! アブアブ泉田くんが乳もまれてまーーーーすっ!! 誰かーーーー警察呼んだげて―――!!

 というわけで、『弱虫ペダル』で、完全に事案発生のニュースです。
 本日、筋肉フェチでアッブない変態としておなじみの箱根学園キャプテンの泉田くんですが、同じく筋肉大好き変態として注目を浴びている京都伏見高校1年生の小鞠くんに、あろうことかレース中にもかかわらず、左大胸筋――通称「フランク」――をもみしだかれるという変態行為を受けました。なお、その際の渡辺先生による書き文字は「もぉみぃっ」だったとのことです。変態小鞠くんは、まったく反省の色がなく「すません ちょっと…暑さでふらついてしまいまして」と痴漢常習者らしいコメントを発しており、前日同じく被害を受けた猫足でおなじみの黒田くんは「てめェ 1年 また同じ口上を!!」と激怒している模様です。また、変態小鞠くんの所属する京都伏見高校のエース、キモー筋くんは、「ププ ホントにキミィは がまんのできん男やね!!」とニヤつくだけで、彼の管理責任も問われる事案と見られております。ただ、事案発生直前に、泉田くんによる、自らの大胸筋を上下に揺らす「大胸筋スクワット」なるアッブねえ変態技も披露されており、しかもその変態技を「ほぅら 見えるかい」などと見せつける挑発行為も行われた模様で、警察はこの変態挑発行為が小鞠くんを無駄に刺激したのではないかとして捜査を続けております。この事件の詳細は、来週また報道される見込みです。それではまた、来週の続報をお待ちください!!

  いやー、すごい変態バトルだったw。やっぱり『弱虫ペダル』も最高ですね。

 さて、気を取り直して今週の『鮫島』ニュースです。
 今週の『鮫島、最後の十五日』から、過去の回想に入る展開だ。入門当時の【蒼希狼】の様子が語られるが、とりわけ新しい情報はない。ほぼ、我々読者がすでに知っている情報がメインだ。ただ、今週描かれた、【蒼希狼】と【大山道】の兄弟弟子の絆は非常に美しく、おそらくは教習所で出会った良きライバルたちよりも、兄たる【大山道】とのつながりの方がきっと【蒼希狼】にとってはかけがえのないものとして、これまで戦ってきたのではないかという想像をかきたてるものであった。今週描かれた【大山道】の言葉は、非常にカッコ良くて、泣けるものだ。モンゴルにいる仲間たちを「腹いっぱい喰わせてやるため」に、そのハングリー精神だけで序ノ口優勝した入門当時。しかし、教習所で鯉太郎たちと出会うことで、壁にぶち当たった【蒼希狼】に、【大山道】は言う。
 「本当に強くなりたきゃ もっと俺を信じて頼れ もう一人で突っ張るな・・・デケーもん背負ってんだ 寄りかかれよ・・・もっと・・・俺を信じるのはタダだぜ蒼・・・」

 なんだよもう、【大山道】すげえいい人&かっこいいじゃんか……ホントもう泣けるわ。
 そんな絆で結ばれた(はずの)【蒼希狼】に一体何が起こったのか。そして、弟にもう一度その背中を見せるために、鯉太郎との割に挑む【大山道】。マジでもう、本当に毎週見逃せない。この漫画、本当に最高だよ。佐藤先生ありがとうございます。つーか、マジで単行本を毎回100冊ぐらい買おうかな…・・・100冊買っても45,000円ぐらいでしょ? 最後まで書き切ってもらうためなら、そのぐらい出してもいいよもう。どうかこのblogを偶然目にした皆さん、頼むから単行本を買ってください。それが、我々読者のできる最大の、そして唯一の応援方法なので、どうかよろしくお願いします。じゃないと、本当に最後まで描き切ってもらえるか、わたし、ホント心配だよ……。

 最後に、毎週のテンプレを貼って終わります。
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所では東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明w
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目
 --------
 【天雷】東関脇
 【蒼希狼】??? 最高位は小結。

 というわけで、結論。
 今週の『鮫島』は、大きな動きナシではあるが、ますます【大山道】の男前度が上がるお話であった。【蒼希狼】に何があったのか、ドキドキしながら次週以降の話を待ちたい。
 そして――『弱虫ペダル』も最高です。変態ばっかりですがw

↓2010年のツールで総合優勝したのが、泉田くんの右大胸筋でおなじみのアンディ・シュレック。ただし、パリで表彰台に上ったのはアルベルト・コンタドールで、後にドーピング違反で優勝をはく奪され、2位だったアンディが繰り上げ優勝となったいわくの年だった。レース展開はすごい面白い年だったんだけどな……。この年、左大胸筋でおなじみの兄、フランク・シュレックは、落車して鎖骨を折り、第3ステージでリタイア。残念だった。そして泉田くんの背筋でおなじみのファビアン・カンチェラーラがプロローグとタイムトライアルで勝った年でもある。
ツール・ド・フランス2010 スペシャルBOX [DVD]
アルベルト・コンタドール
東宝
2010-12-23

 現在の電撃文庫の中で、新刊が刊行される際の初版部数が一番大きいのは、おそらくは『ソード・アート・オンライン(通称:SAO)』の新刊であろう。著者の川原 礫先生は、恐ろしく筆が早い。もちろん、作品のベースは自らのWebサイトや投稿サイトで公開していた作品だから、という事実があるにしても、それでも早い。当然すべての作品はWeb公開されたままの姿ではなく、実際のところ手が入るわけで、およそ2カ月~3カ月ごとに新刊を刊行していくのは、尋常ならざる努力と熱意のたまものであろう。
 そんな川原先生は、現在電撃文庫において3つのシリーズを同時並行で展開しているが(SAO_プログレッシブは別シリーズにカウントすべきかも。だとすれば4つのシリーズ) 、そもそものデビューのきっかけとなったのが、第15回電撃小説大賞にて<大賞>を受賞した『アクセル・ワールド』というシリーズである。『SAO』もそうだが、この『アクセル・ワールド』ももちろんアニメ化されており、ちょっと前に、新作アニメがまた製作されることが発表された。前回のアニメ化はかのサンライズ制作のTVアニメだったが、新たなアニメは、川原礫先生描き下ろしのオリジナルストーリーとのことで、TVなのか劇場版なのかOVAなのか、すみません、わたし、良くわかっていません。

 まあ、いずれにしても、アニメはあまり興味がないので置いとくとして、10月の電撃文庫新刊で、アニメ告知の入った帯をまとった最新『19巻』が発売となったので、シリーズをずっと読んでいるわたしもさっそく購入し、読んだ。そして、安定の面白さに、大変満足であった。
アクセル・ワールド (19) ―暗黒星雲の引力― (電撃文庫)
川原礫
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2015-10-10

 物語は、現状では2047年を舞台としている。今から約30年後の世界である。そこでは、「ニューロリンカー」という、首に装着するデバイスを誰もが装着しており、まあ、いわばウェアラブルPCがものすごく進化したものと思ってよいと思うが、ネット接続は当然で、あらゆることをこのニューロリンカーを通じて行っているという世界である。
  で、主人公はチビでデブという自らの容姿に深いコンプレックスを抱いており、学校でも孤立した存在だったのだが、生徒会副会長の「黒雪姫」と呼ばれる超絶美少女と出会った彼は、その美少女から謎のアプリケーションをもらい、フルダイブ型格闘ゲーム「ブレインバースト」を戦う戦士、バーストリンカーとなる――みたいなお話だ。
 そういえば、今から30年後の世界を舞台としている、という点で、先日世界的に大いに盛り上がった『Back to the Future Part.2』のことを今ふと思い出した。かの傑作映画も、30年後の2015年を描いていて、1985年の当時高校生だったわたしは、30年後の2015年が映画で描かれたような時代になってんだろうなーと漠然と感じたものだが、残念ながら車は空を飛んでいないし、空間投影立体映像も実用化されていない。何となく、あの当時と何も変わっていないような気が一瞬するが、明らかにPC技術は劇的に変化し、インターネッツの発達により、ある意味映画で描かれた世界よりも進んでいる部分がある。同じように、この『アクセル・ワールド』で描かれているような世界が30年後に実現されるのかな……なんてことをぼんやり考えてみると、あり得そうだしあり得なそうだし、非常に微妙ないい線をついているような気がする。おそらくは、「ニューロリンカー」的デバイスは、既に現状の技術の延長線上で実現できそうだ。作中で意外と重要な設定である「そこら中にソーシャルカメラが設置されていてある意味監視されている」という世の中も、実際あり得そうだ。ただまあ、そういうハードウェア的な進化はありそうだけれど、人間の全意識を電脳空間へダイブさせるというような、ソフトウェア的な面は、どうなんだろう、ちょっと現状では想像できない。いわゆる人間の五感のデータ化・電気信号化は、理論的には可能なんだろうけど、おそらくは膨大なデータとなるはずで、それを支えるプログラムやIC回路、大容量データ通信インフラは、何らかのブレイクスルーがないと厳しそうだ。あれ!? そうか、それも結局はハードウェアの発達の方が大きいかもな。

 まあとにかく、『アクセルワールド』が描く30年後の世界は、そんな絶妙な設定の下で描かれており、またそこに登場するキャラクター達も非常に生き生きと描かれている。もう19巻となる本作では、これから始まる大きな戦いへの準備が話のメインで、サブタイトルの『暗黒星雲の引力』が示す通りの内容となっている。なお、シリーズをずっと読んでいる人なら、「暗黒星雲」が何を指しているかは当然明白だろう。黒雪姫先輩が率いる軍団(レギオン)、「ネガ・ネビュラス」のことだ。本作は、まさしくサブタイトル通り「ネガ・ネビュラス」に引き寄せされたキャラクター達が集い、「ネガ・ネビュラス」が大きく成長する話である。読んでいて非常に、そう来たか……と思うような、それでいて、そうですよね、と十分納得できるもので、大変面白かった。あまり書くとネタバレなので、やめときますが、とあるキャラが、実はリアルではまた超絶美女で、仲間になってくれるとは思わなかった。これはいい展開で、非常に面白かった。あとは、いろいろ何でも知っている「黒系・刀スキル系の人」、まさかと思うけど、あの人じゃないよね?

 ところで、この『アクセル・ワールド』という作品では、「ブレインバースト」を実行すると仮想空間へダイブする仕組みであるが、ダイブ中は時間が「加速」しており、「ブレインバースト」実行中の電脳世界では、実世界の1000倍の時間が経過する設定になっている。つまり、電脳世界での1時間=3600秒は、実世界の3.6秒なのだ。この設定によって、すでに19巻目であるのに、実世界の時間経過はまだ第1巻からまだ1年も経過していない(かな?)。電脳世界での戦いが話のメインだけに、非常に長い戦いであっても、実世界では数分も経過していないのだ。この点は、ちょっと今後いろいろな影響が出るのではないかと若干危惧されるが、まあ、川原先生なら何も心配することなく、我々読者は物語を楽しめば良かろう。
 あと、これは最初からずっと、この作品においてわたしが理解できないのは、恐ろしくそもそも論なんだけど……「どうして黒雪姫先輩は主人公ハルユキが大好きなんだ?」という点が実はピンと来ていない。ハルユキのひたむきな努力に惚れたってこと……ですよね? うーーーん……ちょっとなあ……実際、この主人公ハルユキ君は、現実世界でのビジュアルはチビ・デブのオタク少年だのだが、確かに、何においても努力で頑張ろうとする姿勢は非常に好感が持てるし、主人公の資格は十分に備えているが……出てくる女子にことごとく好かれる、いわゆるハーレム型でもあって、若干うらやま、いやけしからん。まあ、そういうことをほざいているので、わたしはモテないんでしょうな、と反省するしかなかろう。ただしイケメンに限る、のは、現実世界だけで十分か。わたしも頑張って生きていきたい所存である。

 というわけで、結論。
 『アクセル・ワールド19 暗黒星雲の引力』は、安定の面白さであり、シリーズをずっと読んでいる人なら買わない理由は皆無です。早く続きが読みたいですな。お見事です、川原先生。

↓TVアニメは、正直なところ「これからが本番だぜ!」というところで終わっている。人気的には『SAO』の方が高いけれど、わたしとしては電撃大賞受賞作であるこちらの方がより応援したい。
アクセル・ワールド Blu-rayBOX <初回生産限定版>
三澤紗千香
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-12-23

 どうもわたしは、いわゆる「スマートフォン」というものが気に入らない。何気にデカいし、そのくせ情報ウィンドウとなるディスプレイは、半端に小さい。なので、もう3年ぐらい使っているが、今月末にいっそガラケーに機種変して戻そうかと思っている。だが、ガラケーでは、もはや日々の行動に際しての情報端末としては非常に不満というか、実際役に立たない部分が多いので、ならば常に携帯できる範囲内の大きさで、Tabletに格安SIMでもブッ挿すか、と考えている。が、いいのがねえんだよなー、というのが実感で、非常に困っている。
 実はすでに、わたしはとあるTabletをほぼ電子書籍専用端末として愛用しているのだが、いわゆるWi-fiモデルなので、常時接続ができない。このTabletに別れを告げて、新たなSIMフリーTabletを買うか、それともそのまま使い続けて、メール確認&テザリング専用として小さめのSIMフリースマホを買うか、現在悩み中だ。つーか、切りのいい月末には結論を出さないといけないので、今週中にけりをつけるつもりでいる。
 で。現在わたしが愛用しているTabletが、Googleのリファレンス端末として去年の暮れぐらいに登場した、「Nexus9」という製品である。(2015/12/16追記:なお、買ったのはヨドバシAKIBA店頭)

 製造は台湾のHTCである。まあ、さすがにMade in KOREAやMade in CHINAの製品を買う気にはなれないというか、わたしとしてはあり得ないが、台湾ならば全く問題ない、というなんじゃそりゃと突っ込みを受けそうなオレルールではあるが、まあそういうことである。
 このTabletは、わたしが買った1か月後にSIMフリーのLTE版も発売になっており、それまで待てばよかったのだが、実際我慢できずにまあWi-fiで十分だろ、必要ならばテザリングすればいいし、なんて軽く考えて買ったのだが、正直、今となってはやっぱりSIMフリー版にすりゃ良かったと思っている。
 使用感としては、わたしとしては全く問題なし。描画もきれいだし十分速い。画面サイズも、電子書籍を読むのに非常に最適な大きさで、16:9ではなく4:3である点もわたし好みである。もちろん、株式会社林檎ことAppleを心から憎むわたしとしては、当然のことながらあそこの製品を買う事は生涯ないと言ってもよいので、実際のところ、ほかに選択肢はなかったという事情もある。
 なので、十分に気に入っている、と言ってよいTabletなのだが、わたしとしてちょっとこれは……と実際に使い倒すようになってから判明した、困ったポイントが二つある。
 一つは、重さだ。カタログ重量435g。手に持った感じは、別に重いとは感じない、のだが、これがですね、30分も電車内で吊革につかまって、片手で電子書籍を読んでいると……やっぱり重いんだな。かのXperia Z3 Tablet Compact や、Xperia Z4 Tabletに比べると、明らかに重い。ので、まあ、一応は許せる範囲内ではあるけれど、Xperiaの軽さは、内心では非常にうらやましいと思っている。くそう。
 もう一つは、外部ストレージが使えないという点だ。このNexus9は、Micro-SDカードスロットがなくて、内部ストレージしかないんだよね……わたしが使っているNexus9は32GBモデルで、まあそんだけあればいっか、と思っていたのだが、残念ながら、既に電子書籍を600冊以上買っているわたしには、まったくもって足りなかった。この点はすげえがっかりである。まあ、その600冊のうち、コミックが500冊以上なのでファイルサイズもデカく、仕方ないのだが……やっぱりきちんとMicro-SDの使えるXperiaが正直うらやましい。くっそう!!

 というわけで、気に入ってはいるものの、若干のイラつきポイントも併せ持つNexus9だが、Googleのリファレンスモデルであるために、Androidのバージョンアップ対応が早く、その点のケアは手厚いのだが……ちょっと前の10/14に、Android6.0へのシステムアップデートの通知が来て、何も考えずに実行してみたところ……何かがエラーになったために起動しなくなってしまい、見事文鎮化してしまったのである。
 もちろん、その日はいろいろ試してみた。Web上での情報はだいたい見たと言ってもよかろう。どうやら、わたしのようにNexus9を使っていて、Android6.0へのアップデートで文鎮化したという症例は、とりあえず見かけなかった。ちっくしょうと最終的には、全データ消失も覚悟し、wipe data/factory resetも実行した。が、起動しない。 これはアカン奴や、ということで、翌日HTCのサポートに電話し、症状を話したところ、リペアセンター行きが決定し、その日のうちに発送した(もちろん着払い)。で、サポートの女子(声は可愛い女子だった)曰く、大変申し訳ないが最大で3週間ぐらいかかるかも、なんて話だったが、その「申し訳ないのですが」という心は十分伝わったので、まあ別に良かろうと思っていたところ、先週の金曜日、すなわちわたしが発送してからちょうど1週間であっさり返ってきた。
 原因は良くわからないのだが、
 ----------------------------------------
 この度の診断におきまして、
 お客様のNEXUS9におきまして
 ご申告症状である、OS起動不可を確認いたしました。
 ご申告症状につきましては、
 グーグル社配信のアップデートファイルに存在する、
 特定の条件下にて発生するバグ(不具合)が原因であるため、
 ソフトウェア再書込により症状が改善されましたことをご案内申し上げます。
 ----------------------------------------
 だそうで、rootを取って自分でバリバリいじっている人なら、余裕であっさり直る類のものだったと思う。で、返ってきたNexus9はOSも6.0になっていて、正直全く使い勝手は変わっていないのだが、無事に再び戻ってきてくれたので、許してやろうと思う。HTCのサポートは、わたしの感覚からすれば十分丁寧で、文句の付けどころはとりあえずない。
 原因はいまだ良くわからないが、「特定の条件下で発生するバグ」に関しては、ひとつ、わたしの方に原因があったのだろう、と思い当たる節がある。実は、わたしは最初に書いた通り、電子書籍専用端末としてバリバリに使用していたため、ストレージの空き容量が1GBチョイしかなかったのだ。アップデートファイルは771MBだったかな、そんなサイズだったので、たぶん、というか確実にそれが原因であろうと思う。でもさ、それなら警告してくれたっていいじゃん。ねえ?

 というわけで、結論。
 Nexus9を使っている人で、これからAndroid6.0にアップデートしようとしている人は、ストレージの空き容量に気を付けた方がいいかもしれないですよ。万一文鎮化したら、自分でいろいろいじっていない人は、素直にHTCのサポートに電話するしかないっすな。わたしの場合は、丁寧で意外と早い対応をしてくれました。
 ※2016/09/15追記:先日、とうとうAndroid7.0が降臨し、問題なくアップデートできました

↓ くっそう……こいつに乗り換えたいような気がしてきた。でも16:9じゃ電子書籍読みにくいんだよね……。どうすべか……。

 毎週月曜日恒例の、映画興行収入データです。
 今週は、東宝イチオシの『ギャラクシー街道』 の公開というわけで、先週までの記事では、まあ、きっとそりゃあ売れるんでしょうな、と勝手に思っていたわけだが……さきほど、いろいろなWebサイトやTweetで得た情報によると、『ギャラクシー街道』最初の土日での興行収入が2.7億だというのだ。これは……正直わたしとしては信じられないほど悪い。てっきり、5億ぐらい行くのだとばかり思っていた。コ、コイツはちょっとマジでマズいのではなかろうか? 想定通りなのかな? さっぱり分からん。
 ちょっと待って。とりあえず落ち着いて、過去データを引っ張り出してみよう。
『金縛り』(2011/10/29公開):公開週末5.0億→3週目には20億突破、5週目には30億突破、最終興収42.8億
『清須会議』(2013/11/09公開):公開週末4.8億→4週目で20億突破、最終29.6億と30億に届かず。
 これらと比較すると、今回の『ギャラクシー』が低い水準の公開週末興収だということが分かってもらえると思う。このままだと、本当に最悪の場合は、20億にも届かない可能性すらある。また、それ以前の作品は古くて詳細データを持っていないが、『マジックアワー』(2008/06/07公開)は最終39.2億、『有頂天ホテル』(2006/01/14公開)は最終60.8億まで行っている。その三谷作品が……嘘だろ……まだ観ていないけれど、絶対に30億は超えると思ってたのに……。
 とは言っても、実際のところ、わたしがそう思っていた根拠は、
 1)確実にフジテレビが膨大な番宣を仕掛ける(であろう)
 2)三谷ブランドの強さはまだ健在ではないか(特に根拠なし)
 3)実際のところ、面白そう。観たいと思った
 というような、まあテキトーなものではあったので、外れてもそりゃ仕方ないのだが、結果的には、1)に関しては、それほど膨大でもなかったような気もする。フツーのレベルを超えていたとはあまり思えない。そして2)に関しては、わたしが思っているよりも残念ながらブランド価値は低くなっていたと思わざるを得ない。3)に関しては、わたしもちゃんと観に行って判断してみようと思う。

 いやしかし、まさか三谷作品で、公開週末3億円を下回るとは、まったく思ってもみなかった。そういう時代なのかなあ……実際、わたしもテレビはWOWOW以外ほとんど見てないしな……朝の情報番組も、CX「めざまし」から日テレに浮気しちゃったしなあ……これは、三谷監督のブランド力低下もあるだろうが、それよりも、ひょっとしたら、フジテレビのメディア力が決定的に低下していると認識すべきなのではないかという気がしてきた。恐らくは、ここ数年での社会的な変化として、TVのメディア力の低下ははなはだしいものがあるとわたしは思っている。TVドラマからの映画化が、ここ数年明らかにパワーを失っている理由も、やはりそこに原因があるとわたしは考えているが、そういう事なのだろうか……。あとは、キャストなのかな? SMAP力の低下もあるのかな? いや、あれだけのオールスター作品で、主役一人に責任をかぶせるのは気の毒というかあり得ないだろう。キャストはあまり関係ないと思いたい。公開時期も、いつもの三谷作品と変わらないし、これは内容的にキャッチ―過ぎて、保守的なシニア層を取り込めていないという事なのかなあ……。それとも、わたしは全然チェックしてないけれど、また『進撃』のように、ひどいレビューがいっぱい投稿されているんだろうか……?

 とりあえず、公開週末2.7億規模だと、過去にどんな作品があるか探してみると、
『寄生獣・完結編』→公開週末2.7億→今年の映画なので最終興収は未発表だが、20億には全然届いていないはず。16~17億ぐらいかな? もうちょっと行ったのかな?
『陽だまりの彼女』→公開週末2.72億→最終17.9億。
『謝罪の王様』→公開週末2.67億→最終21.8億。
 とまあこんなあたりだろうか。こうしてみると、仮に超・後伸びしたとしても、25億も厳しい情勢だと言わざるを得まい。公開スクリーン数的には、『寄生獣』が一番近く、433Scrである。『陽だまり』『謝罪』はともに300チョイだったことを考えても、非常に厳しい状況であろう。しばらく『ギャラクシー街道』の動向を追って行くことにする。

 で。ずっと状況を追ってきた『バクマン。』と『図書館戦争THE LAST MISSION』がどうなったか数字だけ備忘録として書いておこう。
『バクマン。』→公開週末2.5億でスタート→4週目週末も1億台キープしたらしく(!これは結構すごいこと)、累計12.7億まできたらしい。わたしの予想よりもかなりいい伸び&落ちが少ない。ここから15億を超えるかどうか。わたしの予想よりは上を行きそうな気配。
『図書館戦争TLM』→公開週末2.46億スタート→3週目週末1.29億で累計11.7億ほど。前作よりちょっといいペースを維持。順調、ではあるが、ある意味予想通り。本当はもうチョイ上を期待したかった。20億はやっぱりちょっと難しいかな……。
 というような状況のようだ。(※11/3追記:翌週データはこちら)

 というわけで、結論。
 現状、『ギャラクシー街道』はわたしの根拠LESS予測をかなり下回るスタートで、厳しい状況と言わざるを得ない。三谷監督には、これからも「オリジナル」で面白い作品を作っていってほしいので、応援のためにも私も観に行きたいと思う。このままでは、本当に次回作に影響してしまうよ……。

↓ なにも関連商品の勧めが浮かばない。『ギャラクシー』は本もないからな……。
おすすめ商品、特になし 

 以前読んだ「ハルチカ」シリーズの第2弾『初恋ソムリエ』を読み終わった。
 本作も、シリーズ共通のフォーマットで描かれており、いくつかの短編連作という形で、まずまず面白かった。
初恋ソムリエ (角川文庫)
初野 晴
角川書店(角川グループパブリッシング)
2011-07-23

 まあ、安定の面白さで特に書くことがないので、エピソードガイドで今日は終わりにします。手抜きでサーセン。しかし、カバーのイラストは、主人公たる穂村千夏さんなのだろうが、そうか、こんなに可愛い女子なのね、と今さら思った。彼女は、中学時代はバレー部所属だったが、清水南高校に入学してから吹奏楽を始めた女子高生だが、そういえばビジュアルイメージをずっと意識していなかったので、さっき初めてまじまじとカバーを見てしまった。手がでかいな。ま、どうでもいいけれど。

 というわけで、本作も4つの短編で構成されている。
 第1話「スプリングラフィ」は、春太と千夏が2年生に上がる直前の春休みを舞台に、音楽室に忍び込む謎の生徒を追う話である。その生徒が何者かはすぐに判明するのだが、そしてその何者かは、どうやら音楽のプロを目指しているほどの人物で、何のために音楽室に忍び込むような真似をしているのか、春太と千夏が謎を追いかけ、意外な事実が判明するというお話。
 第2話「周波数は77.4MHz」は、変人・生徒会長から、ブラックリスト十傑の一人、地学部長を連れて来いという依頼を押し付けられた千夏が、捜査を続けるうちに、はまっているコミュニティFMのDJをやっている男の意外な正体が判明する話。この話で、また一人、吹奏楽部の仲間が増えることになる。
 第3話「アスモデウスの視線」は、春太と千夏が大好きな草壁先生が倒れてしまったことから、その原因となったライバル校の藤が咲高校吹奏楽部顧問の先生の休職の理由を探る話(「の」が多い!! サーセン!!)。複数回行われた席替えは、先生の休職とどう関係しているのか? 藤が咲高校吹奏楽部の部長や教育実習生から事情を聴くうちに、どうやら教室内でとあることが行われていたことが判明し……というお話。
 第4話「初恋ソムリエ」は、第1話で準レギュラー化するプロ音楽家志望の女子から千夏が依頼を受ける話。なんでも、3年生の朝霧という男子生徒と叔母が学校内で会っているとか。朝霧という生徒は何者なのか、そして「初恋ソムリエ」とはなんなのか、を追う話。やはり彼もどうやらブラックリスト十傑の一人で、「初恋研究会」の代表らしく、吹奏楽部部長の片桐くんとはいろいろな因縁がある人らしいのだが……というところはではすぐに判明する。この話では、「記憶と匂い」の関連性について面白い話が展開されていて、前巻の『退出ゲーム』第4話では「記憶と音」の興味深い話が書かれていたが、今回は「匂い」と「味」である。お話としては結構シビアな重い話だが、面白かった。

 というわけで、今回も春太と千夏がいろいろな謎に挑むのだが、基本的には千夏は特に謎解きには貢献していない。だが、千夏の天然の率直さというか常識人たる純粋な驚きや感動が、重くなりがちな謎解きにおいては非常に救いとなっているわけで、とてもバランスはいいと思う。
 また、各キャラクターも非常に生き生きとしていて読んでいて楽しいし、まあ、ちょっとコイツらスーパー高校生すぎるんじゃね? という部分はあるけれど、十分許容範囲内だろう。前作で仲間になったマレンや成島さんもすっかり溶け込んでいて、とても重要な役割を果たすし、今回新たに仲間になったカイユも非常にナイスキャラである。また、芹沢さんは今後仲間になってくれるのか、非常に気になる存在だ。清水南高校生徒会からマークされている「ブラックリスト十傑」も、極めてキャラが立っていて、面白い変人ばかりである。ちょっと、これまでに出て来た「十傑」メンバーを自分用備忘録としてまとめておこうかな。
 日比野秀一:生徒会長。春太と千夏の1つ先輩。
 名越俊也くん:演劇部部長。春太と千夏と同級生
 萩本 肇くん:発明部部長。春太と千夏の1つ先輩。
 萩本 卓くん:発明部部員。肇の弟。春太と千夏と同級生。
 麻生美里さん:地学研究会部長。春太と千夏と同級生。
 朝霧 亨くん:初恋研究会代表。春太と千夏の1つ先輩。
 ええと、今のところ5人まで判明しているわけか。全員出てくるんだろうか? それとも見逃してるのかな?まあ、いいや。

 というわけで、結論。
 面白い。1月からのアニメがちょっと楽しみになってきた。前回も書いたが、くれぐれも変な萌えアニメにならないことを祈りたい。

↓ これが初野先生のデビュー作。ちょっと読んでみたくなってきた。
水の時計 (角川文庫)
初野 晴
角川書店
2005-08-25

 8/23付けの記事で書いたとおり、2010年1月の初観劇以来、わたしはすっかり宝塚歌劇にはまっている。そして、その初宝塚のときに観た、当時のTOPスターである柚希礼音さん(愛称:ちえちゃん)に完璧Fall in Love、以降、ほぼ全公演を観に行ったし、お茶会という名のファンミーティングも行ったし、武道館コンサートも行ったりした。そして今年2月の退団公演は、念願のムラ観劇(※宝塚市の宝塚大劇場へ観に行くこと)も果たし、東京公演も当然観に行った。あまつさえ、あろうことか劇場でマジ泣きしてしまうという醜い姿もさらしてしまったキモ男である。なんかさ……ほんとうにちえちゃん退団なんだ……もう会えないんだ……と思ったら、急に猛烈にさみしくなって、泣けてしまったんだよね……。なんなのオレ。まったくもって、われながら気持ち悪い。ほんとサーセン。

 そんなわたしの愛するちえちゃんは宝塚を卒業してしまったのだが、現状既にLEGENDと呼ばれており、TOP of the TOPであったちえちゃんが、再び我々の前に帰ってきてくれるというニュースが発表されたのは、確か5月か6月あたりだっただろうか? なんと、ブロードウェーミュージカルに挑戦することが発表されたのである。
 もともと、ちえちゃんは、宝塚スターとしてはちょっと珍しい経歴の持ち主である。普通のスターは、元々宝塚のファンで、好きだから自分も挑戦したい、という動機で宝塚音楽学校の入試に挑む場合が多いと思う。が、ちえちゃんは、その宝塚ファン時代がないのだ。どういうことかというと、元々バレエをずっとやっていた彼女は、高校生になって身長が170cmを超えるぐらいに成長してしまい、バレエダンサーとして日本ではちょっと難しい体になってしまったのだ。 わたしはバレエに関してまったく無知なので良く分からないが、確かに女子のバレエダンサーは華奢で、そう背が高いというイメージはない。そういうものなのかどうなのか、実際のところわたしは分かっていないが、とにかく、高校生当時のちえちゃんは悩んだそうだ。どうすべか、と。その時のちえちゃんは、アメリカにバレエ留学したい!! と考えていたらしい。が、知り合いに、こういうのがあるよ、と提示されたのが宝塚だったそうで、じゃあ、挑戦してみようと試験に挑み、無事に第85期生として入学するに至ったのだそうだ。
 なので、 ちえちゃんは宝塚というものを入学してから勉強・稽古・訓練によって学んで行き、TOPに就任してからもずっと自信がなく、それでも不断の努力によって、宝塚の歴史に残る伝説のTOPスターとなったわけである。ちえちゃんは、明らかに努力の人であり、ホント、尊敬できる人間だとわたしは思っている。
 そんなわたしの愛するちえちゃんが、ブロードウェーに挑戦すると聞いて、わたしが冷静でいられるわけがない。高校生のときにあこがれた、夢の舞台。そこに、ちえちゃんが立つ。なんというか、その真っ直ぐな思いと、おそらくはそこに至るまでにこれから始まる努力を思うと、いかん、また泣けてくるわ。当然わたしはチケットのプレオーダーから参戦し、無事に初日2日目のチケットを入手することができた。

 というわけで、今日、わたしが渋谷で観てきた『Prince fo Broadway』は、そんなちえちゃんの、宝塚退団後の初舞台であり、ちえちゃんの舞台人としての第2章開幕の作品である。その場にいられるだけでわたしは嬉しい。

 さて、ここから先はネタバレなので、これから観に行くから知りたくない! という方はここから先は自己責任でお願いしたい。

 ズバリ言うと、既に事前の情報でも分かっていたことだが、ちえちゃんの出番は結構少ない。出ずっぱり、では全然ない。また、この作品を真に楽しむには、かなりの数のミュージカル知識が必要だ。わたしのような、にわか野郎には、この作品の真髄までは理解できていない。詳しくは、公式Webサイトを見ていただいたほうが良いだろう。この作品は、ブロードウェイミュージカル界で最も偉大な功績を成し遂げた男、ハロルド・プリンスの手がけた作品を振り返るものと言えばいいのだろうか? 彼の作品の名シーンが次から次へと現れるもので、実際のところ、明確なストーリーはない、というか薄い。しかし演じる俳優たちが、「本物の」ブロードウェー役者であるので、当たり前だが歌はすさまじく上手く、それを聞くだけでも十分に価値があると思う。しかもスーパー・オールスター集合である。残念ながら、にわかのわたしが明確に知っている曲は『ウエストサイド物語』『キャバレー』『オペラ座の怪人』『エヴィータ』ぐらいなのだが、それでも、知っている曲を生で、しかも本物の歌声で聞ける機会はめったにないので、ちょっと感動ものであった。特に、『オペラ座の怪人』の曲を歌ってくれた二人は、本物のファントムとクリスティーヌ経験者である。知ってる曲だけに、鳥肌ものの素晴らしさだった。

 一方のちえちゃんは、明確なソロで歌ってくれるのは4曲かな? 記憶が間違ってたらサーセン。1幕冒頭近くの『くたばれヤンキース』で1曲ソロで歌うのだが、この時の衣装は超注目だ。以前の記事で書いている通り、わたしはちえちゃんを、あくまでずっと女子として愛しており、この時の衣装は、そんなわたしには失神しそうなぐらいセクシーであった。そして第2幕では3曲歌ってくれるが、そのうちの1曲は日本語の曲で、きっちりファンサービスもしてくれる。当然、バレエダンサーとしての、女性らしいしなやかで美しいダンスも披露してくれて、わたしはとても嬉しかった。とにかく、背中がこんなに華奢だったんだね、というか、肩甲骨周りの、明らかに鍛えられた美しい筋肉に、わたしはもう双眼鏡をずっと手放せず、完全に変態といわれても否定できないほどガン見してしまった。

 そんな作品なので、正直、ちえちゃんファン以外が観て面白かったのかどうか分からない。また、ちえちゃんファンであっても、出番が少ないとか、きっといろいろモノ申したい方も多いのではないかと思う。
 だが、少なくともわたしは、新たな道を歩むちえちゃん、今日のために、おそらくは相当な訓練と不断の努力を続けてきたであろう、美しき「女子」であるちえちゃんを今日、この目で観ることができて、これ以上の喜びはない。大満足です。

 なお、カーテンコールの際に、撮影していいですよという場内表示が出る。なので、皆いっせいにスマホを舞台に向けていた。わたしももちろん、撮ってみた。が、まったくろくな写真が撮れなかったのだが、前から2列目というすごい席が取れた、元同僚のMお姉さまから先ほどメールでこんな写真が送られてきた。
image1
 近っけぇーーー!! くそー!! いいなーこんな席で見られたなんて!! ちなみに今日は、前から3列目に蘭寿とむさんと、とよこさんこと紫央 涼さんも来場していたようだ。ようだ、というのは、わたしは後ろ姿しか見られず、お顔を拝見することができなかったのだが(場内がざわついて「蘭寿とむさんよ!!」という声が聞こえたので、マジか!? とそっちを見たときにはもう席に着こうとされていた)、元同僚のMお姉さまはばっちり目撃したとのことです。くっそう!!

 というわけで、結論。
 わたしは大満足です。しかし、もっと勉強していくべきだった。そうすればもっと楽しめたのだが……。まあ、今後もちえちゃんを応援していきたい所存です。

↓ ちえちゃんファンとしては、コイツは読まざるを得ないな……。

 永青文庫、というところをご存じだろうか? 目白台の椿山荘のすぐ近くにある、まあ博物館というか美術館のような施設なのだが、元々は、肥後熊本藩、細川家の江戸屋敷があった場所だそうで、細川家伝来の美術品や工芸品などを展示・研究することを目的として昭和25年に財団法人化され、昭和47年からは一般公開をしているんだそうだ。ちなみに熊本藩細川家といえば、宮本武蔵を客分として迎え入れ、武蔵終焉の地としてもおなじみだが、もう一つ、細川家といえば、元首相のあの人の家でもある。実際、現在の公益財団法人永青文庫の理事長は、まさにあの細川元首相その人である。まあ、永青文庫とはそんなところで、わたしも、母校に近いのでかつて2回か3回は訪れたことがあるのだが、今、連日大変な来場者でにぎわっているというニュースが報道されている。何故かというと、とある展示会がめっぽう評判だからである。わたしも、開催前からこいつは観に行く価値があるな、と思ってチケットを早々に入手していたのだが、やっと昨日、観に行ってきた。↓これ。
syunga02
 そう、わたしが観てきたのは、『SHUNGA 春画展』である。報道通りかなりの盛況であったが、これが想像よりもはるかに生々しく、ちょっと、女子と一緒に行くと若干アレかもしれないが、一度観に行った方がいいと思う。わたしが行った時は、だいたい50人ぐらいかな、人が並んでいて、まあ、会場内のうるせえことといったらもう、もうちっと静かに鑑賞できんのかね? というぐらいみんな感想を喋りまくっていて、それもちょっと驚いた。
 とはいえ、わたしも順番に展示を見始めて、すぐに理解した。確かに、観ていてしゃべりたくなる気持ちがすごくわかる。なんというか、この展覧会に限って言うと、黙って神妙な顔をして観ている方がちょっと変かもしれない。なので、わたしも、とある春画の前では、マジか、なんだこれすげえ! とか声に出してしまったり、ちょっと笑ってしまったり、普通の絵画展とはちょっと違う、なんとも不思議時空が発生していたことが印象的である。だって、展示されている絵のほぼすべてが、Hしてる絵だよ? そりゃ異様だわな。なんというか、とりあえずなんかリアクションしないと、と思ってしまう気持ちは、たぶん実際に行って体験してもらえば分かってもらえると思う。アレだね、家族でTVを観てるときに、ちょっとお色気シーンが出てきた時のような、なんとも微妙なあの空気感に近いのではなかろうか。

 というわけで、『SHUNGA 春画展』である。そもそもは、2013年秋から2014年にかけて、かの大英博物館にて開催された春画展を、日本でも開催しようとして主催者は各方面に働きかけたらしいのだが、どこの美術館も、「いやー、それ最高っすね、やりたいなー。でも、うち、公立なんで、なんかくだらんクレームとか問題視されたらマズイんすよね、いやー残念だなー、うちで開催できればなー」と、ことごとく断られてしまったんだそうだ。そういう状況で、「うちでやりましょう」と名乗りを上げてくれたのが細川家のある意味私有地である永青文庫だったんだそうだ。まあ、残念だが各美術館関係者が尻込みする気持ちもわからないではない。そして求めに応じた永青文庫はなかなかあっぱれだと思う。
 わたしがそう思うのは、実際に実物を観たからである。これは……いくら芸術だと言っても、馬鹿な文句をつける奴は絶対いるであろうということは想像に難くない。わけのわからん人権団体だとか、プロ市民の目に留まったら、一発で問題視される可能性があると思う。それほど、マジですごい生々しいというか、まあ、実際のところエロ本だもの。

 ところで、わたしが興味があるのは、春画で描かれている絵柄とか芸術性ではなくて、春画という存在そのものである。なんと言えばいいかな、絵じゃなくて、なんでそんな絵が存在しているのか、というその理由だ。いわゆる、レゾンデートルって奴ですな。
 わたしは、職業上これまでにいわゆるエロゲーと呼ばれるものもやったことがあるし、エロゲーの原画集や、もはやこれはエロ本としか言いようがないのでは、という本も仕事の中で接してきたし、そういうイラストを描くイラストレーターと仕事をしたこともあるので、実際のところ、全く抵抗はない。それは商売として成り立つ以上、倫理的にこれはちょっと……というものでない以上は、冷静にその価値を判断できないといけないわけで、別に恥ずかしくもなんともない。そんな、エロイラストに慣れ切っているわたしでも、生で見る「春画」は、すごいインパクトである。だいたい、「春画」って、いったいどういうものなんだろう? 目的は? 誰向け? など、そういうことをわたしは知りたいのだ。なので、わたしは今回の展覧会でその謎が解けるのではないかと期待したのだが、そういう、そもそも論については、会場ではちょっとわからず、やや残念であった。いや、実際には冒頭のボードに書いてあったかもしれないけれど、混んでて読めなかった。また、各作品にもきちんと解説が付いていたが、これもやっぱり人が多くて、じっくり読んでいられなかった。そんな状況なので、9割方はわたしの努力不足だったかもしれない。が、もうちょっと……分かりやすくしてほしかった。
 なので、その辺の解説を期待して、ある意味仕方なく図録を買ったのだが、これが4,000円と、まあ高い買い物になってしまった。なお、この図録は、変な判型(B5変形か?)で、また束(厚さ)も60mmあって非常に読みにくい。この点では問題アリだと申し上げておこう。本は、デザイナーはそりゃシャレオツなものを作りたがる気持ちは十分に分かるけれど、この判型・このデザインはないよ。これじゃあ、保管もしにくいし。絵が小さいのも致命的で、4,000円は高すぎると思う。ただ、紐綴じなので、180°以上開くことが容易で、単に絵を見るだけなら見やすくはある。が、なんだかすぐにバラけてぶっ壊れそうな気もしてちょっと怖い。もう少し、何とかしていただきたかった。そろそろ、業界的な統一フォーマットと統合販売ポータルサイトを準備して、図録を電子化してもいいんじゃないかな。いろんな情報もバラバラだしね、美術館ポータルサイトがあれば、非常に便利だと思う。

 ともあれ、会場内での解説や、図録を読んでいろいろ分かったことがある。これがまたすっごく面白知識満載で、ちょっと全部は披露できないが、いくつかわたしが知ったことをご紹介しよう。
 ■大きく分けて2つに分類される
 どうやら「春画」には2種類あって、肉筆(直筆)のものと、木版画の2種類に分けられる。もちろん木版画は、江戸以降の浮世絵の発達によるもの。そして肉筆のものは、かなり保存状態の良いものが多い。なんでか分かる? こっそりしまわれている場合が多かったから、だそうだ。そりゃあ、堂々と家に飾っておくものではないわな。何でも、客が来た時などに、ちょっと見せて、「どうでゲス、すごいでやんしょ? グフフフフ……」みたいなことが多かったようだ。ちょっと笑える。
 ■そもそも、何のために「春画」というものが生まれたのか?
 どうやら、「春画」には時代時代によっていろいろな存在意義があったようだ。展覧会の冒頭に展示されていた「勝ち絵」と呼ばれる春画は、なんと戦に赴く武士の鎧櫃に入れておくものとして開発されたものだそうで、春画を入れておくと勝つ、みたいな俗習があったんだそうだ。まあ、日本各地には男根崇拝とかいろいろあるわけで、ははあ、なるほど、である。ほかにも、お嫁に行くうら若き女子に、母親がそっと渡すなんてことも普通にあったらしい。要するにその場合はHow To本という事だと思う。で、江戸以降になると、木版によって大量生産が可能になり、広く一般市民にも行き渡ったそうで、貸本屋の常備シリーズとして大人気だったらしい。まあ、はっきり言って現代の「エロ本」と同じ、と言ってよいだろうと思う。みんな大好きですな。しかも、どうもこの当時は、女子も普通に見て楽しんでいたようだ。これはわたしの推論だけど、要するに、Hに対するタブー的な思想は、たぶんキリスト教的価値観なんじゃなかろうか? 江戸時代にはそんなものはなかったわけで、どうも現代人よりオープンだったように思える。
 ■同人誌の原点?
 観ていて、へえー、と非常に感銘を受けたのだが、実は江戸期の「本」の体裁になっている「春画」には(※体裁としては、屏風絵や掛け軸のような1枚ものと、木版印刷により本として綴じられているものの2種類がある)、そもそも元になる物語の本が別にあって、そのエロ・パロディともいえる2次創作本が非常に多かったらしいのだ。
 それってまさに同人誌じゃん!? とわたしはちょっと驚いた。そして笑ってしまったのが、かの葛飾北斎の作品だったのだが、絵の背景に、セリフがすごい書き込んであるのよ。そのセリフはもちろん我々素人には全く読めない崩し字なんだけど、会場にはきっちりなんて書いてあるか解説があって、その内容が、もう完全にエロ同人漫画なんだな、これが。喘ぎ声や擬音まで入ってて、それがまあ、いやらしいわけw。ここはわたしは思わず声に出して笑ってしまった。好きですのう、北斎先生!! ちなみに、北斎はもとより、歌麿や北尾正成、菱川師宣といった超一流のプロ浮世絵師たちはほぼ全員、「春画」を描いている。彼らこそが、プロ同人作家の元祖だったわけだ。しかも、おそらくはすべて版元(=出版社)からの発注で描いているわけで、そういう意味ではまさしく現代のイラストレーターと完全に一致している。これは面白い!! だから、高尚な芸術である、と理解する必要は全くないと思うな。実際エロ本だと思うよ。
 ■取り締まり
 いつの時代にも、これはわいせつじゃ!! けしからん!! と言い出す奴はいたようで、江戸期にも、お上の弾圧はあったそうだ。いわゆる寛政の改革によって、一時期「春画」は取り締まられ、発禁となったらしい。18世紀末のころのことで、かの有名な版元の蔦谷重三郎は財産を半分なくしてしまったそうである(もちろん全部が「春画」のせいではないけれど)。でも、そういう取り締まりが行われたからといって創作活動をやめるわけもなく、単に地下に潜っただけのようで、そのあたりも現代と全く変わりないわけだ。これは、たぶん表現の自由とか、そういう問題じゃないと思う。純粋に、商売として儲かるから、ほしい人がいっぱいいたから、続けたんだと思うな。我々現代人にとっては、表現の自由は絶対に守られるべきものではあるけど、江戸人にそんな感覚はなかったと思う。
 ■BLの起源!?
 はい、腐女子の皆さんお待たせしました。ありましたよ、ばっちり。いわゆる「衆道」の「春画」も結構展示されていた。ので、観て、うわぁ……とやや引きました。どうも江戸以前の作品に多かったような印象です。BLとか衆道という言葉が分からない良い子の皆さんは、わからなくていいんだよ……。

 もっともっと、いろいろなことを書きたいが、キリがないのでこの辺にしておく。なお、わたしとしては果たしてこういう「春画」的なものは日本独自のものなのか、それとも世界中どこにでもある文化なのか、それが非常に知りたかったのだが、その辺の解説のようなものがなくて残念であった。ただ、やっぱり幕末期に日本を訪れた外国人は皆一様に驚いたらしい。なんじゃこりゃ、と。あと、中国やインドあたりでは古くから、いわゆる『カーマ・スートラ』的な、「房中術」として春画めいた絵はあったようだが、基本的にはHow Toとしての実用書的性格のものだったようだ。娯楽としての春画は、まだわたしもはっきりわかっていないが、どうもCOOL JAPAN ORIGINALっぽい。実際のところどうなんだろう。たぶん、西洋キリスト教文化においては存在し得ないものではなかろうか? あったとしても、もっと全然アングラというか素人的なものしかなかったんじゃないかな……。もうちょっと調べてみたいと思う。

 というわけで、結論。
 『SHUNGA 春画展』は、真面目な話、かなり必見であると言っておきます。非常に興味深い。ただ……どうなんだろう、性的なものに対して抵抗のある方、免疫のない方は、やめたほうがいい。完全モロなので、そういう方にはちょっと刺激が強すぎると思います。一人で行った方がいいのかな……ぼっちのわたしは自動的に一人で行かざるを得なかったが、さすがに、仲の良い女子に「春画展行こうぜ」と誘う勇気はなかったです。平日は20時までやってますので、定時ダッシュ出来れば見れますよ。あと、この展覧会も前期展示と後期展示に分かれるようなので、後期展示を観にまた行くつもりです。

↓ コイツでも買って、ちょっと真面目に勉強してみたい。高っけえんだよな……27,000円ナリ。

 毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースをレギュラー化するつもり満々だったわたしだが、いきなりで大変申し訳ないのですが、これだけは言わせていただきたい。
 た、大変だ―――!! 今週の『囚人リク』が大変なことに!!
 P.244-245の見開きは、ちょっと歴史に残るんじゃね? というぐらいの最高の絵だ。そして続くP.246の「喜びすぎちゃった (キラキラキラ……)」「・・・でも・・・ま・・・いっか」は最高すぎて電車の中だというのに声を抑えられず、「ふはっ!!」と笑い声をあげちゃったじゃないか!! どうしてくれるんだよ瀬口先生!! たぶん当分「生っき!! がい!!」 が頭から離れないことは確実だ。生っき!! がい!!
 以前書いた通り、この『囚人リク』もわたしは毎週楽しみに読んでいるのだが、この『囚人リク』という漫画では、決定的な何かが起きたときの、見開きや大ゴマでのキャラクターの表情がすさまじく、顔芸としては範馬勇次郎をも超えてるんじゃないかという気もしており、いやー、ホントに『リク』からは毎週目が離せない。つーか、やっぱ週刊少年チャンピオンは最高ですね!! ということで、今週は『囚人リク』もマジヤバイです。はー、書いたらちょっと落ち着いたわ。生っき!! がい!!

 さて。と、いうわけで、今週の 『鮫島』ニュースです。
 今週から6日目に入る『鮫島』は、先週のすごい引きを受けて、とうとう【蒼希狼】との取組かと思いきや、どうやら鯉太郎と戦うのは【大山道】という力士のようである。そして、【大山道】は西前頭7枚目の力士であり、【蒼希狼】の兄弟子らしい。 なるほどね、佐藤先生は、【蒼希狼】と鯉太郎を直接対決させず、その兄弟子をぶつけてきたわけだ。これは非常にうまい、とわたしは思った。闘志の塊のような力士だったのに、「もう相撲を取る理由がない・・・」と涙を流す弟弟子を、「もう一度奮起させるのは、兄弟子である俺の役目」だと親方に言う【大山道】。今週最後のこのセリフで、わたしはもう、涙腺崩壊5秒前である。カッコ良すぎる。これは鯉太郎と直接【蒼希狼】を戦わせるよりもずっと効果的かつ感動的な演出であろう。佐藤先生、毎週本当にありがとうございます!!
 
 というわけで、今週は、まだいろいろな謎は謎のままである。
 一体、【蒼希狼】に何が起きたのか、はわからない。ただ、そのヒントとなるような言葉がいくつかちりばめられている。 先ほども引用した通り、【蒼希狼】は、涙を流しながら「俺にはもう・・・相撲を取る理由がない・・・」と言う。じゃあ、そもそも、彼が日本へやってきて相撲を取る理由って何だったのか? ちょっと振り返ってみよう。
 その答えは、第1シリーズ『バチバチ』の第102~109話にある。単行本の12~13巻だ。
 って、なにィィィィーーーッ!? マジか!! 今、手元の『バチバチ』12巻をめくって【蒼希狼】のモンゴルでの過去話編を探してて、ちょっと鳥肌立った。なんと、今週の『鮫島』で、鯉太郎と戦うことが判明した【大山道】という力士だが、わたしはてっきり初登場の力士かと思っていたのだが、なんとこの第102話「バーキ」で、入門当時の【蒼希狼】に稽古をつけてやった関取(十両)じゃないですか!! 完璧忘れてました。うおー、そうきたか……この衝撃は、『弱虫ペダル』で古賀先輩がレギュラー争いに名乗りを上げたとき以来の衝撃だよ。すげえ、さすがチャンピオン連載漫画!! もう、こういう面白さはジャンプには皆無だからな……いやー【大山道】にはびっくりした。
 で。【蒼希狼】の相撲を取る理由だが、それは要するに、モンゴル・ウランバートルでマンホールチルドレンとして生きていた時代の仲間たちに、「腹いっぱい喰わしてやる」ことだ。だから、「負けたら終わり」だと思って誰よりも強い精神力で戦ってきた。しかし、続く『バチバチ』13巻で、序二段で鯉太郎と戦い、負けた【蒼希狼】は、負けを受け入れられず、取り乱す。そこでの親方の言葉がまた泣けるわけです。
 「1回も負けないムリムリ! もっと稽古稽古 力士まだまだまだ 土俵(ここ)広い お前の国の空みたい・・・もうアナタわたしの弟子(むすこ) バカ~~~~」
 なんかカタコトなのは、モンゴル語で親方がしゃべっているからなのだが、その親方のハートは【蒼希狼】にしっかり届き、「悪ぃなみんな・・・土俵(ここ)には俺より強い奴がいたわ・・・もう少し待ってくれ・・・俺は絶対に強くなるから・・・」と、彼は決意を新たにしたはず、というところまでが、今のところ読者たる我々が知っている事実である。一体その後の【蒼希狼】に何があったのか?

 今週のチャンピオンでは、いくつか分かったことがある。
 ■【蒼希狼】は、出世が早く、序二段での戦い以降、鯉太郎との対戦はなかった。
 ■同期の出世頭であり、あっという間に小結まで番付を上げた。
 ■しかし、その場所であっさり陥落、以降いいところナシ。
 だったそうである。という事は……普通に考えると、その小結として挑んだ場所で、何かが起きたと考えられる。そして「もう相撲を取る理由がない」理由として考えられることは、上に書いた通り、モンゴルの昔の仲間に何かあったのか? という事ぐらいしかなかろうと思う。
 ただ、ちょっと気になるのが、今週のチャンピオンのP.205で描写されている力士の姿だ。これはいったい誰なのか? 鯉太郎か? ちがうよな……? ひょっとすると、どんなに稽古を積んでもコイツには勝てない、と思わせるような最強の力士=横綱との戦いがトラウマとなっているのか? という予感も抱かせる。小結なら、確実に横綱との割が組まれたはずだし。その力士が王虎かもしれないぞ……というのはちょっと妄想が過ぎるだろうか? 蒼希狼よりも先に王虎が出世して横綱まで行った、なんてことはちょっと考えにくいか。じゃあ、誰なんだろう。しかし、そもそも蒼がそんなヤワなハートの持ち主ではあるはずないし……まったくわからねえ……。

 いずれにせよ、どうやら六日目の戦いも、鯉太郎にとってはタフな戦いになりそうだ。常松も、【大山道】は派手なところはないがクセ者だと警戒を促している。まあ、またきっと10話以上を費やす中身の濃い話になる予感がヒシヒシと感じられるが、鯉太郎と【大山道】の戦いが、確実に【蒼希狼】に再び火をつけることになるのは間違いあるまい。その中でおそらくは、【蒼希狼】が闘志を失ってしまった理由も語られるであろう。今場所での【蒼希狼】の番付が不明だが、鯉VS蒼の割は組まれないだろうな……。とにかく、毎週、目が離せないのは確実である。鯉太郎の戦いを今後も見守っていきたい。

 というわけで、以下、毎週のテンプレを貼って終わりにします。
<場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所では東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明w
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 
 6日目:【大山道】西前頭七枚目 ←New!今週判明
 --------
 【天雷】東関脇
 【蒼希狼】??? 最高位は小結←New!今週判明

 というわけで、結論。
 やっぱり『鮫島、最後の十五日間』は最高です。もう早くも来週のチャンピオンが読みたいです。
 そして、『囚人リク』も最高です!

 ↓やっぱり、『リク』も単行本買わないとダメかなぁ……現在の最新刊は24巻か……。

 サニー千葉と呼ばれる男がいる。
 知ってる人は知ってるだろうけど、知らない人は知らないので(そりゃ当たり前か)説明すると、80年代のTVや映画で恐ろしくカッコイイ男を演じ続けた千葉真一氏のことである。80年代、わたしは小学生から高校生であったわけだが、当時、わたしは、例えばテレビの『影の軍団』だとか、映画では『伊賀忍法帳』や『里見八犬伝』のような当時の角川映画でよくあったトンデモ時代劇が好きすぎてたまらなかったわけだが、ほぼすべての場合、リーダー的なキャラクターは常に千葉真一氏であった。そしてその弟子的な若い主人公はたいていの場合、真田広之氏(か、または黒崎輝氏)で、彼は今のハリウッド進出を果たした国際スター真田広之氏とはある意味別人のバリバリアクション野郎だったわけである。
 で、それらのTVドラマや映画でアクションを一手に担当していたのが、千葉真一氏率いる「Japan Action Club」通称「JAC」である。実はわたしは高校3年の夏休み前に、 JACに入ろうとしたことがあった。当時、JACの事務所が代官山と恵比寿の真ん中、いや、恵比寿のほうが全然近かったかな、とにかくその辺りにあって、一度入所申込書をもらいに行ったことがある。そして帰ってきて、申込書をよく読んでみると、どうやら入所にあたって、前金でたしか60万ぐらいだったかな、入所金30万+月謝?が5万×半年分前払い、みたいな感じだったと思うが、とにかく当時のわたしにはとても出せるような金額でなかったと記憶しているけれど、結構な大金が必要なことがわかった。ので、ちょっと母親に話してみたところ、まあ国立大学に合格したら考えてやってもよいという約束を取り付け、ようし、やったるぜ! とそれなりの努力をしたものの、わたしは見事第一志望の国立大学に落ち、無事にJAC入りは出来なかったわけだが、あの時、本当にJACに入っていたら、今頃どうしてただろう……と、たまーに思うことがある。 

 そしてここに、わたし同様にサニー千葉の大ファンだというハリウッドスターがいる。その名もKeanu Reeves氏。Web上ではボッチ野郎として大人気の、あの男である。彼は、わたしの知る限り今年に入って3回、日本にやって来ている。どうも彼は日本が、本当に大好きらしいのだ。
 1回目は、2月ぐらいだったと思うが、なんとKeanu氏がロケだかロケハンだかで、日本に現れ、秋葉原や皇居周辺等での目撃情報がWeb上に寄せられ、一時大変な話題になったことがあった。彼はWikipediaによると、帝国ホテルと味噌ラーメンをこよなく愛しているそうで、来日したら必ずラーメン屋に出かけるそうだ。なにやってんすかKeanuさんw !! ちょっとWeb検索すると、そんな写真がいっぱい出てくる、愛すべきおかしな野郎である。
 2回目は、かの鈴鹿8時間耐久レースが開催された7月の末のことである。バイク好きとしても知られるKeanu氏は、自らがプロデュースするバイクを持って来日し、鈴鹿を爆走したのだ。なにやってんだこの人w ちょっとおかしいでしょ。詳しい記事はこちらを見てください。Web上でまことしやかに語られる数々の「ボッチ伝説」が本当なのか知らないけど、バイクとKeanu氏はよく似合う。やっぱりイケメンはボッチであろうと絵になる。ニクイ奴だ。(※注:一応解説しておくと、「ボッチ」とは、一人ぼっち、の略で、まあ要するに、友達のいない、いつも一人でいる人のことを意味する言葉である。まあ、わたしもたいがいボッチですけどね)
 そして3回目が、今月10月頭の新作映画のプロモーションでの来日である。この来日では、日テレの「Zip」の取材に応えているのだが、日テレが気を利かせて、サニー千葉をその取材の現場に呼び、Keanu氏にドッキリご対面をセッティングしたのである。これもWeb上で非常に話題を呼んだのだが、その時の彼のテンションの上がりっぷりは、非常にほほえましく、わたしもYouTubeにUPされていた違法動画でその姿を見たが、まさしく少年のようにはしゃぎ、サニー千葉こと千葉真一氏に対面した彼は「ハジメマシテ! マエストロ!!」と挨拶し、大興奮であったのが印象的であった。これも、ちょっと検索すればその時の映像が見つかると思うので、観ていない人はぜひチェックしていただきたい。

 というわけで、わたしも非常に、勝手に親近感を抱いている男、そして、なにげにその動静が気になるKeanu Reeves氏の最新作『John Wick』を昨日の夜、観て来た。

 すでに、予告で散々示されているように、ストーリーはごく単純で、元凄腕殺し屋たるKeanu氏が、愛する妻を亡くし、亡くなる間際にプレゼントしてくれたわんこと静かに人生を送ろうとしているのに、トラブルに巻き込まれ、怒り心頭に達し悪党をぶっ殺しまくるという話である。なんか最近そういう映画が多いと思うが、あきらかにそれは、戦うお父さんでおなじみの『Taken』(邦題:96時間)の大ヒットの影響であろうと思う。わたしが知るだけでも、そんな映画はここ最近でも3つある。
 1つ目の『Taken』は、マスター・クワイ=ガン・ジン、あるいはラーズ・アル・グールやオスカー・シンドラーでおなじみのLiam Neeson氏がスーパー親バカぶりを発揮して暴れまくる映画だ。原題『Taken』の通り、「誘拐された」娘や奥さんを助けようとするスーパー・ダディ大活躍ムービーである。3作目まで作られたこのシリーズで、Liam Neeson氏は主人公・ブライアン・ミルズをカッコ良く演じてくれたわけだが、設定としては、元CIA局員である。まあ、一応正義側、と言ってよかろう(まあ、CIAなので極めてグレーだけど)。今は引退して静かに暮らしている主人公だが、家族のために、今また、伝説の男がよみがえる!! 的な話だ。実際最高に面白いです。
 2つ目は、「狼と踊る男」ことKevin Costner氏主演の『3 Days to Kill』(邦題:ラストミッション)である。ま、実際のところ『Taken』と同じような話なので詳細は割愛するが、やはり主人公はCIA局員で、はっきり言ってよく覚えていないのだが、確か現役なんだけど、余命いくばくもないと知って、娘と仲直りするために引退しようとして、最後の任務を引き受ける話じゃなかったかな。 で、また娘が拉致されて、父親大激怒&大暴れ、みたいな。ま、この映画ははっきり言ってどうでもいい出来で、あまり面白くない。
 3つ目が、これは非常に面白かったのだが、オスカー俳優Denzel Washington氏主演の『The Equalizer』だ。ここでの主人公はやっぱり元CIAの超敏腕エージェント。過去を捨て、ホームセンターで真面目に働きながら静かに人生を送る男が、不眠症に悩みながらも毎夜通うカフェで出会った少女を助けるために、自らの持つすべてのスキルと人脈を生かして、少女が隷属させられているロシアン・マフィアと大喧嘩する話である。この映画は、元々アメリカのTVドラマ「ザ・シークレット・ハンター」を映画化したものらしいが、ヒロインたる薄幸の少女を、天下のブサカワ・ガールとして大人気のとChloe Grace Moretzちゃんが可憐に演じており、また主人公Denzel Washington氏もやたらとカッコ良く、非常にわたしとしては楽しめた映画であった。
 よく考えると、そういえばかのArnold Schwarzenegger氏主演の伝説の名作『COMMANDO』も、娘と静かに暮らす元軍人が、娘を誘拐されて大激怒&スーパー大暴れする映画であった。やっぱりこういった系譜の元祖は、この映画かもしれないね。何しろその大暴れぶりは「一体何が起こるんです!?」「第三次世界大戦だ!!」という名セリフでも明らかなように、ま、ありゃあ戦争だなw この映画は、ぜひとも日本語吹き替え版で見ていただきたい。超・名言の宝庫で、いまだにWeb上ではそのセリフ回しが様々に引用されている、レジェンド・ムービーである。

 というわけで、こういう【怒らせた相手を間違えました、サーセン】ムービーは、わたしとしては非常に好きであるし、なにより主人公が強くて、いわゆるカタルシス、「観終わってすっきりする」映画がやっぱり観客としては最高であろうと思う。今、ふと思い出したが、日本の、かの白土三平先生による名作漫画『カムイ外伝』なんかも、意外とこの系統に入る作品だと言っていいのかもしれないな。要するに、古来からある伝統的なモチーフであると言えるのではなかろうか。
 で、今回の『John Wick』も、まさしく【怒らせた相手を間違えました、サーセン】という映画である。ちょっと先に挙げたハリウッド映画と違うのは、主人公ジョン・ウィックは、元CIAや軍人といった正義サイドの人間ではない。詳細は良くわからないが、プロの殺し屋、である。そういう意味では、純然たるBADGUYだ。しかも、殺し屋を殺す男で、劇中に出てくる殺し屋ギルド的な(?)組織で最上位に位置していた男、らしい。なので、主人公を狙う連中は、主人公が何者か分かってて襲ってくる。敵わないってわかってるのに、なんでまあ、無駄な戦いを挑むのかな……とわたしは観ていて思っていたのだが、案の定、基本瞬殺で返り討ちである。やめときゃいいのに……一番悪い奴は、ジョン・ウィックに喧嘩を売ったチャラ男だって、みんな分かってるんだから、素直に差し出してやれば、みんな死なずに済んだのに……バカなチャラ男はそのボス的な男の息子なわけだけど、最初はボスも、ジョンに手を出したバカ息子に激怒して、いやあ、うちのバカ息子が申し訳ない、と謝ろうとするシーンがあるから、さっさと引き渡すのかと思ったのだが、ま、そうなったら映画はそこで終わっちゃいますわな。まあ、ボスとしてのプライドなのかわからないけど、死んじまったらお終いでしょうに。なので、物語的には、若干無理矢理感が強く、脚本には問題アリ、ではあると思う。だが、キャラは非常に立っており、Keanu氏のアクションのキレや、競演陣の渋さ、また演出も結構光るものがあって、基本的にはわたしは大満足です。面白かった。
 ところで、この映画では、ちょっと面白い設定がいくつかあって、その殺し屋ギルド的な組織(?)が所有するホテルがマンハッタンにあり、そのホテル内での「仕事(=殺し)」はダメ、という掟があるのだが、そこのホテルでのやり取りは非常に面白かった。オーナーやフロントの男が非常にイイ味を出している。あと、Keanu氏扮する主人公が、「あれっ!? ジョンさん、ちっす!! 復帰っすか!?」といろんなところで昔なじみに聞かれまくるのも、なんかちょっと面白い。その度ごとに、「いや、ちょっと立ち寄っただけさ」みたいな返答を律儀にするKeanuもイカしてます。また、主人公ジョン・ウィックの親友として出てくる男をWillem DaFore氏が恐ろしく渋く演じていて、大変カッコ良かった。この人は本当にいい感じに年齢を重ねていると毎回思うが、こういった軍人や殺し屋役以外にも、いろんな役ができる優れた俳優だと思う。もともとは舞台の方が好きみたいですな、この人は。だからなのか、なにげに演技派だと思う。あと、ボスを演じた俳優は、Mikael Nyqvist氏というスウェーデン人の役者で、この人はかの大ベストセラー『ミレニアム』シリーズ3部作の、スウェーデン版映画で主役を務めた男である。ハリウッドリメイク版では007ことDaniel Craig氏が演じた主人公だが、まあ、もちろんビジュアルはDaniel Craig氏の方がカッコイイのは間違いないけれど、原作の雰囲気はやっぱりスウェーデン版のMikael Nyqvist氏の方が合ってると思うな。

 というわけで、結論。
 『John Wick』は、まあちょっとした物語上の無理矢理感がアレですが、基本的には観終わってすっきりできる、王道の映画であったと思う。日々、イラつくことの多い方は、心の中で、死ね! と叫びながらKeanu氏になったつもりで映画に没入していただきたい。すっきりすると思うよ。

↓ 全然関係ないが、Liam Neeson氏主演で一番好きな映画はこれです。最高。でもマイナー? なのかな、Blu-rayは出てないっぽい。くそう、超・最高なのに!!
ダークマン [DVD]
リーアム・ニーソン
ジェネオン・ユニバーサル
2012-05-09


 いきなりで大変恐縮ですが、「富士額:フジビタイ」って、分かりますよね?
 ↓こういうの。
beji-ta
 まあ、この画像は、わたしが「富士額」と聞いて、真っ先に思い浮かぶキャラクターの画像を、ちょっとそのおでこだけを切り取った違法画像なのだが、要するに、額(ひたい)の真ん中に、ちょろっと髪が侵食? していて、その様が富士山みたいだというビジュアルをイメージしていただければ良いだろう。実際、そういう人はいっぱいいる。わたしの高校時代の友人で、柔道部で、3年間ずっと坊主で、その人を思い浮かべると坊主頭しか浮かばない男がいるのだが、彼も、髪の生え際が一直線なんだけど、なぜか中央部分だけちらっと▼になっていて、富士額の人を見かけると、いつもこの古い友人のことを思い出してしまう。残念ながら、わたしの場合は、近年、髪の生え際が後退していく厳しい状況にあり、たんなるM字ハゲになりかかってるだけなんじゃないかという、もはや人生終了にも等しい極めて深刻な疑惑があるが、ま、とにかくこういうおでこの人はいっぱいいるし、江戸時代の浮世絵においては、富士額は美人女子の条件の一つだったそうな。
 
 なんでこんな話をしているかというと、わたしが昨日の夜、ぼんやりと見ていた映画の主人公が、きわめて立派な富士額であり、この俳優を見かけると、いつもわたしは、その高校の時の富士額の友人のことを思い出すからだ。
 というわけで、問題です。↓ この部分だけで、コイツが誰だかわかりますか?
colin02
 これだけで、この人が誰だか分かったら、十分に、人から「映画好き」と呼ばれる資格はあると思う。ヒントは「富士額」と「超・下がり眉」である。この役者は、実際のところBrad Pittによく似ているとわたしは常々思っているが、Brad Pittではない。髪と眉の色が、Brad Pittはもうちょっと明るいと思う。ここまで濃い色で、クドイ顔ではない。




 というわけで、正解は……↓この人ね。
 colin01
 えっ!? 顔全部見てもわからない? だとしたら、あなたは「映画好き」という看板は今日限りで下ろしてもらおう。この男は、Colin Farrellというハリウッド俳優である。なんかいつも困っている富士額野郎として、わたしの中ではおなじみだ。おそらくColin Farrellは、「下がり眉の困った顔選手権・世界大会」が開催されたとしたら、セクシーハゲでおなじみのNicolas Cageと、優勝を争う事になるのではないかと密かににらんでいる。
 というわけで、昨日わたしが観た映画でも、Colin Farrellは非常に困った顔というか、哀しい顔が印象的な演技を披露してくれたのであった。その映画のタイトルは、『Winter's Tale』(邦題:ニューヨーク・冬物語)である。

 この映画は、2014年5月に日本で公開されたもので、わたしも予告編を観てちょっと気になっていたのだが、残念ながら公開規模が小さくて、あっという間に見逃してしまった。で、今年の5月ぐらいだったかにWOWOWで放送されたのを録画しておいたものの、なんとなくHDDに埋もれてしまっていて、観る機会はなかったのだが、実は来月、ちょっとニューヨークに行くことになったので、そういやタイトルにニューヨークと入った映画があったな……とふと思い出し、ああ、そうそうこの映画だ、ということで、観てみるに至ったわけである。
 この映画は、改めて観てみてちょっと驚いたのだが、バリバリのファンタジーであった。そういえば確かに原題は『Winter's Tale』である。そして物語は、Once upon a time....から始まっており、まったくもっておとぎ話めいた雰囲気を持つ不思議な映画であった。

 物語は1895年のNYから始まる。とある夫婦が新天地アメリカに移住してきたのだが、結核にかかっていて入国を拒否される。せっかく夢見たアメリカなのに、強制送還の憂き目にあう若い夫婦は、せめて赤ん坊の我が息子だけでもアメリカに残したい、と、模型の船に赤ん坊を乗せて、帰国してしまう(……ここは突っ込まないでください。わたしも、ええっ!? とびっくりしたけど、ここを否定すると映画は終了です)。で、時は流れ1916年、成長した息子は何とか生き延びており、どうやら泥棒を生業として生きているらしい。そして、どうも所属するギャング団から抜けようとしていて、追われる身らしいという事が描写される。この時点で、観ているときは全く気にならなかったが。改めて考えると主人公は20歳だか21歳だかであるが、演じているのは、Mr.富士額ことColin Farrellである。1976年生まれらしいから、この映画公開時は38歳か? えーと……まあ、細けぇことは気にしないでおこう。
 で、そのギャング団を率いるボスを、Russel Crowが演じている。どうも良くわからないが、ボスは主人公にご執心である。その理由は冒頭ではまだわからない。主人公は逃げ回り、いよいよ万事休す、というところで、非常に美しい、真っ白な馬に出会う。どうやら、乗れ、と言ってるらしい白馬にまたがると、とんでもないジャンプで追っ手を躱し、逃走に成功する。ここでわたしは、あ、この映画はファンタジーなんだ、と気が付いた。何しろ白馬がスーパー大ジャンプをかますときに光の翼が表現されるのだ。なるほど、そういう話なのね、とだんだん分かってきたぞ。
 そして主人公は、とっととNYマンハッタンからおさらばしたいのだが、白馬はとある屋敷の前から動かない。なんだよ、この屋敷に忍び込んでなんか金目のものでも盗んで、路銀の足しにしろとでもいうのか? 白馬の意志を何故かそんな風に解釈した主人公は屋敷に潜入し、物色しようとしたところで、一人の美しい――がしかし、既に死の病に侵されて余命いくばくもない――女子と出会い、恋に落ちる。

 こんな話である。そして物語は後半で、「奇跡」をめぐる天使と悪魔の対立というファンタジックな展開となる。ここは、ちょっと正直分かりにくいのだが、ゲスト出演でちらっと出てくるWil Smithが、「判事」と呼ばれる悪魔(?)を演じていて、その判事のもとにRussel Crowがやって来て、ちょっとした許可を求めシーンがあるのだが、そこは非常に面白かった。ちなみにRussel Crowも魔族らしく、階級的には判事の方が偉いらしいことも描かれる。また、どうやら元天使で、堕天した男なんかもいて、まったくもってライトノベル的なファンタジーだった。

 クライマックスに向けた終盤で、主人公はとある奇跡によって現代の、2014年のNYに送られてしまうのだが、現代に送られた意味が分かる最後のくだりは、ちょっと泣ける。現代パートにしか出てこないJennifer Connellyも非常に良い。この女優は1984年公開の『Once Upon a Time in America』でデビューした別嬪さんだが、歳を重ねて本当に今でもきれいで、わたしは大ファンである。なんとなく、日本人に例えると宮沢りえ的な正統派美人だと思う。旦那はPaul Bettanyで、Ironmanの忠実な執事ジャーヴィスの声を演じ、最新作Age of Ultronでヴィジョンとして生まれ変わったアイツだ。Jennifer Connellyを嫁に持つとはまったくうらやましいというかけしからん野郎である。まあ、そんなことはどうでもいいが、最終的なエンディングもきれいにまとまっており、想像していたのとは全然違っていたが、わたしとしては結構楽しめた作品であった。

 なお、病に侵されているヒロインを演じたのはJessica Brown Findlayという女優で、わたしは全然知らない人だった。が、非常にかわいらしく、また極めて幸薄く、はかなげに演じており、わたしとしてはアリ、である。どうもわたしは、現実世界でも、またフィクションの物語においても、こういう幸の薄い、しょんぼり女子にはどうしても心惹かれてしまうらしい。なんなんでしょう、この謎の心情は。わたし自身にもまったく良くわからないのだが、好きなものは好きなんだからしょうがないっすな。理由はどうでもいいや。
 あと、この作品ではNYのGround Central Stationがちょっとした舞台となる。来月わたしが泊まるのはTimes Squreの近くだが、Ground Central Stationまで歩いて10分ほどなので、ぜひとも現地をも訪れ、しばらくこの映画を思い出しながらぼんやりして来ようと思う。

 というわけで、結論。
 『Winter's Tale』(邦題:ニューヨーク、冬物語)は、わたしとしてはアリです。
 まったくもってファンタジーですので、まあ、細けえことは、どうでもいいんだよ、という広い心で観ていただければ、結構面白いと思います。

 ↓これが原作。ちょっと読んでみたくなってきた。ハヤカワは渋い本を出すなぁ……。お、調べてみたらわたしが愛用している電子書籍サイトBOOK☆WALKERでも売ってるみたいだ。仕方ない……来月買うとするか。
ウィンターズ・テイル(上) (ハヤカワepi文庫)
マーク・ヘルプリン
早川書房
2014-03-20

 しつこいが、映画『バクマン。』の興行収入である。3週目の数字が出たようだ。
 どうやら、10/17(土)10/18(日)の週末興収は1.37億ほどだったそうである。
 これは、先週のわたしの予想<2.1億×70%=1.47億>より若干落ち方が大きい。前週末の約65%ぐらいだったという事になる。ま、金額的にはイイ線行ってたかな。
 だが、わたしはこの週末までの16日間合計では、<9.67億ほどではないか>と予想していたのだが、なんと嬉しいことにわたしの予想を上回る<10.4億>まで伸びているとのことだ。約0.8億も違いが出てしまった。ひどい予想をしてすみませんでした。サーセン。
 週末興収はわたしの予想よりも0.1億低かった一方で、累計では0.8億多い結果になったということは、これは要するに、10/12(月)~10/16(金)の平日5日間がわたしの予想よりもずっと良かったという事である。わたしの先週の予想では、この平日5日間は<2.0億×80%=1.6億ほどであろうか>と予想したのだが、結果としては、逆算すると<2.4億>も稼いだことになる。平日で、前週よりも稼ぐとは大したものだ。
 要因としては、まず第一に考えられるのは、月曜日の10/12が体育の日で祝日だったことが大きい。まあ、昭和の男であるわたしとしては、「ハッピー・マンデー」なるものはホントやめてほしいと思っているのだが、月曜が祝日であることをまったく考慮をしてませんでした。サーセン。
 あとは、まぁ、様々な要因が重なったのだろうが、公開後落ち着いて、そろそろ観に行ってみるかという行動が増えたのだろう、としか想像しようがない。真っ先に見る映画ではないけれど、まあ見てもいいかな的な行動だと思う。舞台挨拶も効いたかもしれない。普通は公開後に平日動員が増えることはめったにない。そして『バクマン。』においても、今後は――そうなる要因が見当たらないので――前週よりも数字が上がることは確実にないだろうと思う。
 いずれにせよ、今後どこまで伸びるか、については、まあギリギリ15億ぐらいか? という予測は今のところ変えるつもりはない。 一応、わたしが今までに蓄積してきたデータを振り返って漁ってみたのだが、公開16日経過時点(3週末終了時点)で、10億ほどの映画というところでほかの作品を探してみると、
 『麒麟の翼―劇場版・新参者―』(2012年1月・377Scr):10.5億→最終16.8億
 『宇宙兄弟』(2012年5月・322Scr):10.5億→最終15.7億
 『東京物語』(2013年1月・319Scr):10.37億→最終18.2億
 あたりが見かけられた。ちなみに、大根監督の『モテキ』は、16日経過時点で12.1億弱まで伸びていたわけで、今の情勢からすると、『バクマン。』が『モテキ』を超えることは100%ないと断言できる。先週も書いたが、15億程度で終わるとすると、本当にギリギリでトントンぐらいなのではないかと想像する。赤字ではないと思いたいが、続編は難しいだろうな。見吉を今さら出す展開も難しいだろうし。
 とりあえず、似たような数字の作品の中では、まあ作品の内容(=漫画原作)やスクリーン規模で一番似てるのは『宇宙兄弟』であろうか。『麒麟の翼』や『東京物語』は、想像するにシニア層の支持が厚かっただろうから、平日の興行も大きかったろうし、後伸びもする要因はあるが、漫画原作ははっきり言って初動命だと思う。上手く後伸びすれば17億ぐらいもあり得るとは思うが、どうにも『ギャラクシー街道』が控えている以上は、それほど後伸びするとはやっぱり思えない。
 ただ、そろそろ『ギャラクシー街道』に向けたキャスト動員番宣がTV上で本格化してきた空気を感じ始めているが、本当に売れるのかは、実際わたしは今一つピンと来ていない。いや、もちろん最低でも20億レベルは軽くクリアするのだろうけれど、『ステキな金縛り』の42.8億を超えられるのかは観てみないとわからない。
 間違いなく、前作『清須会議』に関して言えば、まったく歴史知識のないゆとりレベルには通じない映画だったと思う。あの映画を観て笑うためには、信長から秀吉に至る日本史上の幾つかの知識がどうしても必要だった。特に、役所広司が演じた"鬼柴田"こと柴田勝家について知らないと、せっかくの役所広司の素晴らしい演技も全く笑えない(逆に知っていれば爆笑できる)。結果的に30億に届かなかったことが明確にそれを証明しているとわたしは思う。その他のキャストの演技も素晴らしかっただけに、29.6億で終わってしまったことは非常に残念だ。
 このことで、三谷監督という「ブランド」の価値が毀損されていなければ、たぶん最低30億というラインは余裕で超えてくるだろう。だが、もしブランド価値が落ちてしまっていたら? 興収40億というのはそう簡単に出るものではないので、今回の『ギャラクシー街道』が「三谷ブランド」を測る重要な指標となるのは間違いない。果たして今回の微妙SFコメディが大ウケするのかどうか、楽しみに結果を待ちたい。――と言っても、まあ、きっと大ウケするんだろうな。全然根拠はないけれど。今回の『ギャラクシー街道』は、最低でも40億ぐらい行ってくれないと、三谷監督の今後にかかわると思うし、三谷監督本人も、きっとそのことは承知しているだろうから、大丈夫だとは思う。
 ちなみに、ひとつどうでもいいことを記しておくと、『宇宙兄弟』が15.7億で終わった背景には、ほぼ同時期に東宝イチオシの『テルマエ・ロマエII』が公開されていたから、という事情もあったのではないかとわたしは思っている(宇宙兄弟はテルマエの翌週公開)。ので、そんなところも『バクマン。』の状況に似ているんじゃなかろうか。

 さて。もう一つ、ちょっと数字を追っておきたいと思っている『図書館戦争 The Last Mission』の方である。2週目の週末は、1.7億、9日間累計では8.56億まで伸びたそうである。最初の公開週末が3.29億だったので、前週比52%と、やや大きめの落ちとなった。これは、先週も書いたが、続編ものであれば十分あり得るし、ある意味通常の落ちと認識してもいいだろう。なので、まあ、それほど心配はいらないと思う。
 9日間累計も、前作比で101%と、チョイプラを維持している。前作は、2013/4/27の公開だったので、2週目はGWにあたり、大きく数字を伸ばしているのだが、その1作目の数字と比較しても遜色なし、という状態であることも考慮に入れれば、今のところ前作以上の勢いアリ、と思ってよかろうと思う。ただ、正直に言えば2週目終わりの9日間で10億を超えておきたかったのが、おそらく関係者の本音だろうと思う。今回の数字は、今後、確実に前作を超えてくるかというと、若干怪しい雲行きと思うべきかもしれない。この作品も、最初の平日5日間の数字を出してみると、8.56-3.29-1.7=3.57億/5days ということになり、これは1億/日を下回る水準だ。もう少し欲しかったな……最低、1億/日あれば、安心できたのだが……とわたしが関係者なら思うだろう。前作が最終17.2億だったが、『The Last Mission』も、先週の予想と同じく、15億以上は確定、MAX18億あたりという予想を変えないでおくことにする。ああ、もうチョイ伸びて、20億に届けばなあ……原作での完結編『図書館革命』の製作にGO! が出るんだろうな……。何とか頑張ってほしいと心から思う。
(※10/26追記:その後の数字はこちら参照。『ギャラクシー街道』が……!)

 というわけで、結論。
 現状での最終興収予想は、『バクマン。』がギリ15億ぐらい。『図書館戦争 The Last Mission』は17億ぐらい? ということにしておきます。えーと、もちろん、テキトー予想なので、真面目に参考にされても困ります。

 ↓ わたしとしては、三谷幸喜の(映像作品では)最高傑作と呼びたいのがこの作品。WOWOW製作ドラマ。なんと、全編長回しのワンカットで、一回もカメラを止めない中井貴一と鈴木京香の演技バトルがすごい。そして爆笑もできる恐ろしい作品。超・おススメです。

 わたしと同じ年代の、40代のおっさんで、「ガンダム」をまったく観たことがない人がいたとしたら、驚くというか、むしろ少数派ではなかろうかと思うのだが、どうなんだろう。わたしが小学生のときに、いわゆる「ガンプラブーム」というものがあって、世に言う『ファースト・ガンダム』と呼ばれる劇場三部作が公開されたわけで、まあ、よっぽどの理由がない限り、わたしと同年代の男なら一度はガンプラを作ったことがあるはずだ、と思う。少なくともわたしの周りの男は皆そうだ。
 ただ、おっさん世代としては、その後のガンダムについては、あまり詳しくない人が多く、まあ、そりゃ大人になってからもなおガンダムを見ている方が実際アレなので仕方ないが、わたしは仕事上、ガンダム知識が必須な環境であったので、実は『Zガンダム』以降については、サラリーマンになってから、仕事上必要な知識として、会社に数多く存在しているガンダム好きのみんなに、VHSビデオやDVDを借りて観たクチだ。一応、たぶんOVA含めて全作品を観ている。ゆえに、ガンダム知識に関しては、いわゆる強化人間(→放送時にリアルタイムに観ている人がニュータイプ、わたしのようにあとづけが強化人間)なのだが、21世紀以降のガンダムは、仕事上仕方ないので、きちんと放送をリアルタイムで追うようになった。
 とはいえ、おっさん的にはやっはり、どうしてもそれほど面白いとは思えず、別にハマる事はなかったのだが、『亡国のイージス』や『終戦のローレライ』でおなじみの福井晴敏先生が雑誌「ガンダムエース」誌上で連載した小説『機動戦士ガンダム・ユニコーン』と、ファーストガンダムのキャラクターデザインでおなじみの安彦良和先生による漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』(これも「ガンダム・エース」連載)に関しては、ファースト・ガンダム世代にもめっぽう面白く、ずっと連載を追いかけ、楽しませてもらった作品である。

※コミック、とあるが、中身は小説です。

※こっちが安彦先生の漫画「THE ORIGIN」
 その後『ユニコーン』は、 2010年からアニメ化され、2週間の劇場限定公開とWeb配信の後にDVD/Blu-rayを発売するという、TVでも劇場映画でもない新しい手法として開発・制作・発表され、2010年公開のepisode Iから4年、去年公開されたepisodeVIIをもって無事に完結した。そのクオリティはすさまじく高く、非常に満足のいくものであったが、そのepisodeVIIのエンディングで、とうとう安彦先生の『THE ORIGIN』も同様の手法でアニメ化されることが発表され、(正確には、制作自体はすでに発表されていたが、動く映像が公開されたのはそのときが始めてだったので)劇場は大興奮だったわけである。
 この『ユニコーン』のアニメに関しては、わたしの友人のMZくんが強力な筋金入りのガノタで(※ガノタ=ガンオタ=ガンダムオタク)、いつも一緒に観に行っていたのだが、最後のepisodeVII公開時は、初日前日の前夜祭上映のチケット取れちゃったんですけど、一緒に行ってもらえませんか!? ということになり、正直、いやオレは別に明日の通常公開で十分なんだけど……と断るのも気の毒なので、確かAM1:00ぐらいの回だったと思うけど、仕方なく新宿ピカデリーへ車で行き、AM4:00くらいに帰ってきたこともあった。もちろん、始発も動いていない時間なので、お疲れ~とわたしだけ帰るわけにも行かず、ご丁寧にMZくんの住む浦和まで送ってやったのは言うまでもない。

 で。『THE ORIGIN』である。もともと『THE ORIGIN』は、2001年6月の「ガンダム・エース」創刊から安彦先生みずからの筆によって連載された漫画で、完結は2011年6月、まる10年の連載期間をかけた超大作だ。内容は、「ファースト・ガンダム」を最初から最後まで完璧に描いたもので、わたしのようなおっさん大歓喜のすごい漫画である。しかも、今まで描かれていなかった、かの有名なキャラクター「シャア・アズナブル」の少年時代から彼が「赤い彗星」と呼ばれるようになるところまでもきっちり回想として描かれており、もうすっかり漫画など読まなくなってしまったおっさんどもにも、是非とも読んでもらいたい作品となっている。
 そして、今年の2月に公開されたアニメ版『THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』は、まさにその回想シーンであるシャア・セイラ篇を完全映像化したものだ。そしてそのクオリティの高さは、この予告でも分かると思う。

 現在の最高技術によって描かれるモビルスーツは感動もののクオリティである。2月に公開された「episode I」は、幼いキャスバルとアルティシア(後のシャアとセイラさん)が、父であるジオン・ダイクンの死に直面し、サイド3を脱出するところまでが描かれた。これは、安彦先生による漫画で言うと、単行本の9巻に当たる部分で、実際のところ、その9巻が完璧に、一切の削除もなく完全に、アニメ化されたものであった。まあ、幼い兄弟が母を残して地球に逃れるくだりは、実際泣けるし、それを助ける若きランバ・ラルとハモンさんの大活躍も見ごたえ十分で、非常に素晴らしい作品に仕上がっている。

 そして昨日、わたしが最速上映会なるイベントで、わざわざ豊洲まで観に行ってきたのは、2週間後の10/31から公開される、『episode II 哀しみのアルテイシア』である。わたしとしては、昨日は午前中に上野にモネを観に行く予定があったし(まあ実際行ったけど)、別にあと2週間待てば観られるんだから、わざわざ高い金(4,500円ほど)出してまでは……と思ったけれど、まーたMZくんが「チケット取れちゃったんですけど……」と連絡してきたので、えーと、わかったよもう、行こうじゃないですか、ということで、モネを見た後で豊洲へ移動し、観てきた。

 内容については、もう原作が存在しているので、ストーリー的な展開については、たぶん観たいと思っている人は全部知ってる話であろう。「キャスバル」が如何にして「シャア」となるかと言う話である。なので、たぶん……ファンのみなさんが一番気になっているのは、今回のepisode IIはどこまで描かれたか、ということに尽きると思う。そしてそのことについて、わたしも書きたいのだが……いかんせんそれはあまりにもネタバレなのでやめておきます。正直、わたしの予想とは違ってました、とだけ言っておく。あーでも、くそ、言いたい!! けどこれは公開以降に書くことにします。
 あと、この最速上映会は、高いだけあってキャストのトークショー付きだったのだが、わたし的には、えっ!! まじすか!? そうだったんだ……みたいな裏話を小1時間ぐらい聞かせてくれたので、その内容もここに書きたいのだが……それもやめておいたほうが良かろうと思う。全世界の人がアクセスできるインターネッツでペラペラしゃべることではあるまい……という気がしますので。まあ、一応、安彦先生が「本当は本編も最初から、じっくりきっちり、もう一度アニメ化したいんだよね、どう?」と仰ったときは、会場が万雷の拍手に包まれたことは書いておこう。なお、登壇ゲストメンバーは、池田秀一さん、藩めぐみちゃん、喜山茂雄さん(若きランバ・ラル役)、沢城みゆきちゃん(ハモンさん役)、安彦良和先生、澤田かおりさん(ハモンさんがクラブで歌うシーンの歌担当の方・可愛いかった。そして今日は生歌も聞かせてくれて超良かった)であった。
 ちなみに、ひとつだけ書くとすれば、今回の若きキャスバルの声は、既に発表されている通り、池田秀一さん自らが演じている。その声は、正直すごく頑張って若い声を出しているし、お見事ではあるけれど……いや、でも、じゃあ誰か別の人が演じられるかというと、まったく心当たりがないし、実際無理だと思うので、池田秀一さんでよかったんだと思います、はい。
 なお、このアニメ版『THE ORIGIN』は4部作になるそうで、果たしてどこまで描かれるのか、非常に心配になってきた。このペースでシャア・セイラ篇の回想全部を描けるとはちょっと思えなくなってきた……のが今回のepisode IIを観ての感想である。この感想でもネタバレだろうか……。まあ、内容は相変わらずの超ハイクオリティさは健在で、実際とても面白かったです。
 しかし、改めて思ったのだが、今日の最速上映に来ていたお客さんは、ほとんどが年齢不詳のおっさんどもで(加えて、意外と若い(?)女子も多かった)、わたしも全く人のことは言えない、正真正銘のおっさんであるが、皆一様に目を輝かせており、本当にガンダムというコンテンツはすげえ力を持ってるんだな、という事を改めて知らしめてくれた。最初の放送から去年は35周年だったそうで、今なおこんなにも客を呼べるコンテンツは、そうめったには存在しない。まったくもってあっぱれであろう。

 というわけで、結論。
 公開されたら書こうと思うが、まずは観てほしい。とりわけ、ガンダムなんてとっくに引退したよという、わたし世代のおっさんには特に。まず、episode Iを配信でもレンタルでも何でもいいから、自分の子供と一緒に観てみてくれ。そして、2週間後、今回のepisode IIをぜひ、子供と一緒に観に行っていただければありがたい。とにかく、売れてくれないと新作が作れないので……。よろしくお願いします!!

↓ こいつを買ってくれるのが一番ありがたいです。かつて、ファースト・ガンダムを観ていた人なら絶対損はしない。と思う。
機動戦士ガンダム THE ORIGIN I [Blu-ray]
田中真弓
バンダイビジュアル
2015-04-24

 わたしはこう見えてかなり美術、とりわけ西洋絵画と日本の陶芸に大変興味があり、大学生の頃から足しげく美術館に通っている。上野はもちろん何度も何度も通っているし、わたしが大好きな美術館である目黒の東京都庭園美術館や、表参道の一番奥にある根津美術館には、当時バイク野郎だったわたしは何度も通って3時間ぐらいぼんやりしていたものだ。この二つの美術館は庭が広くて、当時はバイクを置く場所もあり、とても気持ちのいい場所だった。それから、東京駅から歩いてすぐのブリジストン美術館も、たぶん、わたしが思うに常設で持っている作品のクオリティが最も高い美術館として、何度も通ったものだが、つい先日、何も調べないでふらっと行ってみたら、なんと長期休館中だった。どうやらビルの建替えのようで、いつ再開するか不明らしい。まあ、生まれ変わって再開する日を待つしかなかろう。
 そんなわたしが愛する、絵画の三大作家と言えば、ゴッホ・ターナー・マグリットの3人で、それぞれ時代も国籍もばらばらである。ゴッホはご存知の通りポスト印象派の代表選手でオランダ人だし、ターナーはロマン主義を代表するイギリス人、そしてマグリットはシュールレアリスムを代表している、かは微妙かも知れないが、まあ有名なベルギー人だ。ゴッホは、いつでも新宿の東郷青児美術館に行けばかの『ひまわり』に会えるし、マグリットも、一応横浜美術館が持っている作品があるので、コレクション展で見ることができる(常設で常に見られるわけじゃない)。ターナーは、残念ながら国立西洋美術館に素描ぐらいしかないので、見たくなったらロンドンのナショナルギャラリーか、テート・ギャラリーに行くしかない。
 実はわたしが、この3人の作家を知ったきっかけは、小説や漫画に出てきたからである。
 ゴッホは、もちろんそれ以前からよく知ってはいたが、大学生のときに読んだColin Wilsonの『The Outsider』というものを読んでからより深く好きになったという経緯がある。↓この本。わたしが持っているのがこの集英社文庫版。とっくに絶版です。
アウトサイダー (集英社文庫)
コリン ウィルソン
集英社
1988-02

 Colin Wilsonは、小説家でもあるけど同時に思想家でもあり、この『The Outsider』はわたしの大学時代の哲学科の友達にもらったもので、これは……小説ではなくてまあ思想書ですな。1956年に発表され、当時の若者に非常に支持されたベストセラーだということは、その哲学科の友人に教えてもらって初めて知った。映画オタクのわたしは、Francis Ford Coppla監督の『The Outsiders』の原作か? と軽く勘違いしながらも、そういうことを教えてもらって、ふーん、と思って読んだことを良く覚えている。そして、確かにめっぽう面白かった。この本には、何人かの「アウトサイダー」と定義される局外者、何と言えばいいのかな、要するに社会に適合しない、その外側にいる人? というニュアンスかな、そういう人物について考察された本だけど、その中で、ゴッホがかなりのページ数を割いて論述されていて、それ以降、ゴッホがすごく好きになった。時折りしも時代はバブルであり、まさしく当時の安田火災が大金をはたいて『ひまわり』を購入し、自社所有の東郷青児美術館で公開した直後の頃の話である。あの頃は、わたしも10代の小僧でしたのう……。
 ターナーは、高校生の頃に出会った作家だが、きっかけは、夏目漱石の小説である。そもそも漱石の小説には、絵画について言及される部分がけっこうあるが、ターナーについて語るのは、『坊ちゃん』でのあの小憎らしい「赤シャツ」である。その部分を読んで、へーと思っていたら、ちょうど国立西洋美術館で「ターナー展」が開催され、確か学校帰りに観に行った覚えがある。これは1986年のことで、当時お金が全然なかったのに、奮発して図録を買った高校生当時のわたしを褒めてやりたい。今でもたまに眺めることがある、大切な一品だ。おととし2013年にも開催されたターナー展には、赤シャツが『坊ちゃん』の中で言及している絵も来ていて、ああ、漱石はこの絵を100年以上前のロンドン留学中に、今のオレみたいにボケーっと見てたんだなあ……と思うと非常に感慨深かった。↓この絵ね。
tuner
 で、最後のマグリットだが、実はこの作家の作品を知ったのは漫画である。かの藤子不二雄先生の『魔太郎がくる!』の中でマグリットの絵が紹介され、それについて非常に印象深い話になっているのだ。たぶん、わたしが読んだのは小学生の頃だと思うが、わたしと同年代で、『魔太郎がくる!』という漫画を知っている人なら、絵画に興味がなくても、この絵を見たら、あれっ!? どっかで見たことがある!と思うのではなかろうか。↓これ。
magritte
 以来、ずっとこの絵の本物が見たいと思っていたが、たしかこれもわたしが大学生のときだったが、竹橋の国立近代美術館で大きな「マグリット展」が開催され、念願の対面を果たした思い出がある。本物はやっぱりすげえ!! と大興奮したものだ。もちろん、今年の春に新国立で開催されたマグリット展も喜び勇んで出かけたが、確か、↑の絵は来てなかったと思う。なお、わたしの人生の野望は、いつか、マグリットの本物を手に入れ、自分の部屋に飾ることだ。出来ないことじゃない! と、たまーに自分を叱咤しています。無理かなぁ……。

 というわけで、今日も相変わらず無駄に前置きが長くなったが、わたしの趣味はどうでもいいとして、おそらく、日本人に一番人気のある絵画は、いわゆる「印象派」の作品であろうという気がする。まあ、根拠は特にないのだが、やたらと印象派の作品展が多いような気がするし、なんとなく、これまた根拠はないけれど、日本人で一番ファンが多い画家と言えば、かのルノアールなのでは、と思う。いや、もちろん、喫茶店のルノアールじゃなくてPierre-Auguste Renoirのことですよ。そして、おそらくは、ルノアールと並んで人気のある印象派の作家と言えば、『睡蓮』シリーズでおなじみのモネだろう。非常に繊細かつ大胆な筆致と絶妙な色彩センスがすごいとわたしは思っているのだが、今日、久しぶりにその真髄に触れてきた。
 現在、上野の東京都美術館で開催中の『モネ展』は、いろいろ報道されている通り、非常に賑わっており、激混み必至である。基本的に、わたしは混みそうな絵画展に行くときは、必ず朝イチで行くようにしている。その様子を事前に調べ、ホントにヤバそうならば、開場の60分前には現場着ぐらいの勢いで出かけることが多いのだが、まあ今日は天気が悪いしね、と勝手に決めつけ、40分前に現場に到着したら、すでに結構な人だかりとなっていた。それでも、会場時にはわたしの後ろに5倍ぐらいかな、もっとかな? とにかくまあすごい多くの人々が並んでいたので、まあ許される範囲であろうと自己納得することにした。わたしが朝イチにこだわるのは、当然ながら邪魔されたくないからである。うおーーーー……と絵にひたっているのに、前をちょろちょろされたくないし、人の頭越しに絵を見たくもない。なので、なるべくベストな状態で見るには、もう朝イチに行くしかないからしょうがないのだ。そして、必ず事前にチケットは手に入れておくこと。開場して、チケットを買う、ではダメなんだよね。ま、気持ちの問題ですわ。今日は、わたしの前に100人はいなかったと思う。で、傘を傘立てに置く人(※長傘は館内に持ち込めません)やチケットを買う人、荷物をロッカーに入れる人などを置き去りにして、館内に入ったわたしの前にはたぶん3~40人ぐらいだったんじゃないかな。これなら十分OKラインだ。と、いうわけで、じっくり堪能させてもらった。
 わたしは、もちろんモネも好きだが、それほど執着はないのであまりに混んでいるならやめとくか、とは思ったのだが、今回の『モネ展』には、どうしても観ておくべき作品が来ている。それが↓これ。
mone001
 1872年制作の「印象、日の出」という作品である。なんでも21年ぶりの東京での展示だそうで、90年代後半は、わたしはあまり絵画展に行っていないので、わたしは(たぶん)初めて観ることになった絵だ。この絵がどうして「観ておくべき」なのかというと、「印象派」という名前の元となった作品だからである。この作品をもって、印象派という流れができたわけだが、50cm×65cmなので、あまり大きな絵ではない。が、やっぱり本物のオーラはただ事ではないものがあって、この絵を前にしたわたしは、う…おぉ……といううめきのようなため息しか出ない。すげえ!! と大興奮である。なんでも、天文学者や数学者が集まって、この場所のこの位置に太陽が来るとすると……と計算したところ、この絵は1872年11月13日のAM7時25分から35分の間であろう、という結果が出たそうだ。へえ~。そこまで正確に計算しなくても、別に、えーっと、はい、大丈夫ですので。と思ったw
 また、今回の展示のライティングも非常に優れていて良かった。やっぱり、LEDってのは偉大な発明なんだろうなと思わざるを得ない。だいたい、絵画展では照明が非常に、いや極めて、つーか最も重要だと思う。なにしろ、色をちゃんと見るためには、当然太陽光の自然光で見るのがいいのかもしれないが、基本それはもう現代の美術展ではほぼあり得ない。だからライティングが最重要で、つい最近までは普通に蛍光灯、スポット白熱灯だったので、熱の問題もあるし、なにより色味が台無しになる恐れがあったのだが、偉大なるLEDはその問題をかなり容易にクリアできる可能性を秘めている。で、今回のこの<印象、日の出>のライティングは、非常に絶妙で、まるでバックライトで照らされたかのように明るく色が鮮やかだったのだ。上に貼った画像では本物の色を想像できないと思うよ。どうやら、わたしと同じ想いを抱いた人も多いようで、近くに立っている係員に「これ後ろから光当ててるんですか?」と聞くおじいちゃんもいた。登りつつある太陽は極めて強いオレンジで、まるで直接太陽を見たかのように目に焼き付くし、水色、緑も非常にヴィヴィットだった。ホント、お見事な展示でありました。わたしとしては、この企画に奔走したであろうと思われる学芸員の皆さんに賞賛の拍手を送りたい。

 が、しかし。ひとつだけ文句がある。なんで? なんでこの<印象、日の出>を通期公開しないのよ!? まあ、なんらかのやむを得ない事情があるんだろうけどさ、明日10/18までの限定公開ってホント意味ないと思うんだけど。わかんねえ。何でそんなことするんだろう。実際、最近の絵画展や博物展は、前期・後期で作品を分けて展示することが非常に多い。まあ、もちろんそれには、主催者としても断腸の思いがあるような、複雑な事情があることは想像に難くないが、もし、万一それが、リピーター獲得のため=動員を伸ばすため=儲けるため、とかだったら、マジふざけんなと言いたい。そんなことがないことを願います。

 というわけで、結論。
 やっぱりモネもすごかった。そして混雑振りもすごかった。わたしが帰るときはズラーーーーっと並んでいて、これで絵が見られるのかしらと他人事ながら心配なレベル。もうちょっと、早起きして来ればいいのに。
 いずれにせよ、絵画であれ、演劇であれ、コンサートでも何でもいいけど、とにかくやっぱり、生で観ることには大いなる意義がありますな。映画もそうだと思う。いくら大画面でも、劇場で観るべきだと思います。そしてそういう、生でないと本当の体験にはなりにくいんじゃなかろうか。そう思いませんか?


↓ この着物を着ている女性の絵も、モネです。ご存知の通りモネも浮世絵大好き作家です。ちなみに、この赤い着物を着た女性の絵は、タイトルが「ラ・ジャポネーゼ」というのだが、去年の世田谷美術館で開催された『華麗なるジャポニズム展』のメインとして来日し、展示されました。当然わたしも観に行ったのだが、これがまたすげえデカイ絵で、縦2m以上はあったんじゃないかな。その迫力に、うぉっ!! マジか!! とビビりました。非常に素晴らしい絵でしたよ。

 1947年1月21日生まれ、ということは、現在68歳であろう。まったくそんな風に見えない。誰のことを話しているか、誕生日だけで分かったら逆に驚くけど、まあ、分かるわけないわな。その日に生まれた人はいっぱいいるんだから。わたしが今、話そうとしている男は、「日本一のテキトー男」としておなじみの、高田純次さんである。この人、ホント面白い。なんつーか、実際カッコイイよね。ちなみに、自分で事務所を経営していて、社長なんだって。知ってた? いや、わたしもさっき知ったんだけどね。
 そんな高田純次さんだが、今、わたしが毎日録画して、週末にまとめて見るのを楽しみにしている番組がある。その名も『じゅん散歩』。 テレ朝で毎週月曜日から金曜日のAM9:50~10:30で帯放送している番組である(ただし、なんだかよく分からないけど毎回正味15~17分ぐらいしかなく、残りは変な通販CMが流れる)。本当なら、ここに動画を張りたいところだが、YouTubeには素人がUPした明らかに違法な動画しかないのでやめておく。公式Webサイトに動画置いとけばいいのにな。気が利かないというか、まったく味気ないWebサイトなので、あまり見ても意味ないです。
 番組は、その名の通り、純ちゃんが街をぶらぶらするだけのもので、故・地井武男さんの『ちい散歩』、その後を継いだ、若大将こと加山雄三さんの『若大将のゆうゆう散歩』、これらに続く第3シリーズが『じゅん散歩』である。この番組が始まるときは、Webニュースになってちょっと話題になったのだが、わたしも、そのニュースを見て、そりゃあ面白いでしょうよ、と思い、毎日録画予約をすかさずセットしたのだが、まあ、想像通り、めっぽう面白い。いろんな面白エピソードがあるのだが、どうしようかな、文字で書いても面白さが伝わらないと思うんだよな……。
 ちなみに、YouTubeで純ちゃん検索すると、かなり面白いのが結構出てくる。もちろん、単に「高田純次」で検索すると、『じゅん散歩』もいっぱい出てくる。けど、どれも完全に違法動画なんだよな……くそう、動画を見てもらえば一発で面白さが伝わるのだが……。
 お、ちょっといいの見つけた。 これは違法動画じゃないみたいなので、貼っておこう。

 これは、純ちゃんが「ほぼ日」を会社訪問する動画だ。この動画は、続きがかなりいっぱいあるので、気に入ったならYoutubeで「高田純次」「ほぼ日」と検索すれば出てくるので、見てみてくださいな。
 『じゅん散歩』も、まあ、たぶん想像できると思うが、基本的にこの動画のようなテンションで、街を散歩し、まったくの素人さん相手に面白トークを飛ばしたりするのだが、意外と視点が鋭くて、普段気づかないような事柄に疑問を持ち、その近くのお店の人や通りがかりの人に、「あれは一体なんですか?」と質問したりして、ちょっとした面白知識も得られるのもいい。しかも、ちゃんと、といったら変かもしれないけど、すごく腰が低くて、決して大物ぶるというか、上から目線ではない。撮影しているから邪魔になるのを、ごめんなさいねぇ~、とか、非常に、周りに気を配っている感じも随所にあって、とても好感が持てる。純ちゃんにあんな風に話しかけられたら、誰も無視は出来ないと思う。むしろ嬉しいだろうな。
 また、この番組では、毎回純ちゃんが撮影したスナップと、純ちゃんによるイラストが映される。イラストと言っても、街で出会った人の人物画なのだが、これが、すげえ上手!! というものではないものの、絶妙?な味があって、ああ、純ちゃんってこういう才能もあるんだ、すげえなあ、と素直に感心してしまう。やっぱり、高田純次という男は、ただものではないのだなと改めて認識した次第です。


 というわけで、結論。
 オレも高田純次になりてぇ。 
 ――というのが、わたしの偽らざる気持ちである。いいなあ、ああいうキャラって。最高だよね、実際。
 ――つーか、放送時間が短いのが非常に不満なんですけど! なんなのあの通販コーナーは!!
 
 ↓上に張った動画で紹介されていた「適当手帳」。これって毎年発売されてるのかな? 調べてみたけど分からなかった。書店店頭で探してみるとしよう。
適当手帳
ソフトバンククリエイティブ
2006-11-11
 





 ↓こっちもかなりいい。
適当日記
高田 純次
ダイヤモンド社
2008-02-01

 (わたし的に) た、大変だ―! 今週のチャンピオンが、というより今週の『鮫島』が大変なことに!!

 今日は木曜日。わたしの愛する少年チャンピオンの発売日である。たいてい、駅前のコンビニで買って、電車の中で読んで、車中約25分では読み終わらず、仕事場で引き続き読んでひと段落するのが、毎週木曜日の朝のわたしの行動パターンである。わたしが出勤する時間は、ちょっと常識を超えた早朝であり、電車はだいたい7分~8分間隔と半端に空いてしまうため、いつもの電車に、たまに微妙にギリギリだったり余裕だったりと幅があるのだが、今朝は、チャンピオンを買い、コンビニ店員が若干グズグズして駅の階段を駆け上がる羽目に陥り、ちょっとしたイラつきをもたらしてくれたわけだが、まあ、無事いつもの電車に乗れた。
 今週号は表紙と巻頭カラーが、現在のチャンピオンの絶対的エース『弱虫ペダル』である。ポスターまで2枚入っており、たぶん描き下ろしではないとは思うのだが、『ペダル』作者の渡辺先生の超・仕事の多さにはホントに恐れ入る。体調に気を付けて頑張ってほしい。そんな渡辺先生への敬意を示すために、まずは巻頭の『弱虫ペダル』を読んだ。主人公の属する総北高校の極めてピンチな展開に、こりゃあ、ヤベえぞ……と思いながら今週のお話は終了。安定の面白さである。
 そして続く『牙刃道』をざっと読み流しつつ、わたしの最も愛する『鮫島、最後の十五日』の掲載ページまで飛ぶ。おっと、あった。前から7本目が今週の『鮫島』であった。さあ、始まりますよ!

 いきなり、扉の一コマ目は、なんとあの「カマーーーン」でおなじみ【岩ノ藤】じゃないか!! 前作『Burst』で主人公・鮫島鯉太郎と戦った、あのブチカマシ命のはぁちゃん野郎である(※はぁちゃん=相撲用語で馬鹿、ちょっと間の抜けた奴のこと)。 先週で4日目が終わったことは3日前の記事で書いたが、5日目の相手はあの【岩ノ藤】だった。相変わらずのバチバチな真正面からのぶつかり合い。現在、デコ助こと岩ノ藤は、東前頭七枚目らしい。鯉太郎よりも番付は上と、順調に幕内力士として成長しているようだ。嬉しいね、こういう姿が描かれると。
 で、今週からVS岩ノ藤戦がまた続くのかなと思ったら、思わぬ展開が待っていた。なんと9ページで5日目の戦いは終了である。その、本当にギリギリな姿の鯉太郎を見守る椿ちゃんの切なそうな顔がなんとも不穏な空気を醸し出している。ホント、千秋楽までもつのか鯉太郎は。前日、4日目のVS巨桜丸戦の影響で右目がふさがったままの鯉太郎は、文字通り満身創痍。読者もまた椿ちゃんと同じ思いのはずだ。マジ心配である。
 そして、10ページ目からが、岩ノ藤には大変申し訳ないのだが、今週の本番だ。岩VS鯉のバチバチの戦いを見ている支度部屋に描写は移る。鯉太郎と戦ったことのない力士たちが、「相変わらずあいつはボロボロ、どうせまた休場だろーぜ」なんて話をしている。そんな会話を聞いていたある力士が言う。
「ちょっとあんたら・・・鮫島と場所で取ったことあるの・・・? あればそんな言葉は出ないか・・・・・・」
 おい、これってまさか!? もうわたしはこの時点で大興奮、テンションMAXだ。 まさかこのセリフを言った力士とは……!? ページをめくる手が喜びの興奮でふるえるじゃんか!! そしてページをめくる!! そこに大ゴマでいたのは、あの村神改め怪力【天雷】だーーーっ!!! もうね、電車内で「キターーーッ!!!」 と、(心の中で)叫びました。とうとう来た。【天雷】がとうとう『鮫島』に登場した!!! しかも、番付は東関脇である。ヤッターーーッ!! もうマシ・オカばりのダブル・ハンズ・アップで喜びたい。電車内でのわたしは、このページだけで、相当ニヤついていたはずだ。変質者極まりないが、しょうがない。だって嬉しいんだもの。しかも、その大コマ・ドアップでの【天雷】のセリフがカッコイイ。
「番付だけで計れる男じゃないよ・・・鮫島は・・・」
 ありがとう天雷。ありがとう佐藤先生!! もう今日はこれだけで一日いい気持でいられる。が、続く展開はさらに衝撃的だ。『鮫島』第1話の、プロローグで描かれた二場所前の鯉との対戦で破れ、大関から陥落してしまった牛鬼こと【明王山】関が言う。
「ガハハハ 分かってんじゃねーか天雷!! なんせあの小僧は俺を大関から引きずり下ろしたんだからよ!」
 天雷は言う。同期には鯉太郎だけじゃなく【王虎】や【飛天翔】といった癖の強い奴ばかりだった。そして
「それと鮫島並・・・いや・・・それ以上のトンパチが一人・・・」
 トンパチとは、相撲用語で常識はずれな奴のことを意味する言葉だ。
「同期の中で一番出世が早く・・・一番ギラギラしていた男・・・」
 おいおい、まさかそれって……!? もうわたしのページをめくる手は完全にアル中並みに震えている。まさか、まさかその男って……!!?? めくった先は、見開きのドアップだ。
「蒼希狼」
 キターーーーーーッ!!! 来ちゃった、とうとう来ちゃったよ【蒼希狼】!!! 待ってたよ!! お前が登場するのを本当に待ってたよ!! 鮫島たちと教習所同期の、モンゴルからやってきたハングリー男、同期の中ではひょっとしたら一番強いかもしれないアイツが満を持して『鮫島、最後の十五日』に登場だ!! 彼は、第1シリーズの教習所時代に鮫島たちと切磋琢磨した間柄だったのだが、なんと第2シリーズ『Burst』には一切登場しなかった。おそらくは、番付を駆け上がって、幕内に行ってしまったのではないかと想像していたが、どうやらその通りだったのかもしれない。いよいよ来た【蒼希狼】。しかもなんか全身傷だらけだぞ? そしてちょっと待って? 天雷さん、アナタなんで、「ギラギラしていた」って過去形使ってるのよ!? ど、どういうこと!!?
 5日目のVS岩ノ藤戦を終えて、花道を下がる鯉太郎は、これから土俵に向かう【蒼希狼】とすれ違う。そこでの鯉と蒼の会話は非常に意味深だ。
 蒼「なぜ・・・しがみ付く・・・そんなになってまで・・・みっともねぇ・・・」
 鯉「んだとコラ・・・」
 蒼「まぁ・・・俺も一緒か・・・」
 鯉「蒼希狼!! テメー・・・つまんねー奴になっちまったな・・・」
 蒼「ならお前が トドメを刺すか・・・?」

 な、なにーーーっ!? 【蒼希狼】よ、一体お前に何があったんだ……!? というところで、今週はおしまい。もうマジでどうなってんだよ!! どうなっちゃうんだよ!! まだ5日目終わったばっかだぜ!? あと10日分あるんだけど、ホントに最後までもつのか鯉太郎は?

 はーーーホントにもう、朝から興奮したわ……。以下テンプレとして毎回判明したことをつけ足していこうと思います。【天雷】が関脇ってことは、こりゃあマジで……【王虎】と【猛虎】が横綱、大関ってのはあり得るな……やっべえ! すげぇ楽しみなんですけどどうしたらいいですか!! 佐藤先生!!
 <場所:9月場所>
 【鮫島】東前頭十四枚目(5月場所では東前頭十枚目)
 【白水】西小結
 【松明】東前頭六枚目。常松改め。
 【大吉】序2段【豆助】序ノ口【目丸手】序二段【川口】不明w
 ------
 1日目:【飛天翔】西前頭十二枚目。石川改め。
 2日目:【宝玉光】西前頭十一枚目
 3日目:【舞ノ島】西前頭十枚目
 4日目:【巨桜丸】西前頭九枚目。新入幕力士
 5日目:【岩ノ藤】東前頭七枚目 ←New!今週判明
 --------
 【天雷】東関脇 ←New!今週判明
 【蒼希狼】??? 幕内は確実。←New!今週判明

 というわけで、結論。
 もう今後、毎週木曜日は、今週の『鮫島』ニュースとしてレギュラー化しようと思うのですが、よろしいでしょうか!? 最高すぎて『牙刃道』が読めないw

 ↓ とにかく、最初から読むことを強くお勧めします。

  今日は14日である。14日というと、わたしが映画を見るシネコンであるTOHOシネマズは、「トー・フォーの日」として、1,100円で映画が見られるので、お得なのです。世の女性には「レディースデー」なるお得な日が毎週あるにもかかわらず、男にはそのようなサービスデーがないのは非常に逆差別を感じざるを得ないが、まあ、仕方ない。
 というわけで、今日は帰りに『図書館戦争 THE LAST MISSION』を見てきた。個人的にこの作品にはいろいろ関係があるのだが、まあそれは置いておくとして、一観客として、十分に楽しめた作品であった。

 原作はもはや紹介の必要はなかろう。有川 浩先生によるベストセラーで、第1巻目に当たる『図書館戦』がハードカバー単行本で発売されたのは2006年。改めて考えるともう発売から9年が過ぎている。それは、発売当時すぐに読んだわたしからすると、ちょっと驚きだ。もうずいぶん経ったものだ……読んで、ああ、これはすごい小説だと思ったが、以降、シリーズとして、第2作目の『図書館内乱』、3作目の『図書館危機』、そして完結編となる『図書館革命』という4冊が発売になり、さらに加えて、番外編というかキャラクターごとのスピンオフも2冊出版されている。全て非常に売れている作品だ。また、既にアニメ化・漫画化も行われており、数多くにファンに愛されているすごいコンテンツである。
 実写映画は、今回2作目。前作は2013年に公開されたが、基本的には第1巻の『図書館戦争』に沿った展開であった。そして今回の『The Last Mission』は、原作でいうところの第3巻『危機』の内容を踏襲している。てことは、2作目の『内乱』はどうなった? とまあ普通は思うことだと思うが、その第2巻の内容は、先週TBSで放送された(この映画はTBS主幹事製作)、スペシャルドラマ『図書館戦争 ブック・オブ・メモリーズ』で描かれている。ので、そちらを見る必要がある。この『内乱』にあたるドラマでは、主人公・笠原郁と両親の関係を描くエピソードや小牧と毬江ちゃんのエピソード、それから手塚と兄と柴崎の関係性も描かれているので、派手な戦闘は控えめではあるものの、シリーズ全体から見るとかなり重要だと思う。すぐに再放送されることはまあ常識的に考えて難しいとは思うが、見逃した方は、どうやら今日、DVD/Blu-rayが発売になったようなので、そちらを見ていただきたい。こちらのドラマも非常に良かった。
図書館戦争 BOOK OF MEMORIES [Blu-ray]
岡田准一
KADOKAWA / 角川書店
2015-10-14

 で。今回の映画第2作『The Last Misson』である。原作とは若干の違いがあったが、正直全く問題なし。非常に流れもよく、うまく2時間にまとまっていた。監督と脚本は、第1作から引き続き佐藤信介監督と野木亜紀子さんのコンビだ。パンフレットによれば、有川先生がとても信頼する二人だそうで、野木さんはTVドラマ『空飛ぶ広報室』でも有川作品を手がけており、おそらく、有川作品への愛が最も深い脚本家ということのようだ。先ほども書いた通り、物語は若干原作よりも駆け足展開だが、映画として何ら齟齬はなく、問題はない。一つだけ注文を付けるとしたら、何か季節を表すセリフなり情景が欲しかった。何しろ、現在の現実世界は秋である。が、映画世界は春になる少し前(これ原作通り)で、キャラクターはコートを着ている。ひょっとしたら、原作を読んでいない人だと、年末に向かう冬だと思ってしまうかもしれないので、何かちょっとした季節感を表すものが欲しかったかもしれない。ちなみに、この『図書館戦争』という作品では、「カミツレ」という花が重要な意味を持っているのだが、さっきいろいろ調べたところによると、この花は春の花で、3月~5月あたりに咲く花なのだそうだ。花言葉は「逆境に耐える」。作中では極めて意味が深い。ちなみに、我々としては「カモミール」という名の方が知られているだろう。ハーブティーやハーブアロマオイルでおなじみのアレだ。「カミツレ」とは「カモミール」の和名なんですって。へえ~。まあ、「カミツレ」が咲いている=「春」ということで、季節感を表現できているとも言えるのかもしれないが、なんとなく、わたしにはクリスマスへ向かう雰囲気のように見えて、ちょっとだけ気になった。

 キャストもまた、前作から引き続き同じメンバーである。主役の郁、堂上のコンビは、かの「ダ・ヴィンチ」の有川先生特集の号において実施された、「映画化するならキャストは誰がいい?」投票で1位になった榮倉奈々ちゃんと岡田准一くんのコンビである。原作では、この二人は背の高さのギャップがあって、女子の郁の方が背が高く、男の堂上の方がちょっと背が低い設定になっていてそこがまたひとつのポイントなのだが、きっちりそれも映画で実現している。しっかしホントに、榮倉ちゃんはデカイ。顔が非常に童顔なだけに、なんだかひょろっとした不思議な感じがするが、だがそれがいい、のであろう。前作のときに舞台あいさつで遠くから本人を目撃したのだが、実際非常にかわいい女子でした。なんというか、芝居ぶりが非常に、原作読者が想像していた「笠原 郁」そのものなのだ。とてもいいと思います。一方、岡田くんも、おそらくはジャニーズNo.1の演技力で、去年の日本アカデミー賞では、最優秀主演男優賞と最優秀助演男優賞を同年ダブル受賞した実力派である。去年のNHK大河ドラマ『軍師 官兵衛』でも、素晴らしい演技を披露してくれたことは記憶に新しい。また、この映画には、偶然なんだろうけど『官兵衛』のキャストが数人出ている。岡田くん演じる堂上の相棒である小牧を演じたのは、田中圭くん。『官兵衛』では、石田三成をイヤ~な奴として見事に演じていた。また、今回の映画からの新キャラ(※実際は2作目『内乱』にあたるスペシャルTVドラマで既にチラッとお目見え済み)である、手塚 慧には、わたしにとってはシンケンレッドでおなじみの松坂桃李くんがカッコよくエントリー。彼は『官兵衛』では岡田くんの息子、すなわち黒田官兵衛の息子たる黒田長政を演じた男だ。どこかで聞いた話では、桃李くんは今でも岡田くんのことを「父上」と呼んでいるそうですよ。そして長政といえば、三成ぶっ殺し隊のリーダー格であるので、不思議な因縁のキャストになっているが、まあ、偶然でしょうな。しかし、桃李くんは本当にカッコよくなった。もちろん、デビュー作の『侍戦隊シンケンジャー』のシンケンレッドの時からカッコ良かったが、どんどんそのカッコ良さは磨かれているように思う。また、劇中で弟役となる福士蒼汰くんも、デビュー作『仮面ライダー・フォーゼ』から見事に成長し、すっかりイケメンとしておなじみとなった。なんだか見るたびに痩せていっているような気がするが、今後も頑張って活躍してほしいものだ。
 ちなみに、どうでもいいことを一つ付け加えておくと、先ほど前作を観たときにキャストの舞台挨拶を観たと書いたが、その時のわたしの印象に一番強く残っているのが栗山千明様だ。劇中でも非常に、まさしく原作でイメージしていた通りの柴崎を演じているが、本人のちびっ子さ、華奢さ、そして、マジでハンパないオーラというか、完全に一般人が気安く声をかけることはできないような、超絶な可愛さは、本当にビビった。はあ……千明様と京都に旅に出たいわ……いや、無理ですけどね。

 というわけで、結論。
 脚本もキャストも演出も、すべて良かったと思う。おそらく、この映画を観た有川先生はきっとうれしいだろうなと想像する。有川先生の作品に共通するのは、キャラクターが常に、心にやましいところのないように、まったくもってまっとうで、真っ直ぐに生きようとしている人々を描いている点にあると思う。だから、読んでいる我々は、自らを省みて、ちょっと自らを恥ずかしく思うこともあるし、また、同時に深く感情移入できてしまう。「こうでありたかった自分」を思い出さずにいられないのだ。また、普段の生活ではまったく自覚していない、自らの不用意な言葉や行いが、どれだけ他者に影響を与えてしまうかを振り返らせてくれることもある。そういう点が魅力なのだと思う。『図書館戦争』も実際のところそういう部分はあり、映画でも存分にその魅力は伝わったのではなかろうか。興行収入が前作を超えるとうれしいのだが。
(※10/21追記:興行収入が2週目まで出ている→こちらを参照)


↓ 次の有川先生の新作。なんと「コロボックル」ですよ!


 というわけで、映画『バクマン。』の続報である。
 さっき映画『バクマン。』の2週目の興行収入について、興行通信社のWebサイトで情報が上がってた。あと何者か分からないが業界人らしき人がTweetしているのも見かけた。それらの情報によれば、2週目の週末興行収入は2.1億円だったらしい。パッと見では公開週末の2.5億から83.6%落ちなので、おお、頑張ってるじゃん、と嬉しくなったのだが、10/3(土)の公開から10/11(日)までの9日間の累計興行収入の数字を見て、ちょっとドキッとした。わずか、6.6億円だというのだ。ホントかこれ?
 わたしには本当かインチキか確かめるすべはないのだが、この数字が本当だとすると、これは、かなり悪いと思う。今まで興行成績をウォッチしてきた経験からすると、コイツはマズイ数字だ。はっきり言って、相当ヤバイ。ひじょーに心配だ。

 ちなみに、この週末は『図書館戦争 The Last Mission』が1位で、3.29億だったそうだ。この数字は、手元の資料をさかのぼってみると、2013年に公開された前作の公開初週末が2.16億だったので、つまりその152%と、かなりいい数字だと思う。まあ、TVでの前作放送と、スペシャルドラマ放送があったし、かなりキャストを動員した番宣も頑張っていたと、わたしの目には映っていたので、素直に、よく頑張った、おめでとう、と申し上げたい。なお、前作は最終的に17.2億の興収だった。もちろん、初動が今回良かったからといって、最終興収もそのまま150%になるほど単純でないので、まあ、少なくとも現時点では15億以上は確定、うまく行けば、前作同様の数字にはなると思う。前作を超えるという事は、今の映画興行市場において非常に難しいのが現実ではあるが、前作以上の20億に届くかどうか、今後の動静を見守りたい。売れるといいな。わたしも明日14日(トーフォーの日w)の夜に観に行って興行収入に貢献してこようと思っている。あと、わたしの大好きなヒーロー映画である『Fanastic Four』は、公開週末で1億届かずだったそうだ。はあ。残念だのう……。

 で、『バクマン。』である。
 なぜわたしが心配しているかというと……参考として、『バクマン。』の2週前に公開された2つの漫画原作映画と比較してみよう。その2本とは『ヒロイン失格』と何かと話題の『進撃の巨人:後編』である。
 まず『ヒロイン失格』はどうなっているかというと、
  公開週末 2.6億
 2週目週末 2.3億   9日間累計10.9億
 3週目週末 1.7億 16日間累計15.0億
 4週目週末 1.3億  23日間累計17.9億 である。
 ちなみに、この成績は、相当いい部類だと思う。なにより、落ちが少ないのが特徴で、実際のところ近年の映画興行は、週を追うごとに、もっとガタっと落ちるのが普通だ。この調子であれば、最終的に20億を超えるのはほぼ間違いなかろうと思う。
 一方、いろいろなレビューにさらされた話題の『進撃の巨人:後編』はどうかというと、
  公開週末 3.2億
 2週目週末 1.5億   9日間累計10.0億
 3週目週末0.99億 16日間累計12.6億
 4週目週末0.69億  23日間累計14.2億 である。
 公開週末は非常に勢いがあったが、なんと2週目の週末で、あっさり半分以下に落ち、累計でも『ヒロイン失格』に抜かれてしまった。わたしはこの『巨人』は観ていないのでコメントはしないが、まあ、あれだけ変な話題になってしまっては、こうした興行成績になってしまうのも、むべなるかなという気がする。が、『巨人』の名誉のために一言言っておくと、実のところ、こういった落ち方は別に異常ではなくて、よくあるパターンでもある。なので一概に、ネット上の評判だけと言うわけでもない。続編であれば、観たい人が最初にわーっと行くのは当然なので、初動がいいのは当たり前のことで、2週目にガクッと落ちることは実際によくあることだ。まあ、『巨人』の場合は1作目の初動と比較するとかなり悪いけれど(※1作目は公開週末は6億まで行った。けど、やっぱり1作目も2週目は半分以下に落ちた)。この『巨人:後編』は、既に上映回数も激減しているので、今後20億以上まで伸びるとはちょっと思えない。かなり厳しい情勢だと思う。ああ、でも引っ張るのかな……どうだろうな……ちょっと自信がないが、20億は無理かな……と現段階では予想しておく。

 で。以上の2本の例を見ると、『バクマン。』の何がまずいかが分かると思う。ズバリ、「平日に客が入っていない」のだ。どういう計算をしてみればいいかというと、
 【9日間累計値】-【公開週末】-【2週目週末】で、最初の平日5日間の興収が分かる。この計算式で比べてみると、こうなる。
『ヒロイン失格』:最初の平日5日間で(10.9-2.6-2.3=)6.0億→1.2億/日
『巨人:後編』:最初の平日5日間で(10.0-3.2-1.5=)5.3億→1.06億/日
『バクマン。』:最初の5日間で(6.6-2.5-2.1=)2.0億→0.4億/日
 で、平均単価を映連が発表している去年の平均値1,285円で0.4億を割ると、31,128人/日ということになる。で、スクリーン数が325Scrで、1日に5回上映があるとすると、31,128÷325÷5=1回の上映あたり19.2人。ということになる。まあ、これはホントに適当な算数レベルの割り算なので、実際の単価はもうちょっと高いようだから、まあ、毎回日本全国の『バクマン。』を上映している映画館は、1回当たり19人は入っていないんじゃないかという推測が成り立つ。これは……少ないだろうな……。やっぱり。同じ計算をしてみると、『ヒロイン失格』は1回の上映あたり69.7人になる。こりゃあ、相当な差だといえるだろう。(※10/16追記:『ヒロイン失格』『巨人・後編』は、公開初日後の平日は、いわゆるシルバーウィークなので、厳密には平日ではない。なので比較するのはちょっとかわいそうかもな、という気がしてきた)
 たぶん、テコ入れとしてキャストの舞台挨拶なんかが企画されても、その劇場以外には効果はないだろうし、はっきり言ってもはや、興収がググッと上向くことは通常ありえない。仮に平日が80%で落ちて行き、週末が70%で落ちていくとすると(その想定落ち率もかなり甘めで、本当はもっとキツイかもしれない)、
 16日経過=6.6+(2×0.8)+(2.1×0.7)=9.67億。10億超えない。
 23日経過=9.67+(2×0.8×0.8)+(2.1×0.7×0.7)=11.98億。
 そしてこれ以降は、『ギャラクシー街道』が公開されてしまっているので、おそらく上映回数は激減するはず。となると……残念ながら本当にギリギリ15億ぐらいかも? という予測が成り立ってしまう。これは、先週の時点でのわたしの予想よりも、かなり厳しい数字だ。ここまで悪いと、本当にマズイ。一体どのくらいの製作費とPAをかけているか想像できないが、製作費とPAの合計で8億以上使っていたら、アウト。完全に赤字になる。ああ、でもそうか、『バクマン。』は東宝製作か。となると、ギリでトントンぐらいかも。いずれにせよ、続編はもうありえない成績になってしまう。しかしこれって本当かな? イマイチ信じられないのだが……。

 こうなってしまった要因は何なのだろう。
 時期が悪かった? そうかもしれない。
 ストーリーが原作と微妙に違うから? それもあるかもしれない。
 だが、わたしが一番疑問なのは、この実写版『バクマン。』は、一体誰を想定観客として作られたのか、ということだ。元々、原作の『バクマン。』という漫画は、オタクが喜ぶ作品のようないわゆる「萌え」作品ではない。大体アニメがNHKで放送されたことからしても、オタクコンテンツではなかろう。また、少年誌の王道を行く、小・中学生が喜ぶ漫画……でもない。さらに言えば、いわゆる(腐)女子向け、とも違う(まあ、勝手に妄想するのは自由ですけどw)。そして、どう考えてもシニア向けでもない。一方で、漫画が大好きな人間や、ある種の業界人には、グイグイひきこまれる魅力がある。どうも、そういう若干特殊な読者層を持つのではないかと想像するが、果たして、そういう『バクマン。』を面白いと思う人々にとって、実写映画化とは嬉しい出来事だったのだろうか? 実写映画化と聞いて、うおー! 観たい! と思ったのだろうか? そして、ジャンプを全く知らないような人が観て、面白いと思う映画に仕上がっていたのだろうか? なんというか、そもそもの企画として「誰に観てもらうか」をどう設定していたのか、それを知りたいものだ。

 実のところ、わたしは以前書いたとおり、30年以上買い続けているジャンプよりも、今はチャンピオンのほうが好きだ。映画の冒頭に、ジャンプの歴史を描いたシーンがあったが、はっきり言っておく。凄かったのはつまり20年前で、日本最高の発行部数を誇った時から、もうずっとその記録を抜けないでいるんでしょ? それって、つまりそれ以降ずっと落ち続けているってことだよね。先週書いたとおり、わたしは実写映画版『バクマン。』が、ジャンプのPVっぽく思えたと書いた。そういう過去の栄光を誇らしく見せられても……。今現在のジャンプの現実を、映画製作サイドは分かっているのだろうか? なんとなく、この映画の問題点の根源はそこにあるような気がする。
 まあ、ちょっと売れればすぐ映像化ってのは、どっかの三流四流の出版社に任せて、ジャンプはジャンプらしく、常に過去なんかぶっ飛ばす作品作りに頑張って欲しいと思う。
 じゃないと、ホントにもう、毎週買うのやめちゃうよ。

 というわけで、結論。
 実写映画版『バクマン。』の興行は、どうやら予測よりもかなり厳しい展開だ。これでは続編が作られることはないだろうと思う。どうかわたしのこんなインチキ予測が外れることを祈ります。 
 (※10/19追記:3週目の数字が出たみたいです。→●こちらをどうぞ)

 ↓Webの「ジャンプ+」には、結構活きのいい漫画があるんだけどな。。。今のわたしのイチオシはこの漫画。エロギャグ。本誌じゃ無理かな……。かの『監獄学園』に通じる下品な笑いがある(←褒め言葉)。●ここでこれまでの話が読めます。

 というわけで、昨日紹介した『鮫島、最後の十五日』は、現時点でわたしにとっては完全に「傑作」判定されているわけだが、ここまでの流れをまとめておかないと、今後どうなるのか心配で夜もあれこれ考えてしまうのでいけない。なので、今日はこのネタで終わりにします。とりあえず、本作『鮫島、最後の十五日』の舞台と現状分かっていることをまとめておこう。

 ■主人公・鮫島鯉太郎に関して
 【場所と番付】9月場所/東前頭十四枚目※二場所前の5月場所では東前頭十枚目 
 なお、5月場所では12日目終了時点で3敗だったので、その後、仮に全敗していても9勝以上はしていたはずだから、次の7月の名古屋場所での番付は確実にもっと上がっていたはず。それでいて9月場所で十四枚目ということは、名古屋場所では負け越したか、休場したか、どっちかだったことが想像できる。たぶん、場所中に休場になっちゃったんだろうな……。 何があったのかは、佐藤タカヒロ先生に聞かないとわからない。

 ■ほかの力士たちについて(9月場所時点)
【白水】鯉太郎の兄弟子。西小結。ギャグ担当かと思いきや、強力な「ゴリラ張り手」で順調に出世しており、現在の空流部屋の部屋頭。背が高い。
【松明】鯉太郎の弟弟子。東前頭六枚目。元学生横綱で、Burstから登場した常松の現在の四股名。登場時はすげえ嫌な奴だったけど、Burstでの鯉太郎の戦いを見て改心(?)。今はデータ重視のインテリ力士的な描写。
【飛天翔】教習所時代からの同期。石川から四股名を改めている。西前頭十二枚目。張り相撲命。鯉太郎とは初対面時から、同じソップとして、永遠のライバルであり、親友。
 また、現在では鯉太郎の所属する空流部屋には、3人の弟弟子ができている。
 前作Burstから登場している【大吉】は序二段、本作から新登場の【豆助】は序ノ口、同じく新キャラの謎の外国人力士【目丸手】はまだ序二段であるようだ。なお、一番最初から空流部屋にいる【川口】は、いることは確かだが番付は不明w
 そのほか、現状では、同期ライバルたちが今現在どうなっているか、まだわからない。モンゴルからやってきた【蒼希狼】や、怪力【天雷】、それから因縁の【王虎】は、どうやら順調に出世して幕内にいることは確かなようだ。どんな番付になっているのか、登場が楽しみである。三役まで行ってるんだろうな……白水さんが小結だもんな。あと、王虎の父で往年の大横綱・虎城は、現在は相撲協会理事長になっている。解説役でほぼレギュラー出演し、結構鯉太郎に好意的なコメントを発しており、Burstまでは鯉太郎をつぶそうとしていたけれど、今はだいぶ鯉太郎を認めている感じ。
 ちなみに、なんと最新4巻では、巻末に描き下ろし(?)で、石川最後の戦いの後の後日談が8ページ掲載されている。そこでは、教習所同期の田上、ドングリ渡部、そして天雷が今でも元気に活躍している様子が描かれており、こういう嬉しいおまけは有り難い。佐藤先生ありがとう!! 

 ■舞台となる9月場所の「割」について(※相撲用語で取組、試合のこと)
 1日目: VS 飛天翔(西前頭十二枚目) 第1話~第6話。第1巻終わりまで
 2日目: VS 宝玉光(西前頭十一枚目) 第7話~第25話。第2巻~第3巻終わりまで
 3日目: VS 舞ノ島(西前頭十枚目) 第26話~第30話。第4巻半分まで。
 4日目: VS 巨桜丸(西前頭九枚目・新入幕) 第31話~43話。第4巻真ん中から第5巻終わりまで(予想)。
 
 先週の連載で、VS巨桜丸戦が終わり、話数的におそらくちょうど5巻に最後まで収録できるはずだが、果たして今後、どのような戦いが描かれるか。そもそも、相撲の「割」は、初日2日目以外は前日に決まるものだが、基本的に鯉太郎のような幕内下位力士は、同レベルの力士との対戦から始まって、通常ならば横綱や大関との対戦は組まれることはないが、勝ちが続くようならば中盤戦から三役にもぶつかっていくことになると思う。
 となると、中盤から後半で、おそらくは三役以上にいると思われる、王虎、天雷、蒼希狼との対戦も、そりゃ当然あるんでしょうな? という事が予想されるが……果たして鯉太郎は、体がもつのだろうか……心配でならないわけだが、最後の対戦は、やっぱり王虎なのかな……。問題は、王虎が今現在、どんな地位にいるかだ。最低でも大関、場合によっては横綱もありうるのかもしれないと思うと、読者としてはもう超・ワクワクだ。おそらくは、前作Burstでの最後の戦いを経て、王虎も一皮むけて本当に強い力士に育っているのだろうし、当然、天雷や蒼希狼、それからBurstで戦った闘海丸や岩の藤が出てきてもおかしくないし、また、おそらくは王虎戦の前には、王虎の兄弟子である猛虎も出てくるだろう。猛虎は、『バチバチ』第1巻で、素人高校生だった鯉太郎と戦った男だ。借りを返す必要があると、きっとずっと思っているに違いない。きっと猛虎も、大関あたりなんじゃなかろうか。相当厳しい戦いが描かれると勝手に期待している。
 ホント、毎週楽しみでしょうがない。そして本作『鮫島、最後の十五日』がどういった完結を迎えるのか、最後までずっと応援していきたいと思う。

 ところで。
 わたしは本物の大相撲を結構よく見るようになったのだが、わたしの家から一番近い相撲部屋は旧松ケ谷部屋、現在の二所ノ関部屋である。親方は、元・若島津であり、すなわちおかみさんは高田みづえさんの、あの部屋である。まあ、家から近いという縁もあって、わたしはこの部屋の部屋頭である松鳳山をずっと応援しているのだが、この野郎は小結まで行って、敢闘賞2回、金星1回と立派な戦績を誇り、このまま順調に出世したらうれしいなと思わせといて、ダメな時は全くダメな野郎で、しかも結婚したらまた急に弱くなってしまい、今年の3月場所で1勝14敗とあろうことか十両に落ちてしまった。そして十両陥落後も2場所連続負け越し。何やってんだバカヤロー!! と思ったら、先場所で十両優勝したので、また幕内復帰もあることと思う。もっとちゃんと強くなってくれよ、応援してるんだから。ちなみに、この松鳳山は、どういうわけか、幕内力士でもっとも日焼け? だか知らないけどとにかく黒く、そのためわたしは彼を、「黒ブタ」と愛をこめて呼んでいる。黒ブタよ、もう一度三役まで復帰したら後援会に入ってもいいぞ。約束しよう。応援してるから、頑張ってくれよ!! 十両優勝っつっても、なんだよ千秋楽の負けは!! 優勝決まってたからって、最後も勝って決めんかい!!

 というわけで、結論。
 『鮫島、最後の十五日』の最終回は、確実に泣くと思うね。鯉太郎の戦いの最期まで応援し、その闘う姿を見届けたい。 単行本は必ず、電子と紙、両方買うよ。何なら2冊買ってもいいから、どうか最後まで描き切ってください……!!
 そして松鳳山よ、もうちっと強くなってくれ!! 頼むわマジで……!!

 ↓  やっぱり、総武線利用者としては、毎日国技館の前を通ってるんだから、一度本物の大相撲を見に行かねえとイカンな……。グッズ欲しい……。
 

 今日は、昨日に引き続き、もうひとつチャンピオン連載中の漫画を取り上げる。単行本の4巻が発売になった『鮫島、最後の十五日』である。今、わたしが一番好きな漫画と言って差し支えない。熱く、泣けるのだ。わたしにとっては、現在のチャンピオンの筆頭漫画である『弱虫ペダル』より上である。もちろん、『ペダル』も非常に面白いけどね。

 この漫画は、相撲漫画である。それも、プロ、学生ではない。幕内力士である主人公・鮫島鯉太郎の、最後の場所である十五日間が描かれる、ようである。なお、この漫画は、以前このBlogでも書いたとおり、鯉太郎の入門から序二段までを描いた『バチバチ』、そして幕下での死闘が描かれた『バチバチBurst』という前のシリーズがあるので、それを読んでいないとダメだ。
 主人公、鮫島鯉太郎の父親は、元大関・火竜である。しかし火竜は、悪タレと呼ばれるほど素行が悪かったのだが、相撲に関しては常に全力で、いよいよ綱取りが見えてきたところまで相撲道を精進してきた。しかし、肝心の綱取り直前に土俵の外での一般人との喧嘩で角界を追放されてしまい、妻とも離婚し、酔った挙句に事故で亡くなる。鯉太郎は、そんな父親を否定しつつも、父親が常に言っていた「死んで生きれるか!」という言葉を胸に秘め、ヤンキー高校生ながら巡業の力士に挑戦し、失神しながらも幕下力士に勝ちを得る。その戦いが空流部屋の親方の目に留まり、入門に至るが、当然プロの力士には到底叶わないながらも、相撲教習所で同期のライバルたちに出会い、切磋琢磨していく。序の口での優勝、序二段では相星で同部屋の兄弟子との戦いとなるが、鯉太郎の所属する空流部屋の3人の兄弟子たちの模様も熱い。鯉太郎は、そんな熱い兄弟子の背中を見て成長していく。第1シリーズ『バチバチ』のラストは、十両昇進が確定した2人の兄弟子同士の幕下優勝を賭けた戦いが描かれる。阿形・吽形という四股名を持つ二人の兄の対決は、そこに至るまでのさまざまな力士との因縁も混じりあって、もう号泣モノだ。鯉太郎は、二人の兄の戦いを魂に焼付け、『バチバチ』は終わる。
 続く、第2シリーズの『バチバチBurst』では、幕下に上がった鯉太郎と、入門時から因縁のあった、天才と呼ばれる力士・王虎との戦いがメインだ。王虎の父は、大横綱・虎城で、鯉太郎の父・火竜の兄弟子でもある。この、父親世代の因縁も『Burst』では描かれ、最後は幕下優勝を賭けて鯉太郎と王虎が戦うのだが、やっぱり『Burst』でも、教習所時代の同期の活躍も丁寧に描かれ、最後の鯉太郎VS王虎の戦いも熱く描かれている。

 そのような、幕内に上がるまでが非常に丁寧に描かれているので、最終シリーズ『鮫島、最後の十五日』は、そのタイトルからして非常に緊張感がある。「最後の十五日」とは一体どういうことなのか。鯉太郎はまさか、あしたのジョー的な真っ白な最期を迎えることになってしまうのだろうか? この最終シリーズは、最初の第1話からして期待をあおるもので、 毎週全く目を離すことができない。どうやら、本当に十五日間の戦いを描くようで、1巻では初日の模様が描かれる。相手は、鯉太郎が同期の中でも同じソップ力士(痩せ型の力士を相撲用語で「ソップ」という)として、そしてその体型から、お互い「相撲に選ばれていない」力士として、最も多くの時間を共有してきたライバル兼親友の石川との戦いだ。飛天翔と四股名を改めた石川の熱い思いを真正面から受け止め、「俺の全部をくれてやる」鯉太郎。もう、この初日からもう泣ける話になっている。
 鯉太郎は言う。「俺は相撲に選ばれちゃいない。関取ってのは150kg超えの化け物そろいだ。オレがここまで必死に作り上げた体も100kgちょい・・・気を抜けは直ぐに痩せちまう。太れねえってのは・・・致命的なんだ。幕内に上がって・・・相撲が楽しくなる一方で・・・土俵に上がる前・・・いつも覚悟するんだ・・・この体がいつまでもつのか・・・これが・・・最後の土俵かもしれねえって。だからよ・・・ムカつくだろ・・・その最後の相手が全力じゃなかったら・・・許せねーだろそんなの!」
 だから、鯉太郎は、自分はもちろん全力を出すし、相手にも全力を求める。もうね、まったくもって男だぜ鯉太郎!! しびれるね、本当に。最高にカッコイイ。
 続く2巻と3巻では、2日目の取組が描かれるのだが、衝撃の、まさかの展開が待っていた。空流部屋という大切な居場所を賭けた鯉太郎の想いもまた、泣けてくる。だいたい、2日目の取組だけで単行本2冊を必要とする内容の濃さだ。この日に至るまでの5年間の因縁が丁寧に描かれる。ホントにね、毎週困るんだよね。読んだそばからもう、次の週が待ち遠しくなってしまうから。
 そして、今回の新刊である4巻では、3日目と4日目の前半が描かれる。3日目は、とある小学生の話だ。小学校でも家でも居場所を失った少年に、鯉太郎は戦う姿を見せることで、生き方を教える。その、小賢しい小学生は言う。「何でアナタはお相撲さんやってるんですか? どう見たって選択した競技間違ってません? その体でお相撲取ればどうなるか予測着くでしょ・・・」
 体の小さい鯉太郎の、毎日の稽古を見ての、素朴な感想だ。それに対して鯉太郎はこう答える。
「予測やら将来やら・・・ガキのくせにうるせー奴だな・・・好きで選んだこの道だ・・・今を必死で生きねー奴に、未来は近づいてこねーだろ」
 そして小学校で友達のいない少年は言う。
「まぁ・・・来年は中学受験だし・・・あんな低俗な奴らともさよならだ・・・将来笑うのは僕の方さ・・・」
 それに鯉太郎が返す言葉は、非常にカッコイイ。
「まぁ・・・お前が将来どーなろーがいいし、今のお前の考えを否定もしねーけどよ・・・人の人生に口出せるほど俺は偉くねーし余裕もねーしな・・・でもよ・・・必死こいてる奴を笑う奴に、大した奴はいねーんだよ」
 当然、こう言われた小学生は、なんだよバカーと帰ってしまうが、鯉太郎のことが気になる少年は、やっぱり空流部屋に顔を出す。2日目の取組が終わって帰ってきた鯉太郎は、2日目だってのにもうフラついている。心配になった少年は、その有様で十五日もつんですか、と聞く。鯉太郎は、笑顔でこう答える。
「さぁな・・・そんな先のことは知らねーよ。一番一番に己の全部をくれてやる・・・それが俺の相撲だ。じゃねーと勝てねーからな、俺は・・・。チケットやるから見に来いよ。教えてやるよ。俺が相撲を取る意味を・・・」
 そして鯉太郎が見せる、バチバチの戦いに、少年の心は動く。もうこの流れは、本当に美しくカッコイイ。何度読んでも泣けてくるんだよな。この最終シリーズ『鮫島、最後の十五日』では、随所に鯉太郎が満身創痍であり、限界が近いんじゃないかという姿が描写され、もう本当に心配でならない。4日目は、幕内にあがったばかりの最重量級外人力士が相手だ。巨漢相手であっても、ソップの鯉太郎は、当然全力でブチかますつもりでいる。しかし、相手の外人力士にはなにやら心の問題があるようで……というところまでが4巻だ。

 実のところ、わたしはチャンピオンを毎週買って読んでいるので、この戦いの結末も知ってはいる。だが、この『バチバチ』『バチバチBurst』『鮫島、最後の十五日』という一連の漫画は、勝負の結果ももちろん引き込まれる面白さがあるのだが、それと同等かあるいはそれ以上に、勝負に至るまでのバックグラウンドが非常に濃密で、その背景があるからこそ、勝負自体も面白いものになっている。相撲は、普通の立会いは60秒もない。その、わずか1分に満たない時間をここまで濃密に描ける佐藤タカヒロ先生はすごいと思う。なお、この漫画は、ためにし女子数名にも読んでもらったのだが、軒並み好評であるので、女子にもお勧めしたい。A嬢は特に気に入ったらしく、『ペダル』よりも面白いと言ってくれている。鯉太郎(のような男)と結婚したいそうです。

 というわけで、結論。
 『鮫島、最後の十五日』は、どう完結するのか全く予断を許さない展開だが、わたしの中ではもうすでに、傑作の予感がしているというか、既に傑作認定している。なので、秋田書店の方には、どうかお願いしたい。頼むから、最後まで描き切らせてほしい。打ちきりなんてことになったら、ホント怒るよオレ。電子と紙の単行本、両方を買って応援するから、きっちり最後まで描いてほしいと、切に願う。

 ↓ 佐藤タカヒロ先生のちょっと前の作品。柔道漫画。もちろん、応援のために全14巻電子でまとめ買いしました。やっぱり非常に面白かった。


 以前、「週刊少年チャンピオン」が今、非常に面白い。というネタを書いたが、その時に取り上げられた新連載漫画の単行本が発売になったので、早速購入した。タイトルは『ニコべん!』。お料理漫画と言えばいいのかな、キャラ弁つくりにいそしむ少年の物語である。

 わたしはわたしを知る人々に、ちょっとした何でも超人として知られているが、そんなわたしが全く出来ない、苦手分野が二つある。それは「料理」と「楽器」である。この二つが出るようになったら、わたしに出来ないことはほぼなくなるのだが、どうしてもこの二つはダメだ。まあ、それほど興味がないからやる気も起きず、やろうとするモチベーションがないので手を出していないわけだが、それでもやはり、料理の出来る人や楽器の出来る人は、それだけで、コイツ……出来るな……と思ってしまう。とりわけ料理については、女性であればそれだけで評価は高くなるし、男で料理の出来る奴に対しては、ぐぬぬ……となんだか悔しくなる。
 というわけで、最近少し自分でも料理をやってみるか、とレシピ本などを見ながらやってみるものの、「少々」ってどのくらいだよ、とかイライラしたり、味見しても何が足りないのか、塩? が少ないのか多かったのか、正解の味がよく分からず、どうもイマイチぱっとしないものしか作れないでいる。レシピ通りやってみれば、一応、うわ! コイツはマズイ! というような、ジャイアンの歌を聴いたときのような失敗はないものの、逆に、うお! コイツはうまい! という劇的な感動もなく、なんともやる気が出ないので困っている。決定的に、料理の経験値がないというか、もうどうすればいいのでしょう、と若干途方に暮れており、まったくもって、トホホ……である。そういう話を、料理が得意なY君に話すと、フッ……っと軽く失笑するので実にイラつくのだが、そもそもわたしは、食に対するこだわりや執着といったモノをほぼ持ち合わせておらず、ジャンクフード好きであり、好物は? と聞かれれば、まあ、チャーハン・カレー・焼きそば、それからハンバーグとか? みたいな返事しかできないバカ舌の持ち主である。これはわたしを語る上で、わたしの周りでは有名なエピソードだが、かつて、出張で地方に出かけた時、同僚のM君とこんな会話があった。
 M君「今日も疲れたっすね~。夜、なに食いましょうか」
 わたし「あそこに吉野家あるから、それでいいんじゃね?」
 M君「バカヤロー!? ここ大阪ですよ! なんで大阪で吉牛なんすか!?」
 なんてこともあったし、別の出張では、
 M君「はあ~腹減ったっすね~。やっぱ広島っつったらカキっすかねぇ~」
 わたし「あー……ごめん、オレ、カキ嫌いなんだよね」
 M君「えーーーっ! じゃあ、お好み焼きでも行きましょっか」
 わたし「でも次のアポの時間ヤバくね? もうあそこのマックでいいんじゃね?」
 M君「このバカーーーっ!? ここ広島!! なんで広島でマック!?」
 また、Y君と台湾に行ったときなども、こんな会話があった。
 Y君「つーか腹減ったっすね」
 わたし「そうね。なんか食いますか」
 Y君「やっぱとりあえず小龍包っすかね」
 わたし「オレさ、スーパー猫舌なんだよね。あ、あそこ、パスタ屋あるね。パスタでいいんじゃね?」
 Y君「……はあ(深いため息)……ホントこの人なんなの。ここ台湾!! なんで台湾でパスタ!? 東京帰れ!!」
 これは、実話である。わたしは別にその地の名産とか、ほとんど興味がないので別に何でもいいよ、というつもりで言ったのだが、部下にバカ呼ばわりである。ホントごめん。

 そんなわたしが、Y君に料理について、どうにも味の正解が分からない、美味いのかすらもよく分からん、という話をしてみたところ、ならば誰かに食ってもらって味を見てもらえばいいんじゃないですかね、という返答を得た。なるほどね。そりゃ道理だ。でもなあ、Y君に食ってもらっても、またガタガタうるせえこと言われて、それを黙っておとなしく聞く自信ねえしなあ、かと言って身近な女子に食ってもらうのも、うまければいいけど、マズかったらアレだしなあ、という全く意味のない無駄な見得もあったりして、何でも超人としておなじみのわたしとしては、それはどうなのよ? とわたしの脳内会議は完全に紛糾してしまっている。なので、結論としてはやはりABCクッキングスタジオに入門するしかねえんじゃないかな、と思っている今日この頃である。

 で。『ニコべん!』である。
 どういう話かというと、主人公は高校1年の男の子。パシリとしてヤンキー連中に使われ、また勉強のほうも全くぱっとしない。そうなってしまった理由はきちんと描かれていないが、そんな彼が唯一楽しんでいるのが、父親の昼の弁当作りである。父親は普通の会社員だし、母親もいい人だし、お姉ちゃんも可愛い。なんで主人公がパシられているのか良く分からないが、要するに気弱で押しが弱いということのようだ。で、ある日、父からもう弁当はいらん、と唯一の楽しみを否定されてしまう。父親は、息子の作った「かわいらしいキャラ弁」をさんざん部下にからかわれてしまったのだ。せっかく作ったお弁当どうしよう。そんな中、クラスで浮きまくっている広島弁バリバリの女子が、屋上で一人ぽつんとお弁当を食っているところに遭遇する。みると、白米&梅干のみ、のなんとも男らしいお弁当である。しかも、びっくりさせて梅干を落っことしてしまった。そこで主人公は勇気を出して言う。「よかったら・・・これ」と自分のデコ弁を差し出し、そそくさと立ち去る。が、しまったーーーデコ弁だったーーー恥ずかしいィィィーーー! と、あわてて屋上に戻ると、教室では誰も寄せ付けないオーラをまとっている広島弁女子が、ほっこり笑顔で「かわいいのぉ……」とほめてくれた! そして、卵焼きを食べるのに、醤油ないんか? と聞く広島女子。醤油はあるんだけど、今回のデコ弁のために前日の夜開発した、たこさんウィンナーに秘密が……。この部分は、読んでもらったほうがいいだろう。この第1話が無料で読めるので、ぜひ読んでみて欲しい。かくして、主人公は、「人に弁当を食べてもらうって、こんなに嬉しいことだったんだ」ということを知る。このあと、主人公の広島女子を笑顔にするためのお弁当作りが話のメインになるのだが、他にもいろいろなキャラクターたちが登場し、料理で人を笑顔にしようとする主人公の頑張りが続くわけで、非常にいい話じゃん、とわたしはとても気に入った。
 絵柄も、近年の萌え漫画的なドへたくそな薄っぺらなものではなく、きっちりと少年漫画の王道を行くタッチで描かれており、非常に好感が持てる。悪くない。いや、これはとてもいい漫画だとわたしは思った。
 
 この漫画で描かれているように、まあ料理であれなんであれ、自分のしたことで誰かが笑顔になる、というのは最高に嬉しいことだ。なので、わたしもちょっくら本気出してみようかな、とは思っているのだが……散々書いたとおり、どうにもわたしには、料理はひじょーーに高いハードルであり、困難なものである。ああ……でも料理ができたら、ちょっとカッコイイよな……くそう……やっぱABCクッキングスタジオに入門するかな……困った……。『ニコべん!』の主人公のようになりたいもんだのう……。

 というわけで、結論。
 『ニコべん!』はイイ! 絵も物語もとてもイイ! 万人にお勧めしたい漫画です。

↓ いくらレシピ本見ても、わたしのようなバカ舌には通じないんだよな……困った……。


 最初に、自白しておかなくてはならないことがある。
 わたしは、現在のアメコミヒーロー映画が大好きだが、実は……恥ずかしながらちゃんと原作アメコミをきっちり読んだことのある作品はごくわずかで、真面目に読んだのは『WATCHMEN』と『SPAWN』ぐらいしかなく、ほかのIronmanやBatman,Captain Americaなどは、ほんの1冊2冊を読んだだけの、実際のところ全くのニワカである。X-MENなどは、そもそもはカプコンの格闘ゲームから入ったクチで、映画では主役のWolverineなんかは、黄色いスーツの、爪のあいつでしょ、ぐらいな知識しかなかった。X-MENの映画第1作が公開されたときは、主役ってCyclopsじゃないんだ、でもこのWolverineの役者(まだ当時のHugh Jackmanは大人気になる前だった)、髪型とかすげえ再現してんなー、なんて思ったぐらいのド素人オタである。ほかにも、CAPやIronmanも、ゲームでその姿を知って、いろいろ調べてちょっとだけ詳しくなっただけ、というのが真相だ。なお、Hulkだけは、わたしが中学か高校の時に、テレ東の昼ぐらいに(ひょっとしたらテレ朝の夕方の「スタートレック」や「事件記者コルチャック」が放送されてた枠だったかも?)やっていた『超人ハルク』を観ていたので、よく知ってるつもり。「僕を怒らせるなよマクギー君!」という冒頭のあらすじは大好きだった。が、残念ながら、原典であるコミックは全くと言っていいほど読んでないのです。本物のファンの人々にはホントにサーセン。
 ただ、映画はおそらくはほぼすべて観ている。観る前に、いろいろ調べて、へーそうなんだ、なるほど、深いのう……とか予習をしてから映画を観ているので、毎回非常に楽しめるわけだが、今をさかのぼること10年前、2005年に公開された『Fantastic Four』(邦題:ファンタスティック・フォー:超能力ユニット)については、事前予習で、ははあ、なるほど、要するファンタスティック・フォーとやらはチーム、つまりは戦隊モノか、そいつは楽しみだぜ! とやや間違った期待をして観に行ったものの、あまりにリーダーのMr.Fantasticことリード博士がイケてないおっさんだったのに失望し、2年後に公開された2作目の『Fantastic Four : Rise of The Silver Surfer』(邦題:ファンタスティック・フォー:銀河の危機)は、劇場で観るのをさぼってしまい、後にWOWOW放送で観て、ああ、やっぱ劇場で観るべきだった、と後悔したのであった。
 前置きがいつも通り長くなったが、そんな『Fantastic Four』が、昨今のヒーロー映画の波に乗り、また、20th Century FOXが権利を所有する貴重なMARVEL-IPとして、再びスクリーンに登場することになった。わたしも、前シリーズをぞんざいに扱った謝罪の意味も込めて、今日の初日にわくわくしながら劇場へ赴いたわけである。

 予告の出来は非常にいいと思う。わたしとしては、超観たい映画決定だったわけだが、本国US国内での評価はひでえ、という噂は聞いていた。格付けサイトでおなじみのRottenTomatoesでは、なんとTOMATOMETERで9%、AUDIENCE SCOREは20%と、相当なクソ映画として評価されてしまっている。ちなみに、『The Dark Knight』は、87%-90%と高評価だ。もう一つの格付けサイトmetacriticでのMetascoreは27点。これもまたひどい点しかついていない。同じくこっちでもDark Knightの点を見てみると82点で、非常に高い評価を受けている。なので、これは……ちょっとやばい予感がするぜ……? とほんのり怪しい空気を感じてはいた。ちなみに、前シリーズも、両サイトであまり評価は高くないのだが、今回の作品よりはマシなスコアが付いている。
 だが、どうやらこの低い評価には、明確な理由があって、原作改変が結構はなはだしいのである。原作知識のぜんぜん甘いわたしでも、キャストを知って、アレッ!? と思ったことがいくつかあった。その最大のポイントは、Fantastic4の一人であるHumanTorch(その名の通り、全身から火を噴いていて、飛べるアイツ)は、Invisible Womanの弟で、前シリーズでは現在のMCUでCAPを演じているChris Evansが演じていたのだが、なんと今回は、黒人青年である。それって、アリなの? とそれほど詳しくないわたしも、若干不安がよぎった。しかし、監督は、わたしが超・激賞している『Chronicle』を撮った若き天才Josh Trankである。そんな、あんなに素晴らしい『Chronicle』でデビューしたあいつが、2作目でそんなクソ映画撮るわけない……よね? という微かな想いを秘めて、劇場へ向かった。ちなみに、その『Chronicle』は、RottenTomatoesでは85%-71%と非常に高評価だったし、metacriticでも69点とまずまずである。

 というわけで、新生『Fantastic Four』である。
 物語は、わたしが知っているものと全然違ったものだった。が、わたしが知っているのは、前シリーズの物語で、4人の科学者が宇宙で謎の宇宙線(?)を浴び、地球に返ってきたら謎能力が身についていて、その能力を使ってヒーロー活動を行うというものだった。その4人は、手足が伸びるゴム人間になっちゃった「Mr.Fantastic」(なんかイケてないおっさん)をリーダーに、透明になれる「Invisible Woman(演じたのはJessica Alba)」と全身火だるま野郎「HumanTorch(さっきも書いたけど、演じたのはCAPことChris Evans)」の姉弟、そして唯一、平常の人間体に戻れないでずっと異形のままとなってしまった岩石男こと「The Thing」の4人で、たしか、わたしはこの前作を見たときは、ゴム人間ってルフィかよ! とか思ったし、また、InvisibleWomanは、自分の体だけ透明になるので、いそいそと服を脱ぐシーンがあり、能力に慣れていない段階では透明化が解けて姿(素っ裸)が現れちゃってイヤーン的なシーンもあって、ははあ、お色気担当ですな、なんて思ったし、HumanTorchは、唯一、自分の体の変化を大歓迎していて、これでモテモテだぜヒャッハーというキャラ造形だったので、なるほど、こいつはアホキャラかと思っていた。そして、人間時の姿を喪失してしまったThe Thingは、たしか、その姿に絶望した奥さんに怖がられ、そして逃げられ、代わって、目の見えない女性との心の交流なんかが描写されて、何とか気持ちの折り合いを付けようとする、そんなキャラに描かれていた。
 一方、今回の新生F4メンバーはというと、みんなガキである。学生さんである。そして、謎能力(能力自体は前シリーズと同じ)を身に付けるに至った過程も違う。まあ、実際のところ、それは事前の予習で知ってたわけだが、どうやら前シリーズが、原作の正伝で、今回のお話は、原作の別シリーズと言えばいいのかな、『Ultimate Fantastic Four』に準拠しているらしい。そのUltimate視点から言えば、「原作通り」ではあるそうだ。なるほどね。ちなみに、アメコミは、ずっと同じ世界観で話が続いているものとは限らず、今回のUltimateのようなパラレルワールド的な別のお話が作られる場合が非常に多く、残念ながらそこまではわたしは詳しくないので、頻繁にへー、そうなんだ、ということに出会う。
 しかし、である。じゃあ、一体なんでUS国内ではそんなに評価低いのだろう? 一応、原作通りの設定なんでしょ? と思っていたのだが……まさかそりゃ、HumanTorchが黒人に変わっちゃったから、とか、そんな理由であってほしくなかったのだが、観終わった今でも、正直、わたしには良くわからない。なぜなら、わたしは今回の新生F4はアリだと思ってしまったからだ。
 映像は最新CGを駆使し、非常に美しく洗練されている。また、物語的な矛盾や変な展開も少ない。実にまっとうなストーリーだった。なんだ、面白かったぞ? という、面白かったのに首をひねるという奇妙な事態にわたしは陥ってしまったのだが、RottenTomatoesで9%は可哀想だろ、というのがわたしの感想である。Josh Trankはやっぱりかなりいいセンスしてんじゃん、とわたしは思う。今回の新生F4は、テーマ的にも、私の大好きな映画、『The Fly』によく似ているような気がする。

 もはや説明の必要はないと思うが、物質転送装置を開発していた孤独な天才が、うっかり自分を転送する実験時にハエが混じっていたことに気付かず(※彼女に振られてやけ酒飲んで酔っ払った末に、じゃあいいよ、オレ一人でやるもんね、そうだ、もう今すぐやろう! という展開なので、うっかりとしか言いようがないw)、DNAレベルでハエと融合してしまうものすごく可哀想な悲劇である。それが『The Fly』という映画で、まあ映画的なジャンルはホラーかもしれないけど、まあ、なんというか気の毒な話であった。わたしはこの映画を、公開時はもちろん劇場に観に行ったし、そのあと、確か上野だったかな、名画座でも2本立てでも観たし(わたしとしたことが何と2本立てだったか全く思い出せない)、さらにVideoやDVDでも何回も観ているほど好きな映画の一つだが、今回の新生F4も、もともとは天才少年である主人公が作った物質移転装置で、謎の異世界(?)へと行き、そこで、良くわからない謎エネルギーに触れたことで能力が発現する展開だ。その転送装置も、なんだか『The Fly』を思わせるような感じで、おそらく、Josh Trankが子供のころに観たはずの『The Fly』へのオマージュめいた雰囲気も感じた。
 ところで、もちろん、主人公リード君は、元の体に治すことを最優先に考えるが、研究に散々金を投資した大人たちはそうはいかないわけで、軍事利用をたくらむ展開は、まあ、ありがと言えばありがちな展開。そして、アメコミ映画で最も重要なVillan(悪役)は、F4で最大の敵であるDr.DOOMを採用している(前シリーズの1作目もVillanはDr.DOOMだった)。ちなみに、このDr.DOOMも設定が若干原作とは違うらしいが、わたしは物語の流れ上は全く問題なく受け入れられた。ただし、わたしが今回の新生F4で問題ありだなと強いて言うとすれば、やっぱりこのDr.DOOMに関する部分で、どうも彼に関する部分が……薄いというか浅いんだな……その点は少々不満に感じた。物語上、Dr.DOOMもまた被害者の一人であり、むしろ一番かわいそうな男なので、リード君はもっと彼も救う方向の心の動きがあってしかるべきなのに、あっさり敵認定してしまうのは、あまりに可哀想だと思う。わたしがこれは……と思ったのはその辺だけで、HumanTorchが黒人でも、わたし的には特に文句はなかった。強引な姉弟設定も、許せなくはない。あと、どうでもいいのだが、予告に使われているいくつかのシーンが本編になかったような気がする。気のせいかな?

 最後に、役者たちをちょっと振り返っておこう。主人公のリード君を演じたのは、今年のアカデミー賞で助演男優賞・録音賞・編集賞を獲った『Whiplash』(邦題:セッション)で、J.K.Simmonsのスーパー・スパルタ特訓を受ける主人公を演じたことで大いに名を上げたMiles Teller君である。こいつはイケメンなんだか、パッとしないんだか、微妙な顔をしているが、演技ぶりは非常に良い。わたしが彼を初めて観たのは『Divergent』だが、来週公開になる第2作にも出演しているので、彼が気に入った人はぜひチェックしていただきたい。ただ……役としては、主人公をひどくいじめる嫌な奴なので、ちょっとアレだけどね……。そして、黒人HumanTorchを演じたのが、Josh Trankの名を世界に知らしめた『Chronicle』で、主人公の通う学校の生徒会長(だったかな?)で、主人公とともに謎能力に目覚める男の子を演じたMichael B. Jordan君である。彼はかなりいいと思う。今後応援していきたい若手だが、なんと彼の次回作は『CREED』である。CREEDと聞いてピンと来たら、わたしと友達になれると思う。そう、この映画は、わたしが好きでたまらない映画の一つである『ROCKY』の新作と言っていい作品で、主人公は、ロッキーの永遠のライバル兼親友、アポロ・クリードの息子である。その主役であるアポロJr.をJordan君が演じるのだ。どうやら、年老いたロッキーがコーチする展開のようで、もう、予告編だけで傑作の予感を勝手に感じている。ちょっと↓これ見ておいて。ヤバくない?

 この予告の最後の方にある試合のシーン、アポロJrが、あの星条旗パンツ――元々アポロのもので、「3」でロッキーに貸して以降ずっとロッキーが愛用していたあの星条旗パンツ――をはいて戦ってますな。あのさぁ、わたしはもう、それだけで……確実に、泣くに決まってんだろうが! 超必見ですよこれは。

 おっと、またまったく話は脱線したが、ほかのキャストは、まあ、別にどうでもいいかな。InvisibleWomanを演じたのは、本物のお金持ちでおなじみのKate Mara。イマイチタイプじゃないんで、どうでもいいです。妹さんは言わずと知れたRoony Mara。姉妹二人ともよく活躍してますな。なお、お父さんは、NYジャイアンツの副社長で、彼女たち姉妹はNYジャイアンツ創始者の曾孫なんだだそうだ。ちなみに、ものすごく美しい物語なのに、リアルBL映画としておなじみになってしまった『Brokeback Mountain』で、最後に故Heath Ledger演じるイニスのもとに、娘が「わたし、結婚するの」と報告に来るシーンがあるでしょ? あれがKate Maraですな。他にも、Ironman2にも出てるし、いろんな作品で見かける人だ。
 あと可哀想な岩石男The Thingを演じたのはJamie Bell君。わたしが観た中で印象的だった役は、『Jumper』で、主人公とは別の、先輩ジャンパーとして途中から登場する男がいたけど、あの役をやったのが彼で、結構いい芝居ぶりであったことを覚えている。特徴ある顔なので、どっかで見たなと思ったらJumperだった。しかしあの映画、結構面白かったのに、全然興行的にダメだったね。
 えーっと、ほかのキャストは正直良く知らないです。サーセン。あと、今回は本編終了後のMARVEL恒例のチョイ出し映像はなかったです。せっかくFOXなんだから、X-MENにつながるなんかのシーンが来るかと思ったのだが……最後の研究所は、ひょっとしてX-MENに関係アリなのかな? ま、いずれにせよ、トイレが我慢できない人は、エンドクレジットになったらすぐに席を立って大丈夫です。
 はっ!? あれっ!?? そういえば、おなじみのスタン・リーのカメオ出演って、あったかな? あれっ!? やばい、今回は全然気が付かなかった。どっかに出てるのかな!? うかつだよ……オレ!! 気が付かないとはオタの名が廃るわ……!!

 というわけで、なんだかまとまってないが、結論。
 新生『Fantastic Four』は、わたしとしてはまずまず楽しめた。ので、アリです。そして、一日も早く『CREED』が観たい! こりゃあ、『CREED』観るためにアメリカか台湾に行かないとダメかもな……日本でいつ公開されるか今のところ情報なし。なんでだよもう!

↓ 前シリーズは、役者的にパッとしないけど、若き頃のCAPことChris Evansは一見の価値あり。とんだチャラ男ですよw
ファンタスティック・フォー[超能力ユニット] [Blu-ray]
ヨアン・グリフィズ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2013-09-04

ファンタスティック・フォー:銀河の危機 [Blu-ray]
ヨアン・グリフィズ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2013-09-04

 この数年、おそらくは2011年以降、出版界というか小説の業界の中で、いわゆる「コージーミステリー」と呼ばれるジャンルの作品が大いに盛り上がっている。いや、これはもう過去形で語ったほうがいいのかもしれない。もはや古いような気がしなくもないが、ともかく、その先鞭をつけた作品は間違いなく『ビブリア古書堂の事件手帖』であろうと思う。
 コージーミステリーって何だ? と思う人は、とりあえずWikipediaでも見てもらうとして、ごく簡単にテキトーに要約すると、日常のちょっとした謎を解き明かす殺人の起こらないミステリー小説のことだ。このジャンルは、実のところ結構以前からあって、なにも『ビブリア古書堂の事件手帖』が元祖と言うわけではない。たしか、10年以上前に、営業部時代の同僚のM君に教えてもらって北村薫先生による「円紫師匠シリーズ」を読んだことがあったのだが、たぶんその作品がいわゆる日常の謎系の元祖なのかもしれない。この「円紫師匠シリーズ」というのは、北村薫先生のデビュー作『空飛ぶ馬』から始まるもので、主人公「私」が落語家の「円紫師匠」と出会い、「私」が遭遇する日常生活の中でのちょっとした「ん?」といった謎を円紫師匠に話すと、円紫師匠はたいていの場合、話を聞くだけで、現場に行くこともなく、「それはきっと……」と謎を解いてあげたり、ヒントを提示してあげたりするようなお話だ。いわゆる安楽椅子探偵に近いものがある。『空飛ぶ馬』に収録されている「砂糖合戦」というエピソードは非常に面白く、作品の方向性を定めた初期の傑作だと思うな。 
 ちなみに、営業時代の同僚M君は、かなりいろいろわたしに小説やコミックのお勧めをしてくれて、この「円紫師匠シリーズ」以外にも、加納朋子先生の『ななつのこ』や『魔法飛行』といった「駒子シリーズ」も、M君に教えてもらって読んだ作品だ。これも日常の謎系ミステリーで、とても面白い。
ななつのこ (創元推理文庫)
加納 朋子
東京創元社
1999-08

 で。わたしは編集者時代に、この日常の謎系はかなり多くの作家に、こういうのやろうよとお勧めしまくっていたのだが、結局作品を作ることができなかった。やっぱりネタ出しがすごく難しいので、編集者としては三流だったわたしには実現できなかったのが残念だが、その後、けっこうある日突然『ビブリア古書堂の事件手帖』が生まれた。見本が回ってきたときに読んで、ものすごく悔しかったのを良く覚えている。ちっくしょー! これは面白い!! こういうのやりたかったんだよなー、と作った編集者を大いに見直したものだ。ただ、確実に10万部はいけるとは思ったものの、これがまさか、あっという間に100万部を突破する大ヒットになるとは思ってもいなかった。この大ヒットでMW文庫というレーベルは大きく成長していくことになるが、MW文庫だけでなく、日本出版界のとりわけ書き下ろし文庫業界では、次々と似たような、日常系ミステリー花盛りとなったのである。今、本屋さんに行って文庫売り場に行くと、なんともまあ、カバーイラストがMW文庫のような作品の多いことか。おまけに日常系ミステリーも非常に数多く出版されている。まったくもって、なんともまあ、という状態である。

 そんな中で、先日、今年の冬アニメをチェックしていたところ、なんと、角川文庫の「ハルチカシリーズ」がアニメ化されることを今更知った。あ、マジか、アニメになるんだ、ふーん……とちょっと感慨深く思った。実はこの初野晴先生による「ハルチカシリーズ」は、『ビブリア』よりもぜんぜん前の2008年に出版されていて、文庫化されたのが2010年だったと思うが、日常の謎系小説としてちょっと注目していた作品だった。わたしがチェックした当時は、同じく日常の謎系である米澤穂信先生の「古典部シリーズ」でおなじみの『氷菓』に比べると、全然売れていなかった印象だが、いつのまにか、アニメ化されるまで成長していたことに素直に嬉しく思った。ごめん、全然知らなかったよ……。
 というわけで、この「ハルチカシリーズ」も電子書籍販売サイトBOOK☆WALKERにて半額で売っていたので、久しぶりに読んでみることにした。実はわたしは、第1作の『退出ゲーム』しか読んでいなかったので(しかも文庫じゃなくて、最初に発売になった当時の単行本で読んだ)、この期にシリーズ第2作『初恋ソムリエ』と第3作『空想オルガン』まで、3作品をとりあえず買ってみた。
退出ゲーム (角川文庫)
初野 晴
角川書店
2010-07-24




 
 物語は、とある高校の弱小吹奏楽部に入部した穂村千夏(チカ)という女の子と、その幼馴染で、美形で頭脳明晰で男が好きな上条春太(ハルタ)という男の子が校内で起こる事件を解決していく話である。構図としては、チカがワトソン君で、ハルタがシャーロックである。 なお、チカはワトソン君なので、事件を解決するのはシャーロックであるハルの手柄で、チカは基本的に常識人としての突っ込み役である。どうでもいいが、この二人は、そろって顧問の日下部先生が大好きで、男・女・男というアブノーマルな三角関係にある。ハルタは、チカにとってはにっくき恋敵なのである。そんな部員の少ない吹奏楽部に、部員をスカウトしたい二人が、校内にいる、吹奏楽の経験者なのに、吹奏楽部に入ってくれない「わけあり」な生徒がいたり、変人の生徒会長や、「ブラックリスト十傑」と呼ばれる変人たちがいて、そのわけを解き明かして吹奏楽部の仲間に加えたり、変人の謎を解いていくのが、この1作目の大きな流れである。
 基本的には短編連作の形をとっており、この『退出ゲーム』は4話構成になっている。
 『結晶泥棒』・・・文化祭賑わう校内。そんな中で、科学部の展示品が消えた。劇薬にもなるその結晶の行方を追うハルとチカの紹介的エピソード。このトリックはそもそもの、とある知識がないとわかりっこない。当然わたしも見抜けなかった。
 『クロスキューブ』・・・オーボエ奏者として腕の立つ女子をスカウトする話。オーボエを辞め、吹奏楽から遠ざかった彼女が突きつけた、吹奏楽部に入る条件をハルとチカが解き明かしていく。
 『退出ゲーム』・・・サックス奏者として腕の立つ、演劇部の幽霊部員である男子をスカウトする話。もう一度サックスを手にとってもらうために、演劇部と対決するハルとチカの即興劇バトル。
 『エレファントブレス』・・・変人生徒会長からの依頼を受けたチカ。ブラックリスト十傑の発明部の兄弟の発明品を買ったのは誰かを探す話。そしてどうやらその「誰か」は、トロンボーン奏者らしく……というこのエピソードは、「音」と「色」の関係性について面白知識が披露されていて、非常に興味深いというか知らなかったことなのでちょっと興奮した。実に面白い。そして、最後はちょっと泣かせてくれる。

 というようなお話で、この『退出ゲーム』はハルとチカが1年生が終わるところまでを描いている。実のところ、この作品はライトノベルと言っていいだろう。わたしのライトノベルの定義はただひとつ。主人公が10代の若者だと言うことだけだ。だから、わたしにとっては、この作品はライトノベルそのものである。
 キャラクターの造形もよく、物語も面白い。登場するキャラクターの変人振りなどはとても漫画っぽさもある。このシリーズが、変にふざけた、薄っぺらなイマドキアニメにならないことを祈りたい。

 というわけで、結論。
 結構面白い。現状、シリーズは5作あるのかな。まあ、順番に読んでみるとします。

 ↓ シリーズ最新作。出たばかりなので、単行本しかない。残念ながら文庫になるまで買えない……かな。
惑星カロン
初野 晴
KADOKAWA/角川書店
2015-09-30

 わたしのチャリ好きは、既に『弱虫ペダル』劇場版のレビューを書いたときにちょっと触れたが、お金のない中学生時代に、有楽町や日比谷に映画を見に行くとき、チャリで遠征していたときから数えればもう30年以上経つ。片道20km圏内はチャリで余裕であるのだが、さすがに都内は車が危なくて、走ってても気を遣うばっかりで楽しくないので、あまり好きではない。が、昨日、ふと思い立って、久しぶりにチャリ通勤してみた。最後に会社へチャリで通勤したのは、編集部時代が最後なので、およそ9年、いや、もう10年ぶりかな。かなり久しぶりだった。
 まあ、毎日駅まで片道4.5kmほどをチャリンコで通っているのだが、昨日は仕事場まで、約20kmをぶっ飛ばした。所要時間は、行きが51分、帰りは59分もかかってしまった。編集部時代の最速タイムは、行きの48分だったのだが、さすがに衰えたかのう……。行きは、朝6時くらいなので、道もガラガラだし、信号に引っかかる回数も少しだけ少なかった。とはいえ、やっぱり信号につかまると、ゼロスタートの出力がかかるので、やっぱりかなりロスになる。たぶん、行きは信号待ちで、10分とは言わないけど、10分近くは足止めされていると思う。でも、ガラガラな道をぶっ飛ばすのは本当に気持ちよかった。
 しかし帰りは、やっぱり車も多いし、路駐してるクソどもが多いので、かなり気を遣う。また、おっせえチャリ野郎も多く、さらに信号にもつかまる回数が多い。それと、昨日はほんの少し向かい風になっているポイントも多くて行きよりもかなり走りにくかった。 まあ、以上は言い訳ではあるけども、なんか体感的に全然スピードが乗らず、ちょっと ストレスがたまったのだが、最後の難所の市川橋を渡ると、ふいーっと一息つける。あとは家まで15分ほどだ。
 
 ルートは、かなり簡単で、迷いようがないほど道なりにぶっ飛ばすだけ。
 まず、区間1)は、家から市川橋まで。ここまでは住宅街をぶっ飛ばすのだが、朝はほとんど誰もいないのでかなり飛ばせるものの、細かいコーナーや信号もあるし、また帰りは車もチャリンコも歩行者も多くて、ちょっと手加減しないと、マジでまったく左右確認、後方確認しないでふらふら走ったり歩いたりするチャリや歩行者がいるので、結構危ない。あと、わんこを散歩してる人も超・要注意。あっぶねえんだよな……まあ、相手からしたらわたしのほうが危ないんだろうから、かなり気を使って、スピードも落として大きく回避するようにしている。今までの最高記録は、この区間1)は13分台。遅くても15分台でクリアできる区間だ。
 続く区間2)は、市川橋からまっずぐ進んで新小岩手前の環七の交差点まで。ここは、朝でも路駐が多くて(帰りはすごい路駐だらけになる)信号も多く、少しだけ気を遣う。あまりスピードも出ない。環七直前の橋を一気に駆け登り、頂点を過ぎたら一気に下りでスピードを出せるのだが、結構頻繁に、下りきったところの信号にかかるのが非常に腹が立つ。信号にかからなければ、一息に環七も横断できるのだが、ここで止まると一気にテンションが下がる。
 区間3)は、環七から平井大橋クリアまでだ。ここはほぼド直線。車もビュンビュン走っており、危険と言えば危険だが、車の作る空気の流れに上手く乗れると、40km/h以上で巡航できる、道中で最速MAXスピードの出る区間だ。ただ、ここも、まるでわたしの邪魔をするかのように信号にかかりやすい。特に新小岩駅への入り口は、ほぼ毎回つかまってしまう。あと10秒タイムを縮めないとダメなんだよな……くそう。そして、この区間は、道中最大の難所である平井大橋が待ち受ける。たいてい、新小岩駅への入り口で信号につかまるので、その信号が青になってから平井大橋を渡り切るまで、ここが最もパワーをかける区間だ。平井大橋は、行きはかなりガラガラなのでそれほど気を遣わないが、橋へのアプローチの坂をどれだけスピードを落とさず登りきり、また登りきったあとどれだけスピードを維持できるかが勝負になる。たいていの人は、登坂にエネルギーをかけてしまって、登りきるとせっかく平坦になるのにスピードが落ちる場合が多いと思う。が、登坂にエネルギーを使うのはもちろんだが、さらに登りきった地点からの平坦のスピードが、トータルタイムに結構影響するので、平坦になった瞬間、男は黙ってシフトアップですよ。これがかなりきついのだが、やるしかない。なお、平井大橋の平坦部分は約650m。ここを出来れば35km/h以上を維持してクリアしたい。35km/hとは、分速に直すと583.3m/minだ。つまり約70秒ほどでクリアできれば合格だろう。なお、帰りはすごい交通量になるので、平坦区間だけは歩道に入るほうが賢明だ。危なすぎる。もちろんスピードは出せないがしょうがない。橋へのアプローチとダウンヒルは車道でいいが、平坦部分は無理しないほうがいい。なにしろ、「橋の上は横風が非常にヤバイ」のだ。ちょっと風にあおられてふらついたら、即アウト。人生終了の危険がある。実際にわたし、一度、車とチャリのひでえ事故を見かけたことがある。マジ危険です。なお、わたしの最速タイムは、家から平井大橋を渡りきるまで28分台。今日は31分ぐらいだったかな。なまってるのう……
 そして坂を下ってから亀戸駅への入り口にあたる明治通りまで、それが区間4)だ。ここも、ひとつ旧中川を渡る橋があって、そのアプローチの坂が結構な斜度があるので要注意だ。しかし、ここも、たいてい坂の入り口の信号にかかっちゃうんだよな……ほんと、あと5秒くらいなんだけど、いつも届かない。非常に腹立たしいのだが、ここは信号が青になった瞬間ダッシュをかける必要がある。そして一気に坂を登りきる。そうしないと、坂の頂上付近で左に曲がっていく分岐があるので、車を置いてけぼりにしないと左に曲がろうとする車がくるのでちょっとだけ危険だ。少なくとも、車に抜かれてしまったら、少しスピードを落として後方確認が絶対に必要になる。前に車がいなければ、そのまま突っ込むべし。そして、どういうわけか下りも、本当はスピードに乗っているので一気に明治通りまで突っ走りたいのだが、たいていここも信号に捕まるんだよな……ホント頭にくる。
 明治通りまでくれば少し道が広くなってるのかな、ちょっと落ち着くんだよね。明治通りから、両国駅への入り口となる清澄通りまで、それが区間5)だ。ここは、まったくのド直線。だが、帰りはひどい路駐に注意する必要がある。あと、この区間で一番ヤバイのが、都バスだ。おっせえし、急に左に寄せてくるので、停留所の位置は意識しておかないといけない。行きはバスはほぼ走っていないのだが、帰りはバスがすっごく邪魔でかつ危険。バス自体も危険なのだが、実はそれよりも、バスを避けようと車線変更しようとして、後ろや横にしか注意が行っていないド下手糞ドライバーのほうがヤバイ。バスに接近しすぎて車線変更できずに止まっちゃう奴がいたり、左車線と右車線の真ん中を走ってバスを抜こうとする奴がいるので、ド下手糞ドライバーはバスより邪魔になる。バスは、一気に右から抜くのが正しいが、そういう中途半端な車には最大級の注意が必要だ。そして、なぜかやっぱり、清澄通りの交差点で、ほぼ確実に信号に捕まる。この頃には、相当息も上がってるので、ちょっと一息つける赤信号は、ちょっとだけ有難し。
 この後、清澄通りから蔵前橋を渡って秋葉原の昭和通りまで、それが区間6)で、事実上の最終区間になる。秋葉からは、もう信号にあわせて、進む方向が赤なら、どの通りでも左に曲がって、くねくね好きな道を行けばいいだけだから、スピードもあまり出さないし、秋葉から仕事場までは5分かからない。この最後の区間6)は、行きも帰りも比較的道も広いし、ストレスなく走れる。蔵前橋も、アプローチの坂は緩やかなので、ギアチェンジの必要するらないぐらい。一気にダンシング一発で登れる。蔵前橋を渡りきって、蔵前警察署の前を通過した後の、浅草橋と浅草を結ぶ江戸通りの交差点が大きいぐらいかな。ここはうまくいくと信号に捕まらずクリアできる。ただ、この道も左折レーンがあるので、左に曲がっていこうとする車の動きは神経を使う。急に寄せてくる野郎もいるしね。

 と、いうようなルートぶっ飛ばしています。
 なお、チャリは、レース用のマシンは使っていない。あくまでも街乗り用のマシンで、タイヤとハンドルステムだけ交換してあるフラッドバーロードだ。↓ こんな奴。
12_syozanji
FCR_2004
 ちなみに、上の写真は、2007年のお遍路のときの写真。これはお遍路上の最初の難関である、第12番焼山寺の山を乗り切ったところかな。このマシンとは、いろんなところに行ったなぁ……。下の写真は、このマシンを買ったばかりの頃じゃないかな。2004年当時のもので、第1回の富士ヒルクライムの練習で5合目まで登った時のだな。練習なので、本番用バリバリレーサーじゃなくて、こいつで足試ししたんだと思う。このマシンはたしか2003年モデルだったかな。大切にきっちりメンテしているので、もう12年前のマシンだけど、街じゃ負けないよ。これでレースは出ないけど、気軽に乗れる、楽しい奴です。

 というわけで、結論。
 やっぱり、運動で汗をかくのが一番ストレス解消になると思うな。まあ、今はストレスなく生きているけどね。ホント、気持ちいいわ。今日も実はチャリ通しました。タイムは50分04秒。くそう、最後ちょっと流しちゃったな……。当分、天気が絶対大丈夫な日はチャリ通かな。

 ↓ フルフィンガーグローブがそろそろ必要かも……チャリンコ用か登山用か、どうするか……。

 最新ラノベを読んでみよう、という自己企画を進行中のわたしだが、第3弾として、スニーカー文庫から『保育の騎士とモンスター娘』という作品を選んでみた。
 
 以前も書いた通り、タイトルとイラストだけ、あらすじはチェックしない、というオレルールで適当に選んだ作品である。カバーイラストからは、騎士が保育園の先生的な話であるらしい想像はつく。モンスター娘というのも、カバーイラストに描かれているちびっ子たちだろう。なんとなく話は見えたような気がするが、また同時に、タイトルの音・リズム? のようなものが、なんとなく気に入った。ただ、タイトルのセンスとしては、新人の応募作っぽさというか素人くささも感じるが、まあそれはご愛敬という事で別に気にはならない。分かりやすいことはそれだけで美点であると思う。

 で。実際読んでみたところ、大方は事前の予想通りの物語の展開であったが、今回はいい方向に裏切られた。実に面白かったのである。
 主人公は、騎士見習いの少年といっていい年頃の男。文中の言によれば――カバーイラストからはまったくそうは見えないが――17歳だそうだ。物語は、彼が保育園に派遣され、当地に到着するところから始まる。なんでも、人間と魔族の戦争があって、それがこのたび休戦に至ったと。で、魔族側から、「魔族の幼体をひとところに集め、人間の管理を受けさせる」ことが休戦条件の一つだったと。で、作られた国立保育園ができたわけだが、そこへ派遣された主人公は非常に真面目で、院長代理を務める人間の娘とともに、魔族の子供たちの面倒を見ることになる――というのがあらすじで、途中で、どうして魔族はそういう条件を出したのか、また主人公はなぜ派遣されたのかという内情がほのめかされる。ほのめかされるだけで、明確な回答はおそらくは今後、きっちりと説明されるのだろうが、この作品の中ではまだ、ふんわりとした説明しかない。また、院長代理の娘についても、その素性は明かされるが、なぜ彼女が選ばれたかについては明確には説明されない。
 というわけで、そういった設定部分での説明不足はあるものの、それがまったく気にならないのは、ひとえにキャラクターが魅力的だからであろうと思う。主人公のまじめぶりがもたらすミスマッチの笑いもいいし、本人は全く本気で取り組んでいる姿も好感が持てる。いわゆる、お仕事小説の面も少しだけ併せ持っていると思う。わたしのようなおっさんからすると、こわもて男が幼稚園に、とくれば、Arnold Schwarzeneggerのなつかしい『KindergartenCop』(邦題:キンダーガートン・コップ)を思い出すが、基本的なノリは近いものがある。いや近くないか。まあ、ちょっと思い出しただけです。サーセン。
 そして、なにより保育園に通ってくるちびっ子どもが可愛いのだ。非常にステレオタイプな描かれ様だとは思うが、やっぱり可愛いものは可愛い。可愛いは正義であろう。主人公に突っかかる子、すぐに慣れて大好きになっちゃう子、ちょっと大人びた子、いつまでもオドオドしている子、といった、本当にテンプレといったら失礼だが、それでも、それぞれの子どもに個性付けが明確になされており、読んでいてとても楽しかった。
 一方、登場する大人も、おっかない、けれど実際話せば非常に理論的で、かつスーパー親ばかな魔族の女王とか、超腕が立つけど、この保育園に魔族側として派遣されてきているおっかない魔女将軍とか、魔族側の大人も、当然人間は嫌いなんだけど、主人公のまじめ一徹な行動に、ちょっとだけ魅かれ始めるという展開は読んでいて非常に好ましい。子どもたちも、最初は怖がったり、嫌ったりしているけれど、当然徐々に懐きはじめ、みんなが主人公を好きになっていく展開である。なにしろ、主人公は、まったくぶれないのだ。そして読者への媚びのようなものもなく、ただひたすら真面目に自分の任務を考え、それを全うしようとする。そのまっすぐさがとてもすがすがしく、作中のキャラクターだけでなく、読んでいる読者もきっと、主人公に好感を持つようになる。
 これだよ、こういうのをわたしは読みたいのだ。王道展開でとりわけひねったようなところもなく、スッと読み終わってしまうが、構成もしっかり組み立てらえており、山場の盛り上がりが少しおとなしめではあるが、非常にわたしの満足度は高かった。これが応募原稿なら、間違いなく選考に残すと思う。大変気に入った。
 読み終わった後で調べてみたところによると、著者の神秋昌史先生は、わたしは聞いたこともない知らない作家だが、どうやら集英社のスーパーダッシュで賞を獲ってデビューした人らしい。なので、一応の実績はあり、素人ではないと。また、イラストを担当する森倉円先生も、どうやら今まで実績がそれなりにある方らしい。そういえば電撃文庫で描かれていたなということも思い出した、というか分かった。どういう経緯で神秋先生がスニーカーで描いてくれたのかは知らないが、スニーカー編集部は神秋先生を大切にした方がいいと思う。面白かったです。

 というわけで、結論。
 2巻が出たら買います。主人公の今後の奮闘を、もっと読みたいし、ちびっ子どもの成長を見守りたいものだと思った。院長代理の女の子とのラブ展開は、まあどうでもいいかな。どうせちびっ子がやきもち焼くんでしょw

 ↓ シュワちゃんの『KindergartenCop』は1991年の映画か……懐かしいのう……。
キンダガートン・コップ [DVD]
アーノルド・シュワルツェネッガー
ジェネオン・ユニバーサル
2012-05-09

 月曜日は、前日・前々日の土日の映画興行の成績が取りまとめられ発表される。わたしはいろいろな業界人のツイートや、Webサイトなどでその情報を得るのだが、せっせと過去データを蓄積しておくと、いろいろな予測に使う事ができるので、重宝している。
 わたしの当面の興味は、はたして昨日観た『バクマン。』がどのぐらい稼ぐのかな、という事にかかっているのだが、わたしは特に何の根拠もなく、単に感覚的に、これは厳しそうだなと思った。きのう書いた時点では、公開週末は2億チョイ、下手したら1億台もあるかも? と思ったのだが、先ほど見かけた情報によれば、2.5億ほどだったそうだ。なるほど、わたしのテキトー予想よりも全然マシな数字でよかった。初日の土曜日の動員が良かったのかな? 昨日の日曜日、わたしが観に行く前にざっと各シネコンの席の埋まり状況をみたところでは、ちょっと厳しそうだったのだが。
 
 では、果たしてこの先、どのくらいまで伸びるだろう?
 まず、参考となる、大根監督の『モテキ』の数字を引っ張り出してみると、公開週末の興行成績は2.45億でスタートし、7週目には20億を突破している。公開スクリーン数280弱という規模は、決して少なくないが、どこのシネコンでも上映されたというレベルではない。今回の『バクマン。』は、2.5億とはいえ、公開スクリーン数は325だそうだから、ええと、公開スクリーン数は117%に増えているけど、興収は103%の増加にとどまっているという事になる。要するに、1スクリーンあたりの興収は低いわけだ。わたしが観た回は、中学生ぐらいを連れた家族もいたので、一人当たり単価が低かった可能性はある。まあ、動員人数は『バクマン。』の方が間違いなく上であろう。だが、果たして『バクマン。』は、7週後までランキングに残れるだろうか?
 ちょっと興味深いのが、「ぴあ」の初日の模様を伝える記事だ。これによると、初日の11時の段階では、『モテキ』の133%だったそうだ。なんだ、要するにその後は『モテキ』より落ちたってことじゃんか。この「ぴあ」 の記事には「30億円見込める好スタート!」とあるが、そりゃあ、ないだろうな……。だいたい、初日の11時の段階でよくこんな記事がかけたなと思う。だって、実質的に1回目の上映だけだよな、きっと。まあ、いかに老舗の「ぴあ」とはいえ、今の天下の東宝様にケチをつけるようなことは間違っても書けないだろうから、記事自体を批判するつもりは全くない。そりゃ、少しでもいいこと書こうと思いますわな。そもそも、その記事を書いた時点では全く事実だったんだろうし。でも、どうにも、この公開週末興収からすると、30億は厳しかろうと思う。ちなみに、3週前に公開された、同じくコミック原作の『ヒロイン失格』は、たしか公開週末が2.6億だったかな、そして3週目の現在ですでに15億を突破したそうだ。非常に立派な数字だと思うが、果たして『バクマン。』も同様に伸びていくのか。
 わたしが今、想定しているのは、最悪のケースでは5週目までもたないのでは、というものだ。もし、5週目ぐらいでランクから消えることになると、20億も厳しい。15億は超えるかな、でも、17~18億程度というのが現実的になってしまう可能性がある。何故そう思うかと言うと、おそらく今年の(アニメを除く)邦画でTOP3には入るであろう作品、そして東宝が夏以降で最も期待しているであろう作品が、『バクマン。』公開4週目の10/24に公開されてしまうからだ。その作品は、三谷幸喜による『ギャラクシー街道』である。
 三谷作品は、現状の日本映画の中で、「オリジナル」で稼げる数少ない作品のうちの筆頭格だ。おそらくは、三谷作品に対する東宝の推しは強力なものになると想像する。前作『清州会議』は29.6億円の興収を稼いだ。しかし、その数字は全くもって立派だが、たぶん、その前の作品『ステキな金縛り』で42.8億もの興収をたたき出した以上、全然期待外れだったと思う。そんな背景もあるので、そのリベンジにおそらくは三谷監督も燃えているだろう。その東宝と三谷監督の恐らくは物凄い攻勢がかかれば、たぶんあっさり『バクマン。』は上映回数も減るし、スクリーン数も減ってしまう事だろうと思う。だとすれば、『バクマン。』は実質3週間しかフル稼働できまい。
 また、東宝的視点から見れば、来週からは『図書館戦争 The LAST MISSION』も始まってしまう。

 こちらはスカラ座系での公開になるので、東宝的な扱いは2番手扱いだが、当然こちらも、続編だけに絶対に取りこぼしのないよう、かなり気合が入ってくるだろう。既にTBS系では前作のTV放送やスペシャルドラマを投入し、さらに番宣にキャスト動員が激しくなりつつあって、宣伝の力も入ってきた。客層的には、『図書館戦争』と若干バッティングし(いや、あまりしないのかな……?)、東宝の箱的には『ギャラクシー街道』とバッティングする。また、客層の点で言えば、『バクマン。』が平日に動員を稼げるとはちょっと思いにくい。今、日本の映画興行の大枠を支えているのは、実際のところシニアだ。シニア層が観に行く平日に動くともあまり考えられないような気もする。実際、さきほどTOHOシネマズ主要館の、今日の夕方の予約状況を見てみたが、軒並み大型のスクリーンを用意しているにもかかわらず、かなりさびしい状況になっている。これらを考えると、『バクマン。』は最初の週末で3億~5億は欲しかったというのが実情で、担当者は結構、頭を抱えているんじゃなかろうか。

 以前も書いた通り、今、日本映画は、一時のTVドラマからの映画化が力を失いつつあり、代わってコミック原作実写映画(とアニメ)が興収ランクの上位にひしめいている。結局のところ、原作コミックファンをまずはコアとしながら、原作を読んでいない層にも届かないと、大きなヒットにはならない。そうするためには、まず第一に、最も忠誠心の高い原作ファンを満足させる必要がある。特に、ジャンプコミックスのように、既に数百万規模の母体がある場合はなおさらだろう。原作を読んでいない層は、ズバリその次でいいんじゃないかと思う。原作を読んでいない層を呼び込むには、やはり話題性のあるキャストや、その名で客を呼べる監督を起用することはある意味当然として、一番重要なのは、映画単体で面白いことであろう。原作ファンを納得させ、一見さんにも満足してもらう。これはかなり難易度が高いように思えるが、わたしは実のところ、原作通りでいいんだと思っている。なぜなら、既に原作自体が面白いからだ。だからこそ、ファンがいっぱい最初からいるのだし、映画化の企画が立つんだろうから。もちろん、今回の場合に顕著な通り、映画にするにはどうしても2時間程度の話にまとめないといけない。となれば、どのエピソードを掘り下げ、どのエピソードを削るか、そういう作業にならざるを得ないのではなかろうか。
 だとしたら、その時に必要なものは、原作への愛であろう。脚本家や監督が原作を愛していれば、それほど難しくないはずなのだが……まあ、言うは易しで、それが難しいんでしょうな。単なる一観客としては、きっちりプロの技を見せていただかないと、映画への信頼は消えてしまうが。

 というわけで、結論。
 興収を読むのは非常に難しい。いろいろな要素が複雑に絡み合う。だが、今回の『バクマン。』は、20億は厳しいのではなかろうか。ジャンプファンとしては大変心配だが、まったく杞憂に終わり、最終的にもっともっと売れることを願う。

※10/13追記:2週目の興収はこちら。かなりヤバそう……。

 ↓ 『バクマン。』はアニメにもなってます。なんと天下のNHK-Eテレでの長期放送。全75話。これを2時間でまとめるのは、そりゃ難しかっただろうな……。
バクマン。 1stシリーズ DVD-SET
阿部敦
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2015-09-18

バクマン。 2ndシリーズ DVD-SET
阿部敦
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2015-09-18

バクマン。 3rdシリーズ DVD-SET
阿部敦
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2015-09-18

 

 というわけで、今日は昨日から公開になった映画『バクマン。』を観てきた。おそらくは、漫画を読むことが好きな人ならば、タイトルぐらいは聞いたことがあるだろうと思う。天下の「週刊少年ジャンプ」に2008年から2012年にかけて連載された漫画で、わたしも単行本をすべて持っている。どうして今、実写映画化されたのか明確な理由は分からないが、映画化の発表があってから、公開を楽しみにしていた人も多いのではなかろうか。

 監督は、『モテキ』で名を成した大根仁。実のところ、わたしは『モテキ』を観ていないので、この監督の作品を見るのは初めてだ。演出に関する感想としては、とりわけ特筆すべき点はなかった。漫画製作時のプロジェクションマッピングを使用した、描いているそばから絵が浮かび上がってくる演出や、ペンを持ったキャラクターが殺陣さながらに縦横無尽に立ち回るシーンの演出などを見所のひとつとして挙げているレビューが多いようだが、わたしにはふーんの一言しかない。なんとなく、わたしには熱が伝わらず、なんだか軽く見えてしまった。たぶん、手書きの原稿の熱をCGで表現されてもな……とわたしは思ってしまったのだと思う。漫画の生原稿を見たことのある人なら誰もが息をのむ、あの圧倒的な迫力を感じさせてほしかった。
 そしてキャストである。まず、主役の二人だが、この物語は、二人の10代の少年が、それぞれ作画と原作を担当し、ひとつの漫画を仕上げるという作品で、作画担当のサイコー(真城最高:ましろ もりたか)というキャラクターを佐藤 健が演じ、ストーリー担当のシュージン(高木秋人:たかぎ あきと)というキャラクターを神木隆之介がそれぞれ演じている。この二人、キャストが発表になったときは、役が逆じゃね? ということでも話題になった。サイコーが神木くん、シュージンが佐藤くんのほうが合ってるのでは? という声がWebを中心に持ち上がった。わたしも実はその声には賛成していて、うーん、キャラクター的に逆だろ……と思っていた。が、今日、映画を観て、まったく考えを改めた。サイコーが佐藤くん、シュージンが神木くんでまったく問題なし、というか、むしろこれで正解だよ、と思った。元々のコミックでは、サイコーは比較的静かで職人的、逆にシュージンは良くしゃべるし茶髪だし、見た目だけでいえばちょっとチャラい感じ、であるので、それまでのイメージから逆じゃないかと思っていたが、今回の佐藤=サイコー、神木=シュージンはまったく違和感がない。二人とも非常に巧く演じており、素晴らしい。が、大変申し訳ないのだが、まったく高校生に見えない。佐藤くん26歳(電王の良太郎がもうそんな歳に!)、神木くん22歳なので、どうしても制服姿などはコスプレにしか見えないのが残念。これはもう、どうしようもなかろう。
 また、主人公のライバルとなる新妻エイジを染谷将太が演じている。雰囲気というか、ビジュアルイメージは非常に原作コミックに似せて来ており、その点では評価したいが、性格がやや違うように思う。原作では、ライバルながらも主人公たちとは友好的で、いい意味での切磋琢磨する間柄だが、映画では、そういう面よりも単にエキセントリックな、嫌な奴っぽさが目立ち、その点では残念。ストーリー上でも、その天才ぶりや主人公たちが闘志を燃やすような、孤高の強さのようなものは皆無。単に天才と言われているだけで、その凄さがまったく描かれていない。まあ、ストーリー上の問題点はあとでまとめて書くことにしよう。
 ほか、主人公たちの仲間の3人の漫画家も、ビジュアルイメージはコミックに忠実だし、性格付けもコミックに準じている。今回の映画ではこの3人組が非常に良かった。とりわけ、新井浩文が演じる、作中で「ラッコ11号」という漫画を描く平丸というキャラは非常に原作通りの雰囲気で良かった。

 以上が演出やキャストについてだが、肝心の物語はどうなのか。この作品は、ジャンプコミックスで全20巻。それなりの長さがある。それを果たしてどう2時間にまとめるか。今回のわたしの最大の興味はその点にあった。結論から言えば、この映画では作画担当のサイコーが病気で倒れ、せっかく巻頭カラーを描くチャンスをフイにしてしまいそうになるところを、一番の山場としている。原作での6巻かな。ただ、そこまでの道のりが全然原作と違う。どうしても仕方ないとは思うが、やっぱりかなり駆け足である。この駆け足展開の犠牲になっているのが、原作では結構いろいろな場面で重要な役割を果たす、見吉という女子キャラだ。彼女は原作では、シュージンの恋人で後に奥さんになる女子だが、彼女はこの映画には登場しない。また、原作では主人公二人のペンネームとなる「亜城木夢叶」も出てこない。こうした原作改変は、あまり物語には影響しないように脚本が書かれているので、わたしとしては十分容認できる範囲内だが、改めて原作をぱらぱら読んでみると、ヒロイン亜豆との関係性を考えると、見吉がいないことによってこの映画は物語的にかなりうすっぺならものになってしまったように思う。
 というのも、どうしてもうーーん、と思ってしまったのは、サイコーの恋人、亜豆美保の描かれ方だ。特に、サイコーが倒れたときの亜豆の言動がまったく違う。原作では、倒れても漫画を描こうとするサイコーを止めに来たはずだし、そこでのやり取りで、サイコーと亜豆の関係はもっと深まる、ちょっと意味のあるシーンだったはずだ。なにしろ、夢を叶えるまでは会わないとまで約束していたのに、その約束を破ってまでも止めに来たのだ。とても重要なエピソードなのだが、映画では違う。演じた小松菜奈という女優は、ビジュアル的に非常に可愛いし原作の亜豆とも似ているのだが、サイコーとの恋模様があまり描かれていないので、キャラクター的に極めて軽く、浮いている。そもそもサイコーがどうして亜豆が好きなのかという理由も描かれていないし、亜豆がどうしてサイコーが好きなのかという理由も描かれていない。この点は、わたしが思うに『バクマン。』という元のコミックでは非常に重要な要素のはずなのだが、ここがばっさりカットされている。結果的に、見吉も不要になってしまったと見られる。恋愛を描くには見吉は決して外せないキャラクターだが、そこがまるまる省略されているのだ。そのためにどうにも薄っぺらな印象が拭いきれないと思った。また、恋愛要素以外にも、主人公コンビと編集者との関係、編集者同士の関係など、編集部視点のエピソードがばっさり省かれている。その点も、物語を薄っぺらにしている要因だ。原作ではそこも極めて重要なんだけどな……。

 結局、映画は、ジャンプという日本最強のコミック誌への連載を勝ち取る若者二人の物語、というやや味気ないものになってしまっていると思う。なんというか、「ジャンプ」のPVのようなものになってしまった。しかも、主人公二人もある意味での天才なので、ジャンプのモットーである友情・努力・勝利のうち、努力の部分がやや軽い。時間経過がわかりにくいのも、あっさり感を増してしまっている。着ている服の季節感も、メリハリが薄い。原作ではもっと努力のシーンが多いし、時間経過もかなりあるのだが……。原作を読んでいない人に、果たしてこの映画は物語の面白さを伝えることができたのか、かなり怪しいような気がする。

 というわけで、結論。
 正直イマイチ。演出や芝居に文句はあまりないが、やはり脚本だろうと思う。
 この映画は、原作を知らない人が観て、面白いのかどうか、さっぱり分からない。むしろ知らないほうが楽しめるのかな……この映画、最初の週末でどれくらいの興収を得られるのか楽しみだ。わたしの想像では……2億チョイ、3億は行かないのでは、と思う。わたしが見た回は、まったくガラガラだったことを考えると、下手すると1億台もありえるかも。いや、さすがにそれはないか。最終15億は厳しいかなという気がするが、果たして『モテキ』の22.2億を超えられるか。月曜日の興行通信社の発表を待ちたい。

 ↓ 原作はとても面白いです。コンテンツ業界人なら必読かと。「会社と作家が対立したとき、作家の側に付くのが編集者だ!」は名言。


 というわけで、最新ラノベを読んでみようというわたしの試みの2作目として選んだのは、この作品である。

 著者は、既に『デート・ア・ライブ』という作品でアニメ化を経験し、それなりに売れた作品を世に出した実績のある橘 公司先生、またイラストレーターも、ご存知『とある魔術の禁書目録』で大ヒットを記録した実力派のはいむらきよたか先生ときた。こうした、著者、イラストレーター共に実績のあるコンビの新作なので、まあ、大丈夫だろうな、という期待をこめて読み始めた。
 正直に言うと、本作はシリーズ化が前提の第1作なので、描かれていないことが多く、よく分からない部分が非常に多いが、そういう前提を受け入れるならば、昨日読んだ作品のような、編集の怠慢といえるような瑕疵は特に見当たらず、きっちりまとまっているとも言えると思う。
 構成も起承転結まとまっているが、若干バランスはほんの少し悪いかもしれない。プロローグのあと、第1章が起、第2章から第3章までが承、第4章が転、第5章と最終章が結、といったところだろうか。シリーズのはじめだけに、いろいろな紹介にページ数を割いているので、ちょっとだけ承が長いが、まあ、特に問題はないと思う。ただ、タイトルはまったく意味不明だ。メインタイトル「いつか世界を救うために」何なのか、よく分からない。救うために観察するってことか? 読み終わっても今ひとつピンと来ない。サブタイトルの「クオリディア・コード」に至っては、この1巻では一度も登場しない単語だ。まあ、このタイトルという部分では、まったくナシ、だと思う。著者のあとがきによれば、この作品は複数作家とのシェアードワールドものらしいが、この作品を買った読者にはまったく、何の関係もない。わたしも読み終わって、あとがきを読んで初めて知ったことだ。意味不明のタイトルは、やはり避けるべきだと思う。

 なお、物語は、謎の、宇宙侵略生物とも異世界生物ともよくわからない侵略勢力に対する戦争があって、開戦から20数年経過し、戦争もひと段落している世界が舞台となっている。そして戦争中は冷凍催眠させられていた当時の子供たちが、今は冷凍催眠から目覚めていて、世を動かす大きな存在になっていると、で、まだ、たまにやってくる謎勢力を撃退する必要があり、軍事的な教育・訓練を目的とした学園都市があって、実力ナンバーワンの女の子が首長的な役割も果たしている、と。そして主人公は複数の学園都市を統括する政府組織の人間で、とある学園都市ナンバーワンの女の子を暗殺する指令を受けて派遣されてくるが、果たしてその女の子をなぜ暗殺しなきゃいけないのか、そこを見極めるために、「観察」をする、が、いくら観察しても暗殺されるいわれがなく、主人公も悩む、というのが1巻の物語だ。そして全体のトーンはコメディタッチで軽く、主人公だけが真面目に任務を果たそうとするギャップがまたおかしい、という王道展開である。主人公の「観察」も、まじめを通り越してもはや単なるストーカーのように展開される中、ラブコメ要素も投入され、まあ、イマドキの読者にも満足なんでしょうな、という作品に仕上がっていた。
 
 しかし、である。この作品を楽しむには、やはりなんというか、ラノベのお約束をきちんと弁えておく必要があり、ズバリ言ってしまえば、普通の人が読んで面白いものではまったくない。とにかく、「ライトノベル」の名の通り、軽い、のだ。まったく後に何も残らない。まったく考えさせるものもない。その場限りの、ほんの2時間半ほどの物語体験で終わってしまうものだ。まあ、それがライトノベルというものだとして、了解すべきかもしれないが、これでは……本当にこのジャンルは衰退してしまうのではないかという危惧が心をよぎる。それでいいのだろうか? これでは、どんどんと新しいエンタテインメントが発明される現代において、常に先頭を走るエンタメにはなりえないのではないか。どうも、読者への媚びが過ぎるように思うのは、おそらくわたしが想定読者から外れたおっさんだからだろう。確かに、読者の期待に応える要素は必須ではある。が、もう少し、おっ!? という驚きや読後のすっきり感がないと、確実に読者は飽きる。そしてこのジャンルは衰退する。それは非常にマズイ事態だ。最近の作品は、どうにもお約束が前面に出すぎており、一見さんお断りな作品が多い。慣れていないと物語に入れないというか、楽しむための前提を――ある意味無意識に――理解しておく必要がある作品が多いように思う。今回の『いつか世界を救うために』も、この1冊単体では、ズバリ言ってまったく面白くない。ちょっと引いて考えれば、謎だらけ穴だらけ、である。だからこそ、次の2巻をわくわくして待つのが正しいラノベファンのあり方かもしれないが、その「待ってくれている」ファンを当てにするのも非常に危ういと言わざるを得まい。そんな待ってくれている保証は何もないし、時間というものは、我々おっさんや、おっさんになりつつある著者と、読者たる10代の人間とでは、明らかにその流れる速さが違う。我々にとって1年は、ついこの前、あっという間のものだが、10代にとっては1ヶ月や3ヶ月ぐらいでも長く感じるものだし、1年前なんてものは、「昔」と表現されるぐらい長いものだ。その感覚の違いを承知しておかないと、確実に作品は忘れられる。そこは非常にシビアだ。
 
 わたしは、いわゆるラノベなるものの記念碑的作品として、『ブギーポップは笑わない』という作品が果たした役割は大きいと思っている。『ブギー』は、普通の人が呼んでも十分に面白い。そこには、お約束はなく、純粋に面白い小説として成立しており、この作品から、ライトノベルは大きく市場を拡大したと思っている。おそらく、『ブギー』クラスの、ジャンル全体の流れを変える傑作が今後生まれないと、ライトノベルというジャンルはもう、もたないだろうと思う。もしそんな大傑作が生まれるとしたら、それはたぶん、突然現れるのではないかと思っている。だから、どうかそれを発掘する編集者は、その登場を見逃すことなく目を光らせておいて欲しいものだ。

 というわけで、結論。
 この作品も、ハズレだ。『デート・ア・ライブ』からまったく進化していない。あとがきによれば、2巻といわば上下巻の関係にあるようだが、そんなことは知ったことじゃない。2巻を買って読もうという気にはなれない。

 ↓ 『ブギーポップは笑わない』。この作品は、もう既に発売から17年。今もなおライトノベル史上最高傑作と言っていいのではないかと思う。
 
ブギーポップは笑わない (電撃文庫 (0231))
上遠野 浩平
メディアワークス
1999-06

 現在、わたしが主に使用している電子書籍販売サイト「BOOK☆WALKER」にて、大きなフェアをやっており、ライトノベルが50%引きとなっていたので、最近の作品で面白いのがあるのかどうか、ちょっといくつか買って読んでみることにした。まあ、フェアを開催している理由はとんでもなくアホくさいというか、ユーザーには全く興味のない、関係のないことだが、ユーザーとしては、安売り大歓迎であるので、とりあえず、MF文庫J、スニーカー文庫、富士見ファンタジア文庫からそれぞれ1冊買ってみようと思い、さっそくBOOK☆WALKERにて作品を漁ってみたのだが、条件としては、なるべく新しく、当然1巻であり、表紙イラストやタイトルからちょっと気になるもの、そしてあらすじとカラー口絵のチェックはしない、というテキトーな基準で選んでみたところ、まず最初に、MF文庫Jからは、『Digital Eden Attracts Humanity 最凶の覚醒』という作品を買ってみた。2月刊なので、ちょっと古いかとも思ったが、7月に2巻が出たようで、まあ、それじゃ1巻読んでみるか、という気になった。
Digital Eden Attracts Humanity 最凶の覚醒 (MF文庫J)
櫂末 高彰
KADOKAWA/メディアファクトリー
2015-02-24

 決め手は、なんだこのタイトル? という素朴な疑問である。英語部分はまったく意味不明であり、おまけに「最凶」だの「覚醒」だのときたもんだ。 こりゃあ、相当な中二臭がぷんぷんしますぞ……というわけで、さっそく読み始めた。読み終わるのにかかった時間は、およそ2時間15分ほど。物語全体と、あとは編集的な部分で、いくつか気になったことがあったので、いつもの通り自分用備忘録としてあげつらっておく。

 まずは、普通ならどうでもいいと思われる、編集的視点からの「なんだこりゃ?」から。
 いくつかの本文イラスト(本文中に挿入されるモノクロイラスト)が、わたしとしては少しだけ気になった。まず一番最初の、狼男を描いたイラスト。直前の描写は「だらしなく着崩しているものの、長袖のシャツにジーンズという出で立ち」とあるが、イラストでは上半身だけではあるが、着崩したじゃすまないほどボロボロ。おまけに、この狼男は巻頭のカラー口絵にも描かれているが、着ているのはどう見てもTシャツ。なんだこれ。
 もうひとつ、イラストで気になったのは2枚目のモノクロイラストで描かれている佐嶋という女子キャラ。彼女は、本文中の描写だとスパッツの上に短パンを着用しているらしいが、イラストはどう見てもキュロットっぽい。それから、重要なアイテム、万年筆型の携帯端末、とやらを胸ポケットに装着していることが描写されているがそれらしきものは全くイラストにない。ちなみに、彼女もやはりカラー口絵に描かれていて、その万年筆型携帯端末らしきものを手にしている絵なのだが、それをしまう(装着する)ポケットは見当たらない。そして戦闘ジャケットの下に着ているのは学校の制服(のスカート)。なんだこれ。
 イラストというか、容姿や服装の点でいうと、もう2つ、なんだこれがある。一人、白衣&パンブラのみというセクシーお姉さまが出てくるのだが、本文中には、なんでそんなカッコをしているのか、まったく理由は書かれていない。しかし、そういう非常識な格好には理由が絶対に必要だと思う。わたしなら、どんな屁理屈だろうが絶対に理由を本文中に書かせると思う。でないとホントに意味不明。なんだこれ。
 もう一つは、「尻尾」について。これは、とある状態で尻尾が生えるキャラクターが何人かいるのだが、それがどういう状況なのか、全くイメージできない。パンツに穴が開いてるのか? わたしなら、何らかの文章描写が必要だと指摘するだろうと思う。どうなってんだろう? わからん。なんだこれ。
 次に、言葉遣いというか文体と言うか、全くどーでもいいことがいくつか。
 これは、わたしもかつて九州出身の作家の原稿で指摘したことがあるのだが、「カッターシャツ」という言葉は、たぶん東京の人間には通じない。特に、想定読者である10代の子どもたちには、想像はつくかもしれないが、普段使うことは100%ないと断言できる。当時わたしも調べてみたのだが、どうも「カッターシャツ」という単語は、愛知県以西では普通らしいが、静岡県以東では使わない言葉らしい。さっき調べたところによると、著者は広島出身なので、当たり前に使う言葉だろうけど、わたしが編集なら絶対指摘する。ま、物語上はどうでもいいことだが。
 そしてもう一つこの作家の癖? なのかわからないが、この作品はプロローグとエピローグを合わせて12章から成っているが、そのうち10の章が「セリフ始まり」、である。この「セリフ始まり」は、非常に陳腐と言うか、初級というか、カッコ悪いというか、とにかくわたしは嫌いで、やめてくれと思っている。素人くさい。この作家は、既に他のレーベルでは十分以上の実績を持っているようなので、もう少し、工夫と言うか技巧を凝らしてほしいものだと思った。まあ、これもどうでもいいことだが。
 あと、最後にもうひとつ。タイトルについて。正直なところ、最初に書いたとおり、英語部分はまったく意味不明。しかも別にカッコイイ響きでもない。そして、読み終わった今でも、タイトルの意味が非常にうっすらとしか分からない。これは、想像するに作家の意向でこういうタイトルになったのではないかと思うが、もし編集がつけたタイトルなら、まあ0点だと思う。代案としてこういうタイトルでどう? というアイディアもなくはないが、わたしのセンスもたいしたことがないので、人のことを批判する資格もズバリ言えばゼロなのだが、ま、実際このタイトルはない。なんだこれ。

 と、最初にどうでもいいチェックをしてしまったが、これは、作家の責任ではなく、100%編集者の責任に当たる部分であると思う。こういうチェックこそが編集の仕事だと思うのだが、こういう点が残っている原稿で許されるのは、新人の応募原稿だけだ。本として出版する際は、プロである編集がこのような「なんだこれ」をきっちり修正させないといけない。これらは、ごく軽度の修正で済む部分なのに、それすらなされていないのは非常に残念だ。

 一方、物語はどうかというと、わたしが一番評価したい点は、物語の起承転結がしっかりとしていて、骨組みがきちんとしている点だ。構成は、こんな感じになっている。
 プロローグ:物語のカギである「デジタルウィルス」なるものの紹介。ただしこれは別に本編中でも出来たはず。ここで紹介されてる「悪魔」なるキャラ――どうやら2巻で出てくるらしい――を出したかっただけなのではないかと思う。
 001~003まで:「起」にあたる。主人公の紹介と事件の始まり。正義側(?)組織の登場
 004~006まで:「承」にあたる。物語を進める天才少女(主人公の幼馴染)登場。「起」で出会った組織とのやり取り、連続する事件への関与開始、主人公も変身へ。
 007~008まで:「転」にあたる。連続事件の犯人推定完了、妹の謎判明
 009~010まで:「結」にあたる。事件の決着、主人公の「覚醒」。
 エピローグ:正直なところ、このエピローグもイマイチ的がズレているというか、一番書いておきたいことが中途半端だと感じた。「覚醒」した主人公を待ち受けるこの後の展開を予感させる終わり方になっていないといけないのに、そのヒキが非常に弱い。これだけなら、結に含ませていい内容にしかなっておらず、エピローグとして独立している意味がない。どうせなら、冒頭の「悪魔」をここでも登場させてもいいと思った。

 というわけで、構成はしっかり組まれているのがこの作品の美点であるが、物語そのものは、なんだか『テラフォーマーズ』や、ある意味『魔法科高校の劣等性』も若干混じっており、目新しさはほとんど感じられない。この作品の独自性は、「デジタルウィルス」なるものの存在だが、もう少し、インチキ理論でもいいので、設定を固める必要があるように思う。アイディアは非常にいいと思うが、設定が甘すぎる。発明者である主人公の父がいて、その父に「仕組まれた」体を持つ主人公、という図式は、そういえばわたしの嫌いな『進撃の巨人』も少し混じっているような気もする。
 また、設定という点では、肝心のデジタルウィルスである「オラクル」と、そのワクチンである「ネメシス」の違いをもっと明確にして欲しいと思った。そのウィルス感染者・ワクチン接種者の違いも、たまに混同しやすい。ここは一番重要な鍵なので、もう少し、明示的に分かりやすくする必要がある。そもそも、ワクチンは、主人公は天才少女謹製のアイテムで「接種する(=見て聞く)」シーンがあってわかりやすいが、他の正義組織の隊員の接種方法がよく分からない。ウィルス感染者の変身も、なんだか任意に出来るのか、それとも常態として変態してしまうのかも良く分からない。たぶん、この著者は『テラフォーマーズ』が大好きなのだろう。しかしどうせ参考にするなら、ここは仮面ライダー方式のほうがよかったのではないか。すなわち、「ベルト」という明確なアイテムと、「変身!」という明確なプロセスが必要だ。そこがあいまいなので、ウィルス感染とワクチン接種が混合してしまっている。これじゃあ、ダメだ。
 あと、これは主人公の動機という点で、最も重要だと思うが、主人公と妹の関係性をもっと描写すべきだと思った。非常に薄い。もっとページ数を費やしていいから、妹への思いを丁寧に描かないと、最終的な決断を下す行程が軽く読めてしまう。今のままでは、単に妹がかわいくてHしたいだけに読める。これはネタばれだが結構冒頭で分かることなので思い切って書いてしまうが、主人公と妹は、血縁関係がない。が、主人公にとってそのことは、やった、じゃあ妹とは恋人同士になれるじゃん! と喜んでいるように読める。それで、いいのか?? 妹で思い出したが、冒頭では妹は「パジャマ」を着て寝ているという描写があり、その後、「寝間着」と表現が変わる。これって、別にどうでもいいことだが、校閲のレベルも低いと言わざるを得ない。もっとプロの仕事をして欲しい。

 こうしてみると、これらを改善して作品の完成度を高めるのも、やっぱり編集の仕事だと思う。はっきり言って、非常にレベルが低い。腹立たしささえ感じる。また、この作品に、どうでもいいお色気サービスシーンは不要だ。あからさまに狙って入れているのは、著者の好みなのか、編集の指示なのか判断できないが、必然性のないものを入れて、売れると思っているようなら、このジャンルは本当に衰退するだけだ。編集に本当に面白いものを作ろうという気概を感じることが出来ない作品は、一時的な売上げは確保できても、確実に、一瞬で消えてなくなってしまう。これではダメだと思う。『テラフォーマーズ』を面白いと思ったら、まずは、ちくしょー!と悔しがってくれ。そしてそれを超えるものを作ってくれ。

 というわけで、結論。
 編集がもっと仕事をして欲しい。せっかく、種としては大きな花に咲きそうな要素は十分にあるのに、編集がきちんと栄養と水を与えていないという印象しか残らなかった。

 ↓ はっきり言うが、2巻を読む気にはまったくならない。
Digital Eden Attracts Humanity 2 (MF文庫J)
櫂末 高彰
KADOKAWA/メディアファクトリー
2015-07-24

 というわけで、『チャイルド44』の続編である『グラーグ57』を読み終わった。
グラーグ57〈上〉 (新潮文庫)
トム・ロブ スミス
新潮社
2009-08-28

グラーグ57〈下〉 (新潮文庫)
トム・ロブ スミス
新潮社
2009-08-28

 途中で出てきて初めて知ったのだが、「グラーグ」とは、ロシア語の「強制労働収容所」のことだそうだ。正確には、グラヴィノーエ・なんちゃら・ラーゲリの略らしいが、いずれにしても、この作品でちょっとした舞台になる「グラーグ57」とは、太平洋岸にある第57強制労働収容所のことである。
 ちょっとした舞台、という言い回しをわたしが使った理由は、全体の1/5もないぐらいの分量しか、そこが舞台とならないからだ(そこへ行くまでの行程を含めるともっとあるけど)。しかも、はっきり言って本筋とはほんの少しズレていて、別にそこでの行動が最大のカギ、というわけでもないので、なぜこのタイトルにしたのか、正直良くわからない。と、思って、原題を調べてみたら、この作品の本当のタイトルは『The Secret Speech』というのだそうだ。もちろん、フルシチョフの「秘密報告」のことだろう。それならわかる。非常に内容にマッチしたタイトルだと思う。日本語タイトルは、おそらくは前作に引っ掛けて、なんか数字をタイトルに付けたいなーと、担当編集がひねり出したんだろう。センスゼロと言わざるを得ない。

 のっけからケチをつけてしまったが、はっきり言って期待したほど面白くはなかった。
 すでに9/25付けのエントリで触れたように、この物語は、憎しみの連鎖をどう断ち切るか、主人公レオは過去の自分の行いにどう落とし前を付けるのか、という物語だと思ってずっと読んでいたのだが、その辺は実に、なんというか美しい形では決着したものの、ズバリ言ってしまえばレオ本人の行動の結果ではなく、まあ強いて言えば愛は尊い的な決着であった。なので、えっ!?  っと思うシーンが多くて、わたしとしてはかなり興ざめ感が強かった。
 少し詳細を見ていこう。
 
 冒頭は、1949年、レオがまだ新米の国家保安省捜査官のころの話だ。 とある男を逮捕し、妻ともどもグラーグ送りにさせた事件が語られる。で、現在時制は1956年である。前作の事件が1953年であり、それから3年が経過しており、レオは国家保安省時代の自らの行いを非常に悔いている。何人もの罪のない人々を、「命令されたから」逮捕し、死刑に至らしめたり、あるいはグラーグ送りにしてきたからだ。その無知で無批判だった自分を償うために、今は前回の事件解決の褒美として秘密裏に設立してもらった殺人課で犯罪捜査を行っている。そんな折、フルシチョフにより「秘密報告」が世に出た。いわばスターリン時代の全否定である。あれは間違っていた、と最高権力者が認めてしまった。その結果、レオは冒頭に描かれた7年前の事件の復讐の対象になってしまう……

 というのが、前回もほぼ同じことを書いたけど、今回の物語である。
 しかし、残念ながら、レオは最終的に落とし前を付けたとは到底思えない。物語上、かなり、んん?? と思ってしまうような展開が多すぎた印象である。以下、わたしが、この展開はないなと思ったポイントを、自分用備忘録としていくつか挙げておこうと思う。
 ■レオについて
 ちょっと超人すぎるように思う。壮絶な拷問を何度も受けるが、何とか持ちこたえるし、拷問で体はボロボロなのに結構がんばって戦うし、なんだかそういう展開を読まされると、あの拷問ってたいしたことなかったのか? と思えてしまう。今回、レオは、本当に、本当にひどい目に遭う。よく生き残れたなこの人。基本的に、計画がずさんで、いつも出たとこ勝負になってしまっているのもいただけない。その結果、レオを超人のように描写せざるを得ないわけで、レオ個人の頑張り以外で、事態を克服する力が働いてもいいのではと思う。
 ■ネステロフについて。
 正直、プロット上で一番選択してはいけない展開を著者は選んでしまっているのではないか。今後の展開でも、きっと著者は後悔するだろうし、あまりにもネステロフの最期の描写はあっさりしすぎているし寂しすぎる。レオを理解してくれている唯一の親友をこんな無駄な使い方をするとは、まったくもって信じがたい。ネステロフ不在の結果とは言えないかもしれないが、後半の物語はほとんどが偶然や、敵役の不可解な行動(動機が理解できない行動)でレオは助かる展開になっており、「もう一枚のカード」がないレオの行動は、なんだか物語の厚みを減じているのではないかと思う。007だって、MやQや助けてくれる女性とか、そういうバックアップがあってこそ戦えるのに、今後の物語で孤立無援にしてしまったのは、どうにもいただけないと思った。
 ■ラーザリについて
 グラーグに君臨するリーダーとしての描写は非常にいい。が、やはりレオとともにグラーグを逃走しようとする動機が甘く、せっかくのグラーグでの登場時のキャラクターとぶれているように感じた。狂い切れていないというか、中途半端で嘘くさく感じる。これは、フラエラと違って、レオ個人に対する恨みと、ソビエトという国家に対する恨みが描き分けられておらず、未消化だからではなかろうか。あっさりレオと行動を共にしようとするのが、妻たるフラエラへの愛? だけで説明されても、今ひとつ説得力に欠ける。
 ■フラエラについて
 フラエラではっきりしているのは、レオへの憎しみよりもソビエトという国家への憎しみの方が大きいということだ。そして最終的に、レオへの復讐も、国家への復讐もきっちりやり遂げたと言っていいのだろう。そういう意味では非常に芯が通っている。ただ、なんというか、ビジュアルイメージがどうしても浮かばず、どんな人物像なのか、もう少し随所で身体特徴の描写が欲しいような気はした。『Terminator2』でのサラ・コナー的な感じなのかな? もっと荒んでいる感じかなぁ……。
 ■ゾーヤ&マリッシュ
 まあ若いお二人が愛を育むってのは悪くない。が、ゾーヤの性格のゆがみは最終的にもっとわかりやすく矯正されてもよかったと思う。マリッシュが非常にいいキャラクターであるのだから、もう少し、ゾーヤの心を明確に溶かす方向にしてほしかった。それまでのゾーヤなら、マリッシュの死すらもレオのせいにしたっておかしくないのに、なんだか、最終エピローグでいい子になりそうな余韻を出しているのは、物語としては非常に心地よく美しいものの、ちょっとだけ違和感がある。
 ■ライーサ
 正直、この女性は前作から良くわからん。母としての行動は、非常に分かるし、良く描けているが、妻としての行動は、今作でも良くわからない。結局、レオを愛しているのかどうかさえ、なんだか不明瞭でシーンによってちぐはぐと言うかバラバラな印象。まあ、それが人間ってものなのだろうから、それでいいのかな……。そして、改めて考えるとやたらと身体能力が高く、意外とライーサも超人なのが何気に変と言うか、正体不明感を煽っているような気もする。

 というわけで、結論。
 『グラーグ57』は、わたしとしては冒頭に書いた通り、期待していたほどは面白くなかった。ただ、世界史の勉強にはなったので、読んで損はなかったと思う。しかし……「捜査官レオシリーズ」3部作の、最終作をすぐ読み出そうという気には、ちょっとなれないので、別の作品を読み始めようと思う。


 ↓  なんだか、レーニン~スターリン~フルシチョフ~ブレジネフ~アンドロポフ~チェルネンコ~ゴルバチョフの流れは、一回勉強しておいた方がいいかもしれないな……。人類史上における壮絶な実験と失敗の顛末として。





↑このページのトップヘ