もうかなり記事も多くなってしまったので、目次を作った。なお、一番上に固定するために、日付を2025年と適当にした。記事は以下のような分類なので、興味のあるカテゴリーがあればどうぞ。
00_メモ
  └002_PCガジェット類
  └003_旅
  └004_チャリ
  └005_TV番組
  └006_街と店
  └009_どーでもいいこと
01_書籍
02_映画
  └021_洋画
  └022_邦画
  └031_宝塚歌劇
  └032_劇団四季
  └033_東宝帝劇系ミュージカル
  └034_ブロードウェイ
  └035_ストレートプレイ
  └041_絵画アート系
  └042_博物歴史科学系 
 基本的に、オレの、オレによる、オレのための備忘録なので、他人が読んで面白いのか全く不明です。アクセスログによると、今や7割方がスマホからのアクセスですが、PCブラウザでの閲覧を想定してますので、毎回くっそ長い駄文です。書く時にわたしが思ったことを書き連ねているだけなんで。サーセン。 

 はあ……マジで宝塚歌劇は最高っすねえ……。
 劇場の中にいる3時間だけは、つらい日常を忘れさせてくれる最高のひと時なんだけど、劇場を出た瞬間から、急いで家に帰って母の介護をしないと、という地獄が待っていて、本当にもう疲れたよ。
 というわけで、昨日は一日仕事を休みにして、愛する宝塚歌劇を観るために、7:25羽田発のJAL便で空路伊丹へ飛び、宝塚大劇場へ行ってまいりました。
 目的はもちろん、わたしが一番応援している星組公演を観るため、であります。このところ本当に東京でのチケットが当たらないことが多くて、星組だけは見逃したくないという思いで、大劇場のチケットに応募し、無事当選となったわけです。あと、またしてもCOVID-19の感染拡大も見られていることから、いつまた公演が中止になるか分からんという不安な情勢でもあるため、さっさと観に行ってこよう、と思ったのでした。ちなみに今日、東京公演の宝塚友の会抽選結果のメールが来ましたが、無事1枚当選したので、結果的には昨日行かなくても大丈夫だったわけだけど、まあ、実に最高でしたので、当然東京でも、COVID-19の影響がなければ、もう一度見るつもりです。来年の2月とずいぶん先だけど。
 ところで、東京に住むわたしはこれまで過去に10回以上は大劇場へ遠征しているのですが、今回初めて、飛行機を使ってみることにしました。ふと、そういや宝塚から新大阪へ行くより、伊丹空港の方が断然近いんじゃね? と思ったからで、調べてみると、航空券も早めに買えば新幹線より安く、さらに時間も、劇場を出てから家に着くまでのトータルタイムとしては1時間近く飛行機の方が早い、ということを今さら知ったからであります。ただ、帰りは、新幹線ならば新大阪についた時点で、ホームに急ぎ、そこに来た便に飛び乗るという技も使えるけど、飛行機ではそうはいかず、14:05に終わり、果たして急いで伊丹空港へ行って最速の飛行機はどれじゃろか? という点はかなり悩みました。
 どうやら伊丹発羽田行きの飛行機は、ANAが毎時00分で1時間おきぐらいバンバン出ていて、JALは毎時30分で同じく1時間おきに出ているようで、結論としては、15:30伊丹発のJAL便にしたんすけど、今回計測したところ、14:20宝塚駅発の阪急電車に乗って、蛍池でモノレールに乗り換え、伊丹空港に着くのが14:50ぐらいでした。なので、保安所抜けるのにも時間かかるし、時間的には15:00発のANA便に乗るのはギリ無理、でした。あと10分早く空港につかないとダメだね。なので、わたしが選んだ15:30発のJAL便が最速だったみたいです。まあ、これはこれで、経験値として分かったのは収穫でした。ちなみに確か、わたしのこれまでの最速は、14:58新大阪発の新幹線のぞみに乗れた時だったので、やっぱり伊丹空港の方がちょっと近い、みたいですね。いつもは新大阪でお土産を物色する時間もなく新幹線に飛び乗ってたけど、今回はちょっとだけ、空港の売店を冷やかす時間もありました。
 さてと。全くどうでもいい前置きが長くなりましたが、星組公演『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~/JAGUAR BEAT』であります。久しぶりにチケット画像を貼っておこう。まあまあいい席でした。
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 今回のお話は、「2017年にNHKのオーディオドラマで放送され、13世紀のジョージア(旧グルジア)を舞台としたドラマティックな歴史ロマンとして好評を博した並木陽氏の小説「斜陽の国のルスダン」を、浪漫溢れるミュージカル作品として宝塚歌劇で舞台化」したものだそうですが、わたしは残念ながら原作も読んでませんし、オーディオドラマも聴いていません。
 要するに全く予習なしで観たわけですが、大変興味深い、悲しいお話でありました。これって史実に沿ってるのかな? あー、なるほど、今ざっとWikiを観た限り、ギオルギ王やその妹で後に女王となるルスダンや征服者ジャラールッディーンは史実に沿ってるんだな。そうなんだ。なるほど。第5回十字軍の頃の話なんだな……俄然興味が湧いて来たわ。
 ともあれ。今回のお話は、宝塚歌劇の演目としてはかなり珍しく(少なくともヅカ歴13年目のわたしとしてはほぼ記憶にない)、ポスターに「キャッチコピー」が入っていました。
 そのキャッチ曰く――「勇気とは、何か?」
 本作は、まさしく「勇気」を巡るお話だったと観劇後の今では思います。モンゴル帝国の侵略、そしてキリスト教国として、イスラム教徒の侵略に対抗するジョージアという国において、「勇気」を示した男と女の、実に悲しいお話なわけですが、わたしはかなりグッときました。
 詳しい物語は説明しませんが、愛する者のために身を挺するのも、勇気の一つの形なのでしょう。それは、冒頭のギオルギ王と妻の悲しい別れから始まり、ラストに至るまで、一貫して流れるメインテーマだったと思います。大変面白かった、というのが結論であります。最高でした。
 というわけで、各キャラと演じたジェンヌについて備忘録としてメモしてまいりたいと思います。書いていく順番は、ストーリーを分かりやすく、この人から行きましょう。
 ◆ギオルギ王:ジョージアを治める王。戦いのさなかに受けた傷がもとで、死んでしまう。そして妹のルスダンがその後を継ぐ。演じたのは、再び花組へ戻ることが決まっている綺城ひか理くん。実に渋い、いい演技でした! 綺城くんは特徴的な低音ボイスですが、何気に高い身長も、今回のような役は似合いますな。大変良かったと思います。
 ◆パテシバ:ギオルギ王の妻。ギオルギ王も彼女にぞっこんなわけですが、彼女はその血筋(平民出身)から、国内では批判を受けたりしていて、「愛するがゆえに別れる」決断をする。これもまた、勇気なんでしょう。そして演じた有紗瞳ちゃん(以下:くらっち)が超素晴らしかったですねえ!! 超最高だったと存じます! わたしは今回のくらっちを観て、こりゃあ次の『1789』のアントワネットはくらっちであろう、と確信いたしました。いや、まあ配役が発表されないと分からないけれど、今回の役は、とてもアントワネットに似ていたように思います。今からホント楽しみっすね! いつも遠征の時に宝塚駅のエスカレーター前にドーンと掲示された泉州池田銀行の(東京にはまず存在しない)看板で出迎えてくれるくらっち。確実にTOP娘役の器を持った素晴らしいジェンヌだと思うんだけど……報われる時が来ることを祈っております。。。
 ◆ルスダン:物語のヒロイン。ギオルギ王の妹であり、ギオルギ王の遺言により、次期女王に即位する女性。演じたのは当然星組TOP娘役の舞空瞳ちゃん(以下:なこちゃん)。なこちゃんは今回も難しい役だったすねえ……そして実に見事でした。なこちゃんのエンジェルスマイルは当然最高だけど、なこちゃんのお芝居の真骨頂は、苦しげに眉をひそめた悩める姿かもしれないす。実に実に最高でした。
 ◆ディミトリ:主人公。子供の頃、人質としてジョージアに預けられたイスラム教国の皇子。ルスダンと一緒に育った幼馴染であり、ともに愛し合う仲。ルスダンが即位するときに結婚、王の助言役としてルスダンに推挙されるが、よそ者出身ということで議会や軍は認めず、さらに裏切りを疑われ追放され……と極めてつらい目に遭う。ディミトリの「勇気」に涙していただきたいす。演じたのは、これまた当然、星組TOPスター礼真琴さん(以下:こっちん)。いやあ、今回は歌率がちょっと高めで、こっちんの歌に酔いしれタイムもあるので、超最高でした。でも、一つ懸念されるのは、やっぱりどうしてもこっちんは「少年」っぽい役に限定されつつあるんすよね……次の『1789』のロナンはまさしくぴったりで待ち遠しいけれど、例えばこっちんにはギャッツビーとかネバセイは厳しいかもなわけで……。。。でも、わたし的に今のところTOPスターとしてのこっちんベストアクトは柳生十兵衛なので、ああいう渋めのカッコいい系の役をもっと見たいと思うっす。ともあれ、今回のディミトリは最高でした! 衣装もとても美しくお似合いだったよ!
 ◆ジャラルッディーン:ジョージアに迫るイスラム教国の王。モンゴルに対抗すべく(?)、ジョージアを併合するためにルスダンとの結婚を迫る。こう書くと、今回の悪い奴、のように思えるけれど、実は話の分かる結構イイ人だったと思います。演じたのは生粋の星組生でありこっちんの頼れる同期の瀬央ゆりあくん(以下:せおっち)。いやあ、せおっちもとてもカッコ良かったですね! 貫禄あるし強そうだし、実にジャラルッディーン王らしく最高でした! 次の『1789』では、アルトア伯はせおっちで決まりでしょうな、きっと。初演の超最高だった美弥ちゃんを凌ぐアルトア伯に期待したいっすね。
 ◆アヴァク:ジョージアの宰相の息子で軍人副宰相。強そう。戦場でギオルギ王を守れなかったディミトリを認めない意地悪な奴と思いきや、国への忠誠心(強いて言えばギオルギ王への忠誠心)は篤く、信頼できる男でした。演じたのは、いよいよ星組生として大劇場作品初登場、月組の御曹司だった暁千星くん(以下:ありちゃん)。いやあ、ありちゃん、最高じゃないすか! もちろん月組時代から最高だったけれど、既に星組に超なじんでるように見えます。とくに、ショーでのありちゃんが最高of最高だったすね! 相変わらずの身体能力の高さは、こっちんに並び立つにふさわしい技量をお持ちですね。実に見事だし、星組へようこそ! であります!! しかし、ありちゃんがやってきたことによって、せおっちの2番手羽根は没収、今回は番手ぼかしの片羽根だったのが、なんかアレっすなあ……。
 とまあ、メインキャラは以上なんですが、ジャラルッディーンの腹心を演じた天華えまくん、かわいそうな白人奴隷を演じた極美慎くん、アヴァクの父を演じたひろ香祐くんなど、みんなとても良かったです。あと、花の精(?)を演じた3人娘、小桜ほのかちゃん、瑠璃花夏ちゃん、詩ちづるちゃんたちもいいですねえ~! なんか、今回結構みんなにソロ曲(≒ソロパート)があったような気がします。
 で、後半はショー『JAGUAR BEAT』であります。
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 今回のショーでわたしが備忘録としてメモしておきたいことは、2つあって、まず、わたしが現在の星組の若手でイチオシの天飛華音くんが、なんか痩せた?のか、すごいシュッとしていて、イケメン度がUPしていたことです。ちょっと今までと印象が変わったように思いました。今回の新公主役だし、さまざまなことが、心と体に影響してるんだろうな、と思います。そして2つ目は、いよいよ超絶サラブレッドの稀惺かずとくんがだんだんセンター付近や別扱いになりつつあることです。新公ではありちゃんの役をやるみたいだし、ショーでの銀橋渡りも、今回あったような気がします。この二人の今後が楽しみっすね!! あと、どうでもいいけど、みんなが揃って、「ジャガー」という単語を、「ジャッグワァ~」と発声してたのがなんか気に入りました笑 ちょっと文字では表現できないので、意味が通じないと思いますが、たぶん、ご覧になれば、わたしが何をってるかわかると思います。

 てなわけで、本当はもっと書きたいことはあるんだけど、もう長いので、この辺にしておきます。いつもの「イケ台詞」は、東京で観てからまた改めて。

 というわけで、結論。
 星組大劇場公演『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~/JAGUAR BEAT』を、東京に先駆けて大劇場へ遠征して観てまいりました。たしか初めて遠征したのは2015年のちえちゃん卒業公演でしたが、8年目にして初めて飛行機で遠征して観たところ、新幹線より快適かも、と認識を新たにしました。まあ、以前は遠征したら翌日は京都に寄ってみるとか、観光もしてたんすけど、もう完全に観たらすぐ帰るという遠征なので、飛行機で行くのは断然アリ、だと思います。今更だけど。羽田まで車をかっ飛ばしていくのもアリかもな。その方が家に帰りつく時間はさらに30分ぐらい早いかも。今度やってみよう。で、肝心の公演の感想ですが、一言で言えばとても良かったです。面白かったし、ショーも満足であります。とりわけ、今回はありちゃんが星組生となって初めてわたしは観たので、今後が楽しみだし、若手の成長も、とても楽しみであります。稀惺くんはどう育っていくのかなあ……もうチョイ、歌や芝居をじっくり観察したいっすね。実力のほどは、まだ実はよく分からないっす。そしてこっちんも、TOP就任から3年が終わろうとしており、当然熟成も進んでいるわけで、まだまだ応援してゆく所存であります。2024年の大運動会で暴れるこっちんが見たいっすな! 以上。

↓ やっぱりちょっと読んでみようかと存じます。あっ! えっ!? 星海社なんだ!? ラノベってこと!?

 最近全然映画に行けていない。その理由はズバリ、母の介護のせいだ。2019年初頭に脳出血で救急搬送され、その後懸命のリハビリで2020年は平穏に過ごせたものの、2021年初めから再び入院、2021年末にやっと退院して、2022年11月現在までの11カ月、わたしはほぼ動けなくなってベッド生活となってしまった母を自宅で介護している。その結果、全く時間がままならず、何だか観に行く計画を立てている段階で、もういいや、と思えてしまうからである。そして時間が見事にはまって観に行くことが出来ても、鑑賞中になんか電話がかかって来るんじゃないか、とか、妙に気疲れしてしまって、楽しめないためだ。まあ、宝塚歌劇はその辺りは別格ですよ。劇場に入ったら何もかも忘れて楽しむことが出来るので。
 なので、数年前まで年間40本ぐらい劇場へ映画を観に行っていたわたしも、このところ年間12本とかそんな感じに減ってしまった。そして、映画を観ても、感想をこのBlogを書く気力もほとんどなくなってしまった。そう、実はこのBlogに感想を書いていない、けど観た映画は結構あるのです。
 けれど、一応、MCU、すなわちMARVEL CINEMATIC UNIVERSの作品だけは、こうして感想を綴ろうと思っている。
 というわけで、今日は昼前に仕事を切り上げ、ケアマネさんからまた電話かかってきたりしねえかなあ、とか不安な気持ちのまま、会社からほど近い日比谷TOHOにて、『BLACK PANTHER WAKANDA FOREVER』IMAX3D版を観てきた。
 わたしがこのBlogを書き始めたのが2015年の9月ぐらいで、それ以降のMCU作品は全部感想を書いてきているわけだが、確か一番最初に感想を書いたMCU作品は『ANT-MAN』だったと思う。そして当然、前作である『BLACK PANTHER』に関しても公開当時に感想を書いた。その時、わたしがBLACK PANTHERというヒーローについて感じたのは、ズバリ言うと失望だ。さらに、続く『INFINITY WAR』でも、やっぱりわたしのBLACK PANTHERというヒーローに関するガッカリ感は払しょくできなかったのである。初登場した『CIVIL WAR』では最高にカッコ良かったのにね……。
 しかし、世間的には、『BLACK PANTHER』という作品は単独ヒーロー作品では断トツの興行成績を誇り、評価も極めて高い。恐らくその背景には、US国内にこびりつく人種問題があるのだろうと思うが、正直わたしにはそんなことは全く評価に影響を与えるものでない。
 説明すると、わたしは、以下の2点について、なーんだ、コイツ、ダメじゃん、とか思ってしまったのである。すなわち……
 1)正々堂々としたタイマン勝負で負けて、王座を奪われた。そして妹や母に助けられて、謎薬物(=ハートのオーブ)摂取と妹謹製(だっけ?)の新スーツ着用でやっと王座を取り返す。もうこの時点で、わたしは超ガッカリ。弱い。弱すぎるよ……あの時、もう一度鍛え直して、再び正々堂々の勝負をして勝つという展開なら文句なかったけれど、アレじゃあダメだろ……。なお、わたしとしては、王座を奪われたとき、親衛隊長が「わたしはあなた個人に仕えているのでななく、王に、国に仕えているのだッッ!」的に毅然とした態度だったのは実に見事だったと今でも思う。間違いなくそうあるべきで、とてもカッコ良かった。
 2)戦略がなく、いつも出たとこ勝負の成り行き任せに見える行動は、わたしには王の器にあらず、と思えた。わたしが一番ひどいと思ったのは、INFINITY WARの際のワカンダ大バトルのところで、あの時の勝利条件は、もう明確に、VISIONさんを守ること、ただそれだけに尽きるはずなのに、肝心のVISIONさんは戦闘力の乏しい妹に任せ、自分は全く戦況に影響しないザコ敵相手に暴れても、まったく、無意味だったと思う。まあ、強いて言えばあの場面で一番悪いのはCAPで、強いコマである自分たちがザコ敵を相手にする意味はゼロだったね。
 とまあ、こんな理由で、わたしはBLACK PANTHERというヒーローについては全然評価していない。そんなわたしが今日観に行った『BLACK PANTHER  WAKANDA FOREVER』という作品だが……結論から言うと、わたしにとってはやっぱり、良かった部分も当然あるけれど、ちょっとなあ……と結論付けざるを得ないと思う。
 もちろん、これまでBLACK PANTHERというヒーローを演じてきた、Chadwick Boseman氏が若くして亡くなったことに関しては、とても悲しいし残念だし、心からの冥福を祈りたいと思う。そして、本作においてBoseman氏への追悼を随所にうかがえる点は素晴らしいと思う。本作が、見事に哀悼の意をささげている作品である点は間違いない。だけど……物語的には若干問題アリ、だとわたしには思えてしまったのも事実だ。
 まずはちょっと予告を貼っておこう。つうか、まだ本作を観ていない方は、以下、ネタバレに考慮するつもりはほぼないので、この辺で退場してください。さようなら。まずは観に行ってください。話はそれからだ。

 さてと。物語としては、王を喪ったワカンダという国に、海から新たな脅威が迫る! というお話だ。その基本プロットに関しては、全く文句のつけようもなく、わたしはかなり楽しみにしていたのは間違いない。
 けれど……わたしが観ていて、これってどうなの……と感じたのは、やっぱり以下の二つに尽きるように思う。
 ◆母である女王ラモンダの行動について
 まず、BLACK PANTHERというヒーローが初登場した『CIVIL WAR』においては夫を亡くし、そして本作では息子を亡くした、実に気の毒な女王ラモンダについてだ。
 そりゃあ当然悲しいことだし、おまけに世界各国はうっとおしくヴィヴラニウムをよこせとか言ってくるし、さらに、娘を拉致されてしまっては、そりゃあもう、イライラと悲しみで正常な判断ができない状態だったのかもしれない。
 けれど、だ。やはり、女王としては失格だったとしか言いようがないと思う。
 というのも、今回の海底王国との戦いは、明確に、女王が先に引き金を引いたとしか思えないからだ。女王として、自ら治める国よりも、母として、娘を優先させてしまった結果、戦争が起こったわけで、明らかに問題があると思う。もちろん人間として同情の余地があるにしても、だ。
 さらにわたしが、えっ!?と驚いたのは、親衛隊長オコエに対する対応だ。女王は、息子が王座を奪われたときにオコエが新王キルモンガーに従ったことがいまだに引っかかってたらしく、「アレは許した、けど、娘を守れなかったことは許せない!!」と激怒して、オコエをクビにしてしまうのだ。
 うそでしょ!? とわたしは椅子から転げ落ちそうになるぐらいびっくりしたよ。オコエは、女王個人の私兵じゃあない。女王という存在を守るものだと思う。もちろん、現在の王族である娘を奪われたことの責任はとる必要があるのは当然だ。だからそれでクビ、ならば、まだかろうじて理解できなくもない。でも、ここであの時味方しなかったことを、「アレは許す」とか言う必要ないでしょ。オコエは、ワカンダという国家の王に従う親衛隊長だぜ? あの時、オコエは親衛隊長の義務として新たな王に仕えたわけで、当時王座から転落していた一族に非難されるいわれはないし、許される筋合いの話でもないと思う。完全に当てつけ、あるいは報復人事なのでは? それに、海底王国に対抗する戦力の貴重なコマの一つであるオコエを解任して、自ら戦力低下を招くのはどうなの?
 わたしはワカンダという国家の政治形態がよく分からないのだが、確かに、各部族の長達からなる議会的なものがあるみたいだけど……わたしはこの、女王がオコエに対して激怒するシーンを見て、なーんだ、ワカンダって、要するに完全なる独裁国家で、法が機能する近代国家ではないんだな、と思えてしまった。まあ、前作でも、タイマン勝負で負けても「泣きの一回」を強引にやらせてるわけで、わたしは本作を観ながら、やっぱ世襲ってのはろくなことがねえなあ、とか思ってしまった。やはり、強力な能力を持つ個人に依存する組織(あるいは国家)というものは、もろすぎるね。
 それがとても残念に思った点の一つだ。WAKANDAでは死は終わりじゃないって教えはどこ行っちゃったんだよ……。ティ・チャラだって、父を殺したジモを最終的には法の裁きに委ねることで怒りを納めたじゃない。あのCIVIL WARでのティ・チャラは本当にカッコ良かった。女王には、常に冷静でいてほしかったなあ。。。
 ◆天才科学者であり妹であるシュリの行動について
 シュリは、その天才的な科学知識と能力によって、ある意味伝統を軽視している。死が終わりじゃない、というワカンダの教えも受け入れられず、ずっと兄の死を受け入れられないでいる。あまつさえ、世界を焼き払ってしまいたいと思うほど、悲しみに暮れている。極めて不安定で危険な思いだけれど、それはある意味ごく普通の感情で、我々にも理解できるものだろう。そういう意味で、ワカンダという特殊過ぎる環境からはずれた、普通の考え方をする人だ。実際その能力は普通じゃないけど。
 そして海底王国に拉致されてからも、海底王国を理解しようと努め、和睦の道を探ろうとする姿勢も、まさしく次期国王の器をもつ人間だと、わたしは評価したいと思う。わたしは、シュリとネイモアが海底王国を巡るシーンを見て、まさかこの二人が恋に落ちる展開なのか!? とドキドキしたぐらいだよ。
 しかし……母=女王を殺されてからの展開は、ちょっとマズいよね……我を忘れて復讐に乗り出すのは、人間として理解できても、次期女王という役職としては、容認できないよな……やっぱり。
 明らかに海底王国は、「やったらやるからな?」と警告していたのに、先に引き金を引いたのは、明確にワカンダ側だ。シュリは父、兄、そして母を立て続けになくして、もうそれこそ世界を焼き払いたいぐらいの気持ちになってしまったのだろうと思う。でも、やはり当初の流れのまま、戦いを抑える方向で頑張ってほしかった。
 わたしはこの展開を観ていて、現在現実世界の東ヨーロッパで起きている戦争を思い起こした。もちろん、悪いのは大国側だろう。しかし、確実に大国側は、開戦前に「やったらやるからな」という警告をさんざん送っていたはずだ。そして小国側の大統領は、確実に、開戦したら自国民がどれだけ死ぬか、シミュレーションしたはずだ。してなかったらびっくりなほど無能だよね。そして、そのシミュレーションではじき出された「失われる自国民の命」よりも、自国の意地なのか利益なのか知らないけれど、命よりそっちが大事、という判断があったからこそ、大国の警告を無視して、戦争状態に突入してしまったわけで、その時点で小国側の大統領も、大国の大統領と同罪であり、非難されるべきだとわたしは思っている。きれいごとかもしれないけど。
 シュリもまた、そういう意味では、やっぱり褒められたものではないと思う。まあ、シュリは海底王国と開戦したら自国民がどれだけ死ぬかなんて考えてない衝動的な行動だったんだろうけど、だとしたらもっと罪深い。王としては。
 もちろん、やられっぱなしで我慢しろと言ってるわけではなく、シュリにはまず先に、心を尽くした解決への努力が、母を殺される前に必要だったのではなかろうか。本作では、どう考えても海底王国はむしろ被害者で、シュリも最初は同情的で解決策を模索したのに……最終的にはいつもの大バトルになってしまったのは、とても残念だ。
 とはいえ、最終的には、歯を食いしばりながら怒りを制御して、きちんと落としどころをネイモアに示し、戦いを終わらせた姿勢は極めて高く評価できる。でも、そこに至る最終バトルは……映画的に必要な見せ場かもしれないけれど、もうチョイ、タイマン勝負とかやりようはあったのではなかろうか。お互いに人命もたくさん奪われ(?)、和解の代償として高くつきすぎたね。。。
 ところで、シュリが次期BLACK PANTHERになることを決意して、謎の合成麻薬で視た世界に、キルモンガーが登場してきたのはいったい何故なんだろうか? 先祖に会うはずなのに、出てきたのはキルモンガー(=現状では父の弟の子供=いとこ)。本作で最大のサプライズだったと思う。
 わたしは、ははあ、ラモンダ女王がシュリに言おうとしたことはこれか!? と思った。というのも、女王がシュリに何か話をしようとしたところでネイモアが現れ、話が途切れてしまうシーンがあるのだが、あそこで、女王が言おうとしたのは「実はお前は私の実の娘じゃないのよ」的な秘密の暴露だったのではないか? と思ったのだ。そして実はキルモンガーこそがシュリの実の兄だったのでは? と思った。
 けど、これはたぶん間違ってる。というのも、ミッドクレジットシーンで、実は兄には息子が生まれていた、ということが明らかにされるわけで、このこと(=シュリには実は甥っ子が誕生していた)を女王はシュリに言おうとした、のが正解なんだろう。
 だけど、だとしたら何故キルモンガーが出てきたのか……ここは明確な理由が欲しかったと思う。示されていたといても、わたしは全く分からなかったです。

 とまあ、以上が本作に関するわたしの感想だが、もちろん、良かった点もある。
 ◆ネイモアについて
 ちょっとその誕生のオリジンストーリーはいろいろツッコミどころも多いし、妙に現代社会を糾弾するような社会的政治的メッセージが鼻につくのはアレなんだけれど、王としての振る舞いはキッチリしていて好感が持てました。しかも、自らを「ミュータントだ」と言うのは驚きだったすね。X-MENへの布石なんでしょう。今後ネイモアがどのようにMCUに絡んでくるのか分からないけど、楽しみなキャラクターですね。つうか、足の羽根、あれって、足に生えてる体の器官なんすね。わたしは予告を観た段階では、なんらかの超技術によるデバイス的なナニカかと思ってた。でもあの超高機動は、生物的器官にはちょっと無理じゃね……。
 ◆リリ・ウィリアムズ=アイアン・ハートについて
 本作で初めて登場した彼女も、いいキャラクターだったと思う。ちょっとその能力がぶっちぎりで凄すぎて、チート級なのはアレだけど、MITの学生ということで、当然SPIDYとのからみが今後期待されるキャラですな。ピーター君はあの後、どうなっちゃうんだろうなあ……ピーター君とリリが今後出会わない理由はもはやないっすね。まずはネッド君とMJのお二人さんが、先に出会ってよろしくしといてくれよ!
 ◆ヴァルについて
 まさかあのヴァルが、CIA長官であり、ロスの元妻だったとは驚いたですねえ! 初登場シーンで、あれっ!? この人って……とずっと思ってたけど、ヴァルと呼ばれて初めて、あっ!? あのヴァル? と認識したわたしはファン失格です。相当ビックリでした。つうか、CIA長官という職位は、普通は政治任用で、現場の作戦行動能力より政治的忠誠心で登用されるんだけど……。ともあれ、ロス君はワカンダに亡命するのかなあ……。今後公開されるサンダーボルツにどんな影響があるのか、見ものっすね。

 というわけで、言いたいことがなくなったので結論。

 MCUのPHASE-04最終作となる『BLACK PANTHER WAKANDA FOREVER』をさっそく観てまいりました。そもそもわたしはBLACK PANTHERというヒーローを全然評価していなかったけれど、それとは関係なしに、BLACK PANTHERというヒーローを演じてきたChadwick Boseman氏が亡くなったことはとても悲しく残念に思っており、果たしてティ・チャラ=Boseman氏亡き後のワカンダはどうなっちゃうのか、という点が最大の関心事でありました。そして本作で描かれたのは、なんだか個人的復讐が前面に出てしまっていて、わたしとしてはかなり問題アリだと思う。これがアメリカ的正義だというなら、人種問題よりもよっぽど深刻な問題ではなかろうか。やはり、主人公には、正しくあってほしいし、あやまちは素直に認めて、正しい方向を向いてほしいと思う。その点では、ティ・チャラは、作中でも言われた通り、「高潔な男」であり、立派だったと認めたい。CIVIL WARの時は、ね。そして次代を担うシュリも、どうか高潔な兄に恥じない人間に成長してほしいと心から願う。いずれにせよ、次が楽しみになる、という点では、やはりMCUはおもしれえな、と最終的には思いました。以上。

↓ ヴァルが何者かを知りたければ、今すぐDisney+に入会するしかないです。『FALCON AND THE WINTER SOLDIER』のパンフが劇場で売ってたのは、そういうことだったんすね……。

 いやあ……今回もマジ最高に面白かったですねえ!!
 というわけで、日本国内に推定15,000人ぐらいは存在するであろう、『グレイマン』ファンの皆さん、お待たせいたしました! いつもなら、毎年8月か9月に新刊の出る「暗殺者グレイマン」シリーズ最新第11作目が、やっと発売になりました!! やったーーー!!
暗殺者の回想 上 グレイマン (ハヤカワ文庫NV)
マーク グリーニー
早川書房
2022-10-18

暗殺者の回想 下 グレイマン (ハヤカワ文庫NV)
マーク グリーニー
早川書房
2022-10-18

 ついでに、わたしが電子書籍から勝手に上巻と下巻の表紙を合体させた画像ものっけておきます。何らかの法令違反であるようならすぐ削除いたしますので。
GRAYMAN-2022
 まあ、いつも通り、早川書房様のセンスのなさには悲しくなる、テキトーな表紙だと思いますw
 さて。
 わたしはいつも通り、電子書籍で予約していたので、発売日の00:00に自動購入され、その日の通勤電車で読み始めました。もう、このblogの読者ならご存知だと思いますが、わたしはこの「暗殺者グレイマン」シリーズが大好きで、とにかく新刊が年に1回のお楽しみでありまして、超楽しみにしておりました。今年は、ついにNetflixで映像化されたため(わたし、観てないんす。実は。理由はいろいろあるけど、WOWOWでそのうち放送されるのを待ちます)、その影響で第1作目を早川書房様が「新版」とか称して出し直したため、今年はまさか新刊ナシなのかなあ……と不安に思ってましたが、ちゃんと出ましたよ、待ちに待った第11作目となる新刊が!
 そして、これももう、皆様にはお馴染みだと思いますが、わたしは真っ先に、冒頭の人物表をチェックして、今回はどんな話かなあ、と妄想しようとしました。が……アレっ!? ゾーヤがいねえじゃん!? 今回は出番ナシかよ!? という事実を発見いたしました。そしてよく見ると、「現在」と「12年前」で別れているじゃあないですか。
 こ、これは一体……? と思って、わたし、初めて今回の新刊が、『暗殺者の回想』というセンスのない日本語タイトルであることに気が付きました。回想……とな? そしてUS原題は、シリーズを読んできた我々なら絶対知っている単語「SIERRA SIX」。こ、これはひょっとして、いわゆる「エピソード・ゼロ」的な過去話か?? とか思いながら、わたしは読み始めたのであります。おそらく、わたしと全く同じように思った方は、日本国内に10人ぐらいはいるのではないでしょうか。
 ともあれ。
 もう、のっけから感想を言ってしまいますが、わたしとしては本作は、シリーズ屈指の泣けるお話であったと断言いたしたく存じます。泣けたっすねえ……いやあ、マジで最高でした!
 まず、前巻のラストを復習しておくと、前巻のファイナルバトルの地、ドイツでの作戦が終了し、一応めでたしめでたしとはなったものの、わたしの大嫌いなクソ・スーザンが自らの昇進のために上司であるマットの行動をチクって、マットはCIA作戦本部長からパプア・ニューギニアへ左遷され、さらに、我らがグレイマンこと、コートランド・ジェントリー、暗号名ヴァイオレーター、通称シックスもまた、再びCIAに追われる身となったのでした。
 そして本作では、アルジェリアでの作戦行動から開幕します。どうやらまたしても、フリーランスの暗殺者として仕事中のグレイマン氏。請け負った仕事は楽勝、なんだけど、どうやらグレイマン氏は、そこに現れるはずの男に何やら因縁がある様子。そして作戦中にグレイマン氏が目撃した男は、「12年前」に死んだはずの、「絶対に許せない」男でありました。
 というわけで、「12年前」に何があったのか、そして「現在」そいつが生きていることを知ったグレイマン氏が、「12年前」の落とし前をつける、てのが本作の大筋なわけですが……マジで「12年前」の出来事が悲しくて、切なくて、泣けるんすよ……。
 「12年前」……それは、グレイマン氏が25歳の時であり(つまりコートは現在37歳!これって初めての情報? 前にも出てたっけ?)、初めてザック率いるGS=ゴルフ・シエラに6番目の男「SIERRA SIX」として加入した時のお話で、マットとも初めて出会った時の、まさしくエピソード・ゼロ的物語でありました。そして、その時であった女子と、後のグレイマン氏、当時25歳と若造(キッド)と呼ばれていたコートとの、甘酸っぱい(?)、悲恋が描かれるわけです。
 まあ、はっきり言って、「現在」においてコートが「12年前」の事件をいまだに忘れられず、絶対に許せない相手がいる時点で、おそらく「12年前」の事件は悲劇的な結末だったのだろう、つまりこの女子は……と連想は誰でもできちゃいます。さらに、今回の「12年前」と「現在」が交互に語られる構成は、はっきり言って若干読んでいてストレスが溜まります。なにしろ、どちらの時制でも、肝心なところでブツッと切れて、「12年前」と「現在」を行き来するので、ど、どうなった!? という読者のテンションをことごとくぶった切られてしまうため、です。
 でもね……頑張って読み続けてほしい! 最後にはもう、ホント泣けますから!!
 もうね、わたしはよくわかりました。いままで、さんざんコートのことを純情BOYと小馬鹿にしてきましたが(サーセン! 褒めてるつもりです!w)、コートは12年前から、ずっと純情BOYだったんですなあ……。だからこそ、12年前の悲劇がすっごく胸に刺さるんすよ……そしてついでに、ザックは何気に、ずっとコートの味方で、コートを見守ってきてくれた兄貴分なんだなあ、ってこともよくわかりました。
 マジで、本作はとっても面白かった! そして泣けた! と断言いたしたく存じます!
 ところで一つ、本作を理解するうえで重要なポイントを一つだけメモしておきます。それは、第二次大戦後のインド・パキスタン分離独立の経緯です。
 実はわたしもそれほどその状況を理解していなかったんですが、今年Disney+で放送された『MS. MARVEL』を観た時勉強し直したので、わたし的にはタイムリーな歴史でした。要するに、イギリスがインドから撤退するにあたって、インド国内で主流派のヒンドゥー教徒と、少数派のイスラム教徒を、地理的に分割して、イスラム教徒はパキスタンに強制的に移動させられて分割された、って話なんですが、本作ではその恨みが根本にあるわけです(ちなみにMS.MARVELというスーパーヒーローになる少女はイスラム教徒で、お婆ちゃん世代がインドからパキスタンに強制移住させられて、親世代がアメリカに移住したUS移民2世)。誰もが知ってるガンジー氏は、統一インドを目指したんだけど、イスラム教徒に宥和的だったのでヒンドゥー教徒に暗殺されたわけですが、もう、ヒンドゥーもイスラムも、どっちが善でどっちが悪だとか、そういう問題では全然ないし、どちらもが被害者と言えるかもしれないけれど、だからと言って、テロという手段で恨みを晴らそうとする本作のイスラムの連中は、完全なる悪としか言いようがないのは明らかだと思います。
 というわけで、以下、いつもの通りキャラごとにまとめておこうと思いますが、今回はかなり多くのキャラがいるので、またすげえ長くなるかも……。
 ◆コートランド・ジェントリー:我らがグレイマン氏。元々は父親が法執行機関の教官的仕事をしていて、それを手伝う(?)うちに銃器などの扱いを覚え、凄腕となる。コロンビア人のドラッグディーラーの悪党を3人ぶっ殺してムショに入っていたところで、その腕を見込まれて(?)CIAのシングルトン=独行工作員に。そして一人じゃ絶対無理、みたいな伝説的な仕事をやり遂げていたところで、「12年前」にCIAの特殊活動部(SAD)の地上班ゴルフ・シエラ(GS)に入る。今回は、その経緯が詳しく描かれてわたしは大興奮でした。しかもGSに入れたのがシリーズ前半の悪のラスボスたるカーマイケルだったのも、前にも書かれていたかもしれないけど、記憶力の乏しいわたしなので、お得に楽しめちゃいました。この経緯で重要なのは、そもそもGSは、元軍人でシールズやデルタ出身の屈強な者、あるいは元FBIのHRT出身者だけなのに対して、ジェントリーはそれまで「チーム」で動く経験がゼロだったってことです。なので、作戦に出る前にザックをはじめとするGSのみんなに特訓を受けるわけですが、それもまた興味深かったすね。
 ◆モーリス・ケイヒル:コートに最初にシングルトンとしての訓練を施した教官。元スパイ。シリーズ第1作で銀行家として登場して、コートを助けるために時間稼ぎをして殺された。コートが1作目で「あなたはおれのヒーローだ。それはぜったい変わらない」と断言したほど。今回そのモーリスが「12年前編」にちらっと登場します。モーリスが教えたのは、諜報技術=トレードクラフトなので、軍人の技術とは全然違うわけですが、これまで何度もグレイマン氏を救って来たのは、グレイマン氏の根っこに流れるモーリスの教えなわけで、その名は我々としては忘れられない人物ですな。
 ◆マット・ハンリー:シリーズで数少ないグレイマン氏の味方。前述の通りCIAで出世し続けたけど、コートが離脱する事件でパラグアイ?に左遷され、その後本部に復帰して出世して作戦本部長まで登りつめた、けど、前作ラストで再び左遷。本作では、若き日の初めてコートと出会った時、それから現在篇にもチラッと出てきてちょっとだけコートを助けてくれました。一応言っておくと、クソ女のスーザンも、現在編のラストで、事件の後片付けでチラッと出てきます。現在どこまで出世したのか分からないけど、マットの後任になったのかな。なお、マットは現在編で58歳らしいので、コートより20歳ぐらい上、みたいすね。
 ◆ザック・ハイタワー:ご存知コートの心強い味方。コートより15歳ぐらい年上らしい。わたしはまた、超ピンチに颯爽と登場してくれるかな……と思ったけれど、今回は現在編では一切登場しません。ザックはまだスーザン配下にいるのかな……ザックは、ムカつく感情を抑えてキッチリ命令を守る軍人気質(2作目でザックは自分のことを「おれはただの働き蜂だ」と言っている)なので、そこはコートと大きく違うところですな。そして12年前編では、SIERRA-ONE(ワン)として若きコートを訓練し、ラストではもう、超泣かせる男前なところも見せてくれましたね! ザック、アンタ最高だよ! きょうだい! なお、本作ではGS-2~5のGSオリジナルメンバーも登場します。S-2ケンドリック・レノックス、S-3キース・モーガン、S-4ジム・ベイス、S-5ディノ・レダス(リーダス)。彼らはなあ……コートに殺されるか殉職したかなんだよな……。ちょっと2作目を改めてチェックしてみると、2作目でザックは、モーガン・レダス・リンチの3人がコートに殺されたと言ってますが、リンチは12年前にはいないメンバーみたいですね。あと、8作目の『暗殺者の追跡』(ゾーヤのお父さん事件の話)で惜しくも殉職したジェナー君も、12年前編では若き姿でチラッと登場します。
 ◆ブリヤンカ・バンダリ:現在編で事件に巻き込まれるインド人女性。まだ20代かな。ITスキルが高く、コートからも信頼される。ラストの別れ方も、コートらしくてカッコ良かったすね! 彼女はとてもいいキャラクターだったので、今後、コートのピンチに登場して来てもいいぐらいだと思います。
 ◆ジュリア(ジュリー)・マルケス:12年前編でコートと淡い恋愛模様を綴る女性。元々軍の情報部門にいたが、その強力な情報分析能力を買われてCIA入り。マットも一目置くその能力で、現場チームを支える。若干サヴァン的な変わり者で社交的ではないが、同じく心の孤独を抱えるコートと意気投合し、シリーズ屈指の悲劇のヒロインとして描かれていたと思います。この、12年前のコートとの純情・純愛物語はとてもグッと来たっすね。。。いまだ純情BOYのコートよ、いつかゾーヤに、12年前に出会ったジュリーのことを話し、ゾーヤの胸に顔をうずめて泣ける日が来るといいね……。そんな日が来るのを、祈ってるよ……。ちなみに、GS(ゴルフ・シエラ)に「特務愚連隊<グーン・スクワッド>」というあだ名を付けたのもジュリーであることが今回判明。大変見事なキャラクターでした。

 とまあ、キャラ紹介はこの辺にしときます。悪党とかメモしてもあまり意味ないし。
 そして、最後にわたしとしては本当にグッと来た、いくつかの会話を記録しておこうと思います。しつこいけど、マジでグッと来たなあ……
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 (ジュリー)「わたしに惹かれているのなら」ジュリーが平然といった。「それなら、わたしにキスするタイミングじゃないの。惹かれていないのなら、ただの友達になろうっていえばいい。どちらでも、わたしは納得する。決めるのはあなた――」
 ジェントリーは身を乗り出し、口に激しいキスをした。
 →わたしの感想:コートよ、お前、女子にこんなこと言わせんなよ! この純情BOYめが!w でもキスで答えたのは満点だ! よくやった、きょうだい!!
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 ジュリーがすばやく身を乗り出して、ジェントリーの頬にキスをしてから言った「戻ってきて」
 ジェントリーはうなずいた。「戻ってくる」
 →わたしの感想:ここは、いよいよラストバトルに向かう、緊張した若きコートがジュリーを引き寄せてキスしてからのシーンですが、わたしはマジで泣きそうになりました。いや、泣いてないすけど。すごい映画的ないいシーンですよ……。ちなみにその後、ザックからは「若いもんが色気づきやがって」と笑われ、GSメンバーからは、「悪運だぞ、お前」「作戦前に女房といちゃつくことさ。映画観たことないのか? そういう男は帰ってこないんだぞ」と冷やかされますw
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 「おれはあんたのシックスでいたいんだ、ザック」「おれを先鋒にしろ。おれはドアを通る最初の人間になりたい。あらゆるドアで」
 「ジェントリー、おれは何日も前に肚に決めたんだ。お前はどこにも行かない。おれのシックスだ」
 →わたしの感想:12年前編のラストのコートとザックのやり取りは、感動的だったすねえ……ジュリーを喪ってしょんぼりしているコートにそっと寄り添うザックの男前は最高ですよ、きょうだい!! 
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 「ジュリー。あなたが話した人のこと。今度のことで、少しは痛みが和らぐかしら?」
 「わからない」「彼女の死は、不思議な因縁で12年後にもっと大勢の命を救ったといえるのかもしれない」
 「あなたも気を付けて」ブリヤンカは付け加えた。「コートランド」
 「おれが死ぬのを望んでいる連中は、コートランドと呼ぶんだ。他にもいろいろな名前で呼ばれている。コートと呼んでくれ。おやすみ、ブリヤ」
 「おやすみなさい、コート」ブリヤンカはそういって電話を切り、にっこりほほえんだ。
 →わたしの感想:これは今回のラストシーン、現在編のラストですが、なんて素敵なエンディングでしょう。こんな殺伐とした血みどろの話なのに、こんなさわやかな終わり方をするなんて、本当にGreaney先生の手腕は見事っすねえ!! もう、わたしとしては次の新刊早よ!!と思わざるを得ないっす! 最高でした!!

 というわけで、長くなったけど結論!
 わたしの大好きな小説シリーズ「暗殺者グレイマン」の最新刊でありシリーズ11作目の『SIERRA SIX』(邦題:暗殺者の回想)が発売になり、さっそく楽しませていただきました。もう、一言で言えば感動作であり、泣ける見事な物語でした。 グレイマンなのに、感動しちゃったわたしですが、これは歳を取ったせいでしょうか? どうやらわたしはザックと同じ世代みたいですけど、純情BOYコートの悲しみと決意がとても胸にしみたっす。そして大人として、寄り添うザックもまた最高でした。わたしとしては、次回作では当然またゾーヤに登場してほしいし、ザックの活躍も読みたいですね! そして前作で書いた通り、クソ女スーザンには、しめやかに失禁するほどの恐怖を与えてやってほしいす。今回、コートはスーザンに対してそれほど怒ってないみたいでしたが、まあ、一度キッチリ落とし前をつけてほしいですな。スーザンがゾーヤやザックを乱暴に使ってたら……コートの怒り爆発は間違いないでしょう。震えて眠るがいい……!w まあとにかく、「グレイマン」シリーズは最高であります!!  以上。

↓ こういうのをちゃんと読んで、なぜパキスタンが核保有国になったのか、勉強しておきたいす。

 はあ……マジで宝塚歌劇は最高だなあ。。。
 というわけで、老いた母の介護で地獄の毎日を送っているわたしですが、今日は母に昼飯を出すのを兄夫婦に任せ、わたしは午前中から日比谷に向かい、東京宝塚劇場で明日千秋楽を迎える月組公演『グレート・ギャッツビー』を観てまいりました。
 前回の観劇、星組公演を観てからもう2カ月半、実はその間上演されていた花組公演は、8月に奇跡のSS席が当たっていたものの、COVID-19の蔓延によって公演は中止と相成り、観ることが出来なかったのでした。なので、現在のわたしの唯一の生きる希望であるヅカ観劇は、花組を飛ばして月組公演、となったわけであります。ちなみに次の宙組公演は、チケット全滅で観られないことが確定してしまったため、次は順調に行けば11月に大劇場の星組公演、そしてその次が12月の東京での雪組公演、の予定であります。無事に観ることが出来るとよいのだが……。星組推しのわたしとしては、星組公演だけは見逃すわけにはいかないので、万一東京でチケットが獲れない場合に備えて、大劇場遠征をもくろんでおります。
 で。
 今回の月組公演は、アメリカ文学が誇る名作、Francis Scott Fizgerald氏による「The Great Gatsby」のミュージカル版、『グレート・ギャッツビー』であります。本作は、1991年に宝塚歌劇団雪組による初演の後、2008年には月組で2幕物にスケールアップされ、今回はその再演となるものでありますが、2010年にヅカ道に入門したわたしは、映像でも観たことのない、全くの初見の作品でありました。でも、何年か前に、井上芳雄氏がWOWOWの番組で主題歌を歌っている(※芳雄氏は2017年に主役ギャッツビーとして日生劇場での公演を行った)のを見て、これはいい歌だなあ、とか思っていたので、わたしとしては今回の公演はとてもとても楽しみにしておりました。
 さらに言うと、今回の2022年月組版は超観たい作品であったため、実は8月に大劇場に遠征する予定でチケットも当選していたのだが……これまたCOVID-19によって公演中止となり、涙を呑んでいたため、今日の観劇は、もう待ちに待っていたわけであります。
 とまあ、またどうでもいい前置きが長くなりましたが、ついに観ることができた最新版『グレート・ギャッツビー』は、もう一言で言えば、最高でした! いつも同じことを言ってますが、マジで劇場にいる3時間だけは、地獄のような日常をすべて忘れさせてくれますね。しかし、本当に月組は層が厚いというか、演者の皆さんそれぞれが、本当に素晴らしく、完璧だったと存じます!
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 はい。というわけで、『ギャッツビー』であります。
 わたしは、文学部卒の文学野郎として、当然原作は大学生時代の30年前に読んでおります。もちろん1974年版の映画(主演はRedford氏)も、2013年版の映画(主演はDiCaprio氏)も観ております。なので、ストーリーはよく知っております。そして、そのストーリーが、「男にとって結構キツイ」ことも十分わかっております。
 かつて大学生時代には、ヒロインであるデイジーは、はたしてクソ女なのか否か、で、ガキくさい論争なんかもした覚えがあります。そう、クソガキだったわたしには、デイジーはなんてヒドイ女なんだ! としか思えなかったんすよね……。懐かしい。。。まあ、男のわたしから見ると、結構ヒドイ、とは今でも密かに思うし、当時若かったころ論争した相手の中には、女子も何人かいましたが、その女子たちも、デイジーはヒドイよね~、とか言う人もいました。
 けどですね……薄くなってきた髪を日々嘆く初老の男となり果ててしまった今のわたしから見ると、まあ、こういうもんだよね……とデイジーにも理解が出来ちゃうんすよね……。
 以前もこのBlogで書いたことがありますし、もうわたしにとっては事実としか思えないのですが、明らかに、男は「名前を付けて保存」、女性は「上書き保存」なんだよな……。つまり、男は、過去の恋愛ファイルを後生大事に、一つずつきちんと保存しておき、たまに眺めては勝手に美化して書き換えて取っておく、のに反して、女性はもう、恋愛ファイルは一つだけ、どんどん上書きして行っちゃうから、過去の恋愛なんてもうさっさと消し去ってしまうんすよね……。男にとってはなかなか理解しがたいんだけど、もう、これは厳然たる事実だと思うので、こりゃもう、どうにもならんす。
 デイジーにとっては、娘と共に生きることが最も優先すべきことであり、ギャッツビーへの愛はもはや保存しておく価値がなくなっちゃったってことなのかな……。特に、当時の世情からすれば、クソ野郎でも、きっちり金をもっているトムと共に生きるしかないわけで、自身が言う「バカで可愛い女」であることに徹底したその姿は、第三者のわたしが、ヒドイよ! なんて思っても、痛くもかゆくもないもんね。生きることが最優先なんだから。。。
 なので、わたしは今回、観劇にあたっては、果たして若き頃のわたしが「クソ女」だと断定したデイジーを、わたしの大好きな海乃美月さまがどう演じるか、が最重要ポイントでありました。そして、天才・小池修一郎先生が、デイジーに対して、どのような演出をされるのか、を楽しみにしておりました。
 というわけで、以下、各キャラと演じたジェンヌをまとめてみようと存じます。
 ◆ギャッツビー:わたしから見ると、彼は稀に見る純情BOYで、デイジーLOVEを貫こうとしている生真面目な男としか思えません。他にいろんな女子と出会っただろうに……。そこまで固執する必要はなかったはずのに……まあ、若さなんでしょうな……。生まれはそんなに悪くないけど、それほどでもないフツーの青年だったギャッツビー。軍人時代に名家の娘であるデイジーと運命的に出会って恋に落ちるが、デイジーの母から、大したことのない男判定されて恋を禁じられ、第1次世界大戦終結後に暗黒街の中で成り上がり、デイジーの住む家の対岸に豪邸を構え、夜な夜なパーティーを開催する謎の男としてデイジーとの恋を成就させようと超・超・超頑張ってきた健気な男ですよ。その頑張りだけでも泣けるよね。すべてはデイジーとの再会のために、という思いで今まで頑張ってきたけれど、再会したデイジーにはクソ野郎の旦那がいて……と、なかなかキツイ状況にある。
 演じたのは当然、月組TOPスター月城かなと氏(以下れいこ)。実はわたしは、れいこがちなつさんに対して微妙にタメ口なのが若干アレだなあ、とか思っていたのですが、今回のギャッツビーは最高に素晴らしかったと絶賛したいです。まずビジュアルは、現役TOPスターでもナンバーワンクラスの「クラシカル・ダンディ」で、ギャッツビーにぴったりだし、歌唱力もグッと良くなった、と言ったら失礼か、ますます良くなった、と思いました。衣装も良かったすねえ! 今回のお話は1920年代なわけですが、そのクラシカルなスーツが、れいこに超似合ってましたね! あの背中、あらゆる感情を伝える後姿が泣けたっすわ……。実に見事なギャッツビーだったと思います。おそらく、観てないですが、芳雄氏のギャッツビーよりも美しさと儚さでは上回ってたのではないかと存じます。見事でした!
 ◆デイジー:超美女。名家の娘であり、奔放かつ天真爛漫(?)な、天然系小悪魔。なんつうか、天然小悪魔ほど男にとってタチの悪いものはないっすよ。ただ、今回の小池先生の演出においては、天然小悪魔というよりも、うーーーん……難しいな……なんと言えばいいのか……計算高いというのも違うし……うーーーん……まあ、やっぱりいわゆる「ファム・ファタール」ってやつなのかなあ……。一応、男のわたしから見ると、デイジーは明確にギャッツビーを愛しているとは思うし、旦那に対して愛はないはず、だと思う。だけど、最終的には旦那を選ぶわけで、その選択に、若き日のわたしは「クソ女」判定したのだが……。
 演じたのは、これも当然月組TOP娘役の海乃美月さま(以下:うみちゃん)。わたしとしては、ラストでギャッツビーのお墓にバラを「ポイッ」と投げ入れて、くるっと回れ右して立ち去るシーンのうみちゃんの表情に、小池先生の演出を見た思いがします。あそこでのうみちゃんは、もう完璧に「無表情」に近く、何の感情も感じられないものでした。はっきり言って、わたしはかなりゾッとしたっす。そしてそれこそ、小池先生の演出なんだろうと思うわけです。デイジーにとっては「終わった恋」であり、これからは「バカで可愛い女」を徹底して生きるんだという決意の表情。うみちゃんの演技も完璧だったと思うっすね。まあ、男のわたしとしては、女子のあんな表情を観たら、マジでもう生きていけないかもしれないな。つらいっすわ……。とにかく、うみちゃんのデイジーも完璧&最高だったと存じます。
 ◆トム:デイジーの旦那。名家の出身で金持ち。働いておらず親の遺産で悠々と暮らすいけ好かない野郎。デイジーという超美人の奥さんがいるのに、自動車工場の主婦であるエロ系女子のマートルと浮気中。現代人の我々から見れば、差別主義者で女性蔑視な、とにかく嫌な野郎だけれど、残念ながら1922年当時のUSAにおいては普通であり、ある意味まったくありふれた存在なんだと思う。つうか、1922年って、えーと、大正11年か。日本だって同じようなもんだよね。だから現代人の我々が、トムに対してとやかく思ってもあまり意味がないけれど、まあ、とにかく嫌な野郎ですよ。
 演じたのは月組正2番手の鳳月杏さん(以下:ちなつさん)。ちなつさんはこのところ、面白イケおじさん的な役柄が多かったけれど、今回は花組時代によく見た、根っからの悪党系役柄でしたね。その端正なスーツ姿はさすがだし、遊び人風な姿も見事にキマっておりました。お見事だったと思います。
 ◆ニック:デイジーの従弟であり、トムの大学時代の友人であり、退役後NYの証券マンとしてギャッツビーの屋敷の隣に引っ越してきたイイ奴。本作で唯一、「良心」を持った素晴らしい男で、物語の狂言回し的役割を持ったキャラクター。
 演じたのは、100期生伸び盛りの風間柚乃くん(以下:おだちん)。いやあ、今回もおだちんは最高でしたね! 素晴らしいですよ。芝居は確かだし、歌も見事だし、もう言うことないっす。いずれ来る世代交代で、間違いなくおだちんは2番手、そしてTOPスターへと昇りつめてゆくことでしょう。その日が来るのは意外と早いかもしれないすね。楽しみであります!
 ◆ジョーダン:デイジーの親友でプロゴルファー。この時代では恐らく珍しかった、自分の意見をはっきり持った自立した女。演じたのは雪組からの転校生彩みちるちゃん。今回は、CITY HUNTERの冴子ばりな、キリっとしたキャラだったすね。非常に見事な役作りだったと思います。みちるちゃんはやっぱり演技巧者なんですな。実にお見事でありました。まあ、99期生と学年も上がって来てしまったので、もし仮にうみちゃんが次で卒業ということになってしまったら、次期月組TOP娘役はみちるちゃんかもしれないすね。そのオーラはもういつでもTOPになってもおかしくないほどですよ。
 ◆マートル:トムの浮気相手の妖艶エロ系女子。しがない自動車工場の奥さん。まあ、いわゆる不倫相手なわけですが、男目線で言うならば、上流社会へのあこがれを利用された彼女もまた、被害者なんだろうと思います。演じたのは101期生の天紫珠李ちゃん。今のところ、月組の次期TOP娘役を争う有力候補なわけですが、わたしとしてはみちるちゃんでもじゅりちゃんでも、どちらも応援したいところです。とにかくタイミング、が問題となりそうっすね……。仮にうみちゃんが次の公演で卒業となって、みちるちゃんが後を継いだら、じゅりちゃんにチャンスが廻って来るのは早くても3年後でしょ。てことはその時じゅりちゃんは研11(?)ぐらいになってしまうわけで、うみちゃんの卒業が伸びたらもっと学年は上がってしまうわけで……わたしとしては、他の娘役にはあまりない、じゅりちゃんのちょっと濃い目のお顔立ちは非常に貴重だと思うし、そもそも超美人だと思うのだが……。
 ◆ジョージ:マートルの亭主。自動車工場の主。気の毒としか言いようがない……。演じたのは、月組組長の光月るうさん。この役はキーキャラでもあるわけで、組長が演じるよりも誰か若手にチャンスを上げてほしかったかもな……と言っても、若干の老け役でもあるわけだから、ちょっと難しいか……。でもまあ、組長の確かな演技は見事だったし、確かに組長以外には難しかったかもね……。もしまだありちゃんが月組にいたら、どの役を演じていたのかなあ。
 とまあ、主なキャラは以上ですが、今回わたしの目に留まった3人も紹介しなければならないでしょう。
 まず、今回で卒業してしまう晴音アキちゃん。今回はいろんな役でいろんな場面で登場していたね。そしてフィナーレでも、同期のれいことのシーンもあって、胸アツでした。ちょっと前なら、絶対マートルは彼女が演じてただろうなあ。もう舞台でみられないかと思うととても寂しいです。顔立ちがわたしの好みにジャストミートなんすよ……。声も特徴があってすごい好きでした。今後の活躍を楽しみにしております!
 そして、同期と言えば、専科に移った専科最年少の輝月ゆうまくん。もうこの人、ホントに男にしか見えないんですけど! 実に、実に渋い役作りで最高でした。この前、スカステの「Memories of 晴音アキ」で、輝月くんと最後の舞台で一緒になれて本当に嬉しかったって、晴音ちゃんが言ってたよね。きっと輝月くんも同じ思いでしょう。なにしろ、輝月くんは研4でロミジュリのヴェローナ大公を演じきった実力者だもんね。本当に見事だよ。BADDYでの銀塗宇宙人がもはや懐かしいすね。次は、ぜひ星組公演に出演して、こっちんと共演してください!
 最後は、月組を見る時のわたし的お約束の蓮つかさくん。れんこんくんも、もう研12か。その発声の良さ、ピシッとした姿勢、若手へのお手本として常に成長してるよね。フィナーレでもやっぱり目を引くし、ひげダンディぶりも大変お似合いでした。今後も応援いたしたく存じます!

 てなわけで、月組は本当に層が厚いので、もっと書きたいことはあるんだけど、もう長いので、最後にいつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
 ※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
 「幸せ? そうね、幸せ過ぎて、幸福にマヒしてしまったわ……」
 今回は、イケてると言うよりも、わたしの胸に刺さった台詞にしました。これは冒頭でデイジーがニックに再会した時に言うセリフですが、全ての悲劇がこの台詞に凝縮しているような気がします。金持ちの男のトロフィーワイフとして、お人形のように「バカで可愛い」女となって愛を捨てたデイジー。もう、冒頭からずっとデイジーの未来はこの台詞に暗示されていたように思うっす。ギャッツビーには、ジョーダンのような女子の方がお似合いだったかもしれないすな……でも、ジョーダンから見ればギャッツビー的男はお断りだったかもな。難しいですのう……。

 というわけで、結論。
 
 夏ごろのCOVID-19蔓延によって、わたしの愛する宝塚歌劇も大きく影響を受けたわけだが、わたしが昨日観てきた月組公演『グレート・ギャッツビー』も、確か本拠地大劇場では4日ぐらいしか公演できなかったと思いますが、ようやく落ち着きつつあり、無事に東京でわたしも観ることが出来ました。退団者の皆さんの無念を思うと、わたしのチケが飛んだ事なんぞどうでもいいレベルの事故に過ぎず、ホント、東京で大千穐楽を迎え、完走できてよかったと思います。で、肝心の『ギャッツビー』ですが、ビジュアル面も歌も実に見事で完璧でありました。今の月組しか実現できなかった作品だと思います。物語は1922年、ちょうど100年前の出来事なわけで、日本で言えば大正11年を舞台としており、100年経って人類の生活様式はすっかり変わりましたが、人間そのものはあんまり変わってないすよね。100年前、たった一つの愛に準じたギャッツビー。男としては、彼の生きざまに涙するしかないっす。いや、泣いちゃあいませんが、とてもグッときました。そして、ある意味ではその愛に応え、きっぱりと過去を文字通り「葬って」未来へ進んだデイジー。30年前ガキだったわたしは、原作を読んでホントひどい女だと憤慨しましたが、今となっては「そういうもんだ」と理解はできます。納得は……したくないけどね。しかし月組は層が厚いですな。おだちんの未来を今後も見守りたいと存じます。以上。

↓ やっぱり読んどいた方がいいと思うし、観といた方がいいと思います。
グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)
スコット フィッツジェラルド
中央公論新社
2006-11-01

華麗なるギャツビー(字幕版)
エリザベス・デビッキ
2013-10-09

華麗なるギャツビー (字幕版)
サム・ウォーターストン
2013-06-15



 はあ……いいっすねえ……とても見事な大団円、グッとくるラストでありました。
 というわけで、わたしが第(1)巻から読み続けてきた、大好きな小説『あきない世傳 金と銀』が、最新刊である第(13)巻「大海篇」をもって完結いたしました。

 毎回書いているけど、マジで電子書籍で出してくれないかなあ……そうすれば持ち歩いていつでも読み直せるのに……。。これまで、何度も書いてきたように、本作『あきない世傳』シリーズは、現代ビジネスマンが読んでも非常に示唆に富んだ面白い作品であり、最終巻でもその面白さは当然味わえるものでありました。はあ……幸ちゃんも9歳(だっけ?)で大坂天満の呉服屋さんに奉公に出て、最終的には44歳だったかな、立派な美魔女になりましたなあ。絶対、美人に決まってるよね。
 さてと。
 前巻をおさらいしとくと、いよいよ再び呉服を扱えるようになった五鈴屋江戸店は、呉服取り扱い再開にあたって「呉服切手」という一種のギフトカードを考案して大ヒット、しかしその結果、顧客層が太物(=綿織物)オンリーだったときは町のおかみさんたち中心だったけれど、呉服(=絹織物)再開によって武家の奥様の顧客も増え、店頭に華美な呉服をディスプレイし始めることによって、町のおかみさんたちは「いいなあ、きれいだなあ、でも一生買えないなあ……」としょんぼりした顔を幸ちゃんに見せるようになってしまったのでした。
 顧客の満足とビジネス的成功、要するにお客さんと五鈴屋、さらに生産者の各段階のみなさんのWin-Win-Win-Winを目指す幸ちゃんとしては、おかみさんたちのしょんぼりフェイスは非常に心苦しく、さてどうしたものか、というのが、前巻で残った宿題でありました。さらに、前巻ラストでは、現代風に言えば「お江戸コレクション」的ファッションイベントである「吉原衣装競べ」へ出展し、単に華美なだけでなく、身にまとう人に寄り添った、「その人らしい衣装」で勝負する決意もしました。
 というわけで本作は、まずはその吉原ファッションショーですが、これは比較的あっさり終わります。まあ、大方の我々読者が想像する通り、歌で勝負する歌扇さん(花魁の皆さんに比べると若干イケてない女子)に似合った、凛とした紋付で大人気を博すも、若干の不正めいた投票で惜しくも2位に終わりますが、その後歌扇さんは大人気芸者として生きる道を得たのでした。歌扇さん、ホントよかったね!!
 そして一方の顧客層の拡大ですが、こちらも想像通り、店舗を分けることで決着をみます。すなわち、浅草田原町の従来の店舗は町のおかみさん向け商材を店頭で商う「店前現銀売り」、そして新店を日本橋呉服町にオープンし、こちらはお武家様への、現代用語でいう「外商」、つまり家に出向いて御用を聞く「屋敷商い」と形態を変えることでそれぞれの顧客に合ったスタイルをとることにしたのです。まあ、これが正攻法というか、とりあえずの最適解でしょうな。
 というわけで、相変わらず勧進相撲の浴衣は大人気だし、江戸本店も呉服町店も順調で前巻「出帆」篇で大きく航海に出た五鈴屋さんですが……航海には嵐にも遭遇するわけで、「大海」に出たとたん、ヤッバイ事態が2つも起こります……が、それは皆さん自分で読んで、ハラハラしながら、ラストの爽快なエンディングを心行くまで味わってください。わたし、ラストの気持ちよさにとても感動いたしました。そして、早くも高田先生の新シリーズが早く読みてーなー、と無責任に思いました。『みをつくし』も『あきない世傳』も、マジ最高だったっすね!
 というわけで、以下、各キャラごとにメモをしておきます。ネタバレは避けられないので、もう読み終わっていることを前提とします。
 ◆幸:しっかし波乱にとんだ人生を送ってますねえ、幸ちゃんは。9歳で奉公にあがり、10代前半で1回目の結婚、そして2回目、3回目と嫁いだ後、女子では店主になれない大坂を離れ、江戸に出て、見事な「女主人」となりました。元々頭がイイ女子だったし、きっと美人でしょう。つうか、幸ちゃんに対しては、もう書くことがありません。恐らく幸ちゃんは、1723年生まれだと思うんだけど、250年後の1973年生まれぐらいだったとしても、間違いなく有能なビジネスパーソンになっていたでしょう。有能な経営者として、大きな会社を引っ張る社長になってたんじゃないかなあ。本作で幸ちゃんの物語は終わるけれど、間違いなく五鈴屋は益々の繁栄をしていくことでしょう。今後、「その後」を描く作品が発売されることもあるかと思いますが、再会を楽しみに待ちたいですな!
 ◆賢輔:五鈴屋のデザイン本部長であり、まあ、間違いなく彼は幸ちゃんが大好きなんでしょう。でも、恋愛を超えた幸ちゃんとの関係性はとても禁欲的で、最後に明かされる本作「金と銀」というタイトルの意味は、とても心にしみたっすね! 初登場時はまだ全然子供でガキだった賢輔。ひょっとしたら、シリーズで最も成長した人かもしれないすね。幸ちゃんのことは、君に任せたぞ!
 ◆お竹:五鈴屋の総務部長であり、チーフスタイリストであり、幸ちゃんの秘書室長でもあるしっかり者。大坂からともに労苦を分け合った幸ちゃんのお姉さん兼お母さん的存在。お竹さんがいれば、五鈴屋は安心です! 本作最後の発明品となりそうだった冬でも暖かいヒートテック的素材開発も、元々はお竹さんが「あったらいいなあ」と思ってたものだもんね。きっと開発に成功し、また大ヒットとなるでしょう。お竹さんも、幸ちゃんのこと、よろしく頼みます!
 ◆佐助:五鈴屋の営業部長。佐助の恋の話も今回チラッと語られましたね。佐助どんにも幸せが訪れることを願ってます!
 ◆菊栄:五鈴屋4代目(=幸ちゃんの最初の夫)の初代妻。数年で離婚し、実家に戻って実家の傾きかけた商いを立て直す、が、兄夫婦に厭われ江戸進出を決意し、すでに江戸店をオープンさせていた幸ちゃんと江戸で合流し、自らのアクセサリーショップを見事成功させる敏腕女子。幸ちゃんにとっては強い強い味方で、何度も精神的に助けてくれました。菊栄さんも、間違いなく現代でも通用する経営者になっていたでしょう。菊栄さんにも、いつかまた、再会したいっすね!
 ◆惣次:大阪五鈴屋の5代目であり、幸ちゃんの2番目の夫。冷徹なビジネスマン。が、冷徹過ぎて大坂時代に大失敗し、失踪。その後、江戸に進出した幸ちゃんと江戸で再会。しかも両替商井筒屋三代目として大復活。幸ちゃんのピンチには、なにかとさりげない助言をして助けてきたが……わたしは、何度もこのBlogで、惣次こそ、物語のラスボスとして幸ちゃんの前に立ちはだかるんじゃないか説を唱えてきましたが、やっぱりわたしの想像なんぞ、まるで浅いものでしたね! 惣次よ、疑って悪かった! まあ、実際君は有能だからな、君も現代で十分通じる経営者になっていたでしょう。実際のところ、やっぱり惣次も幸ちゃんのことをずっと大好きなんでしょうね。イイ奴でした。今後も陰ながら助けてくれよな! 頼んだぜ!
 ◆結:幸ちゃんの妹で、若干ゆとり恋愛脳で賢輔くんにも惚れていたが、あっさりと振られたことが直接の原因(?)で、幸ちゃん&五鈴屋を裏切り、憎き変態オヤジ音羽屋の嫁となって恐怖の大魔王と化してしまった恐ろしい子。わたしは正直、いまだに結の心情は理解できません。最終的には、やっぱり和解はなかったすねえ……それはちょっとだけ残念に思うけど、まあ、無理だよなあ。。。ラストで毅然とした態度をとるのは、ある意味すがすがしいけれど、逆にどうしてそこまで……とも思わなくもないすね。。。憎しみなのか、意地なのか……やっぱりわたしにはわからんす。。。
 ◆力造&お才:五鈴屋が全面的に「染め付け」を任せている職人夫婦。二人がいなかったら、五鈴屋さんの発展はなかったと断言してもいいぐらいの活躍をしてくれました。力造さんも、ずっと課題だった「色」を開発できて本当に良かったね!
 とまあ、こんなところかしら?
 とにかく、『みをつくし』もそうだったけれど、高田先生の描く物語の主人公は、常に「まっとう」で、インチキやズルをせず、地道でサボることもせず、ただひたすらにド真面目に生きる姿を見せてくれるわけで、とっても共感できますなあ。
 わたしも、真面目に生きよう、ということを生きる信条としており、それは結構周りの人々にも認知されているようで、まあやっぱり、インチキしたりズルい生き方よりも、ずっとずっと「いいこと」が廻りまわって訪れてくれるような気がしますね。なので、わたしもこれからもずっと、回り道であっても地道に真面目に生きてゆこうと改めて思いました。

 というわけで、結論。

 わたしの大好きな小説『あきない世傳 金と銀』がシリーズ第(13)巻で完結しました。そしてその物語は、大団円と言ってよいでしょう。とてもすがすがしく気持ちの良いエンディングは、本当に楽しかったすね。いろいろあったけれど、幸ちゃんをはじめ、かかわったみんながその後の人生でも、幸せで生きたのだろう、と心から願う次第であります。幸ちゃん最後のビジネスプランは、現代で言ういわゆる商店街の形成、というよりも、20世紀で言えば百貨店、そして21世紀で言うとショッピングモールの原型になるのかな。きっと大成功でしょうなあ。みんなが笑顔で生き生きと商いしている情景を想像して、わたしの感想を終わりにしようと思います。お見事でした! そして高田先生、次の新作はいつですか!!? 楽しみに、お待ちしております!! 以上。

↓↓巻末の「講座」によると、力造さん開発のあの色のモデルは↓これだそうです。

いやあ、宝塚歌劇は本当に最高っすねえ!
 というわけで、昨日わたしは現在日比谷の東京宝塚劇場で絶賛上演中の星組公演『めぐり会いは再び~next generation/Gran Cantante!』を観てまいりました。劇場にいる3時間だけは、地獄の介護生活を忘れさせてくれるわけで、今のわたしのほとんど唯一の生きがい、であります。
 ところで。
 わたしは2010年に初めて宝塚歌劇を観劇し、それは柚希礼音さんのTOP2作目の作品だったのですが、その時わたしは、柚希さんのあまりのカッコ良さに、男のわたしが観てもこれはすごい! と一発KOされ、以来、すっかり宝塚歌劇にはまったという経緯がありまして、今回、わたしが昨日観に行った作品は、2011年と2012年に柚希さん主演で上演された『めぐり会いは再び』シリーズの第3弾なわけです。
 当然、わたしはその前2作を両方とも劇場で観ており、しかも!前作(2作目)で登場したキャラクターの10年後、という設定なわけで、さらにもう一つ、当時は若手スターだった礼真琴さん(以下:こっちん)が、満を持してのTOPスターとして、第3作を主演として演じるわけで、長くなりましたが何を言いたいかというと、これもう、超超期待の作品であり、何があろうとも、絶対に観に行くべき作品だったわけです。
 しかし……近年マジでチケットを取るのが難しくなっているし、とにかく観たい!ので、いつもは東京宝塚劇場での観劇がメインのわたしでも、まずは兵庫県宝塚市の宝塚大劇場へ遠征すべき作品であるのは間違いなく、宝塚友の会のチケット申し込みで無事に大劇場のチケットを購入したのです。。。が、またしても! もう、マジ残念なことに! またしても! COVID-19による上演中止で、わたしの大劇場遠征は夢と消えたのでした。そしてさらに、東京でのチケットは、完全なる全滅で、えっ!? おれ、マジで観られないの!? うそでしょ!? やっべえ! どうしよう!? とうろたえることになったのでした。
 ですが、やっぱり持つべきものはヅカ友ですねえ……。わたしは周りの人々に、ヅカファンであることを全く隠しておらず、つうかむしろ、宝塚歌劇のすばらしさを会う人会う人皆さんに話しているキモイおっさんなんですが、2カ月ぐらい前、税理士の先生と打ち合わせしている時に、なんかの拍子で「いやあ、次の星組公演はチケット全滅で、マジ鬱っすよ……わたし星組イチオシなのに、もう何もかも、全くやる気にならねえっすわ……」とかどうでもいい話をしていたところ、数日後にその税理士さん、の元部下のヅカ好き淑女の方、のお友達の方、という全く面識のない方からチケットが譲ってもらえそうですがどうします!? というご連絡をいただいたのでした。
 まさにめぐり会いですよ!と見当違いの大感動でわたしは勿論、即レスでチケットを譲っていただくことにし、昨日観に行くことができたわけです。今週末、千穐楽なので、ホントにギリギリ観られて嬉しかったです。本当にありがとうございました! でもオレのバカ!!! 昨日、会社から直接劇場に行ったんすけど、双眼鏡持って行くの忘れた!! アホ!! ホント自分が嫌になるっす。。。
めぐりあい
 というわけで、無駄にどうでもいいことが長くなりましたが、『めぐり会いは再び~next generation』であります。最初に申し上げた通り、本作は第2作目から10年後、第2作目で登場したとある伯爵家の次男坊、ルーチェくんのその後を描いたお話であります。すごく珍しいというか、同じ役の10年後を本当に10年経った時点で演じるなんてなかなかないことだと思います。
 主人公ルーチェくんは、お姉ちゃん大好きっ子で王都に留学中、という設定でしたが、どうやら王都で無事に大学は卒業したものの……友人レグルスの探偵事務所に居候としてグダグダな毎日を送っている様子。さらに、前作で名前だけ出てきた恋人のアンジェリークとは、現在も付き合っているものの全然進展してない、つうかむしろケンカしてよろしくない状態らしい。そんな中起こる、次期国王の座をめぐる陰謀に、ルーチェくんは巻き込まれて……てなお話でありました。
 そんなドタバタなお話も、ナレーションというか各キャラクターのセリフによって、ガンガンと状況は説明され、ああ、そういうことね、と分かりやすくお話は展開し、最後は当然めでたしめでたしで終わる物語は、観ていて大変楽しめましたし、最後にルーチェくんが男らしくキメるシーンはとてもカッコよく、わたしとしては非常に面白かったと結論付けたく存じます。
 というわけで、各キャラクターと演じた皆さんをご紹介しましょう。キャラがすげえ多いんだよな……でもとりあえず書き始めてみよう。
 ◆ルーチェ・ド・オルゴン:オルゴン伯爵家の次男。ちなみにお兄ちゃんを1作目で演じたのは涼紫央さんですな。インテリ毒舌家のカッコいいお兄ちゃんでした。そして大好きなお姉ちゃんを前2作で演じたのは、当時のTOP娘役の夢咲ねねちゃんです。まあ、そんな兄姉のいるルーチェくんは、基本的にお坊ちゃまくんで甘えっ子なわけですが、演じたこっちんに非常にぴったりなお役だと思います。とりわけ、今回はお衣装が非常にカッコ良かったですなあ! あの黄色(金色?)のロングコートと帽子が超似合ってましたね! 最高であります!
 ◆アンジェリーク:ルーチェの彼女であり、実は国王の娘(=王女)。とある事情があって、王の甥であるローウェル侯爵の娘として育てられる。強気でイケイケな攻め系女子のため、グズグズしているルーチェにイラつきMAX! 演じた舞空瞳ちゃんの強気系女子はとってもかわゆい!!! いいっすねえ! 非常に良かったと思います! やっぱり、なこちゃんは演技巧者ですなあ。芝居・歌・ダンスの三拍子そろった素晴らしいTOP娘役だと思います。
 ◆レグルス:ルーチェの大学時代の友人で、親から引き継いだ探偵事務所を経営する若者。非常にイイ奴。演じたのはこっちんと同期の瀬央ゆりあさんですが、ついに! せおっちが2番手羽を背負った姿にわたしはもう大感動であります! 良かったねえ! でも、ありちゃんが公演に参加したら、その2番手羽はありちゃんに行ってしまいそうな気もする……けど、せおっちは紛れもなく、今の星組の2番手ですよ。歌も公演ごとに上達しているし、ダダ洩れる色気も2番手として十分すぎる器だと思います。素晴らしかったす!
 ◆ティア:女優志望の大学時代の友人。レグルスが好き。レグルスもティアが好き。たぶん。結構イケイケグイグイ系女子。演じたのは有紗瞳ちゃん。くらっちとしては、なんとなく珍しく激しい系女子だったすね。とても良いと思います! 歌も芝居も非常にうまいっすね!
 ◆セシル:新人劇作家。なんと師匠は前2作で現在の宙組TOPスター真風涼帆さんが演じたことでもおなじみのエルモクラート先生。エルモクラート先生はたしかルーチェのお兄ちゃんの友達だったよね。で、今回その弟子のセシルを演じたのは天華えまくん。ぴーすけも、なんかここ数作で歌がすごくうまくなったような気がしますね。同期が退団することが多くなってきたけど、ぴーすけにはまだまだ頑張ってほしいっす!
 ◆アニス:メカが得意な理系女子。大学時代の友人。セシルが好き。セシルもアニスが好き。たぶん。ぶっ飛びマッドサイエンティスト系女子だけど、ラストではその発明品が大活躍! 演じたのは102期生、なこちゃんと同期の水乃ゆりちゃん。今回は抜擢と言っていいのではないかしら。正直今までそれほど注目はしてこなかったけど、可愛いっすね、ゆりちゃん。若干ハイテンション演技のキンキン声系だったけど、普通なゆりちゃんを過去作で探してチェックしようと思います。
 ◆レオニード:前2作にも登場したローウェル侯爵の姪。ルーチェのお兄ちゃんが大好きで、男装してまで押し掛けたグイグイ系女子。無事にお兄ちゃんと結婚し(たんだっけ?)、現在は「恋愛アドバイザー(?笑)」として活躍中。演じたのは、これがついに卒業作となってしまった、いつも可愛い音波みのりさん。はあ……はるこさんが退団なんて……ホント淋しいっす。。。いつも、どんな作品でも、可愛いはるこさん。もっと舞台で輝くはるこさんを観ていたかった。。。今回は一瞬だけ、なつかしい男装姿も見せてくれて、最高に可愛かったす! マジ双眼鏡を忘れた自分が腹立たしい。。。はるこさんをガン見したかった。。。
 ◆フォション:初めて登場したレオニードの兄。そもそもレオニードが男装してたのは、この兄を騙ってなりすますための変装だったわけわけですが、今回ついにご本人が初登場。演じたのは、わたしが何気に大好きなこっちんに次ぐ95期次席のひろ香祐くん。ひーろーくんはホントに実力のあるお方なんだけど、残念ながら大劇場作品ではあまり見せ場をもらえないことが多かったのですが、今回はかなりセリフも歌もあって、とてもうれしいです。ショーでもかなり目立ってたね! こっちんが安心して背中を任せられる、頼れるお方ですよ!
 ◆ユリウス:ルーチェくんの実家オルゴン伯爵家につかえる執事。前2作から引き続き登場。前2作で結婚したプルニギョン(=演じたのは紅ゆずるさま)とリゼット(=演じたのは白華れみさん)の双子の子供と王都で待ち合わせていたため、今作でも登場。演じたのは、3作連続で同じ天寿光希さん。天寿さんも今回退団で、淋しいすね。。。
 ◆アージュマンド(アンヌ):アンジェリークの侍女であり、ボディガードとして腕も立つ忍び系女子。演じたのは103期生の瑠璃花夏ちゃん。いい役が付いてよかったね! るりちゃんはスカステの番組とかで観る限り、かなり可愛くて歌も上手そうで、ひとつ前の公演で新公初ヒロインも経験して、今後の活躍に期待ですな。
 ◆宰相オンブル:今回の悪い人。演じたのは花組からの転校生綺城ひか理くん。もう星組に来て2年か。いつまでも転校生と言ってちゃダメか。サーセン!
 ◆ロナン:オンブルの息子。父親の悪事に加担させられるちょっと可哀想な奴。演じたのは、ついにバウ主演が決まった星組の次世代スター候補の極美慎くん。きわみくんは、もうビジュアルは最強クラスなので、とにかく歌を頑張ってほしいすね。
 ◆ジュディス:ロナンの恋人で大司教の娘。彼女も悪事に加担せざるを得ず……お気の毒。。。演じたのは、99期とベテランになりつつある歌ウマの小桜ほのかちゃん。ちょっと役柄的に出番が少なかったのは残念だったなあ。。
 ◆カストル:ユリウスが王都で待ち合わせしてた双子のお兄ちゃんの方。演じたのは、ウルトラサラブレット&修造の娘でお馴染み稀惺かずとくん。105期生ってことは研4か。そろそろ役もついてきて、今回は台詞もそれなりに多かったね。でも、アレなのかな、ちょっと背が低い?のかな? 今回も子供の役でした。どう育っていくか、大変楽しみっすね。
 ◆ルベル:コソ泥3人組のリーダー格(?)。演じたのは、わたしが次世代の本命と思っている天飛華音くん。かのん君はマジこれからグイグイ成長すると思います。とても楽しみです!
 ◆マダム・グラフィス:前2作から引き続き登場。もちろん演じたのも、前2作と同じ、元星組長にして現在は専科の万里柚美さま。ゆずみさんはいつ見てもホントお綺麗な淑女ですなあ。70期生だから、たぶんわたしより年上なのは間違いないはずだけど、いつまでも衰えないその美貌は見惚れますね!
 ◆エメロード:有名歌手でこれまで名前は出てきたお方で今回初登場。演じたのは、現役最強レベルの歌唱力をもつ専科の美穂圭子さま。とにかく、けいこさんの歌は圧倒的で、いつも言ってますが、けいこさんだけマイクのセッティングが間違ってんじゃね? というぐらいの圧倒的声量&美声。本当にお見事であります! ショーでこっちんとともに歌うシーンは圧巻でした。わたし、こっちんとけいこさんが一緒に歌うのを観たのは初めてかも?
 とまあ、こんな感じかな? はーーー長かった。。。
 そして後半はショー『Gran Cantante!!』であります。
カンタンテ
 わたしは、こちらのショーでは、もうずっと今回で退団してしまう華雪りらちゃんを探して見つめておりました。わたしの中では、娘役の中でいっちばん可愛いと思うりらちゃん。本当に残念だよ。。。そして、双眼鏡を忘れたわたしはマジで自分が許せない。。。でも! わたしの目には、りらちゃんはすぐわかったよ。あっ!出てきた! またいた! と、一人りらちゃんを見つめ、その可愛い姿を目に焼き付けてまいりました。ほんと淋しいなあ。。。でも、なぜ、なんでスカステで「Memories of 華雪りら」を制作・放送しないんだ! 番組プロデューサーを正座させて説教したいっす。あー、本当に淋しく思います。。。
 しかし、今回のショーを見て思ったんすけど、意外とぴーすけくんやきわみくんといった、若手メインシーンが増えてきましたね。せおっちはもう前からだけど、その次の世代をメインに持ってくるシーンは、これからを感じさせるものがあるし、一方では、こっちんの「いつか来る、おわり」が忍び寄って来ているのだと痛感させられるっすね。。。まあ、少なくとも2024年の大運動会までは、こっちん体制でお願いしたいっす。。

 てなわけ、もう書いておきたいことはないかな、大丈夫かな?
 それでは最後に、いつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
 ※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
 「ユリウス……僕が国王になんてなれると思いますか……?」
 「当たり前です! オルゴン家の方々は誰だってどこに出したって恥ずかしくありません。わたしが保証します! 王国ぐらい、軽々と背負えますよ!」
 今回は、本作で退団してしまう天寿さん演じるユリウスが、TOPスターこっちん演じるルーチェくんに贈る言葉としてのセリフを選びました。なんというか、こっちんはもうTOPに就任して2年以上経過しているのに、どうしても性格的に自信満々な人間ではないわけで、天寿さんにこう言ってもらえたら本当にうれしいでしょうなあ。天寿さん、最後にこっちんの背中を押してくれてありがとう! 大変カッコいいセリフだと存じます。

 というわけで、結論。

 わたしはもう13年、宝塚歌劇を観続けており、ずっと星組推しなわけですが、肝心の星組公演のチケットがまるで獲れず、絶望していたところ、予想外のつながりで全く面識のない淑女からチケットを1枚譲っていただき、観ることが出来ました。大変大変感謝しております。そして千秋楽ギリギリのタイミングで観ることができた『めぐり会いは再び~next generation/Gran Cantante!』は、とても楽しく騒々しい、ドタバタ劇でしたが、大変大変楽しめました。しかしこの公演で退団してしまう3人をもう舞台出来ることができないと思うと、とても淋しいすね。。。特に音波みのりさんと華雪りらちゃんのお二人は、星組には欠かせない娘役でしたなあ。。。二人は本当に可愛いお方なので、退団後の人生に幸あれと願わずにはいられないす。そして我らがTOPスター礼真琴さんは、なんかどうしても少年っぽい役が似合ってしまいますね。。。歌の多いギャッツビーこそ、こっちんに演じてほしかったかもな。。。まあ、これから先、まだ時間はあると思うので、大人な役にもぜひ、挑戦してほしいと思うっす。とはいえ……必ず「いつか来る、おわり」のその日まで、全力でこっちんを応援いたしたく存じます。はあ……はるこさんとりらちゃんを双眼鏡でガン見したかった。。。今後は会社にも予備の双眼鏡を常備しようと存じます。オレのバカ!! 以上。

↓ やっぱり予習しといた方がいいと思います。特に「2nd」は。


 このBlogでずっと書いているように、わたしはMCU、すなわちMarvel Cinematic Universの一連の作品が好きで、ずっと観続けているわけですが、現在進行中のPHASE-4に関しては、正直、なんかなあ……という気持ちでおりました。
 というのも、PHASE-3までは、インフィニティ・ストーンをめぐる物語ということで、その軸がしっかりと設定されていて、ブレがなかったわけですが、どうもPHASE-4に入ってからは、その軸が見当たらず、場当たり的な印象を受けるから、であります。一言で言えば、(現状では)つながりが見えない、ということです。
 とはいえ、恐らくは今後の進行によって、そういうことだったのか!! と我が頭脳の愚かさに気づかされることになる可能性は高く、まあ、とりあえずおとなしく見続けるしかあるまい、と思っています。
 ところで、実はわたしとしては、PHASE-3までの作品の中でも、やけに世間的に評価の高い作品が、わたしにとってはかなりイマイチに思える現象があって、例えば『BLACK PANTHER』などは、主人公が意外と弱いしカッコ悪くて、好きになれないと思えたりすることもあります。
 さらに言うと、『THOR:RAGNAROK』という作品は、せっかくわたしが大好きなCate Blanchett様を凶悪なVillainに起用しているのに、クソつまらんギャグや妙なキャラ変で、すっかり台無しにされてしまった、と思っていました。
 それゆえ、今般公開されたMCU第29作品目であり最新作である『THOR : LOVE & THUNDER』に関しても、どうせまたくだらねえギャグ映画になっちまったんだろ、つうか何百年(1500歳ぐらいだっけ?)も生きてる神様的な男が、今さら自分探しって、極めて幼稚というか、アホかっつうの! とか思ってましたし、『END GAME』でデブって引きこもった雷神THOR様には心の底から失望しておりましたので、新作公開にも全く期待しておりませんでした。
 だけど……のっけから結論を言うと、超最高!! だったすね!!
 いやあ、もう、素晴らしい物語でありました!
 というわけで、以下ネタバレに考慮せずに書くので、まだ観ていない方はここらで退場してください。さようなら。

 はい。それではよろしいでしょうか。
 DISNEYによる公式予告は、数カ月後に削除されるので、別にUPされている予告を貼っておきます。
 この予告を観た時も、「またクソつまらんギャグが滑りまくってんな」としか思ってなかったわたしでありますが、公開された本編は――確かにどうでもいい寒いギャグは多かったけれど、ほぼ本筋には関係ないどうでもいい要素だったのでスルーします――実に深い、しかも泣かせるお話でありました。
 もう物語の要約はしませんが、本作の最大のポイントは、いわゆる「神の沈黙」という大問題であるとわたしには思えました。
 簡単に言うと、神様を信仰して、祈り、供物をささげ、神への深い信心を抱いていようと、神様は答えてくれない。なんでなんだ! どうして助けてくれないんだ! ってやつです。
 この映画の凄いところは、その信仰の対象たる神様たちを実体として登場させ、さらにその神様たちを「ああん? 人間のことなんざ知らねーよ!」という恐ろしく怠惰で無情な存在として描いたことにあるのではないでしょうか。これは凄いよ。マジビビったわ。。。
 本作でのVillanとなるゴアという男は、神様に一生懸命仕え、祈りをささげ尽くしたというのに、無情にも彼の住む惑星は滅び、愛する娘も死に至りました。そんな絶望にある彼が出会った神様は、彼をせせら笑うだけで無関心。そりゃ誰だって怒るよね。神と名乗るモノは全員ぶっ殺す! もう完全にNINJA-SLAYERですよこれは。神を殺せる「ネクロソード」に魅入られた彼が、神様殺しを誓うという展開は、実に自然だし、そもそもネクロソードに操られたとも思えない。ネクロソードを単に武器としか思ってないわけですが、一つ言うなら、そのネクロソードはだれが何の目的で作ったのか、は明かされず、その点は若干モヤモヤします。
 ともあれ、「神殺し」を誓った男にとっては、神様の端くれ(と言っておこう)であるTHOR様も、一応その標的になりますので、ここでバトルが生まれるわけです。
 で。
 もう一つ、本作でのポイントは、THOR様の永遠の恋人、ジェーンの身に振りかかる災難が描かれたことです。確か『RAGNAROK』でチラッと地球にやってきた時、THOR様はジェーンとは別れたとか言ってましたが、そのジェーンがステージ4のガンに侵されていたのでした。本作では、別れる前の二人のイチャイチャ振りも回想として描かれますが、まあそれはどうでもいいとして、どうやらTHOR様は、ムジョルニアに、ジェーンを守ってやってくれよな、とか言い聞かせていたらしい。そしてジェーンも、ムジョルニアには健康と力をもたらす的なことが書いてある文書を読んで、ノルウェーだかどこかに建国された「ニュー・アスガルド」に保管してある、『RAGNAROK』でぶっ壊されたムジョルニアのもとを訪れ、その力によって「マイティ・ソー」に変身する力を得ることになります。
 つまり、ゴアはネクロソードによって神を殺す力を得、ジェーンはムジョルニアによって超人パワーを得たわけです。
 しかし、それには代償が求められました。ネクロソードは、どうやら優しいお父さんだったゴアの精神をどす黒く塗り替えてしまったし、ムジョルニアは、ジェーンの肉体からガンに対抗する体力を奪いました。なので、ジェーンはムジョルニアを手放すとぼろぼろに衰弱した体になってしまう、というこれまた非常に非情な二者択一です。
 ただ、前述の通りわたしにはゴアがネクロソードに操られているとは見えませんでした。ゴアはゴアの意志によって神殺しを誓ったのだと思う。そしてジェーンも、ジェーンの意志によってムジョルニアの力を受け入れ、マイティ・ソーとして戦うことを選ぶわけです。たとえ自分の肉体が滅ぼうとも、愛するTHORを守るために、わたしはムジョルニアを手にするッ! この二人の「人間」による決断が見事だとわたしは思うのです。
 神様なんて、無責任で怠惰で信仰に値しない、けれど、その神様に対抗できる力があるなら、どんな代償を払ってもその力を利用する。そしてその選択は、あくまでも神様なんて関係なく、人間自身の意志によって! という点が、わたしはとても感動したっすね。地獄のような毎日を送るわたしには、深く共感できるお話でした。そうです。つまりわたしには、ゴアは全く悪い奴には思えなかったわけです。むしろ、そんな神様なんてふんぞり返ってる連中は全員ぶっ殺せ! と応援すらしたくなりました。
 というわけで、わたしにとって本作は、神殺しの力を得た男の復讐と、神に匹敵する力を得た女性の愛の物語、という評価になりますので、主人公たるTHOR様は、相変わらずガキくさい分別のない筋肉男としか思えず、とんだお坊ちゃまだなあ、という評価は覆らなかったす。
 そしてもう一つ、本作ではすごい描写がありました。な、なんと! 神話で最高神と呼ばれるゼウス様が登場するのです! しかも、どうしようもないたるんだ腹のバカオヤジとして! おまけに言うと演じたのはレオニダス様でお馴染みRussell Crowe氏ですよ! あの描写は、ギャグなんだろうけど、まあ笑えなかったすね。逆にわたしもゴア並みに怒りが増すばかりで、もしわたしも神殺しの力を得たなら、即ぶっ殺すだろうというようなバカ殿ぶりで嫌になったす。
 つうかですね、MCU的には、すごい謎が深まるばかりなんですよ。そもそも地球上に伝わる神話の類は、ETERNALSの一人、スプライトが創造したお話なんじゃなかったっけ……。実在したんだ……しかもなんか、アリシェム・ザ・ジャッジらしきセレスティアルズの連中もいたし、なんなのこれ……と困惑せざるを得ないす。しかもエンドクレジット途中のおまけシーンでは、本作では散々痛い目に遭ったゼウスが、息子のヘラクレスに、THORをぶっ殺せ、と、この恨みはらさでおくべきか、メラメラメラ……的に怒ってるし、もうわけわからんす。
 こういう、もはや人間が頑張って何とかできるレベルを超えている要素をまき散らしているのが、わたしがPHASE-4に感じるモヤモヤというか、なんだかなあ、的感想をもたらす原因なんだけど、どう収拾をつけるのか、全く想像がつかないですな。つうかもう収拾つかないのではなかろうか。。。
 とまあ、こんな感じがわたしの感想であります。
 もう役者陣はレギュラー陣が多いので、今回の新キャラたるゴアを演じたChristian Bale氏のことだけ書いておきます。もう一言で言えば、最高、一人だけ演技のレベルが違うと言えそうなぐらい見事だったですな。Bale氏の「えっ……!? 何言ってるんですか?」的な唖然とする表情がすごくイイですね。そこからの、「ふざけんな!!!」という怒りへのギャップが凄いと思います。ラストで愛する娘をTHORに託す、優しいお父さんに戻れてよかったね。実に見事なパフォーマンスだったと賞賛したいと思います。
 あと、GUARDIANSの面々も、ほんのチラッとしか出演しなかったのも良かったですな。ガッツリ物語に絡む必要はなく、あの程度のチラッと出演で十分だったと思います。それから、今回もアスガルド演劇団の面々を演じたMatt Damon氏やSam Neill氏たちが出てきて、この人たち、サノス襲撃で死ななかったんだ、となんかテキトーな設定に笑いました。『END GAME』でも思ったけど、意外と生き残り多いっすね。そしてエンドクレジット後のおまけ映像では、死後の世界のヴァルハラでの描写で、あのヘイムダルも登場してきたので、まさかと思うけど今後死んだキャラたちも登場する可能性あるのかな? と、ジャンプ漫画のようなテキトー設定は笑っていいのか楽しみにすべきなのか、もうよく分からないっす笑
 なんつうか、MCUはやっぱりトニーのようなTECHヒーローがいないと、人類の手で何とかするという部分が薄れてしまって、面白みが半減してしまうような気がしてならないすね。その点では、おれたちのANT-MANの次回作に超期待したいすな!
 というわけで、もうとても人類が対抗できそうにない世界に広がりつつあるPHASE-4に関して、ちょっとまとめておこうかな。
【劇場公開作品】
 ◆BLACK WIDOW:まあ実際のところ、面白かったけど過去の話なのでもうどうでもいい。この作品で語られた妹エレーナが今後どう活躍するか、だけ。
 ◆SHANG-CHI:謎テクノロジーの「テン・リングス」というアイテムが、だれが何のために作ったのか、という謎が残る。現状では、謎の信号を発しており、キャロル(CAP MARVEL)すら知らない未知のパワーを持っているらしい。主人公自身はその謎アイテムを使っているだけなので、別にどうでもいいというか、魅力は感じない。妹の方のその後が気になる。
 ◆ETERNALS:地球上にいろんなものを残したままで、MCUヒーローたちがそれを(今のところ誰も)調査したりしてないのが気になる。肝心のETERNALSの連中は宇宙に旅立った連中と、アリシェムという宇宙の創造主(?)の一派に連行された連中に分断されていて、どうなったのかよく分からん。そして、ヒロインであるセルシの恋人が後にBLACK KNIGHTになりそうで、さらにBLADEともつながりそうな気配。
 ◆SPIDER-MAN : NO WAY HOME:最高に面白かった。盲目の弁護士でお馴染みDAREDEVILの登場はビビったすね。そしてなにより、ピーター君のその後がとても気になります。
 ◆DOCTOR STRANGE IN THE MULTIVERS OF MADNESS(MoMと略します):超微妙作。とりあえず悪の大魔王に堕ちてしまったワンダ討伐は、ある意味ワンダの自殺で完了した。一方ドクター本人は、第3の目が開眼し、ダーク・ディメンジョン?に行っちゃった。
【Disney+作品】
WANDA VISION:とりあえずウエストビュー事件は解決した。そして反省したはずのワンダはMoMで悪の大魔王となり昇天(?)。ただし、黒幕たるアガサがどうなったのかはよく分からんし、この作品で、キャロルの親友マリアが死亡していることが判明、さらに娘のモニカが謎パワーを得てスーパーヒーロー化したのは要チェック。
THE FALCON&THE WINTER SOLDIER:CAPに託された盾の重圧に悩みまくったファルコンことサムがやっと2代目CAPに就任。そして相棒のバッキーは最初から最後までイイ奴で、カッコ良かったし、洗脳された暗殺者時代の罪を償おうと頑張ったのが感動的でした。この作品では、元S.H.I.E.L.D.のシャロンがどういうわけか悪い奴になっており、今後の動向が心配です。さらに、エレーナをスカウトしたヴァルがまた暗躍しているようで、その動向も謎。
LOKI:END GAMEの時間泥棒中の2012年NYCからちゃっかり抜け出したLOKIのその後が語られたが、「神聖時間軸」の番人(=在り続けるもの=カーンの変異体?)をロキの変異体であるシルヴィがぶっ殺したことでカオスな状態に。このカオスがMCU世界にどう影響しているのか、正直よくわからん状態に。
What IF...?:初のアニメ作品。もしもの世界を描いた作品で、まあどうでもいいかな。
HAWKEYE:普通の人であるホークアイが、ローニン時代の落とし前をつける話で、まあ正直どうでもいい。ホークアイの後継者になりそうなケイトや、エレーナも登場。そしてDEADEVILのVillainであるKINGPINは登場するし、ECHOも登場するしで、ちょっと広げ過ぎなのが気になる。
MOON KIGHT:エジプトの神様総出演でもう大混乱。めずらしくロンドン在住ヒーローなので、ETERNALSのセルシの恋人、のちのBLACK KNIGHTと出会えるかもね。
MS. MARVEL:今週最終回。こちらもいろいろつながりがありそう。テン・リングスとは明確につながってるみたい。まあ、ヒロインには特にコメントはないです。来年公開予定?の『THE MARVELS』に登場することは確定してるみたいですな。

 というわけで、超脱線したのでさっさと結論!

 MCU第29作目である『THOR : LOVE & THUNDER』をさっそく観てまいりました。正直、全く期待してなかったし、アホさくいギャグはバカバカしいというか、全く興味はなかったけれど……描かれた物語は実に感動的で、Villainであるゴアというキャラクターは素晴らしかったし、永遠の恋人ジェーンの感動的な選択にはグッとくるものがありました。まあ、神様的な存在は、実際のことろ人間に興味なんて持っておらず、享楽的な毎日を過ごしているんだということを、そのものズバリな映像で観せられると、ホント、怒りを感じますね。ふざけんなと言いたいし、神に立ち向かったゴアは、とても人間らしい素晴らしいキャラクターだったと思う。わたしの座右の銘は、ラオウ様の「ならば神とも戦うまで」というセリフなんすけど、まさに神と戦ったゴアは、ラオウ様的カッコ良さがありました。えっ!? THOR様はどうだったかって? ええと、あんたさ、1500歳だか何だか知らんけど、いつまでもガキくさいこと言ってないで、ちゃんと大人になりなさいよ。本作ラストでは、ちょびっとは成長したみたいなので、まあ、相当今更だけど、今後とも地球をよろしくお願いします! 以上。

↓ わたしにとって今のところのMCU最高傑作は、やっぱり『CIVIL WAR』っすね。

 いやあ……ホント宝塚歌劇は最高っすね!
 と、いつも同じことを書いておりますが、わたしは昨日の土曜日、母の昼食介護を兄に託して、日比谷の東京宝塚劇場にて、雪組公演を観てまいりました。劇場にいる3時間だけは、マジですべてを忘れさせてくれる、わたしにとっては大変貴重でかけがえのないひと時であります。
 わたしはそもそも星組イチオシなわけですが、このところ宝塚歌劇友の会のチケット神は、わたしにそっぽを向いてチケットを与えてくださらず、以前書いた通り正月の花組公演、その次の月組公演はチケット全滅でありました。なので、わたしは一番大好きな星組公演だけは見逃すわけにはゆかぬ! と思って、星組公演の大劇場公演(=知らな人はよく「大阪」と言いますが、「兵庫」の宝塚市です)のチケを申込み、無事に当選し、5/14(土)に遠征を予定しておりました……が、ご存知の通りCOVID-19による公演中止と相成り、さらに東京の星組公演もチケット全敗、という憂き目に遭っておりました。
 まあ、肝心な時に限って運がないのがわたくしであります。。。
 順番を記すと…
 1-2月の花組@東京:全滅。観ること叶わず。
 2-3月の月組@東京:全滅。だけど美しきズカ友の淑女にお誘いいただき観劇できた。
 4-5月の宙組@東京:友会当選2階席。ネバセイは最高でした!
 5-6月の雪組@東京:友会当選2階席。これが昨日観てきた作品
 6-7月の星組@東京:5月の大劇チケは当選したものの公演中止。東京チケ全滅。
 7-9月の花組@東京:次の花組は友会で当選しました! しかもSS席! やったー!
 てな感じですが、わたし、常日頃からヅカ愛好家であることを隠しておらず、星組全滅を嘆いてテンションどん底なオーラをまとって仕事をしていたところ、日ごろ懇意にしているお方の元部下、のお友達の方、という全く面識のない方からチケを1枚融通してもらえそうで、何とか観劇出来そうです。持つべきものはヅカコネクションですなあ! 皆さんありがとう!
 さてと。前置きが無意味かつ長くなりましたが、雪組公演『夢介千両みやげ/Sensational!』であります。
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 知らない人は知らないし、知ってる人には常識ですが、雪組は「和物の雪組」と称されるように、日本モノが得意な組であり、今回の作品は江戸人情モノでありました。恐らく知らない人は、時代劇でミュージカル!? とビビるかもしれませんが、ヅカファンなら納得の作品であります。
 まあ、一言で言うと……最高だったすね! ちょっと笑えるし、なにより主人公が実にイイ奴! なのです。物語を簡単にまとめると、小田原の庄屋の息子がいて、超金持ちなわけなんだけど、親から1000両もらって、その金をもって、華のお江戸で「道楽修行」をするというものです。これだけだと、金持ちのクソガキの道楽なんて、ふざけんな! と思うことでしょう。
 わたしも実は、最初にあらすじをみた時は、なんじゃそりゃあ!? 親の金でだとう? ざけんな! とか思いました。しかし、その金の遣い方がですね、なかなか悪くないんですな。生粋のお人よしで、かかわっていく人々も極悪人は少数で、なんつうか、気持ちいいんすよ。わたしも、金で解決できることは金でカタをつける男なので、まあ、わたしは自分で稼いだ金ですが、日ごろから世間にゃロクな奴がいねえ、とか思っているわたしにとっては、夢介くんのお江戸修業は大変気持ちのいいお話であったと思います。
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 宙組も2階席だったけど、2階でも結構見やすいすね。ドセンターだったのも良かったす。
 というわけで、物語の主なキャラと、演じたたジェンヌたちを箇条書きでまとめてみようと思います。
 ◆夢介:主人公。小田原の庄屋さんの跡取り息子で金持ち。超イイ奴。何気に腕っぷしも強く、喧嘩も臆せず、どうしても話の分からん悪党はブッ倒す!な男。基本的にもめごとは金で解決できるならさっさと、気前よく金を遣うが、一応夢介ルールはあって、何でも金、ではない。ある意味現実的な社交術ではある。けど正直なところわたしは、序盤は「なんだコイツ」と思っていました……が、後半になるころには、コイツ、やっぱすげえイイ奴じゃん、と思うようになりました。なんつうかなあ、心持ちがまっとうというか、要するに、優しいというよりもド真面目、なんすよね。そして、そのせいなのか、そこらじゅうの女子から超モテるのが実に腹立たしいすね笑。オレも真面目な男なんだけどなあ。
 演じたのは当然雪組TOPスター彩風咲奈さん。わたし的には、謎の小田原訛りが東北訛りっぽく聞こえて、なんか若干、変なの? とは思いました。とはいえ、彩風さんもTOP2作目、順調に芝居も歌もダンスもTOPの力量を見せてくれてますな。大変結構だと思います。
 ◆お銀:通称「オランダお銀」と呼ばれる女掏摸。江戸に向かう途中の夢介に目をつけて、金をかっぱらおうと思ったところでお侍に捕まりかける、が、夢介が「その金はその人にあげたもんだから、盗みじゃねえっすよ」的に助け、結果、夢介にぞっこんLOVEとなって一緒に江戸に出て、押しかけ女房として世話を焼くことに。演じたのはこちらも当然雪組TOP娘役の朝月希和さん。なんか、色気もあっていいっすね。夢介がモテまくるので、いちいち「キーッ! 悔しい!!」とイライラする姿が大変可愛いと思います。わたし、「キーッ!」と発声する女子を、漫画以外で初めて見ました笑。 しかしアレっすよね、夢介が出会う女子の順番がもし違ってたら、お銀ちゃんは選ばれてなかったのだろうか?? なんか、夢介のお銀ちゃんへのLOVE感情が、あっしにゃあ、イマイチよく分からなかったっす。
 ◆三太:お銀の幼馴染(?)の少年で、掏摸仲間。なかなか世間を分かってる現実的BOYで、幼い妹と弟の世話をみている苦労人。この妹が、超言葉遣いが丁寧で頭が良さそうで、すげえ印象に残るナイスキャラだったすね。で、三太は夢介を危なっかしいと思いつつ、姉のようなお銀の相談相手になったり、いろいろ気の回るできた弟分でありました。演じたのは、本公演から雪組生として新たな道を歩み出した元宙組の和希そらくん。ずっとこのBlogで書いてきたように、わたしは宙組でそらくんを一番応援してきたので、雪組に異動になったことに、少しばかり心を痛めておりました。。。が、全く心配はないようですね。そらくんは和物も似合いますねえ! つうか、和物というか和服が似合う、と言った方がいいかな。夢二もとっても雰囲気あって良かったからねえ~。そらくんはもともと女子としても凄い美人なので、色気も漏れまくってますな。これからもそらくんを応援いたしたく存じます。
 ◆総太郎:飛脚問屋・伊勢屋のダメ息子。イケメンでいわゆるチャラ男くん。金を持ってる夢介にたかって遊ぼうとするどうしようもないだめんず野郎。語尾は「~でゲス」というのがいちいち笑っちゃいます。そんな語尾をつけて話す奴、マジでいるんだ? と、こちらも漫画以外で初めて見た笑。演じたのは、雪組きってのイケメン、朝美絢さん。あーさも月組から雪組に移ってもうずいぶん経ちますな。あーさの場合も、雪組への組替えは正解だったんでしょうな。正2番手として、ますますの活躍を期待し、今後を見守りたいすね。
 ◆浜次:芸者さんできっぷのいい姐さん。総太郎の借金を軽く返済した夢介に近づき、金を狙うが、夢介のイイ人振りに惚れてしまう2番目の女性。もし夢介が最初に出会った女性が浜次姐さんで、結婚して! と言ったら受け入れてたんだろうか? 演じたのは96期生の妃華ゆきのさん。ごめんなさい。。。今までほぼノーチェックでしたが、かなりの美人っすね! つうかわたし、今回初めて、雪組の娘役はすげえ美人ぞろいで充実してんなあ、と今さらなことを思いました。もっとちゃんとチェックして勉強いたしたく存じます!
 ◆春駒太夫:女手妻師。夢介に惚れちゃう3番目の女性。演じたのは95期生の愛すみれさん。非常に大人な色気のあるイイ女、を好演されていたと思います。いやあ、とても美しいっすね。
 ◆お滝&悪七:お滝は長唄の師匠。100期生の希良々さん。つうか、そうか、100期生ももう新公卒業してるのかな? あっという間だなあ。そして悪七はお滝の亭主。本名は七五郎で、元々は船頭。ヤクザの仲間で、お滝に美人局的なことをさせてる悪い奴だが、夢介のまっとうなハートに触れて改心する憎めない?野郎。演じたのは、星組時代からわたしはずっと応援してきた98期の綾凰華くん。あやなくんはこの公演での退団を発表しており、わたし、ここ数年で一番ショックな退団発表でした。。。まさかだよ……本当に。とても残念だけど、恐らくは、現在はもう完全に吹っ切れたというか、すがすがしい気持ちなんだろうと想像しますが、やっぱり、我々には想像の付かない苦悩の末の決断だったのでしょう。でもまだまだ若いし、なにしろあやなくんは素で美人だから、びっくりするような美女に戻ると思います。芸能活動は続けるのかなあ。。。続けるなら応援したいっすね! 続けなくても、あやなくんの今後を応援したい気持ちっすね。いやあ、本当に淋しいよ。。。『阿弖流為』の母礼は見事だったよ。あやなくんに幸あれ、と願わずにはいられないっすね。。。
 ◆お松:総太郎の家の伊勢屋に奉公するお女中さん。総太郎に惚れられて、孕まされるも捨てられ、死のうとしたところを夢介に助けられる。総太郎、マジでお前最悪でゲスね! で、このお松ちゃんを演じたのは99期生の野々花ひまりちゃん。下級生時代から路線を歩んで来たのに、もうベテラン枠に入りつつあるのが気になるっすね。。でもひまりちゃんの演技はとってもいいし、雪組には欠かせない娘役ですよ。応援してます!
 ◆お糸:元々手妻公演を行っている春駒座で春駒太夫の付き人だったが、実家の蕎麦屋のお父さんが亡くなり、ばくちの借金と引き換えに、総太郎と結婚させられそうになって困っていたところを夢介に助けられる。演じたのは宙組からやってきた夢白あやちゃん103期生。もう組替えして2年近く経つのか。。あやちゃんも超路線なわけだけど、彼女は可愛い系というより美人系っすね。すっごい細いので、背が高く見えるっすね。
 ◆金の字:のちに、遠山の金さん、でお馴染みのお奉行様になる若者。夢介と何度も出会い、その人柄に一目を置く。演じたのは雪組の次世代ホープ、縣千くん101期生。バウ主演も控えているし、まあ、もう縣くんが将来TOPになるのは間違いないでしょうな。それがいつになるのかわからないけれど、間にあーさを挟むとしても、2025年の大阪万博の頃に雪組TOPスターになっているのは間違いないような気がしますね。やっぱり凄い存在感ですよ。正直、わたしはちゃんと縣くんの歌を聞いたことがあまりないので、歌がうまいのか知らないのですが、まあ間違いなく、TOPスターになるでしょうな。なんつうか、オーラがもう違うっすね。間違いなく本物の器っすよ。
 最後に、わたしが凄い気に入った三太の妹、お鶴を演じた花束ゆめちゃんについて書いておこう。わたし、ずっと首席で入団した時からゆめちゃんに注目してます。すっごい可愛いと思うんだけどなあ。Wikiのページすら見当たらないし、もっと注目されてほしいっす!
 で。ショー『Sensational!』であります。
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 今回、わたしはもうずっとあやなくんとそらくんを双眼鏡で追っておりました。そらくんのダンスのキレは、相変わらず抜群で素晴らしかったし、あやなくんがソロで歌った歌、わたしはもうホントグッときました。最初は星で、今は雪で……。。。本当に淋しいすねえ……。なんつうか、宝塚歌劇は我々観客にとっては夢の時間だけれど、演者のみなさんにとっては本当に厳しい世界なんだということを、今回のあやなくんの退団で改めて実感したっす。あやなくんの輝きを、わたしはしっかり目に焼き付けました。あやなくんには本当に幸せになってもらいたいなあ。。。

 てなわけ、もう書いておきたいことはないかな、大丈夫かな?
 それでは最後に、いつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
 ※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
 「おら、道楽は金で買う。けんど、女房は金で買わねえ。心で買うって決めてるだ!」
 この台詞は結構最初の方で、江戸に着いた夢介とお銀ちゃんのやり取とりで夢介が言うセリフなんすけど、わたし、この台詞で、なんだよ、こいつただの金持ちお坊ちゃんじゃねえじゃん! と夢介を認めました。なかなかカッコいいセリフだと存じます。

 というわけで、結論。

 昨日観た雪組公演『夢介千両みやげ/Sensational!』は、日ごろ地獄の介護生活を送っているわたしにとっては最高の3時間でありました。ほんと、劇場にいる間は家のことは全く考えなかったね。やっぱり宝塚歌劇は最高です! 『夢介千両みやげ』は実に面白く、笑えて素晴らしい作品でありました。なんつうか、ふざけたコメディーではあるけれど、たまにこういう作品があってもいいと思うっす。わたし的には、雪組前作の『CITY HUNTER』よりずっと面白かったすね。そして無事雪組生として活躍を始めた和希そらくんの色気あふれるたたずまいとダンスのキレは、雪組随一だと思うし、この公演で退団してしまう綾凰華くんの最後の輝きも、目に焼き付けました。素晴らしいジェンヌが退団してしまうのはいつも淋しいけれど、今回は本当に、やけに寂しくてたまらないす。またどこかの舞台で会いたいっすね。それまで、しばらくのさよなら……か。ともあれ、宝塚歌劇はマジ最高っす! 以上。

↓ やっぱり『阿弖流為』は最高だと思います。原作小説も最高です。



 わたしが初めて上橋菜穂子先生の作品を読んだのは、『鹿の王』でありました。単行本発売当時、わたしのもとに見本誌が回って来たから読んだのだが、その面白さはもう、夢中になってページをむさぼるほどで、その後本屋大賞を獲得したり、様々に注目されて大ヒットになったのも納得であった。
 わたしは基本的に、うお!すげえ面白い!という作品に出合うと、その著者の作品を片っ端から読みだす習性があるが、わたしはすぐに『獣の奏者』を読みはじめ、さらに『精霊の守り人』から始まる「守り人シリーズ」も読破し、守り人シリーズはNHKのドラマシリーズも観て、ついでに2016年に世田谷区文学館で開催された『上橋菜穂子と<精霊の守り人>展』にも行ってみるなど、すっかり大ファンになったのでありました。なので、まあズバリ言うと、上橋先生ファンとしては、わたしはまるっきり新参者であります。
 しかし、上橋先生はその後新刊をあまり出しておらず、鹿の王や守り人のスピンオフ的外伝的作品が何冊か出たぐらいであったと思う。たしか、眼を悪くされて、ちょっとゆっくりなさる的なことを聞いたような気がします。
 が、今年2022年3月、ついに! 上橋先生の完全新作が発売となったのであります。わたしもすぐ読みたかったんだけど……いかんせん、現在のわたしは日々地獄の毎日を送っており、じっくり小説を読むという心の余裕に乏しい毎日なので、今月のGWが終わったころに、やっと読み始めることが出来ました。その新作のタイトルは――もうそのタイトルだけでも、なんか素敵な予感を感じさせる素晴らしいタイトル――『香君』であります。

香君 上 西から来た少女 (文春e-book)
上橋 菜穂子
文藝春秋
2022-03-24

香君 下 遥かな道 (文春e-book)
上橋 菜穂子
文藝春秋
2022-03-24

 表紙デザインもとても美しく、わたしは電子書籍で買って読んだのですが、これは紙の単行本で買って、本棚に並べたい美しさですなあ……! ちょっとわたしが加工した画像ものっけとこう。
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 で。まず、結論から言うと、超最高に面白かった!のは言うまでもないでしょう。わたしは、本来の意味における「ライトノベル=10代の少年or少女が主人公であり、10代の少年or少女が共感できる小説作品」の最高峰だと思いました。現代のいわゆるライトノベルは、もう完全に質の悪い、低クオリティなどうしようもない作品が多くて、もはや自滅の道をたどっているとわたしは思っていますが、この作品『香君』は、1990年代後半から2000年代初頭の、本当に質の高い、本物のライトノベルの数少ない血脈を感じさせる見事な作品であると断言できます。
 ここまで完全なるファンタジーで、わたしのような初老のおっさんをも興奮させる作品は、もう本当に絶滅危惧種だと思いますね。見事、実に見事な世界観とキャラクターたちにわたしはもう読みながらずっと心躍っておりました。
 物語は、様々な「匂い」を「言葉のように聞き取ることが出来る」能力を持った少女の数奇な運命をたどるものです。ちょっと何を言っているか分からないと思うので、例を出すと、人の感情も匂いで聞き取ることが出来るわけです。この人は怒ってるな、とか。あるいは、植物から発せられる匂いで、葉っぱがアブラムシに食べられちゃうから、天敵のテントウムシを呼んで助けを求めてるな、とか、とにかく様々な「匂い」を感じ、その意味を理解できる能力なわけです。
 「香道」においては、香りを「聞く」と表現しますが、まさに、そういうことですな。
 
 さてと。物語を要約してもあまり意味はなさそうなので、基本的な設定と、各キャラ紹介をしてみようかな。とにかく、世界観、キャラクターがお見事ですよ。とっても楽しめる作品でありました。
 【1.世界観】
 ◆帝国支配の世界
 舞台となるのは、ウマール帝国という国で、周辺の4つの王国を「藩王国」として藩王の統治を許しつつ、属国としている強大な帝国だ。当然、創建の祖の血脈である皇帝がいる。ちょっと判然としないのだが……帝国建国からどのくらいの時を経ているのか、よくわからない。。。
 ◆オアレ稲
 帝国の支配は、「オアレ稲」をその従属の枷としている。オアレ稲は、海岸部以外のどんな地でも収穫できるし、年数回の連作も可能。このオアレ稲によって、食糧事情が激変し、安定的に収穫できるスーパー米なのだが、厳格に決められた肥料だったり、種籾が獲れないという特殊な性質を持っている。そしてその肥料は帝国から「下賜」されるものしかなく、種籾も、帝国のごく一部しか製法を知らず、肥料の製法も種籾の秘密も、厳重に秘匿されている。また、一度オアレ稲を栽培すると、土壌の成分組成(?)が変化し、ほかの穀類は一切栽培できなくなってしまう。そのため、一度でもオアレ稲を栽培して、食糧危機を乗り切った藩王国たちは、帝国に従属するしかない、という状況。
 ◆香君
 帝国創建のもととなったオアレ稲をもたらした、「香りで万象を知る」伝説の女性。神格化されていて、その後、歴代香君を帝国は「活き神」として信奉している。ただし、初代以外の香君には重大な秘密があり、これも皇帝と、皇帝と共に国を築いたカシュガ家の人間しか真実を知らない。香君は神様として扱われているんだけど、亡くなると「13歳の少女に魂が移る」といわれている。
 ◆香使
 帝国全土を巡回し、オアレ稲の管理監督を行う役人。香君の住まう「香君宮」に所属する。カシュガ家の「旧」カシュガ家が管掌している。
 ◆富国ノ省
 帝国の頭脳集団と言えばいいのかな、要するに内閣官房と財務省などが一体化したような、行政の官庁。「新」カシュガ家が管掌している。

 【2.キャラクター】
 結構な数のキャラクターが登場するけれど、まあ、この9人だけ紹介しておこうかな。
 ◆アイシャ:物語の主人公。物語開始時点で15歳。6つ年下の弟がいる。祖父は帝国本土の西にある西カンタル藩王国の藩王だったが、オアレ稲を自国で栽培することを最後まで反対したために、飢餓が発生し、民衆の暴動を招いて王位を追われる。その後、アイシャは両親とともに落ち延びていたが、両親はすでに亡くなっている。亡き母とアイシャには、匂いを感知する強力な力が備わっていて……とまあ、こんな背景を持つ女の子。そして性格的には、とても賢く、とてもまっとうな心を持つ、非常に魅力的なキャラクターだと思う。冒頭では旧王族の生き残りとして殺されそうになり、その時点ではかなりトゲトゲハートな若干やさぐれキャラなのかな、と思ったけれど、物語が進むにつれてどんどんと、本来の性根の良さがわかってきますね。とにかく一生懸命な頑張り屋さんですよ。とてもいいと思います!
 ◆マシュウ:新カシュガ家の男だが、母が異邦人だったため、官僚一直線な人生は送っていない。軍にいたこともある。現在は藩王国視察官として、各藩王国の動向をつぶさに皇帝へ伝える仕事。彼もまた、匂いに敏感。アイシャと初めて会った時、アイシャの異能に気づき、保護する。少年時代から、オアレ稲に依存する食糧事情を憂慮していて、初代香君の言動録的な文書に記されている危機が訪れた時のために、様々な手を打とうとしていた。頭はいいし、おそらくイケメンだろうし、性格も物静かで熱い、本作のヒーロー的存在ですな。とてもカッコイイ! 
 ◆オリエ:当代の香君。とある藩王国の普通の娘だったが、13歳の時、香君の生まれ変わりとして見いだされ、香君となる。ウルトラ超美人。性格も実にまっとうで、ある意味普通の人。マシュウが大好き。そしてマシュウも密かにオリエが大好き。二人の恋の行方も、実にしめやかで、控えめで、そして熱い想いで最高です。
 ◆ラーオ・カシュガ:旧カシュガ家当主で香使を束ねる大香使。マシュウと共に、いつか来るかもしれない危機に備えて様々な実験を行う農場を管理している。
 ◆イール・カシュガ:新カシュガ家の当主で富国ノ大臣。皇帝の右腕。クールな切れ者。若干悪役テイストはあるけれど、まあ、実際のところ、帝国維持のために全力を傾けているわけで、悪い奴ではないと思う。イールの父とマシュウの父が兄弟なので、本来は従弟だけど、諸事情あってマシュウはイールを兄上と呼んでいる。
 ◆オードセン:ウマール帝国皇太子。上巻の途中で皇帝に即位。若いのでまだまだ盤石な権威を得ていないが、なかなか頭はいい。イール同様、悪い奴ではない。ちゃんと人を見る目はあるし、情勢を読むこともできる男。
 ◆ミジマ:ラーオの娘で上級香使。超デキる女性。何かとアイシャを助けてくれる頼りになるお姉さま。
 ◆ミリア:海岸沿いにあり、島々からなるオゴタ藩王国の藩王の母(=前藩王の王妃)。超やり手で、何とかオアレ稲を自家栽培できないものかと実験をしていて、反帝国支配をもくろんでいる怖い女性。だけど、実際彼女も悪い人ではない。わたし的にはとても気に入った、キャラの立った人です。
 ◆ヂュークチ:現在の西カンタル藩王。アイシャの祖父を追い出して王位に就いた男をクーデターで倒して(?)王位に就いたばかり。旧王族であるアイシャ(の弟)を担いで権力を狙う奴が出ないように、冒頭でアイシャと弟を殺そうとする人。でも彼もまた、実際悪い奴ではなく、礼を尽くそうとするなどちゃんとした男だと思う。冒頭とラストだけにしか出て来ないけど、結構印象に残る人ですな。

 とまあ、こんなところかな。
 本作は、やっぱり現在我々が直面しているCOVID-19の影響を感じる物語でもあって、学者としてフィールドワークを続けた上橋先生ならではの、実に興味深い物語とも言えます。本当に面白かった。
 一つだけ、言うとすれば……結局、初代香君はどこから来たのか? という点が明らかにされていないので、その点はちょっと謎が残ります。異郷から来たというけれど、その異郷とはどこなのか。でもまあ、それは謎のままでいいのかな。つうか、明かされたらやっぱり興ざめというか、明かす必要はない、かな。うーん、ちょっとまだわたしも考えがまとまらないですが、そういうことで納得します。
 あと、植物がわれわれ人間には分からない世界での戦いを繰り広げているというのは、わたしも以前読んだ『たたかう植物―仁義なき生存競争』という本でも詳しく書かれていたっすね。化学物質を放出して敵の植物を攻撃するとか、種を運んでもらうために鳥を呼ぶとか。面白いよなあ、そういうのって。ある意味、人間同士の戦いよりも、よっぽど無慈悲で徹底的だよね。まあ、人類が滅亡しても、植物は生きながらえるわけで、人類はまだまだ、地球上では弱者なんじゃなかろうか。
 てなことを思いましたとさ。

 というわけで、結論。

 現在の日本の作家の中で屈指の筆力を誇る上橋菜穂子先生の、7年ぶりの完全新作となる『香君 <上>西から来た少女/<下>遥かな道』をやっと読み終わりました。もう結論としては、超最高に面白かった!! に尽きます。まだ読んでいない方は、全く何も疑うことなく、今すぐ買って読んだ方がいいと思います。わたしはほぼ事前知識なしに読み始めましたが、まあ、わたしがここまで書いてきたことを読んだ後でも、全然大丈夫……だと思います。肝心なことは特に書いたつもりはないので。とにかく、こんなBlogを読んでいる暇があるなら、今すぐ本屋さんへGO!でお願いします。電子書籍なら今すぐポチって読めますよ。それにしても、本当に上橋先生の世界構築能力は素晴らしいですね! マジ最高でした! 映画の『鹿の王』は正直イマイチすぎましたが、『香君』を映像化する際は、きっちり原作通りでお願いしたいものです。以上。

↓ かなり面白いです。

 なんつうか、観終わった瞬間、ああ、こりゃあ前作のScott Derrickson監督は手ぇ引くわ、とわたしは思った。それほど、前作とはもう全然変わっちゃったな、という作品になり果てており、わたしとしてはかなり残念に思っている。
 なんのことかって? わたしの大好きなMarvel Cinematic Univers最新作、『DOCTOR STRANGE IN THE MULTIVERS OF MADNESS』の、偽らざる感想である。この映画は、わたしとしてはMCUの中でも相当下位に位置するイマイチ作品だったと言わざるを得ないのが1回観て感じた結論だ。
 まずは予告を貼っておこう。Disneyの公式予告はすぐ削除されちゃうので、公式じゃないところにUPされたものを貼っときます。

 本作の予告は、公開が近づくにつれ、だんだん情報量が増えて行ったわけで、わたしも新しい予告を観るたびに興奮は高まっていたのは間違いない。うおお、マジ早く観てーぜ! と、本当に超楽しみに昨日はIMAX Leser 3D版を観に、劇場に向かったわけだが……。。
 本作の感想を、どうまとめたものかと思案したのだが、やはりもう、ポイントごとに箇条書きで書き連ねてゆくしかないと思うので、さっそく初めてみようと思います。
 もちろん、ネタバレには配慮せずに、思ったことを書いてゆくので、また見ていない方はこの辺で退場してください。検索してこんなBlogを読んでいる暇があったら劇場へ今すぐ行くべきです。さようなら。

 はい。それではよろしいでしょうか。行きます。

 ◆テレビシリーズの視聴が必須な物語
 わたしとしては、MCUというシリーズは、その名の通り「Cinematic」である点が大いに魅力であり、あくまで「映画館の大画面・大音量で観るべき」作品だと思っていたけれど……『END GAME』以降、Disneyは、自らの配信サービス「Disney+」において、『WandaVision』『The Falcon and the Winter Soldier』『LOKI』『What IF...?』といったミニシリーズの展開を始めたのは周知の事実であろう。
 これらのDisney+で展開する物語があくまで補完的な物語であるなら、それはそれでファンサービス的な意味で存在意義はあると思うし、実際、その制作予算規模はまさしく「Cinematic」であるので、文句を言うつもりはないけれど、わたしとしては、当面はDisney+に加入する必要はないだろう、と思っていたのに、本作は完全に「それらを観ていないとついていけません」という物語になってしまったのは、率直に言って残念だと思う。
 そう、本作を観る際には、もう完全に『WandaVision』を観ていることが前提となっているのだ。
 しかし、わたしがある意味憤っている(?)のは、実はそのことではない。わたしも、予告を観た時に、ああ、こりゃあ、Disney+に加入して予習しとかねえとアカンな、と思って、ちゃんと予習はバッチリな状態で劇場に向かったのに……本作は、『WandaVision』をある意味無意味にしちゃっている点が、実に腹立たしいのだ。
 その『WandaVision』は、短くまとめると、Visionを喪い、精神に異常をきたしたワンダが謎の「カオス・マジック」を「無意識」に発動して街を丸ごと、そこに住む人たちを巻き添えにして、閉鎖空間に閉じ込め、夢想していた理想の結婚生活を送る、が、ラストで自分が間違ってた、と改心して街と囚われていた人々を開放してめでたしめでたしとなるという、はっきり言って夢オチに近いような、なんとも微妙な物語だったわけだけど、本作では、なんと、その「夢想の結婚生活で出来た想像上の双子の子供をどうしても取り戻す」という夢想の夢想に囚われて、恐怖の大魔王に転生してしまったというお話なのである。もちろん、『WandaVision』の真のエンディングは、子供を忘れられないワンダがスカーレットウィッチの姿で「ダークホールド」を読み解いているシーンで終わったわけだけど、それでも、あれっ!? 反省したんじゃねえの? うそでしょ!? そんなバカな! とわたしは開始20分で思ったし、ワンダがカマータージの魔術訓練生たちを無慈悲にぶっ殺しまくるところで、もう完全に心が冷えました。あのワンダが、とんでもねえキャラに成り下がってしまったことに、心から残念に思う。わたしはてっきり、ワンダを操る真の悪党(例えばマルチバースの扉をどうしても開きたい征服者カーンの手先とか)が存在していて、最終的にはワンダとドクターがそいつを倒す、という物語を期待したのに、全くそんなことはなく、最初から最後まで、ワンダ一人が今回のVillainでした。ホント残念。
 なので、主人公であるはずのドクターは、巻き込まれて事態の収拾に必死で動く、という、スパイディ騒動と同じ構造で、気の毒な大人として描かれているのだ。ついでに言うと、Disneyが公式サイトにUPしているあらすじも、とんでもない嘘で、この点も実に問題があると思う。あくまで、核心を避けて、観客の興味を引くような、「ミスリード」ならもちろんアリだし、問題ないけれど、今回は完全なる嘘なので、そりゃあもう、ナシ、インチキとの誹りを免れようがない、ヒドイあらすじだと言わざるを得ないだろう。
 Disneyが公式で曰く、「最も危険とされる禁断の呪文によって“マルチバース”と呼ばれる謎に満ちた狂気の扉が開かれた」とあるが、実際、ドクターはそんな魔法は使わないし、「何もかもが変わりつつある世界を元に戻すため」に戦う物語でもない。さらに「もはや彼ら(=ドクター&ワンダ)の力だけではどうすることもできない恐るべき脅威」でもないし、「驚くべきことに、その宇宙最大の脅威はドクター・ストレンジと全く同じ姿」もしていない。
 もう観てきた人なら、なんだこのインチキ文章は!? と誰しも思うのではなかろうか。ひどいよなあ。。。本当に。
 ◆新キャラ「アメリカ・チャベス」
 まず、「マルチバース」の扉を開くのは、ドクターの呪文ではなく、新キャラであるアメリカ・チャベスの能力であり、そしてその能力を得るために、狂った(=Madnessな)ワンダが彼女を追い掛け回す、というのが本作の本筋だ。
 ワンダは「妄想の妄想」である我が子が元気にしている「別の宇宙」へ行くために、その扉を開く力がどうしても欲しい、そのためなら人殺しも全くいとわない、という完全にイカレた女になってしまったのが本当に残念でならない。
 そして一方のアメリカ・チャベスはというと、子供時代に、蜂に刺されてうっかりきゃーー!と「感情を爆発」させてしまった時に、マルチバースの扉を開いてしまい、母を失ったそうで、もう何じゃそりゃとツッコミたくなるような過去を持っている少女だ。
 まあ、そのうっかりな過去はどうでもいいし、「身の危険が迫ると別の宇宙に通じる扉を開いて逃げ込む」という設定は、それはそれで受け入れてもいいと思う。そして以来、彼女は72の宇宙を渡り歩いているそうで、とある宇宙でワンダの放った化け物に追われ、その宇宙に存在するドクターに助けられてあと一歩というところで追いつかれ、我々の住む宇宙に逃げ込んできて、我々が知るドクターに助けられた、というオープニングは、非常に見ごたえもあったし、極めて映像も素晴らしかったと賞賛したいと思う。
 なので、アメリカ・チャベスに関しては何の問題もないし、わたしとしては全然アリだ。
 けどなあ……。恐るべき脅威、宇宙最大の脅威は「スカーレット・ウィッチ」になり果てたワンダだし、何もかも変わりつつある世界を元に戻すための戦いは、どうやら次回以降(?)のようだし、とにかくもう、なんというか……ガッカリとしか言いようがありません。
 ◆まったく無意味に登場し、しかも弱すぎて泣けた「イルミナティ」
 本作では、予告の段階から、とあるキャラの登場がほのめかされていて、マジかよ!?と我々を歓喜させていた。それは、あの! 『X-MEN』のプロフェッサーXでお馴染みの、チャールズ・エクゼビアの登場だ。そしてモルドのセリフで「イルミナティ」が現れること、さらに『What IF...』で活躍したキャプテン・カーターの登場もほぼ確定していて、一体全体、どのように物語にかかわるのだろう? と我々を興奮させていたわけだが……登場した「イルミナティ」は、さらに驚くべきことに「ファンタスティック4」のリーダー、ゴム人間でお馴染みのリード博士、さらに「インヒューマンズ」の「しゃべるとヤバい」ことでお馴染みのブラックボルトまで登場するというファン感涙の驚きをもたらせてくれたのに……その弱さはもう、悲観の涙にくれるしかないほどのゴミキャラで、登場した意味は完全にゼロ、ならば出て来ないでほしかったとさえ思う程、ひどい扱いであった。ブラックボルトの死に方、ありゃもう笑うしかないよ……。
 強いて言えば、それほどスカーレット・ウィッチに変貌したワンダが、バランスブレイカーなレベルで強すぎたわけだが、その時点でやっぱり間違っていると思うし、脚本的に0点だと言わざるを得ないと思う。ひどいよね、実際。何のために出てきたのか。。。こういう点が、MCUにかかわってきた前作のDerrickson監督が、手を引いて降板した原因ではなかろうか。。。
 ◆Sam Raimi監督を起用した意味
 なので、本作の脚本は、ある意味これまでMCUとは無関係、だけど、マーベルコミックを知っていて、腕の立つベテラン監督に任せるしかなかったのだろうと思う。その意味で、Sam Raimi監督はきっちり仕事をしたと評価すべきだろう。とりわけ、誰しも感じたと思うけれど、悪の大魔王になり果てたワンダ、に操られた、別の宇宙で平和に暮らしていたワンダ、が血まみれで足を引きずりながら(=もうその様は痛ましくてかわいそうで悲しい!)ドクターたちを追いかけるシーンは、もうRaimi監督の真骨頂であるホラー映画そのままだし、どうでもいいけどRaimi監督の盟友Bruce Campbelll氏もちゃっかり登場するなど、映画としての演出や映像としてのクオリティは極めてハイクオリティで、その点は素晴らしいと思う。けれど……こんな物語(=脚本)を許容したのは、完全にMCUを統括するKevin Feige氏の責任だろう。
 ◆MCUとしての整合性
 そしてKevin Feige氏の責任という点では、例えば『LOKI』において、「Madness」という言葉は重要な意味があったのに、本作ではほぼその意味が踏襲されていないし、これだけの事態がワンダに起こるのであれば、当然『WandaVision』で登場して、ラストでどっかに飛んで行ってしまった通称ホワイト・ヴィジョン、元のVisionの記憶をすべて引き継いだはずの(?)The Visionが介入してこないものおかしいし(そもそもワンダは想像上の息子たちよりも最愛のVisionについて何も思わないのも、わたしとしては悲しい)、ついでに言えばNYCであれだけの騒動が起こったのなら、新キャップことサムの登場もあり得たはずで(スパイディが出て来ないのも変だけど、版権上無理なのは理解できる)、MCUの最大の魅力である「共通した世界観」が機能していない点が、非常に問題だと思う。どうも,MCUのPhase4は、かつてのような緻密に計算された大きな観点がみられず、劣化しつつあるように思えてならない。
 マルチバースという言葉も、結局は「なんでもアリ」のための方便に過ぎず、どうもわたしには、『END GAME』や『LOKI』で言及された「時間の分岐」と、今回の「マルチバース」なるものが同じことを意味しているのか、全く分からなくなってしまった。さらに言うと、いまだに『Shang-Chi』や『ETERNALS』も今後どのように絡んでくるか見えないところがあって、かつてのように「インフィニティ・ストーン」という共通アイテムによって、大きな一本の軸となっていたものが、Phase4においては現状見当たらないのは実に残念だ。
 まあ、おそらくは、数年後に「そういうことだったのか!」と我々を驚かせてくれることになる……のだろうと、今は期待するしかないけれど……なんというか、もう宇宙を創った神様は出てくるわ、死後の世界だとか、神話の世界だとか、別の宇宙(マルチバーズ)だとか、もはや我々「人類が頑張って何とかする」領域を超えてしまっているのは明らかで、そんな物語が面白くなるのかどうか、かなり不安な状態だ。
 そう言えば昨日完結した『MOON KNIGHT』も、もはや完全なるファンタジーで、歯切れも悪く、どう理解したらいいか分からん物語で幕切れだったのも、なんか……不安を増幅させているように思う。はっきり言って、Disney+で配信されているシリーズは(What IF以外)どれも2時間半でまとめれば面白い映画になり得る物語、なのに、TVで全6~9回と長く、どうでもいいような部分もあって、正直ノれないっすな。。。
 ◆理解されないドクターが不憫……。
 わたしは常々、優れた人がわざわざ優れていない人のレベルに降りて、へりくだる必要はないと思っている。なので、ドクターに関して公式で「上から目線」とか表現されるのが好きではない。だって、実際に明らかに「上」な凄い人なんだから、そりゃ当たり前じゃん、と思うからだ。
 もちろん、ドクターは、凄い優れた人間であるにもかかわらず、ちゃんと善良でイイ人なわけで、トニーと同様に、いくら優れていても間違いは犯すし、自分が間違ってたと思えばきちんと改心して、より善い人間であろうと努力しているわけです。わたしとしては、そんなドクターを分かってやってくれよ、と思うのだが……本作では冒頭でいきなり、かつての恋人、ドクター・クリスティーン・パーマーが「別の男と結婚する」その結婚式に参列するシーンから始まる。これはツラいよなあ。。。わたしは男なので、ドクターのつらさ、ドクターが感じる淋しさは心に刺さるし、かと言ってクリスティーンを責めるつもりはないけれど、せめて、全世界でクリスティーンだけは、ドクターのことを理解してくれている人であってほしかったと思った。この点は女性目線だと違うのかもな……。
 ちなみに、本編終了後のおまけ映像に、いきなりCharlize Theron様! が登場したのはビビったすねえ! わたしは詳しくないけど、あのキャラはダークディメンジョンの支配者ドルマムゥ(=ドクター1作目に出てきたアイツ)の妹の娘、つまり姪っ子のクレアというキャラらしいすね。そしてクレアはドクターの弟子であり恋人、になるらしいので、もうクリスティーンはMCUに出て来ないのかもしれないすね。。。はあ、ホント、あんなに頑張ったドクターが不憫でならないす。。。
 
 とまあ、こんな感じ……だろうか。
 そういえば、ワンダや後にドクターも使えるようになる「ドリーム・ウォーク」なる呪文は、別の宇宙の自分を操るというものだったけど、わたしとしてはジョジョ第7部『Steel Ball Run』でお馴染みの「Dirty Deeds Done Dirt Cheap」=D4Cに似てると思ったすね。別次元の自分を連れてくるアレです。まさしくワンダの行為は「いともたやすく行われるえげつない行為」でしたな。

 というわけで、結論。
 超期待したMCU最新作『DOCTOR STRANGE IN THE MULTIVERS OF MADNESS』をさっそく観てきたのだが……昨日の夜、ざっと調べたところでは、大絶賛しているレビューが多いみたいなので、ちょっとわたしにはその心理が理解しがたいのだが、わたしはワンダが狂った理由である、愛するものを喪った痛みに共感することは全くできない。そのような痛みは、わたしもとっくに経験済みであり、それを克服できない人間はいないと思うし、克服できるのが人間だと思うからだ。スパイディのピーター・パーカー君はキッチリそれを克服して前に進み、「大人」になったわけで、ワンダの精神的な幼さ、あるいは、究極のわがまま? は、到底人類が許せるものではないし、もう明確に、人類の敵であると断罪せざるを得ず、これまで描かれてきたワンダというキャラを崩壊させるものだと思う。こんな形でワンダがMCUから退場するなんて……人間であることを自らの意志でやめてしまったワンダ。その点が、極めて残念だ。
 そして事態を収拾させるために頑張ったドクターは本当に素晴らしいし、スパイディ騒動だって全くドクターの責任ではなく、むしろ冷静に対処しようとしたのを邪魔されたわけで、ホント、ドクターを理解してくれない世の中はひどいと思う。
 つうか、なんだかPhase 4に入って、MCUはどんどん変な方向に行っているような気がしてならないですな。。。まあ、数年後、あっさりと、「やっぱりMCUは最高だぜ!」と感想を述べている自分がいそうな気がするし、そう思わせてほしいものです。次は『THOR:Love and Thunder』ですな。まあ、正直あまり期待してませんが。。。そして『LOKI』のシーズン2が超楽しみっすね! 
 そして、わたしが今回、劇場に行って、それもIMAX-3Dで観て良かった! と思った最大の事件は……『AVATAR』新作の3D映像を観ることが出来たことっすね! 超キレイ!! そして超3D! コイツはマジで超期待できそうっすよ!! 以上。

↓ もはやどうしても、Disney+加入は待ったナシです。


 はあ……やっぱり宝塚歌劇は最高ですなあ……!
 日々わたしは年老いた母の介護で心身ともに疲れ果てているわけですが、何度もここで書いている通り、劇場にいる3時間だけは、全てを忘れさせてくれますね。。。その3時間だけが、わたしの生きる糧と言っても大げさではなく、本心からそう思っています。
 ありがとう。宝塚歌劇団よ永遠なれ!
「Foever TAKARAZUKA」はホントにいい歌っすね!
 というわけで、わたしは昨日の昼すぎ、いつもならすぐに自宅へ帰り、夕食の準備などに忙殺されるわけですが、昨日は日比谷へ寄り道して愛する宝塚歌劇を鑑賞してまいりました。13時半開演、16時半終幕となると、家に帰りつくのがどんなに早くても17時半。劇場を出るのに手間取ると、∔20分、てことは、最悪でも18時には家に着くので、ギリギリ母の介護に間に合う、というわけで、母が重度の要介護になってから初めて、平日午後の回を選びました。
 去年は、どういうわけかとても良い席ばかり当選していたけれど、今年に入ってから花組も月組も全敗、月組はかろうじてヅカ友の美しき淑女からチケットを譲ってもらい、観ることが出来たけれど、花組は結局観ることが叶わず、でありました。
 そして今回は、宙組、であります。さらに演目は、2006年に同じく宙組で初演された『NEVER SAY GOODBY』であります。恐らく、この演目が再演されるというニュースが発表されたとき、わたしを含めヅカ愛好家の9割ぐらいの方々は、えっ!? てことは現在の宙組TOPスター、真風涼帆さんは退団の時が来たのか!? とビビったことでしょう。何しろ、2006年の初演は、伝説的TOPコンビ和央ようかさんと花總まりさんの退団公演であり、さらに真風さんの初舞台の作品なわけで、わたしはもう完全にフラグじゃん、と思いました。
 が、しかし、そんなわたしの浅はかな思い込みは完全に否定され、真風さんの卒業はもうチョイ先になったようで、よかったよかった、となりました。
 わたしが宝塚歌劇を初めて生で観たのは、2010年3月の東京での星組公演であり、期で言うと96期と同期で今年で研13となったわけですが、あの当時の真風さんは星組生であり、わたしはもう13年、真風さんを見守ってきたわけで、まあ、完全に親戚のおじさん目線なわけです。が、逆に言うと(?)2006年の初演は生で観ていません。一応、和央さんと花さまのサヨナラショー付きの東京大千穐楽の公演をスカステで観ていますが、スカステで観た今回の「ネバセイ」は、「結構歌率の高い作品だなあ~」とか「カチャさん、ちぎちゃん、若いなあ~」とか、そんな印象しか残ってませんでした。
 なので、今回わたしは、それほど超絶対観たい!というテンションではなく、いつもの宙組公演を観に行くのと変わらない気持ちで日比谷に向かったのであります。
 ですが……観終わった今、申し上げたいことはただ一つです。
 超最高!!! でありました!! なんかちょっぴり泣けたぐらい最高だったっすねえ! やっぱり小池先生の描く「ヒーロー像(?)」のようなものは、グッとくるっすなあ! 音楽も良かったし、いやー、本当に素晴らしい公演でありました!
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 というわけで、今回、宝塚友の会がわたしにあてがってくれたチケットは、超久しぶりの2階席でありました。先日、東京宝塚劇場は来場者2000万人を達成したそうで、その記念?なのか、今年はチケットのデザインが写真入りになりました。でもこのチケット、とってもいいデザインなんだけど、ほっとくと印字が消えてなくなっちゃうんだよな。。。どう保存すれば消えないんだろうか。。。
 ま、そんなことはどうでもよく、「ネバセイ」であります。
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 さてと。
 まず、お話ですが、本作は約85年(!)ほど前のスペイン内戦を舞台として、一組の男女の愛の軌跡が描かれるものであります。まあ、物語をよりきちんと理解するためには、一応スペイン内戦とスペインの歴史のことも知っておいた方がいいような気はしました。ちゃんとわかってるかな? 今のスペインって、「王国」でしょ? つまり王様がいるわけだけど、その体制になってから(戻ってから、というべきか)まだ50年ぐらいしか経ってないんだよね。つまり、本作で描かれた、王様不在の「スペイン第二共和政」ってものを分かってた方がいいのでは、と思ったわけです。あと、本編でチラッと触れられる「ゲルニカ空爆」は人類なら絶対に知っておくべき歴史的事件だろうと思います。わたしは、パリ万博に出展されたピカソの「ゲルニカ」の時代背景を勉強した時に、スペイン内戦についていろいろ調べたことがあったので、結構すんなり背景については理解したつもりです。
 まあ、このスペイン内戦というものは、おっそろしく複雑な勢力争いなんだけど、その歴史についてはWikiに任せるとして、わたしが非常に興味深いと思ったのは、スペイン内戦の主役? と言ったら変か、なんて言えばいいんだろう、勝った側、と言えばいいのかな、つまり本作には、その後長期にわたって独裁を敷いたフランコ側のキャラは一切出て来ないのです。本作では、「反乱軍」とか「ファシスト」としか言及されず、姿は一切現さない。この点は、ある意味小池修一郎先生の天才的な取捨選択だと思いました。
 ちなみに、スペイン内戦は、ノーベル賞作家のヘミングウェイや写真家のロバート・キャパが参加していることでも有名ですが、本作の主人公は、キャパの友人でスペイン内戦で亡くなったゲルダ・タローをモデルにしているように思います。だけど、小池先生は、ある意味かなりドラマチック?なスペイン内戦という歴史的事件を、一つの舞台装置としてしか見做しておらず、あくまでも、「ある愛の軌跡」を追うことに集中しているのが凄いというか、さすがというか、わたしはかなり感動しました。小池先生のクリエイティブ能力に。
 そういう意味では、スペイン内戦なんて知らねーよ、でいいのかもしれません。けど、やっぱり、知ってた方が面白さが増すと思うので、長々と書いてみましたが、わたしが言いたいことは、小池先生はやっぱりすげえ、の一言に尽きます。
 ので、さっさと各キャラ紹介と演じたジェンヌをまとめてまいりましょう。2階席からはこう見えます。双眼鏡必須です。
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 ◆ジョルジュ:主人公。そもそもはユダヤ系ポーランド人で、本名もスラヴ系な感じだけど、母国の騒乱を逃れてパリにたどり着き「ジョルジュ」と名乗っている。自らを「デラシネ(根無し草)」と呼ぶ、心さすらう写真家。ハリウッドで出会ったキャサリンと、バルセロナで再会し、(ルキーニ風に言うと)「愛が芽生えた、のだ!」 演じたのはもちろん宙組TOPスター真風涼帆さん。まさに円熟期、ですねえ。そもそも曲が素晴らしくイイこともあるけど、真風さんのパフォーマンスも極めて見事で、わたしとしては『アナスタシア』の時よりもさらに磨きがかかった、真風さんのベスト作なのではなかろうかと思いました。いやー、本当にカッコ良かった! 6月のコンサートも楽しみっすね!
 ◆キャサリン:ハリウッドの脚本家、だが、ハリウッド的商業主義に嫌気を感じていて、共産主義的思想に傾く(※本人はコミュニストではない、と明確に言っているけど、まあ、歴史的にこの後ハリウッドに吹き荒れる赤狩りには確実に引っかかる言動だろうと思います)。真実を写す、というジョルジョにFall in Love。演じたのは、当然宙組TOP娘役の潤花ちゃん。もう、本当にグレイト!な演技、歌唱ぶりで、わたしとしては大絶賛いたしたく存じます。潤花ちゃんは前回も書きましたが、とにかく輝いていて、いつもわたし、この娘は強ぇえなあ……!と感じます。美人というか、凄い整ってるよね。今回も素晴らしいパフォーマンスでした。思うに、この役は、前宙組TOP娘役の星風まどかちゃんよりも、潤花ちゃんの方が似合ってると思いますね。もちろんアナスタシアはまどかちゃんの方が似合うと思うし、もう完璧なアナスタシアだったと思いますが、今回のキャサリンは、完璧に潤花ちゃんのための役、とすら思いました。パーフェクトだったと思います!
 ◆ヴィセント:闘牛士。ハリウッドに招かれた際、ジョルジュやキャサリンと知り合い、バルセロナで再会。ファシズムに対抗すべく、故郷バルセロナを守るために闘牛士をやめ、銃を手に取る熱いハートを持ったファイター。彼は、純粋に故郷を守るために戦うわけで、ファシズムや共産勢力のような政治的な背景は全くない。そこがミソで、陣営としてはソヴィエトが裏にいる反ファシスト陣営なわけで、反ファシストの連中も全然一枚岩ではなく、極めて複雑な状況での戦いを強いられる。仲間割れを「やめろ!!」と止めるシーンは本当にカッコ良かったし、そこからの「ひとつの心に……固く~結ばれ~」と真風さんが「One Heart」を歌いだすところなんて、もうゾクゾクしたっすね!! というわけで、ヴィセントを演じたのは宙組正式2番手の芹香斗亜さん。実にカッコ良く見事なヴィセントでした。まあ恐らくは、今年中にTOP就任するのではないかと誰しもが思っていることでしょう。わたしもキキちゃんが大羽根を背負って大階段を下りてくるところを楽しみにしております。実のところ、わたしは星組時代のキキちゃんははほぼ意識してなかったですが、妙に地味だった花組時代とはうって変わって、今はもう、いつTOPになっても大丈夫なキラキラオーラが漂ってますね!
 ◆アギラール:スペインの統一社会党(PSUC])の宣伝部長。本作での悪い人。その造形は、なんだかスカピンで言うところのショーヴラン氏的キャラでした。でも、わたしはショーヴ氏は純粋に自分の信念に基づいて行動していただけだと思っており、全然悪い奴だと思ってませんが、このアギラールは、若干自分の信念よりもキャサリンをモノにしたい的な感じを受けたっす。いつも怒ってる様は非常にショーヴ氏っぽさがあって、演じた桜木みなとくんはとても素晴らしかったと思います。かつての桜木くんは、ちょっとかわいい系の弟キャラ的な感じが強かったような気がしますが、『オーシャンズ11』のベネディクトあたりからかなあ、非常にアクの強い役を演じられるようになったすね。歌も公演ごとにうまくなっているし、こりゃあ、キキちゃんがTOPに立ったら、ずんちゃんが2番手は間違いないな、と思わせる見事なパフォーマンスでした。
 ◆エレン:ハリウッド女優。自分ではジョルジュはわたしの彼氏、と思っているみたいだけど、残念ながらそうじゃない。典型的なアメリカ人。ただ、典型的というのは悪い意味ではなく、あの時代のアメリカ人女性なら当たり前の女性像であり、悪い人では決してないし、頭が悪いわけでもない、常識的な人だと思う。演じたのは100期生の天彩峰里ちゃん。星組から宙組に移ってもう4年も経つのか。もう何度もヒロインを演じているし、エトワールも今回含めて3回?かな?務めている通り、歌ウマでもあるじゅりちゃん。TOP娘への道のりはもうかなり難しくなってしまったように思えるけれど、技のジェンヌとして、欠かせない存在でしょう。今回もとても素晴らしかったです。
 ◆そのほかのキャラ:わたしとしては、宙組観劇の際は、まず、ずっと星組生だった紫藤りゅうくんと、鷹翔千空くんの二人は必ずチェックするっすね。今回は二人とも、外国人として内戦に参加したアスリートの役でした。わたしは星組イチオシなので、しどりゅうくんは元気にしてるかな、と常に気になるし、こってぃくんは、「アクアヴィーテ」の時、わたしの横に来て乾杯!してくれて以来、ずっと見守っております。ああ、そういや、はやくまた客席降りの演出が復活してほしいすねえ。封印されてもう2年以上経つんだなあ。。。たぶんわたしが最後に体験した客席降りがまさしく「アクアヴィーテ」じゃないかしら。。。

 てな感じで、もう書いておきたいことはないかな、大丈夫かな?
 それでは最後に、いつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
 ※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
 「キスしてくれたら、返してあげよう」
 「ダメよ、愛していないもの」
 「どうしたら愛される?」
 「そうね、わたしに人生の真実を教えてくれたなら」
 「それは……まだ当分先になりそうだ」
 このやりとりは、序盤のジョルジュとキャサリンがハリウッドで交わすセリフですが、まあいわゆる伏線めいて、最後に見事回収されるわけですな。カッコ良かったすねえ! まだ当分先と言っていたジョルジュ。二人にはマジで幸せになってほしかったよ。。。泣ける。。。マジ最高の物語だったすね!
 
 というわけで、結論。

 わたしにとって今年2回目の宝塚歌劇鑑賞は、宙組の伝説的演目『NEVER SAY GOODBY』でありました。サブタイトルにある通り、「ある愛の軌跡」を描いた本作は、実にカッコ良くて泣ける、小池先生の天才的脚本&天才的作詞と、そして忘れてならない、音楽を担当したフランク・ワイルドホーン氏の素晴らしい楽曲に彩られた大傑作でありました。つうか、小池先生のオリジナル作品をまた味わいたいっすね。できればコメディではなく、本作のような感動的な、英雄譚でお願いしたいす。しかし、どう考えてもゆりかちゃんは卒業の時が近づきつつあるわけで、10年以上見守ってきたわたしとしては、淋しい気持ちの方が大きいわけですが、本作は間違いなく、真風涼帆というスターの代表作になることでしょう。また、恐らくはその次にTOPスターとなるであろう、キキちゃんはもうスタンバイOKなのも間違いないし、続く桜木くんも、グイグイと実力を伸ばしており、今の宙組は実に充実しているように見えました、星組イチオシとしては、月組や宙組に比べるとちょっとねえ……若干将来が心配なのは否めないように思うっす。潤花ちゃんも作品を重ねるごとにグングンとオーラが増しているし、まだまだ舞台上で輝いてほしいっすね。ともあれ、宝塚歌劇は最高っすね! 以上。

↓ 翌日にまた、スカステで録画した初演版を観たんすけど、やっぱり和央さん&花さまVerも素晴らしいっすね! しかし、たった16年前なのに、なんか古さを感じるのは髪型とかメイクに由来するもんなんだろうか? 衣装はほぼ同じ感じで、衣装よりもやっぱり髪型とメイク、なのかなあ??
Never Say Goodbye -ある愛の軌跡- 主題歌
花總まり
宝塚クリエイティブアーツ
2006-06-01

 はあ……やっぱり宝塚歌劇は最高ですなあ!
 わたしはいつも「宝塚友の会」の抽選販売でチケットを購入しているわけですが、去年はやけにイイ席の当選が続き、そのラッキーぶりに無邪気に喜んでいたのだが、どうやらその運も使い果たしたようで、今年に入ってはさっぱり当選すらせず、東京のお正月公演である花組公演は全滅、結局観ることが出来なかった。大劇場公演を見逃すのはマジで数年ぶりのことで、大いに残念だったのだが……続く月組公演もまた全部ダメで、これは悲しい……と思っていたところ、わたしのヅカ友の中で最も美しい淑女が1枚分けてくださるというので、やっと観ることが出来たわけであります。持つべきものはヅカ友ですなあ。本当にありがとうございました。
 というわけで。わたしの今年の観劇1作目となる作品は、新TOPコンビの大劇場お披露目である月組公演『今夜、ロマンス劇場で』であります。わたしは星組イチオシだけど、2番目に応援してるのは月組であり、月組はわたしの目には現在一番戦力が整っていて、層の厚い、充実した組であるように映っておりまして、星組推しからすると非常にうらやましい思いであります。さらに、2015年の『1789』以来、ずっとずっと応援し続け、ついにTOP娘役に登り詰めた海乃美月さま(以下:うみちゃん)の華麗なお姿は、もう最高なのは間違いないわけで、要するにわたしは観劇するのを超楽しみにしておりました。
 結論から言うと、最高だったすね。マジで素晴らしかったっす!
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 今回は「スマチケ」なるもので入場したので、チケットは物理的には存在しません。ヅカ友の美しい淑女のスマホ画面を見せて入場するわけで、なんか、昭和の男としては物足りないっつうか、時代を感じるっすね。
 ところで、本作は、そのタイトルからも明らかな通り、綾瀬はるかさん主演の同名映画の舞台版ミュージカル化作品であります。ただ、映画版は、わたしはWOWOWで観ていたのですが、まあズバリ、綾瀬はるかさんがただただ可愛くて魅力的な作品であるのは間違いないけれど、相手役の主演男優は誰だったか名前を覚えてないような、作品として微妙作だとわたしは思っておりました。
 だけど、まあ、今回はうみちゃんが美しく可愛ければ良しッ! であるし、宝塚版ということは、間違いなく主役である月組新TOPスター、月城かなとさん(以下:れいこ)はカッコ良く美しいだろう、ということもまた確実なので、特に心配はしてなかったし、むしろ冒頭に記した通り、超楽しみにしておりました。
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 物語は、かつてわたしが高校生の頃に観たWoody Allen監督の映画『カイロの紫のバラ』を彷彿とさせるような、「映画のキャラクターが現実世界に迷い込んできた!」的なお話で、そこに「触れることが許されない」縛りを加えて、どこかで聞いたようなお話をいくつか混ぜあわせた感じの物語であります。まあ、だから映画版は微妙作だと思ったのかもしれないですが、どうでもいいけど、高校生時代のわたしは『カイロの紫のバラ』という作品が大好きだったのに、『ロマンス劇樹』の映画を観る予習として30年以上ぶりに『カイロ』を観たら、何だかこっちも微妙に思えてしまいました。おっさんになった今と、当時の男子高校生時代とでは、感性がまるで変ってるもんですなあ。。。これは純粋に残念で悲しいことだと思ったす。
 そんなことはともかく。
 今回の感想を各キャラごとに演じたジェンヌの紹介も含めて箇条書きで書き連ねてゆこうと思います。
 ◆牧野健司:映画会社「京映」所属の助監督。ズバリさえない青年だが、映画への愛は本物。どういうわけか、京映の社長令嬢に惚れられているが、まったくお嬢様には目もくれず、大好きな作品「お転婆姫と三獣士」のヒロインにぞっこんLOVEで、なじみの映画館「ロマンス劇場」を毎夜貸切って、一人鑑賞会を開いている。正直、ぱっとしない青年だと思う。社長令嬢が惚れる理由もよくわからん。人柄が誠実、ってことなんすかね。それにしちゃあ、ドジばっかり(?)の仕事人としてはかなり微妙だと思うのだが……。演じたのは、もちろん月組の新たなるTOPスターの月城かなとさん。まあ、れいこの美しさは現在のTOPスターの中でも随一でしょう。だけど、サーセン……なんか、TOPになって変わったというか……うまく言えないけれど……少なくとも上級生のちなつさんにタメ口をきくようなキャラではなかったはずなんだけどな……。最近そういう場面をプルミエールとかスカステで見かけて、なんかちょっと、アレだなあ、と思いつつあります。。。たま様が一度でもみやちゃんやちなつさんにタメ口聞いたことあるか? 絶対ないと思うんだけど。。。ただ、本作を観て、やっぱりれいこの芝居は素晴らしいし、歌も数年前と比べると格段にカッコ良くなって、TOPの風格は感じたっすね。その点はもう、さすがと称賛したいす。月組に来てもう5年か、早いなあ……。
 ◆美雪:映画「お転婆姫と三獣士」のヒロイン。作中世界の月の女神(?)に願いをかけ、モノクロの世界から「外の世界」である現実世界へ飛び出してきちゃったお転婆さん。基本的に強気でイケイケだが、色にあふれた現実世界に魅了される。かわゆい。演じたのは勿論、新たなる月組TOP娘役の海乃美月さま。わたしはこのBlogで、何度もうみちゃんのことを書いてきたけれど、ついにTOPに登り極めたうみちゃんを観ることが出来て、本当にうれしいです。最初に書いた通り、わたしがうみちゃんを初めて認識したのは2015年の『1789』だけど、あの時のオランプの可愛さは今でも覚えているよ。ちゃぴの次はうみちゃんだと思っていたのに、それが叶わなかったときは辛かったね。『エリザベート』の時のヴィンディッシュ嬢の素晴らしい演技も忘れられないね。『アンナ・カレーニナ』の美しさは息をのむばかりだったし、7年間見守ってきたけれど、うみちゃんは常に素晴らしかった思い出ばっかりです。今回も、実に美しく可愛く、強気なうみちゃんの若干のドヤ顔は最高だと思ったす。今後も応援するよ!
 ◆俊藤龍之介:京映の看板スターでやたらカッコいいイケメン。演じたのは月組正2番手スター鳳月杏さま(以下:ちなつさん)。ちなつさんは本当にこういう役がイイっすねえ! わたしのイメージでは、花組時代は悪役率が高かったような気がするけれど、月組に戻ってからは、なんかいつも面白おじさんというか、ちなつさんの、二枚目だけど愛されキャラ、みたいな芝居は大好きっす。今回は主人公の健司に超カッコイイアドバイスをするナイスガイでした。素晴らしかったっす!
 ◆山中伸太郎:健司の親友の助監督仲間。とてもイイ奴。出番は少ないけれど、やっぱり演じた風間柚乃くんの存在感はデカいすねえ。この人は間違いなく将来のTOPスターでしょうなあ。キラキラしてるもの。わたしは今年は風間くんのファンクラブに鞍替えしようかしら、とか思うぐらい、この人は強いオーラを持ってると思うす。芝居も歌も文句ナシ。今回も見事でした!
 ◆大蛇丸:映画「お転婆姫と三獣士」の世界で、美雪に求婚する隣の国の悪い(?)人。美雪を追って現実世界にやって来る。演じたのは、まさかの星組への組替えが発表されている暁千星くん(以下、ありちゃん)。月組ファンの皆さん、ごめん! 星組推しのわたしとしては、ありちゃんが星組に来てくれるなんて、超超うれしいっす! 月組の層の厚さに比べると、我が星組は現状人材不足……げふん、ごほん……いやあ、まさかありちゃんが来てくれるとはなあ! ありちゃんは98期首席、もう一気に星組2番手になっちゃっていいと思うんだけどね。今回、あらためて、ありちゃんはホント歌も良くなって、貫禄のような、分厚さみたいなものを感じたっす。とにかく、こっちん、なこちゃん、ありちゃんが並んで踊るショーが早く観たいっすね! 超大歓迎でお待ちしております!
 ◆その他のキャストのみなさん:もう月組は、何度も言うけど層が厚くて取りあげたい方々ばっかりなんすけど、まず、わたしの大好きな晴音アキちゃん、そしてどんな役でも目立って目が行ってしまう天紫珠李ちゃん、さらに雪からやってきた彩みちるちゃんの3人は、ホントにイイっすね。みちるちゃんは、わたしが初めて認識したのは『凱旋門』であーさの恋人役の女の子を演じた時なんですが、ついこの前、CITY HUNTERで冴子を演じたばかりで、層の厚い月組でどう活躍していくか、楽しみっすね。あと、「セブンカラーズ」の女の子たちも可愛かったすねえ!
 そして男役では、わたしにチケットを与えてくれた美しき淑女がイチオシの蓮つかさくんの狸吉も可愛くて、非常に良かったすね! れんこんくんは、滑舌がすっごく良くて、声で一発で分かるっすね。大劇場は怪我?で休演してたけど、東京では復活できてよかったです。あ、そうだ、怪我と言えば、おはねちゃんこと、きよら羽龍さんも公演まるまるお休みとは心配です。。。相当な重傷なんだろうな。。。次の作品で、おはねちゃんに会えることを楽しみにしてるよ!

 で。後半のショー、『FULL SWING!』でも、一番わたしの印象に残ったのはありちゃんでした。すごい歌がうまくなっていて、非常にいいっすね。もちろん風間くんもいいし、娘役のみんなも可愛いし、今回のロケットの黒猫さんたちなんてマジ最高だったっすね! しかしホント、ありちゃんが我が星組に来て、わたしが一番応援している礼真琴さん(以下:こっちん)と踊るシーンを観たら、オレ、泣くかもっす。最高だろうなあ! こっちんのダンスに対等に張り合えるのはありちゃんしかいないもんね! 楽しみっすね!!

 よし、もう書いておきたいことはないかな、大丈夫かな?
 それでは最後に、いつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
 ※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
 「男が簡単に下を向くな!! 男の視線は常に未来! 好きな女との未来を見つめて生きるものさ……下を向いていたら、今しか見えないぜ?」
 「勉強になります!!」
 このセリフは、ちなつさん演じるおもしろ二枚目が主人公に向かって言うセリフなんですが、まあ、もう最高にカッコ良かったですなあ! まじでわたしも、「勉強になります!」って口に出そうだったよ。ホント、下しか見てない、足元しか見てない、あるいは後ろばっかり気にしてる野郎が多すぎるね。やっぱり、前を、未来を見据えていたいっすな! 男としては!! ちなつさん演じるおもしろおじさんはマジ最高です!
 
 というわけで、結論。

 わたしがずっとずっと応援してきた海乃美月さまが、ついに月組TOP娘役に登極されました。もう、どれだけ待ち焦がれたことか! パレードの大羽根姿は胸に来たっすねえ! うみちゃん、本当にオレは嬉しいよ。本当に良かったね! その大劇場お披露目作品、『今夜、ロマンス劇場で』は、非常に素晴らしい出来で、モノクロの映像からカラーの演者たちに移り変わる演出も実にお見事にキマっておりました。グレイトだと思います。もちろん新TOPである月城かなとさんも、現役随一の美形であることは間違いなく、その美しさや芝居の確かさ、そして歌の見事さは紛れもなくTOPスターでありました。それにしても、本当に月組はタレントぞろいで、星組推しのわたしとしては実にうらやましく思うわけですが、まさか暁千星くんが星組に異動になるとは夢にも思っておらず、わたしには最高に嬉しいお知らせだけど、月組推しの皆さんはさぞや残念に思ってらっしゃることでしょう。なので複雑なんすけど。。。間違いなく言えることは、「組替え」というものは、明らかに「成長のチャンス」であり、ありちゃんがそのチャンスをものにして、さらに成長していくこともまた、明らかだと思います。ありちゃん、なんか顔もシャープになって来て、色気が増してますなあ! まったく根拠はないですが、ありちゃんは星に2年弱ぐらいしかいないで、次に宙へ行ってTOPになる、みたいな、以前の凰稀かなめさんパターンのような気がしてならないす。まあ、ともあれ、宝塚歌劇は最高っすね! 以上。

↓ 映画版は、もう綾瀬はるかさんの魅力全開です。わたし、今回の月組版を観ながら、ちぎみゆコンビ、あるいは、みりかのコンビでやっても似合ってたかもな、とか思いました。ゆうみちゃんとかのちゃんは、強気系女子を演じたら随一だと思うっす。

 というわけで、今年も無事2月に新刊が出ました。わたしが大好きな小説の最新刊、『あきない世傳』の(12)巻、「出帆篇」であります。

 もう読み終わったのは数日前ですが、なんつうか、マジで電子書籍で出してくれないかなあ……もちろん、紙の文庫本も大好きではあるんだけど……老眼の進行する初老のわたしには、文庫だとどういうわけか「夜、ベッドで読むのがつらい」んすよね……通勤の電車内では全然普通に読めるのに、なぜか暗いと、てきめんに読みづらいんだよなあ。。。
 ま、そんなことはともかく。
 ついに(12)巻までお話が進んだ我らが「五鈴屋」の幸ちゃん一行ですが、今回はそのタイトルの「出帆」の通り、ついに、やっと! 再び呉服を扱う商いが可能になりました。よかったねえ! そしてまた、今回もいろいろなエピソードがいちいち面白いし、グッとくるし、大変満足な一冊でありました。
 さてと。本作『あきない世傳』シリーズは、わたしはずっと現代ビジネスに通じる面白さがあると感想を綴ってきたわけですが、今回のビジネスネタは2つあります。
 一つは、現代で言うところの「ギフトカード」です。
 ちょっと前、つってももう20年以上前かな、わたしは当時役員秘書をしてたこともあったのですが、あの頃、よく取引先の役員人事にお祝いを送ってたことがあったんすけど、その時、結構定番として、「ワイシャツお仕立券」なんてものを贈っていたことがありました。秘書同士は各企業間で結構つながりがあって、電話するとその役員の自宅住所を教えてもらえた、という、個人情報保護の現代ではちょっと考えられないようなゆるい世の中だったわけですが、そうして得た自宅住所に、贈り物を贈ってた時代だったのです。
 そういった、ギフト需要ってのは、どうやら江戸時代(※今回の(12)巻は1702年暮れから1704年2月まで)にもあったようで、作中では、毎年暮れ、五鈴屋開店記念日に祝い酒をもらっているんだけど、その中に、「酒切手」というものがあって、その札を酒屋さんにもっていくとお酒と交換できるという仕組みがあることが紹介されます。その仕組みを、自分のビジネス、すなわちアパレル業であり、いよいよ再開する呉服販売にも使えないか、と幸ちゃんはひらめくわけですな。
 もう何度も書いてきたから短く記しますが、幸ちゃんは7年前(かな?)、とあるクソ野郎の陰謀で、呉服(=絹織物)を扱うことを禁じられ、太物(=綿織物)しか扱えなくなってしまったわけで、太物だけでも商いを成長させるために、現代のわれわれが知る「浴衣」を発明したり、当時の大人気イベントである「相撲」の力士ネーム入り浴衣というファンアイテムの製造販売に関する独占許諾を得たりと、大奮闘してきた一方で、当然、「いつかまた、呉服を商う」ことを願い続けてきたわけです。
 それが、前巻のラスト近くで、所属する浅草太物仲間(=要するに浅草綿織物販売組合的なもの)が、ようし、おれたちも呉服を扱えるよう、浅草呉服太物仲間にクラスチェンジしようじゃねえか! ということになり、お上に申請をしているところでありました。
 そしてまあ、お役所仕事は現代も江戸時代もおんなじで、とにかく時間がかかるというか、金を出せとかいろいろな経緯があって、今回ついに「浅草呉服太物仲間」の結成がお上に認可され、その呉服販売の目玉となる販売企画をずっと考えてた幸ちゃんが、そうだ、ギフトカードだ!! とひらめく流れが描かれたのでした。しかも、そのギフトカードは、「呉服切手」として販売され、五鈴屋だけでなく、浅草呉服太物仲間所属の店ならどこでも呉服1反と交換可能なもので、仲間みんながハッピーになれる優れモノなのです。
 いやあ、ほんと、読んでいてとても痛快・爽快・やったぜ!的にとても気持ちのいい展開だったすねえ!
 しかし、です。
 こうして呉服を扱えるようになり、結果的に客層も、すこしずつハイターゲット、つまり今までは町の庶民がメイン顧客だったのが、徐々にお武家様の顧客が増えてしまうことになります。それはもちろん、五鈴屋のビジネスにとっては、単価が高く利幅が高い呉服が扱え、武家の顧客が増えるのは喜ばしいこと……のはずなんすけど、果たしてそれが五鈴屋のビジネス、「売って良し、買って良し」の理念に反していないのか、幸ちゃんは悩むことになるわけですな。
 なにより、今までの常連だった町のおかみさんたちにとっては、手の出ない、高価で華美な呉服が店頭にディスプレイされていても、それを眺めるおかみさんたちの眼差しは、「なんてきれいなんだろう、でも、一生着られるわけないよね……」としょんぼりしてしまうわけで、幸ちゃんを悩ませちゃうわけです。この辺は、幸ちゃんのキャラクターとしてとても共感できるし、ここで商売優先、金を稼ぐことに走ってしまっては、当然我々読者も、なんかなあ……と思いますよね。
 ここはとても難しい問題で、恐らく現代であれば、ブランドを分けて、ファストファッションとハイブランドと完全に店舗もわける、みたいなことになるでしょう。トヨタとLEXUS的な。
 もちろん、幸ちゃんも一瞬、そうやって客層ごとにお店を分離した方がいいのか? と悩むけれど、うーん、それも違うよなあ……と悩みは深まるばかり。
 結論から言うと、今回の(12)巻では、この問題は解決されないまま終わります。
 が、ラスト、幸ちゃんは一つの決断をしました。それが今回の2つ目の現代ビジネスネタです。
 それは、現代で言うなら、「東京ガールズコレクション」に参加する! という決断でした。現代の東京ガールズコレクションは、人気タレントやモデルに自ブランドの服を着せて、服を販売するというズバリ金儲けのためのイベントなわけですが(それはそれで立派なビジネスなので、全然悪いことじゃない)、どうやら江戸時代にも同じようなイベントがあったようで、吉原の各見世が、自分のところの花魁に「これぞ」という晴れ着を着せて、人気ナンバーワンを争うというイベント「衣装競べ」が開催されることになり、そこに参加を表明するのです!
 とはいえ、幸ちゃんは、あきないなんだから金儲けは当然目指す、けど、自分ばっかりがウハウハでは、出場する気にもなれないわけで、実際、幸ちゃんは冒頭の方で一度参加を求められた時は、あっさり出場を断りました。まあ、その時は呉服販売を再開したばかりだったし、結局のところ、実際よくわからないイベントだったからなんですが、ラストでは出場を宣言するに至ります。
 そこには、今回の新キャラ、「歌扇」さんの存在がありました。歌扇さんは、以前からちょいちょい登場してきた五鈴屋の常連さんの一人、吉原に出張稽古に通う三味線のお師匠さんが連れてきた女子で、扇屋という吉原の見世に所属する元花魁なんですが、もう年季が明けて自由に外出できるようになっている女子なんだけど……残念ながら容姿が面長で若干ブ……いや、ちょっとアレな方で人気はなかったんだけど、その代り、芸事には真摯に取り組み、「芸者」として身をたてようと頑張っているのです。
 わたし、全く知らなかったんですが、どうやら当時、唄や三味線などの「芸」で生きる「芸者」ってのは、男社会で、女子はいなかったんですね。そんな男社会に、女の身で頑張る姿に幸ちゃんは当然共感しちゃうわけですな。
 歌扇さんは、禿の時代からずっと吉原暮らしだったため、そのファッションセンスが花魁的な派手系で、芸者として生きようとしても衣装が妙に悪目立ちしてしまうというお悩みがあるため、幸ちゃんの優秀な右腕、お竹さんが見立てた「普通だけど歌扇さんによく似合う」反物を買って大喜び、なんてことがあり、幸ちゃんはひらめくわけです。
 「慎ましい太物でも、贅を尽くした呉服でも、その人らしくあるための一反を提供できればいい」。この考えのもと、歌扇さんに似合う一反を用意して「衣装競べ」に出てもらうことで、五鈴屋の理念を世に知らしめるのだ! てな展開で今回は終了しました。
 まあ、大変すがすがしいというか、気持ちのいい展開は本当に読んでて楽しいですなあ! ホント、次の(13)巻が早く読みたいっすね!!
 というわけで、最後に自分用備忘録として、3人の人物の状況をメモして終わりにします。その3人は、五鈴屋メンバーじゃない、けど、幸ちゃんを支える重要人物のお二人と、邪悪な大魔王になってしまったアイツのこです。
 ◆菊栄さんはどうなった?
 菊栄さんのビジネスも順調のようですが、今回、あと2年で自分の見世を独立させて、居候生活を終わりにすると宣言なさいました。菊栄さんは現在、新商品企画として「笄」の新デザイン研究に燃えております。きっとまた、イイのが出来るでしょう。期待したいすね!
 ◆幸ちゃんの前前夫の惣次こと、井筒屋三代目保晴はどうなった?
 惣次は、今回は前半で浅草呉服太物仲間を結成することをお上に申請している時の、お金の話でチラッと登場、今回もきちんと幸ちゃんにアドバイスしてくれて、さらに「俺は何でこんな面白い女房を手放しちまったんだろうなあ~」と苦笑する一面もあり、今後もアドバイザーとして、味方してくれそうな気配ですな。でも、わたし的には、何度も同じことを書いてますが、惣次こそ、幸ちゃんの前に立ちはだかるラスボスになるような気もしてます。いまのことろイイ奴なんだけどね。。。
 ◆悪の大魔王、妹の結衣は?
 今回、結衣が率いる日本橋音羽屋は、もう散々な目に合っていて、心の底からざまあ、なんすけど……一体全体、なにゆえ結衣は幸ちゃんをそれほどまでに憎むのか、実はわたし、その心情がちょっとよくわからんです。まあ、悪は滅びるべし! なので、いいんだけど……姉妹の和解はあり得るのかなあ……今のところ、無理っすね、もはや。

 とまあ、こんなところだと思いますが、今回は「暦」にまつわるエピソードも面白かったすね。それに、何気にお竹さんの「カラースタイリスト」ぶりも非常にイイっすね! 歌舞伎役者と組んで新たな流行を生み出せるかもしれないっすな! 要するに、大変楽しめる一冊であったのは間違いないと存じますので、シリーズを読んできた方は、今すぐ本屋さんへ行って買って読むべきです!

 というわけで、結論。

 わたしの大好きな『あきない世傳』の最新刊、(12)出帆篇が発売になったので、すぐ買って読みました。正式発売日は2/15だったかな、わたしが買ったのは連休の2/11だったと思うけど、わたしとしては、マジで電子書籍でも出してもらいたいっす。紙と違って、電子だと発売日前に買えることはなくなるけれど、なにより、老眼の進行によって、もはや紙より電子の方が読みやすいわたしには、電子版の発売を心から願います。。。ま、そんなことはどうでもいいとして、今回の(12)巻も、大変楽しめました。ついに呉服を扱うことが再開できた五鈴屋。でも、そのことによって、お武家様との商いが増えて、経営状態が良好になるのはいいとしても、その一方では、太物しか扱えない時を支えてくれた町のおかみさんたちをないがしろにしてしまうことにもなりかねず、これは非常に難しい問題だと思います。幸ちゃんが一体次の巻でどんな答えを出すのか。その解答を楽しみに待ちたいと存じます。幸ちゃんが出す回答は、ホント、現代のビジネスにも通じるかもしれないよね。まあ、結論を言うと、『あきない世傳』シリーズは最高っすよ! 以上。

↓ どうでもいいけど、「扇屋」の「花扇」といえば! わたし、国貞の浮世絵でこれを観ました。
KUNISADA_OUGIYA02
 こちらの作品のBOSTONのWebサイトはこちら。これは、「江戸町壱丁目(=吉原の一等地)」にあった、「扇屋」という楼閣のTOP大夫「花扇」さんを描いたものです。この作品は1830年代かな、幸ちゃんたちの時代より100年以上あとですが、「花扇」の名跡はずっと続いてたんでしょうね。
以上、豆知識であります! おしまい。

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