もうかなり記事も多くなってしまったので、目次を作った。なお、一番上に固定するために、日付を2025年と適当にした。記事は以下のような分類なので、興味のあるカテゴリーがあればどうぞ。
00_メモ
  └002_PCガジェット類
  └003_旅
  └004_チャリ
  └005_TV番組
  └006_街と店
  └009_どーでもいいこと
01_書籍
02_映画
  └021_洋画
  └022_邦画
  └031_宝塚歌劇
  └032_劇団四季
  └033_東宝帝劇系ミュージカル
  └034_ブロードウェイ
  └035_ストレートプレイ
  └041_絵画アート系
  └042_博物歴史科学系 
 基本的に、オレの、オレによる、オレのための備忘録なので、他人が読んで面白いのか全く不明です。アクセスログによると、今や7割方がスマホからのアクセスですが、PCブラウザでの閲覧を想定してますので、毎回くっそ長い駄文です。書く時にわたしが思ったことを書き連ねているだけなんで。サーセン。 

 やれやれ。あっという間に2021年が始まってしまいましたなあ。。。
 さて。現在東京都は、緊急事態宣言が発出された状態だが、昨日、わたしは既に購入していたチケットがあったので、日比谷の東京宝塚劇場へ赴くことにした。今年一発目の観劇でありますが、一応自分的言い訳としては、完全防備体制及び滞在時間を最小限にする、という方針で出かけたのだが、やはり宝塚を愛する淑女たちの意識も高く、劇場内は静かで整然としていたような気がします。
 で。現在、東京宝塚劇場で公演中なのは宙組であります。そして演目は、ホントなら去年上演されていたはずの『アナスタシア』であります。
anastasia
 この作品は、もう説明の必要はないでしょう。元々はDisneyアニメーション(※追記:サーセン、間違えました。元々はFOX制作アニメでした。今のFOXはDisneyに買収されたのでDisney+で配信されてるけど、当時はFOXでした)で、それの舞台ミュージカル化作品なわけで、ブロードウェイで上演され、さらに去年は男性キャストも普通にいる通常版が日本で上演され……たのだが、残念なことにその通常版も途中で(?)中止になってしまい、かなり上演回数は減ってしまったのでありました。
 その宝塚版が、去年の暮れの宝塚大劇場での上演を経て、いよいよ東京へやってきたわけです……が、我々宝塚ファンにとって、ちょっと謎の、そしてちょっとタダゴトではない事件が起きたのである。それは、現在の宙組TOP娘役の星風まどかさんが、この公演終了をもって「宙組から専科へ異動になる」という、ズカファンを騒然とさせた発表であります。
 確かに、「ほかの組へ異動する」ことは、いわゆる「組替え」としてある意味普通なことではあるのだが(もちろんその内容によってファンは一喜一憂してしまうけど)、TOPの地位にいる方が組替えするのは、前例のあることとはいえ、かなり、相当、いやすっごく、稀なことなのである。
 今回のまどかちゃんに起きた異例の人事通知は、現在多くのヅカファンのハートをそわそわさせている事件で、花組でTOP娘役になるための布石なんじゃないかとか、いやいや月組かもよ、とか、まあいろんな憶測が飛び交っているのである。
 わたしとしては、まどかちゃんが最終的にどうなるか、はあまり気にしていないというか、どうなっても受け入れるけれど、それよりも、ずっと宙組で育ち、2018年に晴れて宙組TOP娘役に就任して頑張ってきたまどかちゃんが、こんなに急に異動になってしまうこと自体に、なんか淋しい想いがするし、きっとご本人の胸中もアレだろうなあ、とか余計なお世話な想像をしてしまうのである。まあ、退団するわけではないので、まだまだこれからも応援できるのだが、とにかく、そういった背景もあって、今回わたしとしては宙組最後のまどかちゃん渾身の『アナスタシア』を楽しみにしていたのであります。

 で。『アナスタシア』であります。本作は、いわゆるブロードウェイ・ミュージカルの日本語版という側面もあるので、とにかく歌が多く、歌率の高い作品でありました。その一部は上記に貼りつけた動画でお楽しみいただけるので、ぜひご覧いただきたいと思うのだが、お話としては、そのタイトル通り、いわゆる「アナスタシア伝説」をDisneyらしくアレンジした、プリンセス・ストーリーになっている。
 アナスタシア伝説ってなんぞ? って人はいないすよね? 軽く説明すると、1917年に勃発したロシア2月革命によって、時のロシア帝国皇帝ニコライ2世はその一族全員とともにぶっ殺されたのだが(処刑されたのは翌年1918年7月)、その娘であるアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァは実は生きていて……てな噂のことであります。まあ、そこからいろんな創作が行われてるし、実際に20世紀初頭はいろいろな騒動があったらしいけれど、どうやらソヴィエト崩壊後の科学調査でも、遺骨らしきものは見つかってるけど、絶対にアナスタシアの遺骨だと断定はできてない……みたいすね。
 で、少し余計な話をすると、ロシアの2月革命ってのは結構興味深い事件で、第1次世界大戦の真っただ中だったわけだけど、宝塚的に言うと、朝夏まなとさんの退団公演だった2017年の宙組公演『神々の土地』もまさしくその時のロシアのお話だし、そもそも1918年って、「スペイン風邪」が蔓延した年なんすけど、日本で言うといつぐらいか分かりますか? そう、大正7年のことで、それすなわち『はいからさんが通る』の冒頭と同じ時なのです。なので、というのも変だけど、いわゆる「亡命ロシア人」ってのは世界中にいて(例えばUSに渡った人もいっぱいいる)、一応「隣国」である日本にも結構入ってきた事実がありまして、その一例がまさしく『はいからさん』で言うところのミハイロフ侯爵なわけです。ついでに言えば、その20年後(1938年)のパリを描いた『凱旋門』でも、雪組TOPスター望海風斗さまが演じたキャラは亡命ロシア人だったし、もう一つついでに、ロシア革命の10年前のロシア(ウクライナだっけ?)の片田舎が舞台だったのが、『屋根の上のバイオリン』ですな。わたしはこういうつながりを想像するのが面白いと思うのですが、今回の物語は革命後10年を経た(=1928年ごろ?)レニングラードと、パリ、が舞台でありました。レニングラードは、もちろん革命前の帝都サンクト・ペテルブルグであり、ソヴィエト崩壊後の現在も名前が元に戻った、エルミタージュ美術館のある都市ですな。あ、そういやパリと言えば、この公演の前に上演されていた月組公演『ピガール狂騒曲』は1900年のパリが舞台でしたな。本作より約30年前、ってことになるすね。
 というわけで、どうでもいい前置きが長くなり過ぎたけど、わたし的な見どころは、もう当然、タイトルロールであり、物語の主役であるアナスタシアを、まどかちゃんがどう演じるか、にあったわけです。もちろん宝塚版なので、主役はTOPスター真風さんと見るのが正しいかもしれないけど、観終わってやっぱり思うのは、この物語の主人公は明らかにまどかちゃん演じるアナスタシアだったな、というものでありました。見事ですよ。本当にブラボーでしたなあ! わたしは、まどかちゃんに関してはTOP娘になる以前をあまり意識してなかったし、TOP娘に就任したときも、若干ロリ系のかわい子ちゃんキャラかな、とか思っていたけれど、もうその座について3年が経過し、いまや本当に素晴らしい技量を備えた、堂々たるTOP娘役に成長したと思えたっすね。歌も演技も抜群でありました。
 それでは、各主要キャラごとにメモしていくとします。と言っても、本作はいわゆる「大作」だけど、物語に関わる役が少ないんすよね……6人だけ、かな?
 ◆アーニャ=アナスタシア大公女:演じたのは散々書いている通り、宙組TOP娘役である星風まどかさん。お見事の一言っす。Disneyアニメ版とはかなりお話が違っていて、ラスプーチンは出てこないので、マジカルなファンタジー色は一切なく、アーニャのキャラクターも、もっと現実的であったと思う。そしてまどかちゃんの「芯の強さ」が光ってましたねえ! とっても良かったです。世の噂では、まどかちゃんは花組に移って『エリザベート』を演じるのでは、とか、まことしやかにささやかれてますが、本作を観て、ああ、たしかに、今のまどかちゃんなら確実に素晴らしいエリザベートを演じられるだろう、とわたしも思ったす。今年は宝塚エリザベート上演25周年だそうで、これはマジであるかもしれないすね……。
 ◆ディミトリ:若干その出自はよくわからなかったけど(いや、ちゃんと説明はあったけど詳細は忘れました)、革命から10年経た現在は詐欺師として街ではおなじみの青年。アーニャと出会い、おおっと、コイツをアナスタシア大公女に仕立て上げて連れて行けば、莫大な報奨金もらえるかもだぜ!?とひらめき、アーニャとともにパリを目指すことに。しかし、アーニャの真面目でまっすぐなハートに触れるうちに、改心して報奨金の受け取りを拒むイカした男に。なんか、わたしとしては、すごく強いて言うと『ZOOTOPIA』の狐のニック的なカッコ良さを感じたっすね。そして演じたのはもちろん宙組TOPスター真風涼帆さま(以下:ゆりか)。ゆりかちゃんは星組の下級生時代からずっと見ておりますが、超歌ウマではないにしても、TOPとして立派におなりで、ホント毎回、歌上手くなったなあ、と完全にお父さん目線で見ております。今回は歌が多く、大変だったでしょうなあ。なんか、このディミトリという役は、月組の珠城りょうさんでも観てみたい気がしたっすね。優しい感じが、たまさまっぽいというか似会いそうに思ったす。
 ◆グレブ:軍人家系(?)に生まれたボルシェヴィキ将校の青年。父はニコライ2世一家を処刑した官吏だったらしい。アーニャの正体を見極め、本物のアナスタシア大公女ならば、父のやり残した仕事としてオレが撃つ!という決意を秘めている。わたしのうすらぼんやりした記憶だと、アニメ版にはいないキャラ……かな?? でも、結末としては、とても優しい男でありましたね。すごく救われた感じがして、非常にグッと来たっす。そんなグレブを演じたのは宙組2番手スター、キキちゃんこと芹香斗亜さんであります。実際のところ出番はやや少なかった……けど、キキちゃんの歌や芝居はイイすねえ! キキちゃんも大変お見事でありました。
 ◆マリア皇太后:革命で処刑されたニコライ2世の母。わたしは全然知らなかったけれど、Wikiによるとラスプーチンとニコライ2世の妻(皇后)の接近を危険視して、さんざん忠告したり、クーデター計画なんかも練ってたみたいですね。最終的にはニコライ2世に追放され(?)、キエフへ赴き、革命が起こってから、キエフからクリミア経由でロンドンへ(ロンドンには姉がイギリス王太后として住んでいた)行き、甥のデンマーク王がいたコペンハーゲン(もともとマリア皇太后の生まれはデンマーク)に移り住んで、その地で亡くなったみたいなので、パリにいたことがあったのか、よくわからんす。第1次大戦中は赤十字活動にも熱心だったみたいで、活動的で精力的な方だったみたいですな。あ、マジかよ、2005年にはプーチン大統領とデンマーク女王との間で政府協定を結び、マリア皇太后の遺体は現在、サンクト・ペテルブルグに改葬されたんだそうな。へええ~。ま、これは歴史の話で、今回の物語ではパリに住んでたわけですが、とにかく、今回演じた宙組組長、寿つかささんが超素晴らしかったすね!! 普段は男役の組長ですが、マリア皇太后を超威厳あるお姿で演じ切っておられました。歌もとても良く、素晴らしかったの一言っす!
 ◆ヴラド:ディミトリの相棒で元下級貴族。パリに住むマリア皇太后の侍女、リリーの元カレ(?)。ディミトリのアナスタシア計画に協力する。演じたのは、公式3番手と言っていいのかな、宙組95期の桜木みなとくんでした。意外とソロ曲もあって、おいしい役でしたが……ヒゲが……つけヒゲ感満載で……なんか最後まで、若干違和感を感じたかも……うーーむ。。。
 ◆リリー:マリア皇太后の秘書のような役割で働く侍女。皇太后の前ではつつましい淑女だが、夜はパーッと飲みたいお方のようですw 演じたのは、わたしが宙組でいつも一番チェックする和希そらくん。そらくんもなんかここ数年、女性役が多いすね。ちょっと小柄で美人だから便利に使われちゃうのかな……でも本作はおいしい役が少ないので、リリー役にそらくんが起用されてわたしとしてはうれしいす。大変な美人でした。歌もちゃんと女声で良かったし、ちょっと驚いたことに、フィナーレのダンスでもずっと女装(※女性に女装というのは相当変だけどそうとしか言えない)で、目立ってたっすね。何度もこのblogで書いてますが、男のわたしから見ると、そらくんは女子としてとてもかわいいと思います。
 とまあ、以上の6人が、きっちり物語にかかわるキャラクターで、ヒドイ言い方をすればこの6人以外はその他大勢、でした。でも、その中でも、星組から宙組へ組替えしたばかりの紫藤りゅうくんはそこらじゅうでいろんな役で出て頑張っていたし、まどかちゃんの次に宙組TOP娘役就任が決まっている潤花ちゃんも、やっぱり抜群に目立つ美人ぶりで、いろいろな場面でチラッと出てきてもすぐわかるっすね。わたし、潤花ちゃんの美貌はよく知ってるんすけど、歌える方なのかよく知らないので、今後楽しみにしたいと存じます。
 
 とまあ、こんなところかな……もう書いておきたいことはないかな。。。
 さて、では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「お前は誰なんだ!」
 「わたしは、アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァよ!」
 今回はやっぱりこの、アーニャの堂々たるセリフが一番しびれたっすねえ! この問いかけ、お前は誰なんだ、といいうのは、おばあちゃんであるマリア皇太后と、ボルシェヴィキのグレブの二人から問いかけられるのだが、答えるときのアーニャの心情は若干ニュアンスが違うんだけど、どちらのシーンもまどかちゃん渾身の気持ちがこもってたっすね! 実にお見事でした!

 というわけで、結論。
 今年一発目の宝塚歌劇を、緊急事態宣言下の日比谷で観てきたわたしでありますが、たしかにブロードウェー・ミュージカルの大作だけあって、歌率が高く、ことごとくいい歌で、これは久しぶりにライブCDでも買おうかしら、と思える作品でありました。やっぱり、わたしとしてはどう考えても主役はそのタイトル通り、アーニャことアナスタシアだったと思います。お話的には、結構トントン拍子というか、ご都合主義的でもあるかもしれない。そしてエンディングも、実にピースフルで、非常にDisneyっぽいすね。だが、それがいい!のであります。ホント、今はイイことなんで全然ない暗い世相だし、わたし個人もホントにアレな毎日ですが、やっぱり宝塚歌劇は最高ですよ! とても楽しめた2時間半でありましたとさ。はっ! そういえば、2階で東京宝塚劇場の新装20周年記念の展示をやってたのに、全然見てくるの忘れた!! だって混んでたんだよ……! 次回、雪組が取れれば、ちゃんとチェックして来ます。以上。

↓ まあ、予習の必要はないっすね。ただ、ロシア革命の流れは知ってた方がいいかも、す。
アナスタシア (字幕版)
Christopher Lloyd
2013-11-26

 現状でわたしが最も美しいと思うハリウッド美女と言えば、Cate Blanchett様とGal Gadot様のお二人なわけだが、実のところお二人とも、メリケン人ではない。Cate様はオーストラリア人だし、Gal様はイスラエル人だ。まあ、そんな出自は全くどうでもいいんだけど、Gal様は軍務経験を持つ、実にワンダーな美女であります。さっき調べて初めて知ったけど、イスラエルって全国民に兵役義務があるってわけじゃないんすね。キリスト教徒などは義務じゃないそうな。そうだったんだ。へえ~。
 で、今般、Gal様の最大の当たり役として名高い(?)『WONDER WOMAN』の続編『WONDER WOMAN1984』が公開されるに至ったので、わたしもさっそく観てまいりました。とにかくあのコスチュームが超・似合っており、あのダイアナに再びスクリーンで再会できることは非常なる喜びで、わたしも初日の金曜日、会社帰りに観てきたわけですが……まあ、結論から言うと、面白かった部分もある、けど、なんか微妙というか……次回作はもうどうでもよくなっちゃったような気がしてならない。なんつうか……全体的にお優しすぎるというか、テキトーすぎるというか……うーん……キレがないっつうか……。。。まあ、ちょっといろいろ思ったことを書いてみるとします。
 というわけで、以下、重大な?ネタバレも書くかもしれないし、ネガティブ感想になる気配なので、まずは劇場へ観に行ってからにしてください。まだ見てない方、あるいは、この映画を最高だぜ! と思った方はこの辺で退場してください。その興奮を台無しにするのは本意ではありませんので。さようなら。

 はい。じゃあよろしいでしょうか。
 本作、『1984』の予告を初めて見た時、わたしが、ええっと、これって……? と謎に思ったことが二つある。恐らく誰しもが疑問を抱いたことだろう。
 【1.スティーブ・トレバー復活の謎】
 そもそも、前作『WONDER WOMAN』は1918年の第1次世界大戦終結あたりの時代を描いたものだ。で、主人公のWONDER WOMANことダイアナ・プリンスは、それまで謎バリアで覆われていた島ですくすく育っていたけれど、ある日撃墜された軍用機がその島近くに墜落し、搭乗していたパイロット、スティーブを救い、世界に広がる邪悪な意思をとめるために島を出奔し、第1次世界大戦を終わらせる働きをする、という物語だ。そしてその戦いと旅の道中で、完璧にスティーブと恋に落ちていたダイアナは、スティーブを亡くしたことで完全に心閉ざし、21世紀の現代まで老いることなく暮らしている、てな設定があったわけです。
 な・の・に! スティーブが生きてるってどういうことよ!? と誰しも思うはずだろう。答えから言うと、今回の謎アイテムの力によって一時的に生き返っただけなのだが、この復活したスティーブとダイアナのイチャつきぶりや、その後のつらい別れは、大変エモーショナルであったので、わたしとしては十分アリ、面白かった、と言っても良いと思う。そう、この点は非常にイイのです。でもなあ……。。。
 【2.なんで1984年?】
 例えば、Marvel Cinematic Universにおける『CAPTAIN MARVEL』は舞台が1995年だったわけだけど、その年代設定にはきっちり理由があって、1995年でないとダメ、である意味があった。が……まあ、ズバリ言えば本作は「1984年」を舞台にする意味はほぼなかったと思う。アレかな、冷戦構造が舞台装置として絶対必要だったのかな? いやいや、現代でも全く問題ないと思うんだけどね……。ひょっとしてアレかな、ダイアナが現代では人類に失望している、という設定上、現代より前にしなきゃいけなかったのかな? でも、1984年である必要性はゼロだっただろうな……いっそキューバ危機の60年代にした方がより一層分かりやすかったのでは? あ、まさか!? George Orwell氏の名作『1984年』にからめてるのかな?? でも監視社会とか、そんなフリは特になかったよな……ラストのトンデモ「電波ジャック装置」がそれなのか?? そういうこと? わからないけど、これは結局、単に監督が80年代を舞台にしたい、と「思いついただけ」なんじゃなかろうか。その思い付きが効果的だったかどうかは、極めて疑問だね。まあ、なんつうか、この点がすっきりしないのも、なんかキレがなかったす。
 で。以下、続けて気になった点などを箇条書きにしてあげつらってみたい。
 【3.謎魔法石のテキトーさにしょんぼり】
 本作は、ダイアナの勤務するスミソニアン博物館(※スミソニアンは複数の博物館からなる複合体の総称です。航空宇宙博物館も含まれる)に、ある日謎の魔法石が持ち込まれるところから始まる。それは盗品で、FBIが鑑定依頼してきたものなのだが、ちょうどその日入所したばかりの鉱石学者、バーバラが見ても、よくわからない。しかし世界の言語に通じているダイアナが見ると、その基部には、ラテン語で「一つだけ望みをかなえる」方法が記してあることが判明する。望みをかなえるって? 何それ、そんなのあるわけないじゃん……と誰もが思ったものの、ついうっかりダイアナは、愛しのスティーブを生き返らせて、と願ってしまう。結果、まあ、それでスティーブは復活すると。そして、見栄えも悪くて性格も超内向的なバーバラも、ついうっかり、ダイアナみたいな女性になりたい、と願ってしまい、ワンダーな力を得てしまう。さらに、ずっとその魔法石を追っていた悪い奴が、バーバラを口説いてまんまと石を手にすると。そして悪いことをしでかす、が、当然ダイアナはそれを阻止しようとするが……てな展開だ。
 この魔法石のポイントは二つあって、一つは、「願いをかなえる代わりに、大切な何かを一つ失う」ことであり、もう一つは、「願いを取り消すことが可能」な点だ。でも、この重要なポイントがテキトーなんすよね……残念ながら。
 まず、「願いには代償が求められる」点に関しては、ダイアナはうっかりスティーブ復活を願ってしまったために、自らのワンダーなパワーを失ってしまうのだが、それはもう、非常にGOODな設定であったと思う。後に、スティーブを取るか、ワンダーな力を取り戻すことを選ぶか、という強制的な二択に陥るダイアナは素晴らしかった! けど、なんで「望み」は即叶い、「代償」はジワジワとだんだん失っていくのだろうか? なんか、ご都合よすぎて萎えたっすね……。即、スーパーパワーが失われてしまった方がよかったのではなかろうか……。さらに言うと、バーバラが失ったものは、人間性のようなものだったのかな? なんか正直分かりにくかった(バーバラはスーパーパワーを得てからも、ちゃんとダイアナの手伝いを頑張ってた)し、悪党も、ありゃ健康を失いつつあったのかな、要するに、変化の落差がはっきりしておらず、実にキレが悪かったと感じられたっすね。。。
 そして「願いは取り消せる」というポイントも、「やっぱり取り消すわ!」と怒鳴るだけで即時発効するのも、なんかあっさりしすぎてガッカリしたっす。ついでに言うと、魔法石の由来についても実に浅くて、なんか……物語的には石の背景に関してはほぼ語られなかったすね。なんとか邪神の作った石、みたいなごくテキトーな説明だけで、ガッカリす。その邪神って何者で何のために作って悪党はどうしてその存在を知ってたんだよ、とか、いろいろ疑問は沸くのだが……。
 【4.DC-EUには何の影響もなし、なのか??】
 昨今では、DCコミックスのいわゆる「EXTENDED UNIVERS」は崩壊してしまっているのかもしれないが、どうやら本作は、DC-EUには何のかかわりもなさそうなのが実に残念であり、ガッカリしたポイントだ。何でも、来年Warner配下のHBOの配信で『JUSTICE LEAGUE』のスナイダーカットが公開されるらしいし、『JUSTICE LEAGUE』に出演したキャストや本作の監督らは、劇場公開された『JUSTICE LEAGUE』に関して完全否定するような意見を表明しているが、わたしはそのことが実に不愉快だし無責任だと思っている。アレはナシ、となかったことにしたいなら、観た観客全員に返金してからにしてほしいし、キャストもギャラを返してから批判してほしいものだ。ナシにできるわけないじゃない。観ちゃったんだから。
 何が言いたいかというと、わたしにとっては、ワンダーウーマンというキャラは、21世紀まで人類に失望して表舞台に出てこないキャラであってほしいのです! そうじゃないと、地球が崩壊寸前までいったMan of Steel事件の時にダイアナが介入してこなかった理由がなくなる! ついでに第1次大戦には介入したダイアナが第2次世界大戦に介入しなかった理由もなくなる! のです! でも、本作で描かれた事件は、1984年に起きた事件としては超・大事すぎるように思えて仕方ないのであります。
 だって、今回の事件は、もう完璧に人類史に残る相当な大事件だぜ? 詳しい年代は忘れたけど、DC-EUにおけるブルース・ウェインは1980年代生まれだったと思うので、本作の事件の際には生まれてたとしても幼児だったはずだけど、ブルース・ウェインが成長後に1984年の事件を調べないはずがないし、ブルース・ウェインが、今回の事件の背景にワンダーウーマンがいたことを突き止めないわけないと思うんだけど……。こういう点がホントにWarner=DC映画のダメなところなんだよな……。MARVELなら、絶対に何かキッチリと整合性をつけようとするのになあ。もう、いろいろテキトーすぎるよ!! と感じました。ただし、本作を観る人の9割がたはそんなことは全く気にしないと思うので、完全なるイチャモンであることは自覚しています。まあ、クソオタクとしては、どうしようもないす。
 というわけで、最後に各キャラと監督に関するメモを少し書いて終わりにします。
 ◆ダイアナ・プリンス=ワンダーウーマン:1918年に故郷を出奔し、愛する男との別れを経て、1984年までの66年間をどう過ごしていたのかは全く不明。そしてこのあと2016年のバットマンとスーパーマンの大げんかに割って入ってくるまで、32年間どうしていたのかも全く不明。今回、わたしが一番最高だぜ!と歓喜したのは、ついにダイアナが空を飛べるようになった!ことでしょうか。元々の原作コミックでも、ワンダーウーマンは飛行能力持ちなので、うれしかったすね。でもさ、それならどうしてDC-EUでは今まで飛べてなかったんだよ、と当然ツッコミたくなりますな。そして演じたGal様はもちろん最高なんすけど、なんか今回、パワーを失いつつある描写の時の表情がまるで別人のように美しくなく、一瞬、パワーを失うと美貌も失われるのか? とマジで思うぐらい可愛くなかったす。しかし、せっかくのあのウルトラカッコイイ「ゴールデンアーマー」も、実にテキトーだったすねえ! どこで発掘してきたんだよ。。。せめて、魔法石を封じる/対抗するためのキーアイテムとかであってほしかった! そしてそのアーマーをゲットするために、もう一度故郷に戻るとかいう展開だったらよかったのになあ。。。冒頭の故郷での幼少期のシーンも、ほぼ意味なかったすな。なお、ゴールデン・アーマーの本来の持ち主である「アステリア」というキャラにほんの少し言及されますが、なんとエンディング中盤のおまけシーンでLynda Carterさん(もちろん70年代のTVシリーズ版ワンダーウーマンのお方)が演じるお姿でチラッと登場します! これ必要だったのかなあ!? ま、メリケン人大歓喜なんでしょうな。
 ◆スティーブ・トレバー:ダイアナの永遠の恋人。うっかり願ったばかりに、現世に復活。でも、実は魂だけの復活で、全く見ず知らずの男に憑依したって設定も、テキトーでしたなあ……憑依された男の人生については何の言及もなく、ある意味、数日間人生を奪われたわけで、ひどい話だと思います。演じたのはもちろん前作同様Chris Pine氏。なんか、40歳になってイケメン度が下がってきたような……。
 ◆バーバラ:若干コミュ障の鉱物学者。真面目でやさしい。が、うっかりダイアナのような溌剌とした女になりたい! と願ってしまい、さらに手にしたパワーを失くない気持ちが勝り、ヴィラン化してしまうかわいそうな女子。そのままで十分魅力的だったのになあ。演じたのは、サタデー・ナイト・ライブ出身のコメディエンヌでお馴染みKristen Wiigさん。47歳だって? おおう、もっと若いかと思ってた。演技ぶりは大変結構だったと思います。
 ◆マックス・ロード:今回の悪い奴。魔法石の存在を最初から知ってて「俺自身を魔法石にしてくれ」という裏ワザ的な願いを叶える男。そのため、自分の願いはもう消費済みなので、周りの人間に自分の望みを願わせるというやり方で、世界を混乱に陥れる。どうでもいいけど移民で苦労人という設定。でもありゃ、まあ、単なる出資詐欺師ですな。そして結局、自分の子供ために、願いを取り消すという、お優しい結末に。全く感動しなかったね。演じたのは最近では「THE MANDALORIAN」でお馴染みPedoro Pascal氏。チリ出身で、1973年のクーデターでデンマークに両親亡命後、メリケン人になったそうですな。
 で、監督は前作同様Patty Jenkins女史なわけですが、世間的にこの方の評価が非常に高く、今後STAR WARSにも参加するそうですが……はっきり言ってわたしは全く好みじゃあないですな。監督としての手腕は、もちろんハイレベルではあると思うけれど、脚本はやらない方がいいんじゃないかしら。なにかと政治的メタファーめいた設定だったり、お優しいキャラ設定だったりは、全く好きではありません。それに、どう考えても本作の上映時間151分は長すぎるよ。120分で十分だったのではなかろうか。冒頭のシーン要らないし。冒頭のアマゾンレースは、ズルしちゃあかんぜ、ということを示すために意味があると、5万歩譲って認めるとしても、ショートカットしたことがルール違反とか言う前に、そもそも流鏑馬的な奴を一つ失敗してるんだから、その時点で失格じゃんか。怒るポイントがズレてんじゃね? つうか、そもそも1984年に時代設定した意味もほぼないしさ、エジプト(?)のあんな砂漠のど真ん中で、偶然ガキがチョロチョロ道に出てくるか?? ああいうとってつけたような描写は違和感しか感じなかったす。

 というわけで、結論。

 とても楽しみにしていた『WONDER WOMAN1984』をさっそく観に行ってきたのだが、面白かった部分ももちろんあるけれど、残念ながら判定としては微妙作、と結論付けたいと思う。なにしろ、いろいろテキトーすぎるのではなかろうか。時代設定の意味もほぼなかったし、最大のキーアイテムである「魔法石」のテキトーさが、なんだか見ていて釈然としなかったす。さらに言えば、アクションシーンは、そりゃもう迫力満点で素晴らしいけれど、これは演出なのか脚本なのか、両方なのか……とにかく、なんかキレが感じられなかったすね。あと、せっかくの素晴らしいワンダーウーマンというキャラクターも、例えば、自分だってさんざん悩んだのに、ヴィランに対しては「じゃあ仕方ない」とあっさりぶちのめす、みたいな行動は、どうも違和感があるというか……モヤモヤしたっすね。要するに、詰め込み過ぎたのではなかろうか。そういう微妙な点が多くて、結論としてはイマイチ判定せざるを得ないす。この監督の作品は、今後は積極的に観に行こうとは思わないかもしれないな。Gal様の美しさは満点なので、Gal様映画は今後も観に行くと思いますが。以上。

↓ Gal様の出演するコイツが早く観たい。。。公開延期が残念す。

 もう30年前なのか……と、ちょっと調べてみて驚いたのだが、30年前、わたしは大学生から大学院生になるころで、すでに完全なる映画オタで、さらに言うと、わたしはドイツ文学科で戯曲を研究してたのだが、当時、わたしの専門外の「フランス戯曲」やShakespeare作品、さらにはロシア文学についても日本語で読めるものは結構かたっぱしから読んでいた時代があった。
 フランス戯曲と言えば、モリエールとかの喜劇が一番有名(かな?根拠ナシ)かもしれないが、わたしが読んで一番「コイツは面白い!」と思った作品が『CYRANO DE BERGERAC』という作品である。
 実はこの作品を読んでみたのは、大学生になったばかりの頃に観たハリウッド映画『ROXANNE(邦題:愛しのロクサーヌ)』が超面白くてグッとくるお話で、その原作に『CYRANO』という戯曲があることを知ったためだ。
 とにかく、主人公がカッコイイ。強いて言えばラオウ様的な? 強くて優しく、どんな困難の前でも決して自分の信念を曲げない主人公の生きざまに、まだクソガキだったわたしはもう、ぞっこん心酔(?)したのであります。
 で。わたしは『CYRANO』という作品は80年代終わりごろには知っていたのだが、その『CYRANO』が完璧に映画化された作品が今度公開される、というのをフランス語が堪能な哲学科の友達に教えてもらい、うおお、まじかよ、そりゃ観ないと! という勢いで当時渋谷のBunkamura単独で公開された映画を観に行ったのでありました。それが1991年のことだったらしい。そしてその時の前売り券の半券がこちらです。
CYRANO
 一応説明しておくと、わたしは映画オタなので、余人には全く理解されないような、ごみ同然のモノでも何でも収集しておく癖がある。ので、いまだ手元に30年前の映画の前売券の半券が残っているのだが、ご覧の通り、なんと3枚も持っていた。さっき思い出したけど、確かにわたし、渋谷に3回観に行ったすね。1回目は一人で。2回目はその哲学科の友人と。そして3回目は当時わたしが一番好きだった女子と、それぞれ観に行って、1回目はうっかり泣いてしまったぐらい好きな作品だ。ちなみにサントラCDも持っているぐらい、音楽も最高で、いまだに車で聴いたりしているし、とにかくこの映画は、わたしの生涯ベストに確実に入る作品であろうと思う。わたし、この映画を観て、「くっそう、オレは何でドイツ語を選んだんだ……フランス語にすりゃあ良かった……!!」と思ったことも思い出しました。とにかくセリフが流麗で、原語で読んでないから原作通りなのかわからないけど、要するに韻文で、発声すると美しい歌、のようにセリフが華麗なんですよ。現代的に言えば、ラップ的な? もう完璧な映画化で、完全フランス語な作品なのに、Wikiによればその年のアカデミー賞に5部門ノミネートされて、受賞したのは衣装デザイン賞だけかな、とにかく美しい!作品なのであります。もちろんフランス本国でのセザール賞は10部門受賞と、その当時大変話題になったりもしていて、わたしも映画版を観た後に興奮して指導教授に熱く感想を語ったところ、日本でもさんざん上演されてる戯曲だし、ひょっとしたら、世界で最も上演回数の多い作品かもしれないよ、なんてことを教えてもらったりした、思い出の多い作品なのであります。
 はい。以上は前振りであります。
 その、わたしの大好きな作品『シラノ・ド・ベルジュラック』が、わたしの愛する宝塚歌劇で上演される日が来たのであります!! やっほう! コイツは絶対観ないと!! と鼻息荒く、チケットもすぐに師匠に譲ってもらって入手したのだが……実はそもそもは東京では6月に赤坂ACTシアターだったかな、で上演される予定だったのに、COVID-19感染拡大によって上演はすべて中止となってしまったのでありました。超しょんぼりしたっす。。。しかし、その後の状況の変化によって、東京での上演は行われないものの、梅田芸術劇場シアタードラマシティにて、たった14公演だけ、上演されることとなったのでありました。
 わたしとしては、大好きな『シラノ』を観ないわけにはゆかぬ!! と思い、宝塚友の会でのチケット申し込みを行い、奇跡の3列目! という良席チケットをゲットしたので、やったーー! わーい! とか喜んでいたものの、折しも感染拡大は続き、果たして、わたしは大阪へ行って良いのだろうか……と正直悩みました。が、結論としては、完全防備体制で昨日、のぞみをぶっ飛ばして行ってきた次第であります。まあ、新幹線はほぼガラガラだったし、一人なので誰ともしゃべらず、マスクを外すこともなく、事あるごとに持参の消毒スプレーで手を殺菌していたので、出来ることはすべてやった、と思いたいものです。※自分用メモ:8:30ぐらいののぞみで大阪へ。11時過ぎころ到着。梅芸へ直行、14時半過ぎぐらいに終わり、すぐ大阪駅から新大阪を経て15時07分ののぞみで東京へ、と、思い返すと昼飯も食わなかったし、マジで誰とも一言もしゃべらなかったような気がするな。。。
 ともあれ。わたしは梅芸メインホールに1回だけ行ったことがありますが、ドラマシティは初めてでした。
ドラマシティ
 なんか、劇場の大きさとしては、東京で言うと青年館ぐらいなんすかね? ステージの幅がやっぱり少し小さいかな、こじんまりした感じだったと思います。そして、こちらがプログラムであります。なお、こちらも土曜日に日比谷のキャトルで先に買ったので、梅田では買ってません。遠征の際は、どうしてもプログラムが邪魔になるので、そういう時は先にキャトルで買っておくものよ、とヅカ友の超美人の淑女に教えていただいていたので、きちんとその教えを守ったっす。そうだよ、おれ、昨日、まったく財布触ってないわ。新幹線での飲み物はSuicaで買ったしな。
シラノ
 さてと。本公演は、「星組公演」となっていますが、ご覧の通り、主人公のシラノを演じるのは、宝塚歌劇団が誇るレジェンド、専科の轟悠さんであります。常々、轟さんは「理事」と呼ばれておりましたが、その理事職も先日お辞めになり、現在は「特別顧問」という職についてらっしゃいますので、わたしも今後は「顧問」と呼ばせていただこうと存じます。
 で、その顧問演じるシラノですが、シラノはそもそも、鼻がデカくてブサメンであることがコンプレックスになってるわけで、重要なファクターなんすけど……もう、どこからどう見てもカッコイイ、超イケメンなんですけど、どうしたらいいんすかもう! やっぱり顧問はカッコいいすねえ! 立ち姿からして、超・キマッており、また今回は衣装も実に美麗で、非の打ちどころがなかったすね。顧問に関しては、結構厳しい意見をお持ちのヅカ淑女が多いですが、わたしはやっぱりすごい人だと思うし、カッコ良さは別格だと思います。確かに、歌のパワーは落ちているのかもしれない、けど、はっきり言って存在感は完全に別次元ですよ。現在の5人のTOPスターすら凌ぐと思うすね。そして、そんな顧問にはシラノという役は超ピッタリでした。
 ただですね、今回の上演は、お話的に正直かなりはしょられていて、若干駆け足展開だったのが残念です。普通の宝塚歌劇の大劇場作品は、2幕モノだと90分∔60分、あるいは80分∔70分、みたいに2時間半がデフォルトなんすけど、今回は75分∔50分=2時間5分とちょっと短めでした。ホントはもっともっと、カッコいいんすよ。なお、ラストの「心意気だ!」で終わるのは原作通りなので、元々の原作や映画を知らない人は、あそこで終わるのはちょっとびっくりしたかもしれないすね。そういう意味でも、本公演を観る淑女の皆さんは、きちんと原典を予習していただきたいと思ったす。
 では以下、そのほかのキャストについて短くまとめて終わろうと思います。
 ◆ロクサーヌ:シラノの従妹の超美人。実際、男のわたしからすると、なんだよ、結局イケメン好き、男は顔なのかよ、と非難したくなる女子だけれど、ラストに至る流れですべて許します。男はやっぱり中身で判断してほしいす、とブサメンのわたしとしては願いたいところであります。で、今回のロクサーヌを演じたのは、99期生の小桜ほのかちゃん。歌うまとしてもお馴染みですな。今回も勿論、素晴らしい歌声を聞かせてくれました。芝居もいいですねえ! わたし、なんか今回のほのかちゃんを見ていて、元雪組TOP娘役の咲妃みゆちゃんに似てるように感じました。まあ、ゆうみちゃんレベルにはまだチョイ鍛錬が必要かもしれないけれど、十分その力はあると思うので、今後ますますの活躍を願いたいし応援したいすね。
 ◆クリスチャン:超イケメン、だけど文才がなく、シラノにラブレターの代筆をお願いすることに。でも、ただの頭の悪いイケメンではなく、シラノとロクサーヌの気持ちにも気が付ける心を持つ。馬鹿ではない。演じたのは、ますます色気と実力が高まっている瀬央ゆりあ君。せおっちは研9ぐらいからホントにグイグイ成長してきていて、今回はとりわけ歌がとっても良かったすね。見た目の華やかさも増しているし、わたしとしては、素直に星組2番手にしてあげたい気持ちす。人気実力ともに全く問題ないと思うんだけどなあ。とにかくカッコ良かった。今回は3列目(1列目は販売してないので事実上2列目)の超いい席で、生声も聞こえたし、キラキラオーラも溢れまくってるのが最高でした。
 ◆ド・ギッシュ伯爵:一応、本作では悪い人。結婚してるのにロクサーヌの美貌にぞっこんで愛人にしようとしたり、ロクサーヌがクリスチャンが大好きと知るや、クリスチャンとシラノを戦場に送ったりして、基本嫌な奴(だけど後に改心する)。演じたのは、91期首席のみっきぃでお馴染みの天寿光希さん。みっきぃさんも美しいですなあ。嫌な奴のお芝居もお手の物すね。大変結構だったと存じます。
 ◆ラグノオ:パリの街のパン屋さん(つうかパティシエ)で、詩を愛する男で、貧乏な詩人たちに店のパンやケーキをふるまったりしている男。シラノとも仲良し。映画版などでは、ラグノオは太っちょなおっさんなんだけど、なんと今回ラグノオを演じたのは、星組の期待の若手スター、極美慎くんですよ! 恐ろしくカッコいいラグノオでビビったわ。極くんも非常にキラキラしておりましたね。
 あと一人、わたしとしては、物売り娘とかいろいろな役で舞台に登場してくれた華雪りらちゃんをメモしておきたいです。りらちゃんはホント可愛いので、すぐわかるっすね。セリフも何気に多かったし、大変目立っていてうれしく感じました。
 あと、そういや本作は、エンディング後にパレード的ショーがついていて、ほのかちゃんと顧問のデュエットダンスも美しかったし、せおっちやみっきぃさん、極くんや若手たち男役勢揃いの群舞もきらびやかでありました。つうか、マジでほのかちゃんの歌はきれいですなあ。そしてせおっちの歌唱力がものすごく向上してるのを感じたっすね。2番手の実力は間違いなくあると思うんだけどなあ。。。まあ、とにかく、星組推しとしては、次の『ロミオ&ジュリエット』が楽しみでしょうがないですな。わたし、当然、税込55,000円の「ロミジュリBOX」買ったすよ! わたしが生で観たのは2011年雪組版と2013年星組版の2回なんすけど、ずっと観たかった新人公演版「珠城りょうさま×ゆうみちゃん」「礼真琴さま×しろきみちゃん」の2つをとうとう見ることが出来て、超最高でした! 来年2月からの新生星組版で、せおっちや極くんの活躍を超超期待したいすね! 希望としては、せおっち=ティボルト、極くん=マーキューシオのVerが観たいですねえ! そしてこっちんとわたしが呼ぶ礼真琴さまのお披露目公演を結局生で観られなかったわたしとしては、羽を背負ったこっちんを観て泣こうと存じます。
 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。あ、一つ思い出した。シラノやクリスチャンが所属する軍の部隊なんすけど、若い衆が来ていたユニフォームのような青いカッコイイ衣装、ありゃ『ALL FOR ONE』の制服の流用だろうか?? デニムっぽい青に胸に黄色の十字架の服なんですが、実はシラノもダルタニアンも、二人とも「ガスコン(=ガスコーニュ地方出身の男)」であることを誇りに思っていて、共通してるわけで、時代もほぼ同じだし、制服が同じでも実は全く問題ないというか、あり得る話なので、わたしとしてはあの服が似てた(あるいは流用だった)のは、まったくアリ、だと思いました。

 さて、では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「(迫りくる「死」に向かって)すべてを持っていくがいい。だがな! たった一つだけ、お前には奪えないものがある。それをオレは、折り目もつけず、きれいなまま、持っていくんだ。それは……オレの……心意気だ!」
 今回は、ちょっと前後が分からないと意味不明だと思いますが、有名なシラノのラストのセリフです。わたしがぼんやり憶えてるものなので、完全ではないと思いますが、要するにシラノは、権力だったり、理不尽だったり、妥協だったり、いろんな「敵」に対して、常に「ノン!」と言って生きてきたわけで、どんなにみじめな最期であろうと、「自分のハート」は誰にも渡さないで死んでいくぜ、というセリフなわけです。ああ、くそう、うまく説明できねえなあ! とにかくカッコイイの!文句は言わせません!!

 というわけで、結論。

 わたしにとって、フランスの戯曲『CYRANO de BERGERAC』という作品は、数ある世界の戯曲の中でもTOP3に入るぐらい大好きな作品だが、その「シラノ」が、ついに! 我が愛する宝塚歌劇団において上演される日が来た!! わたしはその報に接し、非常なる喜びを抱き、絶対観に行きたい!! と思っていたのだが……6月に予定されていた東京公演は中止となり、深い悲しみを味わったものの……この度、ようやく大阪は梅田芸術劇場シアター・ドラマシティのみで上演されることとなった。この作品はわたしにとって極めて特別であり、いかなる困難があろうと観に行きたい作品であり、自分としては感染対策としてできることはすべてやる、という方針で観に行ってまいりました。感想としては、ええ、そりゃあもう、最高でしたとも! 轟顧問のシラノは抜群に良かったし、せおっちのクリスティアンも実にイケメンでありました。歌もすっごい良かったよ! ホントにせおっちは腕が上がりましたね! そして小桜ほのかちゃんの美声も最高でした。要するにですね、遠征してホント良かったです! 超満足! 以上。

↓ わたしはこの映画、たぶん30回ぐらい観てます。レーザーディスクも持ってたよ。今はNHK-BSで放送されたのを録画したのがわたしの宝物っす。
シラノ・ド・ベルジュラック ジェラール・ドパルデュー [Blu-ray]
リュディヴィーヌ・サニエ
IVC,Ltd.(VC)(D)
2014-10-24

↓そしてこちらはまだ買えるみたいすね。
シラノ・ド・ベルジュラック (岩波文庫)
エドモン・ロスタン
岩波書店
1951-07-05

↓そしてこちらも、とても笑えて泣ける超名作です。
愛しのロクサーヌ (字幕版)
マイケル・J・ポラード
2013-11-26

 はーーー……やっぱり最高すねえ!
 というわけで、日本国内において推定2万人ぐらいはいらっしゃると思われる『グレイマン』ファンの皆さん、お待たせいたしました!! 例年夏に発売される「暗殺者グレイマン」シリーズ最新作がやっと発売となりました! やったーーー! わーーーい!
暗殺者の悔恨 上 グレイマン (ハヤカワ文庫NV)
マーク グリーニー
早川書房
2020-11-19

暗殺者の悔恨 下 グレイマン (ハヤカワ文庫NV)
マーク グリーニー
早川書房
2020-11-19

 せっかく上下巻で一枚絵になってるから、ちょっと編集したのを置いとくか。
annsatusyanokaikon02
 OH、NO! 全然背景が一枚絵になってねえじゃん。どうなの早川書房様……。
 さて。今年は、早川書房様からGreany先生の別の作品『RED METAL』が4月に発売になっていた影響で、少し遅れての登場となったわけなんすけど、なんつうか、わたしが愛する早川書房様は、致命的な弱点が一つあって、宣伝告知プロモーション活動がド下手くそなんすよね……。公式Tweetもろくな情報流してないし、全くセンスがないんだよな……。なので、要するに、いつ新刊が出るのか? という、最も重要な情報を、積極的にパトロールしないとつかめないんだな。
 わたしは、「グレイマン」新刊が早く読みてーなー、とずっと思ってたし、早川書房の公式Webサイトもかなりな頻度でチェックしていたのに、なんと今回の新刊発売情報をキャッチしたのは、公式発売日の2日ぐらい前で、まあ、わたしが抜かってただけかもしれないけれど、うおっと、まじかよ!? と思って近くの本屋さんに行ったら、もう紙の本が棚に並んでた、という驚きの状況でありました。なので、すぐさま愛用している電子書籍サイトBOOK☆WALKERにて予約しようと思ったのに、まだ登録されておらず、おのれ! とギリギリ歯を食いしばること2日。公式発売日の早朝0400に買ってやりましたよ! 誇張でも何でもなく、目を覚ました60秒後には購入完了いたしました。
 ところで、一応、『RED METAL』のAmaリンクも以下に貼っておきます。
[まとめ買い] レッド・メタル作戦発動
H リプリー ローリングス四世

 こちらの作品はですねえ、要するに、Jack Ryanの登場しないRyanモノ、のようなお話で、物語的には、ロシアがアフリカのレアメタル鉱山(から生じる富)を支配下に置こうとして、周到に計画された作戦=「レッド・メタル作戦」を実行する話なのだが、中国と台湾を一触即発の状態にさせてUSAをそっちに陽動しつつ、ポーランド経由でヨーロッパに侵攻して大規模戦闘が繰り広げられたり、最終決戦地のアフリカ(ケニア)では、大掛かりな陸戦が行われたり、という感じで、わたしにはかなりトンデモ展開のように思えてしまったんすよね……。まあ、Ryanモノもすでにトンデモ展開ですが、Ryanモノのように、明確なヒーロー=主人公、の存在しない群像劇なので、それはそれで面白いんだけど……とにかく読み終わって非常に疲れた作品でありました。もちろん、感想をこのBlogに書こうと思ってたんすけど、とにかくキャラが多いし、舞台も世界中なのでまとまらなくて、放置していたのでありました……サーセン……。
 ともあれ、「グレイマン」新刊であります!
 今回、わたしは真っ先に<上巻>冒頭に掲載されている人物表を見て、ちょっとびっくりしました。というのも、ゾーヤもいないし、ザック・ハイタワーもマット・ハンリーもいないじゃあないですか! およよ? こ、これは一体?? と思いながら最初のページに入ると、舞台はボスニア・ヘルツェゴヴィナであります。登場する男は75歳のおじいちゃん。そしてそのおじいちゃんの胸に、470m先からピタリと照準を当てている男。即、その男がわれらがグレイマンこと、コート・ジェントリーであることはピンとくるわけですが、どうやらそのおじいちゃんは1995年の「スレプレニツァ虐殺事件」の首謀者だったらしい。そんなかつてクソ野郎だった男を殺そうとしている我らがグレイマン氏ですが、今回わたしが一番驚いたのは、物語そのものではなくてですね、なんと! 今回は! 「1人称現在形」での語りなのです!! なので、グレイマン氏の愚痴が満載なのです!w 
 この点は、はっきり言って最後まで読んでもなんか違和感があったんですが、その、随所にダダ洩れるグレイマン氏ことコート・ジェントリー氏の愚痴がおもろいんすよ。
 グレイマン氏は、ここで引き金を引けば殺るのは簡単だし脱出も容易だけど、それじゃあダメで、「おれがやつの心臓をとめる前に、やつが取り乱すように、じわじわと責める」必要があると考えている。それはなぜかというと、「安易なことはやるな。正しいことをやれ。道義的に正しいことを。」と、グレイマン氏の心の指針(コンパス)が示しているからであります。
 つまり、くそう、オレは馬鹿だ!! とか言いながら、ものすごく苦労しても、「正しいことを」をオレはやるんだ、とずっと言ってるわけで、まあ、それこそがこの「グレイマン」シリーズ最大の特徴であり魅力であるわけですな。人殺しのくせに。今回は、1人称で語られることによって、そういったグレイマン氏の心情がより一層、強調されていたように思います。
 で、物語としては、当然この冒頭のおじいちゃんは見事グレイマン氏に殺られるわけですが、おじいちゃんが潜伏していた農場には、「性的人身売買」の「商品」として監禁されていた女性たちが大勢いて、どうやっても一緒に連れていけないし、そもそも女性たちも、自分が脱走したら家族が殺されると言ってグレイマン氏についていかず、その場に残ることを選んでしまう。結果、グレイマン氏は一人で脱出するも、自分が襲撃したことで、女性たちはより一層ひどい扱いを受けることになってしまうことが確実なので、よーし、じゃあ、この組織をぶっ潰してやろう!! と移送された女性たちを追う、てな物語でありました。まあ、それが日本語タイトルにある「悔恨」なのではないかしら。
 なお、どうやらこのおじいちゃん殺しは、25年前の虐殺を許さないでいる誰か(?)、から依頼された「フリーランス」の仕事らしく、CIAとは無関係で、完全なる単独行動であるため、<上巻>にはお馴染みのメンバーは一切出て来ないわけです。
 また、グレイマン氏が追う組織なんすけど、、女性たちを捕獲・監禁・移動させるルートは「パイプライン」と呼ばれ、組織自体は「コンソーシアム」、そしてそのTOPにいる人物は「ディレクター」と呼ばれている。要するにもう、完全なるビジネス、というテイを取っているわけで、パイプラインが通っている街の警察や政府の高官を買収済みで、完全に黙認されて年間数億ドルの利益を上げているわけですが、おそらく想像するに、そういった女性を拉致して売買する市場ってのは、本当に、現実の世界に存在しているのだろうと思うすね。そして、極めて残念だし心からの怒りを感じるけれど、日本人女性も確実にそういったクズどもの毒牙にかかって被害に遭ってるだろうな、と思います。遺体が見つかっておらず、ヨーロッパあるいは東南アジアで失踪した女性はほぼ間違いなく、そういった犠牲者なのではなかろうか……。ホント許せないよ。なので、わたしとしてはコートの大活躍は読んでいていつも、スカッとするし、悪党どもの死にざまには心の底からざまあ、と思うわけですが、まあ、そんなわたしも平和ボケなんすかねえ……。とにかく、女性一人でヨーロッパや東南アジアには絶対行かない方がいいと思います。セクハラでサーセンなんですが、特に美人の一人旅は危険すぎますよ。
 というわけで、今回の登場人物紹介をしておきましょうか。
 ◆コートランド・ジェントリー:われらが「グレイマン」。もう紹介の必要ないですよね? 冷酷な暗殺者のくせに、超イイ奴という矛盾した男。それが魅力なんですが、こんな奴はいねえだろうなあ……。その意味では、本作も相当なトンデモストーリーですが、面白いからいいの! なお、今回のグレイマン氏は比較的大怪我せず、でした。いやいや、ラストバトルでは相当血を流したか。でも、それ以外は、比較的無傷だったすね。
 ところで、このBlogを読んでいる「グレイマン」ファンの皆さんならご存じだと思いますが、ついに映像化企画がNetflixで本当に始動したみたいすね。でもさあ! なんでコートを無口イケメンのRyan Gosling氏に演じさせるんだよ……!? 確かにね、わたしもRyan氏がコートを演じると聞いたときは、おお、確かに、恐ろしく平凡かつ存在感が薄い、というコートの特徴にはピッタリかもな、と思いましたよ? なので実はわたしも、超適任だと思ってますよ? でもさあ、やっぱりコートは、セクシー・ハゲでお馴染みのJason Statham兄貴に演じてほしかったなあ……! 本作でも、コートはハゲじゃない描写があったように思いますが、第1作からずっとStatham兄貴をイメージしていたわたしの夢が崩れ去って、極めて遺憾であります。。。でもまあ、監督はAnthony & Joe Russo兄弟ということで、数年前からGreany先生の公式サイトでRusso兄弟が映像化の企画開発中と発表されてたから、それが現実に向けて動き出したことだけでも喜ぶとします。Russo兄弟は、とにかく「近接戦闘」というより「近接格闘」というべきかな、素手・ナイフなどを使ったクロス・コンバットを撮らせたら世界一レベルの監督なので、迫力は満点でしょうな。Netflixってのがアレだけど、期待したいすね! あー、でも、Statham兄貴に演じてほしかったなあ……。
 ◆ザック・ハイタワー&CIAの人々:はい! もちろん我らがザックも<下巻>で登場します! にっちもさっちもいかなくなったグレイマン氏が、仕方ねえ、正義の味方を呼ぶか、とクソ・スーザン経由でマットに連絡を取るのですが、マットとしては、「ポイズン・アップル1号」として、グレイマン氏にやらせたい仕事があるのにまたフリーで仕事しやがって! と大激怒&連れ戻せ! と「ポイズン・アップル2号」こと暗号名「ロマンティック」のザックたちを派遣するわけです。この時、「ポイズン・アップル3号」の「アンセム」=愛しのゾーヤは前作で受けた傷の治療中(?)だそうで、今回は登場せずだったのが残念!
 で、ザックはいつも通り、「どんなに理不尽な命令でも」忠実に守る男なのに、今回はグレイマン氏がやっていることを聞き、さらに! 唯一の弱点のことも持ち出されて心情的にはグレイマン氏を支援する方向で、自分は動けないけれど、心強い仲間を紹介してくれたりと(そのメンバーがラストバトルで結構殉職しちゃったのは悲しい……!)、いつもよりちょっと優しかったすね。そしてとにかく、ザックは登場するシーンがいつもカッコ良く、今回も、「元気か? シックス。乗り物を探しているのか?」とか言いながらグレイマン氏と再会するシーンは最高でした! なお、今回は前作の冒頭に出てきたCIA専用機のCAを務める結構強い系女子、シャロンがチラッと登場しますが、どうやら前作でグレイマン氏に助けられたので、若干好意を持ってるようですね。でも、二人が話している時に、ザックが「おまえがスチュワーデスに惚れられるわけがないだろう?」とグレイマン氏をからかうのは最高だし、シャロンに「わたしはスチュワーデスなんかじゃないわよ! 馬鹿たれ!」と怒鳴りつけられるザックも最高だったすね。もうコートとザックの二人、超仲良しじゃん!w 
 で、CIA関係で最後に挙げるのは、トラヴァース君ですな。まだ若いけれど、前作でCIA地上チームのベテランメンバーが結構殉職してしまって、現在はトラヴァース君が隊長になったようです。もちろん、トラヴァース君もクソ・スーザンは大嫌いだし、グレイマン氏のことは友達だと思ってるので、指令には従いたくないんだけど今回も何気に頑張ってくれました。そして、ラストバトルが終わって、ようやくコートと話す機会を得たトラヴァース君の一言は最高だったすね。「こんなふうに会うのは、やめようぜ、きょうだい」。まったくだよw
 ◆タリッサ・コルプ&ソフィアのルーマニア人姉妹:今回単独行動のグレイマン氏を、主に頭脳面で支援してくれたタリッサ。ユーロポールで金の動きから犯罪行為を摘発するアナリストなので、戦闘力ゼロだし、そもそも現場にも出たことがないので、最初はもう、超おどおどしてたのに、どんどんグレイマン氏のヴァイオレンス手法に慣れた(?w)のか、ラスト近くでは超がんばる女性に成長したのがうれしいすねえ! 彼女の動機は、妹で超美人のソフィアを、人身売買組織に囮として近づけさせてしまった結果、美人過ぎで注目を与えてしまい、まんまと拉致され、商品として「パイプライン」に乗せられてしまったためなんですが、この姉妹は、姉は顔はアレだけど頭がいい、そして妹は超美人だけど頭が人並で、と、お互いにないものを持っていて、そのため、何となく関係がぎくしゃくしてたわけなんすけど、妹のソフィアとしては、頭が良くてデキる姉の仕事に役立って、認められたい! と健気に思っていて、勇気ある行動に出たわけだ。お互い、実際は愛し合ってる姉妹なのに、難しいですなあ。そしてソフィアは、女性にとって最悪の地獄に放り込まれてしまったにもかかわらず、一度作戦中のグレイマン氏に出会って、そこでもう救出されて助かるチャンスがあったのに、自ら情報収集のために現場に残ることを決め、グレイマン氏にも「この女は覚悟があるッ!」と認められたガッツあふれる美女で、実によろしいキャラでした。二人とも、ホントによく頑張りましたね! ラストの抱擁はホントにほっとしました。そういや、一番最初のボスニア・ヘルツェコビナで出会ったリリアナは無事に故郷に帰ることができたんすかねえ。タリッサ&ソフィアのように、元の生活に戻れたならいいんだけど。。。
 ◆ケネス・ケイジ:今回の悪党の親玉。ただし、見かけはフツーのメリケン人のおっさんで、小柄&小太り&ハゲであり、年齢も50代と、まあ、ぱっと見はさえない野郎なんですが……コンピューターと金融に関する天才的才能から、「コンソーシアム」を立ち上げ、巨億の富を得る。しかし、ビバリーヒルズのウルトラ大豪邸に妻と3人(だっけ?)の子供と幸せ暮らす、周りもうらやむスーパーリッチ野郎、というのは仮の姿で、とにかく邪悪かつドスケベで間抜けな変態。
 しかも実は、コイツのことはCIAもとっくに知っていて、ゲス野郎だけど見逃してやっていたという背景が明らかになる。それは、コイツは顧客たちのマネーロンダリング情報をCIAに流していて、ある意味既にコイツはCIAのアセットでもあったから見逃されていたんすけど、グレイマン氏からすれば、そんなの関係ないすわな。コイツの失敗は、もう一言、性欲旺盛過ぎたということに尽きると思う。コイツはLA郊外に広大な「農場」という名の女性を監禁した施設を持っていて、気に入った「商品」を「味わう(なんて嫌な言い方!!)」ことを楽しみにしてるわけですが、ソフィアの美貌&生意気な性格が気に入ってしまい、まあ、それで身を滅ぼしたわけで、実にざまあ、であります。ちゃんとボディーガードたちの言うこと聞いてれば、逃げ切れたかもしれないのに……心の底から愚かなゴミクズ野郎でした。ホント、わざわざバイアグラ飲んでまでヤリまくらなくったっていいじゃねえか……どうしようもないアホだな、と思ったす。
 なお、我らがグレイマン氏は、結局マットの顔を立てるためにも、コイツを処刑することは諦めるのですが、「おれは殺されたくないから、おまえを殺さない。でも、おまえに一生消えない傷をつけるくらいなら、連中(=CIA)はただ激怒するだけだ。それに、連中がおれに激怒するのは、毎度のことなんだ」とカッコいいセリフを言ってから、グレイマン氏がコイツに科した罰は、大変キッツイお仕置きでありました。最高ですね! そしてマットはグレイマン氏の予想通り大激怒しますw
 マット「おまえの首をへし折りたい」
 グレイマン氏「列に並んでくれ、ボス」
 要するに、「おれを殺したがってる奴らが順番待ちしてるんだから、アンタもその列に並んでくれ」って意味なんですが、このセリフももう何度目か、すね。なんだよコート、お前、マジでカッコイイじゃんか!! ゾーヤの前では純情ボーイのくせに!w 
 ◆ケネスのボディーガード軍団:まず、「パイプライン」全体の警備を担当する(?)のが南アフリカ人のヤコ・フェルドーン。元々軍人かつ情報機関員で凄腕のアサシン。彼は伝説の「グレイマン」が活動しているのを知り、是非戦ってみたい!と闘志を燃やす。そのためにはボスであるケネスをも囮にしようとするぐらいの超ストイックなバトルマニア。まあ、残念ながらグレイマン氏に勝てるわけないす。最後まで戦ったのはあっぱれですが、もう一人の、ケネス個人を守るボディガード、ショーン・ホールは、メリケン人で元SEALsの凄腕のくせに、アル中気味で、最終バトルであっさり降参しちゃったのは驚いたす。その辺はメリケン人っぽいテキトーさが出てましたね。まあ、純粋に金だけのために動いてたので、こんなの割に合わねえ!と思うのも無理はないすな。まあ、ゲス野郎ですよ、彼も。
 とまあ、メインキャラはこんな感じでしょうか。
 もう長いのでそろそろぶった切りで終わりにしたいんすけど、やっぱり、ゾーヤも出てきてほしかったですなあ! わたしはタリッサがピンチの時、颯爽と現れてタリッサを助けてくれるんじゃないかと期待したんすけど、そうはならなかったす。まあ、ゾーヤの活躍は次作に期待したいと存じます。

 というわけで、もう結論。

 1年数カ月ぶりに発売された日本語版「グレイマン」シリーズ最新作、『ONE MINUTE OUT(邦題:暗殺者の悔恨)』ですが、いつも通り大変楽しめました。2作ぶりに、CIAの仕事ではない、ジェントリーの「心のコンパス」が指し示す「善、のようなもの?」のために戦うフリーお仕事編でありました。相手は変態「性的人身売買」組織の親玉で、コートが許すわけがない相手であり、コートに狙われてタダで済むわけがないわけで、ラストのお仕置きはとても心すく思いがしました。もう、性犯罪者はみんな同じお仕置きを受ければいいのにな……。ともあれ、グレイマン氏、今回もお疲れ様でした! しかしまあ、今回もいろいろとギリギリで、読んでいる読者としては面白いんだけど、コートはいつ死んでもおかしくないですな。コートよ、せめてゾーヤとちゃんと幸せになってくれよな。年に1回、コートに会えるのが、わたしはホント楽しみであります。来年の夏、また会おうぜ、きょうだい! 以上。

↓ 次回作はもう10作目か。どうやら2021年2月にUS発売のようです。くそー!早よ読みたい!
Relentless (Gray Man)
Greaney, Mark
Sphere
2021-02-18





 はあ……読み終わったす……。
 なんだけど、実は読み終わったのはもう2週間ぐらい前で、なかなかこの感想を書くまでに時間がかかってしまいました。
 というのも。
 まあ、はっきり言いましょう。ちょっとですね……なんかイマイチだったすね、結論としては。何の話かって!? そんなのコイツのことに決まってるでしょうが!!
King_sleepingbeauty
 そうです。わたしがこの世で最も好きな小説家、Stephen King大先生の「日本語で読める」最新作『SLEEPING BEAUTIES』のことであります。
 上巻を読み終わったのは前回の記事の通り10/29のことで、今回の下巻を読み終わったのは11/3ぐらいだったかな、まあ、もはや結構前なのだが、なんつうか、後半、ちょっと厳しかったすね……。
 本作は、謎の「オーロラ病」なる現象が世界を包み込む、という、現代のCOVID-19を思わせるようなお話なんすけど、「オーロラ病」というのは、「眠れる森の美女」でお馴染みのDisneyプリンセス、オーロラ姫、から命名された謎の現象で、女性しか罹患せず、一度眠ってしまうと、体からなにやら糸状組織が分泌され、繭の様なものを形成してしまう、というものだ。しかも、その繭を破って、女性を助けようとすると、クワッ! と目覚めて、繭を破った人間(及びその時周りにいた人)をブチ殺そうとする凶悪な行動に出て、ひとしきり暴れた後は、また繭を形成して眠りに落ち、目が覚めない、というような、おそろしい病(?)だ。
 で、上巻では、ついに主要人物である主人公の妻であり、町の警察署長を務めていた女性が、ずっと眠らないよう頑張って来たのに、ついに!眠ってしまう、というところまでが描かれたわけです。詳しい人物関連図は、前回の記事を観てください。
 というわけで、上巻読了時には、これからどうなる!? 的なドキドキ感でわたしは大変ワクワクしていたわけだが、一方では、上巻の終わり時点ですでにこの「オーロラ病」現象が、完全にSupernaturalな存在によるもの(?)であることもはっきりしたので、若干、嫌な予感もしていたのは事実であります。
 Supernaturalとは、すなわち超常現象であり、科学の及ばない謎現象、なわけで、その原因となる謎の存在、「イーヴィ―」という女性の姿をした謎の存在(上巻時点で完璧に「人間ではない」ことが確定していた)は、いったい全体、何者なのか、何が目的なのか? が本作で一番のカギであったと思うのだが……まあ、結論から言うと、最後まで「まったくわからねえ!」というエンディングだったのは、正直かなりガッカリいたしました。
 この肝心な部分が分からないので、なんていうかな、「勝利条件」がよく分からず、その結果、主人公はいったいなぜ、イーヴィ―をかたくなに守ろうとするのかがピンと来ないんすよね……。
 物語は、下巻に入って、こんな感じの対立構造となるのだが……。。。
beauties02
 はっきり言って、なんで殺し合いにまで発展するのか、わたしには全く理解できなかったす。イーヴィ―を渡せ! それはできん! どうしてもか!? どうしてもだ! よろしい、ならば殺し合いだ! という展開は、ホントに読んでいて、アメリカって国は本当にどうしようもないというか、我々日本人では絶対こうはならんわな、と、わたしとしては相当冷ややかな目で物語を追うことになったす。殺し合う前に、もうちょっと普通に、クリント側もフランク側も、話し合う余地はあったと思うのだが……。完璧にお互いケンカ上等だもんね。メリケン人はみんなこうなんすか?
 おまけに、クリントが信じた勝利条件(?)である、「イーヴィ―を火曜日まで守り抜く」ことも、ほぼ意味がなかったし、眠ってしまった女たちが謎世界から元の世界の戻ることにしたくだりも、イーヴィ―はほぼ何のしてないし(女たちは、結局、男がどうとかそういうことでは全くなく、単純に元の世界に帰りたがった)、結局、何のために女たちは眠り、謎世界で生活することを強いられたのか、についても、ほぼゼロ回答だったと思う。
 もちろん、普通に読んで、イーヴィ―の目的は、「虐げられた女たち」に「虐げ続けた男たち」のいない世界を提供し、どっちがいいか選ばることだった、的に理解することはできるけれど、それって意味があるのかな? 「元の世界」がいいか「男のいない世界」がいいか、という強制的な二択は、どう考えたって、最初から答えが出てると思うんだけど。まあ、5万歩譲って、そりゃ聞いてみなきゃわからんぜ? 選択肢を与えてみる意味はあるんじゃね? と考えたしても、アメリカ北東部の小さな町の数百人(?)の人々に、ある意味人類の運命を背負わせる意味って、ある? 全くないよなあ、やっぱり。だいたい、メリケン人どもの判断に世界を託すなんて、まあ、ズバリ言えば、まっぴらごめんだね!
 また、結局男たちは殺し合い血を流し合い、女たちは話し合いで全会一致の結論を得た、とかそんな読み方もできるんだろうとは思う。けれど、「男たち」にひとからげにされるのも、やっぱり不愉快すね。メリケン人と一緒にしないでほしいし、とにかく、なんつうか……これは日本人が読んで面白いと思える物語ではないんだろうな、というのがわたしの結論です。なんなんだろう、本作はアレかな、息子のOwen氏との共著なわけで、Owen成分が混ざったのがわたしの気に入らなかったんだろうか? とにかく、なんか、いつものKing大先生作品とは、どこか味わいが違っていたように思えてならないす。
 で、最後に一つ、King大先生の他の作品との比較なんですが、わたし、最初は謎の病が蔓延する世界だし、Supernaturalな存在も出てくるということで、『THE STAND』に似てるのかな……と思いながら読んでいたのですが、まあ結論としては全く似てなかったし、一方で、閉鎖空間に閉じ込められた人たちの対立と狂気、という点では、『UNDER THE DOME』的な? と思いつつ読み進めた結果、やっぱり『UNDER THE DOME』とも全然似てなかったすね。わたしはもちろん、『UNDER THE DOME』の方が面白いと思います。なにしろ、悪党がものすごい悪党で、主人公なんてもう心身ともにボロッボロになって、からの、大逆転だったし、謎のドームに閉じ込められるという謎現象にも、ちゃんと回答があったもんね。まあ、結局「謎の宇宙人によるいたずら(ってことでいいのかアレは?)」という口あんぐりな結末だったけど笑。少なくとも、今回のイーヴィ―よりは納得性(?)はあったと思います。いや、ないか!? まあ、そこは個人のお好み次第ってことでお願いします。

 というわけで、もうさっさと結論。
 わたしがこの世で最も好きな小説家はStephen King大先生であるッ! というのは永遠に変わらないと思いますが、実はたまーに、コイツは微妙だぞ……という作品もありまして、今回の『SLEEPING BEAUTIES』という作品は、その「微妙作」であったとわたしの心に刻まれると存じます。うーん、やっぱりなあ、イーヴィーをどう理解するかでこの作品に対する評価は変わると思うっすね。わたしはダメでした。一体全体、何をしたかったわけ?? ぜんっぜん分からんかったす。そしてわたしが明確に理解したのは、アメリカ合衆国ってのはホントにアカン国ですな、という無責任かつテキトーな事実であります。銃社会ってさ……アンタらいつまで西部開拓時代のつもりだよ。21世紀の現代において、明確に否定していただきたいですなあ、マジで。ドラッグもいい加減にやめて、みんな真面目に生きなよ。話はそれからだ! 以上。
 
↓↓文春よ、速くこっちを日本語化しておくれ! 頼むよ!
The Outsider: A Novel
King, Stephen
Scribner
2018-05-22

The Institute (English Edition)
King, Stephen
Hodder & Stoughton
2019-09-10

 わたしがこの世で最も好きな小説家は、Stephen King大先生であるッッッ!
 と、いうことは、もう既にこのBlogにおいて30回ぐらい書いていると思いますが、来ましたよ! 新刊が!! 今回日本語化されて出版されたのは、なんと共著として息子のOwen氏の名前がクレジットされている『SLEEPING BEAUTIES』であります。とっくに電子書籍野郎に変身したわたしですが、いつも通り、KING作品に限ってはまず紙の本を買いました。もちろん、「本棚に並べて悦にいるため」だけの行為であり、電子版もそのうち買うつもりです。
King_sleepingbeauty
眠れる美女たち 上 (文春e-book)
オーウェン・キング
文藝春秋
2020-10-29

眠れる美女たち 下 (文春e-book)
オーウェン・キング
文藝春秋
2020-10-29

 Beauties、美女たち、と複数形なのがミソ、なんですが、まあそれはともかく。本作はWikiによれば2017年刊行だそうで、実はわたしとしては、今すぐ読みたいと思っていたのは、この作品の後にもうとっくに刊行されている2作品の方でありまして、2018年の『The Outsider』と、2019年の『The Institute』の方だったので、なあんだ、Beautiesか、とほんのちょっとだけがっかりしました。まあ、文春はちゃんと、1年後ぐらいには日本語訳を発売してくれるだろうから、待つしかないですな。。。。だってさあ、『The Outsider』はなんとあのホリー(ホッジス三部作のあのホリー!)が主人公の話なんだぜ!? もう今すぐ読みたいに決まってるよね。おまけに『The Institute』はバリバリSci-Fiらしいじゃないですか。もう超楽しみにしてたんすよ……。。。
 まあ、そんなに読みたきゃ英語の原本を読めってことすよね……わたしの元部下の英語ペラペラガールのA嬢は、もうとっくに両作を英語で読んでいて、感想として超ヤバイ! とおっしゃっていました。はあ、くそう、早く読みたいのう……。
 とまあ、そんなこともともかくとして、だ。『SLEEPING BEAUTIES』であります。
 本作のあらすじは、もう帯にもおもいっきり書いてあるけれど、ある日、女性だけが罹患する謎の「眠り病」(=Disneyの眠り姫でお馴染みオーロラ姫にちなんで「オーロラ病」と呼ばれる)が蔓延した世界を描くものだ。その「オーロラ病」にかかり、一度眠ってしまうと、体内から何やら未知のたんぱく質で構成された糸状組織が発生し、「繭」のように全身が包まれて、眠り続けてしまう。そしてその「繭」を破って起こそうとすると、全く別人格のような凶暴な性格となって繭を破った人間(および周囲にいる人間)に襲い掛かり、しばらくすると再び繭を形成して眠りにつく、という恐ろしい奇病だ。
 こんな物語なので、わたしはKing大先生の長男Joe Hill先生(※姉がいるので第二子。本作の共著者Owen氏の5歳年上の兄貴)が書いた『THE FIREMAN』に似てるな、という予断を持って読み始めたのだが……まあ、似て非なるものすね。つうか全く別物すね。そして、ズバリ言うと、完璧にSupernaturalな存在が登場し、むしろ『THE STAND』に似た趣(?)でありました。
 で。どうしようかな、まだ上巻を読み終わった段階で何かを書くのは、ちょっとアレなんだけれど、とにかく今回も登場人物が多いので、ちょっとだけ、キャラをまとめておこうかと思います。下巻を読み始める自分のために。図で示してみるとこんな感じでしょうか。まあ、各キャラの詳細な紹介は全部読み終わってからにした方がいいかな。現状では下記の図で十分でしょう。なお、全員ではないし、上巻の段階ですでに死亡したキャラも含まれてます。
sleepingbeauties
 本作は、ある意味では現在の我々が直面しているCOVID-19パンデミックとも共通する面はあるものの、もっと深刻かつ謎が多すぎていて、科学で立ち向かえないのが恐ろしいところだろう。さらに言うと、全世界で「オーロラ病」は蔓延しているものの、描かれるのは舞台となるアメリカ東部、アラパチア山脈にほど近い田舎町(Washington D.C.まで車で数時間)での出来事がメインなので、よりパーソナルというか、人類VSオーロラ病というスケールではなく、あくまで登場人物たちそれぞれの個人的な動きが描かれている。
 結果として、極めて生々しいというかですね、まあ、ホント、アメリカって国はマジで終わってんなあ、という感想を抱かざるを得ないですな。ドラッグや銃が普通に生活の中にあって、科学的な話を誰もせず、勝手な思い込みでみな行動するわけで、本作ではもう、どうしようもなく邪悪、どうしようもなく自分勝手、どうしようもなく愚かな人物が数多く登場します。とにかく、他人はどうなろうと自分さえよければいい、ってのが根本にあるのが、とにかくまあ、恐ろしいというか、不愉快ですなあ。おりしも現在US大統領選が始まり、4年前、US大統領の椅子は金で買えることを証明した国家なので、読んでいてホントに暗い気持ちになる物語ですよ。これが後半、どう終息、あるいはどう破滅していくのか、もうホントに超ドキドキワクワクで下巻を読み始めようと思います。

 というわけで、さっさと結論。

 わたしがこの世で最も好きな小説家はStephen King大先生である! そして日本語で読める最新刊『SLEEPING BEAUTIES』は、想像してたのとは全然違う、Supernaturalなお話、のようです。上巻読了時点においては。いよいよもって主人公は、King大先生の作品ではお約束の通り、もうどうしたらいいかわからないほど「のっぴきならない事態」に陥りつつあり、これから後半、どう物語が展開していくのか、ホントにわくわくが止まらないですな! 結論から言うと、最高であります! まだ上巻ですが! 以上。

↓ ホントはこっちが読みたいんだよオレは。。。早く日本語版でねーかなあ。。。

The Institute: A Novel (English Edition)
King, Stephen
Scribner
2019-09-10

 わたしが『みをつくし料理帖』という小説作品を知ったのは、もう5年前になる。当時大変お世話になっていた、大変な美人のお姉さまから、読んでみたら? と教えてもらったのだが、読み始めてすぐに、こりゃあ面白い、と全巻買って読んでみたものである。当時すでにもう完結してたんだよね。その後、作者の高田郁先生のほかの作品も読みだして、現在シリーズ進行中の『あきない世傳』シリーズは、わたしが今、日本の小説では最も新刊を待ち望むほど気に入っている作品だ。
 で。そんな『みをつくし料理帖』だが、これまで2回、テレビドラマ化されており、最初のテレ朝版は、わたしは観ていなかったけれど(わたしがシリーズを読み始める前に放送されたので存在すら知らなかった)、NHK版は、一応観ていました。が、観ていたんだけれど、どうもキャストに違和感があって、なんかあまりハマらなかったんすよね。。。もちろん、主人公たる「澪」ちゃんを演じる黒木華ちゃんは超ピッタリで最高だったんだけど、又次兄貴と種市じいちゃんがなあ……とか思ってたわけです。
 とまあ、要するにもうテレビでは2回も映像化された『みをつくし料理帖』だが、この度映画となって劇場のスクリーンに登場することになった。
 その映画版の製作は、原作の小説文庫を「ハルキ文庫」として出版している株式会社角川春樹事務所の代表取締役社長たる角川春樹氏だ。パンフレットによれば、春樹氏はもうずいぶん前から、『みをつくし料理帖』を映画化したい、という思いがあったそうだが、配給各社は「だってもう何度もテレビ化されてるんでしょ」的態度で話が進まなかったという経緯があるらしい。そしてわたしとしても、あの長い物語を2時間の映画にしてイケるんだろうか、と思っていたのも事実であります。
 しかし、完成した作品を観て、なるほど、これはNHK版とは結構違う、けど、明らかに『みをつくし料理帖』だ、と思える作品に仕上がっており、わたしとしては大変楽しめました。そして春樹氏に関しては、数々の問題行動(?)ばかりを耳にするので、ちょっとアレだなあ、とか思っていたけれど、まあ、この人はやっぱりクリエイターなんでしょうな、きっと。実に、映画としてきっちり作られていて、ある意味心地よかったように感じたっす。いや、うーん、それはちょっとほめ過ぎかな?

 というわけで、もうどんなお話かは説明しなくていいだろうと思う。超はしょって言えば、大坂出身の女子が、江戸でとあるレストランを任され、その料理で様々な人の心と体をを癒すお話だ。
 なので、ポイントというか、最も重要なのは、その「料理」そのものにあって、いわば「料理」が主役の一つと言ってもいいと思う。そして原作では、出会った人や自らが陥った状況に対して、主人公はいろいろ、どうしよう、どういうお料理にしよう、と悩みあがいて、新作メニューが完成し、めでたしめでたし、となるのだが、今回の映画版では、どうも、その「料理」の存在感が、若干薄めだったような気がする。
 もともと主人公は、大坂出身であり、江戸人たちの味覚のセンスがイマイチよくわからなところから出発する。例えば一番最初の「牡蠣」の食べ方だったり、途中で出てくる「ところてん」の食べ方だったり、大坂人の主人公には、ええ!? と驚くぐらいの違いがあったりする。そして料理人として、最初の関門となるのが「出汁」の違いだ。これを克服するのに、たしか原作小説ではかなり苦戦してたような気がするけど、今回は比較的さらっと描かれてましたな。
 まあ、そういった原作との違い、は、別にわたしとしては問題ないと思うので、置いておくとして、この映画で一番大きく取り上げられるのは、幼少期に生き別れてしまった親友との関係性だ。そっちをメインにしていて、そこはおそらく春樹氏が一番撮りたかった部分なのではないかとわたしには感じられた。そこがいい、と強く思うことはないし、そこがアカン、とも思わないけれど、映画として2時間でまとめる軸としては、それがベストだったのではないかと思う。
 『みをつくし料理帖』という作品は、基本的には全体の大きなお話の流れの中に、一つのお料理ごとにエピソードが配置されていて、ある種の短編連作的でもあるのだが、連続ドラマならそのままでいいけれど、映画としては、それだとまとまりがないというか……やっぱりしっかりとした軸が必要なのは間違いないだろう。なので、あさひ太夫とのエピソードを深く描く選択をしたんだろうな、と思いました。その結果、源斉先生はほぼ活躍しないし(そもそも原作の最初の方の話なのでやむなし)、小松原さまとの恋も、ほんのうっすら、淡い感じ(?)で描かれるのみでありました。
 で。わたしとしては、お話うんぬんよりも各キャスト陣の熱演が素晴らしかったということを書いておきたいと存じます。いやあ、なんか、かなり原作を読んでいる時のイメージに近かったような気がしますな。
 ◆澪:主人公。大坂で幼少時を過ごし、大水で両親を亡くす。そして災害遺児としてふらふらしてるところを大坂の料理屋さん救われ、そこに奉公することに。その後、絶対味覚めいた料理の腕で、女料理人となる。さらにその後、お店が江戸に進出した際、主人夫婦とともに一緒に出てくるが、江戸店はビジネスとして惨敗、閉店となってしまい、主人は死去、一人息子の跡取りは失踪、というどん底生活で、奥様(=大坂商人の言葉でいう「ご寮さん」)と一緒に神田明神の近くの長屋で暮らしている。そして近所の蕎麦屋「つる屋」で下働きをはじめ、その後「女料理人」としてキッチンを任されるようになり……というのが、本作開始時点での状況。年齢としてはまだその時二十歳前ぐらい(本作映画版では18歳だったのかな?)。逆に言うとそこから始まるので、こういった過去はすべて回想で語られる。大坂の少女時代、とある占い師に「雲外蒼天」の相を持つと言われたことがポイントで、要するに、さまざまな艱難辛苦に出会う、けれど、それを抜けた先は超晴天でHAPPYになれるよ、というある意味ものすごく残酷な運命を告げられちゃってるわけで、とにかく原作ではおっそろしく辛い目にばっかり遭うことに。でも、それでもめげないのが澪ちゃんの魅力ですよ! そして、澪ちゃんの最大のチャームポイントが、作中で何度も出てくる「下がり眉」なんすけど、今回、澪ちゃんを演じた松本穂香さんは非常に良かったですな。なんつうか、けなげな感じがとてもグッときました。ただ、若干顔つきが可愛すぎて、現代人過ぎるというか、目がぱっちり過ぎるというか、江戸時代人に見えないんだよな……江戸時代人に会ったことないけど。個人的には、NHK版の黒木華ちゃんの方が、強力な下がり眉&昭和顔で良かったと思うけれど、実のところ、華ちゃんだと、年齢が若干合わないんすよね……でも、それ以外は完璧に澪ちゃんだったので、わたしは好きだったす。女子の「しょんぼりフェイス」愛好家のわたしとしては、華ちゃん演じる澪も最高でした。ちなみに、松本穂香さんも、黒木華ちゃんも、どちらも本物の大阪人だそうです。
 ◆種市:「つる屋」の主人。そもそもつる屋はお蕎麦屋さんだったが、澪ちゃんの加入で定食屋にチェンジ。種市おじいちゃんにもいろいろ泣かせるエピソードがあるのだが、今回の映画版ではほぼカット。で、今回演じたのは、石坂浩二氏79歳。わたしとしては、NHK版より断然好きっすね、石坂氏版種市おじいちゃんは。でも、原作で眼鏡かけてる設定だったっけ? サーセン、憶えてないす。。。ポイントポイントで非常にイイ感じで、大変お見事なお芝居であったと思います。
 ◆小松原さま:つる屋の常連の浪人さん。実は小野寺という本名が別にあって、仕事も江戸城勤務の若年寄、御膳奉行という超エリート侍。澪ちゃんに数々のアドバイスをする、んだけど若干謎解きめいていて、澪ちゃんがその答えに至る道が面白いポイントなんだけど、本作映画版では若干薄めだったかも。そして、ホントは澪ちゃんも小松原さまも、お互い大好きなのに……道は一つきりですよ。。。という悲恋も結構泣けるのだが、くどいけど本作映画版ではその点もほんのり目、でありました。もちろん、原作ではかなりナイスキャラのお母さんと妹は登場せず、です。しかし、演じた窪塚洋介氏41歳は実によかったすねえ! ぶっきらぼうさや、小松原さまの持つ底知れなさのようなものが非常に原作のイメージに近かったように思います。わたしとしては大変気に入りました。
 ◆源斉先生:澪ちゃんのご近所に住まう医者。最初からずっと澪ちゃんが大好きな男だが、肝心の澪ちゃんからは、なかなか恋愛対象に入れてもらえない残念系男子。でも原作のラストでは結ばれるのでご安心を。澪ちゃんに「食は人の天なり」の言葉を授けたお方。今回の映画版では、何度も書きますがあまり活躍せず、恋愛方面もほぼナシ。一方的に、源斉先生はお澪ちゃんが好きなんだろうな、ぐらいの描写のみ。演じたのは小関裕太氏25歳。まあ、残念ながらあまり存在感ナシでした。脚本上、これは仕方がないす。
 ◆あさひ太夫=野江:澪ちゃんの大坂時代の親友。澪ちゃんが「雲外蒼天」の相である一方、野江ちゃんは「旭日昇天」の相と言われ、征く道の天下を取る器量があると告げられた。もともと商家の末娘(=こいさん)で、裕福だったが、大水で両親を失い、本人も記憶混濁でふらふらしているところを、とある女衒によって吉原に売り飛ばされる。そして成長した現在は幻の花魁「あさひ太夫」として吉原の扇屋のTOP花魁になっている。澪ちゃんが、あさひ太夫=野江であることに気づく前に、話題の女料理人=澪、であることに気づき、つる屋が放火された時、資金援助をする。とってもいい人。二人の「きつねこんこん」は、危うく泣けそうになったぐらい、どういうわけかわたしのハートに刺さりました。そんな野江を今回演じたのは奈緒さん25歳。正直、わたしは知らないお方なんすけど、イイ感じに花魁っぽい、なんだろう、色気?のような、得も言われぬ空気感がとても良かったすね。現代的な美人とかかわいい系ではなく、なんつうかな……浮世絵に描かれてるような、いわゆる「うりざね顔」っていうのかな、独特な感じがある方っすね。大変結構かと存じます。
 ◆又次:吉原の扇屋にて料理を作ったり用心棒的だったり、と働いている人。武闘派なんだけど超イイ人なんすよ、又次兄貴は。あさひ太夫に命の借りがあり、あさひ太夫のためなら命を投げ出すことも厭わない男なんだけど、原作ではなあ……その最後が超泣けるんすよ。。。兄貴。。。そんな又次兄貴を今回演じたのは、二代目中村獅童氏48歳。いやあ、すごい良かった! 見事な又次だったと思います。大満足っす。
 ◆芳 aka ご寮さん:澪ちゃんがそもそも仕えている奥様。体弱い系ご婦人なんだけど、原作ではのちに結構意外な展開で運命を拓く、なかなか強い人。今回の映画版は原作の序盤だけなので、若干弱い系のままでした。演じたのは若村麻由美さん53歳。おおう、もうそんなお年なんですなあ。。。わたし的には、NHK版の安田成美さまが美しくて、とても好きでした。
 ◆おりょうさん:澪ちゃん&ご寮さんと同じ長屋住まいの奥さん。バリバリ江戸っ子の気が短いチャキチャキ系元気な奥さん。いろいろと二人を助けてくれるし、つる屋が忙しいときはウェイトレスとしても大活躍する。今回の映画版で演じた浅野温子さんは、非常にわたしが原作を読んでいた時のイメージに近くて、すっごい良かったす。
 ◆清右衛門:つる屋の常連の、口うるさいおっさんだが、世間的には戯作者(=小説家)として有名な男でもある。このおっさんは、いつも澪ちゃんの料理に難癖をつけるやな野郎だけど、何気に何度も物語のキーとなる働きをしている。モデルは滝沢馬琴のようで、これは原作通りなんだけど、今回の映画の中でも「ええっ! 八犬伝の!?」とか言われるシーンがありまして、清右衛門の奥さんを、薬師丸ひろ子さんが演じてるわけですよ。青春の80年代を過ごしたわたしとしては、胸アツでした。わたし、かつての角川映画の、数々のトンデモ時代劇が大好きだったんすよね……。意味が分かる人は、確実に50代だと思いますw で、演じた藤井隆君48歳は、ちょっとイメージより若すぎるかも?とは思ったけれど、演技ぶりは大変良かったと思います。
 とまあ、メインどころはこんな感じなんすけど、薬師丸ひろ子さんだけでなく、なんと野村宏伸氏(ぱっと見ではわからないほど老けててつらい……)や、渡辺典子さん(一発でわかるほどお変わりなく美しい!)も出演されていて、まあ、角川春樹氏の最後の監督作ということで、懐かしい皆さんに会えたのも、おっさんとしては大変うれしかったです。でもさあ、そこまでやるなら、なんでエンディングの歌を原田知世さまに唄ってもらわなかったのかなあ……それがあったら、わたし的にはパーフェクトだったのにな。そこだけが、ものすごく残念す。まあ、50代未満の方には全く意味が通じないと思いますが。

 というわけで、もう書いておきたいことがなくなったので結論。

 わたしの大好きな時代小説『みをつくし料理帖』が映画化されたので、これは観ないとアカン、と劇場へ赴いたのだが、結論をズバリ言えば、大変楽しめる作品だったと思う。ただし、原作未読でこの映画を観て楽しめるかどうかは、正直よくわからない。いろいろと描写がはしょられている背景があるので、ひょっとしたら厳しいかもしれない。でも、そんなこたあ、知ったことじゃないし、わたしが楽しめたからいいや、と思います。本作は、それぞれのキャラクターが原作を読んでいる時にイメージしていた像にとても近くて、大変好ましいと感じました。なんかなあ……妙に泣けそうになっちゃったんすよね……澪ちゃんと野江ちゃんのやりとりに。これはアレなのかな、わたしの原作への愛が強かったからなのかもしれないな……。そういう意味でも、原作を読んで面白いと思った人はぜひ見ていただきたいし、原作を読んでない人は……しらんす。ご自由にどうぞ、ってことで。しかし、角川春樹氏も丸くなったんすかねえ。本作を包む空気感が、とてもやさしく温かかったのが印象的であります。まあ、わたしもホントに年を取ったので、こういうお話にグッときちゃうんでしょうな。だって、にんげんだもの。しょうがないっすよ。以上。

↓ NHK版の黒木華さんがみせる「しょんぼり顔」はマジ最高だと思います。
みをつくし料理帖スペシャル [DVD]
木村祐一
NHKエンタープライズ
2020-10-23

 やっぱり劇場は最高ですなあ……。
 先週、わたしは新幹線をカッ飛ばして兵庫県宝塚市の「宝塚大劇場」へ日帰り遠征してきたわけだが、本日は東京日比谷の「東京宝塚劇場」へ行ってきた。もちろん、現在絶賛公演中の花組公演『はいからさんが通る』を鑑賞するためであります。
haikara
 今回のわたしの席は結構前だったけど上手側のはじっこでありました。でも全く鑑賞の妨げはなく、大変観やすかったと思う。しかしアレっすね、先週の大劇場は、かなり座席でおしゃべりに興じる淑女の皆さんが多かったけれど、今日の東京は全く静かでありました。いや、別におしゃべりしてもいいと思うけど、大劇と東宝はやっぱりずいぶん違うな、とは感じたっす。
 というわけで、本公演は新・花組TOPスター柚香光さん(以下:ゆずかれー)の大劇場お披露目公演なわけで、本来の予定は5月だったかな、5カ月遅れの東京お披露目であります。しかし実はこの『はいからさんが通る』という演目は、ゆずかれー君は2017年に梅田ドラマシティと日本青年館で演じており、たぶん珍しいと思うけれど、いわゆる「再演」がお披露目演目に選ばれたわけで、それってどうなの?的な思いは、若干わたしの中にあった。とはいえ、2017年版は公演を観に行ったわけではなく、スカイ・ステージの放送で観ただけだったし、確かに面白く、なんといってもゆずかれー君の「伊集院少尉」はそのビジュアルからして最高であり、実際、まったく文句はないけれど……まあ、「またやるんだ?」的な思いがあったのは事実であります。
 なので、わたしとしては、今回の『はいからさん』に関しては、このところわたしが猛烈に激推ししている音くり寿さん(おと くりす。以下:くりす)と、この公演の後に雪組へと組替えとなって雪組のTOP娘役就任が発表されている朝月希和さんをじっくり見つめよう、とか考えていたのである。
 しかし、だ。サーセン! オレが間違ってました!!
 やっぱり、3年の歳月は、確実に人を成長させますなあ! 主役のゆずかれー君、そしてヒロインの華優希ちゃんともに、2017年からさらにレベルアップしているのは間違いないすね。マジ最高でした!

 というわけで。『はいからさんが通る』といえば、もう様々なメディアに展開された有名作品で、なんと1979年にはテレビドラマとして宝塚歌劇の生徒が出演したものが放送されてたそうだが、わたしは原作漫画は読んでいないし、アニメも観ていない。若干変化球だけど、わたしの年代だと、1987年12月に公開された南野陽子さん主演の実写映画版でお馴染みなのであります。その映画で伊集院忍少尉を演じたのは、ローマ人でお馴染みの阿部寛氏ですよ。懐かしいですなあ。
 まあ、そんなことはともかく。上記の動画の通り、宝塚版『はいからさん』は、現在の宝塚歌劇が誇るイケメン、ゆずかれー君がおっそろしくカッコ良く伊集院忍少尉を演じているわけです。男のわたしから見ても、スーパー超イケメンであり、完璧なる伊集院少尉でありました。素晴らしいじゃあないですか。わたしは、ゆずかれー君に関しては、歌がなあ……とか思っているけれど、やはり、わたしの評価としては、ゆずかれー君の最大の強みは、繊細かつ心情あふれた演技=芝居そのものであり、今回の、いろいろとつらい目に遭う伊集院少尉の苦悩だったり、そんな伊集院少尉の心の癒しである紅緒にむける微笑みだったり、もう、パーフェクト! に表現されていたように思います。やっぱり、ゆずかれー君が芝居の人だというわたしの評価は揺るがないす。そしてやっぱり、とにかくスタイルがいいので、ダンスが素晴らしく優美であるのも間違いないでしょうな。確実に、TOPスターとして真ん中で踊る技量を備えているのも間違いないす。フィナーレの、純白衣装でのデュエットダンスは、ホント美しかったですなあ! おそらく、宝塚歌劇を観たことがない淑女が、今回の『はいからさん』を観たら、一発でゆずかれー君の虜となり、ズカファンまっしぐらになることとと思います。3年前と比較しても、確実に成長し、実に美しくカッコ良かったです。
 そしてヒロイン、花村紅緒を、前述の通り花組TOP娘役の華 優希さんが演じているわけですが、物語の主人公は、明確にこの紅緒なわけで、華ちゃんのウルトラ超熱演ぶりは、本当に素晴らしかったです。3年前との比較で言えば、わたしには華ちゃんの方が、より一層その成長を感じだっすね。ちょっと前までの華ちゃんと比べても、ずっと成長したようにも思います。つうかもう、今回の熱演は、本作をもって華ちゃんの代表作と言って差し支えないすね。それほど、華ちゃん演じる紅緒は、完璧なる「はいからさん」でありました。怒る紅緒、酔っぱらう紅緒、歌って踊る紅緒、そして、決意に満ちた表情の紅緒。どれも素晴らしく魅力的でありました。あえて言うなら、現在の宝塚歌劇団娘役の中でも、華ちゃん以外にはできなかった、素晴らしい「はいからさん」でした。お見事だったと存じます! そういや、草履が脱げちゃったのも、実に「はいからさん」っぽくて、とても可愛かったね。美穂圭子さんにそっと持ってきてもらって、ゆずかれー君のアドリブで大ウケだったから、結果オーライですw
 で。あとは、各キャラとキャストごとに短くまとめようと思います。
 ◆音くり寿ちゃん as 北小路環:何かとアクティブなお嬢様、環を演じたのは、100期生の音くり寿ちゃんです。わたしはそもそも星組イチオシなので、実は花組の若手はあまり詳しくないんすけど、ちょっと前に、スカイ・ステージで放送されていた、「La Belle Voix~娘役の美しき歌声」って番組がありまして、全5回で、各組の「歌自慢」な若手娘役が3人出演して、歌ってくれる番組だったんですが、わたし、実はこの番組の花組の回で、初めて音くり寿ちゃんを明確に知りました。いやあ、とにかく美声。すっごくイイ!! とあの番組以来、もう大ファンですよ。あの番組で歌っていた「タカラジェンヌに栄光あれ」がもう何度でも聞きたくなるぐらい素晴らしくて、マジ度肝を抜かれたんですが、そのくり寿ちゃんが今回、環の役が付いたと知って、わたしはもう、超うれしかったす。そしてくり寿ちゃん演じる環は最高でしたなあ! 歌も演技もダンスも、超イイ!! 3年前の環は、もう退団してしまったしろきみちゃんで素晴らしかったけれど、まあとにかく、今回のくり寿ちゃんも全く引けを取らない素晴らしさでした。エトワールも担当していて、その美声にしびれまくったす。現在の娘役さんたちは、意外と背の高い方が多いですが、くり寿ちゃんは結構ちびっ子ですね。だがそれがいい!! 今後も激プッシュしていきたい所存であります! 最高でした!
 ◆朝月希和さん as 花乃屋吉次:亡き夫が伊集院少尉の元部下であり、柳橋の芸者として生きる凛とした女性。そんな吉次姐さんを今回演じたのが、前述の通りこのあとで雪組TOP娘役に就任することが発表されている朝月希和さん。恥ずかしながらわたしは今まで朝月さんのことをほとんどよく知らなかったんですが、非常に美人ですなあ。96期生だったとは全然知らなかったす。これで96期生4人目のTOP娘役の誕生すね。今回、あまり歌が聴けなかったけれど、ラストの短いショー的部分ではすごい存在感あるダンスぶりで、目に付いたすね。まあ、花組(8年間)→雪組(2年間)→花組(数カ月)→雪組と組替えすることになるわけで、その心の整理は大変だと思うけれど、頑張っていただきたいですな。とにかく、美人ですよ。完璧憶えたので、雪組へ行っても応援いたしたく存じます。
 ◆瀬戸かずやさん(以下:あきら) as 青江冬星:親が銀行を経営していて、何気におぼっちゃまなんだけど、その道に背を向けて自ら出版社を経営する冬星。極度の女嫌いの自称「男尊女卑」な男だが、ヒロイン紅緒をやさしく(?)癒す、伊達男。3年前は鳳月杏さん(以下:ちなつ)が演じた役ですが、ちなつさんが月組に戻ってしまったので、今回はあきらさんが演じる。まあ、サーセン、あきらさんには大変恐縮ですが、わたし個人としては、ちなつさんの冬星の方が好みっす……。
 ◆永久輝せあさん(以下:ひとこ) as 高屋敷要:少尉の友人であり作家。でも、物語的にはコイツ、結構ヒドイ野郎じゃないすか? そして出番もちょっと少なめです。演じたのは、雪組から花組へと移って初めての大劇場公演となった、ひとこ君。ふと思ったんだけど、どうせだったら、マイティーの鬼島と、高屋敷と役をチェンジするか、日替わりの役替わりでもよかったんじゃね? とか無責任に感じたっす。だって、高屋敷があんまり目立たないんだもの。。。まあ、ひとこ君も間違いなく将来のTOP候補だから、今後ますますのご活躍を祈念いたします。
 ◆水美舞斗さん(以下:マイティー) as 鬼島軍曹:伊集院少尉の部下でワイルド系軍人。鬼島を救うために少尉は行方不明になってしまったため、鬼島は少尉とその許嫁である紅緒のためにいろいろ行動してくれるナイスガイ。演じたのは3年前と同じくマイティーが再登板。どうせなら高屋敷もマイティーが役替わりで演じたら面白かったのにな。つうかですね、鬼島軍曹は、ロシアの戦地で少尉に紅緒の写真を見せてもらって、「ええ~~!? こ、これは……(微妙だぞ)……」的に、軽く紅緒の容姿をディスるんすけど、おい君ィ! 華ちゃん紅緒は超かわいいじゃんか!! 「じ、実物は可愛いんだ!」って、少尉、それ、フォローになってないぞ!w しかしこのBlogで何度も書いてますが、マイティーはホントにここ数年でグッと色気と存在感が増しましたなあ。大変良いと思います。
 とまあ、キャスト&キャラについては以上かな。

 で、最後にひとつ、自分用メモとして記しておきたいのだが……。
 何度も書いていますが、わたしは星組がイチオシで、礼真琴さん(以下:こっちん)のファンクラブに入って5年、なのに、こっちんのお披露目公演は3回観に行くチケットを買えたものの、3回ともすべて休演となってしまい、観ることが出来なかったのです。とてもとても残念で、ホントにしょんぼりでありました。
 そんなこっちんと、今回のゆずかれー君は同じ95期の同期入団ですが、かなりいろいろと違う面があって、そもそも年齢も違う(※宝塚音楽学校は、同じ年に入学しても、中卒で入学した人と高卒で入学した人では、最大3歳の違いがある)わけです。
 こっちんは、正確にはわたしは知らないけれど、高校1年か2年終わりでの入学だし、ゆずかれー君は中卒での入学なので、少なくとも1歳か2歳は年齢が違うはず(※なので、年齢も逆算すればだいたいわかる、けどそんなのは野暮なので計算しません)。そして、こっちん最大の魅力が「歌」とキレのあるダンスであるのに対して、ゆずかれー君は歌が若干アレで芝居の人。
 さらに言うと、こっちんは若干小柄で、顔も童顔&かわいらしい系であるのに対して、ゆずかれー君は背もすらっとしていて、彫の深いローマ人系の美形。ついでに、入団時の成績はこっちんが95期首席であり、ゆずかれー君は20番ぐらいだったかな。どうも、いろいろなインタビューなどを見ても、音楽学校時代のこっちんとゆずかれー君は、同期とはいえそれほど仲良しチームだったわけではないみたいすね。
 こう考えると、かなり対照的な二人だけれど、時を同じくしてTOPスターに登極した偶然(?)は、きっと今後、二人にとって大きい絆になるんじゃなかろうか、という思いがします。こっちんは、何かのインタビューで、早くから新公主演とか抜擢されてきた自分の苦労を一番分かってもらえるのは、同じく抜擢されてきた柚香光だ、なんてことをおっしゃってましたな。一緒の仕事をしたことは少なくても、常に分かり合える、常に心がつながっている、二人。こっちんのお披露目を観ることが出来なかったのはホント痛恨というかしょんぼりだけど、かれー君の見事な伊集院少尉を観ることが出来て、本当に良かったと思うす。
 えーと、なんか無駄に長くなったけど、何が言いたいかというと、要するに、こっちん、かれー君、TOP就任、本当におめでとう!! ってことです。ある意味、TOP就任は「終わりの始まり」ではあるのは間違いないと思う。就任早々アレだけど、わたしは二人のこれからを、全力の拍手で応援し続けたいと思います。

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「私はきっと少尉が生きていると信じています! だから帰ってくるその日まで、少尉を迎えるために、この家を守っていきます。それが私の! 少尉の妻の務めです!
 今回は、少尉の「ええ。好きですよ」とか、編集長の「全部忘れさせてやる」などのイケ台詞も多かったのですが、やっぱり一番は、1幕ラストの紅緒のセリフにしました。この時の華ちゃんの表情は最高だったすね。本当に成長したなあ、と我ながら偉そうに感じたっす。普段の華ちゃんは大人しめな女性ですが、あの気迫あふれる芯の強さは本当にお見事でした。

 というわけで、結論。

 しかしまあ、ようやく、生の舞台観劇ができるようになりつつあって、ホントにうれしいですな。そして花組第27代目TOPスターに就任した柚香光さんの大劇場お披露目公演『はいからさんが通る』は、大変面白く、かれー君の繊細な芝居が心に響くお話でありました。そして相手役の華 優希さんも、とても芝居が見事だったすね。フィナーレの二人のデュエットダンスの美しさも際立ってましたなあ。あの空間は、本当に生の観劇に限りますね。映像には記録されない、空間を支配する空気みたいなものは、生の劇場でないと味わえない、極めて貴重なものだとつくづく感じました。観劇が当たり前じゃあなかった数カ月。そして今後も続く様々な規制。それでも、わたしは可能な限り劇場へ行って、素晴らしいパフォーマンスに拍手を送り続けたく存じます。こっちん、そしてかれー君、本当にTOP就任おめでとう!! 以上。

↓ これっすね! おおっと、配信で観られるんだ。なんて便利な世の中!
はいからさんが通る
丹波哲郎
2018-12-25

 やっと、やっとだよ。。。
 昨日の2020年10月4日の日曜日、わたくしはAM0600東京発のぞみ1号をぶっ飛ばし、兵庫県宝塚市に存在する宝塚歌劇団の本拠地「宝塚大劇場」へ行ってまいりました。はあ、それにしても長かったなあ……。ちょっと、自分用備忘録として、2月以降わたしが行けなかった公演をメモしておこう。
 ※ファンには常識ですが、以下でいう、大劇=宝塚市の「宝塚大劇場」のことであり、東宝=日比谷の「東京宝塚劇場」のことです。
 ◆2月9日:宙組公演『『El Japón-イスパニアのサムライ-/アクアヴィーテ!! 』@東宝を観劇。これが「コロナ前」最後の観劇となった。
 ◆3月1日:星組公演『眩耀の谷/Ray』@大劇は公演中止。わたしがずっと応援してきた礼真琴さま(以下:こっちん)のTOPお披露目公演だったのに。。。この日をわたしはファンクラブに入って5年、ずっと待ち望んでいたのに。。。
 ◆3月20日:雪組公演『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』@東宝は、ズカ師匠にチケットを譲ってもらったのに、公演中止。結局観られず。悲しい……
 ◆4月12日:星組公演『眩耀の谷/Ray』@東宝も公演中止。チケット2枚アウト。
 ◆4月18日:花組公演『はいからさんが通る』@大劇も勿論中止。チケット2枚アウト。
 ◆6月13日:星組公演『シラノ・ド・ベルジュラック』@ACTシアターも中止。
 ◆8月9日:花組公演『はいからさんが通る』@大劇は、7/31に再開したのに、残念ながら感染者発生で中止。わたしなんぞよりも、演者の皆さんの無念を思うとホント泣ける……。
 ◆8月15日:星組公演『眩耀の谷/Ray』@東宝も、同じく感染者発生で中止。これで、わが愛しのこっちんお披露目を生で応援することが出来ないことが確定。ぴえーーーん!
 とまあ、こんな感じに、7公演9枚のチケットがパーになったわけだが、すべて劇団はキッチリ払い戻してくれており、わたしには経済的損失が一切なかったのは、ホントに、さすが、だと心から思う。
 そして、もちろんわたしの心は、大変残念というか非常につらい思いが募ったわけだが、まあ、そんなものは演者や劇団関係者の皆さんの無念からすれば全く比較しようもなく、ファンとしてはもう、劇団にお金を遣って応援するしかない! とわたしは判断し、まず「TAKARAZUKA SKY STAGE」に加入することにしたし(※この顛末は「TAKARAZUKA SKY STAGE」加入への意外と険しかった道のりに関する記録を参照してください)、結局観ることが出来なかった星組公演『眩耀の谷』も、さっさとBlu-Rayを買ったし、ほかにも毎年4月に発売される「おとめ」やいろいろ、ほぼ払い戻されたチケット分は買い物したんじゃね? というぐらいの金額をネット通販にブチ込んでみたりしたわけです。
 そして、とうとう、その日が来たのです。わたしにとっての、8カ月ぶりの観劇の日が!! わたしはこのBlogで何度も書いている通り、チケットはほぼすべて「宝塚友の会」という劇団直営のファンクラブ的仕組みに加入して、購入している。なので、公演中止の際も、何の手続きもせず、自動的に払い戻してくれたのだが、今回も、もちろん「友会」にて、初めて大劇場でSS席が当たったので、昨日は超ウキウキで新幹線に乗車したのでありました。
 まあ、結論から言うとですね、最高of最高で、こんなに笑えて楽しいなんて! とびっくりするぐらいとても面白かったのであります。そしてついでに言うと、わたしは終演後、即帰ったので、家に着いたのは19時前でした。急げば15時ちょうどぐらいの新幹線には乗れるっすね。ホントは新装オープンした宝塚ホテルを見物しようかと思ったけど、ズカ淑女の皆様が大勢いらしたので、感染防止的観点から遠慮しときました。
 というわけで、わたしにとって8カ月ぶりの宝塚歌劇は、月組公演『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-/ピガール狂騒曲〜シェイクスピア原作「十二夜」より〜』であります! いやあ、ホント面白かったす!

 というわけで。本公演は、上記動画の通り、日本物のレビューと、ミュージカルお芝居の二本立てであります。そして珍しいことに(というかたまにあるけど)、レビューが先攻です。
 今回の公演は、今年の春、宝塚音楽学校を卒業して劇団へ入団した、106期生の初舞台公演でもあり、通常東京で観ているわたしは、ズカ歴11年半にして初めて、いわゆる「初舞台生の口上」を生で観ることが出来ました。いやあ、なんつうか、完全にお父さん目線というか、観ているわたしも緊張するっすね、初舞台生の口上は。そしてロビーにはこんな感じの全員の写真と、当日、口上を担当する二人にはお花がついてました。昨日の渚ゆりさんは、超かわいかったので、今後注目しようと思います。
20201004-02
 この口上も、普通は冒頭(?)なんだと思うけれど、今回は最初のレビューのオープニングの後、という珍しい(??)構成になってました。たぶん、今回の和物レビューは、いわゆる「チョンパ」というもので、真っ暗に暗転している劇場に、「チョーーン!」と拍子木が鳴って、「パッ」と照明がつき、出演者全員が舞台に揃ってる、という場面から始まるので、そのため口上は後になったのかも……しれないす。【追記:今月スカイ・ステージで放送している「初舞台特集」で初めて知ったのですが、80年代とか90年代は口上もなかったり、途中だったり、最後だったり、いろいろ違ってたんすね。そして日本物の場合は今回同様、オープニング後ってのも普通にあったみたいですな。70~80期代の映像を観てさらに驚いたのは、関西テレビとかNHKとか制作の映像で、そりゃスカイ・ステージもなかったから当たり前だけど、普通にテレビ放送があったんですなあ。へえ~】
 いずれにせよ、6場45分はホントにあっという間でした。主題歌の「ウェルカム! ウェルカム!」が超耳に残るんすけど、本来本作は、東京五輪に合わせて世界の皆さんへ「ようこそ!」な和物だったわけで、坂東玉三郎氏監修、そして先日退団を発表された専科の松本悠里先生のファイナル舞踊ということもあって、非常に注目の作品なのだが、まあ、とにかく美しく、何度も書きますが、あっという間でありました。みなさん、やっぱり和服&青天も似合いますなあ! ラスト近くで松本先生が舞っている時の歌(=いわゆるカゲソロ。今回二人だったのでカゲ・デュエット)がすごく印象的だったので、誰だったんだろう? とプログラムでチェックしてみると、きよら羽龍ちゃんと咲彩いちごちゃんの104期生コンビでありました。大変良かったと存じます。(※でも! 実は現在の公演は感染対策上、演者を絞っており、わたしが観た回ではきよら羽龍ちゃんは『ピガール』には出演してませんでした。おっかしいな?? と思って後でプログラムを観て初めて出てないことを知ったす。超残念だよ……!)
 そしてあっという間の45分ののち、35分といつもよりチョイ長めの幕間を挟んで、ミュージカル『ピガール狂騒曲〜シェイクスピア原作「十二夜」より〜』が始まります。
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 大劇場の壁面にはズドーンと今回のポスターが。
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 そして幕間中の舞台には「Frénésie à Pigalle」。英語で言うと「Frenzy at  Pigalle」って感じか? 日本語ではまさしく「ピガール狂騒曲」ですな。
 そうなんです。わたし、全然キャラ相関図とか予習してなかったので、Shakespeareの『十二夜』原作というので、物語は原作通りイタリアが舞台なのかな? と思っていたけれど、なんと舞台はフランスはパリの「Moulin Rouge」であり、おまけにポスターイラストでお馴染みのLautrec氏も登場してくるのです。なので年代は1900年、20世紀前夜という時代設定となっていました。
 そして、時代や場所の改変は、別に全く問題ないとして、物語自体は、とても上手(?)に元の『十二夜』をアレンジしたものになっていて、そりゃもう大騒ぎの喜劇のテイストはバッチリでありました。ここまで笑えるとは思ってなかったすw
 Shakespeareではよくある「男装の麗人」だったり「劇中劇」だったりは、やっぱりビジュアルとして観ていて楽しいですな。そして勘違いから生じる大騒動ののち、ラストはハッピー&ピースフルなのもいいすねえ! つうかですね、わたしは常日頃から、月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)は「女子として非常に綺麗で可愛い」と申しておりますが、たまきちくんの男装の女子ぶりは大変結構なお点前だったと存じます。そして舞台上での一人二役は、きっと着替えやメイクチェンジで、舞台裏はもう大変だったでしょう。実にお見事だったと賞賛いたしたく存じます!
 というわけで、以下、各キャラと演じたキャストごとのメモで終わりにします。
 ◆ジャック(=実は女性のジャンヌ):もちろん演じたのは上記の通り月組TOPスターたまきちくん。もう最初から、いつもとメイクが違っていて、女子っぽさが漏れ出ており、大変可愛かったと思うすね。とある理由から男装していて、ムーラン・ルージュで仕事がしたいと押しかけてくる行動派の女子。そしてその美貌から、女子にモテモテとなってしまい、わたしは女なのに!と困っちゃうわけですが、まあ、そりゃそうなりますわなw たまきちくんは、いつも書いている通りとにかく陽キャラで、どこか世間慣れしていない王子様的雰囲気が持ち味ですが、女子であっても王子様というキャラはもうピッタリでありました。最高です。
 ◆ヴィクトール:ジャンヌと幼少期に生き別れたベルギー貴族の青年。パリに来たついでにジャンヌを探すが、ムーラン・ルージュの騒動に巻き込まれて……。容姿はジャンヌと生き写し、ということで、たまきちくんがこちらも演じていますが、やっぱり男役スターとしては、ヴィクトールの方が演じやすかったかもしれないすね。出番は少ないですが、本来のたまきちくんの王子様感はヴィクトールの方が当然「いつもの」感じすね。
 ※追記:なんと昨日の10/4は、たまきちくんのお誕生日だったそうですね! ぬおお、超抜かってた! 誕生日ネタのアドリブにキャッキャできなかったわたしはファン失格だよ……。。。
 ◆ガブリエル:作家のウィリーの奥さんだが、実は作品を書いていたのは彼女で、「女性は作家になれない」的な世の中に頭にきており、ついでに夫のボンクラぶりにも激怒しており、離婚を決意。この設定が20世紀へ向けた世の中の変化、というスパイスになっている。大変な美人で、微妙に落ち目になりつつあるムーラン・ルージュの主から、そうだ、美人で作家のガブリエルを主役に演目を作れば、興行的に大成功できるんじゃね!? と出演のオファーを受ける。演じたのはもちろん月組TOP娘役の美園さくら(以下:さくら)ちゃん。なんつうか、さくらちゃんは今回のような、頭が良くて気が強い的な攻め系キャラはホント似合うね。わたし的には、怒っている表情の時のさくらちゃんは、非常に可愛いと思います。
 ◆シャルル:ムーラン・ルージュのオーナーで、若干落ち目な中、ガブリエルの舞台起用をひらめき、ちょうど押しかけ面接にやってきたジャックに、ガブリエルを口説いてきたら雇用してやろう、と持ち掛ける。ちょっと面白キャラかと思いきや舞台に対する情熱は真面目で、そんなシャルルに、ジャックことジャンヌは (――こ、この人って――トクン……) と胸ときめいちゃうわけです。ええですなあ! この、シャルルの舞台に対する思いは、まさしく今の舞台演劇の状況を反映しているものだったようにも思います。演じたのは正式な2番手スター月城かなと(以下:れいこ)さん。まあ、とにかくれいこは美形ですよ。そして2番手としての存在感がグッと増してますねえ! 歌もとても良かったし、次の月組TOPスターを期待したいですなあ。衣装や髭ダンディぶりも、すごいカッコ良かったす。
 ◆ウィリー:ガブリエルの夫。今回一番ダメな人。まあ、強いて言うと、当時の世の中の風潮としてはごく当たり前なんだろうとは思うが、ガブリエルを束縛し、女は黙ってな、的なお方。極悪人というより、ずるい人?で、ほんのり、面白おじさんでもある。演じたのは月組に帰ってきた鳳月杏(以下:ちなつ)さん。とにかくちなつさんは、その「眼」のクールさが独特で、前半の和物レビューでの「日本男児」メイクはとにかく美しかったですな。青天が超似合うすね。
 ◆ボリス:ガブリエルに付きまとうウィリーの弁護士で、今回はもう、美味しいところをかっさらっていくお笑い担当。もう最高でしたね。演じたのは風間柚乃(以下:おだちん)さん。おだちんはコメディが得意ですなあ! いやあ、ほんと笑わせてもらいましたよ。お見事だったす!
 ほか、役柄上はあまり大きい役割ではないんだけど、わたしが月組で一番大好きな海乃美月ちゃんはレビューでもお芝居でも常にかわいくて目立っていたし、月組の御曹司たる暁千星さんはさすがのダンサーぶりで、実に決まってましたな。それから、男役から娘役に転向して推されまくっている天紫珠李ちゃんも目立つ役柄だったし、あと、わたしのズカ友で一番の美人であるお方がイチオシの漣つかさくんは、ジャンヌを狙う悪者チームの一人でしたが、声で一発でわかったす。最後にもう一人、和物のメイクがすげえ似合うな、とわたしの目に留まったのは紫門ゆりやさんですな。お芝居の方ではセクシー組長こと光月るうさん率いるムーラン・ルージュの裏方チーム衣装担当としてイイ感じだったと思います。

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「花は自分で咲くものよ。誰かに咲かせられるのではなく、自ら咲くわ!
 今回は、正確にセリフを覚えられなかったので、若干わたしのアレンジが入ってると思いますが、ガブリエルが宣言する「20世紀の女」の生き方的セリフがとても心に残ったす。こういうセリフを言うキャラクターが、さくらちゃんにはとても似合うっすね!

 というわけで、結論。

 8カ月ぶりに宝塚歌劇をようやく観ることが出来て、「やっぱ宝塚は最高だな!」とつくづく感じました。そして月組公演『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-/ピガール狂騒曲〜シェイクスピア原作「十二夜」より〜』も最高でありました。やっぱり、笑える喜劇ってわたしはとても好きっすね。これは東京に来たら、もう一度観に行きたいっすねえ! つうか、もう一度行きたいっす! なお、わたしが今回のチケットを買った時は、1つ飛ばしの席しか発売されておらず、でしたが、その後の規制緩和によって、昨日は最前列だけ空いてて、それ以外はフルスペックで満席に近かったです。ただ、どうもまだ全公演満席にはなってないようで、いまだチケット買えるみたいだから、まだまだ、世の中的にはおっかなびっくりなんすかね。。。新幹線も比較的空いてましたな。わたしは一人で行ったので、全く誰ともしゃべらず、常に消毒しつつな感じで、一応万全のつもりだけど、まあ、当面は東京でもきっちりしていようと思います。でも、劇場内は「おしゃべりNG」なわりに、結構、(もちろんマスク着用で)しゃべりまくってる地元のご婦人がいっぱいいました。きっとこの風景は、東京とは全然違うんだろうな、と感じたっす。ちなみにわたくし、来週は東宝で花組観てきます! 以上。

↓ まあ、知ってるといろいろもっと面白く感じると思います。もちろん、知らなくても大丈夫です。
十二夜 (岩波文庫)
シェイクスピア
岩波書店
1960-03-25

 ミステリー小説の手法の一つに、いわゆる「叙述トリック」ってやつがある。
 それは、要するに、なにかある重要な情報をあえて書かず(叙述せず)、読者側のある種の「勝手な思い込み」を利用して、ラスト近くで「実は〇〇はXXでした~!」的なネタ明かしをして、読者を驚かせる手法だ。わたしははっきり言ってその手法が嫌いで、なんつうか、作者の「してやったり」なドヤ顔が頭に浮かんでイラッとするというか、たいてい、なーんだ、つまんねえの、と切り捨てることが多いのだが、この「叙述トリック」を映画で扱うとどうなるか、わかりますか?
 映画の場合、全てが「映像」として見えているので、「読者に勝手に思い込ませる」ことが非常に難しくなってしまうわけだ。だって、見えてるんだから、誤解のしようがなくなっちゃうからね。
 わたしとしては、映画における叙述トリックで、一番(かな?)見事で上品だった作品は、何といっても『THE SIX SENSE』だろうと思っている。アレは本当に素晴らしくて、途中から、ひょっとしてこの主人公は……というヒントを提示しつつ、ラストで、あーー! やっぱり! そういうことか!! と普段「叙述トリック」の小説が嫌いなわたしでも、大興奮した見事な一品であった。
 まあ、『THE SIX SENSE』で一躍名をあげたM. Night Shyamalan監督は、その後どんどん調子に乗って(※一応誉め言葉です)、どんどん変な映画ばかりを撮り、おそらく世界珍作映画選手権が開催されたら優勝候補の一角を担うことになるのは間違いないが、一方で、ロンドン生まれでロンドン大学国文科(=イギリス文学科)を卒業した、純イギリス人(※お母さんはUS市民のためUS国籍ももってるそうです)の真面目な文学青年、Christopher Nolan監督は、ストーリー展開においては「叙述トリック」めいた変化球を、そして物語のベースには、ある意味「消える魔球」的な、「たったひとつの嘘」をしかけた世界を用意し、その「嘘」の入り込んだ世界の中で、ド真面目に「人間そのもの」の深い心理を描くことで、現在の映画界において不動の地位をものにしているのだろうとわたしは考えている。
 わたしが言うNolan監督の「叙述トリック」とは、Nolan監督が良く使う「フラッシュバック」のことで、物語の中で何度も現れる「謎の風景」が、最後には、そういうことか、と分かる仕掛けのことであり、わたしが「消える魔球」と呼んだ「嘘」とは、たとえば『MEMENTO』における「記憶が保持できない状態」だったり、『INSOMNIA』における「不眠症」や『THE PRESTIGE』における「奇術」、そしてもちろん『DARKKNIGHT』トリロジーにおける「バットマンという存在」や『INCEPTION』における「夢に入り込む装置」など、非現実的存在のことで、それが「当然にある」世界を描きながら、キャラクターは現実世界そのもののリアルな造形となっていることで、その嘘が見事なスパイスとなって相克があらわになるというか、リアルが増すのである。上手く表現できないけど、要するにたった一つの嘘が真実をより鮮明にする、ような気がしている。Nolan監督と言えば、極力CGを排した、本物のド迫力映像や、IMAX撮影による映像そのものの凄さ、を最大の魅力に上げる人も多いかもしれないが、わたしはデジタル撮影だろうとCGバリバリだろうと全然構わないと思うし、むしろIMAXに固執している点はあまり評価はしない。そういう点では、自分の撮りたいもののためならハードウェアやソフトを自分で新しく作っちゃうJames Cameron監督の方が凄いと思う。Nolan監督作品の素晴らしさは、やっぱり物語そのものだ。

 というわけで、前置きが長くなりました。
 今日の会社帰りに、わたしはNolan監督最新作『TENET』を観てきたのだが……まず、もちろん面白かった!! とは思う。のだが、うーん……これはまた相当な変化球だぞ!? 
 なんつうか、いろいろな仕掛けがあって、最初に見た映像が後で、なるほど、そういうことだったのか!! 的な面白さというかスッキリ感はもう抜群なんだけど、はっきり言って、メインの物語自体はかなりアレだったような気がするなあ……。。。まさか、そんなトンデモSFだったとは……という点は、わたしとしてははっきり言って、なーんだ、である。
 おそらく、世の中的にはもう大絶賛の嵐なのかもしれないし、この面白さが分かんねえの? とか言う輩が多いだろうから、あまり批判はしたくないけれど、でも、結局やっぱり、どうしてもNolan監督の『MEMENTO』や『PRESTIGE』を思い出すというか、結論から言うと、わたしの期待以上の作品ではなかったすね。あと、本作のような「タイムサスペンス」映画を観ると、わたしはつくづく、やっぱり『Back to the Future』は本当にスゲエ最高の映画だったんだな、と思い知ったような気がしたっすね。特に『II』ですが。

 というわけで、以下、かなりネタバレに触れると思うので、まずは今すぐ映画館へ観に行ってきてください。話はそれからだ!

 上記は予告編ですが、まだ劇場へ本編を観にいっていない人はマジで、今すぐ退場してください。さようなら。

 はい。それではよろしいでしょうか?
 まあ、観た人なら、上記予告は全く核心に迫っていない、無害な、それっぽいシーンを集めただけということはもうお判りだろうと思う。時系列もめちゃめちゃだしね。
 物語を改めてまとめてみても、あまり意味がないと思うのでやめときます。予告の通り、「時間の逆行」現象の中で、一人の男が(いろんな仲間に助けられながら)、世界の崩壊を阻止しようとするお話だ。ある意味では、純イギリス青年Nolan監督が大好きな『007』にも基本骨格は似ているように思う。
 わたしとしては、本作を観た感想として以下の3つをポイントとして挙げておきたい。
 【1:今回の「嘘」は時間の逆行】
 最初に書いた通り、Nolan監督作品で描かれる世界は、たいてい「一つの嘘」がスパイスとして効いているわけだが、その「嘘」は、その世界にとっては当然、ということになっていて、ほぼ説明がないのも特徴かもしれない。例えば、『INCEPTION』の「夢装置」は何の説明もなかったよね。むしろ説明されてしまうと、それが「嘘」だということがはっきりしてしまって、世界から浮いてしまうのではなかろうか……と思うのだが、『INTERSTELLER』における「嘘」である「ワームホール」は、ラスト、設置したのが実は……というネタ晴らしはかなり見事だったと思う(※ただし、世界の舞台となる「緩やかに破滅へ向かう地球」に関しては何の説明もナシ)。
 また、直近作『DANKIRK』における「嘘」は、強いて挙げるなら「描かれる3つの舞台は実は時間の進行スピードがそれぞれ違う」という点で、これがまたよく見てないと分からないし、実のところあまり効果的に機能してるとは思えなかった。その点で、わたしは『DANKIRK』はあまり興奮しなかったというか、Nolan監督作品の中ではあまり評価していない。
 で、今回の「大嘘」は「時間の逆行」なわけだが……ネタとしては最高だと思うものの、これが「時間逆行させる装置を発明した天才未来人によるもの」という設定は、なんか、正直わたしは、なーんだ、と、つい感じてしまったのである。さらに言うと、おそらく、その天才未来人が何故、今回の悪者であるセイターに装置を渡したのか、について、活発な考察が、インターネッツ上で今ごろさかんになされているんだろうと思うが、正直わたしには、その肝心なポイントがよくわからなかった。これは何度か観ないと理解できないかもしれないな……。アレって、単なる偶然なの?? でも、入ってた書類はセイター宛だったんでしょ?
 ま、これは言い訳ですが、本作は場面転換が非常に盛んで、しかも物語の展開するスピードが、おっそろしく速くて、え、今なんつった? と思っているうちにどんどん加速するかのように物語が進んでしまうのも、わたしの足りない脳みそには若干厳しかったようにも思う。特に、ファイナル大バトルへ向かう主人公が受けるブリーフィングも、台詞が速すぎて、え、え? と思っているうちに進んじゃったようにも思える。
 ともあれ、普通の時間軸(=順行世界)の主人公の行動を邪魔したのが、実は逆行世界の主人公、自分自身だった、とあとでわかる仕掛けには興奮したし、順行世界の主人公を助けたのは実は逆行世界のニールだった、と分かるラストは、ニール、お前って奴は!! と、正直感動したっすね。もちろん、順行世界の人々と逆行世界の人々が同じ画面上で入り混じるような、ものすごい映像も見ごたえバッチリだろうと思う。「回転ドア」なる時間逆行装置は最高にクールでドキドキしたっすねえ!
 しかし、うーーん……言及されてしまった「未来人」に関して、どうしてもモヤモヤしてしまうというか、すっきりしないんすよね……まったくのオーパーツ、謎装置、で良かったのではなかろうか……。この点が、わたしが残念に思ったポイントの一つっす。ちなみに、わたしがすげえ、これは面白い! と興奮した「逆行世界」のルールが一つあるんすけど、「逆行世界」では、何と呼吸ができないんだな。というのも、逆行世界では、空気が逆に肺から出て行ってしまう、てなことらしい(とわたしは理解したけど、呼吸は吸って吐く、なんだからそれが逆になるだけでは?とも思った)。これ、すごい面白いというか、それを防ぐために逆行世界では常に(順行世界で装備した)酸素ボンベを背負ってるという設定は見事だと思ったす。
 【2:Nolan監督の真骨頂=人間心理はどこ行った?】
 そして本作で、わたしが一番モヤモヤしてしまうのが、主人公の行動原理が良く分からん点である。本作の主人公は、エンドクレジットで「Protagonist」と表記されていた。そのものズバリ、「主人公」を意味する英語で、名前ではない。おそらくこの「名前がない」点も、今頃インターネッツでいろんな議論がなされてるんだろうけど、まあ正直どうでもいいので、その意味は置いといて、だ。そもそもこの主人公は、どうしてまたヒロイン(?)キャットを助けるために行動し続けたんだろうか?? この点が、わたしにはどうしてもわからなかった。これって、理由はない、人間なら当然のこと、ってことでいいのかな? 主人公の本来のMISSIONからはちょっと離れてるのに、どうしてキャット救出を最優先するような行動をとり続けたんだろう? 善人だから? それが当たり前だから? ホントかそれ? こういう、人間心理の描写がNolan監督の真骨頂だとわたしは信じてきたのに、本作ではそれが若干薄いような気がしてならない。さらに、いつも主人公の脳裏から離れないイメージが繰り返しの挿入される=Nolan監督の特徴たるフラッシュバック、も、今回はなく、その点も、ちょっと主人公の心理描写として物足りないような気もしたっすね。
 ただし、ホントにニールはイイ奴ですよ……ニールはもう完璧だったすね。ニールに免じて許してもいいか、とテキトーに思いました。
 【3:音楽が素晴らしい!!】
 Nolan監督作品は、その音楽(というかもはや効果音・背景音)もまた常に素晴らしいわけだが、今回は、スウェーデン人のLudwig Göransson氏が初めてNolan作品に参加している。Göransson氏といえば、わたしとしては『CREED』や『BLACK PANTHER(※この作品でアカデミー作曲賞受賞)』といったRyan Coogler監督作品でお馴染みなのだが(※Göransson氏とCoogler監督は南カルフォルニア大学で学生時代の友達だそうです)、今回の音楽も実に素晴らしかったと賞賛したい。
 とりわけ、わたしが興奮したのは、悪者セイターの、鼓動とシンクロするようなビートの刻み方だ。わたしはまた、ある意味HULK的に、心拍数が上昇するとマズいことが起きる、みたいな、セイターが自分の心拍数をしきりに気にするのは何らかの意味があるんだろうと思ってたんすけど、なんか、結局その意味は分からなかったすね。なんか意味あったんすかアレ? これも私の足りない脳みそではよくわからなかったす。やっぱもう一度観ないとダメかもな。。。

 というわけで、まあ、面白かったけど、よくわからんことや、ええ~?的な部分もあって、手放しで100点満点!とはわたしは評価できないけれど、役者陣の演技は確かで、実に素晴らしかったと存じます。以下、4人のキャラクターとキャストを紹介して終わりにします。
 ◆主人公:前述の通り名前はない。拷問を受けても仲間は売らない! という信条=TENETを持つため、謎組織にリクルートされる。そういや、わたし、告白しますが、「TENET」って英単語があることを知らなかった残念野郎であります。その意味は「信条」「主義」「教義」という日本語にあたる英単語でした。そういった、確固たるTENET(信条)を持つ男だということが、主人公の資格であり、また、キャットを助けるために奔走した行動原理になるのかな? まあ、わたしは一応そう理解することにします。演じたのはJohn David Washington氏36歳。その名の通り(?)、名優Denzel Washington氏65歳の長男ですな。元NFLフットボーラーとしてもお馴染みだそうですが、NFLは全く知識がないので、わたしは選手時代を知らないす。実は恥ずかしながら、わたし『BLACK KLANSMAN』を観てないので、本作で初めて彼を観ました。演技ぶりは、まあ、フツーすね。本作では髭モジャCIA工作員だったからか、その容貌はあんまり父Denzel氏に似てないような気がしました。たぶん、わたしは事前に知らなかったらDenzel氏の息子だってことに気が付かなかったと思うす。
 ◆ニール:主人公の相棒として大活躍するイケメン。とにかくその、「ええ~……もう、しょうがねえなあ……(苦笑)」的な表情や、「まあ、任せときなよ(ニヤリ)」な笑顔が最高にカッコ良かった!! そして物語的に、ラストでニールのリュックについている5円玉ストラップが超効いてましたね! わたしはもう、あっ! てことはさっき倒れてたのも、そして冒頭のアレも!! と超グッときました。もう、本作はニールがカッコ良すぎてわたしとしては最大級に賞賛したいすね。演じたのは、来年(?)BATMANとしてスクリーンに登場する予定のRobert Pattinson氏34歳。この人を初めてカッコイイ!と思いました。Pattionson氏と言えば、もう当然、『TWILIGHT』シリーズの、超根暗(?)で青白い優柔不断(サーセン!w)な吸血鬼だし、あるいは『Harry Potter』でのイケメン上級生セドリックなわけですが、この人、笑顔が超カッコイイじゃないですか! 今まで笑顔のイメージが皆無だったので、次のBATMAN=ブルース・ウェインは常に眉間にしわを寄せるキャラだから超ピッタリだな、と思ってたけれど、今回のニールの笑顔はちょっと驚き&最高でしたね。
 ◆セイター:ロシア人。かつて、核汚染されたロシアの秘密軍設備で、核燃料回収の仕事をしていた時、謎の「未来人からのギフト」を手にし、その利権で財を成す。そして超DV野郎として妻を肉体的・精神的に拘束している。彼は「未来人」からの指示で、「現在」の世界に存在する「アルゴリズム」なるものを集め、世界を崩壊へと導こうとする。ちなみに核汚染の影響なのか、深刻な膵臓がんを患っており、余命はわずかで、世界を道連れにあの世へ行こうとしている(たぶん)。前述の通り、どうして未来人は彼を選んだのか、わたしにはよくわからなかったす。そして妻をどうしてまたそんなにひどい扱いをするのかも、正直よくわからんす。まあ、美人過ぎて男がチョロチョロするのが気に入らなかったんでしょうな、きっと。知らんけど。で、演じたのは、イギリスが誇るShakespearaおじさんことSir Kenneth Branagh氏59歳。わたしはこの人が監督主演した出世作『Henry V』を大学生の時劇場で見て以来、ずっといろいろな作品で観てますが、まあ、実にお達者ですよ。ロシア語訛りの英語もお手の物でしょうな。次の『DEATH ON THE NILE』のポアロも楽しみすね。
 ◆キャット:セイターの妻で、恐ろしく背が高い美人。ただ、やっぱりキャットに対しても、わたしはあまり好感を抱けずでした。だって、セイターが言う通り、この人だって、セイターのDirty Jobを知ってて、そのDirtyな金でセレブ生活をエンジョイしてたわけで、その点はどうなのよ、とか思ったす。まあ、だからと言って虐待されていいわけがないので、気の毒なのは間違いないけど、キャットが超美人だったから主人公は必死に助けたのかなあ? とか、超・低俗な思いも頭によぎっちゃうす。そんなことより、すげえ、今演じたElizabeth DebickiさんのWikiを観てビビった! なんと身長191cmだって!! すげえ! キャスト陣の誰よりも背が高かったから、こりゃ相当だぞ、とか思ってたけど、191cmはすげえなあ! ははあ、バレエダンサーだったんすね……さもありなんですなあ。とにかくスタイル抜群で超美人でした。この方は、結構今までいろいろな作品でお見かけしてる方なんですが、例えばMCUの『GUARDIANS of the Galaxy Vol.2』に出てきた、あの金ピカ星人アイーシャもこの方ですな。まあ、素顔は大変お綺麗なお方ですよ。何もかも諦めた絶望の表情も、怒りに燃えるまなざしも、大変良かったすね。
 そのほかには、有名どころとしては、『KICK ASS』の主人公や『AGE of ULTRON』で殉職したクイック・シルバーでお馴染みのAaron Taylor-Johnson君や、Nolan作品『INSOMNIA』で主人公の相棒として印象的な芝居を見せてくれたMartin Donovan氏がチラッと登場したり、もちろん、Nolan作品にはなくてはならないSir Michael Caineおじいちゃんも登場します。シーンとしては数分だけど。

 というわけで、もう書いておきたい事がなくなったので結論。

 現代の最強映画監督選手権が開かれたら、間違いなく優勝候補に挙げられるであろうChristopher Nolan監督の最新作、『TENET』がついに公開になったので、さっそく観てまいりました。結果、映像はものすごいし、「時間の逆行」という本作における最大のポイントも、非常に興味深く、結論としては、面白かった、というべきだろうと思う。思うんだけど、正直期待を超えるとは思えなかったし、なんかちょっと、いろいろアレかも、と思った点があったことは、散々書いた通りであります。まあ、それは恐らく、わたしの頭の悪さに由来する可能性が高く、それは素直に残念だと思う。とにかく、本作は場面の転換が速すぎて、キャラクターたちが次の地へ向かう移動時間がほぼはしょられているし、とにかく切り替えが速すぎると感じた。わたし的に本作での一番の収穫は、主人公の相棒ニールを演じたRobert Pattinson氏が、それまでのわたしの中にあったイメージを完全払しょくするぐらいカッコ良くて、キャラクターにぴったりであったという点だろう。この人、演技上手いんすね。実に見事でありました。まあ、この映画、恐らく今後、何度も見ると思います。そしてそのたびに、ああ、そういうことか!と発見して、初めて観た時のこの感想を、ああ、オレはやっぱアホだった、と後に思うことになるんだろうと思われます。以上。

↓ うーん、まあ、わたし的にNolan監督作品で一番すごいと思うのはやっぱり『INCEPTION』かなあ。「映像化不能!」という小説はよく聞くけど、初めて「小説化不能!」という映画を観た、と感じたっすね。今回の『TENET』も、小説化不能かもしれないすね。
インセプション (字幕版)
マイケル・ケイン
2013-11-26

 マジかよ……なんてこった……!!!
 おそらく、わたしと同じように呆然とした方が日本全国で何万人かいらっしゃることでしょう。そうです。例年2月と8月に新刊が発売となる、高田郁先生による小説『あきない世傳』シリーズ最新(9)巻のことであります。
 たぶん、高田先生の『みをつくし料理帖』がめでたく映画化されたことで、いろいろお忙しかったのか、あるいは、本作の中でちらほら垣間見えるCOVID-19の影響のようにも読める部分の書き足しや推敲に時間がかかったのか、いずれにせよ、いつもより1カ月遅れで発売された(9)巻は、冒頭に記した通り「マジかよ……!!!」という驚愕で幕を開けたのであります。

 というわけで、以下、ネタバレに完璧触れざるを得ないので、気になる方はまずはご自身で読んでからにするか、今すぐ退場してください。また、もう既に読まれた方なら通じると思いますが、わたしは「裏切者」に対して激怒しておりますので、結ちゃんファンの方も、読まずに退場された方がよろしいかと存じます。


 はい。よろしいでしょうか?
 いやーーーそれにしても……それにしてもマジかよ、であります。
 前巻は、主人公「幸」ちゃんの妹である「結」 ちゃんによる、とんでもない行動で幕が閉じ、わたしとしてはもう一刻も早く続きが読みたい!! と思っていたわけで、いよいよ発売となった今巻を昨日本屋さんで発見した時は、もう大興奮で購入し、読み始めたわけですが……まさかの展開に、うそだろ!? うそって言ってくれよ結ちゃん!! と手が震えるほど心が高ぶってしまったわけです。
 もうお読みになった皆さんもきっと同じでしょう。そう、結ちゃんは、マジで、本気で、信じられないけどマジで、姉である幸ちゃんを、そして五鈴屋のみんなを裏切ったのでありました……。これがフェイクで、実は……という展開がありうるのかな!? ないよね? てことは、マジ、なんだと現状では思います。
 そこに至る過程は、もう前巻までで語られているので、多くは書きません。が、はたして結ちゃんを「にんげんだもの」と仕方ないことと許せる読者はいるのだろうか?
 現代ビジネスに置き換えて考えてみると、今回描かれるのは、主に以下の2つのことだ。
 【1:身内による裏切り】
 まあ、創業メンバーの分裂なんてものは、世の中的にごく普通に良くある話だろうと思う。結ちゃんは創業メンバーではないけれど、代表取締役の妹として勤務し、仲良し姉妹だった二人だが……まあ、現実世界でも親が子を殺し、子が親を殺し、きょうだい同士殺し合う事例には事欠かないのだから、残念ながらそんな分裂は珍しいものではない。
 分裂に至る過程は、きっとさまざまではあろうと思うけれど、たぶん、「嫉妬」と「傲慢」というものがその根底には共通しているのだろうとわたしは考えている。
 この二つは、表裏一体で、主に残る側から出ていく奴を観ると、「あの野郎は嫉妬してるのさ」と見えるだろうし、逆に出ていく側から残る奴を観ると、「あの野郎の傲慢さには耐えられん」ということになるのだろうと思う。これはもはや、いい悪いの問題ではなく、完全にハートの問題で、当事者以外には理解できまい。そして、人間としてホントに困るというか、うんざりするのは、ハートの問題は「理屈」や「正論」では解決不能なのが人間のサガであろうと思う。
 残念ながらそんな「ハートの問題」で分裂する会社はいくらでもあるし、まあ、バンドや友達関係でもそうですわな。正論としての「正しさ」ならば、第三者から判断できることもあるだろう。けれど、感情の問題になってしまうと、どっちが正しいか、なんてことはもう関係なくなってしまう。とにかく、嫌なものは嫌! ってやつだ。
 ただし、だ。嫌なら嫌で、さっさと分裂して出ていけば、サヨナラ~、で終わるのに、世の中にはそれでは腹の虫がおさまらない人々が多く、いわゆる「立つ鳥跡を濁」しまくる輩が多く存在しているのが現実だ。そんな行動は、まあ、にんげんだもの、と、500万歩譲って理解するとしても、ビジネス世界では絶対に許されないことがある。それは、「商売のネタを勝手に持ち去ること」だ。
 「商売のネタ」とは、例えば顧客リストだったり、古巣の機密情報だったり、さまざまだろうと思う。これらは、いわゆる「ビジネスモデル」とまとめていいかもしれないが、要するに、どうやって金を稼ぐか、に直接つながる事柄を、出て行ってそのまま使う、のが一番のタブーだと思う。
 今回、結ちゃんはまさしくその禁忌に触れまくる行動を起こしてしまった。五鈴屋の最新商品設計図を持ち逃げし、あまつさえライバル企業に転身、さらに新店オープン時には、店内のディスプレイも丸パクリ、接客スタイルも完全コピー。さらに言えば、これはビジネスにはまったく関係ないことだけど、人間的に完全なるスケベおやじのクソ野郎の嫁にちゃっかり収まり、高笑いするという、もうこれ以上ないだろ、というぐらいの悪党となってしまうのでありました。この心理は、わたしにはまったく、1mmも理解できません。わたしが男だからなのか??
 しかも、わたしがどうしても許せないのが、「自分は何も悪くない。悪いのは傲慢な姉」と自ら信じ込んで一切の反省・自省がない点だ。救いようのない邪悪な精神とわたしは断ずるにやぶさかではないすね。「かんにん」の一言は、悪いことをしているという自覚の表れだったのだろうか? さらに言うと、その動機が「自分を追い詰めた傲慢な姉を困らせる」ことに尽きる(ように見える)点も、救いようがないと言わざるを得ないだろう。そのためなら誰を巻き込み、犠牲にしてもいいと思っているのだから恐ろしいよ。おまけに、結ちゃんは、好きでも何でもないキモイおっさんに抱かれることを前提としていて、いわば自らも犠牲にしている投げやりさが、ホントに痛ましいというか、悲しいというか……だからって許さないけど、まあ、とにかく、あんまりだよ……。
 恐らく現代であれば、結ちゃんの行為は……実際勝つのは難しいかもしれないが、窃盗あるいは業務上横領として刑事告発可能だろうと思うし、民事的にも賠償訴訟は可能なレベルの「裏切り」だと思う。はっきり言って、わたしはこれまでの過去のいきさつを理解していても、結ちゃんを到底許すことはできません。もちろん、結ちゃんをそそのかした音羽屋も、断じて許すまじ、である。全然関係ないけど、出版業界人的には、音羽屋ってネーミングの意味を勘繰りたくなりますな。
 しかし、だ。たとえ許せない行動を取られ、実際に経済的不利益を被らされてしまったとしても、同じことをしてやり返す行為は、まさしく地に落ちるというもので、たとえどんなに嫌な目に遭っても、自らはルールに則った「正しさ」を意識しないと、あっさり自らもダークサイドに落ちてしまうわけで、我らが主人公、幸ちゃんは、もちろん愚かな妹に対しても、直接的攻撃を仕掛けることなく、真正面から大魔王になり果てた妹(の店の攻撃)と対峙していくわけで、そこにカッコよさや美しさがあるわけです。はあはあ、書いていて血圧上がるほど腹が立つわ……。
 【2:やっかいだけどどうしても切れない業界団体】
 そしてひたすら耐え、自ら信じる正しさ・公平さを頼りに、真面目にあきないに邁進しようとする我らが主人公幸ちゃんだが、さらに追い打ちをかけるように困った事態が巻き起こる。それは、業界団体からの制裁だ。
 今巻で描かれた、直接的な原因は、とある同業者の重要な顧客を五鈴屋が奪ったことに対する制裁、ではある。たしかに、幸ちゃん本人も反省している通り、若干の油断というか無自覚な部分が制裁を引き起こしてしまったという点は間違いなくある。しかし、どうやらその裏には、クソ音羽屋=結ちゃんの逃亡先、が絡んでいるのはもう読者には分かりきっているわけで、もうホント、今巻は読みながら何度怒りに拳を握ったかわからないぐらい、イラつきましたね……。
 業界団体というものは、はっきり言ってビジネス上、うっとおしいことの方が多いと思う。もう、そんな団体に所属する意味ないじゃん、とか思うことだってある。しかし、そんな業界団体であっても、やっぱり存在意義はちゃんとあって、しぶしぶ、とか、うるせーなあ、とか思っても、やっぱり所属しておいてよかった、と助けてくれることがあるのもまた間違いなく、その付き合い方は非常に難しいし、理事とかに選ばれちゃうと少し見方も変わってくるのだが、要するに、商売は完全にスタンドアローンでやるより、同業者のネットワークはどうしても欠かすことが出来ないのが現代ビジネスだ。
 その業界=呉服屋協会からの追放令は、いかに幸ちゃんに打撃を与えたか、考えるに忍びないほどなわけだが……。この究極ウルトラ大ピンチに、5代目こと幸ちゃんの前に現れたのが! あの! 前々夫の惣次ですよ!! ここはまあ、予想通りの登場かもしれないけど、やっぱりコイツはデキる奴なんだな、と思わせるシーンでしたなあ!
 惣次は、幸ちゃんにズバリ言う。追放なら、いっそ自分で新しい業界団体立ち上げちゃえば? と。たしかに、それはやり方の一つとして十分アリ、ではあろうし、現代でもそういった「業界団体の分裂」は、よくあることだ。しかし、惣次の言葉は幸ちゃんを試すものでもあって、幸ちゃんは、(おそらく惣次が期待した)100点満点(?)の回答をしてのけるわけです。それがどんなに茨の道でも、きっちり正道を行こうとする幸ちゃんにわたしとしては大変感動しちゃうわけですな。
 そして―――幸ちゃんは、業界団体追放=呉服(=絹製品)を扱えなくなる=太もの(=綿製品)しか扱えない状況となってしまうわけだが、めげない幸ちゃんは、新たな商品開発に頑張ろうとするのだが、ここで一つ、またちょっと泣けるエピソードも入る。それは、大好きだったお兄ちゃん、18歳で逝ってしまったお兄ちゃんに関わるエピソードで、実に感動的でありました。また、久しぶりに大阪に戻って再会した菊栄さんの境遇と、菊栄さんのガッツあふれる計画にも心から応援したいと思うし、とにかく幸ちゃんと菊栄さんの再会だけでも、なんかうれしくって感動しちゃうすね。
 まあ、正直に言えば、いつも通り、美しすぎるだろうし、出来すぎなのかもしれない。現実にはそうはいかない、超・茨の道かもしれない。でも、それでも、やっぱり真面目に地道に頑張る幸ちゃんは、報われてほしいし、幸せになってほしいわけで、素直に応援したくなりますな。そして心のねじ曲がったわたしは、このあとで結ちゃんには地獄を味わってほしいし、決して和解なんてしてほしくないすね。でもまあ、最後には美しい和解が描かれるのかな……どうでしょうかね……。

 とまあ、こんな感じの今巻は、ラストに新たなる新製品のめどが立ちそうで、希望を感じさせるエンディングで幕を閉じる。そういえば冒頭に記した通り、本作の中では随所で現実世界のCOVID-19感染蔓延による世界の変化、を反映したような描写も多かったすね。歌舞伎役者の富五郎さんのセリフ「歌舞伎や芝居…(略)…などは、生死が左右される状況になってしまえば、人から顧みられることがない」「それでも…(略)…ただ邁進するしかありません。悪いことばかりが、永遠に続くわけではないのですから」という言葉には、宝塚歌劇を愛するわたしとしては大変グッときましたね。
 あと、今回わたしが、ああ、そういうことなの? と初めて知った豆知識は、ズバリ現代の「浴衣」ってやつの誕生(?)物語すね。なるほど、浴衣ってのは、「湯帷子(ゆかたびら)」から来てるんですなあ……これはどうやら今後、五鈴屋を救う大ヒット商材になりそうで、大変楽しみであります! そして、菊栄さん考案のかんざしも、どうやらキーアイテムになりそうだし、なにより、菊栄さんと、あのお梅どんがとうとう江戸にやってくるなんて最高じゃないですか!!
 要するにですね、今巻の感想としては、もう前巻同様に「高田先生! 次はいつですか!!」ってことで終わりにしようと存じます。はあ、早く続きが読みたいっすねえ!

 というわけで、結論。

 いや、もう結論まとめちゃったけど、ついに牙をむいた妹、結の想像を超える大魔王変身ぶりにわたしは強く憤りを感じつつ、それでもめげない、いやそりゃめげそうになってるんだけど、それでも頑張る幸ちゃんの姿に、大いに感動いたしました。もちろん、結をそそのかし、ダークサイドに引きずり込んだ音羽屋が一番の悪党であろうとは思うけど、それにまんまとハマった結の、あまりに考えの薄い愚かさ、日本語で言う「浅はか」さにも当然罪があるわけで、わたしは断じて許せないす。しかし、もうどうしようもないことに腹を立てても仕方ないわけで、わたしとしては、どんどんと善人が周りに集まってくる幸ちゃんの今後を心から応援いたしたく、次の新刊を心待ちにいたしたく存じます。今回も、腹は立ったけど最高でした!! 以上。

↓ まあ、観に行かんといかんでしょうなあ。どこまで描くのかしら……?




 はーーーしかし映画が全然観に行けない……つうか、観たい映画がない……。
 というのがここ2カ月ぐらいの状況だったわけだが、9月になっていよいよ、待望の映画公開が続々と近づいてまいりましたね。わたし的には今週末の『TENET』を早く観たいす!
 というわけで、今週末は、とりわけ強力に観たかったわけではないけれど、とある上場企業の株主優待で「ムビチケGIFTカード」を6枚もらえてしまったので、有効期限もあることだし、どんどん使おう! ということで、『MIDWAY』を観に行くことにした。
 まあ、題材的に我々日本人としては当然、いろいろ思うことはあるわけだが、日本人キャスト陣もしっかりしているし、少なくともトンデモおバカムービーにはなっていないだろう、という期待を込めて観に行こうと思ったところ……結論から言うと、なんかまとまりがないというか、物語的な軸がないというか、何て言えばいいんでしょう……これは断片的な再現記録映像集、みたいな感じなんだろうか? なんともポイントの絞れない緩慢ムービーだったような気がします。あと、演出的にも、いかにも中華作品(=本作は中華資本が投入されています)っぽい「うそくさいCG」、例えば爆発炎上した機体の爆炎から主人公機がずぼーーっと出てくるみたいな、全く好きになれない画作りはちょっと食傷気味というか、極めてアレだったすね。
 ただし、映像そのものの空母や戦闘機の質感だったり、演じた役者陣の演技ぶり、特に二人の日本人キャストの頑張りはとても素晴らしかったので、わたしとしては観て良かった、とは思っております。はい。あと、歴史的な正しさに関しては、わたしはこれは映画なんだから、と割り切ってるので、特に問題にしません。
 というわけで、以下、ネタバレに気にせず書いてしまうと思うので、気になる方はまず映画館で観てきてからにするか、退場してください。

 はい。それではよろしいでしょうか?
 というわけで、本作は真珠湾攻撃からミッドウェイ海戦における大日本帝国海軍航空母艦「飛龍」の最後まで、が描かれている。実はその飛龍の最後のあとはもう、エピローグ的にこの人は後にこうなった、という形で映画は終わっちゃうのです。まあ、それはそれで、山口多聞少将(死後に中将)の最期のカッコ良さが際立っていたので、アリではあるけれど、なんか、結局ミッドウェイ海戦の意義は何だったのか、とか、上記予告にあるような、勝敗を分けたものは何だったのか、というものはまるで感じることはできなかったような気がする。
 本作は、登場人物が有名な実在の人物ばかりで、わたしは予告を観た時は、情報戦を描くのかしら? と思っていたのだが……なんか、その点も薄くて、かなりあっさり風味でしたな。
 アメリカ側での主人公Dick Best氏は、正直わたしは知らない人だったけれど、彼の航空機操縦テクがやたらと描かれる場面が多く、ミッドウェイでも大活躍するのだが……はっきり言ってBest氏の航空テクが戦況をひっくり返した的に、個人の技を英雄=ヒーローに仕立て上げられているようにも感じられて、なんか、思ってたのと違う……という感覚は最後まで消えなかったす。
 たしかに本作では、US-NAVYの情報士官Edwin Layton氏率いるチームの暗号解読も描かれるけれど、なんかホントにほんのちょっとだけだったすね。そこが少し残念す。
 ほか、歴史的には有名、だけど、わたしがこの映画を観て実は初めて知ったのが、Doolittle爆撃隊の顛末だ。Doolittleは初めて日本本土を爆撃したわけで、その攻撃で日本は、コイツはヤバい、と焦りだすわけだけど(Wikiによれば被害は微少だったらしい)、本作では皇居の近くに着弾して昭和天皇が防空壕へ退避するシーン(※これは事実なのかわからんですが)もあって、日本人としてはそんなシーンがあると、確かにこれはもう、軍部は超慌ててヤバかっただろうな、と思えるような場面でありました。そしてこのDoolitle爆撃隊は、劇中では燃料残量からどこに不時着するかわからん、片道切符だけど俺たちは行く!的な英雄行為として描かれていて、結局日本爆撃後は中国にたどり着いて、地元中国人に助けられるというさまも描かれてました。これはどうやら史実通りらしいけど、さすが中華資本作品だな、と、どうでもいいことで苦笑しちゃったす。ただし、中華資本とはいえ日本側を貶めるような描写は一切なかったのも事実で、その点はキッチリとフェアだったと思います。ちなみにWikiによると、蒋介石は日本軍の報復を恐れて、受け入れを嫌がってたみたいすね。なるほど、そうなんだ。
 というわけで、わたしもポイントの絞れない緩慢レビューしか書けそうにないので、各キャラと演じた役者をメモして終わりにしよう。
【大日本帝国海軍】
 ◆山本五十六海軍大将:本作は冒頭、1930年代後半(正確な年は忘れた)の東京から始まる。そしてアメリカに留学し、在US日本大使館に武官として駐在したこともある山本氏が、きっちり英語でのちに暗号を破るEdwin Layton氏と会談するシーンが描かれる。ここは非常に印象的で、演じたトヨエツこと豊川悦司氏のカッコ良さと確かな演技が非常に素晴らしいシーンだ。ここから始まるので、これは面白くなりそうだぞ……と期待したけれど、正直ここ以外はあまり出番もなく、ちょっとさびしいというか、もったいなかったような気がしますね。とにかく、トヨエツ氏のカッコ良さは間違いないです、はい。そして、写真で見る山本五十六氏に、どことなく似てますね、やっぱり。いや、誰がどう見てもトヨエツ氏だし、Wikiによれば五十六氏は身長160cmだったそうなので、180cmを超えるトヨエツ氏と似てるわけないけれど、その佇まいというか雰囲気的なものは極めて五十六氏でした。お見事です。年齢も、どうやら現在のトヨエツ氏(58歳)と当時の五十六氏はちょうど同じぐらいだったみたいすね。ただ、本作ではやっぱり五十六氏の人物像はつかめないすね。有能なキレる男だったのか、凡庸だったのか、わたしにはよくわからなかったす。なお、五十六氏が乗艦したかの「戦艦大和」は、ほんのちょっとだけ登場します。
 ◆山口多聞海軍少将:わたしのようなオタク野郎にとっては漫画『ドリフターズ』でお馴染みの多聞少将。実は『ドリフターズ』で描かれる少将は、残っている本人の写真に非常に忠実な容貌で描かれているので、わたしは50代後半ぐらいのおっさんなのかと思ってたけど、さっきWikiで49歳没というのを知って驚いた。意外と若かった! そして今回、多聞少将を演じた浅野忠信くんは現在46歳か、わたしは『ドリフ』の多聞少将しか知らなかったから、やけに若いなあ、とか思ってたんだけど、意外と年が近くて、このキャスティングはアリだったんすね。本作での多聞少将は、見た目の良さだけじゃなく、やたらと言動が男らしくてカッコ良くて素晴らしかったす。
 ◆南雲忠一海軍中将:なんか本作では、妙に判断力の劣るダメ将官として描かれていたような印象。そんなことないはずなんだが……。。。演じたのは圀村隼氏64歳。南雲氏は当時56歳とかそんなもんだったみたいだから、ちょっと年齢差がありますな。
【US-NAVY=アメリカ合衆国海軍】
 ◆ディック・ベスト:前述の通りUS側主人公。航空機パイロット。ドッグファイトも爆撃もこなすエース(?)パイロット。彼のキャラ付けも、正直よくわからんというか、単なる勇猛果敢なカウボーイ野郎と言えばいいのか、とにかく、これぞアメリカン・ヒーロー的な描かれ方に見えるのはちょっと気の毒な気もする。演じたのはEd Skrein氏で、あーこの顔絶対知ってる……けど誰だっけ、とずっと分からず、劇場を出てすぐパンフを開いて思い出した。この特徴的な笑顔、口元のしわは、『Alita:Battle Angel』で、やたらと主人公アリータに突っかかってくる嫌な野郎、だけど結構あっさりやられまくるかませ犬的キャラだったザパン、を演じた彼っすね。
 ◆エドウィン・レイトン:海軍情報主任参謀。ホントなら彼の大活躍を観たかったというか知りたかったけど、なんかいまいち存在感は薄め。演じたのは、わたしにとっては永遠に『WATCHMEN』の「ナイトオウルII世」としてお馴染みPatrick Wilson氏。USキャストで唯一、五十六氏とのシーンで日本語をしゃべる。その日本語は、下手だけど十分に聞き取れたし、問題なく合格点だと思います。
 ◆チェスター・ニミッツ太平洋艦隊司令長官:かの有名人ニミッツ元帥を演じたのはWoody Harrelson氏なわけですが、さっきWikiでニミッツ氏の写真を見て驚いた。結構似てるっすね!? わたし的にはスキンヘッドじゃないHarrelson氏を観るのは久しぶりなような気がするけど、非常にキレ者めいた眼光の鋭さは大変良かったと思います。
【US-ARMY=合衆国陸軍】
 ◆ジミー・ドゥーリトル:前述の通り初めて日本本土を爆撃した男。出番はとても短いが、演じたのはさまざまな作品でお馴染みのAaron Eckhart氏。わたしはまた、US-NAVYとARMYの確執のようなものも描かれるのかな、とか思ったけど、ほぼなし。ついでに言うと大日本帝国海軍と陸軍の確執も、ほんの少しほのめかされる程度でした。本来的には結構重要なファクターだと思うけどな……ま、いいや。
 とまあ、キャスト陣に関してはほかにも有名役者が多く出演しているけれど、この辺にしておきます。最後に監督についてメモしておくと、本作は、わたしの大好物な「ディザスター」ムービーでお馴染みのドイツ人、Roland Emmerich氏の作品であります。まあ、その映像の派手さは本作でもいかんなく発揮されていますが、このところ自分で脚本を書いてない作品が多くて、その点はちょっと残念すね。本作も脚本は別人です。
 ちなみに、パンフによると、本作は当初、日本での配給権買い付けの手が全然挙がらなかったそうだ。まあ、内容的には確かに、日本市場においてどんなリアクションされるかわからんので、ビビったんでしょうな。で、日本サイドが描かれてるシーンを積極的に観せて営業をかましたところ、手を挙げるところが増えて、結果、木下グループが買って公開となったわけだけど、なんつうか、わたしがバイヤーだったとしても、試写で全編観て、これは面白い、買いたい! とは思わなかっただろうな、と思います。理由はもう最初に記した通り、なんかいろいろまとまってないというか、淡泊で薄口なのがちょっとアレだと思います。

 というわけで、ホントまとまらないので結論。

 日本人にとっては極めていろいろな想いのある「ミッドウェイ海戦」を、ハリウッド派手映像王のRoland Emmerich監督が描くとこうなる、という映画『MIDWAY』を観てきた。結論としては、映像的な迫力はさすがのEmmerichクオリティだし、戦艦や空母、航空機というオブジェクトのCGは本物の質感を備えていてそれなりに見ごたえはある。が、肝心のお話が……薄口というかまとまりがない、と感じられた。なんか、だからなんなの? というオチがないというか、ミッドウェイ海戦の意義や戦況のターニングポイントが、わたしの期待したようなものがあまり重要視されてないように思えたのであります。なので、まあ、それほど人にお勧めできないかな、というのがわたしの結論です。ただし、トヨエツ氏による山本五十六、浅野忠信氏による山口多聞氏はとてもカッコ良かったです。以上。

↓小学生の時に観たっすね。懐かしい。。。
連合艦隊
金田賢一
2013-11-26

 「透明人間」といえば、まあ、SFの古典であるH.G. Wells氏が1897年に発表した小説が原典なわけだが、これまで様々に映画化されており、わたしが透明人間と聞いて真っ先に思い出すのは、2000年に公開された『Hollow Man』(邦題:インビジブル)という作品だ。この映画は、血まみれ大好きオランダ人でお馴染みのPaul Verhoeven監督作品で、イイ感じに血まみれかつ若干エログロ(?)な作品でわたしの好みにジャストミートなのだが、主役のイカレ科学者を演じたのが、わたしが大好きなKevin Bacon先生で、その演技もまた極めて上モノで、とにかく最高なのであります。
 そして時は過ぎ―――ちょっと前の2017年に、ユニバーサルは自社が版権を持つ(?)、クラッシック・モンスター映画を現代によみがえらせ、共通世界観で描いたらモンスター版アベンジャーズになるんじゃね? とひらめいたらしく、「ミイラ男」「狼男」「フランケンシュタイン」「ジキルとハイド」「透明人間」などを登場させる「ダーク・ユニバース」構想をぶち上げた……のだが、第1作目の『The Mummy』(邦題:ザ・マミー/呪われた砂漠の王女)が、豪快にズッコケて爆死してしまい、計画は封印された……らしい。わたしはその計画自体は非常に魅力的で楽しみにしていたのだが、実に残念だ。
 ちなみに、その「ダーク・ユニバース」計画では、透明人間を演じるのはわたしがあまり好きではないJohnny Depp氏が予定されていたので、まあ、それはなくなって良かったかな、と思っていたところ、なぜか知らないけど、この古典的キャラクターである「透明人間」の企画は単独作品として生き残り、公開されるに至ったのであります。
 それが、わたしが昨日の土曜日観てきた『THE INVISIBLE MAN』だ。
 まあ、のっけから結論を言うと……ダメっすね。いろんな点が。これなら、2000年のBacon様主演の『Hollow Man』の方が100万倍面白かったす。というわけで、以下ネタバレ全開になる可能性が高いので、知りたくない人はここらで退場してください。さようなら。

 というわけで、どうすか、この予告は。はっきり言ってかなりデキが良さそう……すよね? 少なくともわたしは、おお、こりゃあ面白そうだ、とかなり期待して劇場へ向かったわけだが……残念ながら、かなりダメでした。以下、わたしがこりゃアカン、と思ったポイントを2つ、メモしておこう。
 ◆ヒロインが全くダメすぎる。魅力が全くない。
 そうなんすよ……まず本作のヒロインが、全く共感できないクソ人間なんだよな……。
 思い返すと、Bacon様主演の『Hollow Man』や、例えばそうだなあ、『THE FLY』なんかでも、主人公の科学者はちょっとイッちゃってる、けれど、それなりに同情に値する人物で、むしろいつも、ヒロインの方が結構ビッチな場合が多く、性格のねじくれたわたしは、科学者が世紀の大発明をして、そしていろいろな悪いことをしでかしても、基本的にはもう、いいぞ、もっとやれ! と応援側に回っちゃうんだな。まあ、結果、いつもクソビッチな元彼女に撃退されて悲劇エンドで終わるわけなんだが、例えば『THE FLY』なんかは、ヒロインも最終的には健気で、もうとても悲しく、極めてエモーショナルなエンディングを迎えるわけです。『Hollow Man』のヒロインは最後までクソでしたが。
 しかし、だ。今までの作品では、一応美人だったり、どこか許せる要素があったけれど……本作は、ヒロインであるセシリアが全く魅力的じゃあないんすよ!!! それは性格的にも全くアウトだし、ズバリ言えば全く可愛くないし美しくもない。つうか結構なブ……ゴホンゲフン、サーセン、ちょっとむせたっす。なので、大体なんでイカレ科学者はこの女に惚れて、執着したんだ?? という説得力がゼロ、皆無だ。もっといい女と出会えたでしょうに……。
 なので、ヒロインのキャスティングが致命的にアウト! だとわたしには感じられた。しかもなんなのあのエンディングは。このクソビッチが一番の悪党じゃん! と腹立たしい気持ちで劇場を後にしたのだが、確かにそりゃ、そもそもはイカレ科学者のDVが原因ってのは、まあ、5万歩譲ってアリだとしましょうか。でも、お前、余裕で金だけは受け取るし、それまで散々いい思いしてきて、完全に金目当てだったじゃんか。こんなヒロインには共感できっこないですな。このヒロイン、相当悪党ですよ。実に胸糞悪いす。
 ◆これは純粋に工学的技術であって、科学者というよりエンジニアじゃね!?
 そうなんすよ……そもそも、「透明人間になる」のは、『Hollw Man』では、薬剤投与による生理学的・化学的な変化なわけで、純粋空想科学の話なのだが、本作ではなんと、単なる技術なんだな。そう、いわゆる「光学迷彩」なのです。マーベルヒーローに例えるなら、今までの透明人間はハルクやキャップ、あるいはスパイディなどと同じ生体変化であったのに反して、今回はズバリ言うとアイアンマン、つまりメカニカルヒーローなんだな。ヒーローじゃないけど。
 でもまあ、100万歩譲って、光学迷彩でも良しとしましょうか。たしかに、本作で登場する「光学迷彩スーツ」のビジュアルイメージはとてもそれっぽくてカッコいいし、実にスタイリッシュだとは思う。その点はもう、賞賛したいですよ? でもなあ……ズバリ言えばそんなの現状の技術の延長線上にあるわけで、実現できる分からないけど、「SF」とはいいがたいような気がしてならないすね……。
 その結果、主人公たるイカレ科学者エイドリアンは、たんなるイカレエンジニアになり下がり、さらに言えば特に苦労もしてないし苦悩もしない。たいていの場合、度重なる失敗という苦労の末に世紀の大発明をして、それを自らを実験体にして、成功、するけれど、「元に戻れない!!」という苦悩を味わうのがお約束なのに、本作の場合、開発の苦労は一切描かれないし、元に戻るのもスーツを脱げばいいだけってのも実に気に入らないすね。これじゃあ共感もできないっすなあ……。。。
 そして、やっぱりどうしてもなぜコイツはそんなにこのクソ女にご執心なんだろうか? という点には全く理解が出来ず、おまけに、ほぼ単なるうっかりミス? でスーツを奪われ逆襲されるというエンディングは実に見ていて興ざめだったすな。アホだコイツ……というのが結論す。
 というわけで、この二人のイマイチすぎるキャラクターと演じた役者についてメモして終わりにしようと思います。監督や他のキャストはもうどうでもいいや。
 ◆セシリア:ヒロイン。全く可愛くない。どうやらなんかのパーティーでエイドリアンと出会い、お互いLOVEるわけだが、どうやら物理的暴力&精神的虐待を受けたとして、エイドリアンの住まうウルトラ超豪邸から脱出。わたし的には脱出時、飼ってるワンコに、「ごめんね、連れて行けないの」と置き去りにした開始5分の段階で、コイツに対する共感はゼロになりました。そしてどういう関係かまったく描かれていないけれど、友人である警官の黒人男性の家に転がり込む。そして遺産として5億もらえるとなると、余裕でその金は貰い、どうでもいい買い物をしたりと、時間が経つにつれてどんどんと、わたしのコイツに対する共感はマイナス値が積みあがって行きましたな。お金なんていらないわ! という展開ならまだ許してやっても良かったのに。相当なクソ女だよ、コイツ。すごいしっかり者の妹が出てくるのだが、その妹が気の毒過ぎるよ……。そしてラストシーンの若干してやったりな表情には、すぐさま席を立ちたくなったす。あそこで口元に笑みを浮かべさせなかったのは、監督の良心だと思いたい。笑ってたら、マジで即、席を立っただろうな。こんなトンデモ女を演じたのはElizabeth Moss嬢37歳。全く可愛くないし、興味も持てないので以下省略。
 ◆エイドリアン:光学技術エンジニア。超金持ち。天才らしい。どういうわけかセシリアに執着しているが、一応、本編で語られたところによると、どうしても自分の子供が欲しかったらしく、実はセシリアは妊娠していて(セシリア自身は避妊薬を飲み続けていたと思い込んでたけど、エイドリアンにはとっくにバレてて、薬をすり替えられていた。気づけよ!)、セシリアというよりその胎内の子が欲しかった、みたい。でもアンタさあ、アンタならいくらでも相手がいたでしょうに……。おれには分からんわ……。
 一つポイントなのが、エイドリアンの兄貴が弁護士で出てくるのだが、わたしはまた、この弁護士が実は弟を殺して、スーツを奪って、遺産がセシリアに渡ってしまうの邪魔するために暗躍してるんだろうな、と思ったけど、全然違ってました。でも、エイドリアンは純粋にセシリアを愛していて、遺産を渡そうとしていた、けど、兄貴はそれが気に入らない、って話の方が面白かったと思うんだけどな……。そしてそんなエイドリアンを演じたのは、Oliver Jackson-Cohen氏34歳。まあ、イケメン……かな? でも、残念ながら「透明」なので、ほぼ姿は映りませんw 出てくるのは最初と最後だけっす。
 とまあ、こんな感じでもう書きたい事がなくなったので、終わりにしたいが、最後に全く関係ないけど、2000年公開のBacon様主演『Hollw Man』がいかに素晴らしいかについて一言書いておこう。
 とにかく、ビジュアルイメージがまず最高すね。皮膚→筋肉や臓器→骨、とだんだん透けていくあの映像はやっぱり秀逸だと思う。そして「もし透明人間になれたら?」と男子中高生なら必ず妄想する、ちょっとエッチな風景もまた最高なんすよ。寝ている女子の服のボタンをはずして、おっぱいを……みたいな下品だけど最高な、本筋に全く関係ない部分もまた最高なんす! ただなあ……やっぱりヒロインに共感できないんだよな……『Hollw Man』も。まあ、確実にBacon先生版の方が面白いので、是非見ていただければと存じます!

 というわけで、結論。

 「透明人間」を扱った映画はいっぱいあるけど、今般公開された『THE INVISIBLE MAN』という映画は、なんと化学的変化ではなく光学的技術で透明になる、新世代の透明人間でありました。それを完全ナシだとは思わないけれど、どうせそういう技術は軍事産業がスポンサーなんだから、軍の陰謀めいたサスペンス、って方向性もあったんじゃなかろうか。そうなると『ANT-MAN』的ヒーローにもなったかもしれないのにな。ズバリ、本作はキャラクターがクソすぎて全く共感できず、実に不愉快な思いのする作品であったと結論付けざるを得ないと存じます。そして、2000年公開のVerhoeven監督&Becon様主演の『Hollw Man』の方が100万倍面白いと存じます。以上。

↓未見のかたは是非!!
インビジブル (字幕版)
メアリー・ランドル
2013-11-26

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